百喻經卷第一
『百喩経』巻第一
尊者僧伽斯那撰
尊者僧伽斯那 著
蕭齊天竺三藏求那毘地譯
求那毘地訳
愚人食鹽喻 愚人集牛乳喻 以梨打破頭喻 婦詐語稱死喻 渴見水喻 子死欲停置家中喻 認人為兄喻 山羗偷官庫喻歎父德行喻 三重樓喻 婆羅門殺子喻煮黑石蜜漿喻 說人喜瞋喻 殺商主祀天喻 醫與王女藥令卒長大喻 灌甘蔗喻債半錢喻 就樓磨刀喻 乘船失釪喻人說王縱暴喻 婦女欲更求子喻
**愚人食鹽喻** むかし、ある愚かな人が食事をしていた。味が薄いと言って、主人が塩を加えた。塩を加えたことで味が良くなったので、愚か者は思った。「味が良くなったのは塩のおかげだ。少し加えただけでこれほど変わるのなら、もっとたくさん入れればもっと美味しくなるに違いない。」そこで、何も考えずに塩だけをたくさん食べてしまい、口の中がひどくしょっぱくなって、かえって苦しむことになった。
これは外道のように、節度を知らずに飲食を控えれば解脱できると聞いて、七日間何も食べずに飢え死にするようなものである。修行を控えることは良いことだが、行き過ぎれば害になる。愚か者のように塩を食べ過ぎて味を損なうのと同じである。この愚か者は、世の人々に笑われるだろう。
**愚人集牛乳喻** むかし、ある愚かな人が考えた。「私は今、たくさんの牛乳をためておきたい。でも、そのためには牛を飼っておかなければならない。どうせなら、牛から一度に乳を
(一)愚人食鹽喻
愚人が塩を食べるたとえ
昔有愚人至於他家,主人與食嫌淡無味,主人聞已更為益鹽。既得鹽美,便自念言:「所以美者緣有鹽故,少有尚爾況復多也?」愚人無智便空食鹽,食已口爽返為其患。譬彼外道聞節飲食可以得道,即便斷食或經七日或十五日,徒自困餓無益於道。如彼愚人,以鹽美故而空食之,致令口爽,此亦復爾。
昔、ある愚か者が他人の家を訪れました。主人が食事を出したところ、彼は「味が薄い」と不満を言いました。主人はそれを聞いて、さらに塩を加えました。塩を加えた料理の味が良くなったのを見て、愚か者はこう考えました。「美味しいのは塩のためだ。少し加えただけでこれほど美味しくなるなら、もっとたくさん入れればもっと美味しくなるに違いない。」 愚か者は無知だったので、そのまま塩だけを食べ始めました。食べ終わると口は荒れてしまい、かえって苦しむことになりました。
これは、外道(仏教以外の修行者)が「食事を節すれば道を得られる」と聞き、七日間や十五日間も断食をするものの、ただ自らを飢えさせ疲れさせるだけで、道の修行には何の役にも立たないことと同じです。愚か者が塩の美味しさに引かれて塩だけを食べ、口を荒らしてしまったように、彼らもまた同様なのです。