(一七)
第十七章
外國有一人治生,進金銀數千斤,意甚重之,欲藏著地中,恐螻蛄蟲鼠而侵盜之;欲藏著草澤中,復恐狐狸野獸取之;復不信家室中外兄弟、妻子,便著懷中出入行來恒恐失之。時長齋之月,四輩弟子盡詣塔寺燒香散花,此人觀視具見如是。復見塔寺前有一大鉢,四輩弟子繞塔,持金銀錢物投之鉢中。其人問曰:「何以投寶著此鉢中耶?」道人答曰:「此名布施,二名牢固藏,三名不知腐朽。」其人思惟:「真實如是人言,稱吾所求。」便持金銀盡投鉢中。道人為呪願又說:「牢固者,水不能沒,火不能燒,盜賊怨家不能侵害,投之寶藏不知腐壞,當來獲報百千萬倍,故名布施。」其人意解歡喜無量,即於塔前得須陀洹道。是以志心作福功不唐捐,自致得道。
ある外国に、一人の商人がいました。彼は商売で得た金銀数千斤を非常に大切にしていました。地中に隠そうかと思いましたが、蟻や虫、鼠に荒らされるのが心配です。草むらや沢に隠そうかと思えば、今度は狐や野獣に取られるのが怖い。それに、家の者や兄弟、妻でさえも信じられず、いつも懐に入れて持ち歩き、失うのを恐れていました。
ちょうどその頃、長斎の月(斎戒を守る月)でした。四輩の弟子たち(仏教徒)は皆、塔寺に集まり、香を焚き花を散らして供養していました。この商人はそれを見て、塔寺の前に大きな鉢が置かれているのも目にしました。弟子たちが塔を巡りながら、金銀や錢物をその鉢の中に投げ入れているのです。
そこで彼は尋ねました。「なぜ貴重な物をこの鉢に投げ入れるのですか?」
僧侶が答えました。「これは『布施』と名付けます。一つには『堅固な蔵』、二つには『朽ちることのない宝』とも言います。」
商人は心の中で思いました。「確かにこの人の言う通りだ。これはまさに私が求めていたものだ。」そこで彼は持っていた金銀をすべて鉢に投げ入れました。
僧侶は彼のために呪願(祈りの言葉)を唱えて言いました。「この堅固な蔵は、水に沈めることもできず、火にも焼かれず、盗賊や敵にも奪われることがありません。投げ入れた宝は決して腐敗せず、来世には百千万倍の果報を得るでしょう。だからこれを『布施』というのです。」
この言葉を聞いて、その商人は心が解け、喜びは限りなく、その場で塔の前において須陀洹(初果)の悟りを得ました。
このように、真心を込めて善行を積めば、その功徳は決して無駄にならず、自ずから悟りに至るのです。