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  1. 末利支提婆花鬘経 (末利支提婆花鬘經)
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末利支提婆華鬘経 (末利支提婆華鬘經)

「末利支提婆華鬘經」について

唐 · 底本の訳者:不空

4,693 字 · 約 16 分

『末利支提婆華鬘経』は、唐代の仏教密教経典であり、著名な訳経家である不空三蔵によって漢訳されました。この経典は、インドで密教が隆盛した時期に成立し、唐代の開元年間に中国へ伝来しました。経文は主に、末利支天女(すなわち摩利支天)の修法の儀軌、真言・呪文、およびその優れた功徳を説き、信仰し読誦することによって、姿を隠すこと、災いを除くこと、邪気を払うことなどの加護を得られるとしています。この経典は、漢伝密教における重要な典籍の一つです。摩利支天は強大な保護力を有する護法神として、唐密および後世の仏教に深遠な影響を与え、特に現世利益と身体守護を重んじる信者たちから崇敬されてきました。


末利支提婆華鬘經

末利夫人華鬘経

開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戶賜紫贈司空諡大鑒正號大廣智大興善寺三藏沙門不空奉 詔譯

開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戶賜紫贈司空諡大鑒正

如是我聞:

このように私は聞きました。

一時佛在舍衛國祇樹給孤獨園,與大阿羅漢二百五十人俱,復有無量大菩薩眾,彌勒菩薩、曼殊室利菩薩、觀世音菩薩而為上首,及末利支等諸天龍神八部前後圍遶。

ある時、お釈迦様は舎衛国の祇樹給孤独園におられました。大阿羅漢二百五十人が共におり、さらに数えきれないほどの大菩薩たちも集まっていました。その中でも、弥勒菩薩、文殊師利菩薩、観世音菩薩が上座としておられ、末利支天など諸天、龍神、八部衆が前後を取り囲んでいました。

爾時舍利子即從座起,偏袒右肩,右膝著地合掌而白佛言:「世尊!未來末世眾生作何法得脫諸難?」佛告舍利子:「諦聽諦聽,我今為汝說於此事。」爾時眾會歡喜踊躍重復勸請。時佛世尊即說此言:「有天名末利支,常在日前行,日不見彼,彼能見日。」即說呪曰:

その時、舎利子は座から立ち上がり、右肩をあらわにし、右ひざを地につけて合掌し、仏に申し上げた。 「世尊よ、未来の末世の衆生はどのような法を行えば、あらゆる難を脱することができるでしょうか。」 仏は舎利子に告げられた。 「よく聞きなさい、よく聞きなさい。今、私はあなたのためにこのことを説こう。」 その時、会衆は歓喜し、踊り上がって重ねて勧請した。 時に仏世尊はこの言葉を説かれた。 「末利支という名の天がいる。常に日の前を行くが、日は彼を見ず、彼は日を見ることができる。」 そして呪を説かれた。

「南謨佛陀耶, 南謨達摩耶,
南謨僧伽耶。

南無仏陀よ、南無達磨よ、 南無僧伽よ。

「怛儞也(二合)他阿囉迦摩斯末迦摩斯阿豆摩斯支婆羅摩斯安達檀那摩斯摩利支波羅摩斯那漠率都羝娑嚩(二合引)賀」

ダニヤタ、アラカマシ、マカマシ、アズマシ、シバラマシ、アンダダンナマシ、マリシバラマシ、ナモシュトゥティ、ソワカ。

「王難中覆護我,賊難、行路難、失路曠野、晝日夜中水難火難、羅剎難、茶雞支儞鬼難、中毒藥難。佛語真實、法語真實、僧實語、天實語、仙人實語,覆護我。呪曰:

王の難の中で私を守り、賊の難、旅路の難、道に迷って荒野にさまよう時、昼も夜も水難火難、羅刹の難、茶枳尼鬼の難、毒薬に当たる難。仏の言葉は真実、法の言葉は真実、僧の言葉は真実、天の言葉は真実、仙人の言葉は真実、どうか私をお守りください。呪文は次のとおり:

「怛儞也(二合反)他阿羅拘利阿羅拘利吉利的羝勒叉勒叉我某甲薩婆婆油(上)鉢陀羅菩提婆伽夜栖(斯亞反)裨(毘)馺婆賀」

タニヤタ、アラクリ、アラクリ、キリテイ、レシャ、レシャ、我が名は某甲、サルバ、サユ、パタラ、ボダイ、バガヤ、シエ、ビ、サバカ。

佛言:「若有人欲行此法者,一切法中此法最勝。若人欲得供養末利支天者,應用金若銀若赤銅若白檀若紫檀,應作末利支天形像。其造像法,一似天女形,身長大小一寸二寸三寸乃至一肘,其中最勝者一寸二寸為好。其作像又須得最好手博士,遣受八戒齋,日日洗浴,著淨白衣作之。其價直之者,隨博士語索,不得違。作此像已,若苾芻欲行遠道,於袈裟片中裹著彼像。若持五戒優婆塞,於頭髻中盛著彼像。大小便時離身放著,不得共身上屏大小便利。

仏は言われた。「もしこの法を行おうとする者がいるならば、一切の法の中でこの法が最も勝れている。もし末利支天を供養したいと思うならば、金、あるいは銀、あるいは赤銅、あるいは白檀、あるいは紫檀を用いて、末利支天の形像を作るべきである。その像の作り方は、天女の形に似せ、身の長さは一寸、二寸、三寸、あるいは一肘までとし、その中でも最も勝れているのは一寸か二寸がよい。また、その像を作るには、最も優れた腕を持つ職人を得て、八戒斎を受けさせ、毎日沐浴し、清浄な白衣を着て作らせること。その代価は、職人の言う値段に従い、違えてはならない。この像を作り終えたならば、比丘が遠道を行くときは、袈裟の一片に包んでその像を持ち歩く。五戒を受けた優婆塞は、髷の中にその像を納めて持ち歩く。大小便のときは身から離して置き、便所で大小便をするときは身につけたままにしてはならない。」

「次說印及壇法。

次に印と壇の法を説く。

「交叉二小指二無名指在掌中右押左,二頭指直竪頭相著,二中指各㧙在二頭指背上頭相拄著,二大指並竪縛二頭指側,大指來去。此是身姥陀羅尼印。准前身印,上各屈二中指上節,頭向大指垂甲相背,又屈二大指上節,頭向掌中,此是頭頂印。

両手の小指と薬指を交差させて掌の中に収め、右が左を押さえます。 両手の人差し指をまっすぐ立てて、先端を合わせて触れさせます。 両手の中指はそれぞれ、人差し指の背に掛けて、先端を支え合わせます。 両手の親指を並べて立て、人差し指の側面に沿わせ、親指を前後に動かします。 これが「身姥陀羅尼印(しんもだらにいん)」です。

先ほどの身印を基本とし、その上で、両手の中指の第一関節をそれぞれ曲げ、先端を親指の方に向けて垂らし、爪を背中合わせにします。 さらに、両手の親指の第一関節を曲げ、先端を掌の中に向けます。 これが「頭頂印(ずちょういん)」です。

「若比丘、比丘尼,袈裟中裹前像。若俗人,頭髻中著像,即作此頭印以案像上,二十一遍誦呪。行於道路,准前身印,唯開二頭指頭二分許,即是護身印,用之護身法。

比丘や比丘尼は、袈裟の中に前像を包みます。 在家の人は、髷の中に像を納めます。 その上で、この頭印を作り、像の上に二十一遍、呪を唱えます。 道を行くときは、先ほどの身印を基本とし、ただ人差し指の先を二分ほど開けば、それが護身印となります。 この印を用いて、護身の法を行います。

「左手大指頭押無名指第一節文,以餘四指把拳,即是歡喜印。若作此印誦呪向王臣邊者,即前人歡喜。左手屈臂牽向於前,以頭指已下四指把拳,復以大指押頭指甲上,次開掌中作孔,以右手申掌,從左手節上向手掌磨之到於孔上,即以右掌覆蓋指孔上。心裏作之,左手掌是末利支心,右手掌是末利支身,於左手掌心中我身隨在,末利支天藏我身著,末利支在我頂上護於我身。此是末利支印,口中數數誦呪者即得大驗。行者不得喫飯,唯食大麥、乳酪酥、菜等。若不堪忍者,自乞飯喫,不得喫於眾僧之食。如是滿足十萬遍,即得驗也。於淨潔道場中安末利支像已,行者日日洗浴,若不洗浴,洗手漱口入道場,作身印喚末利支安置已,種種供養,日日誦呪一百八遍或一千八遍,如是乃至滿十萬遍訖。然後於好處所料理於地,拔去惡物樹根、瓦礫毛骨等已,堅築於地,使平坦之。其作壇日者,臘月十五日。以五色作之,中心著末利支座,座上畫著華座并像。式即東面安使者,名婆多羅室利夜;北面安使者,名計室儞;南面安使者,名摩利儞。然後呪師喚之安置,以香華飲食八槃、燈十六盞種種供養已,呪師在西門面向東坐,誦呪一千八遍,種種供養訖然後發遣之。更有別法,日月蝕日作此壇法者,大得驗也。

左手の親指の先で薬指の第一関節を押さえ、残りの四本の指で拳を作ります。これが歓喜印です。この印を結び、王や大臣に向かって真言を唱えると、相手は喜びます。

次に、左腕を曲げて前に引き寄せ、人差し指以下の四本の指で拳を作り、親指で人差し指の爪の上を押さえます。そして、手のひらを開いて穴を作り、右手のひらを伸ばして、左手の関節の上から手のひらに向かってこすり上げ、その穴の上に来たら、右の手のひらをかぶせて指の穴を覆います。心の中で観想します。左手のひらは摩利支天の心であり、右手のひらは摩利支天の身です。左手のひらの中に我が身があり、摩利支天が我が身を隠し守り、我が頂上にあって我が身を護ってくださいます。これが摩利支天の印です。口で繰り返し真言を唱えると、大きな験力が得られます。

行者は米飯を食べてはならず、大麦、乳製品、バター、野菜などを食べます。もし耐えられない場合は、自分で乞食して飯を得ることはできますが、僧侶たちの食事を食べてはいけません。このようにして十万遍満足すれば、験力が得られます。

清浄な道場に摩利支天像を安置したら、行者は毎日沐浴します。もし沐浴できない場合は、手を洗い口をすすいで道場に入り、身印を結んで摩利支天を呼び出し安置します。様々な供養をし、毎日真言を百八遍または千八遍唱えます。このようにして十万遍満足するまで続けます。

その後、良い場所を選んで地面を整え、悪いもの、木の根、瓦礫、毛や骨などを取り除き、地面を固く突き固めて平らにします。壇を作る日は臘月(十二月)の十五日です。五色で壇を作り、中心に摩利支天の座を置き、座の上に華座と像を描きます。配置としては、東面に使者・婆多羅室利夜を、北面に使者・計室儞を、南面に使者・摩利儞を安置します。そして、呪師が彼らを呼び出して安置し、香、華、飲食八皿、灯明十六盞など様々な供養をします。呪師は西門に座り、東を向いて真言を千八遍唱え、様々な供養を終えてから彼らを見送ります。

別の方法として、日食や月食の日にこの壇法を行うと、大いに験力が得られます。

「若人欲東西遠行在路者,先作水壇,喚末利支安置已,取粳米華和酥,呪一遍一燒滿一千八遍并誦呪,隨所欲去處趣者得大驗。

もし人が東や西へ遠く旅に出ようとするならば、まず水の壇を作り、末利支を呼び寄せて安置した後、粳米の華と酥を混ぜ合わせ、呪文を唱えるたびに一度焼き、千八回満たすまで行い、同時に呪文を誦する。そうすれば、行きたいところへ向かうことができ、大きな験を得ることができる。

「又更一法,七日之中日日作水壇,喚末利支安置,復著火爐然穀木樹火。於此柴火中呪燒粳米、烏麻一百八遍并誦呪,日三時,時別一百八遍,乃至七日作此法訖,向王臣邊者前人散走他。

また、もう一つの方法があります。七日間のうち、毎日水の壇を作り、末利支を呼び出して安置し、さらに火炉に穀木の樹火を燃やします。この柴火の中で、粳米と烏麻を呪文を唱えながら百八回焼き、一日三回、それぞれ百八回ずつ行います。七日間この法を修した後、王や臣の側に向かえば、その人は散り散りになって逃げ去ります。

「又更一法,若欲論議,依前法火燒梨枝一百八段,一段一尺,并呪七日。作此法者得大論師也。

また、もう一つの方法があります。もし議論をしたいなら、先の方法に従って、梨の枝を百八段に切り、一段を一尺の長さとし、七日間呪文を唱えながら火で焼きます。この法を行う者は、偉大な論師となることができます。

「又法依前法火燒酥一百八遍并呪者,一切禽獸毒蟲不得侵害。

また、前の方法に従って、火で酥を百八回焼き、呪文を唱えると、すべての鳥獣や毒虫による害を免れることができる。

「又法若人欲得見末利支者,依前法以穀樹柴然火,取天木二十一段,以酥蜜酪塗之,火燒并呪,日日唯喫粳米飯、乳、酥三種,不得食餘物。七日之中,日日倍勝種種供養。如是七日作此法時,第七日中末利支身現,入道場問行者言:『汝欲求何法?』是時行者隨意答之。時末利支聽許歸去,即知得驗,一切諸天亦皆歡喜。

また、もし人が末利支天を拝見したいと願うなら、先に述べた方法に従って穀樹の薪で火を焚き、天木二十一段を取り、それに酥・蜜・酪を塗り、火で焼きながら呪文を唱える。毎日、粳米の飯と乳、酥の三種類のみを食べ、他の物は口にしてはならない。七日間のうち、日ごとに供養の品を倍増させ、さまざまに供養する。このように七日間この法を行っていると、七日目に末利支天の御姿が現れ、道場に入り行者に尋ねる:『汝は何を求めているのか?』この時、行者は思いのままに答える。すると末利支天は願いを聞き届け、立ち去られる。こうして験が得られたと知り、すべての諸天もまた喜びに満ちる。

「又法七日之中每日三時,火燒茴香草、白菖蒲、白芥子三種并呪訖,向羅闍邊去者,前人歡喜。

また、法を修する七日間、毎日三度、火で茴香草・白菖蒲・白芥子の三種を焼き、呪文を唱え終えた後、羅闍の方角に向かって行うならば、相手は喜びます。

「又法欲向官人邊去者,依前法火燒白芥子,日日三時,時別一百八遍并呪。七日之中唯食粳米、乳、酪三種,不得食餘物。如是七日訖,向官人邊去者,前人歡喜。

また、役人のもとへ行こうとする者は、先の方法に従って白芥子を火で焼き、毎日三度、一度に百八回ずつ真言を唱えます。七日間は粳米と乳、酪の三種類だけを食べ、他の物は口にしません。このように七日を過ごした後、役人のもとへ行けば、相手は喜んで迎えてくれるでしょう。

「又法依前法,火燒阿末羅梨葉一百八遍并呪,如是七日,治一切鬼病則得驗。

また、前の方法に従い、アマラリの葉を火で焼き、百八回呪文を唱える。このように七日間続ければ、あらゆる鬼神による病を治し、効果を得ることができる。

「又法依前法取大麥好擣(勿使末),以蜜和作團,大如李子,一百八箇。七日之中,行者初日全不喫食,餘六日任意得食。日日火燒所團大麥并呪,作上歡喜印,如是盡燒一百八團訖,以水滅火後,附其煙上薰兩手掌,誦呪二十一遍,願云『使我之手作一切法種種得驗』者,即一切得驗,前人歡喜。

また、法に従い、前の方法通りに大麦をよく搗き(粉にしないように)、蜜と和えて団子を作り、李の実ほどの大きさにし、百八個用意します。七日間のうち、行者は初日は一切食事を取らず、残る六日は自由に食事をして構いません。毎日、用意した大麦の団子を火で焼きながら呪文を唱え、上記の歓喜印を結びます。こうして百八個の団子を全て焼き終えたら、水で火を消し、その煙の上で両手のひらを燻します。その後、呪文を二十一遍唱え、願いをかけます。「私の手がすべての法を実現し、あらゆる験力を得られますように」と。そうすれば、すべての願いが叶い、相手も喜びに満たされます。

「又法若人熱病,取好青草擬口,誦呪二十一遍,以摩病者五十四遍并呪者即差。

また、もし人が熱病にかかったときは、良質の青草を口に含み、呪文を二十一回唱え、それを病む者の身体を五十四回撫でながら唱えると、病人はたちまち快癒する。

「又法日日一遍誦呪,三遍作大護身,三遍作大結界,五遍誦呪者,所愛之人任意即得。六遍誦呪結界,夜入塚墓一切無畏。

また、毎日一度真言を唱え、三度大護身を行い、三度大結界を結び、五度真言を唱えるならば、愛する人を思いのままに得ることができます。六度真言を唱えて結界を結べば、夜に墓場に入っても一切恐れることはありません。

「又法若欲遠行,先於私房七遍火燒薰陸之香并呪訖,著道行之時數數誦呪,行者路中賊難鬼難等皆不得近也。

また、もし遠方へ旅立とうとするときは、まず自室で七度、乳香を焚いて煙で薫じ、呪文を唱え終えたならば、道中に身につけておき、その都度繰り返し呪文を唱えるとよい。そうすれば、行者は旅路において賊難や鬼難などの災いに近づかれることはない。

「又法依前法,白月八日於淨室中取好香花與粳米飯少少,火燒一千八遍。行法之人一日不食,著淨潔之衣。作此法者,前人尊重恭敬供養。

また、前の方法に従って、白月の八日に清浄な部屋の中で、良い香りの花と粳米の飯を少々取り、火で一千八回焼く。この行法を行う人は、一日食事をとらず、清らかな衣を身に着ける。この法を行う者は、人々から尊重され、敬われ、供養されるであろう。

「又法取牛糞,未落地時以器承取,莫著別處,即用和水作水壇,壇中心著佛像或佛舍利。復取母犢並黃牛乳作酥,盛著金鉢中,以右手無名指攪之於酥并呪。其酥之上火若出者,即知得大聰明,一誦千偈。若火不出唯煙與煖者,即知得可聰明。若不得煙煖,自身伏地擬口於酥器邊,以右手無名指為𣚰喫酥,即得少少聰明。

また、ある方法では牛の糞を取り、地面に落ちる前に器で受け止め、他の場所に置かず、すぐに水と混ぜて水壇を作ります。壇の中央には仏像または仏舎利を安置します。さらに、母牛と子牛の乳から酥(酥油)を作り、金の鉢に盛り、右手の薬指で酥をかき混ぜながら呪文を唱えます。その酥の上に火が出れば、大いなる智慧を得て、千の偈を一度に暗誦できると知るべきです。火が出ず、ただ煙と温もりだけがあれば、智慧を得られると知るべきです。煙も温もりもなければ、自分は地面に伏して、口を酥の器の縁に近づけ、右手の薬指で酥をすくって食べれば、少しばかりの智慧を得るでしょう。

「又法於城東門外,好料理地作四肘壇。取坏塼五箇,中心著一、四面各一。又以四水罐盛水,以柳枝塞口,於四面塼上著之。又取紫檀摩研水中,即以其水灑於壇上,以赤花供養於壇。復以胡撚支四枚,各著四水罐邊。復以五色線遶壇四面。於壇四面之外,以種種花香飲食泮與諸鬼。於壇四門敷青草座,呪師著好淨衣,結跏趺坐於青草上,喚摩利支及諸使者安置,種種供養。呪師手把青草誦呪,以草從自頭向脚摩之一百八遍,呪師手作字末利支身印,印中把青草向自頂著,遣一弟子將壇上四水罐一一灌於呪師頂上竟,然後呪師著好淨衣作護身印,念佛禮佛禮摩利支訖,取龍樹花與龍腦香及酥合香三種,七日之中呪師唯食粳米牛乳粥,不得食餘物,日日呪於上三種藥一百八遍。乃至第七日,將彼藥安自頂上、右肩、左肩、心上、咽上、額上者,得驗。此語不問有別法用。

また、この法を行うには、城の東門の外で、きちんと整えた地に四肘の壇を作ります。坏塼(かわら)を五枚用意し、中央に一枚、四方に各一枚を置きます。また、四つの水瓶に水を満たし、柳の枝で口を塞いで、四方の塼の上に置きます。さらに紫檀(したん)を水で磨りおろし、その水を壇の上に振りまき、赤い花で壇を供養します。また、胡撚支(ごねんし)を四本用意し、それぞれ四つの水瓶のそばに置きます。そして五色の糸で壇の四方を巡らせます。壇の四方の外には、さまざまな花や香、食べ物を用意して、諸々の鬼に施します。壇の四つの門には青草を敷いて座を設け、呪師は清らかな衣を身にまとい、結跏趺坐(けっかふざ)の坐法で青草の上に座り、摩利支天およびその使いの者たちを請じて、さまざまな供養を捧げます。呪師は手に青草を持って呪文を唱え、その草で頭から足に向かって体を百八回撫でます。呪師は手で摩利支天の身印(みいん)を結び、その印の中で青草を持って自分の頭頂に載せます。そして弟子の一人に命じて、壇の上の四つの水瓶の水を、順に呪師の頭頂に注がせます。それが終わったら、呪師は清らかな衣を身にまとい、護身の印を結び、仏を念じ、仏に礼拝し、摩利支天に礼拝します。それから龍樹花(りゅうじゅげ)と龍脳香(りゅうのうこう)、および酥合香(そごうこう)の三種類を取り、七日間の間、呪師は粳米(うるちまい)と牛乳の粥だけを食べ、他の物を食べてはなりません。毎日、上の三種類の薬に呪文を百八回唱えます。そして七日目に至って、その薬を自分の頭頂、右肩、左肩、心臓の上、喉の上、額の上に置けば、験(しるし)が得られます。この言葉は、別の法を用いるかどうかを問わないのです。

「又法依前,若人患痔病,取黑線作呪索,病者頭東脚西臥於床上,以索繫病者腰,又以引索繫其床脚,并呪二十一遍者,痔病即差。若人患頸治法,准上唯改前繫腰,繫其頸上為異。

また、前の方法に従います。もし人が痔の病気を患ったなら、黒い糸を取り、呪文を唱えて縄を作ります。病人は頭を東に、足を西に向けて床の上に横たわります。その縄で病人の腰を縛り、また別の縄を引いてその病人の寝台の脚に縛り付けます。そして、二十一回呪文を唱えると、痔の病気はすぐに治ります。もし人が首の病気を患ったなら、治療法は前述と同じですが、腰を縛る代わりに、その首を縛ることが異なる点です。

「又法取江水兩邊泥土以作一百鬼形像,其中鬼王名曰毘那夜迦。此鬼王頭者作象頭形,其餘諸鬼頭各各別作諸禽獸形,其身手脚總作人形,大小長短四指或八指許作之。取紫檀木以於水研之,用以其水和泥,於地作壇。以五色土於壇之上作座處,中心一座、北面二座、南面二座、東面二座。於中心座上著於鬼王像,其餘六座上總分著九十九鬼像,以諸香花及燃七盞、酥燈飲食等種種供養,并取安悉香和酥火燒用以供養。呪師於西門坐面向東,誦末利支呪七遍,以種種色線呪二十一遍,然後取壇三面諸鬼像,聚就於中心鬼王邊一處著之,以其七色線總縛著彼鬼像訖,取犢子糞一百八團,一一火燒并呪,燒一一團時一誦呪。馺婆(二合引)訶(引)於前先唱,云縛一切鬼,然後唱云馺婆(二合引)訶(引),如是盡一百八團竟,別處掘地深至人腰作孔,將彼所縛諸鬼像著於孔中,以諸香花種種飲食供養彼鬼,然後以上塞於孔上,堅築以地平復,其鬼永不得出。若彼呪師業病臨死之時,心中作意解放彼鬼,彼鬼得脫。若作此法者,即得末利支大驗,一切呪驗。

また、ある法(修行法)では、川の水の両岸の泥土を取って、一百の鬼の形像を作る。その中の鬼王の名を毘那夜迦(ヴィナーヤカ)という。この鬼王の頭は象の頭の形に作り、その他の鬼たちの頭はそれぞれ様々な鳥獣の形に作り分ける。その体と手足はすべて人の形に作り、大きさや長さは四指または八指ほどの大きさに作る。紫檀の木を取って水で研ぎ、その水で泥土を混ぜて、地に壇を築く。五色の土を壇の上に用いて座所を作る。中央に一座、北面に二座、南面に二座、東面に二座を設ける。中央の座に鬼王の像を安置し、その他の六つの座に合わせて九十九の鬼の像を置く。種々の香や花を供え、さらに七盏の灯明を灯し、酥油や飲食など様々な供物を捧げる。さらに安悉香(アンシコウ)を酥油と混ぜて火で焼いて供養する。呪師は西の門に座して東を向き、末利支(マリシ)の呪を七回誦える。種々の色の糸に呪を二十一回かける。その後、壇の三面にある諸々の鬼像を取り集めて、中央の鬼王の傍らの一箇所に置く。その七色の糸でそれらの鬼像をまとめて縛り終えたならば、犢子(こうし)の糞を取って一百八個の団子を作り、一つずつ火で焼きながら呪を誦える。一つを焼くごとに呪を一誦する。まず「薩婆(サバ)訶」と唱える前に、「すべての鬼を縛る」と唱え、それから「薩婆訶」と唱える。このようにして一百八個をすべて終えたならば、別の場所の地面を人の腰の深さまで掘って穴を作る。その縛った諸々の鬼像を穴の中に納め、種々の香花や飲食でそれらの鬼を供養する。そして土で穴の上を塞ぎ、固く踏み固めて地面を平らに戻す。するとその鬼たちは永遠に出てくることができない。もしその呪師が業病にかかって臨終の時には、心の中でそれらの鬼を解き放とうと意を巡らせれば、その鬼たちは解脱を得る。もしこの法を行えば、すなわち末利支の大きな験力を得て、すべての呪の験力も得られるのである。

「又法一生之中日日唯食粳米乳粥,數數誦呪,得大聰明,四姓之中得婆羅門大愛念。若火燒酥酪乳者,剎帝利愛念。若火燒大麥乳酪者,毘舍愛念。若火燒烏麻滓者,首陀愛念。

また、ある法では、一生の間、毎日ただ粳米の乳粥だけを食べ、何度も呪文を唱えるならば、大きな智慧を得ることができ、四つの姓の中でも婆羅門から特に愛され、慕われる存在となるであろう。もし、火で酥や酪、乳を焚くならば、刹帝利から愛され慕われる。もし、火で大麦と乳酪を焚くならば、毘舎から愛され慕われる。もし、火で烏麻の滓を焚くならば、首陀から愛され慕われるであろう。

「又法若人鬼病,口全不語者,呪水二十一遍泮之即語。

また、もし人が鬼に取り憑かれて、口がまったく利けなくなったなら、水に呪文を二十一度唱えて、その水をかけたり飲ませたりすれば、すぐに言葉を話せるようになる。

「又法鬼病,口合不語,以袈裟角呪二十一遍打之即語。

また、鬼に取り憑かれて口が閉じて言葉を話せない場合には、袈裟の端を持って呪文を二十一遍唱えながら、その端で患者を打ちなさい。そうすれば、すぐに話せるようになります。

「又法手捻於灰呪之七遍,散四方結界。又法以泥作彈丸十箇,各擲十方,作大結界。

また、法として灰を手に取り、これを七回呪文を唱えてから、四方に撒いて結界とします。また、法として泥で弾丸を十個作り、それぞれを十方に向かって投げることで、大きな結界を張ることもできます。

「又法若婦人難產,呪烏麻油七遍,以摩臍上,即得易產。

また、もし婦人が難産の場合は、ゴマ油に七回咒を唱え、それを臍の上に塗れば、すぐに安産となるでしょう。

「又法若共他論議得勝時,被他相憎嗔,一隻相言。

また、もし他人と議論して勝った時に、相手から恨まれたり怒られたりして、互いに罵り合うことがある。

「又共他鬪諍,被他相言,枷鎖官邊問罪是非之時,取白菖蒲呪二十一遍繫著右臂,復以左手作歡喜印并呪之,即得大勝之理。若數誦呪,種種得驗。

また、他の者と争いになり、相手に訴えられ、役所で罪の善悪を問われる時には、白菖蒲(しょうぶ)を取り、真言を二十一回唱えて右腕に結び付けなさい。そして左手で歓喜印を結び、同じく真言を唱えなさい。そうすれば必ず大いに勝つことができるでしょう。もしこの真言を何度も唱えるならば、さまざまなご利益を得ることができるのです。

「又法若人被毒蟲螫者,呪師取五色線作呪索二十一結。以繫自右手臂上訖,向彼螫人邊去,取柳枝呪之,數數以手摩彼人即差。

さらに、もし人が毒のある虫に刺された場合、呪い師は五色の糸を取り、呪文を唱えながら二十一個の結び目を作った呪索を用意します。それを自分の右手の腕に結び終えたら、刺された人のもとへ向かいます。柳の枝を取り、呪文を唱えながら、何度もその枝で刺された人を撫でると、その人はすぐに治ります。

「若人被惡毒蛇所螫臨死之時,呪師以自手掬取水,漱口七遍誦呪,以其水泮於病者二十一遍竟即差。

もし人が猛毒の蛇に噛まれ、死に瀕している時、呪い師が自分の手で水をすくい、口を七回すすいで呪文を唱え、その水を病者に二十一度かけると、たちまち癒える。

「又若人身生惡瘡者,和泥塗於瘡上二十一遍并呪即差。

また、もし人の身に悪い出来物(できもの)ができたならば、泥を水で溶いてその出来物の上に塗り、二十一回お経を唱えれば、たちまち治るでしょう。

「又若畜生遇時氣病者,於城正中央然穀樹火,以牛乳火燒并呪即差。夜裏應作此法,其明日午時還燒穀樹火,取白芥子油與白芥子相和,火燒一千八遍并呪即差。

また、もし家畜が季節の病気にかかったなら、町の中央で穀物の木の火を焚き、牛乳を火にかけて呪文を唱えれば、たちまち治ります。この儀式は夜に行うべきです。翌日の正午にもう一度穀物の木の火を焚き、白芥子の油と白芥子を混ぜ合わせ、火に一千八回投じて呪文を唱えれば、やはり治ります。

「又法取俱嚕陀木一千八段(此木相狀似菩提樹),一一火燒并呪各一遍者,一切鳩槃荼、藥叉等鬼神皆悉歡喜。

また、法として俱嚕陀木(くるだぼく)を一千八片取り、(この木の形は菩提樹に似ている)、それぞれを火で焼き、また各一片ごとに呪を一遍ずつ唱えるならば、全ての鳩槃荼(くばんだ)、薬叉(やくしゃ)などの鬼神たちは皆ことごとく喜び楽しむであろう。

「若火燒冬苽少少一千八遍者,一切魍魎悉皆歡喜。

冬の瓜を火で焼き、少しずつ千八回行うならば、あらゆる魍魎(もうりょう)はみな喜ぶであろう。

「若取塚墓之上樹木一千八段,與烏麻相和火燒并呪一千八遍者,一切大惡鬼神歡喜。

もし、墓の上に生えている木の枝を千八本取り、ごまの種と混ぜて火で焼き、同時に呪文を千八回唱えるならば、あらゆる邪悪な鬼神たちも喜ぶでしょう。

「又法若取菩提樹枝一千八段,一一塗酥火燒一千八遍并呪者,四大天王歡喜愛念。

また、この作法として、菩提樹の枝を千八本取り、それぞれに酥を塗って、千八回火で焼き、同時に真言を唱えるならば、四大天王が喜び、その者を愛し慈しまれるであろう。

「又法若人癲病者,呪師取一切五穀相和,以手掬取呪之火燒一千八遍者,鬼神歡喜,即得治病。

また、ある人が癲病(てんびょう)にかかっている場合、呪師(じゅし)はあらゆる五穀を取り混ぜ、手でひと掴みして呪文を唱えながら火に投じ、一千八回焼くならば、鬼神が喜び、その病を治すことができるであろう。

「若取安悉香擣之為丸,塗酥火燒一千八遍并呪者,摩醯首羅及傍邊天一切歡喜。

もし安悉香を取って粉にし、丸めて、酥(酥油)を塗って火で一千八回焼き、それに加えて真言を唱えるならば、摩醯首羅天とその傍らにいる諸天は、皆、大いに喜ぶであろう。

「若依以前法作壇,種種供養,壇中心著佛像或佛舍利,取喝囉迦沙彌陀木(此是苦練樹之別名)三千八段,與酥酪蜜中塗之,一一火燒各一段一呪,如是盡三千八段。作此法者,造四重五逆罪滅而得驗。

もし以前の方法に従って壇を設け、様々な供養を行うならば、壇の中央に仏像または仏舎利を安置し、喝囉迦沙彌陀木〈これは苦練樹の別名である〉を三千八片取り、酥・酪・蜜の中に浸して塗り、一片ごとに火で焼きながら呪文を一回唱える。このようにして三千八片すべてを焼き終える。この修行を行う者は、四重の罪や五逆の重罪を犯していても、その罪が消滅し、験(効果)を得ることができる。

「若行者依前法作水壇訖,從白月八日至十五日,日日取紫薑木一千八段,塗酥火燒并呪者,末利支即來入道場,遂其所願。爾時行者眼見末利支身,得大驗。

修行者が前述の方法に従って水壇を作り終えたなら、白月の八日から十五日まで、毎日紫薑木を千八本取り、酥を塗って火で焼き、同時に呪文を唱える。すると摩利支天が道場に現れ、その者の願いを叶える。その時、修行者は自分の目で摩利支天の姿を直接見ることができ、大きな功徳を得るのである。

「若一日不食,作此法種種供養者,得末利支大驗。
「又若欲得錢財者,黑月十四日至十五日兩日之中,每日三時取烏麻粳米及粳米花三種火燒并呪者,即得錢財。

また、もしお金や財産を得たいと思うならば、黒月の十四日から十五日までの二日間、毎日三回、ごま、粳米、そして粳米の花の三種類を火に投じて、呪文を唱えれば、必ずお金や財産を得ることができるでしょう。

「又法若欲得縛魔者,七日之中日日取苦練樹枝,一名菩提樹,一千八段,一一塗於白芥子之油中火燒者,即得縛。若呪師或俗人行此呪法時,官府知之捉得者,被枷鎖縛時,數數誦此呪,縛永不得。

また、もし魔を縛ろうと望むなら、七日間のあいだ毎日、苦練樹の枝(別名・菩提樹)を千八本取り、それぞれに白芥子の油を塗って火で焼けば、魔を縛ることができる。もし呪師や俗人がこの呪法を行うとき、官府に知られて捕らえられ、枷や鎖で縛られたなら、何度もこの呪を唱えよ。すると、その縛めは決して解けないことなく、永久に続くであろう。

「若人相瞋,取烏麻油滓與粳米糠相和,火燒一千八遍并呪者,即得前人瞋即歡喜。若取烏麻火燒一千八遍者,前人愛念歡喜。

もし人が他人に憎まれているなら、胡麻の油かすと米ぬかを混ぜ合わせ、火で一千八回焼きながら呪文を唱えると、その憎んでいる相手はすぐに怒りを収めて喜びます。もし胡麻だけを火で一千八回焼くなら、相手はその人を愛しく思い、喜びを感じるでしょう。

「又法若欲得錢財者,七日之中日日取石榴草莖長六指一千八段,一一火燒并呪者,即得錢財。

また、もし財を得たいと願うならば、七日間、毎日ザクロの草の茎を指六本分の長さに切り、千八本を用意して、一つ一つを火で焼きながら呪文を唱えなさい。そうすれば、必ず財を得ることができるでしょう。

「又法欲向他人處索所愛物者,取白菖蒲呪之一千八遍,繫自臂上,乞之無所不得。

また、他人から愛する物を求めたい時は、白い菖蒲を取り、これを一千八回お呪いを唱えて、自分の腕に結びつけなさい。そうすれば、求めるものは何であれ得られないものはないでしょう。

「又法二十一日日日三時,取安悉香擣之為丸一千八丸,用塗酥酪蜜中,一一火燒并呪者,向王百官邊去者,前人歡喜愛念。若欲得作綱維者,七日之中日日三時,取眾名香擣之為丸一千八丸,一一塗酥火燒并呪者,即得綱維。又法若行者洗浴入道場作水壇等種種供養,喚末利支安置,如是滿十萬遍。作此法訖,然後口云結界(莫手作印),隨行者所願皆得成就,一切難事易得辦之,然破他人作法之事。」

また、ある修法では、二十一日の間、毎日三回、安悉香を砕いて一千八丸の丸薬を作り、酥・酪・蜜に浸して、一つずつを火で焼きながら呪文を唱えます。この修法を行う者が王や百官のもとへ赴けば、彼らは喜び、親しみの心を抱くでしょう。

もし綱維(寺の役職)を得たいと望むなら、七日間、毎日三回、さまざまな名香を砕いて一千八丸の丸薬を作り、それぞれに酥を塗って火で焼きながら呪文を唱えるならば、その願いは叶えられるでしょう。

また、ある修法では、行者が沐浴し、道場に入って水壇を設け、種々の供養を行い、摩利支天を招いて安置し、十万遍の呪文を唱え終えます。この修法を終えた後、「結界」と唱えます(ただし、手で印を結んではならない)。そうすれば、行者の願いはすべて成就し、いかなる困難なことも容易に成し遂げられます。また、他人が行う修法を破ることもできます。

爾時末利支白佛言:「世尊!我有別法,今欲說者,用好紫檀木廣三指長三寸,其木一面刻作末利支形,作女天。其像左右各刻作兩末利支侍者,亦作女形。復以別紫檀木作蓋蓋之。作此像已,欲行遠道,將於此像不離自身,隱藏著之。莫令聽人知,日日數數誦呪。

そのとき、末利支が仏に申し上げました。「世尊!私には別の法があります。今、説こうと思います。良質の紫檀の木を、幅三指、長さ三寸に整え、その木の片面に末利支の姿を刻みます。女天として作ります。その像の左右に、それぞれ二体の末利支の侍者を刻みます。これもまた女の姿として作ります。さらに別の紫檀の木で蓋を作り、それをかぶせます。この像を作り終えたら、遠くへ旅をするときは、この像を身から離さず持ち歩き、人目につかないように隠して身につけます。人に知られないようにして、日々たびたび呪を唱えます。

「若有所願欲作水壇,壇中心安像,喚末利支安置,以種種供養,復取蓮華一百八箇以供養之。其供養法,手取一一蓮華呪之,用以供養。復以烏麻粳米火燒一千八遍并呪訖,把像種種得驗(此語應知)。上件諸法皆作水壇等,種種供養始得驗之。」末利支說此法竟,與諸天龍八部禮佛而退。

もし何か願い事があって水壇(すいだん)を作りたいなら、壇の中央に像を安置し、摩利支天(まりしてん)を呼び寄せて祀り、さまざまな供物を捧げなさい。さらに蓮の花を百八輪取り、それを供養に用いなさい。その供養の方法は、手に一本ずつ蓮の花を取り、真言を唱えてから捧げるのです。また、ごま(烏麻)ともち米を火で一千八回焼きながら真言を唱え終えたら、像を手に持って(祈願すれば)、さまざまな験(しるし)が得られるでしょう(この言葉は心に留めておくべきです)。以上のすべての方法は、水壇などを作り、さまざまな供養をして初めて験が得られるのです。」摩利支天がこの教えを説き終えると、天や龍などの八部衆とともに仏に礼拝して、その場を退かれたのでした。

怛姪他阿羅居隷阿羅居隷吉利帝底薩婆伽羅醯鼻(毘簸反)薩菩烏波塗瑟䶩鼻(反同前)薩婆伊底廋烏波達囉髀鼻(反同前)勒叉勒叉莫麼(某甲)耶寫莎嚩(二合引)訶(引)
有一本云:作天像法,其像二手,左一手屈臂向上平橫,當左乳前把拳,拳中把拂,形如講法師高座上所把形。於其拂中作西國萬字文形,亦如佛像胸上字,字四曲內各作日形,一一著之著四箇日形。其拂上作焰形。右一手申臂及指解垂下。其作像法,畫像一種無別,其像身長一寸二寸乃至一肘。

ある経典にはこう記されています。天の像を作る方法として、その像の両手のうち、左手は肘を曲げて上に水平に掲げ、左胸の前に置き、拳を作り、その拳の中に払子(ほっす)を持つ形とします。これは講法の師が高座の上で持つ形と同じです。その払子の上には、西方の「卍」の字の形を作り、それはちょうど仏像の胸にある字のようであり、その字の四つの曲がりの中にそれぞれ日(太陽)の形を作り、一つ一つ描いて四つの日形を置きます。その払子の上には炎の形を作ります。右手は腕と指を伸ばして垂らします。この像を作る方法は、絵に描く場合も同じで違いはありません。その像の身長は一寸、二寸、あるいは一肘(いっちゅう)までの大きさとします。

怛姪他阿羅拘梨阿羅拘梨雞利底跢薩嚩(去)伽囉醯鼻(比可反)薩菩鉢跢羅髀鼻(同上反)薩婆伊都廋鉢跢囉鞞弊曷勒叉曷勒叉麼麼(某甲)夜寫莎嚩(二合引)訶(引此一呪欲以挍言)
以後別此呪縛賊。

これより、この呪縛の賊と別れよう。

曼殊室利菩薩說呪曰:

文殊師利菩薩が、このように呪文を説かれました。

歸命同千轉頭。

千の頭を持つ仏に帰依いたします。

那冒曼殊室利曳矩摩羅菩多夜怛姪他醯利底瑟吒(上二合)怛婆羯羅(上)趺途徙摩遮羅(上二合)莎嚩(二合引)賀
又若在道行逢賊時,呪手大母指急把指,遇賊無難。若呪衣袂或衣衿,左綟七遍急把誦呪而過。

また、もし道を行く途中で賊に遭ったならば、手の親指を呪文を唱えながらしっかりと握りなさい。そうすれば賊に遭っても難を逃れられます。もし衣の袖や襟に呪文を唱えるならば、左に七回ねじってしっかりと握り、呪文を唱えながら通り過ぎなさい。

除睡呪

眠りを除く呪文

怛姪他伊底彌底只底比迦那羶底波陀恥莎嚩(二合引)賀(引)

怛姪他 伊底 彌底 只底 比迦那 羶底 波陀恥 莎嚩賀

若人坐中多睡時,於佛前至心誦七遍便少無也。

もし人が座っている最中に眠気がひどい時は、仏の前で心を込めて七回唱えれば、眠気は少なくなり、やがてなくなります。

毘沙門呪曰:

毘沙門の呪は、こう唱えます。

那謨裴鑠囉皤拏寫摩訶曷囉闍寫施鞞娑婆(二合引)呵(引)施皤跋趺犁娑婆訶
若呪淨油七遍若二七遍,用塗臥所,乞財物等得如所願。

呪文を七回、または十四回唱えた清浄な油を、寝る場所に塗れば、財物などを求める願いが叶うでしょう。

呪一切賊法:

呪一切賊法:

補魯那補魯那主嚕訶主嚕訶薩寫娑婆(二合引)訶

補魯那補魯那主嚕訶主嚕訶薩寫娑婆(二合引)訶

更有呪縛賊呪:

さらには、呪いや縛り、賊の呪いというものがある。

伽吒加吒僧伽吒我今為加吒終不為解加吒

ガタ カタ サンガタ 我れ今、カタの為にせず、終にカタを解する為にせず。

又若被賊,燒香誦呪。若有疑者并稱名,若不知者但當面誦呪呪之,賊即自縛,自道盜物。得已,然後解放,大驗也。

また、もし賊に遭ったなら、香を焚いて呪文を唱えなさい。もし疑わしい者がいるなら、その名を呼びなさい。もし知らない者なら、ただその者の面前で呪文を唱えて祈りなさい。そうすれば、賊はすぐに自ら縛られ、自ら盗んだ物を告白するでしょう。物を取り戻したなら、その後で解き放ちなさい。これは大いなる験(しるし)があります。

末利支提婆花鬘經

末利支提婆花鬘經


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