華嚴策林
華厳策林
右唐賢首國師述
唐の賢首国師の述作
夫華嚴宗旨。其義不一。究其了說。總明因果二門。因即普賢行願。果即舍那業用。此諸界為體。緣起為用。體用全收。圓通一際。語其所以。不出緣起。以義迴轉。鎔達有空。隨智鑑用。即說多門。隨體湛宗。即說一義。若論玄旨。一多不可。然以不為了一不多為了多。恒存常空常有。大況如此。粗陳梗概。今就要義。略申問答。但述大意。餘屬經文。庶得道君子。探其趣焉。
『華厳経』の根本的な教えは、一つに定まるものではありません。しかし、その究極の主張をまとめれば、因果の二つの門に集約されます。因とは普賢菩薩の行願であり、果とは毘盧遮那仏の働きです。この世界の本質は「界」であり、そのはたらきが「縁起」です。本体とはたらきは互いに包み合い、完全に融け合って一体となっています。
その道理を説くならば、すべては縁起から外れません。この縁起の意味をもって、有と空の両方に通じるのです。智慧に従って観るならば、多くの門として説かれます。本体に安住するならば、一つの真理として説かれます。
しかし、その深遠な真理を論じるならば、「一」とも「多」とも言えません。それでも、「一」のために「多」を否定せず、「多」のために「一」を否定しません。常に空であり、常に有である。おおよそこのようなものです。
ここでは、重要な要点だけを取り上げ、簡潔に問答の形で説明します。ただし、あくまで大意を述べるにとどめ、詳細は経典本文に委ねます。どうか智慧ある方々が、その真意を探求されますように。
一徵普眼 二明理事 三辨正因 四融大小 五結成壞 六通二界 七明隱顯八明因果 九達色空
一、普眼を理解する 二、理と事を明らかにする 三、正しい因を明らかにする 四、大乗・小乗を融合する 五、成立と破壊をまとめる 六、二つの世界を貫く 七、隠れと顕れを明らかにする 八、因と果を明らかにする 九、色と空を達する
一徵普眼
一微塵に遍く普眼
問眼色相依。應有其事。根塵和合。其旨非無。緣會現時。云何得不𫮧境。云何方名普眼 私答曰五緣為因。稱眼為果。若緣發現。即以緣名為眼。若以因沒果中。緣皆號眼。然則全色為眼。恒見而無緣。全眼為色。恒稱見而非我。非我離於情想。無緣絕於貪求。收萬象於目前。全十方於眼際。是以緣義無盡。隨見見而不究。物性難見思。應法法而難准。十法則眼普義通。乃見通體久自隱。隱照之遂重重。然究十方於眼際。鏡空有而皎明。收萬象以成身。現理事而通徹。謹對。
問う、眼色は相依るべきか。その事、有るべきや。 根と塵は和合す。その旨、無きに非ず。 縁会して現ずる時、云何ぞ𫮆境を得ざらん。云何ぞ方に普眼と名づくや。
私に答えて曰く、 五縁を因と為し、眼を称して果と為す。 若し縁発現せば、即ち縁を以て眼と名づく。 若し因を没して果の中に在れば、縁皆眼と号す。 然れば即ち全く色を為して眼と為す。恒に見つつも縁無し。 全く眼を為して色と為す。恒に称して見と為すも、我に非ず。 我に非ずは情想を離る。縁無しは貪求を絶つ。 万象を目前に収め、全十方眼際に於いてす。 是を以て縁の義は尽きず、見に随い見つつも究め難し。 物性は見思し難く、法に応じ法にて准じ難し。 十法は則ち眼普く義通ず。乃ち見て通体を久しく自ら隠す。 隠れ照らすこと遂に重重たり。 然れども十方を眼際に究むれば、鏡は空有をして皎明なり。 万象を収めて以て身を成し、理と事を現じて通徹す。 謹んで対す。