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  1. 阿闍世王授決経 (阿闍世王授決經)
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阿闍世王授決経 (阿闍世王授決經)

「阿闍世王授決經」について

西晋 · 底本の訳者:法炬

1,611 字 · 約 5 分

西晋の法炬法師が漢訳した『阿闍世王授決経』は、大乗仏教の重要な経典の一つです。この経典は、阿闍世王が父を殺すという重罪を犯しながらも、ひたむきな懺悔と仏陀の教えによって、最終的に成仏の授記を得るまでの因縁を説いています。経文は、仏教の慈悲による救済、業の転換、すべての衆生が仏となりうるという核心的な教義を重点的に明らかにし、特に懺悔の法門の優れた功徳を際立たせています。この経典は、修行者に業障を消す実践の根拠を与えるだけでなく、漢伝仏教において深遠な影響を持ち、罪の本性は空であり覚りは平等であるという理を説く際に、しばしば引用されてきました。


阿闍世王授決經

阿闍世王授決経

西晉沙門釋法炬譯

西晉 沙門 釋法炬 訳

聞如是:

このように私は聞きました。

一時,佛在羅閱祇國耆闍崛山中。

ある時、お釈迦様はラージャグリハの町、霊鷲山(りょうじゅせん)におられました。

時阿闍世王請佛,飯食已訖,佛還祇洹。王與祇婆議曰:「今日請佛,佛飯已竟,更復所宜?」祇婆言:「惟多然燈也。」於是王乃勅具百斛麻油膏,從宮門至祇洹精舍。

時に阿闍世王は仏陀を招き、食事をお供し終えた。仏陀が祇園精舎に戻られた後、王は耆婆と相談して言った。「今日、仏陀をお招きし、食事も終えたが、さらに何かするべきことはあるだろうか?」 耆婆が答えた。「多くの灯明を灯すのがよいでしょう。」 そこで王は命じて、百斛(約十石)のごま油を用意させ、宮殿の門から祇園精舎に至るまで灯明を灯させた。

時有貧窮老母,常有至心欲供養佛而無資財,見王作此功德乃更感激,行乞得兩錢,以至麻油家買膏。膏主曰:「母人大貧窮,乞得兩錢,何不買食以自連繼,用此膏為?」

ある時、貧しい老いた母がいました。心から仏に供養したいと願いながらも、資財がありませんでした。王様がこのような功徳を積むのを見て、さらに感激し、物乞いをして二銭を得ました。そこで胡麻油を買いに油屋に行きました。油屋の主人が言いました。「お母さん、あなたはとても貧しく、やっと二銭を乞い得たのです。なぜ食べ物を買って命をつなごうとせず、この油を買うのですか?」

母曰:「我聞佛生難值,百劫一遇。我幸逢佛世而無供養,今日見王作大功德,巍巍無量,激起我意,雖實貧窮故欲然一燈,為後世根本者也。」於是膏主知其至意,與兩錢膏應得二合,特益三合凡得五合。母則往,當佛前然之。心計此膏不足半夕,乃自誓言:「若我後世得道如佛,膏當通夕光明不消。」作禮而去。

母は言った。「私は聞きました。仏がこの世に生まれることは非常に稀で、百劫に一度お会いできるかどうかということです。私は幸運にも仏の世に出会いながら、供養をすることができませんでした。今日、王様がこのような計り知れない大きな功徳を積まれるのを見て、私の心は奮い立ちました。本当に貧しくはありますが、一燈を灯して、後世のよりどころとしたいのです。」 そこで膏の主は彼女の真剣な思いを知り、二銭で通常二合(約360ml)の油を与えるところを、特別に三合を足し、合わせて五合(約900ml)を渡しました。母はそれを持って仏の前に赴き、灯を灯しました。心の中で、この油では半晩も持たないだろうと思い、自ら誓いました。「もし私が後世に仏のように悟りを得ることができれば、この灯明が一晩中消えずに輝き続けますように。」そう言って礼拝し、立ち去りました。

王所然燈或滅,或盡,雖有人侍,恒不周匝;老母所然一燈,光明特朗殊勝諸燈,通夕不滅膏又不盡。至明朝旦,母復來前頭面作禮,叉手却住。

王が灯した灯明は、消えたり尽きたりしてしまい、何人かの者が世話をしても、いつも十分ではなく隅々まで行き届きませんでした。しかし、老母が灯した一つの灯明は、その光が明らかに輝き、他のすべての灯明よりも優れており、一晩中消えることなく、油も尽きることがありませんでした。

翌朝になって、老母は再びその場に来て、ひざまずいて頭を地につけて礼拝し、両手を合わせて控えて立ちました。

佛告目連:「天今已曉,可滅諸燈。」目連承教,以次滅諸燈,燈皆已滅,惟此母一燈三滅不滅,便舉袈裟以扇之,燈光益明;乃以威神引隨藍風以次吹燈,老母燈更盛猛,乃上照梵天,傍照三千世界,悉見其光。

仏が目連に告げられた。「夜が明けたので、灯明を消しなさい。」目連は教えに従い、順に灯明を消していった。他の灯明はすべて消えたが、あの老婆の一灯だけは、三度消しても消えなかった。そこで袈裟を振って扇いだが、灯明の光はますます明るくなるばかり。さらに神力によって激しい風を起こして吹き消そうとしたが、老婆の灯明はますます盛んに燃え上がり、ついには梵天の世界にまで達し、周囲の三千世界をも照らし出し、その光はすべてに見渡された。

佛告目連:「止!止!此當來佛之光明功德,非汝威神所毀滅。此母宿命供養百八十億佛已,從前佛受決,務以經法教授開化人民,未暇修檀,故今貧窮無有財寶。却後三十劫,功德成滿當得作佛,號曰須彌燈光如來,至真,世界無有日月,人民身中皆有大光,宮室眾寶光明相照,如忉利天上。」

仏は目連に告げられた。「やめなさい、やめなさい。この未来の仏の光明の功徳は、あなたの神通力で消し去ることのできるものではありません。この母は過去世において180億もの仏に供養を捧げ、以前の仏から授記を受けました。そしてひたすら経典の教えで人々を教え導き、悟りへと導くことに努めてきましたが、布施の修行にまで手が回らなかったのです。そのため、今は貧しく財宝を持っていません。しかし、この先30劫の後には、功徳が成就し満ち足りて、必ず仏となるでしょう。その名を須弥燈光如来といいます。その世界には日月はなく、人々の体内に大きな光があり、宮殿や様々な宝の光が互いに照らし合って、あたかも忉利天の上のようなのです。」

老母聞決歡喜,即時輕舉身昇虛空,去地百八十丈,來下頭面作禮而去。

老母はこの教えを聞いて大いに喜び、たちまち身を軽やかにして虚空に昇り、地上百八十丈(約540メートル)の高さに達した。その後、降りてきて頭を地につけて礼をし、去っていった。

王聞之,問祇婆曰:「我作功德巍巍如此,而佛不與我決;此母然一燈,便受決。何以爾也?」

王がこれを聞いて、耆婆(ぎば)に尋ねました。 「私はこのように大きな功徳を積んだのに、仏様は私に授記(未来に仏になるという予言)を与えてくださらない。ところが、あの母親がたった一灯を灯しただけで、授記を得たのは、どうしてなのでしょうか?」

祇婆曰:「王所作雖多,心不專一,不如此母注心於佛也。」乃更往請佛。宿勅諸園監,各令晨採好華,早送入宮至中。

祇婆が言った。「王様がなさることは多いけれど、心が一つのことに向かっていません。それに比べて、あの母親が仏に心を注ぐ様子には及びません。」

そこで再び、仏のもとへ参ろうと出かけた。前もって庭の管理者たちに命じて、それぞれ朝早くに良い花を摘ませ、昼までに宮中に届けさせた。

佛便晨出祇洹,徐徐緩行,隨道為人民說法,投日中至宮。有一園監持華適出園巷,正與佛會於大道之衢,聞佛說經一心歡喜,即以所持華悉散佛上,花皆住於空中當佛頭上。佛即授決曰:「汝已供養九十億佛,却後百四十劫汝當為佛,號曰覺華如來。」其人歡喜,即時輕舉身昇虛空,來下作禮畢,即更自念:「我王為人性大嚴急,故宿勅我齋戒,將華當以供佛,而我悉自以上佛,空手而往,必當殺我。」便徑歸家,置空華箱於戶外,入告婦言:「我朝來未食,王今當殺我,急為具食。」

仏は朝、祇園精舎を出て、ゆっくりと歩みながら道すがら人々に説法し、日が中天に至るころに王宮に到着された。そこである園監が花を持って園の小道から出てきたところ、大通りで仏と出会った。彼は仏の説法を聞いて一心に歓喜し、持っていた花をすべて仏の上に撒いた。すると花はすべて空中に留まり、仏の頭上にあった。仏は即座に彼に授記して言われた。「あなたはすでに九十億の仏に供養した。今後百四十劫を過ぎて、あなたは仏となるであろう。その名を覚華如来と称する。」その人は喜び、たちまち軽やかに身を虚空に浮かべ、降りてきて礼を尽くした後、こう思った。「我が王は気性が非常に厳しく激しい。だから前もって私に斎戒を命じ、花を仏に捧げるようにと言われたのに、私はすべて自らの手で仏に捧げてしまった。空手で戻れば、必ずや殺されるだろう。」そこで彼はすぐに家に帰り、空の花籠を戸外に置き、妻に告げて言った。「私は今朝まだ食事をとっていない。王は今まさに私を殺そうとしている。急いで食事を用意してくれ。」

婦聞大惶,懅曰:「王何故相殺?」便為婦本末說之。婦即出,至竈下具食,天帝釋便以天華滿空箱中。婦持食還,見戶外箱中華滿如故,光色非凡,即以告夫。夫出戶視,知是天花,心大歡喜,止不復食便持華入。

妻はこれを聞いて大いに驚き恐れ、「王様がなぜ私を殺そうとするのですか」と言った。夫は妻に事の次第を詳しく語った。妻はすぐに出て行き、かまどの下で食事を用意した。すると帝釈天は天の花で空の箱をいっぱいにした。妻が食事を持ち帰ると、戸外の箱には以前と同じように花が満ちており、その光と色は並々ならぬものだった。そこで夫にそのことを告げた。夫は戸外に出て見て、それが天の花であると知り、心から大いに喜び、食べるのをやめてその花を手に持ち家の中に入った。

王適出迎佛,道與王相逢。王見華大好,世間希有,即問監曰:「我園中大有此好華乃爾,而汝前後不送上,汝罪應死,寧知之不?」

王が外に出て仏を迎えようとしたところ、途中で仏と出会いました。王はその花が非常に美しく、世にも珍しいものだと見て、すぐに監守(かんしゅ)に問いました。「私の庭園にはこのような素晴らしい花がたくさんあるのに、お前は一度も差し出さなかった。お前の罪は死に値する。それを知っているか?」

監曰:「大王!園中無有此華。臣朝早將園華道路逢佛,不勝歡喜,盡以上佛,即授與我決。知當殺故,過家索食,比其頃出視空箱中,復見此華。必是天華,非園所有。今我生既卑賤,為王守園,拘制縣官不得行道;一已授決,正爾而死,必生天上,十方佛前無所拘制,可得恣意行道。王若相殺,我無所在也。」

監が申し上げました。「大王よ、園内にはこのような花はありません。私は今朝早く、園の花を捧げようと道を進んでいたところ、お釈迦様にお遇いしました。その喜びに堪えず、すべての花を捧げましたところ、私に成仏の予言を授けてくださいました。殺される運命にあると知りながら、家に立ち寄って食事を求め、その間に振り返ると、空の箱の中に再びこの花が現れていました。これはきっと天の花であり、園のものではございません。今、私は生まれつき賤しく、王の園を守る身として、官命に縛られて修行の道を歩むことができません。しかし、ひとたび予言を授かった以上、そのまま死に至ろうとも、必ずや天に生まれ、十方の仏の御前で何の束縛もなく、思うままに修行の道を歩むことができるでしょう。王が私をお殺しになっても、私にはどこにも居場所などございません。」

王聞授決,便生慚怖,肅然毛竪,即起作禮,長跪懺悔。佛至宮,飯食已訖,呪願而去。

王がこの授記を聞いて、深く恥じ入り恐れ、身の毛がよだつような思いで、ただちに立ち上がって礼拝し、ひざまずいて懺悔しました。仏は宮殿に赴かれ、食事が終わると、祝福の祈りを唱えてからお帰りになりました。

王復問祇婆曰:「我前請佛,而老母受決;今日設福,而園監受決;我獨何故初無所獲?心甚於悒,當復宜作何等功德耶?」

ここで王は再び耆婆(ぎば)に尋ねました。「私は以前、仏陀をお招きしたが、あの老女が悟りの予言を受けた。今日は布施の功徳を積んだが、庭番がその予言を受けた。なぜ私だけには何の果報もないのか。心がひどく沈んでしまう。いったい、どのような功徳を積めばよいのだろうか?」

祇婆曰:「王雖頻日設福,但用國藏之財,使人民之力,心或貢高,意或瞋恚,故未得決。今宜割損身中自供之具,并脫瓔珞七寶珠環以作寶華,當與夫人,太子併力合掌,自就功勤一心上佛,佛照王至誠必得決也。」

祇婆が言いました。「王様は毎日のように福徳を積まれていますが、それは国の財産を使い、人民の力を借りているに過ぎません。心に高ぶりや怒りがあるかもしれません。それゆえ、まだ授記を得られないのです。今、どうか王様ご自身の身に備えた供養の品々を削って惜しまず、さらに瓔珞や七宝の珠や輪宝をはずして宝華を作り、皇后様や太子様と力を合わせ、手を合わせて心を一つにし、みずから精進して仏様に捧げなさい。そうすれば仏様は王様の至誠をお見通しになり、必ず授記を下さるでしょう。」

於是王減徹廚膳,晝夜齋戒,脫身上諸寶,合聚諸師曰前作華,王及夫人,太子皆自著手,至九十日所作悉成,勅外駕當往上佛。傍臣白言:「聞佛前到鳩夷那竭國,已般泥洹也。」

そこで王は食事を質素にし、昼夜斎戒に励みました。身につけていたあらゆる宝飾を外し、すべての師たちを集めて「前に造った花を持ってこさせよ」と言いました。王と妃、太子は自らの手で花を飾りつけ、九十日を経てすべてが完成しました。そこで王は外の者に車の用意を命じ、「これから仏のもとへ参ろう」と言いました。すると側近の臣が申し上げました。「お聞きしたところによれば、仏は先に鳩夷那竭国にお着きになり、すでに般泥洹(完全なる涅槃)に入られました。」

王聞心大悲號,涕淚哽咽曰:「我故至心手作此華,佛雖般泥洹,我故當齎詣耆闍崛山,以上佛坐處,展馳我意也。」

王はその言葉を聞いて、心から大いに悲しみ、涙を流してむせび泣きながら言った。 「私は心を込めてこの花を作った。仏はすでに涅槃に入られたが、私はなおもこれを耆闍崛山に持って行き、仏の座所に捧げて、私の思いを届けたい。」

祇婆曰:「佛者,無身亦無泥洹,亦不常住無滅無在;惟至心者為得見佛,佛雖在世間,無至心者為不見佛。大王至誠乃爾,佛雖般泥洹,往必見佛。」

祇婆が言いました。「仏には身体もなく、涅槃もなく、常住もなく、消滅もなく、どこかに存在するわけでもありません。真心を持つ者のみが仏を見ることができるのです。たとえ仏が世の中にいらっしゃっても、真心のない者には仏は見えません。大王はそのように誠実でいらっしゃるので、たとえ仏が涅槃に入られても、お参りすれば必ずお会いできるでしょう。」

便至耆闍崛山中,見佛且悲且喜,垂淚而進,頭面作禮,以七寶華前散佛上,華皆住空中,化成寶蓋正當佛上,佛便授與王決曰:「却後八萬劫,劫名喜觀,王當為佛,佛號淨其所部如來,剎土名華王,時人民壽四十小劫。」

そこで王は耆闍崛山に赴き、仏を拝見して悲しみと喜びが入り混じり、涙を流しながら進み、額を地面につけて礼をした。七宝の花を仏の前に散りばめると、花はすべて空中に留まり、宝の蓋となって仏の真上に現れた。すると仏は王に授記(未来の成仏を約束する宣言)を与えて言われた。「あなたは今から八万劫後、劫の名を喜観といい、その時にあなたは仏となる。称号を浄其所部如来といい、その国の名を華王といい、その時、人々の寿命は四十小劫である。」

阿闍世王太子,名旃陀和利,時年八歲,見父授決甚大歡喜,即脫身上眾寶以散佛上曰:「願淨其所部作佛時,我作金輪聖王得供養佛,佛般泥洹後,我當承續為佛。」其所散寶,化為交露帳,正覆佛上。

阿闍世王の太子、旃陀和利という名の子は、当時八歳でしたが、父王が仏から将来の成仏の予言を受けるのを見て、たいそう喜びました。そして即座に身につけていた様々な宝飾品を脱いで、仏の上に散布してこう言いました。「どうか、あなた様がお治めになる世界が清らかになりますように。そして、あなた様が仏になられる時、私は金輪聖王となって、仏をご供養いたします。仏が涅槃に入られた後は、私がその教えを引き継いで仏となりましょう。」この時、彼が撒いた宝飾品は、たちまち美しい垂れ幕の飾りに変わり、ちょうど仏の頭上を覆いました。

佛言:「必如汝願,王為佛時,必當作金輪聖王,壽終便上生兜率,天上壽盡便下作佛,在藥王剎土教授,佛號栴檀,人民壽命、國土所有,皆如淨其所部。」

仏は言われた。「必ず汝の願いの通りになるだろう。王が仏になるとき、必ず金輪聖王となり、寿命が尽きれば兜率天に生まれ変わる。天上での寿命が終われば、下って仏となり、薬王の浄土で教えを説く。その仏の名は栴檀という。人々の寿命や国土にあるものはすべて、浄まれたその領域の通りとなるであろう。」

佛時授決適竟,王及旃陀和利前為佛作禮,便㸌然不見佛所在。

仏が授記を終えられたちょうどその時、王と旃陀和利は仏の前に進み出て礼拝しました。すると、たちまち仏の姿が見えなくなりました。

阿闍世王授決經

阿闍世王授決経


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