觀自在菩薩阿麼𪘨法(此云無畏又云寬廣)
観自在菩薩の阿麼𪘨法(これは無畏ともいい、また寬廣ともいう)
昔于闐國有清信士,精心持念觀自在菩薩真言,願見大聖,彌歷年歲不遂宿心,執志不易倍復精勤。後於一夕聞空中聲曰:「汝往隣國謁彼某王。」行者依言即往彼國,聞王法令非常嚴酷,有犯必刑。修行者遂謁其王,因蒙汲引,詢問所欲。白以本求,遂近入後宮,悉如佛剎土。王乃觀自在菩薩也。行者白菩薩曰:「大聖治化豈用於刑戮?大悲何在?」菩薩告曰:「此土眾生剛強難制。吾慜誘道,分身為王,所刑戮者皆化人耳,使彼獷俗畏威從風。政令若成,吾當隱矣。」行者被王留住數月,通悟大乘。後乃辭歸,默然而許。修行者白菩薩言:「弟子有幸,遇大聖慈悲,得見聞法,親沐慈化,十二秊來方獲斯驗。於未來世求見菩薩者,宿心不易,久受勤苦空無所成,疑心一起謗法獲罪。唯願慈悲,示未來法要。」菩薩告言:「我有阿麼𪘨真言章句,今受與汝。供養簡易,又時日不多。志心誦持,吾當現身滿彼所願。」修行者既蒙教誨,辭歸本國流傳。信士五天獲驗,其數非一。但依教精修,皆見菩薩。此五濁津梁,苦海艥。觀自在阿麼𪘨真言曰:
昔、于闐(ホータン)の国に一人の篤い信心の者がおりました。この人は心を込めて観自在菩薩の真言を唱え続け、菩薩のお姿を直接この目で見たいと願っておりました。しかし年月が過ぎてもその願いは叶わず、それでも志を変えることなく、さらに一層熱心に修行に励みました。
その後、ある夜のこと、天から声が聞こえてきました。「隣の国へ行き、そこの王に会いなさい。」行者はその言葉に従い、隣国へ向かいました。ところが、その国の王の統治は非常に厳格で、罪を犯せば必ず罰せられるという有様でした。行者は王に拝謁し、王に気に入られて、その望みを尋ねられました。行者が元々の願いを告げると、王は彼を後宮へ招き入れました。そこはまるで仏の浄土のように荘厳な世界でした。
この王こそ、観自在菩薩の化身だったのです。行者は菩薩に申し上げました。「大聖がこの国を治めるにあたり、どうして刑罰や殺戮を用いられるのですか。大慈悲はどこにあるのでしょうか。」すると菩薩は答えました。「この国の人々は心が頑なで、簡単には教えを受け入れない。私は彼らを哀れみ導くために、分身して王となっているのだ。私が罰している者たちは、すべて仮の姿に過ぎない。彼らの荒々しい心に畏れを抱かせ、私の教えに従わせるための方便である。統治が成り遂げられれば、私は姿を隠すだろう。」
行者は王に数ヶ月間留め置かれ、大乗の教えを深く悟りました。その後、帰国を願い出ると、王は静かにそれを許されました。行者は菩薩に申し上げました。「弟子は幸運にも大聖の慈悲に触れ、教えを聞き、その慈愛に浴することができました。しかし、十二年の長きにわたって修行し、ようやくこのご縁を得たのです。未来の世に菩薩を求める人々は、同じように志を貫いても、長い苦行の末に何も得られず、疑いの心が生じて教えを誹謗し、罪を背負うことになるでしょう。どうか慈悲をもって、未来の世の人々のための教えをお示しください。」
菩薩は告げました。「私には『阿麼𪘨真言』の教えがある。今、それをあなたに授けよう。この真言は供養が簡単で、時間もかからない。心を込めて唱え続ければ、私がその人の前に姿を現し、願いを満たしてくれるであろう。」
行者はこの教えを受けて、自国の人々に伝え広めました。この真言によって験(しるし)を得た者は数多く、教えに従って精進する者は皆、菩薩の姿を見ることができたといいます。この真言こそ、濁りの世に生きる人々を仏の救いへと導く大切な教え、苦しみの海を渡るための船なのです。
観自在阿麼𪘨真言とは、次のとおりです。
「曩謨囉怛曩怛囉夜野曩莫阿哩野嚩路枳帝濕嚩囉野冐地薩怛嚩野摩賀薩怛嚩(二合)野摩賀迦嚕抳迦野怛儞也他阿麼𪘨鉢囉麼𪘨尾麼𪘨多囉𪘨三鉢囉比野𪘨伊里寧只里寧吉里寧阿嚕賀寧儞嚕賀寧馱囉寧馱羅寧馱跛寧阿嚩多囉寧薩嚩多囉寧隸跛寧阿隸跛寧曩頗曩頗曩頗寧曩拏曩拏曩拏寧住(拏戶反)住(准上)寧娑密栗殿覩銘阿舍麼曩跛囉布哩馱寧演曩莫阿哩也嚩路枳帝濕嚩囉野娑嚩(二合)賀」
「復次若持誦此真言者,於閑淨處或阿蘭若、於舍利塔前置觀自在菩薩,隨力供養,清淨洗浴、食淨食、獨處道場,一日一夜持念達曉,大聖當見,諸願滿足、眾人愛敬、得宿命智,能證十地三昧現前。若犯五逆重罪,兩日雨宿當見。」
また、この真言を唱え持つ者は、静かで清らかな場所、あるいは山林の閑静な地で、舎利塔の前に観自在菩薩を安置し、できる限りの供養を行いなさい。身を清め洗い、清らかな食物を食べ、一人で道場にこもり、一日一夜、明け方まで真言を唱え続けるならば、大いなる聖者が現れてくださり、すべての願いが満たされ、人々から敬愛され、過去世の記憶を得る智慧を獲得するでしょう。そして、十地の境地を体得し、三昧に至ることもできるのです。たとえ五逆の重い罪を犯した者であっても、二日間、雨の中で宿るように勤行すれば、聖者が現れてくださるでしょう。
爾時彼王菩薩說是真言已,告行者言:「此真言有大神力,能滅眾生一切業障,速獲神驗,所求如意。若欲持此真言求見觀自在菩薩者,結護加持供養儀軌,並依大教蘇悉地經及金剛頂瑜伽所說次第,先須志心誦滿千遍。於清淨處、或阿蘭若、或於山林、或清淨伽藍舍利塔前,如法建立觀自在菩薩道場,置觀音像,隨其力分精誠供養。清淨澡浴、著新淨衣,慎護三業勿忘喜怒,一日一夜獨處,斷一切語,心不異緣,專想觀音心不間斷,誦此真言。燒沈水香或燒五味和香,香煙勿令斷絕。念念相續,一心求見菩薩。於壇四角各置一燒,又各置一盃香水,一者石密漿、一是淨牛乳、一是欝金香水、一是如常白檀香水。其供養,餅菓粥飯等。平旦所獻飯食,日別齋時盡須收却,送安淨處施諸烏鳥,又下新造飲食供養。至暮間准前送却,又下新造成者供養,乃至天明。日夜之中不得輒有昏沈懈怠,恐難得見。又想菩薩毫相之中有兩道光明,一道直入諸地獄中救苦眾生令得解脫;一光來入修行者頂,想遍己身眾惡諸業皆悉消除,內外清淨。如是觀想念誦,志心必見我。我當為彼現身,滿其所願。汝可受持。設有曾犯五無間重罪者,兩日兩夜精勤念誦必當得見。何況本清淨者?除不志心。無畏觀自在菩薩畫像法,一名阿麼𪘨觀自在菩薩像。如波羅密菩薩形,三目四臂,乘白師子,座頭向左膝下,首戴寶冠,以白蓮花嚴飾。前二手執鳳頭箜篌,左一手掌摩竭魚,右一手持吉祥鳥白色。左足屈在師子項上,右足垂下。嚴以天衣纓絡,通身光焰,面貌慈悲,向左諦觀。其印以二羽合,芙蓉二風如鉤當心。每至娑嚩賀字,即動其鉤。契誠心念一百八,不散印,為一坐之修行。須遣助伴持珠記數,如此一日三時並如此儀軌。」
その時、王であり菩薩である彼はこの真言を説き終え、行者に告げた。「この真言には大いなる神力が宿り、衆生の一切の業の障りを滅し、速やかに神験を得て、求めるままに叶うことができる。この真言を持ち、観自在菩薩に逢いたいと願うならば、結護・加持・供養の儀軌は、大教蘇悉地経および金剛頂瑜伽に説かれる次第に従い、まず心を込めて千遍誦え。清らかな場所、あるいは阿蘭若、あるいは山林、あるいは清らかな伽藍の舍利塔の前において、如法に観自在菩薩の道場を建立し、観音像を安置し、力の及ぶ限り誠を尽くして供養せよ。身を清め澡浴し、新しい清らかな衣をまとい、身口意の三業を慎み、喜怒に心を奪われぬようにせよ。一日一夜、独りで過ごし、一切の言葉を断ち、心を他の縁に向けず、専ら観音を想い、心を絶え間なく続けて、この真言を誦え。沈水香を焚くか、あるいは五味を調合した香を焚き、香煙を絶えさせてはならない。念念相続して、一心に菩薩に逢わんと願え。壇の四隅にはそれぞれ一つの焼香を置き、またそれぞれ一杯の香水を置け。一つは石蜜漿、一つは清らかな牛乳、一つは欝金香水、一つは常の白檀香水である。その供養には、餅・菓子・粥・飯などを用いる。明け方に供えた食物は、斎時のたびごとにすべて下げて、清らかな場所に送って鳥や烏に施し、また新たに作った飲食を供養せよ。夕暮れにも同様に下げて、また新たに作ったものを供養し、明け方に至るまでせよ。日夜のうちに、決して眠気や懈怠に陥ってはならない。そうすれば会えるであろうが、怠れば会い難い。また、菩薩の眉間の白毫の中に二筋の光明があると想え。一筋は諸々の地獄にまっすぐ入り、苦しむ衆生を救って解脱させ、もう一筋は修行者の頂に入り、己の身に遍じて、あらゆる悪い業がすべて消え去り、内外が清らかになると想え。このように観想し念誦すれば、心を込めるならば必ず我に逢えるであろう。我はその者のために身を現し、その願いを満たすであろう。汝はこの教えを受け持て。たとえ五無間の重罪を犯した者でも、二日二晩、精進して念誦すれば必ず逢えるであろう。ましてや本来清らかな者はなおさらである。ただ、心を込めない者には逢えない。無畏観自在菩薩の画像法、別名を阿麼𪘨観自在菩薩像という。波羅密菩薩の形のようで、三つの目と四つの臂を持ち、白い獅子に乗る。座して頭は左の膝下に向き、宝冠をいただき、白蓮華で飾る。前の二手は鳳頭箜篌を持ち、左の一手は摩竭魚を持ち、右の一手は吉祥鳥の白色を持つ。左足は獅子の首の上に屈し、右足は垂らす。天衣と瓔珞で飾り、全身に光焔を放ち、面貌は慈悲に満ち、左を向いてじっと見つめる。その印は、両手を合わせて、蓮の花のようにし、二本の風指(人差し指)を鉤のようにして心の前に置く。娑嚩賀の字のたびごとに、その鉤を動かす。誠の心で一百八遍念誦し、印を解かずに、一座の修行とする。助伴に数珠を持たせて数を記させよ。このように一日三時、すべてこの儀軌に従え。」
觀自在菩薩阿麼𪘨法
観自在菩薩阿麼𪘨法