聖節
欽遇
聖節。必先啟建金剛無量壽道場。一月日僧行不給假示敬也。啟建之先一日。堂司備榜。張于三門之右及上殿經單(式見後)俱用黃紙書。之。輪差僧簿依戒次。各書雙字名。維那先五日袖紙帶堂司行者。詣書記(寮通報書記出接。維那觸禮)一拜稟云(啟建聖節煩製疏語。如書記缺則書狀侍者代之。俱缺則用現成疏語。見後)書記製畢。具草先呈住持。親送堂司。觸禮一拜答先禮也。維那用黃紙書疏。帶行僕。捧盤袱爐燭香合。上方丈請住持僉疏。炷香觸禮一拜稟云(啟建聖節請和尚僉疏)僉訖。行者就覆住持。來早殿上啟建諷經。仍報諸寮掛諷經牌。燒香侍者覆住持。來早上堂至五更。住持行香回。再覆粥罷。上堂令客頭掛上堂牌。維那於僧堂。早粥遍食椎後。再鳴椎一下云(白大眾。粥罷聞鐘聲。各具威儀。詣大佛寶殿。啟建天壽聖節謹白)復鳴椎一下。往住持前問訊。從首座板起巡堂一匝。出外堂下間至上間。歸內堂中間。問訊而出。粥後少停。待大殿排香燭茶湯鐃鈸手爐俱辦。堂司行者報方丈客頭。先覆住持。次覆侍者。鳴方丈板三下鳴鼓。堂司行者預鳴眾寮前板三下。集眾坐堂。如尋常坐禪向內坐。鼓鳴則轉身向外坐。頭首先集堂外候鼓鳴。即入堂。首座後入就坐。西堂勤舊蒙堂諸寮並外堂坐。住持於鼓初鳴。出寢堂坐。侍者問訊東立。行者問訊西立。轉鼓侍者往法座左側立候眾集。頭首下床。聖僧前問訊領眾出堂。至法座前。列一行問訊歸西序立。大眾雁列于後。若不候頭首至。先自立定非法也。其行堂亦於鼓鳴時鳴板三下。參頭領眾行者。列庫堂前相對排立。候轉鼓。知事出則問訊隨其後。待西序歸位畢。亦列一行。座前問訊。上首居後。都寺引歸東序立定。眾行者列知事後。稍離遠立。侍侍者入請住持出。行者問訊。住持至法座前。行者趲近知事後立。冬月則眾去帽問訊。住持和南登座。侍者隨上法座。以香合蓋盛香捧上。住持拈香祝壽畢。侍者接香。以左手插爐中右手拈從香一炷。略問訊下座歸班。待住持斂衣趺坐。侍者先末班。引過座下。列一行問訊。燒香侍者引班歸位。次首座領班出。列座前問訊。大眾同問訊。知事轉班列座前問訊。行者隨問訊。西堂東堂出座下問訊。侍者登座。左手上香轉身提坐具問訊(謂之代眾請法)退立座側問答罷。陳白事意云(某月某日欽遇天壽聖節。某寺預於某月某日。啟建金剛無量壽道場。一月日逐日輪僧上殿。披閱金文。今辰開啟。住持臣僧某。陞于此座舉揚聖諦第一義。所集洪因端為祝延聖壽萬安者)說法竟。白云(下座。各具威儀詣大佛殿啟建天壽聖節。謹白)此日座下雖有官員。亦不得敘謝。蓋尊君也。鳴大鍾及僧堂前鐘。集眾列殿上向佛排立。住持上茶湯。上首知事遞上。燒香侍者就佛座前。下茶湯畢。住持歸位立定。行者鳴鈸維那轉身爐前。揖住持上香。燒香侍者捧香合。次東堂西堂出班上香(如有大方諸山住持偶至者。令侍者請。於兩序前上香)次兩序對出向佛問訊。上香畢。兩兩相朝轉身歸位。大眾同展三拜。兩序分班對立。住持就跪。知客跪進手爐。侍者跪進香合。維那白佛宣疏畢。知客跪接爐。住持收坐具。維那舉楞嚴呪。回向云。(諷誦祕章。所萃洪因。端為祝延今上皇帝聖壽萬安。金剛無量壽佛云云)眾散。每日堂司行者將輪差僧簿。須預先一日請住持頭首眾僧。各書雙字名僉押。量眾多少。依戒具寫差單。排定日分周而復始。仍列經目。對揭殿內柱上。至日各務嚴肅。鳴大鍾上殿。當次僧員須具威儀。香合禮佛歸位看經。庫司嚴設香燭。備點心。維那燒香點湯照拂。至晚鳴大鍾下殿。堂司行者直殿行者。常加伺候。毋令怠慢。如官員入山拈香。鳴鍾集眾。諷無量壽呪。舉藥師號畢。回向云(某處某官入山拜手拈香。僧眾諷誦祕章。所萃洪因。端為祝延今上皇帝聖壽萬安。金剛無量壽云云)節內遇三八日。佛殿念誦。至日齋罷。堂司行者覆住持兩序諸寮。掛念誦牌報眾。參前巡廊鳴板。集眾向佛排立。住持至鳴大板三下。次鳴大鐘。燒香歸位。維那出班。念誦云(皇風永扇帝道遐昌。佛日增輝法輪常轉。為如上緣。念清淨法身毘盧遮那佛。十號訖回向云。上來念誦所集洪因。端為祝延今上皇帝聖壽萬安。金剛無量壽云云)鳴僧堂前鐘三下。大眾問訊而散。或住持赴郡縣都道場所歸時。鳴鐘集眾門迎詣方丈問訊。
聖節(天子の誕生日)には、必ずまず「金剛無量寿道場」を建立します。一ヶ月間、僧侶は交代で参拝し、休暇は与えられず、敬意を示します。
道場建立の前日、堂司(行事担当)が掲示を用意し、三門(山門)の右側と上殿(本堂)の経典リスト(様式は後述)に貼り出します。いずれも黄紙に書きます。僧侶の当番簿を輪番で作成し、戒律の順序に従い、各僧の二字の法名を記入します。
維那(寺院の綱紀・行事責任者)は、五日前に紙を懐に持ち、堂司の行者を伴って書記(の部屋を訪れ、書記が出迎えると、維那は礼拝する)のところへ行き、一礼して申し上げます。(「聖節の建立に際し、疏(願文)の作成を煩わせます」と。書記が不在の場合は、書状侍者が代行します。両方とも不在の場合は、既成の疏を用います。様式は後述)書記が疏を作成し終えたら、草稿をまず住持に提出し、自ら堂司に届け、礼拝一礼して先の礼に答えます。
維那は黄紙に疏を清書し、従者を連れ、盆・袱紗・香炉・蝋燭・香合を捧げ持ち、方丈(住持の居室)へ上り、住持に疏への署名(僉疏)を請います。香を焚き、礼拝一礼して申し上げます。(「聖節建立に際し、和尚様に疏への署名をお願いします」)署名が終わると、行者が住持に報告します。「明朝、殿上(本堂)で建立の読経を始めます」と。引き続き諸寮(各部門)に、読経の札を掲げるよう知らせます。
焼香侍者が住持に報告します。「明朝、上堂(法堂での説法)があり、五更(午前4時頃)に行います」と。住持が行香(焼香巡り)から戻られたら、再び報告します。「粥の時間が終わりました。上堂のため、客頭に上堂の札を掲げさせます」と。
維那は僧堂で、早粥が全員に行き渡り、槌(信号の木)を鳴らした後、もう一度槌を一下鳴らして言います。(「大衆に申し上げます。粥が終わり鐘の音が聞こえたら、各自威儀を整え、大仏宝殿へ赴き、天寿聖節(天子の長寿を祝う儀式)を建立いたします。謹んでお知らせします」)再び槌を一下鳴らし、住持の前へ行き問訊(軽い礼)し、首座の席から板を鳴らして巡堂(僧堂内を巡る)一週し、外堂の下間から上間へ、内堂の中央へ帰り、問訊して出ます。
粥の後、少し待ち、大殿(本堂)の香・蝋燭・茶湯・鐃鈸(シンバル)・手炉の準備が全て整うのを待ちます。堂司行者が方丈の客頭に報告し、まず住持に、次に侍者に報告します。方丈の板を三下鳴らし、鼓を鳴らします。堂司行者は予め衆寮(僧侶の居室)前の板を三下鳴らし、大衆を集めて坐堂(座禅堂に座る)させます。普段の坐禅のように内側(壁側)を向いて座り、鼓が鳴ると外側(中央)を向いて座ります。頭首(上座僧)らはまず堂外に集まり、鼓の音を待ち、鼓が鳴ると堂内に入ります。首座は最後に入り着座します。西堂・勤旧・蒙堂・諸寮の僧侶および外堂の者も座ります。
住持は、鼓が鳴り始めると、寝堂から出て座ります。侍者は問訊して東側に立ち、行者は問訊して西側に立ちます。転鼓(鼓の合図)の時、侍者は法座の左側に立って大衆の集合を待ちます。頭首らは床(座席)から下り、聖僧(文殊菩薩など)の前で問訊し、大衆を率いて堂を出ます。法座の前で一列に並び問訊し、西序(西側の列)の位置に帰って立ちます。大衆はその後ろに雁行状に並びます。もし頭首が到着するのを待たず、先に自分で立って定まるのは作法に反します。
行堂(食事担当)も、鼓が鳴った時に板を三下鳴らします。参頭が行者衆を率い、庫堂(庫院の堂)の前に向かい合って整列させます。転鼓を待ち、知事(執事僧)が出てきたら問訊し、その後について行きます。西序が各自の位置に帰り終わったら、やはり一列に並び、法座前で問訊します。上首(上位の僧)は後ろに居ます。都寺が東序(東側の列)の位置に導き、立って定まります。行者衆は知事の後ろに列を作り、少し離れて立ちます。
侍侍者が入り、住持をお出しします。行者は問訊します。住持が法座の前に至ると、行者は知事の後ろに近づいて立ちます。冬は大衆が帽子を脱いで問訊します。住持が合掌礼拝(和南)して登座します。侍者は住持に従って法座に上り、香合の蓋に香を盛って捧げ上げます。住持が香を拈じ、天子の長寿を祈願し終えると、侍者が香を受け取り、左手で香炉に挿し、右手でもう一炷の香を拈じ、軽く問訊して座から下り、列に帰ります。
住持が衣を整え結跏趺坐するのを待ち、侍者はまず末班(最後尾)から、法座の下を通り過ぎるように導き、一列に並んで問訊します。焼香侍者が列を導いて各自の位置に帰します。次に首座が列を率いて出て、法座の前に並び問訊します。大衆も一緒に問訊します。知事が列を回し、法座の前に並び問訊します。行者もそれに従って問訊します。西堂・東堂が出て、法座の下で問訊します。
侍者が法座に登り、左手で香を上げ、身を転じて坐具(礼拝用敷物)を提げて問訊((これを「衆に代わって法を請う」という))し、退いて法座の側に立ちます。問答が終わると、事の次第を述べます。(「某月某日、天子の天寿聖節に遇い奉り、某寺は予め某月某日に、金剛無量寿道場を建立し、一ヶ月間毎日僧侶を輪番で上殿させ、金文(経典)を披閲(読み上げ)します。本日開扉(開始)いたします。住持臣僧某、此の座に昇り、聖諦第一義(最高の真理)を挙揚いたします。集められた広大な功徳は、まさに天子の聖寿万安を祝延(祈願)するためであります」)
説法が終わると、言います。(「下座します。各自威儀を整え、大仏殿へ赴き、天寿聖節を建立いたします。謹んでお知らせします」)この日、法座の下にたとえ官員(役人)が居ても、礼の言葉を述べてはなりません。君主を尊ぶためです。
大鐘および僧堂前の鐘を鳴らし、大衆を集めて殿上(本堂)に仏に向かって整列させます。住持が茶湯を献じ、上首・知事が順に献じます。焼香侍者が仏座の前で、茶湯を下げ終えます。住持が自分の位置に帰り、立って定まります。行者が鈸(シンバル)を鳴らし、維那が身を転じて香炉の前に出て、住持に揖(拱手の礼)して香を上げるよう促します。焼香侍者が香合を捧げ持ちます。
次に東堂・西堂が列を出て香を上げます。((もしも他山の大寺院の住持などがたまたま来られた場合は、侍者に請わせ、両序(東西の列)の前で香を上げさせます))次に両序が向かい合って出て、仏に向かって問訊し、香を上げます。香上げが終わると、両両相対して身を転じ、各自の位置に帰ります。大衆一同、三拜を展べます(三回礼拝します)。両序が分かれて班を作り向かい合って立ちます。
住持が跪きます。知客が跪いて手炉を進め、侍者が跪いて香合を進めます。維那が仏前に白(申し上げ)て疏を宣読し終えます。知客が跪いて炉を受け取り、住持が坐具を収めます。維那が楞厳呪を挙げ、回向(功德を振り向ける祈り)をします。(「秘章(経典)を諷誦し、集められた広大な功徳は、まさに今上皇帝の聖寿万安を祝延するためであります。金剛無量寿仏云々」)大衆は散会します。
毎日、堂司行者が輪差僧簿(当番僧簿)を持ち、必ず予め前日に住持・頭首・衆僧の元へ赴き、各僧に二字の法名を書いて署名(僉押)してもらいます。大衆の人数に応じて、戒律の順序に従って差単(当番表)を書き、日付を割り振り、一周したらまた始めます。さらに経典の目録を列記し、対応するものを殿内の柱に向かい合わせて掲示します。
当日は各自、厳粛に務めます。大鐘を鳴らして上殿します。当番の僧侶は威儀を整え、香合を持ち礼仏し、自分の位置に帰って経典を見ます。庫司は厳かに香燭を設え、点心(軽食)を準備します。維那は香を焚き、点湯(湯を点てる)し、様子を見て世話をします。夕方、大鐘を鳴らして下殿します。堂司行者と直殿(殿内当番)行者は、常に伺候し、怠慢がないようにします。
もし官員が入山(寺院に参詣)して香を拈じる場合は、鐘を鳴らして大衆を集め、無量寿呪を諷誦し、薬師如来の名号を挙げ終えてから、回向します。(「某処某官、入山拜手(礼拝)して香を拈じます。僧衆、秘章を諷誦し、集められた広大な功徳は、まさに今上皇帝の聖寿万安を祝延するためであります。金剛無量寿云々」)
聖節の期間中、三日・八日(三と八の付く日)に遇うと、仏殿で念誦(読経)を行います。当日、斎(昼食)が終わると、堂司行者が住持・両序・諸寮に報告し、念誦の札を掲げて大衆に知らせます。参前(坐禅前)に巡廊して板を鳴らし、大衆を集めて仏に向かって整列させます。住持が到着すると、大板を三下鳴らし、次に大鐘を鳴らします。焼香して各自の位置に帰ります。
維那が列を出て、念誦します。(「皇風永く扇がれ、帝道遥かに昌えん。仏日輝きを増し、法輪常に転ぜん。如上の縁の為に、清浄法身毘盧遮那仏を念ず」十号(如来の十の称号)を唱え終え、回向します。「上来念誦し、集められた広大な功徳は、まさに今上皇帝の聖寿万安を祝延するためであります。金剛無量寿云々」)僧堂前の鐘を三下鳴らし、大衆は問訊して散会します。
あるいは、住持が郡県や都の道場へ赴き、帰還される時は、鐘を鳴らして大衆を集め、門で出迎えて方丈へ赴き、問訊します。
聖節啟散古規所載。堂僧堂司給由。暫到客司給由隨身照證。蓋往時僧道歲一供帳納免丁錢。官給由為憑。故遊方道具度牒之外。有每歲免丁由。有何處坐夏由。有啟散聖節。以備徵詰。各亦畏慎。今雖不用。存其事以見古也。
聖節の開散は古い規則に記されています。堂僧や堂司が証明書を発行し、一時的な来客にも証明書を渡し、身分証明として携帯させました。昔は僧侶や道士が毎年名簿を提出し、人頭税を免除されていました。役所が証明書を発行して証拠としたため、遊行する僧侶は度牒のほかに、毎年の免税証明書、どこで夏安居を行ったかの証明書、聖節の開散証明書を持ち、尋問に備えていました。それぞれが慎重を期していたのです。今では使われていませんが、古い慣習として記録に残しています。
黃榜式
某州某府某寺
某月某日欽遇
天壽聖節本寺預於今月某日恭就
大佛寶殿啟建
金剛無量壽道場一月日逐日輪僧上殿披閱真詮
宣持密號所萃
洪因端為祝延
今上皇帝聖壽萬歲萬歲萬萬歲
右恭 惟
佛日洞明
龍天昭格
某年某月 日都監寺臣僧某謹言
住 持 臣僧某
經單式
今具經文品目于后
大方廣佛華嚴經
大佛頂萬行首楞嚴經
大乘妙法蓮華經
大乘金光明經
大方廣圓覺脩多羅了義經
大乘金剛般若波羅密經
大仁王護國經
右具如前
今月 日綱維臣僧 某 具
差單式
今具逐日輪僧上殿名員于後 用白紙書
某日 住持臣僧 某甲首座 某甲書記
某甲藏主 某甲知客 某甲西堂
某日 某甲稱呼 某甲上座 某甲都寺
右具如前
今月 日堂司 某 具
疏語(啟建)右伏以 覆燾無私。乾坤孰測其高厚 照臨有赫。日月莫喻其光華。知 贊仰之徒勞。欲 補報而無極。惟託鈞陶之內。義重 四恩。故竭 忠愛之心。虔恭 三祝。斗樞電繞龍象筵開。帝網百億山河咸歸聖量。華藏三千世界益衍 丕圖。少盡涓埃。匪懈朝夕。欽願 蘷龍登用 景星耀而泰階平 麟鳳呈祥 聖人作而萬物覩。謹疏(滿散)優鉢羅花瑞世 同佛降生 閻浮提樹連陰。與天齊壽。故 毓夙成之 睿質。克承丕顯之 聖謨 大哉乾至哉乾體乾居正 會其極歸其極 建極立中。爰以吾道之大同。有裨 聖時之至治。山林鐘鼓樂 化日之舒長。草木昆蟲被 膏澤之滲漉 祥開震夙 頌祝華封。欽願 垂拱無為。天地位而萬物育 鈞陶有象。陰陽理而四時平 壽考萬年 本支百世。