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title: "蔗菴範禪師語錄 · 觀音"
description: "蔗菴範禪師語錄是清代臨濟宗僧人淨範的語錄集由弟子智璋等人編錄而成淨範禪師活躍於清初繼承臨濟宗風其語錄記載了他的上堂法語機鋒對答及書信偈頌等內容全面反映了禪師的禪法思想和教學風格該語錄是研究清代初期禪宗特別是臨濟宗發展狀況的重要文獻對於了解當時禪林的修行實踐與思想傳承具有較高的歷史與學術價值在佛教典籍中佔有一席之地是探討明清禪宗史不可或缺的一手資料"
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### 觀音

披髮為有慈悲債未還，遍將形影落人間，眾生業海方騰沸，散髮顰眉夢不閒。

以石為座，以慈為家，思拔眾苦，風雨橫斜。紛馳失路，數等恒沙，癡狂不醒，打艸驚蛇。善財未回，匪陳棗瓜，曾見未見，均坐喫茶。任毀任譽，我無怨嗟。

> 石を座とし、慈しみを家とし、衆生の苦しみを抜こうと念じ、風雨は横に斜めに吹く。 迷い走って道を失うこと、数は恒河の砂のごとし、愚かさに狂って目覚めず、草を打って蛇を驚かす。 善財童子はまだ戻らず、棗や瓜を供えることもなく、かつて見たこともない者も、皆共に座して茶を喫す。 毀れようと誉められようと、私は怨みも嘆きもせず。

願逐秋風千種韻，影隨皓月百川馳。婆心憶子行吟處，此段情懷說向誰。

拔濟迷流願無懈，剎塵露現百千態。涉險逢艱亦耐煩，為緣少了慈悲債。

> 迷える流れを救い抜く願いを怠らず、 塵の如く露の如く現れる百千の姿。 険しきに遭い艱難に逢うも耐え忍び、 縁の為に慈悲の債を少しずつ返す。

誓願重重，婆心片片。眾生苦深，我何閒翫。趺坐白蓮，示以方便。匪冤匪讎，任欣任怨。

> 誓いの願いは重なり、慈しみの心は尽きることなし。衆生の苦しみは深く、私はいかにして遊びにふけることができようか。蓮華に座し、方便を示す。怨みでもなく敵でもなく、喜びも恨みもすべて受け入れる。

魚籃雲山煙島任橫身，寒暑俱忘撲面塵，此物新鮮難著價，長街高喚不逢人。

> 魚籠 雲や山、煙る島に身を任せて横たわり、 寒さも暑さも忘れ、顔に当たる塵を払う。 この物は新鮮で値段が付け難く、 長い街で高らかに呼んでも人には出会わない。

坐寶蓮花，低眉深想。人有智愚，我無偏黨。慈力或窮，悲心猶廣。海印發光，青天月朗。可笑善財，隔靴抓痒。是與不是，遙空合掌。

> 宝蓮華に坐し、眉を低くして深く想う。 人には智と愚があるが、我に偏りはない。 慈の力は時に尽きても、悲の心はなお広し。 海印の光を放ち、青天に月明らか。 善財童子よ、可笑しいことだ、靴の上から痒いところを掻くようなもの。 是か非か、遥かな空に向かって合掌する。

智體湛如寶月，赴機影落長川。莫問西洋南海，須知垣隔聲傳。酬願隨普門而適化，眾生聽一缽以談玄。一一根妙，一一功圓。想是閻浮債欠重，彈指稱名總現前。

> 智慧の本体は澄み渡る宝月の如く、機縁に応じて影は長き川に落つ。西洋や南海を問うことなかれ、垣根を隔てて声が伝わることを知るべし。願いに応じて普門に随い衆生を化導し、一つの鉢を聞きて玄理を説く。一々の根は妙なり、一々の功は円満なり。想うに閻浮提の負債重く、指を弾き名を称するや、総て現前す。

塵塵匿跡，剎剎現形。毀譽不移，寵辱非驚。操慈悲之柄，懸救苦之旌。是以佛祖隨其俯仰，昆蟲悉受含育。若冠天履地者，焉得不承其化而暢快生平？

> 塵は塵に跡を隠し、剎は剎に形を現す。 毀誉にも動かされず、寵辱にも驚かず。 慈悲の柄を操り、救苦の旗を掲げる。 それゆえ仏祖もその動きに従い、虫けらさえも皆その慈しみを受ける。 天地を冠と履きとする者が、どうしてその教化を受けずに、生を快く暢らかにできようか。

補陀嵒上聞名，常向人間遊戲，天邊有月流輝，水面無風自麗。欲將夙願深酬，若箇真心相契，要空世界眾生，且待虛空落地。

> 補陀洛の岩の上で名を聞きしより、常に人間界へと遊びに下り、天の果てには月が輝き流れ、水面には風なくして自ずと麗し。 積もる願いを深く報いんと欲すれば、真心を以て一つに契らん、世界の衆生を空しうせしめんとすれば、虚空が地に落つるを待て。

羅剎風高，眾生心劣。多般好意，結成切骨冤讎；一副慈容，耐盡時人冷熱。自謂言滿天下，跡遍寰區，而度盡有情；誰想道將尊就卑，與世茫茫，納盡生平之敗缺。

> 羅刹の風が激しく吹き、衆生の心は劣っている。 多くの善意も、骨に徹する怨みの因縁となる。 慈愛に満ちた顔も、世の冷たさと熱さに耐え尽くす。 自らは天下に言葉を満たし、足跡は世界に及び、あらゆる有情を救い尽くすと語る。 誰が思うだろうか、尊きを卑しきに下し、世と共に茫々として、生涯の敗れと欠けをすべて受け入れることを。

風神雄毅，應現非常。一缽生意，歷遍瀟湘。闡提之家，偏解亂闖。險惡之處，如蹈康莊。引得人若油入麵，取捨難忘。明明是箇活賊觜臉，更說甚麼慈悲肺腸。

> 風の神のように雄々しく毅然とし、その現れは並々ならず。一つの鉢を携えて生き、瀟湘の地をくまなく巡る。邪見の家に偏って入り込み、乱暴に闖入する。険悪な場所も、平らな大道を歩むがごとく。人を引き込む様は油が小麦粉に染み込むがごとく、取捨選択は困難で忘れがたい。明らかにこれは生きる盗賊の顔つき、それ以上に何を慈悲の心臓腑と言おうか。

悲願重重，慈心片片，好惡短長，隨機影現。寥寥知音，紛紛讎怨，儼坐思惟，雙眸閃電。此段深情說向誰，灘頭紅蓼秋雲絢。

> 悲願は重なり、慈しみの心は一片一片と。好悪も短長も、縁に応じて影のように現れる。知音はわずかで、仇怨は次々と。端然と坐して思惟すれば、両眼は電光のごとく。この深き情け、誰に語ろう。渚の紅い蓼、秋雲は鮮やかに。

有善財作禮六用門風互換，眾生氣分相投；虎穴魔宮俱往，窮陬絕島皆遊。償己身中舊債，將人誘上慈舟；到處遍尋知己，獨伊童子點頭。

> 善き財は礼拝をなし、 六つの用いる門風は互いに換わり、衆生の気分は相い投ず。 虎の穴も魔の宮もともに往き、僻遠の地も絶海の島も皆遊ぶ。 己が身中の旧債を償い、人を誘いて慈しみの舟に乗せる。 至る所に遍く知己を尋ね、ただ彼の童子のみが頷く。

有韋馱立於後選圓通處，箇箇欣聞；入濁世時，人人喜見。高明而溥應，一月千江；博大而均和，神頭鬼面。肝腸冷暖要深知，試問童真有方便。

> <note place="inline">韋駄天が後ろに立っている</note> 円通の境地を選ぶ時、一人ひとりが喜んで聞き入り、濁世に入る時、誰もが嬉しく顔を上げる。 高く明らかで広く応じる、一つの月が千の川に映るように。 広大で調和が均らか、神の頭に鬼の面を。 心の温もりや冷たさを深く知るべき、試みに問う、童真に方便はあるかと。

降貪嗔癡愛慈力等山，威雄若電。除貪嗔癡愛之的胤，匪假霜鋒；為自在無畏之法檀，豈資巧辨。於心既無為，於法同夢幻。此話剎海流行，聞名不如見面。

> 慈悲の力は山のように揺るぎなく、威厳は稲妻のように雄々しい。貪り、怒り、迷い、執着という的を射抜く矢は、鋭い刃を借りる必要もない。自在で畏れなき法の施しは、巧みな弁舌に頼ることもない。心においてはすでに無為であり、法においては夢幻と同じである。この言葉は世界に広まり、名を聞くよりも直接会うに及ばない。

手執如意寶輪。沈昇之請。百艸頭邊，示圓通境；萬花叢裏，現自在身。運大悲輪，指五濁沈迷之路；以如意寶，遂群生所願之親。杲日麗天，無幽不照；慈風遍野，有物皆春。昇之深信油入麵，自古求仁而得仁。

> 如意宝珠を手に持ち、沈昇の願いを聞き届ける。 草の一本一本の先に、円満なる悟りの境地を示し、花咲き乱れる中に、自在の姿を現す。大悲の輪を巡らせて、五濁に沈み迷う者たちの道を指し示し、如意宝珠をもって、すべての生きとし生けるものの願いを叶え、親しみを与える。輝く太陽が天に麗らかに照らし、暗きところなく照らし出し、慈しみの風が野原に満ち渡り、あらゆるものに春をもたらす。沈昇の深い信心は、油が小麦粉に染み込むがごとく、古より仁を求め仁を得るものである。

手中持缽普赴群機，長空秋月。慈容悲容，塵說剎說。一缽生涯濟大千，隨心自在度人訣。

> 手に鉢を持ちて、 あまねく衆生の機に赴く、長空に秋の月。 慈しみの顔、悲しみの顔、 塵にも説き、国土にも説く。 一つの鉢の生涯、大千世界を済度し、 心のままに自在に、人を救う秘訣。

妙應分身得自由，大悲有願導迷流。異途同轍忘回互，更愛春風一缽收。

> 妙なる応身は自由を得て、大悲の願いに迷える者を導く。 異なる道も同じ轍、互いに回り合うを忘れ、さらに春風を愛し、一つの鉢に収める。

垂手非偏，處尊非正。如月之臨，若川之映。隔垣而聽，隨機而應。拔濟為心，慈悲成性。賣盡家風，撲碎古鏡。五濁揚聲，一場話柄。

> 手を垂れるも偏りなく、尊きに処するも正しからず。 月の臨むが如く、川の映すが若し。 垣を隔てて聴き、機に随いて応ず。 抜き救うを心とし、慈悲を以て性を成す。 家風を売り尽くし、古鏡を撲ち砕く。 五濁に声を揚げ、一場の話柄と為す。

時風最薄，古道難論，澄思深想，若箇知恩。慈流雲影，悲現月痕，高下赴感，故號普門。

> 今の世は人情が最も薄く、古の道を語るのは難しい。心を澄ませて深く思いを巡らせば、果たして誰が恩を知っているだろうか。慈悲の流れは雲の影のようであり、悲しみは月の痕跡のように現れる。高い者も低き者もその感応に赴く、ゆえに普門と号すのである。

五濁世中，慈風習習；千江波上，月影重重。雖險途之多歷，實粹器之難逢。欲似善財常覿面，須從格外辨來風。

> 五濁の世にあって、慈しみの風はそよそよと吹き渡り、千の川の波の上には、月の影が幾重にも重なっています。険しい道を多く歩んできたけれど、真に優れた器に出会うことは難しい。善財童子のように常に顔を合わせたいならば、常識を超えたところから吹いてくる風を見分けなければなりません。

繡金針密度，玉線暗穿，慈容幻出，勝妙現圓。瞳澄紺海，足䠍寶蓮，隨機赴感，皓月臨川。非留非礙，而愚而賢，有求皆遂，正等無偏。

> 金糸の針の目は細やかに、玉の糸は静かに縫い込まれ、慈悲の姿は幻のように現れ、優れた美しさが円満に示される。瞳は紺碧の海のように澄み、足は宝の蓮華に踏みしめられ、縁に応じて赴き感応し、皓月が川面に臨むが如し。留まることもなく妨げることもなく、愚かな者も賢き者も、願い求めればすべて叶い、正しく平等に偏りがない。