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  1. 金剛王菩薩秘密念誦儀軌一巻 (金剛王菩薩祕密念誦儀軌一卷)
  1. 金剛王菩薩秘密念誦儀軌 (金剛王菩薩祕密念誦儀軌)
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金剛王菩薩秘密念誦儀軌 (金剛王菩薩秘密唸誦儀軌)

「金剛王菩薩祕密念誦儀軌」について

唐 · 底本の訳者:不空

4,484 字 · 約 15 分

金剛王菩薩秘密念誦儀軌は、唐代の高僧・不空三蔵によって漢訳された、密教における重要な経典です。不空は開元の三大訳経僧の一人であり、中国への密教伝播に大きな功績を残しました。この儀軌には、金剛王菩薩の修行法門が記されており、秘密の真言、観想法、印契(手印)などの密法が含まれています。唐代の密教修行における重要なよりどころとなるものです。 経文は、金剛乗(密教)の「即身成仏」の思想を体現し、身・口・意の三密が相応することで解脱が得られると説いています。密教の核心的な儀軌の一つとして、唐代における密法体系の確立を示す成果であり、中国密教の研究にとって貴重な文献的価値を持っています。今日でも、チベット密教や日本の東密などの流派において重視され、実践が続けられています。


金剛王菩薩祕密念誦儀軌一卷

金剛王菩薩秘密念誦儀軌一卷

開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戶賜紫贈司空諡大鑒正號大廣智大興善寺三藏沙門不空奉 詔譯

開府儀同三司・特進・試鴻臚卿・肅国公・食邑三千戸・紫衣賜与・司空

我今愍念一切求等覺者,或不知此祕密瑜伽速成佛法,於三大阿僧祇劫忍諸苦行,不至無上菩提。我愍是故,於金剛頂百千頌中,略說毘盧遮那如來自性成就法身金剛界大圓鏡智流出他受用異名金剛王菩薩念誦儀軌。以三密修行大印等,能令真言行菩薩速證如來等覺之位,獲得薩婆若智,住大普賢地,於無盡生死界調伏一切有情,悉令安住無上菩提而無疲倦。先應簡擇通達金剛頂瑜伽阿闍梨,求受五部灌頂或持明灌頂;若不解簡擇者則自墜失。既遇真實阿闍梨,應生如來出現之想,所有上妙世間資具悉應奉獻。何以故?此最上乘法,三世諸佛所共遵承故。於此法中一一諮問,悉令曉悟曼荼羅法、畫像法、自灌頂法、息災等五種祕密四印、大印一印、五智成身、三密加持、祕密供養,皆須通達。若真言行菩薩,當住大菩提心,所作功德迴向等覺果故,大悲利益速得成佛。若異此者,非但不得悉地,是名謗一切佛,決定墮三惡趣。若所為所作皆為菩提利益有情,意所求願無不成就。真言者受法已,應建立道場安置尊像,著新淨衣,依瑜伽法四時念誦,乃至二時必不可闕,常與適悅三摩地相應。凡初入道場,禮佛長跪,以二手如開敷蓮華,此名淨器界真言印。真言曰:

私は今、一切の等覚を求める者たちを哀れみ思う。ある者はこの秘密瑜伽の速やかに成仏する法を知らず、三大阿僧祇劫の長い間、苦行に耐えながらも、無上菩提に至ることができない。私はそのために哀れみ、金剛頂経の百千頌の中から、毘盧遮那如来の自性成就による法身、金剛界の大円鏡智より流れ出る他受用身の異名である金剛王菩薩の念誦儀軌を、簡略に説き示す。三密の修行と大印などによって、真言行の菩薩は速やかに如来の等覚の位を証得し、薩婆若智を得て、大普賢の地に安住し、尽きることのない生死の世界において一切の有情を調伏し、皆を無上菩提に安住させながらも疲れることがないのである。まず、金剛頂瑜伽に通達した阿闍梨を選び求め、五部の灌頂または持明の灌頂を受けるべきである。もし簡択の仕方を知らなければ、自らを堕落させ失うことになる。真実の阿闍梨に出会ったならば、如来が出現したかのように思い、この世のすべての上妙な資具を捧げるべきである。なぜならば、この最上の乗法は、三世の諸仏が共に遵奉してきたものだからである。この法の中において一つ一つ質問し、曼荼羅の法、画像の法、自灌頂の法、息災などの五種の秘密、四印、大印、一印、五智成身、三密加持、秘密供養を、すべて理解し悟るまで学ぶべきである。真言行の菩薩は、大菩提心を安住させ、行じた功徳を等覚の果に回向するならば、大悲の利益によって速やかに成仏することができる。もしこれと異なるならば、悉地を得られないだけでなく、これを一切仏を謗るといい、必ず三悪趣に堕ちるであろう。もし行いや所作がすべて菩提のため、有情の利益のためであるならば、意のままに願い求めることは成就しないものはない。真言者が法を受けたならば、道場を建立して尊像を安置し、新しい清浄な衣を着て、瑜伽の法に従って四時に念誦し、さらに二時でも決して欠かしてはならない。常に適悦の三摩地と相応するべきである。およそ初めて道場に入る時は、仏に礼拝し、長跪して、両手を開敷の蓮華の如くする。これを淨器界真言印と名づける。真言は次の通りである。

「唵囉儒播蘖多(入)薩嚩達莫」

「オン ラニュ ハ ギャタ ソワ ダルマ」

不易前印,誦淨三業真言加持四處真言曰——(所謂心額,唯頂上散即是):

不易前印,誦淨三業真言加持四處。真言曰——(所謂心、額、喉、頂上散,即是):

「唵娑嚩(二合)婆嚩輸(輸律反)鐸薩嚩達麼娑嚩(二合)婆嚩輸度撼」

「オン ソワ バワ シュド サルワ ダルマ ソワ バワ シュド ハン」

次即結金剛起印。以二手金剛拳,檀慧互相鉤,進力以頭側相拄。欲結此印,先於二手心舌觀五智金剛杵,以印三舉,誦此真言警覺盡虛空界一切如來。真言曰:

次に金剛起印を結びます。両手で金剛拳を作り、人差し指と小指を互いに絡め、薬指と中指の先を側面で合わせます。この印を結ぶ前に、まず両手の掌と舌の上に五智金剛杵を観想します。そして印を三度掲げ、この真言を唱えて、虚空の果てにいる全ての如来を目覚めさせます。真言は次の通りです:

「唵嚩日嚧(二合)底瑟姹(二合)」

「オン、バジロ、ティシュタ(二合)」

每一舉誦一遍已,即觀諸佛數如恒沙滿虛空界。然後長舒二臂於頂上金剛合掌,長展二足,以身委地禮東方不動如來,以身奉獻。真言曰:

毎一度唱え終えたならば、その場で、川の砂の数ほども多くの諸仏が虚空いっぱいに満ちているのを観想します。その後、両腕を伸ばして頂上で金剛合掌を組み、両足を伸ばして、全身を地に委ねて東方の不動如来に礼拝し、自らの身を捧げます。真言は次の通りです。

「唵薩嚩怛他蘖多布祖(引)鉢娑他(二合)曩也(二合)答麼(二合)南涅哩也(二合)多夜(引)彌薩嚩怛他蘖多嚩日囉(二合)薩怛嚩(二合)地瑟姹(二合)娑嚩(二合)𤚥吽」

「オン、サルバタターガタ、プジャ、バサタ、ナヤ、タマ、ナン、ニリヤタヤミ、サルバタターガタ、バジュラ、サットバ、ディシュタ、ソワ、ムン、フーン」

作如是念:「為欲承事供養一切如來故,我今獻己身。惟願一切如來哀愍故。」又歛二足,以金剛合掌置於心上,以額著地,禮南方寶生如來,以身奉獻。真言曰:
「唵薩嚩怛他蘖多布惹鼻曬迦(引)也答麼(二合)南涅哩也(二合)多夜(引)彌薩嚩怛他(引去)蘖多嚩日囉(二合)囉怛曩(二合)鼻詵左娑嚩(二合)𤚥怛𠸪(二合入)」

「オーン、すべての如来に供養を捧げ、その功徳を頂きます。すべての如来の金剛の宝の力によって、私を清め照らしてください。スヴァーハー」

作如是念:「為欲供養一切如來求請灌頂,我今奉獻己身。願一切如來以金剛寶與我灌頂。」又以合掌置於頂上,以口著地,禮西方無量壽如來,以身奉獻。真言曰:

このように考えます。「すべての如来に供養し、灌頂を求めるために、今この身を捧げます。どうかすべての如来よ、金剛宝をもって私に灌頂を施してください。」そして合掌を頂上に置き、口を地に着けて、西方の無量寿如来に礼拝し、身を捧げます。真言は次の通りです。

「唵薩嚩怛他蘖多布惹鉢囉(二合)靺哆曩也怛麼(二合)南涅哩也(二合)多夜(引)彌薩嚩怛他蘖多嚩日囉(二合)達麼鉢囉(二合)靺哩哆(二合)也𤚥訖利(二合)」

「オーン、すべての如来(にょらい)に供養(くよう)を捧げます。虚空蔵(こくうぞう)の誓願(せがん)のとおりに、我(われ)は修行(しゅぎょう)を完成させます。すべての如来の金剛(こんごう)の教え(おしえ)に従って、真理(しんり)の成就(じょうじゅ)を祈念(きねん)します。」

作如是念:「我今為展轉供養一切如來故,奉獻己身。願一切如來為我轉金剛法輪。」又以金剛合掌置於心上,以頂著地,禮北方不空成就如來。奉獻真言曰:

こう考えた。「私は今、一切の如来に広く供養するために、わが身を捧げよう。どうか一切の如来が、私のために金剛の法輪を転じてくださいますように。」また、金剛合掌を心の上に置き、頭を地につけて、北方の不空成就如来を礼拝する。捧げる真言は次のとおりである。

「唵薩嚩怛他蘖多布惹羯磨尼阿(引)答麼(二合)南涅哩也(二合)多夜(引)彌薩嚩怛他蘖多嚩日囉(二合)羯磨俱嚕𤚥噁」

「オーン、サルヴァタターガタ・プージャ・カルマニ・アートマ・ナム・ニリヤタヤーミ・サルヴァタターガタ・ヴァジュラ・カルマ・クル・フム・アーク」

作如是念:「我今為供養一切如來作事業故,奉獻己身。願一切如來為我作金剛事業。」次以右膝著地,結金剛持印,以印置於頂上,想普禮一切如來及菩薩足。左覆右仰,大小指互相鉤,是為持印。真言曰:

こう思惟する。「私は今、あらゆる如来に供養し、その教えの働きを成就するために、この身を捧げよう。願わくば、あらゆる如来が私のために金剛の働きを現したまえ。」次に右膝を地につけ、金剛持印を結び、その印を頂上に置いて、あらゆる如来と菩薩の足元に普く礼拝することを思い描く。左手を下に、右手を上に重ね、親指と小指を互いに絡める。これを持印とする。真言は次の通りである。

「唵嚩日囉(二合)勿(微一反)」

「オン・バザラ・ミク」

次隨喜勸請, 迴向及發願,
然後半跏坐, 二手金剛拳,
置於二膝上, 心舌及二手,
吽字騰金光, 猶如婆伽梵,
住於說法相。 身處淨月輪,
如敷明鏡坐, 光明遍法界,
普淨有情界。 即以麼吒眼,
瞻視虛空佛, 旋轉視八方,
散射金剛焰, 結界及辟除,
處等金剛城。

次に随喜・勧請し、回向して発願する。その後、半跏趺坐を組み、両手で金剛拳を結び、両膝の上に置く。心・舌・両手において、吽字が金色の光を放ち、まるで世尊が説法の相を示して坐しておられるかのようである。その身は清らかな月輪の上にあり、明鏡を敷いて坐しているかのようである。光明は法界のあまねく行き渡り、すべての有情の世界を清らかにする。そこで麼吒の眼をもって、虚空の仏を瞻仰し、八方を巡り見渡す。金剛の炎を散り放ち、結界をなし、邪を除き、その処は金剛の城のごとく堅固である。

次住四無量心三摩地,於心月輪中觀羯磨金剛以大悲心斷一切有情苦,觀羯磨輪周遍法界。真言曰:

次に、四無量心の三摩地に住し、心月輪の中に羯磨金剛を観じ、大悲心をもって一切の有情の苦しみを断ち切ります。羯磨輪が法界に遍く満ちわたることを観じます。真言は次の通りです。

「唵摩訶迦嚕拏也薩頗(二合)囉」

「オーン マハーカルナヤ サハラ」

次運慈心,以羯磨輪遍有情界,與無量樂。真言曰:

次に慈悲の心を運び、羯磨輪(かつまわ)をもって有情の世界すべてに及び、無量の楽しみを与える。真言は次のとおりである。

「唵摩訶每底哩夜(三合引)薩頗(二合)羅」

「オン マカ マイテイリヤ サハラ」

次以喜心運羯磨輪遍有情界。真言曰:

次に喜びの心をもって羯磨輪を回し、あまねく有情の世界に行き渡らせる。その真言は次のとおりである。

「唵薩嚩輸馱鉢囉(二合)母那薩頗(二合)囉」

「オン、サラバ、シュダ、バラ、ムナ、サハラ」

次運捨心羯磨輪遍有情界,成就大捨。真言曰:

次に、捨心の羯磨輪を有情界全体に巡らせて、大いなる捨て離れを成就させる。真言は次の通り:

「唵摩呼閉訖灑(二合)薩頗(二合)囉」

「オン マクヘイ キシャ サハラ」

次結金剛合掌印。二手十度右壓左互相交即成。誦金剛合掌真言曰:

次に金剛合掌の印を結ぶ。両手の十本の指を、右が左を覆うようにして互いに交差させる。これで印は完成する。金剛合掌の真言を唱える。

「唵嚩日㘓(二合)惹里」

「オン、バザラン、ジャリ」

即以此前印,便為金剛嚩。誦金剛嚩真言曰:

この手の印をもって、金剛縛(こんごうばく)とします。金剛縛の真言を唱えます。

「唵嚩日囉(二合)滿馱」

「オン、バザラ、マンダ」

次結開心印。先於右乳上想怛囉(二合)字,左乳上安吒字,想此二字如戶扇,以前縛印拍心上,三掣開之。真言曰:

次に開心印を結ぶ。先ず右の乳の上に「怛囉(タラ)」の字を観想し、左の乳の上に「吒(タ)」の字を置く。この二字を扉のように思い浮かべ、先ほどの縛印で心の上を打ち、三度引き開く。真言は次の通り。

「唵嚩日囉(二合)滿馱怛囉(二合)吒(半音呼之)」

「オン ヴァジュラ バンダ トラ タッ」

次當前一肘觀八葉蓮華,於其華上置噁字,放大光明如水精白色。即以金剛縛出二風,如捻取其字置心殿中。真言曰:

次に、自分の前で一肘の高さに八弁の蓮華を観想する。その花の上に「悪」の字を置き、水晶のように白い大いなる光明を放たせる。そして金剛縛の印から二つの風指(人差し指)を出して、その字を摘まみ取るようにして心の中心に安置する。真言は次の通りである。

「唵嚩日囉(二合)吠舍噁」

「オン ヴァジュラ バイシャク」

安其字已,歷然在心。

その言葉を心に留めれば、はっきりと心に浮かんでくる。

次以金剛縛,並屈二空入掌,以二風各屈拄二空背,以印觸胸。真言曰:

さらに金剛縛(こんごうばく)の印を結び、両方の空指(くうし、親指)を曲げて掌の中に入れ、二本の風指(ふうし、人差し指)をそれぞれ曲げて、二本の空指の背に当てます。この印を胸に触れさせます。真言は次のとおりです。

「唵嚩日囉(二合)母瑟致(二合)𤚥」

「オン バザラ モウシキ ウン」

以是閉心門已,想其字分明住。

こうして心の門を閉じたなら、その文字をはっきりと思い浮かべて、そこにとどまりなさい。

次結普賢三麼耶印。金剛縛,申合二火。真言曰誦一遍。

次に普賢三昧耶の印を結びます。金剛縛(こんごうばく)の印を組み、両方の人差し指を立てて合わせます。真言を一度誦します。

「唵三麼耶薩怛鑁(二合)」

「オン、サマヤ、サッタン」

次結悅喜三麼耶印。如前縛,忍願入掌交合,地空皆合竪。以此大欲箭,射彼三乘種。真言曰:

次に、歓喜の三昧耶印を結びます。先ほどのように指を組み、忍と願の指を掌中に入れて交差させ、地と空の指は合わせて立てます。この大いなる欲望の矢をもって、三乗の種を射抜きます。真言は次の通りです。

「唵三麼耶斛素囉多薩怛鑁(三合)」

「オン サマヤ フ ソラタ サッタン(三合)」

次結勝三世印。以二手金剛拳,檀慧背相鉤,二風各正直。真言曰:

次に、勝三世の印を結ぶ。両手で金剛拳を作り、小指を背中側で互いに絡める。人差し指は、それぞれ真っすぐに立てる。真言は次の通り。

「唵遜婆(去)𩕳遜婆𩕳吽(短呼,下同)仡哩(二合)恨拏(二合)仡哩(二合)恨拏(二合)吽仡哩(二合)恨拏(二合)播也吽阿(引)曩也斛婆誐鑁嚩日囉(二合)吽泮吒(半音)」

オン ソンバ ニン ソンバ ウン(短く唱える。以下同様) ギリ(二合) コンタ(二合) ギリ(二合) コンタ(二合) ウン ギリ(二合) コンタ(二合) ハラヤ ウン アーナヤ フク バガバン ヴァジュラ ウン パット(半音)

以是印左旋成辟除,右旋成結界。

この印を左に回すと、障りを除く働きとなり、右に回すと、結界を結ぶ働きとなる。

次結定印。二羽外相叉仰置齊下,以進力捻禪智。真言曰:

次に定印を結びます。両手を外側で交差させ、手のひらを上に向けて臍の下に置きます。人差し指と親指を軽く合わせます。真言は次の通りです。

「唵三摩地鉢納銘(二合)紇唎(二合)」

「オン、サンマジ、ハンナメイ、キリ」

端身正坐作是思惟:「一切諸法從自心起,從本已來皆無所有。」入寂滅定已,即復觀虛空中無數諸佛,猶如大地滿成胡麻不可稱數。時彼諸佛各舒右手,彈指警覺告行者言:「善男子!汝所證者一道清淨,未證一切智海。應當憶念菩提之心,成就普賢一切行願。」行者聞警覺已,自觀己身於諸佛前一一作禮,而白佛言:「云何名菩提心?」諸佛告言:「汝觀心中字門,本性清淨如淨滿月。」授與真言曰:

端身正座して、このように思惟する。「あらゆる諸法は自心から起こるものであり、本来よりすべて実体がないのだ」と。寂滅定に入ったならば、再び虚空の中に無数の諸仏があるのを見る。それはまるで大地に一面にごまが満ちているかのように、数えることすらできないほどである。そのとき、諸仏はそれぞれ右手を伸ばし、指を弾いて行者を目覚めさせて告げる。「善男子よ、あなたが証得したものは一道清浄にすぎず、まだ一切智の海を証得してはいない。菩提心を念じ、普賢のすべての行願を成就すべきである」と。行者はこの警覚を聞いたのち、自らの身を観じて諸仏の前に立ち、それぞれに礼拝し、仏に申し上げる。「どのようなものを菩提心と名づけるのですか」。諸仏は告げる。「あなたの心中の字門を観じなさい。その本性は清らかで、満月のごとく清浄である」と。そして真言を授ける。

「唵質多鉢囉(二合)底吠鄧迦嚕彌」

「オン、チッタプラティヴェーダン・カルミ」

行者承旨默誦一遍,即觀自心如淨滿月。爾時諸佛復作是言:「善男子!菩提之心體相如此。」復授真言曰:

修行者がその教えを受けて、心の中で一度唱えると、すぐに自分の心を清らかで満ちた月のように観じた。その時、諸仏が再びこう告げた。「善男子よ、菩提心の本質はこのようなものである。」そして、さらに真言を授けた。

「唵冐地質多母怛波(二合)娜夜彌」

「オン、ジシツタ、ムタバ、ナヤミ」

行者默誦一遍已,作是思惟:「菩提之心體性竪固。」即於月輪上觀五智金剛杵。真言曰:

修行者が静かに一度唱え終えたなら、こう考える。「菩提心の本質は、しっかりと揺るぎないものである。」そして、月輪の上に五智の金剛杵を観想する。その真言は次のとおりである。

「唵底瑟姹(二合)嚩日囉(二合)」

「オン ティシャタ ヴァジュラ」

觀金剛猶如金色,放淨光明在月輪中,猶如水精內外明徹。又觀此嚩日囉(二合)廣大周法界。真言曰:

金剛杵は金色の輝きを放ち、清らかな光明が月輪の中に広がる。まるで水晶のように、内外ともに明るく澄みきっている。さらに、この金剛杵は広大であり、法界全体に満ちていると観じなさい。真言は次のとおりである。

「唵薩頗(二合)囉嚩日囉(二合)」

「オン サハラ バジュラ」

又觀嚩日囉(二合)漸漸却歛所在虛空中諸如來合同一體,量等己身而止。真言曰:

また、ヴァジュラ(二合)を観じ、次第に収斂していく。虚空にいる諸々の如来が、一つとなって同じ体となり、自分の身の大きさと等しくなってとどまる。真言は次のとおりである。

「唵僧賀囉嚩日囉(二合)」

「オン ソウガラ バジラ」

復應作是思惟:「我今此身成金剛身。」真言曰:

さらに、このように考えるべきである。「我が身は今、金剛の身となる。」と。真言は次の通り。

「唵嚩日囉(二合)怛麼(二合)俱撼」

「オン、バジュラ、ダルマ、グカン」

自知是五智金剛,則又變成本尊身。身有四臂,上二住端箭勢,下右手仰當心持金剛杵,下左手為金剛拳,安左腰側持金剛鈴,顰眉口微笑,白色,戴五佛冠,緋裙天衣,半跏坐月輪中蓮華上。即結根本印。以二手金剛拳,檀慧進力反相鉤,即是彼印。誦真言曰:

この五智金剛であると自ら知れば、そのまま本尊の姿に変わる。その身には四本の腕がある。上の二本は弓を引く形をとり、下の右手は掌を上に向けて心臓のあたりに置き金剛杵を持つ。下の左手は金剛拳を作り、左腰のあたりに置いて金剛鈴を持つ。眉をひそめ、口元には微笑みをたたえ、体は白色。五仏の冠をかぶり、緋色の裙と天衣をまとう。月輪の中の蓮華の上に半跏趺坐する。そこで根本印を結ぶ。両手で金剛拳を作り、薬指と小指、人差し指と親指をそれぞれ逆向きに絡める。これがその印である。真言を唱えて言うには、

「吒枳吽惹」

「ザキフンジャ」

以印加持心、額、喉、頂四處已,即結金剛界自在印。堅固縛,申二火,屈初分相拄,舒二風附背。真言曰:

印で心、額、喉、頭頂の四か所を加持したならば、すぐに金剛界自在の印を結びなさい。堅固に指を組み合わせ、両方の人差し指を伸ばし、その先端の第一節を曲げて互いに向かい合わせ、両方の薬指を伸ばして背に付ける。真言は次のとおりである。

「唵步欠」

「オン・ホケン」

當以印安於頂上,誦前真言。

その印を頭頂に置き、先ほどの真言を唱えなさい。

次又安額,真言曰:

次にまた、額(ひたい)に安んずる真言(しんごん)を唱えます。その真言は次の通りです。

「唵嚩日囉(二合)薩怛嚩(二合)」

「オン、ヴァジュラ、サットヴァ」

次安頂右,真言曰:

次に、頭頂に手を当てて、真言を唱えます。

「唵嚩日囉(二合)囉怛那(二合)」

「オン、バジュラ・ラトナ」

次安頂後,真言曰:

安頂(あんちょう:頭の頂上に手を置く儀式)の後、真言(しんごん:祈りの言葉)を唱えます。

「唵嚩日囉(二合)達麼」

「オン・バザラ・ダルマ」

次安頂左,真言曰:

次に、頭の左側に手を置きます。その際の真言は次の通りです。

「唵嚩日囉(二合)羯磨」

「オーン・ヴァジュラ・カルマ」

次以金剛拳當額,分向頂後,申二風三相繞,便自地輪歷展,從兩肩下為鬘帶勢。真言曰:

次に、金剛拳(こんごうけん)の印を額(ひたい)に当て、頭頂(ちょうじょう)の後ろに向かって分け、二本の風指(かぜゆび=人差し指)を伸ばして三回まわし、そのまま地輪(ちりん=薬指)の順に指を開きながら、両肩(りょうかた)の下に下ろして、花鬘(けまん)の帯(おび)を掛けるような形(かたち)にする。真言(しんごん)は次のとおりである。

「唵嚩日囉(二合)麼隷避詵者𤚥」

「オン・バザラ・マレイ・ビセンシャ・ウン」

次想唵、砧二字在二風面,唵右、砧左,出綠色光如抽藕絲。便以綠索於心上三繞,次背、臍、二膝,又却至臍,次腰後,次心,次右左兩肩,次頸次額次頂後,便如前垂天衣勢,并誦唵砧二字,次作悅喜契金剛縛三拍。真言曰:

次に、心に「オン」「チン」の二字を風面に想う。オンの字は右、チンの字は左にあり、緑色の光を放つこと、蓮の茎(藕糸)を引き出すかのようである。その緑色の縄をもって、心の上に三度巻き、次いで背、臍、両膝、再び臍に至り、次に腰の後ろ、次に心、次に左右の両肩、次に頸、次に額、次に頂の後ろに至る。そのまま先ほどの天衣を垂らす形のようにし、併せて「オン」「チン」の二字を唱える。次に喜悦の印を作り、金剛縛を三回打つ。真言は次のとおり:

「唵嚩日囉(二合)覩使也(二合)斛(引)」

「オン ヴァジュラ トゥシュヤ ホウ」

即觀淨月輪中觀斛字變為本尊,便結金剛入印。縛已,二空並入掌中。真言曰:

清らかな月輪の中に「斛」の字を観じ、それが本尊に変ずるのを観たら、すぐに金剛入の印を結びなさい。指を組み合わせたなら、両方の親指を揃えて掌の中に入れるのです。真言は次の通りです。

「唵嚩日囉(二合)薩怛嚩(二合)惡」

「オン・バジュラ・サットヴァ・アク」

又誦此真言曰:

また、この真言を唱えなさい:

「唵嚩日囉(二合)薩怛嚩(二合)涅哩(二合)捨也」

「オーン・ヴァジュラ・サットヴァ・ネーリシャヤ」

次以四印四明召入身。以前悅喜三昧耶,二火為四攝。真言曰:

次に、四つの印と四つの明を用いて、自身の中に召し入れる。先ほどの歓喜の三昧耶を用い、二つの火を四摂とする。真言は次の通りである。

「弱吽鑁斛」

「よわく、うん、ばん、こく」

前所觀者為之法身,今所觀者為之智身,相合表一體故。次應以此心供養門莊嚴世界:

先に観ずるところのものは法身とし、今観ずるところのものは智身とする。相合わせて一体を表すからである。次に、この心をもって供養の門により世界を荘厳すべきである。

壇中觀白蓮, 妙色金剛莖,
八葉具鬚蘂, 眾寶自莊嚴,
常出無量光, 百千眾蓮遶。
其上復觀想, 大覺師子座,
寶王以挍飾。 在大宮殿中,
寶柱皆行列, 遍有諸幢蓋,
珠鬘等交絡, 垂懸妙寶衣。
周匝香花雲, 及與眾寶雲,
普雨雜華等, 繽紛以嚴地,
諧韻天妙聲, 而奏諸音樂。
宮中想淨妙, 賢瓶與閼伽,
寶樹王開敷, 照以麼尼燈。
三昧總持地, 自在之婇女,
佛波羅蜜等, 菩提妙嚴華,
方便作眾妓, 歌詠妙法音。
以我功德力, 如來加持力,
及以法界力, 普供養而住。

壇の中央に白蓮を観じ、その妙なる色の金剛の茎、 八枚の花びらには蘂(しべ)を具え、あらゆる宝が自然と飾る。 常に無量の光を放ち、百千の蓮華がその周りを取り巻く。 その上にさらに観想する、大いなる覚者の獅子の座を。 宝の王が飾り立てている。大いなる宮殿の中には、 宝の柱が立ち並び、あらゆる幢(はた)や蓋(かさ)が満ちている。 珠の鬘(かずら)などが交錯し、美しい宝衣が垂れ下がる。 周囲には香りの花の雲、さらには多くの宝の雲が満ち、 さまざまな花などを広く降らせ、乱れ舞いて大地を飾る。 調和のとれた天の妙なる声で、種々の音楽を奏でる。 宮殿の中には清らかで妙なるものを想う、賢瓶(よき瓶)と閼伽(浄水)を。 宝の樹の王は花開き、摩尼の燈火で照らされる。 三昧と総持の地、自ら自在なる宮女たち、 仏の波羅蜜など、菩提の妙なる荘厳の花、 方便をもってさまざまな妓楽(芸能)を作し、妙法の音を歌い唱える。 我が功徳の力と、如来の加持の力、 さらには法界の力をもって、あまねく供養しつつ安住せん。

即誦大虛空庫明真言曰:

それでは、大いなる虚空の宝庫(くう)の光明の真言を唱えます。

「唵誐誐那三婆嚩嚩日囉(二合)斛」

「オン ガガナ サンバヴァ ヴァジュラ ホウ」

誦三遍,所生善願皆得成就。

三度唱えれば、生じる善い願いはすべて成就するでしょう。

次於壇中師子座上月輪中,觀唵字成本尊。於本尊前安麼字,為意生金剛。右安賀(引),為計里枳羅金剛。後安蘇,為愛樂金剛。左安佉,為意氣金剛。於西北隅安嚩,為意生金剛女。東北隅安日囉(二合),為計里枳黎金剛女。東南隅安薩,為愛樂金剛女。西南隅安怛嚩(二合),為意氣金剛女。東門中安弱,為色菩薩。南門中安吽,為聲菩薩。西門中安鑁,為香菩薩。北門中安斛(引),為味菩薩。外院西北角安素,為時春菩薩。東北角安囉,為時雨菩薩。東南角安多,為時秋菩薩。西南角安薩怛鑁(三合),為時冬菩薩。次於畫像心安唵字,此字兩邊安弱字成本尊,即結鉤、索、鎖、鈴等印迎請。

次に、壇の中央の獅子座の上の月輪の中で、「オーム(唵)」の字を観じて本尊とします。この本尊の前に「マ(麼)」の字を置き、意生金剛とします。右に「ハ(賀)」を置き、計里枳羅金剛とします。後ろに「ス(蘇)」を置き、愛楽金剛とします。左に「カ(佉)」を置き、意気金剛とします。西北の隅に「ヴァ(嚩)」を置き、意生金剛女とします。東北の隅に「ジャラ(日囉)」を置き、計里枳黎金剛女とします。南東の隅に「サ(薩)」を置き、愛楽金剛女とします。西南の隅に「タヴァ(怛嚩)」を置き、意気金剛女とします。東の門の中に「ジャ(弱)」を置き、色菩薩とします。南の門の中に「フーム(吽)」を置き、声菩薩とします。西の門の中に「ヴァン(鑁)」を置き、香菩薩とします。北の門の中に「ホ(斛)」を置き、味菩薩とします。外院の西北の角に「ス(素)」を置き、時春菩薩とします。東北の角に「ラ(囉)」を置き、時雨菩薩とします。南東の角に「タ(多)」を置き、時秋菩薩とします。西南の角に「サッタヴァン(薩怛鑁)」を置き、時冬菩薩とします。次に、絵像の心の部分に「オーム(唵)」の字を観じ、この字の両側に「ジャ(弱)」の字を置いて本尊とし、そして鉤・索・鎖・鈴などの印を結んで本尊を迎請します。

二手金剛拳, 地輪反相鉤,
二風各正直, 右風屈如鉤。
結已誦真言, 以右風三招,
是為金剛鉤。 即誦真言曰:

二手を金剛拳に結び、地輪(薬指)を互い違いに鉤のように絡める。 二風(人差し指)はそれぞれ真っ直ぐに立て、右の風指は曲げて鉤の形にする。 結んだなら真言を唱え、右の風指で三度招く。 これが金剛鉤である。その真言を唱えること、次の通り。

「唵嚩日囉(二合)矩勢弱」

「オーム・ヴァジュラ・クシー・チャ」

不易此前印, 二風面相合,
相蹙令如環, 是為金剛索。

不易この印、二つの風面が相合わさり、 相蹙(あいしわ)めて環の如くする、 これを金剛索と名づく。

真言曰:

真言は次のとおり。

「唵嚩日囉(二合)跛捨吽」

「オン・バザラ・パシャ・ウン」

不易於索印, 二風反相鉤,
是為金剛鎖。 即誦真言曰:

不易索印を求めず、二つの風が互いに反発し引き合う、 これを金剛鎖という。即座に真言を唱えて曰く:

「唵嚩日囉(二合)薩怖(二合)吒鑁」

「オン バザラ サボ タ ヴァン」

不改此前印, 二地及二風,
悉使面相合, 是為金剛鈴。

不改此前的印契,二地與二風,悉令面相合,是為金剛鈴。

真言曰:

真言は次のとおり。

「唵嚩日囉(二合)健吒斛」

「オーム、ヴァジュラ・カンダ・フム」

由結金剛鉤, 即便降本尊;
由金剛索印, 能引於聖者;
由金剛鎖印, 便能令止住;
由結金剛鈴, 能悅喜諸聖。

金剛鉤の印を結ぶことにより、たちまち本尊を降ろす。 金剛索の印によって、聖者を引き寄せることができる。 金剛鎖の印によって、そのまま留まらせることができる。 金剛鈴の印を結ぶことにより、諸々の聖者を喜ばせることができる。

次應獻閼伽,以金剛合掌印平側向左,與真言俱以按其器,然獻之。真言曰:

次に閼伽を捧げるべきときは、金剛合掌の印を平らに左側に向け、真言とともにその器に置いてから、それを捧げます。真言は次のとおりです。

「唵跛囉麼素佉捨也娑攞里多曩麼帶嘌娑囉弭多曩麼弭婆誐挽耽弱吽鑁斛係鉢囉(二合)底車句素漫惹悋曩託」

「オーム。パラマ・スカ・シャヤ・サーリタ・ナマデー。プラサラミタ・ナマ。ビバガヴァンタム。ジャ、フーン、バム、ホー。ケイ。プラティ・チャク。スマンジャラ・ナタ」

次以左金剛拳置腰側,右金剛拳仰當心。真言曰:

次に、左の金剛拳を腰の横に置き、右の金剛拳を心の前で上向きに当てます。真言は次のとおりです。

「斛嚩日囉(二合)薩怛鑁(三合)索囉多薩怛鑁(三合)」

「ヴァジュラサットヴァ サラタ サットヴァ」

即以金剛王印,以左拳為執弓勢,右為引箭勢,是為意生金剛印。真言曰:

即ち金剛王の印をもって、左の拳を弓を引く勢いとし、右を箭を引く勢いとする。これを意生金剛印という。真言は次の通り—

「唵嚩日囉(二合)薩怛吠(二合)吽」

「オン・バザラ・サトヴェ・フン」

次以二金剛拳右押左交臂抱胸,是為計里枳羅金剛印。真言曰:

次に、金剛拳の印を結び、右手を左手の上に重ねて、両腕を交差させて胸に抱く。これを計里枳羅金剛印という。真言は次のとおりである。

「唵嚩日囉(二合)計里吉黎」

「オン バザラ ケリキリ」

次以左金剛拳承右肘,右拳竪之如幢相,是為愛金剛印。真言曰:

次に、左の金剛拳で右の肘を受け、右の拳を幢(はた)のようにまっすぐ立てる。これが愛金剛の印である。真言は次の通り。

「唵嚩日囉(二合)儗里斛」

「オンヴァジュラギリク」

次以二拳各安腰側,是為意氣金剛印。真言曰(左顧為之):

次に、両拳をそれぞれ腰の側に当てる。これを意气金剛印という。真言は次の通りである(左を顧みて唱える):

「唵嚩日囉(二合)蘖迷呬儞」

「オン ヴァジラ ガメイ ヒニ」

次以前挽弓勢,稍向下柔軟為之,是為意生金剛女印。真言曰:

この印は、弓を引く姿から、少し下に向けて柔らかく行うものです。これが意生金剛女の印です。真言は次のとおりです。

「弱嚩日囉(二合)涅哩(二合)瑟致(二合)娑也計麼吒」

「ヴァジュラ・ニリシュティ・サヤ・ケ・マタ」

次如前抱勢,柔軟為之,是為計里金剛女印。真言曰:

次に、前の抱き締める形(前抱勢)のように、柔らかく行います。これが計里金剛女の印です。真言は次の通りです。

「吽嚩日囉(二合)計里枳㘑吽」

「うん、ばさら、けいりきり、うん」

次如前幢印,是為愛金剛女印。真言曰:

次に、前に示した幢印(とういん)のように結ぶ。これが愛金剛女(あいこんごうにょ)の印である。真言は次の通り。

「鑁嚩日囉(二合)抳薩麼(二合)囉囉吒」

「バン バザラ ニサマラ ラタ」

次如前,安二拳腰側,是為意氣金剛女印。真言曰:

次に、前のと同じように、両手の拳を腰の両側に置く。これが「意気金剛女の印」である。真言は次の通り。

「斛嚩日囉(二合)迦迷失嚩(二合)哩怛囕(二合)」

「バジュラ・カマ・シェワ・リタン」

次以嚩上散,是為時春印。真言曰:

次に、嚩上散を用いる。これが時春印である。真言は次のとおり:

「唵嚩日囉(二合)布瑟閉(二合)」

「オン ヴァジュラ プシュペー」

次二下散,是為時雨印。真言曰:

次に二つの下散(げさん)を結ぶ。これを時雨印(じういん)という。真言は次のとおりである。

「唵嚩日囉(二合)度閉」

「オン バザラ ドベ」

次以縛,以二空頭相捻,以安二目間,是為時秋金剛印。真言曰:

次に、縛(バク)の印を結び、両手の空(くう)頭を互いに合わせ、それを両目の間に置く。これを「秋金剛印」という。その真言は次のとおりである。

「唵嚩日囉(二合)路計」

「オンヴァジラ ロケイ」

次以二塗胸,是為時冬金剛印。真言曰:

次に、両手の胸を塗る印を結びます。これは「時冬金剛印」と呼ばれます。真言は次の通りです。

「唵嚩日囉(二合)巘提」

「オンヴァジュラ・ガンテイ」

次以前鉤,是為色印。真言如前(已上同前,唯女聲字為異)。

次に以前の鉤印を用いる。これが色印である。真言は先に同じ。(以上、前と同様。ただし、女声の字を用いる点のみが異なる。)

次如索,是為聲印。真言如前。次如前鎖,是為香印。次如前鈴,是為味印。

次に、先ほどの鎖のように結ぶ。これが香の印である。次に、先ほどの鈴のように結ぶ。これが味の印である。

色真言曰:

色の真言は次のとおりです。

「唵嚩日囉(二合)央句始弱」

「オン ヴァジュラ ヤクシャ ソワカ」

聲真言曰:

声の真言(マントラ)を唱えます。

「唵嚩日囉(二合)跛勢吽」

「オン、バザラ、バセイ、ウン」

香真言曰:

香の真言(マントラ)は次のとおりです。

「唵嚩日囉(二合)商迦㘑鑁」

「オンヴァジラシャンカレイヴァン」

味真言曰:

味の真言(マントラ)は、こう唱えます。

「唵嚩日囉(二合)健𪘨斛」

「オーム、ヴァジュラ・ケーンティ・フーン」

次如前金剛王印,以右拳向身旋轉,三四高聲誦真言,便能振動十方世界,一切佛菩薩加持行人,速與悉地。真言曰:

次に、前の金剛王の印の通りに、右の拳を体に向けて回し、三、四回大きな声で真言を唱えると、十方の世界が震動し、すべての仏や菩薩が修行者を加持し、速やかに成就(悉地)を与えてくださる。真言は次の通りである。

「吒抧吽若」

「タキ・フム・ニャ」

次以所舞拳安於心上,即能安慰十方世界。真言曰:

次に、舞う拳を心の上に置く。すると、たちどころに十方の世界を安らぎで満たすことができる。真言は次のとおりである。

「吽吒抧斛」

「ウンタクコク」

次結根本印,誦百字真言,或七遍或三遍或一遍。不解其印,誦本真言七遍,即頂上散印。百字真言曰:

次に根本印を結び、百字真言を誦じる。七遍でも、三遍でも、一遍でもよい。もしその印を解かずに、本真言を七遍誦じたなら、そのまま頂上で印を散ずる。百字真言とは次の通りである。

「唵嚩日囉(二合)(一)薩怛嚩(二合)三麼耶麼努播攞也(二)嚩日囉(二合)薩怛嚩(二合)底尾(二合)努播底瑟姹(二合)(二)涅哩(二合)住(茶護反)彌婆嚩(四)素覩使喻(二合)彌婆嚩(五)阿努囉訖覩(二合)彌婆嚩(六)素補使喻(二合)彌婆嚩(七)薩嚩悉朕(提寢反)彌鉢囉(二合)也瑳(八)薩嚩羯磨素者彌(九)質多室唎(二合)藥句嚧(十)吽(十一)呵呵呵呵斛(引)(十二)薄誐鑁薩嚩怛他孽多嚩日囉(二合)麼彌悶遮(十三)嚩日唎(二合)婆嚩(十四)摩訶三麼也薩怛嚩(二合)噁(引)(十五)」

「オン・バザラ・サッタ・サマヤ・マヌパラヤ・バザラ・サッタ・テイビ・ヌパティシュタ・ネイリ・ジュ・ミ・バワ・ストイ・シュ・ミ・バワ・アヌラクト・ミ・バワ・スプ・シ・ミ・バワ・サルバ・シツ・ミ・プラ・ヤチャ・サルバ・カルマ・スツ・ミ・チッタ・シリ・クル・フン・ハハハハ・ホー・バガバン・サルバ・タタガタ・バザラ・マミ・ムンチャ・バザリ・バワ・マハ・サマヤ・サッタ・アク」

次以二手捧珠頂戴,然後却至心誦,加持念珠千轉,真言七遍。真言曰:

次に、両手で数珠を捧げ持ち、頭の上にいただきます。その後、心を込めて真言を唱え、数珠を千回転させながら、真言を七回唱えます。真言は次のとおりです。

「唵嚩日囉(二合)虞呬也(二合)惹播三麼曳吽(引)」

「オンヴァジュラ グヒヤ ジャパ サマエ フーン」

次當與瑜伽所說念誦四種念中應以金剛念誦最為相應,或萬或千下至一百八遍,或過於萬,住心定數,已後一切時中取初數為定。數限畢已,復陳內外供養,奉獻閼伽求自意願。復結三世勝印及誦本真言一遍,以印左旋一匝解所結界。復結初三磨耶印置於頂上,誦金剛解脫真言,奉送聖尊及其眷屬。真言曰:

次に、ヨーガに説かれる四種の念誦のうち、金剛念誦が最もふさわしいとされる。一万回でも千回でも、最低でも百八回は唱えること。一万回を超えてもよいが、心を定めた後に、その数を基準とする。数を満たしたならば、内外の供養を整え、閼伽を捧げて自らの願いを求める。さらに三世勝印を結び、本真言を一辺唱え、印を左に一回転させて結界を解く。また、初めの三摩耶印を結んで頂上に置き、金剛解脱真言を唱えて、聖尊とその眷属を送り奉る。真言は次のとおりである。

「唵嚩日囉(二合)薩怛嚩(二合)穆」

「オン・バザラ・サットヴァ・ム」

奉送已,復結三昧耶印,誦真言加持四處,灌頂、被甲、悅喜印等。出道場已,於一切時但住大菩提心或常持大印,即於現生得成等覺,何況諸果不成就耶?唯除不利益一切有情心、捨菩提心,餘所求善願無不剋獲。

奉送が終わったならば、再び三昧耶印を結び、真言を誦して四箇所を加持し、灌頂・被甲・悦喜の印などを行う。道場を出た後は、いかなる時もただ大菩提心にとどまり、あるいは常に大印を持ち続けるならば、この現世において等覚を成就することができる。ましてや諸々の果報が成就しないことなどあろうか。ただ、一切の有情を利益しようとしない心や、菩提心を捨てる心だけは除かれる。その他の求めるところの善い願いは、成就しないものはないのである。

金剛王菩薩祕密念誦儀軌一卷

金剛王菩薩秘密念誦儀軌一卷


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