迦樓羅及諸天密言經一卷
罽賓國三藏大德般若力譯
罽賓国の三蔵大徳、般若力訳
迦樓羅者,天竺方言,唐云金翅鳥,蓋非敵體之名,乃會意而譯也。然古今經論傳之久矣。夫龍德隱微、變化無極,忤之者禍至、奉之者福招。窮其受生,具胎、卵、濕、化,無復他患,唯苦迦樓羅。龍有四生,鳥亦四種。化生之鳥力制其餘,濕生之龍不具胎鳥屈伏之勢,例此以明。且滄海無涯,群龍游泳,將㖨也,鼓其羽翅扇波濤,水為涸流。龍無頭寄恣其食,不遑度寧。所以然者,一以鳥形環僂,一以法禁迦持。體質殊人,思慮豈異。降之際,專注地水火風空,亦如之翻覆互用,龍尚被制,其餘可知。且世界之尊梵王居首,毘紐為次,大天其三,萬神所依、四生彼仰,具悲慜心,演拔濟法,以為迦樓羅傍生羽族攝伏若斯,憑之增修,可以救世,遂以金翅鳥為名,說十萬頌教跡。三界之主、五大之神,具成真身、俱傳本音,龍王受令,天帝懼威。豈鳥能之?乃聖力也。今略述迦樓羅妙門,次說諸天雜法,凡修行者皆須發無上菩提心,尊敬三寶。
迦楼羅とは、インドの言葉で、中国語では金翅鳥と訳されます。これは直訳ではなく、意味を汲み取った翻訳です。しかし、古来より経典や論書で長く伝えられてきた呼び名です。
龍の徳は奥深く、その変化は極まりなく、これに逆らえば禍が訪れ、敬い奉れば福が招かれます。龍の生まれ方を究めると、胎生、卵生、湿生、化生の四種があり、他の苦しみはないものの、ただ迦楼羅だけには苦しめられます。龍に四生があるように、鳥にも四種類あります。化生の鳥は他の生まれのものを制する力を持ち、湿生の龍は胎生や卵生の鳥に屈服する勢いを持ちません。この例えで明らかです。
広大な海には数多の龍が泳ぎ回っていますが、迦楼羅が襲いかかるとき、その羽ばたきで波濤を扇ぎ、水は干上がってしまいます。龍は逃げ場を失い、食らい尽くされ、安寧を得る暇もありません。これが起こる理由は、一つには鳥の姿が環のように屈曲しているため、一つには法の力で制しているためです。その体質は人間とは異なりますが、思慮に違いがあるでしょうか。降伏させる際には、地・水・火・風・空の五大に専注し、それらを翻弄し使いこなします。龍でさえ制せられるのですから、他のものは言うまでもありません。
世界の尊い存在といえば、梵王が第一、毘紐天が第二、大自在天が第三であり、万の神々が依り、四生のすべてが仰ぎ見る存在です。彼らは慈悲の心を持ち、救済の法を説きます。迦楼羅は傍生(畜生)の羽族に属しながら、このように龍を制圧する力を持つゆえ、これに依って修行を積めば、世を救うことができます。そこで金翅鳥と名付け、十万頌にも及ぶ教えが説かれたのです。
三界の主、五大の神は、真の姿を現し、本来の音声を伝えます。龍王はその命令を受け、天帝もその威光を畏れます。これは鳥の力によるものではなく、聖なる力によるものです。
ここでは迦楼羅の妙なる法門を略述し、次に諸天の様々な法を説きます。凡そ修行する者は、皆、無上菩提心を発し、三宝を尊敬しなければなりません。
謹案:梵本云大梵天、毘紐天、大自在天王,愍眾生故,化成此身。居止妙高山側金山之內、淡水海傍。復說地水火風空五大之神而所共成,此身各有所施。
謹んで考えるに、梵語の原典にはこうあります。大梵天、毘紐天、大自在天王が、衆生を憐れんで、この姿に化身された。そのお住まいは、須弥山の側、金山の中、淡水の海のほとりにある。また、地・水・火・風・空の五大の神々によって共に成り、この身体はそれぞれに役割を果たしていると説かれています。
迦樓羅辦事印第一
二手虛心合掌,交指初分左押右即成。此印能辦一切事,眾印之首,能出生諸印。凡欲結契,先宜作之。
二手を虚心に合掌し、指の初節を交差させ、左を右の上に置く。これが印となる。この印はあらゆることを成し遂げ、すべての印の根本であり、あらゆる印を生み出す。印を結ぶときは、まずこの印から始めるのがよい。