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title: "石屋清洪禪師語錄 · 山居詩"
description: "石屋清洪禪師語錄由參學門人至柔等人編撰，收錄了元代高僧清洪禪師的開示、法語、詩偈及書信。清洪禪師屬臨濟宗，活動於元代中後期，其語錄深刻體現了禪宗直指人心、見性成佛的宗旨，內容涵蓋參禪方法、心性論及日常修行指導。該語錄語言簡練機鋒銳利，是研究元代禪宗思想的重要文獻，在佛教史上具有較高地位，對後世禪門發展影響深遠。"
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## 福源石屋珙禪師語錄卷之下

> 福源石屋珙禅師語録 下巻

參學門人　至柔　等編

> 参学門人　至柔　等編

### 山居詩

> 山居の詩

余山林多暇。瞌睡之餘。偶成偈語自娛。紙墨少便不欲紀之。雲衲禪人請書。蓋。欲知我山中趣向。於是。靜思隨意走筆。不覺盈帙。故掩而歸之。復囑慎勿以此為歌詠之助。當須參意。則有激焉。

> 山の暮らしは暇が多く、居眠りの合間に、ふと偈（げ）を詠んで自ら楽しんでいた。紙や墨が乏しく、書き留めることもままならなかったが、雲衲（うんのう）という禅僧が書写を願い出た。おそらく、私の山での趣向を知りたいのだろう。そこで、静かに思いを巡らせ、気の向くままに筆を走らせているうちに、いつの間にか一冊分にもなっていた。だから、それをまとめて彼に渡した。さらに、「これを歌詠みの手助けとせず、必ずその意味を参究せよ」と念を押した。そうすれば、何かしらの刺激となるだろうから。

吾家住在霅溪西。水滿天湖月滿溪。未到盡驚山險峻。曾來方識路高低。蝸涎素壁粘枯殻。虎過新蹄印雨泥。閒閉柴門春晝永。青桐花發𦘕胡啼。

> 我が家は霅溪の西にあり。 水は天湖に満ち、月は溪に満つ。 未だ到らざる者は皆、山の険峻を驚く。 曾て来たる者にして初めて、路の高低を知る。 蝸牛の涎は白壁に枯れ殻を粘す。 虎の過ぎし新たな蹄は雨泥に印す。 閑かに柴門を閉ざす春の昼永く。 青桐の花発き、𦘕胡啼く。

柴門雖設未甞關。閒看幽禽自往還。尺壁易求千丈石。黃金難買一生閒。雪消曉嶂聞寒瀑。葉落秋林見遠山。古栢煙消清晝永。是非不到白雲間。

> 柴の扉は設けても閉めずにあり、 静かに見る 幽かな鳥の往き来するを。 一尺の宝玉は求めやすくとも、 千丈の巨石は得難く、 黄金も買い難し 一生の閑暇を。 雪解けの朝 峰に寒瀑の音聞こえ、 葉落ちる秋林に遠山見ゆ。 古柏の煙消え 清らかな昼は永く、 是も非も届かず 白雲の間に。

荒塚纍纍沒野蒿。昔人未葬盡金腰。有求莫若無求好。進步何如退步高。貪餌金鱗終落釜。出籠靈翮便冲霄。山翁不管紅塵事。自種青麻織布袍。

> 荒れ果てた塚が野の蓬に埋もれている。 昔の人々は、金の腰帯を身につけたまま葬られなかった。 求めるより、求めないことの方が良い。 進むよりも、退くことの方が高い境地である。 餌に釣られた金鱗の魚は、結局は鍋に落ちる。 籠から出た霊鳥は、すぐに天高く舞い上がる。 山の翁は、俗世の出来事には関わらない。 自ら青麻を育て、布の衣を織っている。

紙窓竹屋槿籬笆。客到蒿湯便當茶。多見清貧長快樂。少聞濁富不驕奢。看經移案就明月。供佛簪瓶折野花。盡說上方兜率好。如何及得老僧家。

> 紙の窓、竹の屋、木槿の垣根。 客が来れば蓬の湯を茶代わりに。 清貧の暮らしこそ、長く楽しみに満ち、 濁った富に驕る姿は、めったに見かけぬ。 経文を読む時は机を月明かりに移し、 仏に供える花は野の花を摘んで飾る。 皆、天上の兜率天の素晴らしさを語るが、 どうしてこの老僧の家に及ぶことがあろうか。

道在人弘孰可憑。發言須與行相應。貪心似海何時足。妄念如苗逐日增。幾樹梅花清處士。一園芋子樂間僧。而今隨例菴居者。見道忘山似不曾。

> 道は人によって広められるもの、誰を頼りにできようか。 言葉を発するには、行いと一致していなければならない。 貪りの心は海のようで、いつ満たされるというのか。 妄念は苗のように、日々に増えていく。 幾本もの梅の花、清らかな隠士。 一園の芋、楽しむ閑僧。 今、例に従って庵に住む者も、 道を見て山を忘れることは、まるでないかのようだ。

動則乖真靜則差。非思量處更誵訛。無心未合祖師意。有念盡為煩惱魔。矮屋朝陽寒氣少。踈籬種菊晚香多。白雲曳曳方拖練。又被風吹過綠蘿。

> 動けば真に背き、静めばまた誤る。 思量せざる処はさらに紛らわし。 無心も祖師の意に合わず、有念はことごとく煩悩の魔。 低き屋に朝陽、寒気少なく、 疎らなる籬に菊を植え、晩香多し。 白雲曳曳として練を引き、 また風に吹かれて緑蘿を過ぐ。

松下雙扉冷不扃。一龕金像照青燈。眠雲野鹿驚回夢。落㵎獼猴墜折藤。得意看山山轉好。無心合道道相應。多時不向門前去。蘚葉苔花積幾層。

> 松の下の扉は二つ、冷たくして閉ざさず。 一つの龕の金像、青燈を照らす。 雲に眠る野鹿、夢を驚かせて回り、 谷に落ちる猿、藤を折りて墜つ。 得意に山を見れば、山はますます良く、 無心に道に合えば、道は相応じ合う。 久しく門前へ行かざりし時、 苔の葉、苔の花、幾重にも積もる。

三十餘年住崦西。钁頭邊事不吾欺。一園春色熟茶笋。數樹秋風老栗梨。山頂月明長嘯夜。水邊雲煖獨行時。舊交多在名場裏。竹戶長開待阿誰。

> 三十余年、西の山陰に住み、 鍬の先の仕事は私を欺かず。 一園の春色、茶と筍は熟れ、 数樹の秋風、栗と梨は老ゆ。 山頂の月明かり、長嘯の夜、 水辺の雲暖かく、独り行く時。 旧交多くは名利の場に在り、 竹の戸は長く開けて、誰を待つやら。

翠竇丹崖列四傍。茅菴恰好在中央。一身布衲衣裳煖。百念消融歲月忘。石瘦種來蒲葉細。土深迸出笋芽長。有時夜半聞鐘磬。知有招提在下方。

> 翠の洞、丹の崖、四方に並び立ち、 茅葺きの庵、ちょうど中央にあり。 身にまとう布の衣、暖かく、 百の思い消え融け、歳月も忘れる。 痩せた石の間に植えた蒲の葉は細く、 深い土から迸る筍の芽は長し。 時には夜半、鐘や磬の音を聞けば、 知る、招提の寺は下の方にありと。

莫謂山居便自由。年無一日不懷憂。竹邊婆子長偷笋。麥裏兒童故放牛。栗蟥地蠶傷菜甲。野猪山鼠食禾頭。施為便有不如意。只得消歸自己休。

> 山に住めば自由だなどと、思ってはいけません。 一年のうち、一日も憂いのない日はありません。 竹林のそばの老婆は、いつも筍を盗み、 麦畑では、子どもたちがわざと牛を放します。 栗の虫や地蚕は野菜の芽を傷つけ、 野猪や山鼠は稲の穂先を食い荒らします。 何事をなそうとしても、思い通りにならず、 ただ、すべてを自分のせいとして、あきらめるしかありません。

菴住霞峰最上頭。巖崖𡾟嶮少人遊。擔柴出市青苔滑。負米登山白汗流。口體無厭宜節儉。光陰有限莫貪求。老僧不是閒忉怛。只要諸人放下休。

> 庵は霞峰の最上頭に住む。 岩崖険しくして人遊ぶこと少なし。 柴を担ぎて市に出づれば青苔滑らか。 米を負いて山を登れば白汗流る。 口体厭うこと無きも宜しく節儉すべし。 光陰限り有りて貪り求むること莫かれ。 老僧は是れ閑なる忉怛に非ず。 只だ諸人の放下して休まんことを要すのみ。

嘯月眠雲二十年。自憐衰老見時艱。烏來索飯生臺立。僧去化糧空鉢還。鰕蜆人爭撈白水。钁鉏我且斸青山。黃精食盡松花在。不著閒愁方寸間。

> 月に嘯き雲に眠ること二十年、 自ら憐れむ老いて衰え時艱を見る。 烏来たりて飯を索む生臺に立ち、 僧去りて糧を化す空鉢に還る。 鰕蜆人争って白水を撈り、 钁鉏我且つ青山を斸る。 黄精食い尽くし松花在り、 閑愁を著さず方寸の間。

幽居自與世相分。苔厚林深草木薰。山色雨晴常得見。市聲朝暮罕曾聞。煑茶瓦竈燒黃葉。補衲巖臺剪白雲。人壽希逢年滿百。利名何苦競趨奔。

> 世間との縁を静かに断ち切り、 苔深く、林は茂り、草木の香り漂う。 雨上がりの山の景色はいつも目の前にあり、 朝暮の街の喧騒はめったに聞こえない。 瓦竈で茶を沸かし、落ち葉を焚き、 岩の台で袈裟を繕い、白雲を切り取る。 百年の寿命などめったにないというのに、 名利のためになぜ苦しんで駆け回るのか。

入得山來便學呆。尋常有口懶能開。他非莫與他分辨。自過應須自剪裁。瓦竈通紅茶已熟。紙窓生白月初來。古今誰解輕浮世。獨許嚴陵坐釣臺。

> 山に入れば、すぐに愚かさを学ぶ。 普段は口があっても、めったに開かない。 他人の過ちには、あれこれ言わない。 自分の過ちは、自分で切り捨てる。 瓦の竈は真っ赤に燃え、茶はもう沸いた。 紙窓に白い光が差し、月が昇ってくる。 古も今も、軽薄な世を誰が理解できようか。 ただ厳陵だけが、釣台に座ることを許されている。

溪淺泉清見石沙。屋頭無角寄藤蘿。夜深月下長猿嘯。苔厚巖前少客過。庭竹欹斜春雪重。嶺梅消瘦夜寒多。寥寥此道非今古。徒把甎來石上磨。

> 谷川は浅く泉は清く、石や砂が見える。 屋根の端には角がなく、藤や蘿が絡みつく。 夜更け、月の下で長く猿が嘯く。 苔の厚い岩の前には、訪れる客も少ない。 庭の竹は傾き、春の雪は重く。 嶺の梅は痩せ細り、夜の寒さは深い。 この道は寂寥として、今も昔も変わらない。 ただ、煉瓦を石の上で磨くばかり。

白髮禪翁久住菴。衲衣風捲破襤毿。溪邊掃葉供爐竈。霜後苦茆覆橘柑。本有天真非造化。現成公案不須參。豁開戶牗當軒坐。盡日看山不下簾。

> 白髪の禅僧、庵に久しく住む。 袈裟は風に翻り、ぼろぼろと破れている。 谷川のほとりで落ち葉を掃き、炉竈に供える。 霜の降りた後、苦い茅で蜜柑を覆う。 本来備わる天真、造作にあらず。 現成の公案、参究を要せず。 戸と窓を開け放ち、縁側に座す。 一日中、山を眺め、簾を下ろさず。

臥雲深處不朝天。只在重巖野水邊。竹榻夢回窓有月。砂鍋粥熟竈無煙。萬緣歇盡非除遣。一性圓明本自然。湛若虗空常不動。任他滄海變桑田。

> 雲の奥深く臥し、天を仰がず。 ただ重なる巖、野の水辺に在り。 竹の榻に夢より覚めれば、窓に月あり。 砂鍋の粥熟して、竈に煙なし。 万縁尽きて歇む、除き遣わすに非ず。 一性円明、本より自然。 湛然として虚空の如く、常に動かず。 任せよ、彼の滄海、桑田に変ずるを。

岳頂禪房枕石臺。白雲飛去又飛來。門前瀑布懸空落。屋後山巒起浪堆。素壁淡描三世佛。瓦瓶香浸一枝梅。下方田地雖平坦。難及山家無點埃。

> 岳の頂きの禅房、石の台に枕す。 白雲飛び去りてまた飛び来る。 門前の瀑布、空に懸かって落ち、 屋後の山巒、浪の如く堆く起つ。 素壁に淡く描く三世の仏、 瓦瓶に香り浸る一枝の梅。 下方の田地は平らかなれども、 山家の一点の塵無きに及ばず。

大道從來無盛衰。未明大道著便宜。聖賢隱伏當斯世。邪法流行在此時。痛䇿諸根休自縱。常存正念莫他為。人身一失袈裟下。萬劫千生不復追。

> 大道はもとより盛衰なし。 未だ大道を明らかにせざる者は、便宜に執着す。 聖賢はこの世に隠伏し、 邪法はこの時に流行す。 痛く諸根を策して自ら放縦するを休めよ。 常に正念を存して他を為すこと莫かれ。 人身、一旦袈裟の下を失えば、 万劫千生、再び追うべからず。

破屋蕭蕭枕石臺。柴門白日為誰開。名場成隊挨身入。古路無人跨脚來。深夜雪寒唯火伴。五更霜冷只猿哀。袈裟零落難縫補。收捲雲霞自剪裁。

> 荒れ果てた庵は石の台に寄り添い、ひっそりと佇む。 柴の扉は昼間、誰のために開くというのか。 名利の場には群れを成して身を寄せ合い、 古の道には誰一人、足を踏み入れる者もない。 深夜、雪の寒さの中、ただ火だけが友となり、 五更の霜冷えわたる時、ただ猿の哀しげな声だけが響く。 袈裟はぼろぼろに破れ、縫い繕うことも難しく、 雲霞を巻き取り、自ら裁断して身にまとう。

人壽相分一百年。有誰能得百年全。危如茅草郎當屋。險似風波破漏船。流俗沙門真可惜。貪名師德更堪憐。寥寥世道今非昔。日把柴門緊閉關。

> 人の寿命は百年と定められているが、誰が百年を全うできようか。危うさは茅葺きの揺れる家のようであり、険しさは風波にさらされる破れた船のようだ。世俗に流される僧侶は実に惜しい、名声を貪る師の徳はさらに憐れむべきである。寂しい世の道は今や昔とは違い、日々柴の門を固く閉ざしている。

綠霧紅霞竹徑深。一菴終日冷沉沉。等閒放下便無事。著意看來還有心。古鏡未磨含萬象。洪鐘纔扣發圓音。本源自性天真佛。非色非空非古今。

> 緑の霧、紅の霞、竹の小径は深く。 庵に一日、冷たき沈黙に満つ。 ふと手を放せば、事なきままに。 意を凝らして見れば、なお心あり。 古鏡、未だ磨かずして万象を含み、 洪鐘、たた叩けば円き音を発す。 本源の自性、天真の仏。 色にあらず、空にあらず、古今にあらず。

優游靜坐野僧家。飲󲣅隨緣度歲華。翠竹黃花閒意思。白雲流水淡生涯。石頭莫認山中虎。弓影休疑盞裏蛇。林下不知塵世事。夕陽長見送歸鴉。

> 静かに座りゆったりと、野にある僧の家。 飲み食いは縁に任せて、歳月を過ごす。 青い竹と黄色い花、その中に閑かな趣。 白い雲と流れる水、淡々とした暮らし。 石を虎と見誤るなかれ、山中にて。 弓の影を蛇と疑うな、杯の中に。 林の下にて知らず、世の塵の事。 夕陽は長く見送る、帰る鴉を。

滿頭白髮瘦稜層。日用生涯事事能。木臼秋分舂白术。竹筐春半曬朱藤。黃精就買山前客。紫菜長需海外僧。誰道新年七十七。開池栽藕種茭菱。

> 白髪が頭に満ちて、痩せて骨ばった体。 日々の暮らしの仕事は、何でもこなす。 木臼で秋分の頃、白朮を搗き、 竹籠で春の半ば、朱藤を干す。 黄精は山前の客から買い求め、 紫菜は常に海外の僧に頼る。 誰が言おう、新年七十七と。 池を掘り蓮根を植え、茭や菱を育てると。

卜得重巖遠市朝。柴門半掩草蕭蕭。是誰白髮貧無諂。那箇朱門富不驕。急債莫於寬裏做。妄情須是靜中消。白雲也道青山好。夜夜飛來伴寂寥。

> 重い岩を占い得て都を遠く離れ、柴の扉は半ば閉じ草は風にそよぐ。 誰か白髪の貧者、諂うことなく、あの朱門の富者、驕ることなし。 急ぎの借りは寛ぎの中に作らず、妄りの情は静けさの中で消すべし。 白雲も青山の良さを語り、夜毎に飛来して寂寥に寄り添う。

風檣來往塞官塘。站馬如飛日夜忙。冐寵貪榮謀仕宦。貪生重利作經商。人間富貴一時樂。地獄辛酸萬刧長。古往今來無藥治。如何不早去修行。

入此門來學此宗。切須仔細要推窮。清虗體寂理猶在。忖度心忘境自空。樹挂殘雲成片白。山銜落日半邊紅。是風動耶是幡動。不是幡兮不是風。

> この門に入りてこの宗を学ぶならば、 細やかに推し究めることが肝要。 清らかで虚ろな体は静寂にあり、理はなお在り、 思い量る心を忘れれば、境はおのずから空となる。 木には残る雲が一片の白となり、 山は落日をくわえて半ば紅に染まる。 風が動くのか、幡が動くのか。 幡にあらず、風にあらず。

客愛幽閒到竹籬。逢仰應恕禮全虧。滿頭白髮髼鬆聚。一頂袈裟撩亂披。黃葉火殘終夜後。青猿聲斷五更時。擁衾相對蒲團坐。各自忘言契此機。

> 客は静けさを愛し竹籬に至る 逢い仰げば礼の欠けを許すべし 満ちたる白髪はもつれ集まり 一つの袈裟は乱れしだいにまとう 黄葉の火残る終夜の後 青猿の声絶ゆる五更の時 衾を抱きて蒲団に向かい坐し おのおの言を忘れてこの機に契る

百歲光陰過隙駒。幾人於此審思惟。己躬下事未明白。生死岸頭真嶮𡾟。衲定線行嬌婦淚。飯香玉粒老農脂。莫言施受無因果。因在果成終有時。

> 百年の光陰、隙間を過ぎる駒の如し。 幾人かここに於いて審らかに思惟せん。 己が身の下の事、未だ明白ならず。 生死の岸頭、真に嶮𡾟たり。 衲衣定めし線行く、嬌婦の涙。 飯の香り玉の粒、老農の脂。 施し受くるに因果無しと莫れ言わん。 因在りて果成る、終に時有り。

自入山來萬慮澄。平懷一種任騰騰。庭前樹色秋來減。檻外泉聲雨後增。挑薺煑茶延野客。買盆移菊送鄰僧。錦衣玉食公卿子。不及山僧有此情。

> 山に入ってから、万の思いは澄み渡り、 心はただ一つ、自由にゆらゆらと漂う。 庭前の木々の色は秋と共に薄れ、 欄干の外の泉の音は雨後に増す。 芹を摘み茶を煮て野の客を招き、 鉢を買い菊を移して隣の僧に贈る。 錦の衣に玉の食、公卿の子らも、 山僧のこの心持ちには及ばない。

是身壽命若浮漚。只好挨排過了休。事欲稱情常不足。人能退步便無憂。衰榮可踰花開落。聚散還同雲去留。我已久忘塵世念。頹然終日倚岑樓。

> この身の寿命は水面の泡のよう。 ただ流れに任せて過ごすがよい。 物事が思い通りにならないのは常のこと、 一歩引いて考えれば悩みも消える。 栄枯盛衰は花の開落に似て、 人の出会いと別れは雲の去来のよう。 私はとっくに俗世の思いを忘れ、 静かに楼に寄りかかり日を送る。

自覺從前世念輕。老來任運樂閒情。芒鞋竹杖春三月。紙帳梅花夢五更。求佛求仙全妄想。無憂無慮即修行。松風昨夜熾然說。自是聾人不肯聽。

> 前世の迷いを自覚し、心は軽やかに。 老いては自然に任せ、閑かな情に遊ぶ。 三月の春、わらじに竹の杖。 紙の帳に梅花、五更の夢。 仏を求め仙を求むるは、すべて妄想。 憂いなく慮りなければ、それこそ修行。 昨夜の松風、熾然と語るも、 聞こえぬ者は、ただ聞かぬだけ。

逐日挨排過了休。明朝何必預先憂。死生老病難期約。富貴功名不久留。湖上朱門縈蔓草。㵎邊遊徑變荒丘。所言皆是目前事。只是無人肯轉頭。

> 日々をただ過ごせばそれでよい。 明日のことは今から憂うるな。 死も生も老いも病も、いつ来るか定めはない。 富貴も功名も、長くは留まらぬ。 湖辺の豪邸には蔓草が絡みつき、 谷筋の遊歩道は荒れ野と化す。 これらは皆、今目の前にあること。 ただ、誰も振り返ろうとはしない。

白髮頭陀老病侵。住來茅屋幾年深。消磨本有凡情執。析蕩今從聖量心。百鳥不來山寂寂。萬松長在碧沉沉。分明空刧那邊事。一道神光自古今。

> 白髪の頭陀、老病に侵され。 住み来る茅屋、幾年深し。 消し磨く本有の凡情の執り、 析ち蕩う今より聖量の心。 百鳥来ず、山寂寂たり。 万松長く在り、碧沉沉たり。 分明なる空劫、あの辺の事。 一道の神光、古今より。

競利奔名何足誇。清閒獨許野僧家。心田不長無明草。覺苑長開智慧華。黃土坡邊多蕨笋。青苔地上少塵沙。我年三十餘來此。幾度晴窓映落霞。

> 名利を争うなど誇るに足らず。 清らかな閑けさは、野に住む僧の家にこそ許される。 心の田には無明の草は生えず、 悟りの園には常に智慧の花が咲く。 黄土の坂には蕨や筍が豊かで、 苔むした地面には塵や砂は少ない。 三十を過ぎてこの地に来てから、 幾度か晴れ窓に落ちる夕映えを眺めたことか。

我本禪宗不會禪。甘休林下度餘年。鶉衣百結通身挂。竹篾三條驀肚纏。山色溪光明祖意。鳥啼花笑悟機緣。有時獨上臺磐石。午夜無雲月一天。

> 私は禅宗の禅は知らぬ。 林の下で余生を過ごすのをよしとする。 ぼろぼろの衣を全身にまとう。 竹の篾三本を腹に巻きつける。 山の色、谷川の光に祖師の意を明らかにし、 鳥のさえずり、花の笑いに機縁を悟る。 時に一人で台石に登り、 真夜中、雲一つなく月が空に輝く。

四十餘年獨隱居。不知塵世幾榮枯。夜爐助煖燒松葉。午鉢充饑摘野蔬。坐石看雲閒意思。朝陽補衲靜工夫。有人問我西來意。盡把家私說向渠。

> 四十余年、ただ隠れ住み。 世の栄枯、幾度か知らず。 夜の炉に松葉を焚き、暖をとり、 昼の鉢に野の菜を摘み、飢を満たす。 岩に坐り、雲を眺めて心は閑か、 朝日に衣を繕い、静かなる時を過ごす。 もし人、西来の意を問わば、 わがすべてのありのまま、彼に語らん。

蠆尾狼心滿世間。爭先各自使機關。百年能得幾回笑。一日曾無頃刻間。車覆有誰知改轍。禍來無地著羞慚。老僧不是多饒舌。要與諸人揭盖纏。

> 蠆の尾、狼の心、世に満つ。 先を争い、それぞれに策を巡らす。 百年の間に、幾度笑えるか。 一日の中にも、ほんのわずかの間もない。 車が覆れば、誰が軌道を改めると知ろう。 禍い来たれば、恥じ入る場所さえない。 老僧は余計なことを言うのではない。 ただ皆に、覆いを剥がすことを願う。

烏兔奔忙不暫停。巖居忽爾到頺齡。氷邊行道影偏瘦。松下看山眸轉青。紅葉旋收供瓦竈。黃花時採插銅瓶。勞生好飲利名酒。昏醉無由喚得醒。

> 烏と兎は忙しく走り回り、一瞬も止まらない。 巌に住む身も、いつの間にか老いの境へ。 氷のほとりを歩く影は、とりわけ痩せ細り、 松の下で山を眺める目は、次第に青く澄んでゆく。 紅葉はすぐに拾い集め、瓦竈の薪に供え、 黄菊は折り折り摘んでは、銅瓶に挿して楽しむ。 忙しい人生は名利の酒を好んで飲み、 酔い潰れては、どうにも目覚められない。

茅屋青山綠水邊往來年久自相便。數株紅白桃李樹。一片青黃菜麥田。竹榻夜移聽雨坐。紙窓晴啟看雲眠。人生無出清間好。得到清間豈偶然。

> 茅屋は青山と緑水のほとりにあり 長く住むうちに自然と馴染む 紅白の桃や李の木が数本 青々とした麦と菜の花が一面に広がる 竹の寝台を動かし夜は雨音を聴き 紙窓を開けば昼は雲を眺めながら眠る 人生に清らかな閑居ほど良いものはなく この静けさを得るのは決して偶然ではない

古人為道入山中。日用工夫在己躬。添石墜腰舂白米。擕鉏帶雨種青松。擔泥拽石何妨道。運水搬柴好用功。軃懶借衣求食者。莫來相伴老禪翁。

> 古人、道を求めて山中に入る。 日々の修行は自らの身にあり。 石を腰に添えて白米を搗き、 鋤を携え雨を帯びて青松を植える。 泥を担ぎ石を引きずるも、道に何の妨げあろう。 水を運び柴を搬ぶも、よく功を用いる。 怠惰に身を任せ、衣を借り食を求める者は、 来ることなかれ、老いた禅の翁に相伴わんと。

萬物生成感宿根。己長彼短不須論。一團猛火利名路。三尺寒氷佛祖門。草莽荊榛狐窟宅。雲霄蓬島鶴乾坤。滿頭白髮居巖谷。幾度凭欄到日曛。

> 万物の生成は宿縁に感じ、己の長と彼の短を論ずる必要なし。名利の道は一団の猛火の如く、仏祖の門は三尺の寒氷の如し。草莽荊榛は狐の窟宅、雲霄蓬島は鶴の乾坤。満頭の白髮、巌谷に居て、幾度か欄に凭りて日暮れに至る。

巖居我本為修行。不許人知每自評。道性淳和餘習盡。覺心圓淨照功成。種松鉏菜一身健。補衲翻經兩眼明。世異事殊真好笑。避秦亦得隱山名。

> 岩に住むもと修行のため、人に知られぬよう自らを省みる。 道の性は純和に余習尽き、覚める心は円満に照らし功成る。 松を植え菜を耕し一身健やか、衣を繕い経を読み両眼明らか。 世は異なり事は殊なり、まことに笑うに値す、秦を避けても山に隠れる名を得たり。

歷遍乾坤沒處尋。偶然得住此山林。茅菴高插雲霄碧。蘚逕斜過竹樹深。人為利名驚寵辱。我因禪寂老光陰。蒼松恠石無人識。猶更將心去覔心。

> 天地を巡り尽くしても見つからなかった。 たまたまこの山林に住むことができた。 茅葺きの庵は雲の彼方にそびえ、青空に映え、 苔むした小道は竹林の奥深くへと続いている。 世の人は名利に惑い、栄辱に心を騒がせる。 私は禅の静寂の中で、静かに時を過ごす。 青々とした松も、奇妙な岩も、誰にも知られない。 それなのに、なお心を探しに心を巡らすとは。

年老心閒身亦閒。掃除一榻臥松間。巖扄幽寂自為喜。世路崎嶇人轉頑。風煖野禽聲𤨏碎。日斜華藥影闌珊。藜羮粟飯家常有。不用持盂更下山。

> 年老いて心も身も安らぎ、松の間に床を掃き清めて臥す。 岩戸の静けさ、自ら楽しみ、世の道の険しさ、人はかえって頑なになる。 風暖かく野鳥の声は細やかに、陽は傾き花の影はゆらめく。 藜の汁に粟飯、家には常にあり、鉢を持って再び山を下る必要もなし。

清晨汲水啟柴門。看見天空四斂氛。黃獨火香思懶攢。碧桃花謝悟靈雲。林間猿鶴慣曾見。世上衰榮杳不聞。幾度坐來苔石煖。好山直看到斜曛。

> 朝早く水を汲み、柴の扉を開ける。 空を見上げれば、四方の雲気が静まる。 黄色い山芋の香りが漂い、物思いにふける。 桃の花が散り、悟りの雲がかかる。 林の中の猿や鶴は、いつも見慣れたもの。 世の中の盛衰は、遠くかすんで聞こえない。 何度も苔むした石に座り、温もりを感じる。 美しい山々は、夕暮れまで見とれていた。

白雲深處結茅廬。隨分生涯樂有餘。未死且留煨芊火。息機何必絕交書。湛然凝寂通三際。廓爾圓明褁十虗。菴內不知菴外事。幾番花落又還敷。

> 白雲の深き処に茅廬を結ぶ。 身の程に従い生涯楽しみ余りあり。 未だ死なざれば且く煨芊の火を留め、 機心を息ます何ぞ必ずしも交を絶つ書を絶たん。 湛然として凝寂、三際に通じ、 廓爾として円明、十虚を包む。 菴の内には菴の外の事を知らず、 幾度か花落ちてまた還って開く。

細把浮生物理推。輸贏難定一盤碁。僧居青嶂閒方好。人在紅塵老不知。風颺茶煙浮竹榻。水流花瓣落青池。如何三萬六千日。不放身心靜片時。

> 細やかに浮世の理を推し量るも、勝ち負けは定まらぬ一局の碁。 僧が青い峰に住むのは、静かでこそ良いというのに、 人は俗世に生きて、老いることを知らない。 風が茶の煙を竹の寝台に漂わせ、 水が花びらを青い池に流し落とす。 どうして三万千六百日の人生を、 ほんの一時も心身を静めることなく過ごすのか。

恁麼徹底恁麼去。放下從頭放下來。兩片唇皮堆白醭。一條古路長蒼苔。雲邊木馬飛如電。海底泥牛吼似雷。雪覆萬峯晴月夜。暗香春信到寒梅。

> これほど徹底的に、これほどに去る。 すべてを手放し、最初から手放す。 二枚の唇には白いカビが積もり、 古い道には一面に青い苔が生える。 雲の端の木馬は電光のごとく飛び、 海底の泥牛は雷のごとく吼える。 雪に覆われた万峰、晴れた月夜、 暗い香りに春の便りが寒梅に届く。

清貧長樂道人家。日用頭頭自偶諧。昨夜西風吹古木。天明滿地是乾柴。霞飄素煉粘丹壁。露滴真珠綴綠崖。活計從來隨現定。不勞辛苦去安排。

> 清貧こそが長き楽しみの道を歩む者の家。 日々の暮らしの一つ一つが、自ずと調和している。 昨夜、西風が古木を吹き抜け、 夜明けには地面いっぱいに枯れ枝が散らばっていた。 霞は白い絹のように丹壁に溶け込み、 露は真珠のように緑の崖を飾る。 生計は常にその時々の現れに従い決まる。 わざわざ苦労して整える必要などない。

了了常知似不知。翛然如兀又如癡。旋乾倒嶽鎮長靜。一念萬年終不移。有耳聽聲風過樹。無心應物月臨池。休言我獨能明了。此事人人盡可為。

> 明らかに常に知っていながら、知らないかのよう。 さっぱりとぼんやりとして、また愚か者のよう。 天地を揺るがすほどの静けさを保ち、 一瞬が万年のように、ついに揺るがない。 耳があって音を聞けば、風が木を過ぎるがごとく、 心なく物に応ずれば、月が池に臨むがごとし。 私だけがよくわかると言うなかれ、 このことは誰でもできることなのだ。

計拙慙虧應世才。聰明無分占癡呆。自言境物皆虗幻。誰解資財盡倘來。黃葉隨流閒去住。白雲橫谷謾徘徊。雙眸合却方纔好。為愛青山又放開。

> 計らいは拙く、世渡りの才に恥じ入る。 聡明さはなく、愚かさばかりが目立つ。 自ら言う、すべての物事は虚ろな幻だと。 誰が悟れるか、財産はすべて偶然に来るものだと。 黄葉は流れに任せて、行くも留まるも自由に。 白雲は谷を横切り、ただただ漂うばかり。 両目を閉じれば、ちょうど良くなるのに。 青山を愛でるがゆえに、また開けてしまう。

圓顱方服作沙門。便見牟尼佛子孫。止惡防非調意馬。忘機息見制心猿。鍊魔道性真金淨。涵養靈源美玉溫。把手牽他行不得。為人自肯乃方親。

> 円い頭に四角い衣、沙門となれば、 すぐに牟尼仏の子孫を見る。 悪を止め非を防ぎ、心の馬を調え、 機を忘れ見を休め、心の猿を制す。 魔を練り道の性、真金のごとく清らかに、 霊の源を涵養し、美玉のごとく温かし。 手を取って彼を引くも行けず、 自ら肯うときこそ、はじめて親しむべし。

紅日東升夜落西。黃昏鐘了五更雞。乾坤老我一頭雪。歲月消磨百甕虀。借地栽松將作棟。喫桃吐核又成蹊。寄言世上傷弓羽。好向深山擇木棲。

> 赤い日は東から昇り、西に沈む。 夕暮れの鐘が鳴り、五更の鶏が鳴く。 天地は老いて、私の頭は雪のよう。 歳月は流れ、百甕の漬物も消えていく。 土地を借りて松を植え、棟梁の材に育てる。 桃を食べて種を吐き、また小道ができる。 世の傷ついた弓の羽に伝えよう、 深山に良き木を選び、棲み処を定めよ。

法道寥寥不可模。一菴深隱是良圖。門前養竹高遮屋。石上分泉直到厨。猿抱子來崕果熟。鶴移巢去磵松枯。禪邊大有閑情緒。收拾乾柴向地爐。

> 法の道は広漠として、模倣すべからず。 一庵を深く隠すは良き図なり。 門前には竹を養い高く屋を遮り、 石上には泉を分けて直ちに厨に到る。 猿は子を抱いて来たり、崖の果熟し、 鶴は巣を移して去り、磵の松枯る。 禅の辺りには大いに閑かな情緒あり、 乾柴を收拾して地炉に向かう。

浮世光陰有幾何。誰能挈挈又波波。厨空旋去尋黃獨。衲破方思剪綠荷。麈尾罷拈言語斷。佛經忘看蠧魚多。可憐身在袈裟下。趣境攀緣事似麻。

> この浮世の光陰、果たしてどれほどのものか。 誰がまた、あくせくと波に翻弄され続けられようか。 台所が空になれば、山芋を探しに山へと急ぐ。 衣が破れて初めて、蓮の葉で繕おうと考える。 払子を手に取ることもなく、言葉は絶え、 経典を読むことも忘れ、紙魚が群がる。 ああ、袈裟をまとうこの身の哀れさよ。 境に心を奪われ、縁にすがることは、麻のように絡み合っている。