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雑譬喻経 (雜譬喻經)

「雜譬喻經」について

道略集 著

1.3 万字 · 約 42 分

『雑譬喩経』は、後秦の時代に僧侶の道略によって編纂・記録されたもので、中国仏教における初期の譬喩類の経典として重要な集成です。この経典は、生き生きとした寓話や比喩の手法を通じて、因果応報、修行の方法、般若の空性などの教えを明らかにしており、内容は分かりやすく、深い哲理に富んでいます。その成立背景は、仏教が東漸した初期において、中国の文化に適応させながら教えを広める必要と深く結びついており、古代インドの仏教思想と中国の物語伝統とが融合しています。初期仏教文学や教義の伝播を研究する上での重要なテキストとして、この経典は仏教文学史上に重要な地位を占めるだけでなく、大乗仏教の譬喩文学の発展の基礎を築き、後世の禅宗の公案や仏教にまつわる民間説話にまで深遠な影響を与えました。


雜譬喻經

雑譬喩経

比丘道略集

比丘道略集

雀離寺師將沙彌下喻 聖王生九百九十九子喻 兄弟二人共為沙門喻 伎兒作種種伎喻 比丘被擯喻 目連與弟子下耆闍崛山喻 喜根喻 木師畫師喻 大迦葉婦因緣喻 兄好禪弟好多聞喻 羅云珠喻 龍昇天喻 於僧淨地大行喻 與貴人蹋唾喻佛與弟子入舍衛乞食喻 醫師治王病喻惡雨喻 阿修羅因緣喻 王子入山喻鹿林喻 尸利求多喻 從婆羅門乞食喻田舍人喻 呪龍喻 石當道喻蛇頭尾共諍喻 捕鳥師喻 五百力士為沙門喻 三堅要喻 賣酪自存喻 五百賈客入海求寶喻 劫盡燒因緣喻 貴人為比丘尼因緣喻草木皆可為藥喻 屠兒喻 王好布施喻龍藏水喻 聖王得輪因緣喻 梵王長壽喻

雀離寺の老師が沙弥を連れ下る譬え 聖王が九百九十九人の子を生んだ譬え 兄弟二人が共に沙門となる譬え 芸人が様々な芸を行う譬え 比丘が追放される譬え 目連と弟子が耆闍崛山を下る譬え 喜根の譬え 木工と絵師の譬え 大迦葉の妻の因縁の譬え 兄は禅を好み弟は多聞を好む譬え 羅云の珠の譬え 龍が天に昇る譬え 僧の清浄な地に大いに行う譬え 貴人と踏み唾する譬え 仏と弟子が舎衛に入り乞食する譬え 医師が王の病を治す譬え 悪い雨の譬え 阿修羅の因縁の譬え 王子が山に入る譬え 鹿林の譬え 尸利求多の譬え 婆羅門から乞食する譬え 田舎者の譬え 龍を呪う譬え 石が道を塞ぐ譬え 蛇の頭と尾が共に争う譬え 鳥を捕る師の譬え 五百人の力士が沙門となる譬え 三つの堅い要の譬え 酪を売って自ら養う譬え 五百人の商人が海に入り宝を求める譬え 劫の尽きる頃の焼く因縁の譬え 貴人が比丘尼となる因縁の譬え 草木が皆薬となる譬え 屠児の譬え 王が布施を好む譬え 龍が水を蔵する譬え 聖王が輪を得る因縁の譬え 梵王が長寿の譬え

(一)

(一)

昔雀離寺,有一長老比丘得羅漢道,將一沙彌時復來下入城遊觀,衣鉢大重,令沙彌擔隨從其後。沙彌道中便作是念:「人生世間無不受苦,欲免此苦當興何等道?」作是思惟:「佛常讚歎菩薩為勝,我今當發菩薩心。」適作是念,其師即以知他心通照其所念,語沙彌言:「持衣鉢來。」沙彌持衣鉢授與其師,師語沙彌:「汝在前行。」沙彌適在前行,復作是念:「菩薩之道甚大勤苦,求頭與頭求眼與眼,此事極難非我所辦,不如早取羅漢疾得離苦。」師復知其所念,語沙彌言:「汝擔衣鉢還從我後。」如是三反,沙彌怪愕不知何意。前至所止處,叉手白師請問其意。其師答曰:「汝於菩薩道三進故,我亦三反推汝在前;汝心三退故推汝在後。所以爾者,發菩薩心,其功德勝滿三千世界成就羅漢故也。」

昔、雀離寺に、ある長老師(ちょうろうし)がいました。この師は阿羅漢の道を得ており、一人の沙弥(しゃみ)を連れていました。ある時、師は沙弥を連れて町へ遊びに出かけましたが、衣(ころも)と鉢(はち)が大変重かったので、沙弥に担わせてその後ろに従わせました。

沙弥は道すがら、こう思いました。「人はこの世に生まれて、苦しみを受けない者はない。この苦しみを免れたいのならば、どのような道を興すべきだろうか。」こう考えて、「仏は常に菩薩を称えて勝れりとされる。私は今、菩薩の心を発そう。」と思いました。

ちょうどこの思いを起こした時、その師は他心通(たしんずう)の力によって、沙弥の心の中を照らし知りました。師は沙弥に言いました。「衣と鉢をこちらに持って来なさい。」沙弥は衣と鉢を師に渡しました。すると師は沙弥に言いました。「あなたは前を歩きなさい。」

沙弥が前を歩き出した時、またこう思いました。「菩薩の道は非常に大きな苦労が伴うものだ。頭を求められれば頭を与え、眼を求められれば眼を与える。これは極めて難しく、私がやり遂げられることではない。早く阿羅漢の果を得て、速やかに苦しみから離れるほうがよい。」

師は再びその心を知って、沙弥に言いました。「あなたは衣と鉢を担いで、再び私の後ろに従いなさい。」

このように三度繰り返されました。沙弥は怪しみ驚いて、その意図が分かりませんでした。やがて目的地に着くと、合掌して師に問いました。「お師匠さま、これはどういうことなのでしょうか。」

師は答えました。「あなたは菩薩の道に向かって三度進んだので、私も三度あなたを前に押し出したのです。そしてあなたの心が三度退いたので、あなたを後ろに下がらせたのです。なぜそうしたかというと、菩薩の心を発したその功徳は、三千世界を満たして阿羅漢の果を得るよりも勝れているからです。」


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