施諸餓鬼飲食及水法(并手印)
施餓鬼に飲食と水を施す法(並びに手印)
特進試鴻臚卿大興善寺三藏沙門大廣智不空奉 詔譯
特進試鴻臚卿大興善寺三藏沙門大広智不空奉詔訳
先出眾生食,事須如法。周匝種種皆著並須淨好,或一分或少許或一器,皆須安淨銅器中如法。如無銅器,白瓷亦得。如無瓷器,可用漆器。其飲食須和清水。面向東立,坐亦得作法。
まず、供えるべき食事を用意する際は、必ず作法に従わねばなりません。まわりくまなく様々な品を並べ、清らかで美しく整えなければなりません。ごく一部でも、ほんの少しでも、または一つの器でも、すべて清らかな銅器に納めるのが作法です。もし銅器がなければ、白い磁器のものでも結構です。磁器もなければ、漆器でも構いません。その食事には、必ず清水を混ぜ合わせてください。東に向かって立つか、座って道具を整えることもできます。
夫欲施一切餓鬼飲食者,先須發廣大心普請餓鬼。先誦此偈至心一遍,然後作召請法,所獲福利果報不可校量。
すべての餓鬼に飲食を施そうとする者は、まず大きな心を起こして餓鬼たちを広く招きなさい。この偈を心を込めて一度唱えてから、召喚の作法を行いなさい。そうすれば得られる福徳や果報は、量り知れないものとなるでしょう。
比丘比丘尼發心奉持, 一器淨食,
普施十方, 窮盡虛空, 周遍法界,
微塵剎中, 所有國土, 一切餓鬼,
先亡久遠, 山川地主, 乃至曠野,
諸鬼神等, 請來集此。 我今悲愍,
普施汝食, 願汝各各, 受我此食。
轉將供養, 盡虛空界, 以佛及聖,
一切有情。 汝與有情, 普皆飽滿,
亦願汝身, 乘此呪食, 離苦解脫,
生天受樂, 十方淨土, 隨意遊往,
發菩提心, 行菩提道, 當來作佛,
永莫退轉。 前得道者, 誓相度脫。
又願汝等, 晝夜恒常, 擁護於我,
滿我所願。 願施此食, 所生功德,
普將廻施, 法界有情, 與諸有情,
平等共有, 共諸有情, 同將此福,
盡將迴向, 真如法界, 無上菩提,
一切智智, 願速成佛, 勿招餘果,
願乘此法, 疾得成佛。
比丘・比丘尼が発心してこの施しを奉じ行います。 清らかな食べ物を一器用意し、 すべての方角に広く施します。 虚空の尽きるところまで、 法界のあまねく隅々にまで、 微塵のように無数の世界、そのすべての国土にいる あらゆる餓鬼たちよ、 遠い昔に亡くなった先人たちよ、 山川の地主よ、 さらには野原にいる 様々な鬼神たちよ、 どうかここに集まり来てください。 私は今、深い憐れみの心から、 あなたがたに食べ物を広く施します。 どうかあなたがた一人ひとりが、私のこの施しを受けてください。 そして、その施しをさらに、 尽虚空界の仏や聖者、 すべての生きとし生けるものへと お供えしてください。 あなたとすべての生きとし生けるものが、 皆が満ち足り、 また、あなたの身も、 この呪文の力による施しによって、苦しみから離れて解脱し、 天に生まれて楽しみを受け、 十方の浄土へと自由に遊び行き、 菩提心を起こし、 菩薩道を歩み、 将来には仏となり、 決して退転することがありませんように。 先に悟りを得た方々は、必ず私たちを救い導くことを誓ってくださいます。 また、あなたがたが 昼も夜も絶え間なく、私を守り、 私の願いを満たしてくださいますように。 この施しによって生じる功徳を、 広くすべての生きとし生けるものに回施し、 すべての生きとし生けるものと 平等に共有し、 皆でこの福徳を、 真如法界、無上の菩提、 一切智智へとすべて回向し、 速やかに仏となることを願い、 他の結果を招くことなく、 どうかこの教えに乗って、 疾く仏と成れますように。
合掌當心誦此偈,以印作召請。開喉印:以右手大指與中指面相捻,餘三指相去微作曲勢即是,名普集印。呪曰:
掌を合わせて心に向かい、この偈を唱えよ。印を結び、招き請ずるのである。
のどを開く印:右手の親指と中指の先を軽く合わせ、他の三本の指はわずかに離して曲げた形にする。これは普集印と呼ばれる。
呪文は次の通りである。
曩謨步布入哩迦哩多哩怛他引蘖多也
オン・アノ・ハラ・ブ・ニ・キリ・カ・キリ・タ・キリ・テ・イ・シャ・ニ・エ・タ・ニ・キリ・タ・ケイ・ヤ
作此印誦此呪一七遍,廣運悲心,願令法界微塵剎中一切餓鬼悉皆雲集。
この印を結び、この呪(真言)を七回唱えながら、広く慈悲の心をもって願いを起こしなさい。どうか、あらゆる世界の、塵のように無数の国々にいるすべての餓鬼たちが、皆、雲のように集まってきますように。
又誦開地獄門及咽喉呪曰:
また、地獄の門を開き、咽喉(のど)のための呪文を唱える。
唵步布入帝哩迦多哩怛他蘖多引也
唵、歩くブッダ、真理に至る者、如来・応供・正等覚者よ。
誦此呪時,以左手執持食器,以右手作前召請印,唯改一誦呪一彈指,以大指與中指頭相捻彈指作聲即是。餘三指開稍微曲,此名破地獄門及開咽喉印。爾時如來即說無量威德自在光明勝妙之力加持飲食陀羅尼曰:
この呪を唱える時は、左手で供え物の器を持ち、右手で先ほどの召請の印を結びます。ただし、呪を一度唱えるごとに指を一回鳴らすように変えます。親指と中指の先を合わせて弾き、音を出すのが作法です。残りの三本の指は開いて、少し曲げます。これを「地獄の門を破り、喉を開く印」と呼びます。
その時、如来は次の陀羅尼を説かれました。この陀羅尼は、無量の威徳ある自在の光明と勝れた妙なる力によって、飲食の供え物を清め、その功徳を増大させるものです。
曩莫薩嚩怛他蘖多嚩嚕吉帝唵三娑羅三婆羅吽引
オン・サン・ソラ・サン・ソラ・ウン
誦此呪一七遍,一切餓鬼各皆得摩伽陀國所用之斗七七斛之食,食已皆得生天或生淨土。能令行者業障消除、增益壽命,現世獲無量無邊福,況當來世。即作手印誦此真言加持飲食。以右手大指摩中指甲三兩遍,三指直立之。又以大指捻頭指彈指作聲,一誦呪一彈指即是。
この呪文を七回唱えると、すべての餓鬼はそれぞれマガダ国で用いられる斗で七十七斛分の食べ物を得ます。それを食べた後、皆天界に生まれ変わるか、あるいは浄土に生まれ変わります。この修行をすれば、その人の業障は消え去り、寿命も延び、現世で限りない福徳を得ることができます。ましてや来世においてはなおさらです。そこで、印を結び、この真言を唱えて飲食を加持します。右手の親指で中指の爪を二、三回撫で、三本の指を立てます。また、親指で人差し指を押さえ、指を鳴らします。呪文を一度唱えるごとに一度指を鳴らすのが作法です。
又誦蒙甘露法味真言,作施無畏印。以右手竪臂,展五指直上即是。真言曰:
また、甘露の法味の真言を唱え、施無畏印を結びます。右手の腕を立て、五本の指をまっすぐ上に伸ばすのがその印です。真言は次の通りです。
曩莫蘇嚕頗也怛他蘖多也怛儞也他唵蘇嚕蘇嚕鉢羅蘇嚕鉢羅蘇嚕娑嚩二合賀引
オン・ソロソロ・ハラ・ソロ・ハラ・ソロ・ソワカ
作前施無畏印,誦此呪施甘露真言一七遍,能令飲食及水變成無量乳及甘露,能開一切餓鬼咽喉,能令飲食廣得增多平等得喫也。
まずは施無畏印を結び、この甘露の真言を七回唱えなさい。そうすることで、食べ物や水が無量の乳や甘露に変わります。これは、すべての餓鬼の喉を開き、食べ物が豊かになり、すべての者が平等に食べられるようになるのです。
次作毘盧遮那一字心水輪觀真言印。先想此鑁字於右手心中猶如乳色,變為八功德海,流出一切甘露醍醐。即引手臨食器上呪曰。誦此鑁字一七遍,即展開五指向下臨食器中,觀想乳等從字中流出猶如日月乳海,一切鬼等皆得飽滿無有乏少。此名普施一切餓鬼印。真言曰:
次に、毘盧遮那の一字心水輪観の真言と印を結ぶ。まず、この「鑁(ぼん)」の字を右手の手のひらの上に、乳白色のように思い描く。それが八功徳の海へと変わり、すべての甘露や醍醐を流れ出させる。その手を食事の器の上に近づけて、この「鑁」の字を七回唱える。そして五本の指を広げて、下にある食事の器へと手を向ける。乳などがこの字から流れ出て、あたかも太陽や月のような乳の海となるのを思い描く。すべての餓鬼たちが満たされ、不足するものは何もなくなる。これを「すべての餓鬼に施す印」という。真言は次の通りである。
曩莫三滿多沒馱喃鑁去
南無三滿多沒馱喃 鑁
觀想誦此呪一七遍已,寫於淨地無人行處,或水池邊樹下,唯不得寫於桃樹、柳樹、石榴樹下。寫訖更為至心稱五如來名號三遍,功德無量。
この呪文を七回唱えて心に観想した後、人のいない清らかな場所、あるいは水辺や木の下に書き記しなさい。ただし、桃の木、柳の木、ザクロの木の下には決して書いてはならない。書き終えたなら、心を込めて五如来の名号を三回唱えなさい。その功徳は計り知れないものとなる。
曩謨薄伽筏帝鉢囉步多囉怛曩也怛他蘖多引也
オン・バザラ・ダルマ・キリク・ボーディ・サットヴァ・アーラ・ユキ (心の真髄を開く言葉、さあ、 覚りへの道を進みましょう)
曩謨寶勝如來,除慳貪業,福德圓滿。
南無宝勝如来、もの惜しみや貪りの行いを清め、福徳を円満にします。
曩謨薄伽筏帝蘇嚕波耶怛他蘖多引也
南無仏陀伽耶 薄伽梵 如来 多羅 怛他蘖多 蘇嚕波耶
曩謨妙色身如來,破醜陋形,相好圓滿。
南無妙色身如来、醜い姿を打ち破り、相好が円満にそろいまっています。
曩謨婆伽筏帝阿蜜㗚帝囉惹耶怛他蘖多引耶
南無 薄伽筏帝 阿蜜㗚帝 囉惹耶 怛他蘖多耶
曩謨甘露王如來,灌法身心,令受快樂。
南無甘露王如来。その教えを身心に注ぎ、安らぎと喜びを与えたまえ。
曩謨婆伽筏帝尾布邏蘖怛羅二合耶怛他蘖多引也
オン・ノウボウ・サ・バ・ガ・バツ・ホウ・テイ・ビ・フ・ラ・ギャ・テツ・ラ・ヤ・タ・タ・ギャ・タ(イン)・ギャ
曩謨廣博身如來,咽喉寬大受妙味。
南無広博身如来、のどは広く大きくて、うまい味を受ける。
曩謨婆伽筏帝阿婆演迦羅引耶怛他引蘖多引耶
曩謨婆伽筏帝、阿婆演迦羅耶、怛他蘖多耶。
曩謨離怖畏如來,恐怖悉除,離餓鬼趣。
帰命します、畏れを離れた如来よ。一切の恐怖が除かれ、餓鬼の境涯を離れさせたまえ。
行者若能如此為稱五如來名者,以佛威光加被彼故,能令一切餓鬼等無量罪滅、無量福生,得妙色廣博、得無怖畏,所得飲食變成甘露美妙之食,速離苦身生天淨土。
行者の皆さんが、このようにして五如来の御名を唱えるならば、仏様の威光が加護されることにより、すべての餓鬼などの無量の罪が滅し、無量の福が生まれます。見事な姿を得て広く広がり、恐れのない状態を得て、得た飲食は甘露の美妙な食べ物に変わり、苦しみの身から速やかに離れて、天の浄土に生まれ変わります。
若施食已,行者當更為諸鬼神等誦受菩薩三昧耶戒陀羅尼。每誦三遍。真言曰(印合掌也):
施食が終わったら、修行者はさらに諸々の鬼神たちのために、菩薩の三昧耶戒(さんまやかい)の陀羅尼(だらに)を唱えます。毎回三回ずつ唱えてください。真言は次の通りです(印を結び、両手を合わせます):
唵三摩耶薩怛梵
「オン、サン・マ・ヤ・サツ・タ・バン」
誦三遍已,一切鬼神皆得堪聞甚深祕法,盡得具足三昧耶戒,獲無量福。
三回唱え終われば、すべての鬼神たちは深遠なる密法を聞くにふさわしい者となり、完全に三昧耶戒を具足し、無量の福徳を得るでしょう。
已施諸餓鬼悉皆飽滿訖,當須以陀羅尼法發遣,方得歸於本所。發遣解脫真言曰:
すでに餓鬼に施しを与え、すべてが満ち足りたならば、陀羅尼の法を用いて送り出すべきである。そうすれば、彼らは元の場所に帰ることができる。送り出し解脱の真言(マントラ)は次の通りである。
唵嚩日囉目乞灑穆
「オン、ヴァジュラ・ムクシャ・フーム」
若誦發遣呪,先作呪印。以右手作拳,以大指捻頭指,仰掌彈指作聲。是名發遣啟。每寫食了,誦一七遍彈指,能令一切鬼神得此食已當得去也。若不發遣,不得去也。
もし「発遣の呪」を唱えるなら、まず呪印を結びなさい。右手で拳を作り、親指で人差し指を押さえ、手のひらを上に向けて指を鳴らして音を出す。これを「発遣の作法」と呼ぶ。食べ物を供えるたびに、この呪を七回唱えて指を鳴らせば、すべての鬼神がこの食べ物を得た後に去っていくことができる。もし発遣しなければ、去っていくことができない。
若不具足如是法者,施諸餓鬼皆不得周匝,或有得者或有不得者,虛用功力深可愍哉。
もしこれらの法を完全に備えていなければ、餓鬼に施しを行っても、すべてに行き渡ることはありません。ある者は受け取れても、ある者は受け取れず、ただ無駄に労力を費やすだけであり、それは本当に哀れむべきことです。
若有行者發菩提心能如是修行者,具足此法施諸餓鬼者,一切餓鬼皆得飽滿無有乏少。持法之人悉應知之。若以加持飲食陀羅尼,持一器淨食寫淨流水中,能令一切婆羅門仙皆得此食,食已異口同音呪願,此人於現世中即得延壽,其人具足梵天威德、行梵天行。若以此呪呪一切供養佛物,若水若香花飲食,皆呪二十一遍而然供養佛,即如是種種以供養十方一切諸佛無異。
もし修行者が発菩提心を起こし、このように修行することができ、この法を備えて餓鬼に施しを行うならば、すべての餓鬼は満たされ、欠けるところがなくなる。この法を修める者は、よくこれを知るべきである。
もし加持飲食陀羅尼を用いて、一器の清らかな食べ物を清らかな流水に流すならば、すべての婆羅門仙がこの食べ物を得ることができる。食べた後は、それぞれ口をそろえて祝福を唱える。この者は現世において寿命を延ばすことができ、梵天の威徳を具え、梵天の行いを行う。
もしこの呪で、仏に供養するすべての物——水や香り花、食べ物など——を呪するなら、二十一回呪してから仏に供養すると、このようにして十方のすべての仏に種々の供養を捧げるのと何ら変わることがない。
施燋面餓鬼一切鬼神陀羅尼經要決
施餓鬼神陀羅尼経要決
別有救面然餓鬼陀羅尼經,唐實叉難陀譯。
「別に救面然餓鬼陀羅尼経あり、唐・実叉難陀訳」
貞享四年中春二十日一校了 淨嚴(四十九載)
貞享四年中春二十日 一校了 淨嚴(四十九歳)
元祿十六年二月十七日 以淨嚴和上本再校了 尊教
元禄16年2月17日 浄厳和上の本により再校しました 尊教
寶永三丙戌之春 得此密軌 戊子之冬十月二十二日一校了 性寂
宝永三年、丙戌の春にこの密軌を得た。戊子の冬、十月二十二日に一校を終えた。 性寂