本書の題名は『発趣大論』であり、南伝阿毘達磨蔵の第七部に編纂されています。北伝の『発智論』(大正蔵一五四四)と題名は似ていますが、その内容と形式はまったく異なります。伝承によれば、この論は仏が天の衆生のために説かれ、論の概要のみを舎利弗に示したもので、舎利弗がさらにそれを簡潔に説き広めたとされています。結集の時点で既にこのように編集されていたとも言われますが、本論の内容構成から見ると、分別説部の教義が確立した後に編纂されたものであり、したがって最も後期に完成したものの一つと考えられます。
本論の内容は、『法集論』などに掲げられた阿毘達磨の論母、すなわち二十二種の三法や百種の二法を、単独で、あるいは組み合わせながら、順説・逆説・前順後逆説・前逆後順説の形式で配列し、それらが生起する条件に基づいて因縁など二十四の縁を分別したものです。そのため、条件論とも呼ぶことができます。三法などの一つ一つに対して、相縁分・倶生分・縁依分・依止分・相雑分・相应分・問分の七つの区分を設け、それぞれの区分において二十四縁を一根から二十四根に至るまで配列し、さらにそれを順説・逆説・前順後逆説・前逆後順説で展開することで、無量無数の論式が生み出されます。その中から可能な論式だけを選び出して分別するのであり、まことに煩瑣極まりないものです。この無量無数の可能な論式をやや具体的に記述しているのは、相縁分などの広説のうち、問分の分別に見られるのみであり、その他は純粋な論式の概要や、可能な論式の数を挙げるに過ぎません。そのため、これらの一つ一つの形式を具体的に理解するには、南方上座部の教相を詳しく知ることが必要であり、本論が難解とされる所以もここにあります。つまり、二十二種の三法や百種の二法の内容を詳しく知り、南方上座部の教相に基づいて、色法・非色法の一切の法が生起する関係を理解しようとするならば、本論は必ず学ぶべき階梯であると言えるでしょう。
- 論母設置分 一
- 緣分別分 一
- 順三法發趣 七
- 善三法第一 七
- 第一章 相緣分 七
- 一 施設分 七
- 二 廣說分 一二
- 第一節 順 一二
- 第二節 逆 一九
- 第三節 順逆 二八
- 第四節 逆順 三四
- 第二章 俱生分 三九
- 第一節 順 三九
- 第二節 逆 四〇
- 第三節 順逆 四一
- 第四節 逆順 四一
- 第三章 緣依分 四一
- 第一節 順 四一
- 第二節 逆 五〇
- 第三節 順逆 五四
- 第四節 逆順 五八
- 第四章 依止分 六二
- 第一節 順 六二
- 第二節 逆 六四
- 第三節 順逆 六五
- 第四節 逆順 六五
- 第五章 相雜分 六五
- 第一節 順 六五
- 第二節 逆 六七
- 第三節 順逆 七〇
- 第四節 逆順 七二
- 第六章 相應分 七四
- 第一節 順 七四
- 第二節 逆 七五
- 第三節 順逆 七五
- 第四節 逆順 七六
- 第七章 問分 七六
- 第一節 問分分別 七六
- 第二節 問分順答數 一〇〇
- 第三節 問分之逆摘出 一一四
- 第四節 問分逆答數 一一五
- 第五節 問分順逆答數 一七二
- 第六節 問分逆順答數 一七五
- 第一章 相緣分 七
- 善三法第一 七