一切如来真実摂大乗現証三昧大教王経 第五巻
西天訳経三蔵・朝奉大夫試光禄卿・伝法大師・紫衣沙門 臣施護 他奉
金剛界大曼荼羅広大儀軌分第一の五
その時、尊き金剛を持つ者は、諸如来の勧めの言葉を聞き終えると、直ちに一切如来の三昧に入り、金剛加持の三摩地を生じさせて、この金剛界大曼荼羅の頌を説いた。
次に、私は今、最も優れた広大な曼荼羅について説き明かしましょう。 その姿は金剛界のようであり、それゆえに金剛界と呼ばれます。
教えに従って順序よく、曼荼羅の中のさまざまな部分を整えます。 まず、大サットヴァ(大士)の大印を用いて、全体を加持し、観想を行います。
前の印の位置から始め、理にかなって四方を観察し、 高く掲げる印相を順に行い、金剛薩埵を念誦します。
新しい糸を選び、しっかりと合わせ、その分量に応じて上手に使い、 行者は糸を持って測り、力に応じて曼荼羅を作ります。
壇は四方と四門を持ち、さらに四つの飾りで荘厳し、 四本の糸で交差させ、絹や美しい糸などで飾ります。
四隅の各部分と、諸々の門の合わさる場所には、 それぞれ金剛宝で飾り付け、順に外側の曼荼羅を測ります。
外壇の中心は輪の形をしており、次第に中宮に入っていき、 金剛線を用いて丁寧に測り、八本の柱を設けて飾ります。
その金剛の優れた住処には、さらに五輪壇で飾り、 立てられた輪壇の中には、教えに従って仏の形像を安置します。
中心の曼荼羅には、仏像の周りに配置し、 四つの優れた三昧耶印契を、順序に従って描きます。
金剛歩で次第に進み、順に四つの曼荼羅を安置します。 いわゆる阿閦仏など四仏で、すべての仏像を安置します。
まず阿閦曼荼羅を描き、金剛持など多くの尊を整え、 次に宝生曼荼羅を描き、金剛蔵など多くの尊を円満にし、 次に無量寿曼荼羅を描き、金剛眼など多くの尊を清浄にし、 不空成就曼荼羅を描き、金剛巧業などを描きます。
内輪壇の諸隅の部分には、金剛明妃の衆を描き、 外輪壇の四隅の場所には、仏供養などの四つを描き、 その後、四つの門の中に、四護門の大明王を安置します。
次に外輪壇の場所には、それぞれ大サットヴァを安置し、 その後、その本部の儀式に従い、優れた三昧耶印契を結びます。
金剛阿闍梨が入り、印を開いて普遍的に驚覚させ、 次に金剛警覚心を誦し、阿字が教令とされ、 自らの加持を行い自らの名を称え、その後、金剛が成就します。
金剛阿闍梨は次に、サットヴァ金剛鉤召印を結び、 また指を弾いて遍く驚覚させ、一切の仏菩薩を召請します。
即座に一切の仏、金剛薩埵が共に集い、 すべての曼荼羅に満ち、普遍的に召請して皆集まります。
その後、次に大印を結び、金剛薩埵に親近し、 一遍に百八名を誦し、法に従って順序よく称賛します。
既に集まったなら歓喜を施し、一切如来は悉く堅固となり、 金剛薩埵の本法が成就し、大いなる慈友として安住します。
その後、四つの門の場所で、金剛鉤などの作法を行い、 優れた大羯磨印などを行い、三昧法によって安立し、 優れた三昧耶などの諸印、サットヴァ金剛なども同様に、 ジャ・フーム・ヴァム・ホーの明を誦し、大サットヴァ法の成就を求めます。
その後、仏など一切の衆、そして大サットヴァが皆集い、 法に従って鉤召し即ち遍入し、悉く相応して敬愛を得ます。
そして秘密の供養事を行い、諸々の大我者は悉く歓喜し、 教えに従って衆生を利益し、一切の成就事を行うことができます。
このように一切の曼荼羅において、その中にあるすべての法の用は、 すなわち金剛阿闍梨が、教えに従って行う諸々の事業です。
さらに、金剛界における諸曼荼羅の弟子入壇法など、広大な儀軌について説き明かします。まずは、弟子が曼荼羅に入る儀式から述べましょう。
入壇を志す者は、まず一切の有情に対して偏りなく救いの心を起こし、すべての衆生が喜びと安楽を得て、最高の成就(悉地)に至るように願うべきです。この大曼荼羅に入ろうとする者は、器であるか否かを選り分けてはなりません。なぜなら、世尊よ、たとえ大罪を犯した有情であっても、この大曼荼羅を見て、あるいは入ってさえすれば、直ちに一切の悪趣から離れることができるからです。
世尊よ、ある種の有情は、飲食や五欲の楽しみ、世間的な利益に執着し、それを手放そうとしません。彼らはこの世間的な法を第一とし、ただこの曼荼羅の中で欲するままに行動するだけで、すべての願いが満たされるのです。
世尊よ、ある衆生は、戯れや笑い、歌舞や飲食など、楽しみや快楽を愛し求めます。また、一切の如来が示す大乗の現証三昧の法性を理解しないがゆえに、他の天族の壇(祭壇)に入り、あらゆる願いを満たそうと、そこで愛し楽しむ快楽や戯れなどに執着します。そして、一切如来の曼荼羅において法を学ぶことを、誤って恐れ、入ることができません。そのような悪しき道の壇の門に心をとどめ、執着してしまうのです。このような者たちも、もしこの金剛界大曼荼羅に相応しく入り、あらゆる喜びや快楽、最も優れた愛楽の事柄、最高の成就(悉地)を求めるならば、それも成就することができます。そして、悪趣へと向かう現前の道などを転じることができるのです。