拔濟苦難陀羅尼經
救済苦難陀羅尼経
大唐三藏法師玄奘奉 詔譯
大唐三藏法师玄奘奉诏译
如是我聞:
このように私は聞きました。
一時薄伽梵在室羅筏,住誓多林給孤獨園,與無央數聲聞菩薩摩訶薩俱,及諸天、人、阿素洛等,無量大眾前後圍繞。
その時、世尊は室羅筏(シュラーバスティー)の誓多林(ジェータ林)の給孤独園(給孤独長者の園)に滞在しておられた。そこには数えきれないほどの声聞(弟子たち)や菩薩摩訶薩たち、そして天、人、阿修羅などの無数の大衆が、前後に取り巻いておられた。
爾時眾中有一菩薩名不可說功德莊嚴,從座而起,頂禮佛足,合掌恭敬白佛言:「世尊!今此世界無量有情,煩惱因緣造諸惡業,當墮地獄、餓鬼、傍生,或天人中受諸劇苦。唯願哀愍,方便拔濟。」
その時、会衆の中に「不可説功徳荘厳」という名の菩薩が一人いて、座を立って仏の足もとに額をつけ、合掌して恭しく仏に申し上げた。「世尊よ、今この世界の無数の生きとし生けるものは、煩悩によって様々な悪業を造り、これから地獄・餓鬼・畜生の道に堕ち、あるいは天や人の世界で激しい苦しみを受けようとしています。どうか哀れみ給い、善巧な方便をもってお救いくださいませ。」
佛言:「善男子!善哉善哉!汝能哀愍一切有情作如是請。諦聽諦聽,吾今為汝略說拔濟眾苦方便。善男子!有佛世尊,名為不動如來應正等覺,為欲利樂諸有情故,說陀羅尼令眾誦念。陀羅尼曰:
仏、言う:「善男子よ。善きかな、善きかな。汝は一切の有情を哀れみ、このように請い願うことを得たり。よく聞け、よく聞け。今、汝のために、衆生の苦しみを救い抜くための手立てを簡潔に説こう。善男子よ。ある仏・世尊がおられる。その名を不動如来・応正等覚という。あらゆる有情を利益し楽しませようと欲するがゆえに、陀羅尼を説いて、衆生に読誦・念誦させたもう。陀羅尼は次のとおりである。」
「羯羯尼羯羯尼 魯折尼魯折尼 咄盧磔尼咄盧磔尼 怛邏薩尼怛羅薩尼 般剌底喝那般剌底喝那 薩縛羯莫般藍般邏般謎莎訶」
「若有善男子善女人,至誠敬禮不動如來應正等覺,受持此呪,先所造作五無間業、四重十惡、毀諸聖賢、謗正法罪皆悉除滅,臨命終時彼不動佛與諸菩薩來現其前,讚歎慰喻令其歡喜,復告之言:『今來迎汝,應隨我往所從佛國。』彼命終已,決定往生不動如來清淨佛土。善男子!復有世尊,名滅惡趣王如來應正等覺,為欲利樂諸有情故,說陀羅尼令眾誦念。陀羅尼曰:
「もし善男子・善女人で、真心を込めて不動如来・応正等覚を敬礼し、この呪を受持する者があれば、以前に造った五無間業、四重罪・十悪、聖賢を毀そしった罪、正法を謗った罪はすべて除滅されます。命終の時には、かの不動仏が諸菩薩とともにその人の前に現れ、讃歎し慰め励まして、その人を喜ばせます。さらにこう告げます。『今、あなたを迎えに来ました。私と一緒に、私の来た仏国へ行きなさい』と。その人が命終すれば、必ず不動如来の清浄な仏土に往生することが決定します。善男子よ、また別に世尊があり、滅悪趣王如来・応正等覚と名づけられます。その仏は、すべての有情を利益し安楽にするために、陀羅尼を説いて衆生に誦念させました。その陀羅尼は次のとおりです。
「輸達泥輸達泥 薩縛播波毘輸達泥 戍睇毘戍睇 薩縛羯莫毘戍睇 莎訶」
「シュダネ、シュダネ。 サルヴァパーパ、ヴィシュダネ。 シュッテ、ヴィシュッテ。 サルヴァカルマ、ヴィシュッテ。 スヴァーハー」
「若有善男子善女人,至誠禮敬滅惡趣王如來應正等覺,受持此呪,萬四千劫常憶宿命,所在生處得丈夫身,具足諸根深信因果,善諸技術、妙解諸論,好行惠施厭捨諸欲,不造惡業、離諸危怖,具正命慧眾所愛重,常近善友恒聞正法,求菩提心曾無暫捨,以諸功德而自莊嚴,具善律儀怖諸惡業,恒無匱乏調柔樂靜,於天人中常受快樂,速證無上正等菩提,終不退於十到彼岸,常願利樂一切有情,諸所修行非專自利,在所生處常得見佛,護持正法預賢聖眾。」
「もし善き男子、善き女人がいて、誠心をもって敬い礼し、悪趣を滅する王如来・応供・正等覚に帰依し、この陀羅尼を受持するならば、一万四千劫の間、常に前世の記憶を保つことができるでしょう。生まれるところでは必ず大丈夫の身を得て、すべての感覚機能が具わり、因果を深く信じます。諸々の技術に優れ、諸々の論典をよく理解し、喜んで施しを行い、欲を厭い捨て、悪業を造らず、危険や恐怖から遠ざかります。正しい生き方と智慧を備え、多くの人々に敬愛されます。常に善き友に親しみ、常に正しい教えを聞き、悟りを求める心を一瞬たりとも捨てることがありません。諸々の功徳によって自らを飾り、善い戒律を備え、悪業を畏れ、常に欠乏がなく、柔和で安らぎを楽しみ、天人の間で常に幸福を享受し、速やかに無上の正しい悟りを証得します。十波羅蜜から永遠に退くことはなく、常に一切の有情を利益し楽しませることを願い、修行は決して自己の利益のためのみではありません。生まれるところでは常に仏に会い、正法を護り持ち、賢聖の仲間に入ることができるでしょう。」
時薄伽梵說此經已,聲聞、菩薩及諸天、人、阿素洛等,聞佛所說,皆大歡喜,信受奉行。
そのとき、尊き仏がこの経典を説き終えられると、声聞や菩薩たち、さらには天や人、阿修羅などのすべての者たちが、仏の説かれた教えを聞いて、皆が深く喜び、心から信じて、その教え通りに実践したのである。
拔濟苦難陀羅尼經
救済苦難陀羅尼経