諸仏境界摂真実経 金剛界大道場 第三
その時、金剛手菩薩摩訶薩は、仏の威光と力が与えられたおかげで、この世のあらゆる無数の世界にいるすべての衆生を、まるで手の中のアーマラの果実を見るかのようにありありと見通すことができました。そして、彼らのために深い大悲の心を起こし、座から立ち上がり、右肩を露わにし、右膝を地につけて、仏にこう申し上げました。
「世尊よ。この世の中のあらゆる生きとし生けるものには、ある者は財宝に執着し、ある者は飲食に執着し、ある者は五欲を好んで三宝を嫌い憎み、ある者は歌舞や遊びを愛好して心を遊ばせています。これらの衆生は、真実の素晴らしい教えを見たり聞いたりすることがなく、間違った見解や外道の教えに陥り、諸仏の清らかな行い(梵行)を修行しておりません。
それらの衆生は、多くの悪業を積み重ね、地獄に落ちる原因を作っています。あらゆる他の教えでは、彼らを救うことはできません。ただ、金剛界の大曼荼羅という、この上なく偉大な教えだけが、よく彼らを救い、守ることができるのです。
なぜなら、もしある衆生が様々な罪を犯し、地獄・餓鬼・畜生、そして八つの難所に堕ちるべき運命にあっても、この教えだけは、彼らを救い上げることができるからです。また、ある衆生が、この上なく優れた安らぎと幸せを願うなら、この秘密の教えだけが、それを完全に叶えることができます。さらに、ある衆生が正しい教えを愛好し、すべての如来の清らかな戒め、三昧(深い瞑想)、智慧、そしてこの上ない成就(悉地)を求めるなら、この秘密の教えこそが、そのための適切な実践の道(方便行)なのです。
多くの仏のもとで様々な修行を積み、禅定や解脱などの果を求めてきた衆生は、この曼荼羅に容易に入ることができ、すぐに無上正等覚(阿耨多羅三藐三菩提)を証得します。ましてや、この世の幸せや繁栄の果報など、言うまでもありません。
今、世尊よ。この最勝の大慈悲の心をお起こしになり、これらの事柄のため、まさに今、陀羅尼の教えをお説きくださいますようお願いいたします。」
その時、仏陀・世尊は金剛手菩薩に告げられました。 「善きかな、善きかな。金剛手よ、その通り、その通りだ。お前が語った通りである。お前は大いなる慈悲の心を起こし、未来の世の全ての生きとし生けるもののために、真理の道を示そうとしている。善き人よ、よく聞け、よく聞き、よく心に留めなさい。今、私はお前のために、この曼陀羅の大いなる修行の場の教えを、順を追って広く説き明かそう。」
「善男子よ。もし諸仏の境地である、この金剛界ヨーガ大曼荼羅の法を学び修める者がいるならば、最初に何をなすべきだろうか。ヨーガの修行者が初めて道場に入る時、まず最初に罪を滅する印を結ぶ。左右の親指と人差し指を互いに交差させ、左右の中指はまっすぐに立てる。次にその二つの中指の先を曲げて、互いに左右の薬指に当てる。小指は親指と人差し指のように互いに交差させる。そのまま真言を唱える。これを三業の秘密真言と名づける。その真言は次の通りである。」
「オン(一) サラバ(二) バラ(三) ジュシュタ(四) サルワ(五) ダルマー(六) サラバ(七) バラ(八) シュド(九) フーン(十)」