「能仁が大いなる師子吼をなされば、天人也すべてよく聞く。 今、われら世尊の前にあって、各々誠実な最上の願いを発す。 われら、未来の際に至るまで、願わくはわが行い、多劫を経て、 生死の輪廻の中に入り、無数の衆生を救済せん。 われら今、この縁をもって、未来の際を尽くして思念し、 あまねく諸々の衆生を利益安楽せんために、無辺の劫にわたって行い、懈怠せず。 われら、今日より以後、貪・瞋・癡などの垢を永く滅し、 十方にいます現在の仏世尊よ、われらの言説の真実にして偽りなきことを証したまえ。 われら、今、菩提心を発す。声聞・縁覚の果を楽しまず。 われら、もし小さき心を楽しまば、必ず妄語の報いを受けん。 われら、二乗の果を楽しまず、ただ大悲心をもって衆生のため、 たとえ俱胝の多劫を経るとも、願わくば常に行い、懈怠せず。 仏世尊の成就したまいし如く、しかるべき仏剎の広大荘厳の如く、 願わくばわれら当来に仏を得るとき、剎土は倍多にして俱胝の数ならん。 また願わくば当来の仏剎の中に、声聞・縁覚の衆なく、 純一に菩薩に荘厳され、無量の諸々の智の集まりを広く集めたまわん。 願わくばわれ、この荘厳を得て、衆生をして垢を離れしめ、 諸々の仏法より出生して、あまねく彼らに仏法の蔵を持たしめん。 もしわれが今、諸々に説くところ、真実にして偽りなく異なるところなれば、 願わくばこの大海および山川、さらに大地もことごとく震動せん。」 かくの如く願言を発ししとき、大地すなわち震動し、 鼓せざるに音楽自然に鳴り、微妙の音を出して十方に遍くし、 天は衆華・衆妙香を雨し、殊麗厳好にして極めて愛すべく、 俱胝百千の妙なる天衣、周遍して繽紛と散布せり。
さらに、勝華蔵菩薩が仏陀に申し上げた。「世尊よ、この二尊の大菩薩は非常に稀有な存在でございます。そのような御名を聞くことさえ容易ではなく、しかも深い信仰と理解を完全に備え、発せられた菩提心には比肩するものがございません。世尊よ、この二尊の大菩薩は、獅子遊戯金光王如来の後、どれほどの諸仏に供養を捧げられたのでしょうか。」
仏は言われた。「善男子よ、ガンジス川の砂の数さえも、その端と量を知ることができる。しかし、この二人の大士(菩薩)が、かの仏の後ろで供養した諸仏の如来については、私でさえもその端を知ることができない。なぜか。この二人の大士は、すべてすでに考え及ばない鎧をまとい、無量のすぐれた功徳を備えているからである。それゆえに、その端を知ることができないのだ。」
そのとき、勝華蔵菩薩摩修薩が再び仏に申し上げました。「世尊(仏様)、あの無量功徳宝荘厳普現妙楽世界は、どちらの方角にあるのでしょうか?」
仏は言われた。「善き者よ、今この西方極楽世界こそが、かの昔、無量の功徳をもって宝のように荘厳され、普く現れた妙なる楽の世界なのです。」
勝華蔵が申し上げました。「この二人の大菩薩は、いつ、無上正等覚(あのくたらさんみゃくさんぼだい)の悟りの果報を成就されるのでしょうか。どのような功徳によって荘厳された仏の国土を得られるのでしょうか。そして、その仏の寿命はどれほどなのでしょうか。また、どれほどの菩薩の衆が集うのでしょうか。どうか如来、応供、正等覚であられる世尊が、あまねく世の天人のすべてをあわれみ、利益し、楽しませるために、この二大菩薩が成仏される事柄をお説きくださいますよう。それによって、他の菩薩たちも、この説法を聞いて、皆が大きな願いを満ち足りることができますように。」
仏が言われた。「勝華蔵よ、あなたはよく聞きなさい。心してよく受け止めなさい。今、あなたのために説き明かそう。」そのとき、勝華蔵菩薩は教えを受け、耳を傾けた。
仏陀は言われた。「善男子よ、知るがよい。西方の無量光如来(阿弥陀如来)の寿命は無量であり、はかり知ることができない。たとえ俱胝(千万)那由他(億)の百千劫(極めて長い年月)の間でも、その限界を説くことはできない。その仏の正法は八万四千那由他の劫の間、世に留まる。仏が涅槃に入られた後も、諸々の衆生の善根の力によって、他の仏が世に出現するのに巡り合うことができる。そして諸々の菩薩は、念仏の三昧(心を一つの対象に集中する瞑想)に安住し、常に仏を見ることができ、その間に途切れることはない。善男子よ、さらに、無量光如来が涅槃に入られた後、その説法の場にある七宝で荘厳された美しい蓮華の木から、自然と微細な法の音声が流れ出す。一夜が過ぎて明け方になると、観自在菩薩(観音菩薩)は、衆宝で荘厳された菩提樹の下に座し、等正覚(完全な悟り)を成就される。正覚を成就された後、その名を普明高顕吉祥峯王如来、応供、正等正覚、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏世尊と称される。勝華蔵よ、あの仏の国土の功徳と荘厳の様子は、たとえ私がガンジス川の砂の数ほどの劫の間、巧みな譬えや言葉を用いても、その一端すらも説くことはできない。また、善男子よ、このような仏の国土の功徳と荘厳を、もし師子遊戯金光王如来の国土の功徳と荘厳と比較するならば、先の百分の一にも満たず、千分、百千分の一にも及ばない。数分、譬喩分、さらには烏波尼殺曇分(極めて微細な割合)にも及ばないのである。また、あの国土には声聞や縁覚という名はなく、純粋に清らかな大菩薩の衆のみがいる。善男子よ、総じて、無量光如来の会座にいる一切の声聞、縁覚、菩薩を合わせて比較しても、普明高顕吉祥峯王如来の会座にいる菩薩の数は、さらにその何倍もある。その仏の寿命は九十六俱胝那由他百千劫、正法が世に留まる期間は六十俱胝劫である。」
勝華藏菩薩が仏に申し上げた。「世尊よ、かの仏の世界は、極楽と名づけてはおりませんか?」
お答えします。仏がおっしゃいました。「いいえ、善男子よ。あの世界の名は『衆宝普厳(しゅほうふごん)』といいます。そこの如来は、それぞれの者に応じて様々な利益と楽しみをもたらしておられます。そして、この大勢至菩薩は、その教えの中で、仏の寿命の長さに従って、お仕えし供養を続け、その仏が涅槃に入られた後も、仏の教えを守り伝え、法を長く世に留められました。ついに法が滅びようとする最後の時、大勢至菩薩はその世界で、無上の正しい悟り(阿耨多羅三藐三菩提)を成就されました。悟りを開かれた後は、『善住功徳宝峯王如来(ぜんじゅうくどくほうぶおうにょらい)』、すなわち応供(おうぐ)、正等覚(しょうとうがく)、明行足(みょうぎょうそく)、善逝(ぜんぜい)、世間解(せけんげ)、無上士(むじょうし)、調御丈夫(じょうごじょうぶ)、天人師(てんにんし)、仏(ぶつ)、世尊(せそん)と称えられます。その仏の世界にあるすべての功徳や荘厳な事柄は、菩薩の大衆がすべて完全に備えており、その仏の寿命と正法が世に留まる期間は、普明高顕吉祥峯王如来とすべて等しく、一切が円満で、増えることも減ることもありません。」
さらに仏は勝華蔵菩薩摩訶薩に告げられた。「あなたは今、知るべきである。普明高顯吉祥峯王如来、善住功徳宝峯王如来、これらの名号を、もし善男子・善女人が一時でも耳にしたならば、その人は阿耨多羅三藐三菩提において不退転の地位を得るであろう。
また、勝華蔵よ。もし善男子・善女人が、過去の師子遊戲金光王如来、および未来の普明高顯吉祥峯王如来、善住功徳宝峯王如来の名号を聞くならば、その集落や一族の中にいるすべての女性は、女身を転じて男子となる。四十俱胝劫の間、生死の流れを離れ、生まれ変われば清らかな出家の身を得る。常に仏を見て法を聞き、僧伽に仕えることができる。生まれ変わるごとに宿命通を具え、また総持(陀羅尼)と無礙の弁才を得て、阿耨多羅三藐三菩提において退転することがないであろう。」
その時、世尊がこのように説かれると、会の中にいた九十六俱胝の天人たちが、皆そろって声をそろえてこう言いました。
「南無、十方三世の全ての諸仏、そして未来世の普明高顕吉祥峯王如来、善住功徳宝峯王如来に敬礼します。一切の諸仏が集めたすべての善い利益を、私たちも共に喜び、皆、無上なる悟りを求めようと決意いたします。」
即座に、すべての仏たちがこう宣言された。「あなたがたは、まさに悟りの境地への不退転の位を得るであろう。」
その時、法会の中にいた七千の菩薩たちは無生法忍(すべての現象が生じも滅しもしないという真理を悟る境地)を得ました。また、八十四那由他の人々は煩悩の塵や汚れから離れて清らかな法眼(真理を見極める智慧の眼)を得、八千の比丘たちはあらゆる煩悩の漏れが尽きて心の解脱を得ました。
その時、観自在菩薩摩様(観音菩薩)と大勢至菩薩摩様は、この集会においてそれぞれにふさわしい姿と神通力を現し尽くし、集まったすべての人々がそれを目の当たりにしました。すると、十方の無数の仏たちがこの現象を目にし、またこの二人の菩薩がやがて仏となるという説法を聞き、口を揃えて称賛しました。「なんと稀有なことだ。世尊、釈迦牟尼如来よ。あなたは見事にこの二人の菩薩を慈しみ守っている。私たち諸仏もまた、共に彼らを称えよう。」と。
さらに、勝華蔵菩薩摩詰(まかさつ)が仏に申し上げました。「世尊よ、仏がお説きになったこの非常に深く微妙な教えを、もし善良な男女が受け持ち、読み誦し、他の人のために詳しく説いたならば、どれほどの福徳を得るのでしょうか。」
仏は言われた。「お止め、お止めなさい。善き人よ、そのような問いを発してはなりません。なぜなら、浅い理解しか持たない者たちは、仏が説くこのような深遠な経典に信を生じることができないからです。それゆえ、私は説かないのです。」
勝華蔵菩薩が仏に申し上げた。「世尊よ、今この会の中には、深い信心と理解を備えた多くの善き男子、善き女人たちもおります。どうか如来様、その受持する功徳について簡潔にお説きください。後の世のすべての衆生にとって、大きな明るい灯りとなるようにお願いいたします。」
仏は勝華蔵に告げた。「よく聞きなさい、よく聞きなさい。今、あなたのためにお話ししましょう。」その時、勝華蔵菩薩は教えを受け、心を込めて聞いた。
仏陀が言われた。「善男子よ。たとえ、ある人が大きな力を持ち、福徳を完全に備え、すべての衆生の領域を完全に理解し、こう言ったとしよう。『仏が説かれたように、世界は infinite であり、衆生は尽きることがない。私はその一切の衆生を、無量無辺の劫の間、頭や肩に担いで支え、さらに飲食や衣服、あらゆる快楽の道具をもって、すべての衆生に余すところなく施そう。』勝華蔵よ。あなたの考えでは、この人はこの因縁によって、多くの福徳を得るだろうか。」
勝華蔵が仏に申し上げました。「たくさんでございます、世尊。もし人が指を一回鳴らすほどの短い間でも、一人の生きとし生けるものに対して慈しみの心を起こせば、その功徳はすでに多いのです。ましてや、そのような(多くの生き物に対して慈しみを注ぐ)場合はなおさらのことです。」
仏は言われた。「勝華藏よ、私は今、真実の言葉をあなたに告げる。もし善き男性や善き女性が、この深遠な経典を自ら信じ、他の人にも信じるよう勧めるなら、その人が得る福徳は、さらにそれよりも多い。 また、この深遠な経典を受持し、読誦し、他の人のために広く説く人がいれば、その人は菩提心をよりどころとしていると知るべきである。」
その時、勝華蔵菩薩が仏に申し上げた。 「世尊よ、如来がお説きになったこの深い教えを、仏が在世の時も、また涅槃の後も、私はしっかりと心に受け止め、読み誦し、ひろく人々に説き、広め伝えて絶えることのないようにいたします。」
勝華蔵菩薩がこの言葉を述べたとき、その法会には九十六俱胝の菩薩たちがいて、皆そろって異口同音にこう言いました。「世尊よ、私たちもまた、仏の説かれた深遠な経典を心に納め、読み誦し、広く他の人々に説き伝えましょう。」
その時、この世界の主である大梵天王、帝釈天、四方を護る四天王、そして数えきれないほどの天の神々が、それぞれ天の曼陀羅華を仏の上に散りばめ、また天の花を菩薩たちにまき散らしました。さらに、何百億という種類の天の妙なる音楽を奏でて供養しました。そしてこう宣言しました。「すべての生きとし生けるものが、この深遠な正しい教えを聞き、その光に照らされて大きな善い利益を得られますように。私たちはこの教えの門を必ず受け持ち、伝え広めてまいります。」
仏陀はこう言われた。「その通りだ。善き男子たちよ。汝らの言う通りである。今この正しい教えは、思議を絶するものである。もし人がかつて一万の仏のもとで深く善根を積んでいれば、その人こそがこの経典を手にすることができるのである。ましてや、これを受持し、読誦し、信解を生じることなど、なおさらである。」
また、仏は勝華蔵菩薩摩訶薩に告げられました。
「この正法を聞く者は、どのような場所にいても、すべての女は男に転じます。ただ、二つの者だけは除かれます。それは、もの惜しみする者と、嫉み嫉妬する者です。」
その時、会の中に離塵という名の一人の女性がいました。彼女は心に信解を生じ、座を離れて仏の前に進み出て申し上げました。「世尊よ、私は今、心の中からすでに慳吝と嫉妬を滅しました。私は無上正等覚(阿耨多羅三藐三菩提)の心を発しました。私の発願が真実で偽りなければ、まさに成仏し、また仏のお言葉の通り、この法を聴く時に、その場で直ちに女の姿を転じることができるでしょう。このことが真実であるならば、どうか私の身を転じて男子となりますように。」その時、彼女がこの言葉を発すると、すぐに男の身に転じました。 そこで仏は彼女に、退転しない無上正等覚の記別を授けられました。「まさに成仏し、その名を『一切煩惱を除く如来・応供・正等覚』と号するであろう」と。
仏がこの経を説き終えられると、勝華蔵などの菩薩摩訶薩たち、そして比丘たち、さらには世の中の天、人、阿修羅など、すべての大集会に集まった者たちは、仏の説法を聞いて皆大いに喜び、その教えを信じて受け入れ、実践しました。
仏説如幻三摩地無量印法門経 巻下