No. 1594-B佛祖綱目序
佛祖綱目序
余輯是書。竊有深願。經云。自未得度。先度人者。菩薩發心。自覺已圓。能覺他者。如來應世。曰發心正以求其自覺。曰應世正以滿其初心。心之未形。杳杳冥冥。不見一物。無佛無祖無綱無目者。此性之纖塵不立也。心之已形。浩浩蕩蕩。不遺一物。有佛有祖有綱有目者。此性之萬法朗然也。故曰不可以有心求。不可以無心得。不可以語言造。不可以寂默通。離四句。絕百非。如空裏栽花。如波心踏月。無汝湊泊處。無汝擬議處。畢竟如何。以佛祖遣佛祖。以綱目奪綱目。神而明之。存乎其人而已。是書草創於萬曆三十八年之庚戌。卒業於崇禎四年之辛未。嘔心枯鬚者。歷二十有一年。遂成佛祖綱目四十一卷。一時蓮社行人。相與謀付剞劂。作人天眼目。余乃歡喜踴躍。而說偈言。偈曰。
この書を編むにあたり、私は深い願いを抱いております。経典に「自ら未だ度されざるに先だって人を度さんとするは、菩薩の発心なり。自覚すでに円満にして、よく他を覚ますは、如来の応世なり」とあります。「発心」とは自覚を求めるためであり、「応世」とはその初心を満たすためであります。
心が未だ形を成さざるときは、杳杳冥冥として一物も見えず、仏も祖もなく、綱も目もありません。これは本性に微塵も立たざる境地です。心がすでに形を成せば、浩浩蕩蕩として一物も遺さず、仏も祖もあり、綱も目もあります。これは本性に万法朗然たる様相です。
ゆえに、有心をもって求むべからず、無心をもって得べからず。言語をもって造るべからず、寂黙をもって通ずべからず。四句を離れ、百非を絶つ。あたかも虚空に花を植え、波心に月を踏むがごとし。汝の湊泊する処なく、汝の擬議する処なし。畢竟いかんとするや。佛祖をもって佛祖を遣り、綱目をもって綱目を奪う。神にしてこれを明らかにするは、ただその人に存するのみ。
この書は万暦三十八年庚戌に草創し、崇禎四年辛未に卒業。心を嘔き鬚を枯らすこと、二十一年を経て、遂に『佛祖綱目』四十一巻を成す。時に蓮社の行人たちと相謀り、これを彫刻に付して人天の眼目とせんとす。私はここに歓喜踊躍して偈を説かん。
偈に曰く。
我述此書 不為名聞 事理俱備 權實雙行
庶幾觀者 了如鏡明 開卷展讀 發無上心
不願佛子 躭著句味 但願反求 直下便是
剪葛藤根 伐無明樹 不願佛子 瞥生知解
但願窮源 掃開奇怪 赤手歸家 塵塵出礙
不願佛子 貢高我慢 但願知非 靈光顯現
佛不柰何 魔軍自散 不願佛子 輕忽毗尼
但願性戒 無犯無持 赤肉團上 出摩尼珠
不願佛子 沉空枯坐 但願明心 了無退墮
管甚蒲團 破與不破 不願佛子 虗度光陰
但願精進 拳拳服膺 萬年一念 大地平沉
不願佛子 儱侗顢頇 但願悟徹 擊碎疑團
竿頭進步 桶底踢穿 不願佛子 浮飾外護
但願實心 圓修六度 法海無邊 剎那涉過
我作此偈 諸佛證明 滄海可竭 須彌可崩
而此願力 與佛長存
この書を記すは、名聞のためにあらず。 事と理とをともに備え、権と実とを双行せん。 観る者、鏡の明らかなるがごとく了知し、 巻を開き読めば、無上の心を発さんことを願う。
願わくは、仏子よ、句味に耽著せず、 ただ反求して、直下これなりと知らんことを。 葛藤の根を切り、無明の樹を伐たん。 願わくは、仏子よ、瞥然として知解を生ぜず、 ただ源を窮めて、奇怪を掃い開かんことを。 赤手にて家に帰り、塵塵として礙なくんば。
願わくは、仏子よ、貢高我慢せず、 ただ非を知り、霊光を顕現せんことを。 仏も柰何せず、魔軍自ら散ぜん。 願わくは、仏子よ、毘尼を軽忽せず、 ただ性戒にして、犯なく持なからんことを。 赤肉団の上に、摩尼珠を出ださん。
願わくは、仏子よ、空に沈み枯坐せず、 ただ心を明らかにして、退墮することなからんことを。 蒲団の破れようと破れまいと、いずくんぞかまわん。 願わくは、仏子よ、光陰を虚度せず、 ただ精進して、拳拳服膺せんことを。 万年一念、大地平沈せん。
願わくは、仏子よ、儱侗顢頇ならず、 ただ悟り徹して、疑団を撃ち砕かんことを。 竿頭に進歩し、桶底を踢ち穿たん。 願わくは、仏子よ、外護を浮飾せず、 ただ実心をもって、六度を円修せんことを。 法海は無辺なり、刹那に渉り過ぎん。
我この偈を作り、諸仏に証明せしむ。 滄海は竭き、須弥は崩るるとも、 この願力は、仏とともに長く存せん。