佛說大乘聖吉祥持世陀羅尼經
仏説大乗聖吉祥持世陀羅尼経
西天中印度摩揭陀國那爛陀寺傳教大師三藏賜紫沙門臣法天奉 詔譯
西天中インド摩掲陀国の那爛陀寺において伝教大師・三蔵・紫衣を賜った沙門・臣法天が、詔を奉じて訳したものです。
如是我聞:
このように、私はお聞きしました。
一時,世尊在憍睒彌國大棘林中,與大比丘眾四百五十人俱,皆是眾所知識大阿羅漢,并諸菩薩摩訶薩。諸佛法眾悉來集會,恭敬圍遶聽佛說法。
ある時、世尊は憍睒彌国(コーサンビー)の大いなる荊の林に滞在されていました。そこには大比丘たち四百五十人、皆がよく知る大阿羅漢たちや、諸々の菩薩摩訶薩たちが共にいました。仏法の僧団がすべて集まり、敬いながら囲んで、仏が説法されるのを聞いていました。
是時,會中有一長者名曰妙月,於憍睒彌大城中住。如是長者有大智慧,方便善巧,男女眾多,奴婢僕從,眷屬圓滿,皆具善根,發大善心。是時妙月長者往覲世尊。到佛所已,恭敬合掌,頂禮佛足,而復旋遶,經百千匝,退坐一面。安詳坐已,妙月長者而白佛言:「世尊!我於今日欲問如來、應、正等覺。我今心中而有疑事,唯願世尊大慈無量,為我說法,開我疑結。」
その時、その集会の中に、妙月という名の長者がいました。彼は喬サ弥という大都市に住んでいました。この長者は大いなる智慧を有し、巧みな方便を用い、多くの男女や召使い、従者を抱え、家族も円満に整っていました。皆、善根を備え、大いなる善心を起こしていました。そこで妙月長者は、世尊のもとへ参拝しました。仏の御許に到り、恭敬して掌を合わせ、仏足に礼拝し、さらに百千回も右旋してから、退いて一つの席に座りました。安らかに座した後、妙月長者は仏に申し上げました。「世尊よ、私は今、如来・応供・正等覚者にお尋ねしたいことがございます。私の心の中に今、疑問のことがあり、どうか世尊の大いなる慈悲で、私のために法を説き、疑問の結び目を解いてください。」
爾時,釋迦牟尼世尊告妙月長者言:「我今恣汝所問心所疑事。如汝所疑,不應懷蘊於自心中。」
その時、釈迦牟尼世尊は妙月長者に告げて言われた。「私は今、あなたが心に抱いている疑問を自由に尋ねることを許しましょう。あなたが疑っていることを、心の内に秘めたままにしてはいけません。」
妙月長者聞佛所說,復白佛言:「世尊!若善男子、善女人多受貧窮,云何而得不受貧苦?多疾病人,云何而得不受病惱?」
妙月長者が仏の説法をお聞きし、再び仏に申し上げました。「世尊よ。もし善男子・善女人が多くの貧しさに苦しんでいるならば、どのようにすれば貧しい苦しみを受けずに済むのでしょうか。多くの病気に悩まされる人々は、どのようにすれば病の苦しみを受けずに済むのでしょうか。」
爾時,世尊具一切智者,告妙月長者言:「汝今何故,唯為貧窮,心懷疑惑而作是問?」
その時、世尊はすべてを知る智慧を持つお方として、妙月長者にこう告げられた。「あなたは今、なぜ貧しい人々のためだけに心に迷いを抱いて、このような質問をするのか。」
妙月長者白世尊言:「我今貧窮,世尊!我今貧窮,善逝!為多眷屬、男女、婢僕居家充滿。今為我說,世尊!依我所問而為說法:貧窮眾生,以何方便令離貧苦?多病眾生,以何方便令無病惱?資生、財寶、粟麥等物,云何而得倉庫充滿?云何而得見所愛樂金銀、摩尼、真珠、瑠璃、螺貝、璧玉、珊瑚、硨磲、金剛寶等,庫藏盈溢,令我施之無有窮盡。云何而得居家眷屬、男女大小,尊貴自在?」妙月長者作如是言,白世尊已。
妙月長者が世尊に申し上げました。「私は今、貧しくございます。世尊よ、私は今、貧しくございます。善逝よ、大勢の眷属や男女、召使いたちが家に満ちております。どうか今、私のために説いてください。世尊よ、私の問いに応えて法を説いてください。貧しい衆生は、どのような方法で貧しさの苦しみから離れることができるのでしょうか。病気の多い衆生は、どのような方法で病の悩みをなくすことができるのでしょうか。生活に必要なもの、財宝、穀物などの品々は、どのようにすれば倉庫がいっぱいになるのでしょうか。どのようにすれば、愛する金銀、宝玉、真珠、瑠璃、螺貝、璧玉、珊瑚、硨磲、金剛宝などを見ることができ、蔵が満ちあふれるのでしょうか。私が施しを尽きることなく行えるように。どのようにすれば、家の眷属や男女、大小の人々が尊く、自由自在でいられるのでしょうか。」妙月長者はこのように申し上げ、世尊に述べ終えました。
是時,佛復告妙月長者言:「往昔過去無數劫中,於彼世時,有佛出世,名持金剛海大音聲如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。我當於彼世尊之處,聞陀羅尼,名吉祥持世。聞是法已,我常受持、讀誦,至誠供養,而復為他廣說是陀羅尼。善男子!我今為汝說此陀羅尼擁護於汝,人不能為害、非人亦不能為害、藥叉不能為害、囉剎娑不能為害、畢隷(二合)多不能為害、步多不能為害、比舍遮不能為害、矩伴拏不能為害、鄔娑多(二合)囉迦(去)不能為害、布單曩(引)不能為害、揭吒布單曩(引)不能為害、食大便者不能為害、食小便者不能為害、食種種淨不淨物者亦不能為害。妙月長者!此吉祥持世陀羅尼,若有善男子、善女人得此陀羅尼經,在於自己舍宅之中、或在手中恭敬供養,或心思惟是經法者,或得聽聞是經法者,便乃受持、讀誦、供養,或廣為他解說義趣,此善男子、善女人,晝夜常得衛護,安隱快樂,飲食豐足,獲大福德。此吉祥持世陀羅尼經,若能至心供養之者,則是供養過去、現在、未來之世一切如來、應、正等覺。若能依法,常於中夜課念此陀羅尼四遍,此人便得諸天而來衛護,歡喜愛樂。復為此人親自來下降,雨上妙甘美飲食。諸天眾等,於諸如來心懷歡喜,於諸佛法心懷歡喜,於佛無相智心懷歡喜,於和合眾心懷歡喜,於說法師心懷歡喜。」
その時、仏は再び妙月長者に告げられた。「遠い昔、無数の劫を経た過去の世において、持金剛海大音声如来という仏が世に現れた。その如来は応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と呼ばれる徳を備えておられた。私はその仏のもとで、吉祥持世という陀羅尼を聞いたのである。この法を聞いてから、私は常にこの陀羅尼を受持し、読誦し、心を込めて供養し、また他の人々にも広く説き伝えてきた。
善男子よ、私は今、あなたのためにこの陀羅尼を説き、あなたを守護しよう。この陀羅尼を保つ者には、人間は害を加えることができず、人間ならざる者も害を加えることができない。薬叉も、羅刹も、毘舎遮も、鳩槃荼も、その他の様々な邪鬼や障害をもたらす者たちも、決して害を加えることができない。大小便を食するものも、様々な清浄なものや不浄なものを食するものも、害を加えることはできない。
妙月長者よ、この吉祥持世陀羅尼を、善男子や善女人が手にし、その経典を自分の家の中で、あるいは手に持って恭敬の心で供養し、心にこの経典の教えを思惟し、あるいはこの教えを聞き、それを受持し、読誦し、供養し、さらに他の人々のためにその意味を広く説くならば、その善男子・善女人は、昼夜いつも守護され、安らかで楽しく、飲食が豊かに満ち、大きな福徳を得ることができる。
この吉祥持世陀羅尼経を、心を尽くして供養するならば、それはすなわち過去・現在・未来のすべての如来を供養することに等しい。
また、この教えに従って、常に真夜中にこの陀羅尼を四遍となえるならば、その人は諸天の守護を得て、諸天はこの人を喜び愛し、さらに自ら降臨して、殊勝で美味しい飲食を雨のように降らせるであろう。諸天の衆は、如来に対して心から喜び、仏法に対して心から喜び、仏の無相の智慧に対して心から喜び、和合の僧伽に対して心から喜び、説法する師に対して心から喜ぶのである。」
佛復告妙月長者言:「我今為汝及未來世一切眾生,令得廣大利益安樂,說是吉祥持世陀羅尼曰:
仏はまた妙月長者に告げられました。「私は今、あなたと未来のすべての衆生に、大きい利益と安らぎをもたらすために、この吉祥持世陀羅尼を説きます。」と。
「『曩謨(去引)(一)囉怛曩(二合)怛囉(二合)夜(引)野(二)曩謨(去引)(三)婆(去)誐嚩(無可反)帝(引)(四)嚩(准上)日囉(二合)馱囉(五)娑(引)誐囉(六)𡫸(寧吉反下同)㗚喖(苦姑反二合引)灑(引)野(七)怛他(去引)誐跢(引)野(引)(八)㗚賀(二合)帝(引)(九)三(去)藐訖三(二合)沒馱(引)野(十)怛儞也(二合引)他(去引)(十一)素嚕(引)閉(引)(十二)素嚩(准上)娜𩕳(引)(十三)婆(去)㮈黎(二合引)(十四)素婆(去)捺嚟(二合引)(十五)婆(去)捺囉(二合)嚩(准上)底(十六)讚捺囉(二合)嚩(准上)底(丁壹反,下同)(十七)懵誐㘑(引)懵誐㘑(引)(十八)素懵誐隷(引)(十九)懵誐攞嚩(無鏺反)底(上同)(二十)阿(上)㘑(引)(二十一)阿(上)左㘑(引)(二十二)阿(上)左播㘑(二十三)嗢耨伽(二合引)哆𡫸(寧逸反)(二十四)嗢儞庾(二合)怛𡫸(二十五)嗢耨避(二合引)娜𡫸(同前)(二十六)鄔砌(引)那𡫸(二十七)薩寫嚩(上同)底(二十八)馱曩嚩(同前)底(二十九)馱(引)寧也(二合)嚩(准上)底(三十)室哩(二合引)沫底(三十一)鉢囉(二合)婆(引去)沫底(三十二)阿(上)麼㘑(引)(三十三)尾麼㘑(引)(三十四)𡫸㗚麼(二合)㘑(引)(三十五)嚕嚕(三十六)嚕嚕(三十七)嚕嚕嚩(同前)底(三十八)素嚕(引)閉(引)(三十九)拶跛㘑(引)(四十)懵誐㘑(引)(四十一)阿(去引)㗚半(二合)曩悉帝(二合引)(四十二)尾怛曩悉帝(二合引)(四十三)遏尾曩悉帝(二合引)(四十四)遏怛曩悉帝(二合引)(四十五)遏尾哆曩悉帝(二合引)(四十六)遏馱曩悉帝(二合引)(四十七)唧怛囉(二合)曩悉帝(二合引)(四十八)尾濕嚩(二合)計(引)始𡫸(四十九)尾濕嚩(二合)嚕(引)錍(音卑)(五十)尾秫曩始(五十一)尾舜馱施㘑(引)(五十二)尾麌抳𩕳(引)[口*(尤-尢+曳)](引)(五十三)阿(上)努(鼻音)哆(重呼)嚟(引)(五十四)盎(烏亘反)矩嚟(五十五)懵矩嚟(引)(五十六)鉢囉(二合)龐(去)矩嚟(引)(五十七)尾囉銘(引)(五十八)尾馱銘(引)(五十九)度銘(引)(六十)度度銘(引)(六十一)哩哩銘(引)(六十二)佉佉㘑(引)(六十三)企企銘(引)(六十四)喖喖銘(引)(六十五)怛怛黎(引)(六十六)多囉多囉(六十七)怛怛囉怛怛囉(引)(六十八)哆(引)囉野哆(引)囉野(六十九)嚩日嚟(二合引)嚩日嚟(二合引)(七十)嚩日嚕(二合引)鉢銘(引)(七十一)吒計(引)吒計(引)(七十二)姹計(引)姹囉計(引)(七十三)鄔計(七十四)𫪗計(引)(七十五)溥計(引)(七十六)捺計(引)(七十七)達計(引)(七十八)達囉計(引)(七十九)阿(引)嚩(無鏺反)㗚跢(二合)𡫸(八十)鉢囉(二合)嚩(無鏺反)㗚跢(二合)𡫸(八十一)嚩㗚灑(二合)抳嚩(同上)㗚灑(二合)抳(八十二)𡫸瑟播(二合引)捺𡫸(八十三)嚩日囉(二合)馱囉(八十四)娑(引)誐囉(八十五)𡫸㗚齲(二合引)灑怛他(引)誐哆(八十六)沫努(鼻音)娑麼(二合)囉(八十七)薩㗚嚩(二合)怛他(引)蘖哆(八十八)薩底也(二合反)麼努(鼻音)娑麼(二合)囉(八十九)達㗚麼(二合)薩底也(三合反)(九十)麼努娑麼(二合)囉(九十一)僧(去)伽薩底也(二合反)(九十二)麼努(鼻音)娑麼(二合)囉(九十三)怛吒怛吒(九十四)布囉野布囉野(九十五)布囉抳布囉抳(九十六)薩㗚嚩(二合引)𠼬(引)(九十七)薩㗚嚩(二合)薩怛嚩(二合引)難(上引)左(九十八)婆(去)囉婆(去)囉(九十九)懵誐㘑(引)(一百)扇(引)哆沫底(一百一)秫婆沫底(一百二)麼賀(引)麼底(一百三)懵誐攞麼底(一百四)鉢囉(二合)婆(引)嚩底(一百五)婆(去)捺囉(二合)嚩底(一百六)素讚捺囉(二合)麼底(一百七)阿(引)誐蹉阿(引)誐蹉(一百八)三(去)麼野麼努三麼(二合)囉(一百九)娑嚩(二合引)賀(引)(一百一十)阿(引)嚩(無可反)囉拏(鼻音引乎)麼努(鼻音)娑麼(二合)囉(一百一十一)娑嚩(二合引)賀(引)(一百一十二)阿(引)馱(引)囉麼努娑麼(二合)囉(一百一十三)娑嚩(二合引)賀(引)(一百一十四)鉢囉(二合)婆(引去)嚩麼努娑麼(二合)囉(一百一十五)娑嚩(二合引)賀(引)(一百一十六)娑嚩(二合)婆(去引)嚩(同上)麼努娑麼(二合)囉(一百一十七)娑嚩(二合引)賀(引)(一百一十八)地哩(二合)底麼努娑麼(二合)囉(一百一十九)娑嚩(二合引)賀(引)(一百二十)諦(引)惹麼努娑麼(二合)囉(一百二十一)娑嚩(二合引)賀(引)(一百二十二)惹野麼努娑麼(二合)囉(一百二十三)娑嚩(二合引)賀(引)(一百二十四)尾惹野麼努娑麼(二合)囉(一百二十五)娑嚩(二合引)賀(引)(一百二十六)紇哩(二合)娜野麼努娑麼(二合)囉(一百二十七)娑嚩(二合引)賀(引)(一百二十八)薩㗚嚩(二合)薩怛嚩(二合)麼努娑麼(二合)囉(一百二十九)娑嚩(二合引)賀(引)(一百三十句)』」
南無(帰依します)ラトナ・トラヤーヤ(三宝に)。南無(帰依します)バガヴァテー(世尊たる)ヴァジュラダラーラ・サガラー・ニルクシャヤ(金剛を持つ者、海のような尽きせぬ功徳を持つ方)タターガターヤ(如来に)。アルハテー(阿羅漢に)。サンミャクサンブッダーヤ(正しく完全に悟られた方に)。タッニヤター(すなわち、このように)。
スルピ(吉祥の輝き)、スヴァナニ(瑞祥)、バナイレー、スヴァナドゥレー(善き導き手よ)、バナドラヴァティ(吉祥なる方)、チャンドラヴァティ(月の如き方)。マンガレー・マンガレー(吉祥よ、吉祥よ)、スマンガレー(大いなる吉祥よ)、マンガラヴァティ(吉祥を具えた方)。アレー、アチャレー(動じない方よ)、アチャパレー(動かされない方よ)、ウドガタ・ニル(高く昇りし者よ)、ウディユタ・ニル(奮い立つ者よ)、ウドヴィナ・ニル(完璧に清めた者よ)、ウチナ・ニル(選び抜かれた者よ)、サクシャヴァティ(力を持つ者)、ダナヴァティ(富める者)、ダニヤヴァティ(智者)。シュリーマティ(栄光ある者)、プラバーヴァティ(光輝ある者)。アマレー、ヴィマレー(汚れなき者よ)、ニルマレー(清らかな者よ)、ルル・ルル・ルルヴァティ(常に輝く者よ)。スルピ(吉祥の輝き)、チャパレー(迅速なる者)、マンガレー(吉祥なる者)。
アリハン・ナスティ(終わりなき者)、ヴィタナスティ(広がりなき者)、アティナスティ(極めて優れた者)、アッタナスティ(到達した者)、アティタナスティ(超えゆく者)、アダナスティ(与える者)、チットラナスティ(多彩なる者)。ヴィシュヴァケーシ・ニル(全てを望みのままにする者)、ヴィシュヴァルーピ(あらゆる姿を持つ者)、ヴィマラシ(汚れを離れた者)、ヴィシュッダシャレー(完全に清らかなる光)、ヴィグニー(障害を除く者)。
アヌッタレー(無上の者よ)、アンクレー(鍵を握る者)、マンクレー(宝を握る者)、プラパンクレー(大いなる鍵)、ヴィラメー(離れた者)、ヴィダメー(破った者)、ドゥメー(静まった者)、ドゥドゥメー(深く静まった者)、リリメー(消えゆく者)、カカレー(虚空の者)、キキメー(問う者)、ククメー(覆う者)、タタレー(そのままの者)、タラタラ(揺るぎなく)、タタラタタラ(全く揺るぎなく)、タラヤ・タラヤ(救い給え、救い給え)。ヴァジュレー・ヴァジュレー(金剛よ、金剛よ)、ヴァジルーパメー(金剛の光)、チャケー・チャケー(真理を説く者よ)、チャケー・チャラケー(真理を動かす者よ)、ウケー(目覚めた者よ)、トケー(渡る者よ)、プケー(浄める者よ)、ナケー(滅ぼす者よ)、ダケー(示す者よ)、ダラケー(保つ者よ)。アヴァリタ・ニル(覆われた者を)、プラヴァリタ・ニル(完全に覆われた者を)、ヴァルシャニ・ヴァルシャニ(雨を降らせ給え、雨を降らせ給え)。ニシュパンナ・ニル(完成した者よ)。ヴァジュラダラ(金剛を持つ者よ)、サガラ・ニルクシャヤ・タターガタ(海の如く尽きせぬ如来よ)。マヌスマラ(憶念し給え)。サルヴァ・タターガタ(全ての如来よ)、サティヤ・マヌスマラ(真理を憶念し給え)。ダルマ・サティヤ・マヌスマラ(法の真理を憶念し給え)。サンガ・サティヤ・マヌスマラ(僧伽の真理を憶念し給え)。
タタ・タタ(堅固に、堅固に)、プラヤ・プラヤ(満たし給え、満たし給え)、プラニ・プラニ(完全に満たし給え、完全に満たし給え)。サルヴァ(全ての)、サルヴァ・サットヴァーナンチャ(全ての生きとし生けるもののために)、バラバラ(力を、力を)、マンガレ(吉祥よ)。シャンタマティ(寂静の心)、ヴィマラマティ(汚れなき心)、マハーマティ(大いなる心)、マンガラマティ(吉祥の心)、プラバーヴァティ(光輝ある方)、バンドラヴァティ(吉祥なる方)、スチャンドラマティ(善き月の如き心)。アガチャ・アガチャ(来たれ、来たれ)、サマヤ・マヌスマラ(誓いを憶念し給え)。スヴァーハー(成就せよ)。
アヴァラナ・マヌスマラ(障りを除くことを憶念し給え)。スヴァーハー。 アダーラ・マヌスマラ(基盤を憶念し給え)。スヴァーハー。 プラバーヴァ・マヌスマラ(光輝を憶念し給え)。スヴァーハー。 スヴァバーヴァ・マヌスマラ(自性を憶念し給え)。スヴァーハー。 ディリティ・マヌスマラ(忍耐を憶念し給え)。スヴァーハー。 テジャ・マヌスマラ(威光を憶念し給え)。スヴァーハー。 ジャヤ・マヌスマラ(勝利を憶念し給え)。スヴァーハー。 ヴィジャヤ・マヌスマラ(完全なる勝利を憶念し給え)。スヴァーハー。 フリダヤ・マヌスマラ(心髄を憶念し給え)。スヴァーハー。 サルヴァ・サットヴァ・マヌスマラ(全ての生きとし生けるものを憶念し給え)。スヴァーハー。
復說吉祥持世根本明曰:
ここに、吉祥を持ち世を守る者の根本の真言(マントラ)を説き明かす。
「曩謨(去引)(一)囉怛曩(二合)怛囉(二合)夜(引)野(二)唵(引三)嚩(同上)素馱(引)嚟(引)(四)娑嚩(二合引)賀(引)(五)唵(引)(六)室哩(二合引)嚩(上同)素母𡫸(七)娑嚩(二合引)賀(引)(八)」
「帰命、宝の夜に。オーン、清らかな御光よ、吉祥あれ。オーン、吉祥の光明よ、幸いあれ。」
心明曰:
心が明らかである、と説かれた。
「曩謨(去引)(一)囉怛曩(二合)怛囉(二合)夜(引)野(二)唵(引)(三)嚩(上同)素室哩(二合)[口*(尤-尢+曳)](引)(四)娑縛(二合引)賀(引)(五)唵(引)(六)室哩(二合引)(七)嚩(准上)素麼底(八)室里(二合引)[口*(尤-尢+曳)](引)(九)娑嚩(二合引)賀(引)(十)唵(引)(十一)嚩(無鏺反)素(十二)娑嚩(二合引)賀(引)(十三)唵(引)(十四)𠸪乞芻弭(三合引)𠽾(引)哆𠸪𡫸(十五)嚩(引)悉寧(引)[口*(尤-尢+曳)](引)(十六)娑嚩(二合引)賀(引)(十七)曩謨(去引)(十八)嚩日囉(二合)播(引)拏[口*(尤-尢+曳)](引)(十九)室哩(二合引)[口*(尤-尢+曳)](引)室哩(二合引)迦哩(二十)馱曩迦哩(二十一)馱(引)𭔞(二合反)迦哩(二十二)娑嚩(二合引)賀(引)(二十三)」
南無(帰依します)、宝珠をたたえます。 オーン、ヴァス・シュリー、スヴァーハー。 オーン、シュリー・ヴァス・マティ、シュリー、スヴァーハー。 オーン、ヴァス、スヴァーハー。 オーン、チャクシュミ、プタ・ラクシャ、ヴァスニ、スヴァーハー。 南無(帰依します)、金剛を持ちし者よ。 シュリー・シュリー・カーリ、ダナ・カーリ、ダー・ニャ・カーリ、スヴァーハー。
佛復告妙月長者言:「此吉祥持世陀羅尼有大威德。汝等若能隨時持誦,所有一切疾病、饑饉、夭壽之難,皆不能侵。若復有人,於自舍宅、或他人舍,隨所在處供養持金剛海大音聲如來、應、正等覺,至心持念此吉祥持世陀羅尼滿於六月,種種供養,如是隨其所願,增益之事皆得成就。若復有人,依法揀擇清淨之處,或倉庫中,以白檀香建立四方曼拏攞畢,請召、供養持金剛海大音聲如來及一切佛、觀自在菩薩、諸菩薩等聖眾,常於夜分志心念是吉祥持世陀羅尼,令無間斷乃至成就,此善男子、善女人即獲有大威德之人為降福祐,隨其所願令得滿足一切財物、粟麥、金銀、珍寶;一切恐怖妨亂之事,皆得消除。妙月長者!汝等若能精進受持,念此吉祥持世陀羅尼,而能廣為他人解說,能令汝得長夜人間、天上利益安樂。」
仏は再び妙月長者に告げて言われた。「この吉祥持世陀羅尼には大いなる威力がある。あなたがたがもし常にこれを唱え持てば、あらゆる病気、飢饉、若くして命を失う苦難も、すべてあなたがたを侵すことはできないであろう。
また、もしある人が、自分の家や他人の家など、どのような場所であっても、金剛海大音声如来・応供・正等覚を供養し、真心を込めてこの吉祥持世陀羅尼を六か月の間唱え続け、さまざまな供養を行うならば、その人の願いのままに、繁栄をもたらす事柄はすべて成就するであろう。
また、もしある人が、教えに従って清らかな場所や倉庫の中を選び、白栴檀の香を用いて四方向の曼荼羅を設け、金剛海大音声如来およびすべての仏、観自在菩薩、諸々の菩薩などの聖なる集いを請じて供養し、夜ごとに心を込めてこの吉祥持世陀羅尼を間断なく唱え、成就に至るまで続けるならば、この善男子・善女人は、大いなる威徳を持つ人の福徳と加護を得て、その願いのままに満たされ、すべての財物・穀物・麦・金银・珍宝を得るであろう。そしてすべての恐怖や妨げとなる乱れも、ことごとく除かれるであろう。
妙月長者よ。あなたがたがもし怠らずに受け持って、この吉祥持世陀羅尼を唱え、さらに広く他人のために説き聞かせるならば、あなたは長きにわたって、人としての利益と安楽を、また天界における利益と安楽をも得ることができるであろう。」
妙月長者讚言:「善哉!世尊善說!」妙月長者於世尊所,聽聞得是吉祥持世陀羅尼已,心生愛樂,歡喜踊躍,面色怡然,頂禮佛足,而白佛言:「世尊!此吉祥持世陀羅尼,我從今後永無忘失!憶念、受持、讀誦、解說其義、供養恭敬,兼為他人廣說是法。」妙月長者所居家中,當於是時,彈指之頃,忽然而有種種金銀、珍寶、穀麥、財物,倉庫充滿。是時,妙月長者瞻仰世尊,目未曾捨,而復旋遶經百千匝,頂禮佛足,禮竟而退。
妙月長者は讃嘆して申し上げました。「素晴らしいことです。世尊はよくお説きくださいました。」妙月長者は、世尊のもとでこの吉祥持世陀羅尼を聞いて、心から愛好し、喜び勇み、顔色は穏やかに、仏の足に頭を伏してお礼をし、こう申し上げました。「世尊よ、この吉祥持世陀羅尼を、私は今後決して忘れることはありません。心に憶え、受持し、読誦し、その意味を解説し、供養し恭敬し、また他の人々にも広くこの法を説きましょう。」そのとき、妙月長者の家には、指を弾くほどの間に、たちまち様々な金銀、珍宝、穀物、麦、財物が現れ、倉庫は満ちあふれました。そのとき、妙月長者は世尊を仰ぎ見て、その視線を離すことなく、また百千回の周りを巡り、仏の足に頭を伏してお礼をし、礼を終えて退きました。
爾時,世尊告阿難陀言:「汝於今日往彼妙月長者所居家中,看其所有一切財物、粟麥、金銀、珍寶,種種廣大倉稟庫藏充滿其中。」
その時、世尊は阿難陀に告げられた。「あなたは今日、あの妙月長者の家に行きなさい。そこにあるすべての財物、穀物、麦、金銀、珍宝、そして種々の大きな倉庫や蔵に満ち溢れているものを見てきなさい。」
是時,阿難陀聞佛教已,速疾往詣憍睒彌大城,妙月長者所居家宅。到已入裏,見其所有一切財物、粟麥、斛碩金銀珍寶,種種廣大倉庫之中悉皆充滿。時,阿難陀忽然見其如是之事,內懷驚異,面貌微笑,心生愛樂,歡喜踊躍。時,阿難陀奉佛教已,却往佛所。到已頭面禮世尊足,而白佛言:「妙月長者以何因緣,而得如是廣大福德、廣大富貴?廣大倉庫種種財物、粟麥、金銀珍寶,積集充滿?善哉!世尊!唯願為我宣說是事。」
その時、アーナンダは仏の教えを聞き終えると、すぐに嬌睒弥の大城へ向かい、妙月長者の家を訪れました。家の中に入ると、そこにはすべての財物や穀物、麦、金銀の宝飾品などが、大きな倉庫いっぱいに満ちあふれていました。アーナンダは突然この光景を目の当たりにし、心に驚きを抱きながらも、顔には微笑みが浮かび、喜びと歓喜に満たされました。その後、アーナンダは仏の教えを胸に、仏の元へ戻りました。到着すると、頭を地につけて仏の足を礼拝し、こう申し上げました。「妙月長者はどのような因縁によって、このような広大な福徳や富貴を得て、大きな倉庫にさまざまな財物や穀物、麦、金銀の宝飾品を積み集めることができたのでしょうか。尊い仏よ、どうかこのことを私に説いてください。」
佛告阿難陀言:「此妙月長者有大智慧,為能發心憶持,永無忘失。受持、讀誦、供養恭敬、思惟妙理、發大慈悲,為他眾生解說是法,能令汝得不可思議殊勝功德,於無量世常為諸天及世間人演說是法。阿難陀!此陀羅尼實未曾有,一切天、魔、大梵天王、沙門、婆羅門眾、天、人、阿素囉等,於此吉祥持世陀羅尼,常應發心,尊重恭敬,不應起於輕慢破壞之心。阿難陀!此吉祥持世陀羅尼,諸呪不能破滅。若無善根眾生、薄福眾生,耳不能得暫時聽聞,何況能知此陀羅尼?於是經中,豈能得在心所憶念、口所宣說、受持讀誦?何故如是?為此吉祥持世陀羅尼,一切如來共所宣說,一切如來之所加持,一切如來同所印可、解釋、供養、尊重、讚歎,最勝微妙、甚深難解之法。一切如來,各各心無有異,以一音聲宣斯妙法,令諸眾生皆得易解。我今為諸眾生多受貧匱、疾病所苦、諸惡恐怖、一切妨惱非可愛事,受是之人,令得豐足安隱快樂。」
仏は阿難陀に告げられた。「この妙月長者は大きな智慧をそなえ、心を発して記憶し保ち、永遠に忘れ失うことがない。受け持ち、読み誦し、供養し敬い、妙なる理を思いめぐらし、大いなる慈悲を発し、他の衆生のためにこの法を説き示すことができる。これによってあなたは、思いもよらない素晴らしい功徳を得ることができ、無量の世々において常に諸天や世の人々のためにこの法を説き示すであろう。阿難陀よ、この陀羅尼は実に未曾有のものであり、一切の天、魔、大梵天王、沙門、バラモンたち、天、人、阿修羅などは、この吉祥持世陀羅尼に対して、常に心を発し、尊重し敬い、軽んじたり壊そうとしたりする心を起こすべきではない。阿難陀よ、この吉祥持世陀羅尼は、いかなる呪いによっても打ち破ることができない。もし善根のない衆生や福の薄い衆生ならば、その耳で一時たりとも聞くことすらできず、ましてやこの陀羅尼を知ることなどできるはずがない。この経典の中において、どうして心に思い、口に説き、受け持ち、読み誦することができようか。なぜこのようなことがあるのか。この吉祥持世陀羅尼は、すべての如来がともに説き示し、すべての如来がともに護り支え、すべての如来がともに認め、解き明かし、供養し、尊重し、称賛する、最も勝れ、微細で、深くて理解しがたい法だからである。すべての如来は、それぞれの心に少しの違いもなく、一つの声でこの妙なる法を説き示し、すべての衆生が容易に理解できるようにされる。私は今、多くの貧しさや匮乏に苦しみ、病気に悩まされ、様々な恐ろしいことや妨げ、好ましくない事柄に遭っている衆生のために、この法を受ける者に、豊かで満ち足り、安らかで楽しい生活を得させようと思う。」
是時,阿難陀聞佛說此吉祥持世陀羅尼已,發憶念心,受持、讀誦、思惟、解了、尊重、供養。阿難陀從座而起,偏袒右肩,右膝著地,合掌向佛。是時,阿難陀敬禮佛已,發至誠心,說是誐他而讚歎曰:
その時、阿難陀は仏がこの吉祥持世陀羅尼を説かれるのを聞いて、心に銘じ、受持し、読誦し、思惟し、理解し、尊重し、供養した。阿難陀は座を立って、右肩を袒ぎ、右膝を地につけ、合掌して仏に向かった。その時、阿難陀は仏を敬礼し終えて、至誠の心を発し、この偈を説いて仏を讚歎した。
「不可思議佛世尊, 佛所說法不思議;
不思議發歡喜心, 順現受報不思議。
天人師智一切智, 到彼岸故離生死,
證無上果成法王, 我今稱讚佛無畏。」
「不思議なことに、仏世尊は、仏の説かれた教えもまた不思議である。その不思議な教えに喜びの心を起こせば、今この身に受ける報いもまた不思議である。天や人の師であり、あらゆる智慧を具えた仏は、悟りの彼岸に至って生と死を離れ、この上ない果報を証得して法の王となられた。私は今、何ものにもおそれることのない仏を讚嘆する。」
是時,阿難陀說是讚已,歡喜踊躍而白佛言:「世尊!經名云何?令我云何受持?」
その時、アーナンダはこの賛歌を唱え終えると、喜びにあふれて仏に申し上げた。「世尊よ、この経の名前は何と申しますか。私はどのようにしてこの教えを心に保ち、実践すればよいのでしょうか。」
世尊告阿難陀言:「如汝前問,妙月長者所得一切財寶、庫藏受持之法經,名『依一切如來所說』,名『吉祥持世陀羅尼經』,汝等應當如是受持。」
世尊は阿難陀に告げて言われた。「あなたが先ほど尋ねたように、妙月長者が得た、すべての財宝や蔵(くら)を受け持つ法についての経典は、『一切の如来の説かれるところによる』という名であり、『吉祥持世陀羅尼経』という名である。あなたたちは、このようにして受持しなさい。」
佛說是經已,阿難陀及諸比丘,菩薩摩訶薩,一切世間天、人、阿素囉、彥達嚩等,皆大歡喜,信受奉行,作禮而退。
仏がこの経を説き終えられた時、阿難陀や比丘たち、菩薩摩訶薩、そして一切の世の天、人、阿修羅、乾闥婆などは、皆大いに喜び、深く信じて受け入れ、実践し、礼拝をして退場したのである。
佛說大乘聖吉祥持世陀羅尼經
仏説大乗聖吉祥持世陀羅尼経