ある日、静かに座っていると、突然一人の在家の人が戸を押し開けて入ってきた。そして尋ねた。「あなたはどなたですか。」答えていわく、「私は悟空と申します。どうしてもお尋ねしたいことがあって参りました。以前から大師が『有を知りながらも常見に落ちず、無を知りながらも断空に堕ちない』とおっしゃっていると伺いました。では、『無を知りながらも断空に堕ちない』という意味は、どのようなものでしょうか。」答えていわく、「今、あなたに問いかけましょう。あなたの思うままに答えてください。あなたは今、目で色を見ていますか。」答えていわく、「見ています。」「心は色に執着していますか。」答えていわく、「執着していません。」「同じように、耳で音を聞き、鼻で香りを嗅ぎ、舌で味を感じ、身で触れ、心で法を知るとき、あなたの心は音や香りや味や触れられるものや法に、まだ執着していますか。」答えていわく、「執着していません。」「ここに至って、あなたの心の中には、まだどんな見解がありますか。」答えていわく、「ここに至っては、私の心にはいっさい執着するものがなく、ただ『無』という見解だけが残っています。」「では、その『無』という見解さえも、投げ捨てねばなりません。」答えていわく、「もしこの『無』という見解さえも投げ捨てるなら、私の心には何も残らず、百も得るところがありません。それでは断空に落ちてしまうのではないでしょうか。」そこで彼を呼んで「悟空」と言った。彼が「はい」と答えた。和尚は言った。「これこそ断空でしょうか。」彼は言った。「素晴らしい。多大なるご指導をいただき、ありがとうございます。今日初めて、『空』を理解しながらも断見に堕ちないという意味がわかりました。何という喜びでしょうか。」何度も礼を述べて、去っていった。