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  1. 十善業道経 (十善業道經)
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十善業道経 (十善業道經)

「十善業道經」について

唐 · 底本の訳者:實叉難陀

2,389 字 · 約 8 分

《十善業道経》は、唐代の高僧である実叉難陀によって漢訳された、仏教の重要な経典の一つです。この経典は、仏陀が龍王に十の善い行いの道を説くことを中心に、身体と言葉と心の三つの行為における十種類の善行の規範を詳しく説いています。これには、生き物を殺さない、盗みをしない、不貞をしないなどが含まれ、善い行いが修行と解脱にとってどれほど重要であるかを強調しています。経文には因果応報と道徳的実践の思想が融合されており、仏教徒に具体的な実践の指針を与えています。大乗仏教の基礎的な経典として、中国仏教において深い影響を与え、日常の修行と倫理教育に広く用いられてきました。仏教の善悪の観念と業の理論を理解する上で、重要な典籍です。


十善業道經

十善業道経

大唐于闐三藏實叉難陀奉 制譯

(大唐の于闐出身の三蔵法師、実叉難陀が勅命を受けて訳したものです。)

如是我聞:

このように私は聞きました。

一時佛在娑竭羅龍宮,與八千大比丘眾、三萬二千菩薩摩訶薩俱。

あるとき、仏は娑竭羅(しゃかつら)龍宮(りゅうぐう)におられ、八千人の大比丘たち、および三万二千人の菩薩摩訶薩たちとともに過ごしておられました。

爾時世尊告龍王言:「一切眾生心想異故,造業亦異,由是故有諸趣輪轉。龍王!汝見此會及大海中,形色種類各別不耶?如是一切,靡不由心造善不善身業、語業、意業所致。而心無色,不可見取,但是虛妄諸法集起,畢竟無主,無我、我所。雖各隨業,所現不同,而實於中無有作者。故一切法皆不思議,自性如幻。智者知已,應修善業,以是所生蘊、處、界等,皆悉端正,見者無厭。

そのとき、世尊は龍王に告げられました。「すべての生きとし生けるものは、心のはたらきが異なるために、つくる業もまた異なります。それによって、さまざまな世界を巡り歩くのです。龍王よ、あなたはこの集まりや大海の中に、形や色、種類がそれぞれ違うのを見ませんか。これらすべては、心が善い行いと悪い行いを、体と口と心でつくり出した結果にほかなりません。しかし、その心には形も色もなく、見ることもつかむこともできません。たださまざまな現象が集まって現れているだけで、そこには本当の主人はなく、無我であり、我の所有物もありません。それぞれが自分の業に従って異なる姿を現しますが、実のところそこに作り手は存在しません。ですから、すべてのものごとは思いはかることもできず、その本性は幻のようなものです。賢い人はこれを知って、善い行いを積むべきです。そうすれば、生まれ出る五蘊や処や界などは、すべて整ったものとなり、見る人は飽きることがありません。」

「龍王!汝觀佛身,從百千億福德所生,諸相莊嚴,光明顯曜,蔽諸大眾;設無量億自在梵王,悉不復現。其有瞻仰如來身者,莫不目眩!汝又觀此諸大菩薩,妙色嚴淨,一切皆由修集善業福德而生。又諸天龍八部眾等大威勢者,亦因善業福德所生。今大海中所有眾生,形色麁鄙,或大或小,皆由自心種種想念,作身、語、意諸不善業,是故隨業各自受報。汝今當應如是修學,亦令眾生了達因果,修習善業。汝當於此正見不動,勿復墮在斷、常見中,於諸福田歡喜、敬養!是故,汝等亦得人天尊敬、供養。

龍王よ、よく見なさい。仏のお姿は、百千億もの功徳と福から生じたもので、すべての特徴が荘厳で、光明はきらめき、あらゆる人々を覆い隠しています。たとえ無量億の自在梵天であっても、その光の前では消えてしまいます。如来のお姿を仰ぎ見る者は、誰もが目がくらむほどです。また、これらの大菩薩たちをご覧なさい。その美しく清らかな姿は、すべて善き行いと功徳を積み重ねることによって生じたものです。また、天・龍・八部衆など、大きな力を持つ者たちも、善き行いと功徳によって生じています。今、この大海にいるすべての生き物たちは、姿かたちが粗末で、大きいものも小さいものもいますが、それはみな、それぞれの心にさまざまな思いを抱き、身体・言葉・心で不善な行いをしたためです。それゆえ、それぞれが自分の行いの報いを受けているのです。龍王よ、あなたもこのように学び、修行しなさい。また、すべての生き物たちに因果の道理を理解させ、善き行いを積ませなさい。あなたはこの正しい見方から動かされることなく、断見や常見に落ちてはなりません。あらゆる福田に喜びと敬いをもって供養しなさい。そうすれば、あなたがたもまた、人々や天から尊敬され、供養されるでしょう。

「龍王!當知菩薩有一法,能斷一切諸惡道苦。何等為一?謂於晝夜,常念、思惟、觀察善法,令諸善法念念增長,不容毫分不善間雜。是即能令諸惡永斷、善法圓滿,常得親近諸佛、菩薩及餘聖眾。言善法者,謂人天身、聲聞菩提、獨覺菩提、無上菩提,皆依此法以為根本而得成就,故名善法。此法即是十善業道。何等為十?謂能永離殺生、偷盜、邪行、妄語、兩舌、惡口、綺語、貪欲、瞋恚、邪見。

龍王よ、知っておくべきです。菩薩には一つの法があり、それによってすべての悪道の苦しみを断つことができます。その一つの法とは何でしょうか。それは、昼も夜も常に善い法を心に念じ、思い巡らし、観察して、すべての善い法が一瞬一瞬に成長し、少しの不善も入り混じることを許さないことです。これによって、すべての悪が永遠に断たれ、善い法が円満になり、常に諸仏・菩薩やその他の聖なる者たちに親しく近づくことができます。善い法とは、人や天の身、声聞の菩提、独覚の菩提、無上の菩提であり、これらは皆この法を根本として成就するので、善い法と呼ばれます。この法とはすなわち十善業道です。十とは何でしょうか。すなわち、殺生を永遠に離れ、盗みを離れ、邪な行いを離れ、嘘をつくことを離れ、両舌を離れ、悪口を離れ、綺語を離れ、貪欲を離れ、瞋恚を離れ、邪見を離れることです。

「龍王!若離殺生,即得成就十離惱法。何等為十?一、於諸眾生普施無畏;二、常於眾生起大慈心;三、永斷一切瞋恚習氣;四、身常無病;五、壽命長遠;六、恒為非人之所守護;七、常無惡夢,寢覺快樂;八、滅除怨結,眾怨自解;九、無惡道怖;十、命終生天。是為十,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,得佛隨心自在壽命。

龍王よ、もし殺生を離れれば、ただちに十の悩みを離れる法を成就することができます。その十とは何か。一つには、すべての生きとし生けるものに対して広く恐れのない心を与えること。二つには、常に生きとし生けるものに対して大きな慈しみの心を起こすこと。三つには、すべての怒りの癖を永久に断ち切ること。四つには、身体が常に病なくあること。五つには、寿命が長く続くこと。六つには、常に人ならざるものに守られること。七つには、常に悪夢を見ず、寝ても起きても心安らかであること。八つには、恨みの結びが消え、もろもろの恨みが自然に解けること。九つには、悪い世界に落ちる恐れがないこと。十には、命が終わって天に生まれること。これがその十です。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提に振り向けるならば、のちに仏となったとき、心のままに自在な寿命を得るでしょう。

「復次,龍王!若離偷盜,即得十種可保信法。何等為十?一者、資財盈積,王、賊、水、火,及非愛子,不能散滅;二、多人愛念;三、人不欺負;四、十方讚美;五、不憂損害;六、善名流布;七、處眾無畏;八、財、命、色、力安樂,辯才具足無缺;九、常懷施意;十、命終生天。是為十,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,得證清淨大菩提智。

また、龍王よ、盗みを離れれば、十種の信頼できる功徳を得ます。どの十種でしょうか。一つには、財産が豊かに蓄えられ、王や盗賊、水や火、また憎む者によっても失われることがありません。二つには、多くの人に愛され親しまれます。三つには、人にだまされたり虐げられたりしません。四つには、あらゆる方角から称賛されます。五つには、損害を受ける心配がありません。六つには、善き評判が広く伝わります。七つには、大勢の中でも恐れることがありません。八つには、財産・寿命・姿・力が安楽で、弁舌の才能も欠けることがありません。九つには、常に施しを与えたいという心を持ちます。十つには、命が終われば天上に生まれます。これがその十種です。もしこれを菩提へと振り向けるならば、後に仏となったとき、清らかな大いなる悟りの智慧を証し得るでしょう。

「復次,龍王!若離邪行,即得四種智所讚法。何等為四?一、諸根調順;二、永離諠掉;三、世所稱歎;四、妻莫能侵。是為四,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,得佛丈夫隱密藏相。

また、龍王よ、正しくない行いを離れれば、四つの智慧に讃えられる法を得ます。その四つとは何か。一には、諸根が調和し従順になること。二には、永遠に騒がしさと浮つきを離れること。三には、世の人々に称賛されること。四には、妻が他の者に侵されることがないこと。これがその四つです。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提に振り向けるならば、後に仏となったとき、仏の丈夫隠密蔵相を得ます。

「復次,龍王!若離妄語,即得八種天所讚法。何等為八?一、口常清淨、優鉢華香;二、為諸世間之所信伏;三、發言成證,人天敬愛;四、常以愛語安慰眾生;五、得勝意樂,三業清淨;六、言無誤失,心常歡喜;七、發言尊重,人天奉行;八、智慧殊勝,無能制伏。是為八,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,即得如來真實語。

また、龍王よ、妄語を離れれば、天に讃えられる八つの法を得ます。八つとは何か。一つには、口が常に清浄で、優鉢羅華の香りがすること。二つには、世間の人々から信じられ敬われること。三つには、語る言葉がそのまま証しとなり、人も天も敬い愛すること。四つには、常に慈しみの言葉で衆生を慰めること。五つには、すぐれた意楽を得て、三業が清浄であること。六つには、言葉に誤りがなく、心が常に喜びに満ちていること。七つには、語る言葉が尊重され、人も天もそれに従って行うこと。八つには、智慧がすぐれており、誰も打ち負かすことができないこと。これが八つです。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提に振り向けるならば、のちに仏となったとき、如来の真実の言葉を得るでしょう。

「復次,龍王!若離兩舌,即得五種不可壞法。何等為五?一、得不壞身,無能害故;二、得不壞眷屬,無能破故;三、得不壞信,順本業故;四、得不壞法行,所修堅固故;五、得不壞善知識,不誑惑故。是為五,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,得正眷屬,諸魔外道不能沮壞。

また、龍王よ。もし二枚舌を離れれば、五つの壊れない法を得ることができます。その五つとは何でしょうか。第一に、壊れない身体を得ることです。誰にも害されることがないからです。第二に、壊れない家族や仲間を得ることです。誰にも引き離されることがないからです。第三に、壊れない信を得ることです。もとの行いのままに従うからです。第四に、壊れない法の実践を得ることです。修めたことが堅固だからです。第五に、壊れない善き師や友を得ることです。惑わされることがないからです。これがその五つです。もしこれを悟りのための実践に振り向けるならば、後に仏となるとき、正しい家族や仲間に恵まれ、さまざまな魔や外道が妨げ壊すことはできません。

「復次,龍王!若離惡口,即得成就八種淨業。何等為八?一、言不乖度;二、言皆利益;三、言必契理;四、言詞美妙;五、言可承領;六、言則信用;七、言無可譏;八、言盡愛樂。是為八,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,具足如來梵音聲相。

また、龍王よ、悪口を離れれば、八つの清らかな行いを成就します。八つとは何か。一、言葉が度を越さない。二、言葉がすべて利益となる。三、言葉が必ず道理にかなう。四、言葉が美しい。五、言葉が受け入れられる。六、言葉が信頼される。七、言葉が非難されない。八、言葉がすべての人に愛される。これが八つです。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提に振り向けるならば、後に仏となった時、如来の梵音声の相を具えるでしょう。

「復次,龍王!若離綺語,即得成就三種決定。何等為三?一、定為智人所愛;二、定能以智如實答問;三、定於人天威德最勝,無有虛妄。是為三,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,即得如來諸所授記,皆不唐捐。

また、龍王よ、むだ話を離れれば、三つの確かなものを得ることができます。その三つとは何か。第一に、必ず智慧ある人に愛されること。第二に、必ず智慧をもって真実のままに問いに答えられること。第三に、人と天との間で威徳が最もすぐれ、むだや偽りがないことです。これがその三つです。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提へと向けるならば、のちに仏となったとき、如来から授けられる記別はすべてむだにならないことを得るのです。

「復次,龍王!若離貪欲,即得成就五種自在。何等為五?一、三業自在,諸根具足故;二、財物自在,一切怨賊不能奪故;三、福德自在,隨心所欲,物皆備故;四、王位自在,珍奇妙物皆奉獻故;五、所獲之物,過本所求百倍殊勝,由於昔時不慳嫉故。是為五,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,三界特尊,皆共敬養。

また、龍王よ、貪欲を離れれば、五つの自在を得ることができます。どの五つでしょうか。第一に、身・口・意の三業が自在であること。諸感覚が完全に備わっているからです。第二に、財物が自在であること。いかなる怨敵や盗賊も奪うことができないからです。第三に、福徳が自在であること。心の望むままに、すべての物が揃うからです。第四に、王位が自在であること。珍しく不思議な宝物がすべて奉献されるからです。第五に、得るものはもとの願いをはるかに超えて百倍も優れていること。過去に吝嗇や嫉妬がなかったからです。これが五つです。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提に振り向けるならば、後に仏となったとき、三界の中で特に尊ばれ、すべての人に敬われ供養されるでしょう。

「復次,龍王!若離瞋恚,即得八種喜悅心法。何等為八?一、無損惱心;二、無瞋恚心;三、無諍訟心;四、柔和質直心;五、得聖者慈心;六、常作利益安眾生心;七、身相端嚴,眾共尊敬;八、以和忍故,速生梵世。是為八,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,得無礙心,觀者無厭。

「次に、龍王よ!もし瞋恚を離れれば、ただちに八種の喜びに満ちた心の法を得ます。どの八つでしょうか? 一、損なうことなく悩ませない心。二、瞋恚のない心。三、争い訟えることのない心。四、柔和で質直な心。五、聖者の慈しみの心を得ること。六、常に利益と安楽を衆生に施す心。七、身相が端正で、皆に尊敬されること。八、和らぎと忍耐のゆえに、速やかに梵世に生まれること。これが八つです。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提に振り向けるならば、後に仏となった時、妨げのない心を得て、見る者は飽きることがありません。」

「復次,龍王!若離邪見,即得成就十功德法。何等為十?一、得真善意樂、真善等侶;二、深信因果,寧殞身命,終不作惡;三、唯歸依佛,非餘天等;四、直心正見,永離一切吉凶疑網;五、常生人天,不更惡道;六、無量福慧,轉轉增勝;七、永離邪道,行於聖道;八、不起身見,捨諸惡業;九、住無礙見,十、不墮諸難。是為十,若能迴向阿耨多羅三藐三菩提者,後成佛時,速證一切佛法,成就自在神通。」

また、龍王よ。邪見を離れれば、ただちに十の功徳の法を成就することができます。その十とは何か。

一、真の善き意楽と真の善き仲間を得ること。 二、因果を深く信じ、たとえ身命を失っても決して悪を行わないこと。 三、ただ仏に帰依し、他の天などには帰依しないこと。 四、まっすぐな心と正しい見解を持ち、一切の吉凶への迷いを永遠に離れること。 五、常に人や天に生まれ、再び悪道に堕ちないこと。 六、無量の福と慧が、ますます増えすぐれること。 七、永遠に邪道を離れ、聖なる道を歩むこと。 八、身見を起こさず、もろもろの悪業を捨てること。 九、妨げのない見解に安住すること。 十、もろもろの困難に堕ちないこと。

以上が十です。もしこれを阿耨多羅三藐三菩提へと振り向けるならば、のちに仏となるとき、速やかに一切の仏法を証し、自在な神通を成就するでしょう。

爾時世尊復告龍王言:「若有菩薩依此善業,於修道時,能離殺害而行施故,常富財寶,無能侵奪;長壽無夭,不為一切怨賊損害。離不與取而行施故,常富財寶,無能侵奪;最勝無比,悉能備集諸佛法藏。離非梵行而行施故,常富財寶,無能侵奪;其家直順,母及妻子無有能以欲心視者。離虛誑語而行施故,常富財寶,無能侵奪;離眾毀謗,攝持正法,如其誓願,所作必果。離離間語而行施故,常富財寶,無能侵奪;眷屬和睦,同一志樂,恒無乖諍。離麁惡語而行施故,常富財寶,無能侵奪;一切眾會,歡喜歸依,言皆信受,無違拒者。離無義語而行施故,常富財寶,無能侵奪;言不虛設,人皆敬受,能善方便,斷諸疑惑。離貪求心而行施故,常富財寶,無能侵奪;一切所有,悉以慧捨,信解堅固,具大威力。離忿怒心而行施故,常富財寶,無能侵奪;速自成就無礙心智,諸根嚴好,見皆敬愛。離邪倒心而行施故,常富財寶,無能侵奪;恒生正見敬信之家,見佛、聞法、供養眾僧,常不忘失大菩提心。是為大士修菩薩道時,行十善業,以施莊嚴,所獲大利如是。

そのとき、世尊はふたたび龍王に告げられました。「もし菩薩がこの善き行いをよりどころとして、修行の道を歩むとき、殺すことを離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。長生きして早逝することなく、すべての怨敵や賊に害されることもありません。盗むことを離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。この上なくすぐれ、すべての仏の教えをことごとく備えることができます。清らかでない行いを離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。その家は正しく和やかで、母や妻や子に欲心をもって見る者もおりません。うそをつくことを離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。多くのそしりや中傷を離れ、正しい教えを保ち、その誓願のとおりに、行うことは必ず実を結びます。仲を裂く言葉を離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。親族は仲むつまじく、同じ志と喜びを分かち合い、いつも争いがありません。荒々しい言葉を離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。すべての集まりで、人々は喜んで帰依し、その言葉をみな信じて受け入れ、逆らう者はおりません。意味のない言葉を離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。言葉はむなしくなく、人々はみな敬って受け入れ、巧みな方法でさまざまな疑いを断つことができます。むさぼり求める心を離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。すべてのものは慧によって惜しみなく施し、信仰と理解は堅固で、大きな力をもつことができます。怒りの心を離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。すみやかに自ら妨げのない心の働きを成就し、諸感覚は整って美しく、見る者はみな敬い愛します。邪な倒れた心を離れて施しを行うならば、常に財宝に恵まれ、だれにも奪われることがありません。いつも正しい見解と敬い信じる家に生まれ、仏を見、法を聞き、僧に供養し、常に大きな菩提の心を忘れることがありません。これが大いなる士が菩薩の道を修めるとき、十の善き行いを実践し、施しによって飾り、このような大きな利益を得るのです。

「龍王!舉要言之,行十善道,以戒莊嚴故,能生一切佛法義利,滿足大願;忍辱莊嚴故,得佛圓音,具眾相好;精進莊嚴故,能破魔怨,入佛法藏;定莊嚴故,能生念、慧、慚、愧、輕安;慧莊嚴故,能斷一切分別妄見;慈莊嚴故,於諸眾生不起惱害;悲莊嚴故,愍諸眾生,常不厭捨;喜莊嚴故,見修善者,心無嫌嫉;捨莊嚴故,於順違境,無愛恚心;四攝莊嚴故,常勤攝化一切眾生;念處莊嚴故,善能修習四念處觀;正勤莊嚴故,悉能斷除一切不善法,成一切善法;神足莊嚴故,恒令身心輕安、快樂;五根莊嚴故,深信堅固,精勤匪懈,常無迷忘,寂然調順,斷諸煩惱;力莊嚴故,眾怨盡滅,無能壞者;覺支莊嚴故,常善覺悟一切諸法;正道莊嚴故,得正智慧常現在前;止莊嚴故,悉能滌除一切結使;觀莊嚴故,能如實知諸法自性;方便莊嚴故,速得成滿為、無為樂。

龍王よ、要点を言えば、十善の道を行じるとは、次のような荘厳によってである。戒の荘厳によって、すべての仏法の意義と利益を生み出し、大きな願いを満たすことができる。忍辱の荘厳によって、仏の円かな声を得て、多くの相好を備えることができる。精進の荘厳によって、魔の怨みを破り、仏法の蔵に入ることができる。定の荘厳によって、念・慧・慚・愧・軽安を生み出すことができる。慧の荘厳によって、すべての分別と妄見を断つことができる。慈の荘厳によって、すべての生きとし生けるものに対して害する心を起こさない。悲の荘厳によって、すべての生きとし生けるものを哀れみ、常に厭き捨てることがない。喜の荘厳によって、善を修める者を見て、心に妬みや憎しみがない。捨の荘厳によって、順境にも逆境にも、愛着や怒りの心がない。四摂の荘厳によって、常に努めてすべての生きとし生けるものを導き教化する。念処の荘厳によって、よく四念処の観を修習することができる。正勤の荘厳によって、すべての不善の法を断ち除き、すべての善の法を成し遂げることができる。神足の荘厳によって、常に身心を軽やかで安らかにし、楽しくする。五根の荘厳によって、深い信仰は堅固であり、精進に怠ることなく、常に迷い忘れることがなく、静かで調い整い、すべての煩悩を断つ。力の荘厳によって、すべての怨みはことごとく滅び、壊すことのできるものはない。覚支の荘厳によって、常によくすべての諸法を覚悟する。正道の荘厳によって、正しい智慧を常に目の前に現すことができる。止の荘厳によって、すべての結使をことごとく洗い清めることができる。観の荘厳によって、諸法の自性をありのままに知ることができる。方便の荘厳によって、速やかに為と無為の楽しみを成就し満たすことができる。

「龍王!當知此十善業,乃至能令十力、無畏、十八不共一切佛法皆得圓滿。是故汝等應勤修學!龍王!譬如一切城邑、聚落,皆依大地而得安住;一切藥草、卉木、叢林,亦皆依地而得生長。此十善道亦復如是,一切人、天依之而立,一切聲聞、獨覺菩提、諸菩薩行、一切佛法,咸共依此十善大地而得成就。」

龍王よ、知っておきなさい。この十善の行いは、ついには仏のもつ十の力、四つの恐れのない自信、十八の仏だけの特質という、すべての仏の教えを完成させることができます。だからこそ、あなたがたは熱心にこの教えを学び、実践しなければなりません。龍王よ、たとえばすべての町や村は大地の上に立って安らかに存在し、すべての薬草や花や木、林もまた大地によって育ちます。この十善の道も同じです。すべての人間も天人もこれによって成り立ち、声聞や独覚の悟りも、菩薩の修行も、すべての仏の教えも、みなこの十善という大地によって成し遂げられるのです。

佛說此經已,娑竭羅龍王及諸大眾,一切世間天、人、阿修羅等,皆大歡喜,信受奉行。

仏がこの経を説き終えると、娑竭羅(しゃかつら)竜王をはじめとするすべての大衆、そして世間の天・人・阿修羅(あしゅら)たちは、みな大いに喜び、信じて受け入れ、教えを実践しました。

十善業道經

十善業道経


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