法華語録
侍者 了舜 編
師は景定庚申の年、六月九日に、寺院に入られました。
三つの門。道は清らかな波を透かし、山は翠色の壁を横たえる。楼閣の門は開かれている。(指を弾いて言う)ここから入りなさい。
仏殿。三十二相。八十種好。馬のあごに驢のほお。天を覆う羅網をくぐり抜ける。新たな法華経。なぜか脳を刺して膠の盆に入る。(香を挿して云う)過ちはそなたにあり。災いは我が土地に及ぶ。正しく聡明。風流で儒雅。堅く法城を護り。功績を千年に刻む。李将軍。佳き名声あり(李観察が土地神となる)祖堂。霊鷲峰の前。熱き血相噴く。覚城の東の際。陥坑底なし。足を踏み外せば後先を論ずるな。痴翁いかが我が風狂に似る(痴絶が開山となる)室に拠る。(杖を拈じて云う)智と理と冥合し。神と境と会す。維摩の床を砕き。毘盧の髻を断つ。碧眼の黄頭、眼を著けて覗く(杖を卓てて云う)百雑に砕く法座。頂門の機。法空の座。思慮に渉らずして知り。歩を動かさずして到る。(喝して云う)端なくして荒草に入る。
府からのお知らせです。 家を借りては、帝釈天の網の糸を伝い、 下界の公子は仙の鼇(大亀)を釣る。 僧侶の鼻先をひねり回し、 諸方の笑いを誘い起こす。 鵾(こん)が鵬(ほう)に化して飛ぶことも、まだ誰も知らない。 蓬(よもぎ)を押しのけ月に向かい、半分に分けてしまう。 さあ、維那(いな)さん、どうぞ。 帆を揚げ、櫂(かい)を打ち鳴らしてください。
府の疏。韓柳の肺腸。蘇黄の骨髓。禅衣を点じ、香風地をめぐる。七十二峰、秀気を増す。
江湖の仲間が共に食事をする。どうして争う必要があろうか。血を含んで人に吹きかければ、まず自分の口を汚す。共に天を戴かざる怨みを結び、句句は罵りの言葉にほかならない。
山門の疏。三百斤の鉄枷。数年来誰も担わず。壁の根元に放り出されていた。ただ、怨みと敵意が訪れるのを待つばかり。口頭の証言は明らかで、覆すことはできない。年老いた肩には力はないが、それでも担わなければならない。
観相の香を祝す。柱石として皇家を支え、遠く伊周の徳を広める。金湯のごとく佛法を護り、永く裴李の心を推し進む。壽は松椿に介し、福は河海に深し。
提綱。一物も為さず。鳳は金網に縈れ、萬機は寢削す。龍は碧潭を怖る。便に恁麼に去らば、少室の門風、離離たる荒草。線道を放開し、時宜に俯順す。東山の皷を借り、呵場に樂趂す。熱發の諸人、一笑して去るなり。(主丈を拈じて横に按じ、長皷を打つ勢を作して云く)堋八刺札、還って聞くか。新たに翻す曲調、逸格の鄉談。意は流水に隨ひて遠く、聲は莫雲を遏でて寒し。豆子山前人會せず。(丈に靠りて云く)月は花影を移して闌干に上る。
裴相国が、仏像を捧げて黄檗に命名を請うた公案。(拈提に云う)裴相国は、容姿が優れ、百福が身を飾り、そのままの姿で完全であり、汚れを知らない。老黄檗は、強いて五色の彩りで、虚空に文様を描く。明眼人の前では、一笑にすら値しない。なぜか。彼には元々黄金の骨があり、栴檀の細かい彫りを借りる必要がないからだ。
大師は周国の正恵公となり、周国夫人と共に堂に上られた。 尊き身分から来られ、浄土に違いはない。 玉をちりばめた庭、錦を飾った楼閣。 それらはどうであろうか、霊山で法華経を聞くことに比べて。 連なる車輪をゆるやかに操る白牛の車。
十五日。両班に謝して上堂す。老いて山に住み倒れ、全く伎倆なし。客を揖して腰を低くし、僧に逢えば掌を合わせる。たとえ時宜に俯順すれども、当機の収放を妨げず。何故ならば、鯤化して鵬飛す、羽翼斉しく、扶を搏ちて一挙に青霄の上に至るが故なり。
修行者よ、参拝に立て。 盧老は無造作に薪を投げ下ろす。 碓の頭が古い菱の花を搗き出す。 悪名は千年にわたって汚名となり、 養子の誰が家を継ぐことを理解するだろうか。
都に入りて堂に上り、三伏の暑さが世間を駆け巡る。炎熱が蒸し、汗は雨の如し。休む時なきにあらず、また、泊まるべき処もなし。(杖を拈じて)杖の脊梁は鉄のごとくに鋳られたり。広々たる塵中にて主を弁じ、帰り来たりて影を休む翠微の深きに。月を抹し雲を披き、(杖を卓して一下し云う)千差の路を截断す。
上堂します。夏安居が終わって五日が過ぎました。水牛はどうしているでしょうか。川の東でも西でも、山の南でも北でも、白い蘋草は香り細やかに、青草の陰は深く茂っています。放つことも繋ぐこともなく、去るも留まるも思いのままです。しかし、鼻綱は私の手の中にあります。安定した足取りで家に帰り、身を隠して跡を残さない境地を知りたいでしょうか。数声の笛の音が煙る村に響き、猿が寒い梢に掛かり月が明るく輝いています。それでもなお、洞庭湖の七十二峰が隔たっているのです。
八月の秋。どこに熱さがあるだろうか。門を出て歩くところ、荒れ果てた草が乱れ倒れている。壁に向かって坐すとき、寒い虫の声が切なく響く。衲僧の眼には須弥山を収め、耳には四大海を納める。色も声もそのまま真実なのに、ただ一つの断片に過ぎない。さて、色を覆い声に乗る一句とはどのようなものか。(しばらく間を置いて言う)人は画楼に寄りかかり江月は冷たく、玉の簫が三たび奏でられ碧雲の秋。
重陽の節句に因み、堂に上る。垣根の菊は黄金を敷き、茱萸は香りを噴く。淵明(陶淵明)は思い違いをし、重陽の楽しみに耽った。林間にいる僧侶のようであろうか。栄誉も辱めもなく、思い煩うこともない。香積飯を腹いっぱいに食べ、古びた禅床に高く臥す。仏であれ魔であれ、すべて跡形もなく払い去る。花を献げる道もなく、鳥は空しく忙しげに飛び回る。
十月初五、達磨忌に香を捧げる。
教外別傳、全く手掛かりなし。 二祖に接し、本来の心を指し違え、 六宗を破り、門前の歯を打ち落とす。 罪は天に満ち、身を容れる地なし。
法華の小比丘、 既に草を斬り根を絶つこと能わず、 何ゆえ香を焚き礼をなす。 見えずや、礼の用は和を貴ぶと。
謝三峰西堂蔭首座上堂。
湖山は青々とし、湖水は広々としている。 紅葉は錦を散らし、金柑は黄色を敷きつめる。 眼明らかなる僧侶は、境に従って聖と凡とを転じ、 行くべき場所、隠れるべき場所を求めることもない。 しかしながら、法華一人を欺くことはできても、 家の中の人に出会えば、わざわざ取り出すまでもない。 さて、その家の中の人とはいったい誰か。
(顧みて言う)ねえ。
天童別山和尚の遺書が届き、上堂する。 太白峰の前で小さな技を施し、 深い沈黙は雷鳴のごとく、人は自ら畏れる。 瓦礫が翻って梵天の宮殿となり、 古仏の門風が再び振るい起こされる。 功績に堕することなく、気楽に遊戯する。 金毛の獅子が忽然と身を翻せば、 草木も昆虫も皆、涙を流す。 涙を流すことはなくもないが、 いったいどこで天童の師兄を見たというのか。
(しばらくして言う)輝く太陽は天に麗し、盲人は地を摸す。
上堂。覚える城の東の際、小さな叢林。栴檀に囲まれ、獅子が呻く。蔦に絡まる月、四つの窓、雲の万壑。見成一片の祖師の心。(喝云)眼裏に筋無ければ、一世貧し。
上堂。寂しい山寺にて、慌ただしいこと火の急のごとし。晴れ間に茅を刈り、霜帯びて橘を収む。山僧、冷ややかな地にて思量す。家の財産すべてを散らかし尽くす。日々日は東より昇り、日々日は西に沈む。
上堂。一つのものがある。漆のように黒く、常に顔の出入り口に出入りする。声を乗り、色を覆い、妙密の中に険崖あり。倒用逆施、険崖の中に妙密あり。三世の諸仏、遠ざければいよいよ親しみ、白い牛や野良猫、得ればかえって失う。法華は眉毛を惜しまず、(主丈を拈じて)あなたのために陽の下に拈じ出す。夭夭矯矯、𥻘𥻘皴皴。南山の鱉鼻蛇と思いきや、天台の楖𣗖であった。(主丈を擲下して云う)一文の値打ちもない。
病中の上堂。久しく病みて脚力衰え、嬰児の歩み移すを学ぶ。目前の機を喪い尽くし、塵中の主を弁得す。鼻は直く眼は横に、皮は穿ち骨は露わす。驢にもならず馬にもならず、(膝を撫でて一下云う)描くべきところもなし。(良久して云う)僧繇や呉道子を欺き殺す。
病癒えて、新旧の職事に謝する上堂。(主丈を拈じて)曹山が集められない病、盧医も巧みを施し難し。山僧は母の胎を出でてより、四百四の病、ことごとく嘗め尽くす。世の医師もこれに拱手す。思いがけず、思慮を絶ち機縁を息むるとき、万差を裂き諸有を破る処に、一の無位真人を見る。面前に深く問訊して云う、近ごろ大小の職事、進退宜しきを得たことを喜ぶ、と。かかる語を聞くこと、肘後の方書を得、通霊の妙薬を得るがごとし。以て佛祖の身心、飢飽労疫、風寒暑湿、一切の諸病に至るまで、(主丈を卓して一下云う)一服も要せず、体を脱して清凉に去るなり。諸人、安楽の地に共に到らんと要するか。(主丈に靠れて)彼自ら瘡なきに、これを傷つけるなかれ。
天基節を啓建する上堂。(主丈を拈じて)拄杖子、直符の使者と化し、遍く天台・南嶽・五台・峨眉・檀特・羅浮・竺乾・震旦を巡る。次第に報じて云う、黄河は三千年に一度清く、聖人は五百世に一たび出ず。今まさに是の時なり、と。既に告報し終わり、急ぎ覚城の山下に帰り、普く人天を集め、鼓を撾ちて堂に昇り、三たび万歳を呼ぶ。法華、その懇至なるに及び、乃ちこれを慰めて曰く、甚だ神観を労す、と。彼、この語を聞き、還って本形に復す。(主丈に靠れて)禅床の角頭に軃り入り、身心を休歇し、聖化を涵泳して去るなり。何の故ぞ。堯舜、衣を垂れて天下治まり、何ぞ須いん木鐸を以て華戎を警めんや。
仏陀が悟りを開かれたその朝、説法を始められました。
金輪聖王の位を捨てて、 尊いか尊くないか、 深い雪の中で飢え凍えながら、 何の無駄な争いをするのか。
明けの明星を見て、とりとめもなく、 さらに言うには、大地のすべての衆生が正覚を得たと。 フン、フン。 棒は折れたか、まだか。
謝応蔵主のご来訪を迎え、上堂にて説法す。
大康山と楊浮山、互いに頭をぶつけ合い、額を打ち合い、共に郷里の言葉を交わす。その中にある真意、切脚の意味を理解する者なし。
一切経蔵の教え、漢訳から梵語へと重ねて翻訳するも、さて、それはいかなる文字か。ただ「鉢囉娘」と口にするなかれ。
さあ、蒲許の村人たちの熱き営みに耳を傾けよ。
茅を刈り、薪を割って上堂す。(払子を挙げて)百草の頭、玄路に通ず。葛藤の椿に寄りかかって倒れ、険しい崖の句を押し透かす。爛れた柴は軽重分からず、茅を刈る鎌の刃先は露わならず。さらに祖師の頭を活かして弄ぶことを知れば、盧老も依然として字を知らず。(払子を打って)一機を瞥見して転じ、捏ね聚めることを放つ。頼むに天台の拾得、知るを得たり。(払子を以て、一吹きして云く)火を撒き星を飛ばす。汝の棲み泊まる処なく、汝の蹲り坐す処なし。
上堂。西風が波頭を集め、太湖は底まで凍りつく。冷たい光が玉の鏡を照らし清く、一片の瑕もない縫い目。面目は明らかに、眼は定動する。虚凝に堕ちず、万差を裂く。(膝を打って云う)漆桶よ、漆桶よ。
雪の降りしきる中、堂に上りて説法せり。 鰲山の店先にて、少林の庭の下にて、 臂の血、天に飛び散り、睡魔は退き去る。 心は壁の如く、癩馬は珠椿に繋がれ、 胸襟より流れ出で、一つの泡、大海に生ず。
(杖を掲げて) 杖子を、忍びず笑いを漏らす。 (杖を一たび打ちて) 鼻を補い、顔の入れ墨を消す。 零れ落ち、砕け散り、打たれつつ、 ゆるりと彼に向かい語る。 「僧よ、汝の前には、なお雪が降り積もっている」
歳旦の上堂。梅は鮮やかに花開き、小径はぼんやりと雪に覆われる。早春の景色を彩り、新年の佳節を祝う。少室の家風、その真髄が漏れ出る。神光が一瞥で見抜けなかったことを笑うべし。ただ一枝の腕を折るのみ。屈して伸びず、言いようもない。拄杖が無駄に重ねて饒舌になる。(杖を地に突く)アラアラ、天基節の上堂に満ち満ちる。(杖を手に取る)諸馮に生まれ、飛龍に乗り、昇平の世を治める。舜の日、堯の風。林下の野人、徳に報いんと思い、(杖を投げ下ろす)ただ拄杖に頼って流通せしむ。雲に臥すも至化の中より逃れ難し。
謝首座監寺樹頭上堂。
楊岐の栗棘蓬、臨際の清凉樹。钁頭に柄無く、正に好く㘽培す。版歯に毛生じ、妨げず吞吐す。一抽三、二添四。跛脚の雲門、乾坤独歩。瞎人天眼、緇素を分つ。
元宵の上堂。世間では万斛の金蓮を並べ、元宵の佳節を競って賞でる。法華は徹骨の貧窮、勝つを競うは劣るに及ばず。室内の一灯、燦燦として心花発す。夜なき光明、古今を照らす。見得分明、眼裏に重ねて屑を添う。
正月十七日、百丈忌の拈香。
馬祖の門を跨いだその時から、既に天を覆うほどの過ちを背負っていた。 一喝で耳を聾し、一𢬟で鼻を破る。 たとえ大雄の虎たる者でも、爪牙をほんの少し露わすばかり。 百丈の野狐は、因果を昧まずに脱する。 経典の条文を説き、念仏の一貫を示す。 監本は無端にして、人を欺くばかりか、自らをも欺く。
上堂。凍てついた枯れ梅が折れ、二、三枝が垂れ下がる。香りは野橋を渡り、影は茅葺きの家に横たわる。道人は鼻の感覚を忘れ、目はあっても盲目のごとし。これらのものに妨げられることなく。哀れなるかな、鬼の窟に身を隠す者よ。呼び起こせ、雪の塊よ、雪の塊よ。
町へ入り、堂に戻って上堂し、(杖を掲げて)杖を引きずり、霞を出て、俗世の道は遠く、淡い金色の柳の糸、寒い玉のような梅の花。目に触れるものは群像を分け、機に臨んで万差を裂く。見ないのか、太原の孚上座が、楼頭で画角を吹き、奔放な生涯を喪失したことを。(杖を一振りして)生きて深く掘った穴に埋め、謝坤都文と客西堂に感謝する。雷が巻き、風が旋り、天地を揺るがし、一筋の怒りの腕を伸ばし、助け合って倒れた者を支える。古洞の生姜を聞けば、価値は倍増し、楊岐の破れた屋根と共に、崩れた瓦を整え直す。法華は日が高く眠ることを勝ち取り、蔦の窓の清らかな夢が覚め、客を導いて松の門を歩む。春の昼は永く、鳥の声が喧しい。(禅床を一拍して)私は荒れ野を歩み、あなたはまた深い村に入る。
涅槃について上堂し、併せて客人の訪問に感謝する。
棺に示す両足の跡、紫磨の光を静かに観る。 顔中は埃にまみれ、全身は束縛に縛られる。 法華の教えも埋もれるを解せず、 冷ややかに賓客たちに怪しまれ笑われる。
心のすべてを打ち明け露わにすれば、 幽谷に春が巡る。 山鳥は無実を訴え、花は涙に濡れる。 幾重にも花開く、涅槃の心。
上堂。
(杖を左に突き立てて)天は左に旋る。 (杖を右に突き立てて)地は右に転ず。 (中央に杖を立てて)千聖の枢機、八面に玲瓏たり。 衲僧たる者、普段は口から水が滴るように弁舌さわやかであっても、一つの機縁、一つの境遇に遭えば、心が揺れ動き、収拾がつかなくなる。口は膠のように固まり、腹の中は熱く悶える。 法華は、灸の痕の上に(杖を一突き)痛みを加えて針砭する。あなたが息を吹き返し、立ち上がるのを待ち、ゆっくりとこう言おう。 「家は岷峨にあり、帰る道のりは少し遠い」
上堂。このことについて言うならば、まるでボロボロの船に乗って太湖を渡るようなものだ。暗い風が吹き荒れ、大波が雪のように渦巻き、白い波が天まで逆巻く。櫓も櫂も見えず、帆柱の影さえ倒れている。このような状況では、命は一瞬のうちにある。これまで学んだこと、覚えたこと、語れること、千の機転も万の変化も、少しも役に立たない。ただ前に進んで、それぞれ生きる道を求めるしかない。大きなことも、小さなことも、あなたの代わりにはできない。あなた方一同は、このような状況を見ても、まだ悟ろうとしない。それでここに来て、目を大きく見開き、何を求めているのか。(杖を引いて座を下りる。大衆は一斉に追い散らされる。再び侍者を呼んで言う)侍者よ、杖を収めて上堂せよ。百鳥が春風に啼き、村々には花柳が自ずとある。目前の機を明らかに示せば、大地の人々も知るだろう。声に従い色に逐われると、生きたまま重囲に陥る。色に覆われ声に乗ると、かえって型にはまってしまう。(杖を立てて言う)固い関門を打ち破り、海も山も平らに沈む。山鳥は自ら啼き、花は自ら笑う。結局、一点も心にかけない。
僧堂の上堂にて。鼻先を巧みに削り、風の斧を巧みに操る手。千の聖人の頭の辺りを覆い来たり、密々綿々と漏れることなし。土を混ぜて泥とすることも厭わず、牛小屋や馬屋を築き上げる。ただ一つの恩を知らぬ者を図る。飯を食い、眠りに耽り、夜を昼と為す易きこと。翻って脇尊者や稜道者を笑う、不器用な者よ。脇は席に至らず、座蒲団を坐り破り、驢馬の前、馬の後ろ。今に至るまで湖海に家の醜を揚げる。
上堂。十二時を引き回し、諸塵と向き合わず。羅飯を飽きるほど食べ、痩せた杖を持ってのんびり遊ぶ。三人で団となり、四人で隊を組む。雲の湧く谷間の曲がりくねった道で、蕨や茸を摘んで茶を煎じ、筍や芹を細かく切って膾にする。弥勒は知らず、釈迦も分からぬ。春風が密かな機微を透かし、高い林は夜明けに鶯の声が砕ける。眼で声を聞き、ただ門外に居る。
謝道場の三人の侍者が到着した。上堂する。犀牛を愛で、小玉を呼ぶ。一種の風采は、十分に俗塵にまみれている。勤巴子は病が膏肓に入り、老鹽官は笑みに鴆毒を含む。花は簇簇、錦は簇簇。雲峰老人はかつて刮目した。私は山水の窟より来たり、一生見ても足りぬと自ら謂う。見ても足りぬ。瞬きする間に、雲は幽谷に帰る。
上堂します。 高いと言っても、一寸の高さもありません。 低いと言っても、泰山のように高くもあります。 深いと言っても、蹄の跡にたまった水たまりほどもありません。 浅いと言っても、大海のように深くもあります。 法華経の高低深浅は、皆さんを少しも欺くことができません。 皆さんの高低深浅は、法華経を少しも欺くことができません。 (錫杖を手に取り、一画を描く) すべてを描き切り、これ以上論じることはありません。 鉢に盛られたご飯は、雲の子のように白く。 晴れた茶碗に浮かぶ茶は、雪の花のように香り高い。
上堂。湖は幾重にも隔たり、塵一つも届かぬ。断片の白雲、さえずる幽かな鳥。静かに石の欄に寄りかかり聴き、苔の衣をそっと払い臥す。この楽しみは林の下にのみあるべし。人の世には少なし。衲僧の家、眼には須弥山を納め、耳には四大海を納む。声色の堆に、閑かに行き閑かに坐す。(禅床を拍つ)全身、荒艸に入る。
浴仏上堂。水は硬き石頭を洗い、浪は枯れた楊樹を打つ。浄智荘厳の功徳聚。しかれども脱体無塵と雖も、未だ是れ法身の句を通ぜず。如何が是れ法身の句を通ぜん。只だ湖水有りて行路無し。下座して大仏殿に詣づ。杓頭に薦め取る。
謝首座が払子を執り、監寺が如意袋を司り、維那が楞厳会の香燭を担う。上堂して、茶杓をひっくり返し、眉毛に剣を掛ける。殺活の区別なく、邪正の弁別難し。古今、同じ轍を踏みつつも道は異なる。妙悟の玄機は轆轤のように転ずる。それでもなお、首座は何年に出家し、何年に行道したのか。化仏が光を放ち、如意が手に入るのを待って、はっきりと諸人に説こう。
上堂。燕が梁でさえずり、緑陰が壁を覆っている。糸繰りの車がきしきしと音を立て、風が繭の糸の香りを運んでくる。釈迦老子の三百六十の骨節は、すべて皆さんの前にさらけ出されている。ほんの少しも付け加えることはできず、ほんの少しも減らすこともできない。決して触れてはならない。触れるならば、蔡州を打ち破ることになる。なぜそうなのか。(しばらく沈黙してから言う)参禅の家屋の上堂。祖師以来、家は四方の壁だけ。もともとがらんどうで、何もないところだ。それなのに代々受け継がれてきて、ないものをあるようにし、東の垣根を壊して西の壁を補い、戸や窓を開け放ち、大空を切り刻み、ついには柱に丹を塗り、彫刻を施して徳を失ってしまった。どうすれば素朴で純粋な状態に戻ることができるのか。山僧がこのように言うのも、鵜の言葉に鶴が混じっているようなものだ。
端午の法座に上堂す。山僧、昨夜三更、夢に不思議の境に入り、無位の真人に逢いて、肘後の霊符を授かる。心法は泯亡し、字義は炳著す。画は古篆にあらず、体は梵書を越ゆ。聖智をもって知るべからず、凡情をもって測るべからず。今、天中節に遇い、拈出して諸人に与う。佩服して去れよ。(払子を以て、空中に三点を点じ、一画を画きて云う)白澤を懸くるを須いず、何ぞ菖蒲を食らうを用いん。千妖百怪尽く消除す。張道士、李師巫、風を望んで驚きて骨を蛻す。(払子を掛けて云う)薬の葫蘆を遺して行者に参を立つ。雲嶺に松を栽え、破れた钁頭、活きて佛祖を埋む。月坊に碓を舂ぎ、台鏡にあらざれば塵埃を染めず。齷齪の漢、地に布きて遍く悪蹤す。監本の獃、前車の覆轍を蹈む。良馬は鞭を窺い、一撥すれば便ち転ず。韓獹は塊を逐い、三搭しても回らず。無明の草、須らく器械の利きを要して剗除すべし。折柴の衝、豈に大力量の人無くして担荷せんや。且つ未だ黄梅の半夜、衣鉢を正伝するを説かず、先ず知るべし、法華近年、規繩を重ねて整う。坐臥経行、十二時に六賊を堤防す。頑愚孛悪、三十棒に三門を趂出す。斯くの如く告報す。傍観の咲いを取る。且つ道う、何をか笑うと。少年曾て龍蛇の陣を決し、老大還た稚子の歌に同じ。
上堂。石を枕に安らかに眠る。山雲四方に屯す。救うべからず。浣盆浣盆。さらに何をか徳山臨済のごときを説かん。棒は雨点のごとく、喝は雷奔のごとし。(膝を打って云う)草は人の行く路を迷わし、月は客愁の村にかかる。
兜率天の茅屋西堂が到着し、上堂した。 茅屋は新しい詩を詠み、内院で知識を尋ね求める。 身は勝境より来たり、句は活法より得る。 身にあらず句にあらず、毫釐も絶えたるもの。 慈氏も少陵もどうして知り得よう。 法華経も軽々しく饒舌を弄することを敢えず、 ただ恐れるは山鳥の言葉に微かな響きがあることを。
ある事があって上堂した。鴆鳥の羽、蠱毒の水。毒は人を傷つけず。服餌を妨げるものか。(払子で円相を一つ打って言う)ただこれだけのこと。毒を含んで人に噴きかけ、深く骨髄にまで入り込む。三世の諸仏は、それを畏れてウサギが蒼鷹を見るが如く。歴代の祖師は、それを遠ざけて龍が金翅鳥を怖れるが如し。ただ生き生きとした衲僧のみ、それを鼎の味のように嗜む。粉骨砕身してもなおやまず。彼のものを貪り、彼のものに執着する。(払子で禅床を一撃して言う)仏もどうしてあなたを救えようか。
聖なる僧のために光明を開く。 師家に出会わずに頭を打たれ、ただ俱輪が先に渡ったとむやみに語る。 たとえすべての煩悩を一瞬に超えたとしても、結局は染まってしまう。 染まらずにいること。
(筆で目を点じて言う) 生きた眼を開き、光が宇宙を飲み込む。
祈晴の上堂。長雨が止まず、晴れない。高い所も低い所も水浸しで、釈迦の鼻の穴まで浸かり、迦葉の眼まで水に漬かっている。(杖を掲げて言う)この主杖子は、天地が混沌としている時、諸侯を立てて安らぎを得るべきである。まさにこの時、どこで皮草を干せばよいのか。(卓を一打つ)正眼が開けて日のように明るく、重い闇が払われて天が清らかになる。
住職してちょうど一年。 日も夜も慌ただしく過ぎた。 庭は荒れ手で草を抜き、 家は老朽し身を圧す。 心も気も使い果たし、 百の醜さ、千の拙さ。 ふと、三条の椽の下で、 飯を食い眠りを貪った日々を思い出す。 凡夫も聖者も、情けは空しく、 心の働きは滅びる。 赤裸々なまま、生き方は変わる。 生き方は変わる。 羊頭の車に乗せて、月を推す。
上堂。諸々の田畑の旱魃や洪水は憂いではない。ただ恐れるは、水牛の調教が難しいことだ。鼻綱を引き抜いて、のんびりと眠りにつく。数声の笛の音が、秋の野原に響く。形も影もまったくない。誰が放ち、誰が収めるのか。全身が白く、全身が黒い。風煙の中を遊戯し、百草の先端に立つ。
上堂。三伏の暑さが蒸し、汗が雨のように流れる。老いた白雲は、迷いを説き悟りを説く。一本の草の上に瓊楼を建てる。(喝云)熟睡して饒に譫語す。
上堂。体を覿面に全く彰かし、かつて覆い隠すことなし。蝉の声は古寺に集い、鳥の影は寒塘を渡る。眼には筋なく、こっそり観れば即ち暗し。耳には竅あり、絶えて聴くも何の傷かあらん。笑うに堪えぬは勤川の孟八郎、諸仏の出身処を知らず、誤って量りを搏つ。薰風南より来たり、殿閣微涼を生ず。傍人を引きて熱荒を鬪わしむ。(拍膝云)鵲石何ぞ曾て光を放つことを解せん。
上堂。智では知ることができない。金剛手が八楞の鎚を握る。識では識ることができない。鎮州から大きな大根が出る。言葉では造ることができない。山の鳥が集まって明け方に清らかに啼く。沈黙では通じることができない。八角の亀が大きな虫を飲み込む。この四重の関所を、古今どれほどの人が通り抜けられなかったことか。法華はあなたに、八字に開かれている。それでもなお、腕を振り回して関所を通り抜ける者はいるか。(自分に言う)いる。(両手を広げて言う)私の身分証明書を返してくれ。
解制上堂。蝋人形の氷を守らず。鵝が雪を護るのを憐れまず。六根の門を互いに用いて、大地は一つの鉄の塊。(払子を打ち鳴らして言う)百に雑ぜて砕けた。妙は尽き、依るものは亡びる。腕を枕に緑の蔦、形と影は絶える。花を献げる百鳥、自ら空しく忙しむ。
謝新舊職事上堂。 里山の前の小屋に、一棚の人形芝居。 あちらこちら、進んだり退いたり。 東山の太鼓の音に合わせて、時を送り、 楊岐の舞台衣装を身にまとって、編成に合わせる。 操り手の糸に引かれてはいるが、 三つの舞台の妙なる舞いを誰ができないというのか。 誰ができないというのか。 喝采の一声に、カラスが飛び立ち、カササギが鳴く。
謝連監寺上堂の法話。 司南車は、ぐるぐると回り、 暗闇を行く者に道を指し示し、 他人の指図など受けようとしない。 三本足の驢馬は足を止めて進まず、 老楊岐は、悪い行いは隠しきれない。 それでも、静けさは道を養う源であり、 退くことは身を修める根本である。 足を踏み出すなら、失敗の轍をたどるな。 白牛が露地に横たわり、安らかに眠る。
上堂。四十余年の間、白雲の下に高く臥し、何の理由もなく脳を刺す膠の盆に、日夜家の火を焚き続けてきた。田畑は水に沈み、死と隣り合わせ。家屋は傾き、身を安んじることも難しい。山の僧が冷たい地で思いを巡らせると、思わず呵呵と大笑いしてしまう。何を笑うのか。定められた業は逃れられぬ。ならば笑い破ってしまおう。幸いにも東村の王老が知っていて、竹の垣根を回りながら「りりろろ」と歌ってくれる。(禅床を叩きながら言う)まるで大石調のようではないか。
中秋の都場監収に謝し、知客維那と共に上堂す。
庭に明月可なり、鴈影寒水に沈む。 金を烹ずる炉冷え、歳華深し。 九鼎の遺言、なお耳に在り。
(主丈を拈じて云く) 深く深く撥ねれば、宿火紅に通ず。 一槌を仮らずして大器を成す。 刈禾の鎌子、風の如く疾し。
退院の上堂にて。秋の夕べ、台星が命宮を照らす。通じぬこともまた通ず。趙国の連城の璧を持ち帰り、我が蘿窻の一枕の風と換えん。
希叟和尚広録 巻第一