佛說救拔熖口餓鬼陀羅尼經
仏説救抜焔口餓鬼陀羅尼経
開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戶賜紫贈司空謚大鑒正號大廣智大興善寺三藏沙門不空奉 詔譯
開府儀同三司・特進・試鴻臚卿・肅國公・食邑三千戸・紫賜・司空贈
爾時,世尊在迦毘羅城尼俱律那僧伽藍所,與諸比丘,并諸菩薩,無數眾會,前後圍遶,而為說法。
その時、世尊はカピラ城のニグロダ僧院におられ、多くの比丘たちや菩薩たち、数え切れないほどの大衆に前後を囲まれながら、説法をなさっていました。
爾時,阿難獨居靜處,念所受法。即於其夜三更已後,見一餓鬼,名曰「焰口」,其形醜陋、身體枯瘦、口中火然、咽如針鋒、頭髮蓬亂、爪牙長利,甚可怖畏,住阿難前,白阿難言:「却後三日,汝命將盡,即便生於餓鬼之中。」
その時、阿難は一人で静かな場所にいて、これまでに教えを受けた教えを思い巡らしていました。すると、その夜の三更(午後十一時頃)を過ぎたころ、一人の餓鬼が現れました。その名は「焰口(えんく)」。その姿は醜く、体は枯れ細り、口からは火が燃え上がり、のどは針の先のように細く、髪はぼうぼうと乱れ、爪や牙は長く鋭く、まことに恐ろしい姿をしていました。その餓鬼は阿難の前に立ち、阿難に言いました。「三日後、あなたの命は尽き、そのまま餓鬼の世界に生まれ変わることになるでしょう。」
是時,阿難聞此語已,心生惶怖,問餓鬼言:「若我死後,生餓鬼者,行何方便,得免斯苦?」
その時、阿難はこの言葉を聞き、心に恐れと不安を抱き、餓鬼に尋ねました。「もし私が死後、餓鬼に生まれるならば、どのような方法を行えば、この苦しみから逃れられるでしょうか?」
爾時,餓鬼白阿難言:「汝於明日,若能布施百千那由他恒河沙數餓鬼,并百千婆羅門仙等,以摩伽陀國所用之斛,各施一斛飲食,并及為我供養三寶,汝得增壽,令我離於餓鬼之苦、得生天上。」
その時、餓鬼が阿難に申し上げました。「あなたは明日、もし百千那由他恒河沙の数の餓鬼と、百千の婆羅門仙たちに、摩伽陀国で使われている枡で、それぞれ一枡の飲食を施し、さらに私のために三宝を供養してくださるなら、あなたは寿命を延ばし、私を餓鬼の苦しみから離れさせ、天上に生まれることができるでしょう。」
阿難見此焰口餓鬼,身形羸瘦、枯燋極醜、口中火然、咽如針鋒、頭髮蓬亂、毛爪長利,又聞如是不順之語,甚大驚怖,身毛皆竪。即從座起,疾至佛所,五體投地,頂禮佛足,身體戰慄,而白佛言:「願救我苦!所以者何?我住靜處,念所授法,見焰口餓鬼,而語我言:『汝過三日,必當命盡,生餓鬼中。』我即問言:『云何令我得免斯苦?』餓鬼答言:『汝今若能施於百千那由他恒河沙數餓鬼,及百千婆羅門仙等種種飲食,汝得增壽。』世尊!我今云何能辦若干餓鬼、仙人等食?」
阿難はこの焰口餓鬼を見て、その姿は痩せ衰え、枯れ果てて極めて醜く、口の中は火が燃え、のどは針の先のように細く、髪はぼうぼうと乱れ、爪は長く鋭い。さらにこのような不吉な言葉を聞き、非常に驚き恐れ、全身の毛が逆立った。すぐに座から立ち上がり、急いで仏のもとへ行き、五体投地して仏足を礼拝し、体を震わせながら仏に申し上げた。「どうか私の苦しみをお救いください。なぜなら、私は静かなところで授かった教えを念じていたところ、焰口餓鬼が現れ、私にこう言ったのです。『あなたは三日後、必ず命が尽き、餓鬼の世界に生まれ変わります。』私はすぐに尋ねました。『どうすればこの苦しみを免れることができるでしょうか。』餓鬼は答えました。『今、もし百千那由他恒河沙の数の餓鬼や、百千の婆羅門仙などに様々な飲食を施すことができれば、あなたは寿命を延ばすことができるでしょう。』世尊よ、私はどうしてこれほどの数の餓鬼や仙人たちの食事を用意できましょうか。」
爾時,世尊告阿難言:「汝今勿怖!我有方便,令汝能施若干百千恒河沙餓鬼,及諸婆羅門仙等,種種飲食,勿生憂惱。」
その時、世尊は阿難に告げられました。「今、恐れることはない。私は方便を説こう。あなたが無数の恒河の砂の数の餓鬼や、さまざまな婆羅門の仙たちに、いろいろな飲食物を施すことができるように。憂い悩む心を起こしてはならない。」
佛告阿難:「有陀羅尼,名曰『無量威德自在光明殊勝妙力』。若有誦此陀羅尼者,即能充足俱胝那由他百千恒河沙數餓鬼,及婆羅門仙等,上妙飲食。如是等眾,乃至一一,皆得摩伽陀國所用之斛七七斛食。阿難!我於前世作婆羅門,於觀世音菩薩所,及世間自在威德如來所,受此陀羅尼故,能散施與無量餓鬼及諸仙等種種飲食,令諸餓鬼解脫苦身、得生天上。阿難!汝今受持,福德、壽命皆得增長。」
仏は阿難に告げられた。「『無量威徳自在光明殊勝妙力』という名の陀羅尼がある。もしこの陀羅尼を唱える者がいれば、無数の餓鬼やバラモンの仙人たちに、最上の飲み物や食べ物を満たすことができる。これらの者たちは、一人ひとりがマガダ国で使われる大きな枡で、七七四十九枡分の食べ物を得るのだ。阿難よ、私は前世においてバラモンであった時、観世音菩薩と世間自在威徳如来のもとでこの陀羅尼を受け、無数の餓鬼やさまざまな仙人たちに多くの飲食物を施すことができた。それによって餓鬼たちは苦しみの身から解き放たれ、天上界に生まれることができた。阿難よ、今、あなたがこの教えを受け持ち実践すれば、福徳と寿命の両方が増し加わるであろう。」
爾時,世尊即為阿難說陀羅尼曰:
その時、世尊は阿難のために次の陀羅尼を説かれました。
「那謨薩嚩怛他蘖多(引)嚩盧枳帝唵參婆囉 參婆囉 吽」
南無一切如来、観自在菩薩よ、唵、清浄なるかな、清浄なるかな、吽。
佛告阿難:「若有善男子、善女人,欲求長壽、福德增榮,速能滿足檀波羅蜜,每於晨朝、及一切時,悉無障礙,取一淨器,盛以淨水,置少飯麨及諸餅食等,以右手加器,誦前陀羅尼滿七遍,然後稱四如來名號:
仏陀は阿難に告げられた:「もし善男子や善女が、長寿や福徳の増大を願い、布施波羅蜜を速やかに満たしたいと望むならば、毎朝、あるいはいつでも、何の妨げもなく、清らかな器を取り、清らかな水を入れ、少しの飯や餅などの食物を添え、右手を器の上に置き、先の陀羅尼を七回唱え、その後、四如来の名号を称えなさい。
「曩謨婆誐嚩帝鉢囉(二合)枳孃(二合)部(引)多囉怛曩(二合)怛他孽多也(此云多寶如來)
南無、尊き多宝如来に帰依いたします。
「由稱多寶如來名號加持故,能破一切諸鬼多生已來慳悋惡業,即得福德圓滿。
多宝如来の御名号を称えることによって加護を得ることで、一切の諸鬼の長年にわたる貪りと吝嗇の悪業を破ることができ、即座に福徳円満を得ることができる。
「那謨 婆誐嚩帝素嚕波(引)耶怛他誐哆野(此云南無妙色身如來)
南無 世尊 妙色身如来に帰依いたします
「由稱妙色身如來名號加持故,能破諸鬼醜陋惡形,即得色相具足。
妙色身如来の御名を称える加持によって、あらゆる鬼の醜く恐ろしい姿を打ち破り、たちまちにして色相が満ち足りたものとなる。
「曩謨婆誐嚩帝尾鉢囉(二合)誐攞孽多怛囉(二合)也 怛他孽多也(此云廣博身如來)
南無 広大なる身の如来たる 世尊に帰依いたします。
「由稱廣博身如來名號加持故,能令諸鬼咽喉寬大,所施之食,恣意充飽。
広大な身体を持つ如来の御名を称える加持により、餓鬼たちの喉が広がり、施された食物を満足にいただくことができるのです。
「曩謨婆誐嚩帝阿(上)婆(去)孕迦囉也怛他蘖多也(此云離怖畏如來)
南無、世尊、阿閦如来に。
「由稱離怖畏如來名號加持故,能令諸鬼一切恐怖悉皆除滅,離餓鬼趣。」
「怖れを離れた如来の名号を称える功徳により、加持を受けることで、あらゆる鬼たちの恐怖がことごとく除かれ、餓鬼の苦しみから離れることができる。」
佛告阿難:「若族姓善男子等,既稱四如來名號加持已,彈指七遍,取於食器,於淨地上,展臂瀉之。作此施已,於其四方,有百千那由他恒河沙數餓鬼,前各有摩伽陀國七七斛食。受此食已,悉皆飽滿,是諸鬼等,悉捨鬼身,生於天上。
仏は阿難に告げられた。「もし善き家柄の男子たちが、四如来の名号を称えて加持を終えたなら、指を鳴らして七回、食器を取り、清らかな地面の上で、腕を伸ばして(食べ物を)注ぎなさい。この施しを行ったなら、四方には、百千の那由他恒河沙の数の餓鬼がおり、それぞれの前に摩伽陀国の七七斛の食べ物があるでしょう。この食べ物を受け取った後、彼らは皆満腹し、これらの鬼たちは皆、鬼の身を捨てて、天上に生まれ変わります。
「阿難!若有比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷,常以此密言及四如來名號加持食施鬼,便能具足無量福德,則同供養百千俱胝如來功德等無差別,壽命延長、增益色力、善根具足,一切非人、夜叉、羅剎、諸惡鬼神不敢侵害,又能成就無量福德壽命。
阿難よ、もし比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷が、常にこの密なる言葉と四如来の名号をもって食物を加持し、餓鬼に施すならば、無量の福徳を具足することができ、百千の俱胝(くてい)もの如来を供養する功徳と等しく差別なく、寿命は延長し、色力(しきりき)は増し、善根は具足します。一切の非人、夜叉、羅刹、諸々の悪鬼神は敢えて侵害することができず、さらに無量の福徳と寿命を成就することができるのです。
「若欲施諸婆羅門仙等,以淨飲食滿盛一器,即以前密言加持二七遍,投於淨流水中。如是作已,即為以天仙美妙之食,供養百千俱胝恒河沙數婆羅門仙。彼諸仙人得加持食故,以密言威德,各各成就根本所願、諸善功德,各各同時發誓願言:『願是食人,令壽延長、色力安樂;又令其人,心所見聞,正解清淨,具足成就梵天威德、行梵天行。又同供養百千恒河沙如來功德,一切冤讎不能侵害。』
もし諸々の婆羅門仙などに施しを行いたいならば、清浄な飲食を器に満たし、先の密言を二七回唱えて加持し、清らかな流れの水に投じなさい。このように行えば、天仙の美しい食物をもって、百千の俱胝、恒河の砂の数ほどの婆羅門仙を供養したことになります。それらの仙人たちは加持された食物を得ることで、密言の威徳により、それぞれ根本の願いと善き功徳を成就し、同時に誓願を発します:「この食物を施す人が、寿命が延び、色つやが良く、安楽でありますように。また、その人の心に映る見聞きが正しく理解され清らかであり、梵天の威徳を具え、梵天の行いを成し遂げられますように。さらに、百千の恒河の砂の数ほどの如来を供養する功徳と同じく、すべての怨みや敵が害をなすことができませんように」
「若比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷,若欲供養佛、法、僧寶,應以香、華及淨飲食,以前密言加持二十一遍,奉獻三寶。是善男子、善女人,則成以天餚饍上味,奉獻供養滿十方界佛、法、僧寶,亦為讚歎、勸請、隨喜功德,恒為諸佛憶念稱讚,諸天善神恒來擁護,即為滿足檀波羅蜜。
もし比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷が、仏・法・僧の三宝を供養したいと願うならば、香や花、清浄な飲食を用意し、この秘密の真言を二十一遍唱えて加持し、三宝に奉げなさい。
そうすれば、その善男子・善女人は、天界の美味なる食事をもって十方世界の仏・法・僧の三宝に奉げ供養したのと同じ功徳を得られます。また、讃嘆・勧請・随喜の功徳も成就し、常に諸仏から憶念され称賛され、諸天善神が常に来て守護してくださいます。これによって、布施波羅蜜が満たされるのです。
「阿難!汝隨我語,如法修行,廣宣流布,令諸眾生普得見聞,獲無量福。是名『救焰口餓鬼及苦眾生陀羅尼經』,以是名字,汝當奉持。」
阿難よ、私の言葉に従い、正しく修行を実践し、広く人々に伝え広めなさい。そうすれば、すべての生きとし生けるものが広く見聞し、計り知れない福徳を得ることができるでしょう。これこそが『救焰口餓鬼及苦衆生陀羅尼経』と呼ばれるものであり、この名をもって、あなたは心を込めて受け持ちなさい。
一切大眾及阿難等,聞佛說已,一心信受,歡喜奉行。
すべての大衆と阿難たちは、仏の説法を聞き終えると、一心に信じて受け入れ、喜びをもって実践に移しました。
救拔焰口餓鬼陀羅尼經
救済焔口餓鬼陀羅尼経