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仏説月上女経 (佛說月上女經)


佛說月上女經卷下

仏説月上女経 巻下

隋天竺三藏法師闍那崛多譯

隋天竺三蔵法師闍那崛多訳

爾時長老舍利弗復問月上作如是言:「汝於今者在菩薩地有是忍相,汝當不久得成阿耨多羅三藐三菩提。」

その時、長老の舎利弗は再び月上に尋ねて、このように言いました。「あなたは今、菩薩の境地にあってこのような忍辱の相を示されています。あなたはまもなく阿耨多羅三藐三菩提(無上正等覚)を得られるでしょう。」

爾時月上作如是言:「尊舍利弗!夫菩提者無有言說,但以假名文字說耳!所言成者亦假名說,若久若近俱是名字。尊者!云何作如是言:『汝當不久得成阿耨多羅三藐三菩提也。』尊舍利弗!夫阿耨多羅三藐三菩提者,彼無生處亦不可說,無有體性,其間亦復無可成者。何以故?菩提之體無有二相,是故菩提無二離一。」

その時、月上はこのように申し上げました。

「尊き舎利弗よ、菩提というものは言葉で表せるものではありません。ただ仮の名や文字を用いて説いているに過ぎないのです。『成就する』という言葉もまた仮の名で説いているだけです。『久しい』といっても『近い』といっても、すべては名前に過ぎません。

尊者よ、どうしてこのようにおっしゃるのですか。『あなたはまもなく阿耨多羅三藐三菩提を成就するであろう』と。

尊き舎利弗よ、阿耨多羅三藐三菩提というものは、生じる場所もなく、言葉で説くこともできません。実体もなく、そこに『成就する者』も存在しないのです。

なぜでしょうか。菩提の本質には二つの相がなく、それゆえ菩提には二つもなく、一つからも離れているからです。」

爾時舍利弗告月上女作如是言:「汝今但當先向佛所,我等須臾為聽法故,不久當還向於彼處而來聽法。」

その時、舎利弗は月上女にこのように言いました。「あなたはまず仏さまのもとへ行きなさい。私たちは法を聞くために、すぐにそこへ戻って参ります。」

爾時月上復白長老舍利弗言:「尊舍利弗!如來不為聽法者說,亦復不為樂法者說。」舍利弗言:「如來若爾,為誰說法?」彼女答言:「尊舍利弗!若有所聞,不生著想無欣樂想,如來乃為如是說法。」

その時、月上は再び長老舎利弗に申し上げました。 「尊き舎利弗よ、如来は説法を聞く者のためにも説かれず、また法を喜ぶ者のためにも説かれません。」 舎利弗が尋ねました。 「如来がそうであるならば、誰のために説法されるのですか?」 彼女は答えました。 「尊き舎利弗よ、もし何かを聞いても、執着の想いを生じさせず、歓喜の想いを抱かない者に対して、如来はそのような方のために説法されるのです。」

爾時舍利弗復語月上作如是言:「若有眾生詣佛聽法,為聞法故,如來爾時豈不為彼而說法也?」

その時、舎利弗は再び月上に語りかけ、このように言いました。 「もし衆生が仏のもとへ赴き、法を聴こうとするならば、法を聞くために、如来はその時、彼らのために説法をなさらないことがありましょうか?」

爾時月上復答彼言:「若有眾生作如是想,此是如來為我說法,如是眾生住於我想;若有真洞入法性者則無是念,終不云佛為我等故說如是法。」

その時、月上がまた彼に答えていった。 「もし衆生がこのように考えるならば、『これは如来が私のために説法しているのだ』と、そのような衆生は『私』という思いに執着しているのです。 もし真に法の本質を見極めた者は、そのような思いはなく、決して『仏が私たちのためにこのような法を説いている』とは言わないのです。」

爾時尊者摩訶迦葉告於長老舍利弗言:「尊舍利弗!此女今既詣向佛邊,今日必當有大法義,我等亦可迴還而去,今日寧可不食為善,莫使我等身在於外而不得聞如是法義。」是故彼等諸聲聞眾遂即迴還,隨逐月上向於佛所。

そのとき、尊者マハーカッサパは長老の舎利弗にこう告げました。「尊き舎利弗よ、この女は今すでに仏のもとへ向かっています。今日はきっと大きな法の教えがあるに違いありません。私たちも引き返しましょう。今日は食事をしないほうがよいのです。私たちが外にいて、このような法の教えを聞けずにいることのないように。」

こうして、それらの声聞たちはすぐに引き返し、月上女に従って仏のもとへと向かいました。

爾時月上,漸行至彼大林之內草茅精舍,詣於佛所,頂禮佛足右遶三匝,所持香華末香塗香,衣服資財寶幢幡蓋,所奉佛者以散佛上,散已復散。彼時大眾,所持香華華鬘塗香及以末香,亦散佛上,散已復散。所散諸華於佛頂上成一華蓋,縱廣遍覆滿十由旬。

その時、月上は次第に歩を進め、あの大きな林の中にある草葺きの精舎に至り、仏のもとに赴いた。仏足を頭にいただき礼拝し、右に三度回り、持っていた香華・末香・塗香、衣服・資財・宝幢・幡蓋など、仏に捧げるものを仏の上に散らした。散らしてはまた散らした。その時、大衆もまた持っていた香華・華鬘・塗香および末香を仏の上に散らし、散らしてはまた散らした。散らされた諸々の華は、仏の頂上で一つの華蓋となり、縦横十由旬に満ちて覆った。

爾時童子文殊師利告月上女作如是言:「汝於往昔從何捨身而來生此?當捨此身復生何處?」其女答言:「文殊師利!於意云何?我今所執如來形像坐蓮華者,從何捨身而來生此,今捨此身當生何處?」文殊師利復言月上:「此是化耳!夫言化者無處捨身後亦無生。」其女報言:「如是如是。文殊師利!一切諸法本體是化,我於彼法不見捨時、不見生時。」

その時、童子文殊師利が月上女に告げて、このように言いました。「あなたは過去にどの身を捨てて、ここに生まれてきたのですか?また、この身を捨てて、次にどこに生まれるのでしょうか?」

その女は答えて言いました。「文殊師利さま、あなたはどうお考えですか?私が今手にしている、蓮華の上に座す如来の御姿は、どの身を捨ててここに現れ、今この身を捨てて、次にどこに生まれるのでしょうか?」

文殊師利は再び月上に言いました。「これは化現(けげん)に過ぎません。化現というものは、どこから身を捨ててくることもなく、またどこかに生まれることもないのです。」

その女は答えて言いました。「その通りです。文殊師利さま、一切の諸法の本体は化現なのです。私はその法において、捨てられる時も見ず、生まれる時も見ません。」

爾時不空見菩薩告月上女作如是言:「如是月上!既不可以女身成佛,汝今何故不轉女身?」其女答言:「善男子!夫空體者無迴無轉,一切諸法亦復如是。云何令我而轉女身?」

その時、不空見菩薩が月上女に告げて、このように言いました。「そうだな、月上よ。女の身では仏になることができないというのに、あなたはどうして女の身を転じないのか?」 するとその女は答えました。「善男子よ、空の本質は回ることも転じることもありません。すべての諸法もまた同じです。どうして私に、女の身を転じさせようというのですか?」

爾時持地菩薩復告月上作如是言:「汝頗曾見如來已不?」其女答言:「善男子!我見如來如我手中所執化佛,如是如來等無有異。」

そのとき、持地菩薩は再び月上にこう告げました。「あなたはこれまでに如来を見たことがありますか。」その女は答えました。「善男子よ、私は如来を、私の手の中にある化仏のように見ています。如来もこれと少しも変わりません。」

爾時辯聚菩薩復告月上作如是言:「汝今能辯法義已不?」時女答言:「善男子!法界之體不可言說,亦不可以文字算數之所攝受。」

その時、辯聚菩薩が再び月上に告げて、このように言いました。

「あなたは今、法の意味を弁えることができますか?」

すると、その女性は答えて言いました。

「善男子よ、法界の本体は言葉で言い表すことができず、文字や数によっても捉えることはできません。」

爾時無礙辯菩薩復告月上作如是言:「汝於過去諸如來所,聞何等法?」其女答言:「善男子!今可仰觀如上虛空,如來說法與此虛空等無有異,其所聽者亦復如是。善男子!而彼法相等如虛空無異無別。」

その時、無礙辯菩薩が再び月上に告げてこう言いました。「あなたは過去の如来のもとで、どのような法を聞きましたか?」

その女は答えました。「善男子よ、今、仰ぎ見てください、上の虚空を。如来が説かれる法は、この虚空と等しく異なることがありません。それを聞くこともまた同じです。善男子よ、その法の相は虚空と等しく、異なることも別れることもないのです。」

爾時虛空藏菩薩告彼女言:「汝於往昔所施諸佛,云何奉施?云何迴向?」其女報言:「善男子!如我於此所化佛像施彼佛僧,所獲功德其事云何?」時虛空藏菩薩報月上言:「此佛是化,若於彼施無功德相。」其女答言:「善男子!我亦如是,往於昔日諸如來前,所行布施及以迴向,亦作是相亦作如是迴向。」

そのとき、虚空蔵菩薩がその女に告げました。「あなたは昔、諸仏に施しをしてきたと聞きますが、どのように施し、どのように迴向したのですか。」その女は答えました。「善男子よ、私がここで化した仏像をかの仏と僧に施したとき、得られる功徳はどのようなものでしょうか。」そこで虚空蔵菩薩は月上女に答えました。「この仏は化身ですから、それに施しても功徳の相はありません。」その女は答えました。「善男子よ、私も同じです。昔、諸如来の前で行った布施と迴向も、そのような相とし、そのように迴向したのです。」

爾時不損他心菩薩復作是言:「汝今云何能於一切諸眾生等,得以慈心而普遍也?」其女答言:「善男子!如彼眾生等無有異。」菩薩復言:「彼諸眾生其事云何?」女復答言:「眾生之事,非是過去亦非未來亦非現在;而彼慈心亦復如是,非是過去非是未來非是現在之所攝也;亦復不可以言說也。善男子!而彼慈心其事如是。」

そのとき、不損他心菩薩が再びこう言いました。「あなたは今、どのようにして一切の諸衆生に対して、慈しみの心をあまねく及ぼすことができるのですか。」その女は答えました。「善男子よ、あの衆生たちに違いはありません。」菩薩がまた言いました。「それらの衆生とは、いったいどのようなものなのですか。」女はまた答えました。「衆生というものは、過去にあるのでもなく、未来にあるのでもなく、現在にあるのでもありません。そして慈しみの心もまた同じで、過去にも未来にも現在にも属するものではありません。また、言葉で説くこともできません。善男子よ、慈しみの心とは、そのようなものなのです。」

爾時喜王菩薩復問彼女作如是言:「汝於今者得法眼不?」其女答言:「善男子!我今肉眼猶尚不得,況得法眼。」

そのとき、喜王菩薩はふたたびその女にこう問いかけました。「あなたは今、法眼を得ましたか。」その女は答えました。「善男子よ、私は今なお肉眼さえ得ておりません。ましてどうして法眼を得ることがありましょうか。」

爾時堅意菩薩復告彼女作如是言:「汝行菩提經今幾時?」其女答言:「善男子!如彼陽焰經今幾時,我發菩提亦復如是。」

そのとき、堅意菩薩は再び彼女に向かってこう尋ねました。「あなたが菩提の道を歩み始めてから、今までどれほどの時が経ったのですか?」

彼女は答えました。「善男子よ、陽炎が揺らめき始めてからどれほどの時が経ったか、私が菩提心を起こしたのもちょうどそのように思われます。」

爾時彌勒菩薩告彼女言:「汝於何時當得成就阿耨多羅三藐三菩提?」其女答言:「亦如彌勒菩薩,何時得超凡夫行地。」

そのとき、弥勒菩薩はかの女に告げました。「あなたはいつ、阿耨多羅三藐三菩提を成就するのですか。」その女は答えました。「弥勒菩薩が凡夫の行地を超えるのはいつか、そのときと同じであります。」

爾時長老舍利弗復白佛言:「世尊!希有此女如是辯才。云何乃能與如是等鎧甲大龍共相問答,卓立不坐復不屈身禮諸菩薩?」

そのとき、長老の舎利弗が、ふたたび仏に申し上げました。「世尊、この女はこのようにすばらしい弁才を持っているとは、まことに希有なことです。どうしてこのような鎧甲をまとった大龍たちと互いに問答を交わしながら、まっすぐに立ったままで座らず、また身をかがめて菩薩たちに礼をすることもないのでしょうか。」

爾時月上白舍利弗作如是言:「尊舍利弗!譬如小火體能燒故,所有諸物悉皆能燒。如是如是!尊舍利弗!諸菩薩等與於諸佛亦無有異,於諸行中欲燒一切諸煩惱時,所有煩惱或自或他莫不能燒。」

その時、月上は舎利弗に向かってこのように申し上げました。「尊き舎利弗よ、たとえば小さな火でも、その性質が燃やす力を持つゆえに、あらゆるものをすべて焼き尽くすことができます。まさにそのとおりです。尊き舎利弗よ、菩薩たちもまた諸仏と何ら変わりなく、すべての行いにおいて、あらゆる煩悩を焼き払おうとするとき、自らの煩悩であれ他者の煩悩であれ、焼き尽くせないものはありません。」

爾時舍利弗復問女言:「汝當成就阿耨多羅三藐三菩提時,而彼佛剎當如之何?」其女答言:「尊舍利弗!我於當來佛剎之中,無有如是小行小智名字狹劣,猶如今日舍利弗者,我必當取如是佛剎。」

その時、舎利弗は再び彼女に尋ねました。「あなたが阿耨多羅三藐三菩提を成就される時、その仏の国土はどのようなものになるのでしょうか?」彼女は答えました。「尊き舎利弗よ、私が将来に仏の国土を開く時、今日の舎利弗のように、小さな行いや小さな智恵、狭く劣った名前を持つ者は一人もおりません。私は必ずそのような仏の国土を実現いたします。」

爾時舍利弗復言月上:「汝既說言一切法界與如來體等無有異。今者所見云何勝負?」月上女言:「尊舍利弗!譬如大海與於牛跡,然彼二水等無有異,而彼牛跡不受無量無邊眾生如大海者。如是如是!尊舍利弗!諸佛聲聞雖同法界,而諸聲聞不能為於無量無邊諸眾生輩,作大利益如諸佛者。又舍利弗!譬如芥子內有虛空,十方世界亦有虛空,彼二虛空雖無有異。然芥子空不能容受聚落城邑,不能建立須彌巨海,似如十方世界空者。如是如是!尊舍利弗!雖於一空無想無願,而有諸佛與聲聞同;然彼聲聞不能與彼無量無邊諸眾生輩作大利益,如似諸佛、多陀阿伽度、阿羅訶、三藐三佛陀者。」

その時、舎利弗は再び月上に尋ねました。 「あなたは、一切の法界は如来の本体と等しく異なることがないとおっしゃいました。 では、今見られるこの違いは何でしょうか?」

月上女は答えました。 「尊き舎利弗よ、たとえば大海と牛の足跡にたまった水があります。 その二つの水は本質において異なるものではありません。 しかし、牛の足跡の水は、大海のように無量無辺の衆生を受け入れることはできません。 それと同じです、尊き舎利弗よ。 諸仏と声聞は同じ法界にありますが、声聞たちは諸仏のように無量無辺の衆生に大いなる利益を与えることはできないのです。

また、舎利弗よ、たとえば芥子粒の中にも虚空はあり、十方世界にも虚空があります。 その二つの虚空に本質的な違いはありません。 しかし、芥子粒の虚空は村や町を受け入れることも、須弥山や大海を支えることもできません。 十方世界の虚空のようにはいかないのです。 それと同じです、尊き舎利弗よ。 一つの空性に想いも願いもなく、諸仏と声聞は同じにあります。 しかし、声聞たちは諸仏、如来、応供、正等覚者のように、無量無辺の衆生に大いなる利益を与えることはできないのです。」

爾時長老舍利弗言:「如是月上!佛與聲聞所得解脫豈不等也?」月上答言:「尊舍利弗!勿作是說,乃言諸佛與彼聲聞解脫同等。」

その時、長老舎利弗が言いました。 「そうですか、月上よ。仏と声聞の得た解脱は、同じではないのですか?」

月上は答えました。 「尊き舎利弗よ、そのようにおっしゃってはなりません。 諸仏とあの声聞たちの解脱が同じだなどと、どうして言えましょうか。」

時舍利弗復問女言:「如是之事其相云何?」女復答言:「尊舍利弗!我於今者欲有所問,如尊者意為我說之。尊者證得心解脫時,頗能令此三千大千如是世界平如掌不?頗有樹木及以諸山悉各傾低向汝已不?頗或能有除滅一切諸惡已不?頗有悉除一切眾生煩惱已不?頗有能得一切諸天頂禮已不?頗有魔眾聚集遍滿三十由旬而來已不?頗有一念起智慧心得解脫已不?頗復能降一切諸魔眷屬已不?」

そのとき、舎利弗が再びこの女に問いかけました。「このような事のありさまは、どのようなものですか。」女はまた答えました。「尊き舎利弗よ、私は今、お尋ねしたいことがあります。尊者のお考えのままに、私のために説いてください。尊者が心の解脱を証得されたとき、この三千大千世界を、掌のように平らにすることができましたか。樹木やもろもろの山が、すべて傾いてあなたのほうへ向くことがありましたか。すべての悪を除き滅ぼすことができましたか。すべての衆生の煩悩をことごとく除くことができましたか。すべての諸天が頂礼することを得ましたか。魔の軍勢が集まり、三十由旬に満ちあふれてやって来ることがありましたか。一念に智慧の心を起こして解脱を得ることがありましたか。また、すべての魔の眷属を降伏させることができましたか。」

時舍利弗答月上女作如是言:「我於如是一切諸事悉無有一。」

舎利弗は月上の女にこう答えました。「私はそのようなすべての事柄について、何一つ持っておりません。」

其女復言:「尊舍利弗!菩薩在於菩提道場,能有如是勝妙諸事,復有無量無邊勝事。尊舍利弗!聲聞解脫、諸佛解脫,乃有如是勝負優劣差別之事,尊者云何作如是念,謂佛如來與於聲聞解脫等也?」

舎利弗様、その娘はさらに申しました。「尊き舎利弗よ、菩薩が菩提道場におられる時には、このような勝れた妙なる数々の事柄があるばかりか、計り知れないほど無量無辺の勝れた事柄があるのです。尊き舎利弗よ、声聞の解脱と諸仏の解脱には、これほどまでに勝劣優劣の差があるというのに、どうして尊師は『仏如来の解脱は声聞の解脱と等しい』などとお考えになるのでしょうか?」

爾時世尊讚月上女作如是言:「善哉善哉!月上!汝今乃能如是無礙辯說。」

その時、世尊は月上女を称えて、このようにおっしゃいました。「善きかな、善きかな、月上よ。汝は今、このように自由自在に弁説することができる。」

爾時所化如來形像在月上女右手之中,即從華起,至世尊所,圍遶世尊滿三匝已,從臍而入,佛神力故大地震動。

その時、変現された如来の姿は月上女の右手の中にあり、すぐに蓮華から立ち上がり、世尊のもとへと向かった。世尊の周りを三度回った後、へそから中へと入っていった。仏の神通力によって大地は震動した。

爾時世尊一一毛孔出一蓮華,色如真金,白銀為葉,功德藏寶以為蓮臺。彼諸華內自然各各復出一佛結跏趺坐。彼諸如來所化形像眾相莊嚴,遍至十方諸佛剎土,自然顯現為彼說法。彼諸佛剎所說法句,以佛神力,聲還聞此如來剎土。

その時、世尊の一つの毛穴から一輪の蓮華が現れました。その色は純金のようで、白銀が葉となり、功徳蔵の宝が蓮台となりました。それらの蓮華の中から、自然とそれぞれにまた一仏が現れ、結跏趺坐を結びました。それらの如来の化現した姿は、あらゆる相に荘厳され、十方のあらゆる仏国土へと遍く至り、自然と顕現して、そこに説法をなさいました。それらの仏国土で説かれた法句は、仏の神力によって、その声は再びこの如来の国土に聞こえてきました。

爾時月上見如是等妙勝神通,歡喜踊躍遍滿其體不能自勝。其女右手所執蓮華,遂捉投擲如來身上,其華到已在於佛頂成一花帳。其帳方整下有四柱,縱廣正等如依繩墨。帳中自然化出一座,眾寶莊嚴,無量天衣以覆座上。其座爾時忽復有一化佛形像如釋迦者,坐彼座上結加趺坐分明顯著。而月上女擲彼華時作是願言:「世尊!願我藉此善根因緣力故,於未來世,若諸眾生住我相者,為說其法令除我相。」

その時、月上女はこのような妙なる勝れた神通力を目の当たりにして、喜びのあまり体じゅうが躍動し、自分を抑えることができませんでした。彼女は右手に持っていた蓮の花を、如来の上に投げかけました。その花は飛んで行って、仏様の頭上で一つの花の天蓋となりました。天蓋は端正に四本の柱で支えられ、縦横の広さはちょうど墨縄に従ったかのように整っていました。天蓋の中から自然に一つの座が現れ、数々の宝で飾られ、無量の天衣が座の上を覆いました。その座の上には、たちまち釈迦牟尼仏と同じ姿をした化仏の像が結跏趺坐し、はっきりと現れました。月上女が花を投げたとき、彼女はこう願いました。「世尊よ、この善き根の因縁の力によって、未来世において、もし我という思いにとらわれている衆生がいたならば、その我執を取り除く法を説いてくださいますように。」

爾時彼女以佛神力,忽然復有第二蓮華現其右手,彼女於是復以其華擲向如來,其華至已在如來上為第二帳,眾寶莊嚴如上所說。於時彼女復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於未來世,若有眾生住我見者,為說其法得除我見。」

そのとき、彼女は仏の神力によって、突然、右手に二つ目の蓮華が現れました。そこで彼女はその花を如来に向かって投げました。その花は如来の上に届くと、二つ目の帳となり、多くの宝で飾られていることは、先に述べたとおりです。そのとき、彼女は再びこう言いました。「世尊よ、どうか私がこの善根の因縁によって、未来世において、もし我見にとどまる衆生があれば、その者のために法を説き、我見を除くことができますように。」

爾時彼女以佛神力,忽然復有第三蓮華現其右手,其女爾時復以此華擲向如來,於即化成第三華帳,眾寶莊嚴如上所說。是時彼女復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於未來世,若有眾生住於一切分別相者,我為說法除其分別,及除貪欲瞋恚癡等。」

そのとき、彼の女は仏の神力によって、突然、右手に第三の蓮華が現れました。その女はそのとき、この華を如来に向かって投げると、たちまち第三の華の帳となり、多くの宝で荘厳されること、前述のとおりでした。そのとき、この女はまた言いました。「世尊よ、どうか私がこの善根の因縁によって、未来世において、もし一切の分別の相にとどまる衆生があれば、そのために法を説いて、その分別を除き、また貪欲・瞋恚・愚痴などを除くことができますように。」

爾時彼女忽然復有第四蓮華現其右手,其女亦復以彼蓮華投擲如來至於佛頂,尋復化成第四華帳,其所莊嚴如上所說。復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於未來世,若有眾生住四顛倒,我為說法令除四倒。」

その時、彼女の右手に突然、第四の蓮華が現れました。彼女はその蓮華を如来に向かって投げ、仏頂に届くと、たちまち第四の華帳へと変わりました。その荘厳さは、先に述べた通りです。彼女はさらに言いました。「世尊よ、この善き行いの因縁によって、未来の世において、もし四つの誤った見解にとらわれた衆生がいるならば、私が法を説き、その四つの誤りを取り除かせてください。」

爾時彼女復以如來神通力故,忽然復有第五蓮華現其右手。其女爾時復以其華向如來擲,其華至已在於佛頂,亦即成其第五華帳,其帳莊嚴亦如上說。其女於時復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於當來世,若有眾生五蓋覆者,為說其法令除五蓋。」

そのとき、彼女はまた如来の神通力によって、突然、右手に第五の蓮華が現れました。彼女はその花を如来に向かって投げ、花は仏の頂にとどまると、そのまま第五の華帳となりました。その帳の荘厳は、先に説いたとおりでした。そのとき彼女はまた言いました。「世尊よ、どうか私がこの善根の因縁によって、未来の世において、五蓋に覆われている衆生があれば、その者のために法を説き、五蓋を除かせることができますように。」

爾時彼女以佛神力,忽然復有第六蓮華現其右手,其女亦復持彼蓮華擲向如來,其華至已在於佛頂,亦復化成第六華帳,其所莊嚴如上所說。是時彼女復言:「世尊!願我藉此善根因緣,未來世中,若有眾生著六入者,我為說法令離彼著。」

そのとき、彼の女は仏の神力によって、突然、右手に六番目の蓮華が現れました。その女もまた、その蓮華を持って如来に向かって投げました。その華が仏の頂に至ると、同じく六番目の華の帳となり、その荘厳は前述のとおりでした。そのとき、この女は再び申しました。「世尊、どうか私がこの善根の因縁によって、未来世において、もし六入に執着する衆生があれば、その者のために法を説き、その執着から離れさせることができますように。」

爾時彼女以佛神力,於其右手忽然復有第七蓮華自然顯現,其女爾時復以彼華擲向如來,至佛頂已即復變成第七華帳,形狀大小如上所說。其女爾時復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於當來世,若有眾生住著七識,我為說法令其除斷。」

そのとき、彼女は仏の神力によって、その右手に突然、第七の蓮華が自然に現れました。その女はそのとき、その華を如来に向かって投げ、仏の頂に至るとすぐに第七の華帳に変わりました。その形や大きさは前に述べたとおりです。その女はそのとき、またこう言いました。「世尊よ、どうか私がこの善根の因縁によって、未来の世において、七識にとどまり執着する衆生があれば、その者のために法を説き、それを断ち除かせることができますように。」

爾時彼女以佛神力,忽然復有第八蓮華現其右手,其女復持向佛而擲,其華至已次第成其第八華帳,形狀縱廣亦如上說。其女於是復言:「世尊!願我來世藉此善因,若有眾生著八顛倒,為說其法令悉除滅。」

その時、彼女は仏の神力によって、突然、第八の蓮華が彼女の右手に現れました。彼女は再びその花を取って仏に向かって投げると、花は飛んで行き、順番に第八の華帳となりました。その形と大きさも、先ほどと同様でした。彼女は再び言いました。「世尊よ、願わくは、私が来世において、この善い因縁によって、もし衆生が八つの迷いにとらわれているならば、その法を説いて、すべてを除き滅ぼすことができますように。」

爾時彼女以佛神力,忽然復有第九蓮華現其右手,其女復將遙擲佛頂,其華至已次第復成第九華帳,其帳縱廣如上所說。其女於是復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於當來世,若有眾生住九使者,我為說法令除九使。」

そのとき、彼女は仏の神力によって、忽然として右手にさらに第九の蓮華が現れました。その女はまたその華を遥か彼方の仏の頂に向けて投げ、その華が届くと、続いて第九の華帳となりました。その帳の縦横は、前述のとおりです。そこでその女は再び申しました。「世尊、どうか私がこの善根の因縁によって、未来世において、九つの使に住む衆生があれば、そのために法を説き、九つの使を除かせていただきますように。」

爾時彼女以佛神力,忽然復有第十蓮華現其右手,其女於是復以彼華擲如來頂,其華至已次第復成第十華帳,莊嚴縱廣如上所說。其女爾時復言:「世尊!願我藉此善根因緣,於當來世具足十力,如今世尊放大光明照十方剎等無有異。」

そのとき、彼の女は仏の神通力によって、忽然として右の手に第十の蓮華が現れました。そこで女はその華を如来の頭の上に投げました。その華が届くと、次々に第十の華の帳となり、その荘厳の広さは前に説いたとおりでありました。そのとき女は再び言いました。「世尊よ、どうか私がこの善根の因縁によって、未来の世において十力を具え、今の世尊が大いなる光明を放って十方の仏国土を照らされるのと等しく、少しの違いもありませんように。」

爾時彼等所化華帳高至梵宮,是以地居乃至大梵諸天子等,因彼華帳,復與無量千萬天眾同來集會。

その時、彼らが化現した花の天蓋は梵天宮にまで届くほど高く、それによって地上に住む天から大梵天に至るまでの諸天子たちは、その花の天蓋を見て、無量千万の天の大衆と共に集まってきました。

爾時世尊便有微笑。然諸佛等有如是法,微笑之時從其口出種種色光,其光所謂青黃赤白頗梨等色,及以金銀如是等色。而彼光照至於無量無邊佛土,普至梵天覆翳日月,光明威力勝盛無比,晃耀顯赫還入佛頂。爾時眾中長老阿難從坐而起,整理衣服偏袒右臂,右膝著地合十指掌,以偈問佛微笑放光因緣之事:

その時、世尊はほほえみを浮かべられた。諸仏にはこのような法があり、微笑まれる時には口からさまざまな色の光が放たれる。その光は青・黄・赤・白・水晶の色、そして金銀のような色などである。その光は無量無辺の仏国土にまで届き、梵天に至り、日月を覆い隠す。その光明の威力は無比に勝れ輝き、赫々と照らし出し、再び仏の頂に還って入られた。

その時、大衆の中から長老アーナンダが座より立ち上がり、衣を整え、右肩を露わにし、右膝を地につけ、両手を合わせて、仏に偈をもって微笑みと放光の因縁について尋ねた:

「一切諸智非無眼,於一切法無有疑;
普照世間光平等,及以微笑有何緣?
往昔劫數尊行施,清淨戒行如寶珠;
住忍不動如須彌,尊今光笑有何緣?
常修精進及禪定,得免諸有生死等;
意行深遠猶如海,微笑放光有何緣?
常行慈悲無休息,及以喜捨亦復爾;
迷失路者能濟拔,尊笑放光有何緣?
尊一毛孔出光明,遍至十方無量剎;
忽然覆蔽日月光,奪彼威力作他眼。
所出音聲妙清淨,具六十種世獨尊;
所有聞者無厭足,復能除滅諸煩惱。
於十方剎無量眾,一切心有所行者;
世尊知已決疑網,尊笑放光有何緣?
誰今決定發道意?誰今乘佛廣大乘?
誰今如是滿心願?世尊微笑而放光。
誰今降伏四種魔,謂煩惱魔及死魔,
陰魔及以天魔等,微笑放光有何緣?
世尊今誰證大利?誰作法豐人師子?
名聞誰至十方剎?如是微笑及放光。
一切智者滅不善,諸慈行中最勝慈;
於諸分別皆已斷,微笑放光有何緣?
何誰今得廣大利?誰復今得滿願心?
和合十力今是誰?如是放光及微笑。
千萬諸天在虛空,夜叉金翅摩呼羅,
及諸天女合掌禮,瞻仰世尊歡喜心。
聚集無量諸菩薩,十方剎土悉瞻仰;
深智如海欲聽法,淨意光笑有何緣?」

一切の智恵に眼なきことなく、すべての法に疑いなし。 世をあまねく照らす光は平等に、微笑みには何の縁があるのか。

昔の劫数に尊は布施を行い、清らかな戒行は宝珠のごとし。 忍辱に住して動かざること須弥山の如く、尊の今の光と笑いには何の縁があるのか。

常に精進と禅定を修め、諸々の有と生死より免れ得たり。 心の行いは深遠にして海の如く、微笑みと放光には何の縁があるのか。

常に慈悲を行じて休まず、喜捨もまた同じく。 道に迷える者を救い抜く、尊の笑いと放光には何の縁があるのか。

尊の一つの毛孔より放たれる光は、十方の無量の世界に遍く至り、 忽然として日月の光を覆い隠し、その威力を奪いて他を眼となす。

発する音声は妙にして清らか、六十種を具えて世に独り尊し。 聞く者すべて飽くことなく、また諸々の煩悩を除き滅ぼす。

十方世界の無量の衆生、すべて心に何かを為さんとする者を、 世尊は知りて疑いの網を断つ、尊の笑いと放光には何の縁があるのか。

誰か今、道心を発して決せん。誰か今、仏の広大な乗に乗らん。 誰か今、かくの如く心の願いを満たさん。世尊は微笑みて光を放つ。

誰か今、四種の魔を降伏せん。すなわち煩悩魔と死魔、 陰魔および天魔などを、微笑みと放光には何の縁があるのか。

世尊よ、今誰が大いなる利を得ん。誰が法豊かな人師子とならん。 名声誰が十方世界に至らん。かくの如き微笑みと放光。

一切智者は不善を滅ぼし、諸々の慈行の中の最勝の慈。 すべての分別を断じ尽くし、微笑みと放光には何の縁があるのか。

誰か今、広大な利を得ん。誰かまた今、願いの心を満たさん。 十力を和合する今は誰か。かくの如き放光と微笑み。

千万の諸天は虚空にあり、夜叉・金翅鳥・摩睺羅伽、 および諸々の天女は手を合わせて礼し、世尊を仰ぎ見て歓喜の心。

無量の諸菩薩が集い、十方の国土はことごとく仰ぎ見る。 深き智は海の如く法を聴かんと欲し、清らかな心の光と笑いには何の縁があるのか。

爾時世尊即以偈句報阿難言:

その時、世尊は阿難に偈をもってお答えになりました。

「阿難汝觀此童女,合十指掌在我前;
彼見諸佛妙神通,即發無上菩提意。
過去曾見三百佛,生生世世所見者;
恒生恭敬而尊重,常願云何證菩提。
願不生於惡道裏,唯願生天及人中;
生處不忘菩提心,命終已後知宿命。
昔見如來名迦葉,在於樓上墜下身;
供養彼尊迦葉故,現得無生及順忍。
復有佛號鉤婁村,奉施一具妙衣服;
是故現得金色體,清淨顯赫如月天。
有佛迦尼迦牟尼,香華塗末供養彼;
以是口出妙香氣,猶如栴檀優鉢羅。
佛名尸棄兩足尊,瞻仰彼尊滿七日;
是故兩目青蓮色,諸類看者不知厭。
厭離諸欲五百世,常行清淨諸梵行;
若人起欲來觀者,乃得清淨無欲心。
是故三十三天生,從彼來生離車種;
一切生處知宿緣,巧說諸偈微妙句。
教化父母及諸親,利益無量眾生等;
為欲教化發菩提,故生豪貴大離車。
童女男夫婦人等,教化令入佛乘中;
二萬三千諸人類,成熟無量菩提道。
其女轉此女人身,不久出家在我法;
廣行清淨大梵行,此處命終還生天。
從天命終復生此,於後惡世護我法;
與此眾類作利益,捨命還生兜率陀。
當來彌勒下生時,儴佉輪王家作子;
其於彼眾多才藝,可憙端正備諸德。
供養彼尊三月日,及諸左右眾圍遶;
於彼佛邊得出家,六千三百眾隨逐。
受持彼佛正法已,然後往生安樂土;
既得往見阿彌陀,禮拜尊重而供養。
當於賢劫諸佛剎,十方所有諸世界;
及以恒河沙如來,悉為彼眾作利益。
精進智慧禪定力,供養如是諸世尊;
劫數諸佛供養已,教化無量千萬眾。
於後八萬俱致劫,當得作佛名月上;
彼尊名號月上者,眉間白毫出妙光。
其光金色甚耀麗,顯赫遍照彼佛剎;
日月火光及摩尼,星宿諸光悉不現。
晝夜歲月及四時,皆由彼光更無別;
彼剎當無辟支佛,聲聞羅漢亦無名。
清淨勇猛菩薩眾,彼尊唯當有如是;
彼眾身竝黃金色,百種諸相具莊嚴。
悉名為人妙可喜,彼剎無欲胎生者;
蓮華臺中自化生,生已即有大威德。
於算數中不可量,無量神通至諸剎;
無生忍法無障礙。彼剎無魔及外道,
亦無破戒惡朋友,受淨報如兜率陀;
若有彼剎所生者,諸受果報悉平等,
金銀真珠微妙網,廣大遍覆彼世間。
彼大世尊壽命長,住世七十三千劫,
壽盡涅槃滅度後,正法住世滿一劫;
彼尊在世及滅度,法教一住無有殊。
我若一劫讚歎彼,世尊剎土諸功德;
今日所說諸譬喻,如海取於一渧水。」

阿難よ、この童女を見よ。十指を合わせて私の前にいる。 彼女は諸仏の妙なる神通を見て、即ち無上の菩提心を発した。

過去に三百仏を見たことがあり、生々世々に見てきた者たちを、 常に恭敬し尊重して、常にいかにして菩提を証するかを願った。

悪道に生まれず、ただ天界と人間に生まれることを願い、 生まれても菩提心を忘れず、命終わって後は宿命を知った。

昔、迦葉という名の如来を見て、楼閣より身を投げ、 彼の尊い迦葉を供養した故に、今、無生と順忍を得た。

また鉤婁村という仏号があり、一具の妙なる衣服を奉げた。 それ故に今、金色の体を得て、清浄で月天のように輝く。

迦尼迦牟尼という仏があり、香華と塗香で供養した。 それ故に口から妙なる香気を発し、栴檀や優鉢羅のようだ。

尸棄という両足の尊を見て、七日間、仰ぎ見た。 それ故に両目は青蓮の色で、見る者は誰も飽きることがない。

五百世、諸欲を厭離し、常に清浄な梵行を行った。 もし人が欲心を起こして見ても、清浄な無欲の心を得る。

それ故に三十三天に生まれ、そこから離車種に生まれた。 すべての生まれで宿縁を知り、巧みに微妙な偈句を説いた。

父母や親族を教化し、無量の衆生に利益を与え、 菩提心を起こさせるために、豪貴な大離車に生まれた。

童女、男、夫婦などを教化し、仏乗に入らせた。 二万三千の人々を、無量の菩提道に成熟させた。

この女はこの女人身を転じ、まもなく私の法で出家し、 広く清浄な大梵行を行い、ここで命終わって天界に還る。

天界から命終わって再びここに生まれ、後の悪世で私の法を護り、 この衆生に利益を与え、命を捨てて兜率陀に還る。

将来、弥勒が下生する時、儴佉輪王家に子として生まれ、 その衆の中で多くの才芸に優れ、端正で諸徳を備える。

彼の尊を三月間供養し、左右の衆に囲まれ、 その仏のもとで出家し、六千三百の衆に随われる。

その仏の正法を受持した後、安楽土に往生し、 阿弥陀仏を見て、礼拝し尊重して供養する。

賢劫の諸仏の刹土、十方のすべての世界、 恒河の砂の数の如来のもとで、その衆に利益を与える。

精進と智慧と禅定の力で、このような世尊を供養し、 劫数の諸仏を供養した後、無量千万の衆を教化する。

その後、八万俱致劫を経て、月上という名の仏となる。 その尊の名号は月上で、眉間の白毫から妙光を放つ。

その光は金色で輝き、その仏の刹土を遍く照らす。 日月の光や火、摩尼、星宿の光もすべて現れない。

昼夜、年月、四季は、すべてその光によってあり、他にない。 その刹土には辟支仏はなく、声聞や羅漢の名もない。

清浄で勇猛な菩薩衆だけが、その尊のもとにいる。 その衆は皆、黄金色の体で、百種の相を具えて荘厳されている。

すべて妙なる人と呼ばれ、その刹土には欲による胎生者はない。 蓮華の台から自ら化生し、生まれながら大威徳を持つ。

算数では量れず、無量の神通で諸刹に至り、 無生忍法に障りがない。その刹土には魔や外道もなく、 破戒の悪友もいない。受ける浄報は兜率陀のようだ。

もしその刹土に生まれるならば、受ける果報はすべて平等で、 金銀や真珠の微妙な網が、広くその世間を覆う。

その大世尊の寿命は長く、七十三千劫の間、世に住し、 寿命尽きて涅槃に入った後、正法は一劫の間、世に住する。

その尊が在世でも滅度でも、法教は変わらず住する。 もし私が一劫の間、彼の世尊の刹土の功徳を讃嘆しても、 今日、説いた譬えは、海から一滴の水を取るようなものだ。

爾時月上從佛對聞與已授記,聞已歡喜踊躍無量,飛騰虛空,去地高至七多羅樹。既住於彼七多羅已,其女於即轉彼女身變為男子。即時大地皆悉震動,出大音聲、雨天華雨,出大光明遍照世界。爾時月上菩薩即住彼空,以偈嘆佛作如是言:

その時、月上菩薩は仏から授記を聞くと、無量の歓喜に踊り上がり、虚空へと飛び立ち、七多羅樹の高さまで昇りました。その高みに留まった瞬間、彼女の身体は男子へと変わりました。同時に大地は震動し、大きな音を響かせ、天の花が雨のように降り注ぎ、大光明が世界を照らしました。その時、月上菩薩は虚空に留まり、仏を讃える偈をこのように述べました:

「假動須彌空倒地,修羅住處皆悉滅,
大海枯涸月天墜,如來終不出妄言。
假使十方眾同心,或火成水水成火;
無量功德最大尊,利益眾生無異說。
大地虛空成混沌,百剎同入芥子中,
羅網可用縛猛風,如來終不有妄語。
世尊如是真實言,故我決住菩提道;
今既大地遍震動,我證菩提定無疑。
我今既得菩提記,即轉法輪無有別;
猶如世尊所說法,我百數劫已得聞。
利益天人八部輩,及諸比丘四眾等;
又為無量諸菩薩,汝等於佛莫生疑。
當來悉成無分別,是故決發菩提心;
諸法皆悉如幻化,諸佛所說如夢想。
是處無人無養育,眾生命及富伽羅;
如是諸法本性者,喻如虛空無有異。
我先所有女人身,彼身空體亦無實,
既無實體是為空,空體無物無可取,
彼身顛倒分別生,分別猶如鳥飛空。
意欲成就佛菩提,復欲降伏四魔眾,
復欲三千大千界,轉於微妙大法輪。
汝等猛發菩提意,尊重供養婆伽婆,
不久當成功德尊,同於真體無有別。
善利丈夫尊沙門,二足中尊我頂禮,
能施愛物常得愛,能施法財得自在。
佛是樂本能與樂,能伏怨讐及諸魔,
我嘆應嘆最勝尊,又嘆自在無羨者。
我意所觀諸方處,願見諸佛不思議,
放光如今釋師子,我亦當知十方佛。
皆悉同體覺一法,於真如法悉無二;
無量眾生同實際,有此忍者當作佛。」

たとえ須弥山が揺れ動いて倒れ、阿修羅の住処がことごとく滅び、 大海が枯れ月天が墜ちようとも、如来は決して虚言を吐くことはありません。 たとえ十方の衆生が心を一つにし、火が水に水が火になろうとも、 無量の功徳をそなえた最尊の方は、衆生を利益する言葉に違いはないのです。 大地も虚空も混沌となり、百の国土が芥子の中に入ろうとも、 網で猛風を縛ることができようとも、如来に虚言はありえません。 世尊がこのように真実を説かれたゆえに、私は決然と菩提の道に住します。 今、大地が広く震動したことは、私が菩提を証すること疑いなき証しです。 私は今、菩提の記別を得たのですから、別なく法輪を転じましょう。 ちょうど世尊が説かれた法を、私は百数劫の間すでに聞いてきました。 天人や八部衆、比丘などの四衆を利益し、 また無量の菩薩たちのために、あなたがたは仏を疑ってはなりません。 やがてみな無分別となるのですから、決然と菩提心を発しなさい。 諸法はすべて幻のごとく、諸仏の説かれることは夢のようです。 そこには人もなく、養い育むものもなく、衆生の命も富伽羅もありません。 このような諸法の本性は、あたかも虚空と異なることがないのです。 私がかつて所有していた女人の身、その身も空であり実体もなく、 実体がないゆえに空であり、空なる体には何も取るべきものはありません。 その身は、顛倒した分別から生じたもので、分別は鳥が空を飛ぶようなものです。 私は仏の菩提を成就し、四魔の衆を降伏させ、 三千大千世界で、微妙なる大法輪を転じたいと願っています。 あなたがたは勇猛に菩提心を発し、世尊を尊重供養しなさい。 やがて功徳をそなえた尊い者となり、真実の体と異なることはありません。 善く利益する尊い沙門、二足の中の尊い方に私は頭を垂れ礼拝します。 愛するものを施せば常に愛を得、法財を施せば自在を得ます。 仏は楽の根本であり楽を与え、怨敵や諸魔を伏せることができます。 私は讃嘆すべき最勝の尊を讃え、また自在で羨むもののない方を讃えます。 私の心が観る方々において、不思議なる諸仏にお会いしたいと願います。 今の釈迦獅子のように光を放つ、十方の諸仏もまた知るでしょう。 みな同じ体で一法を覚り、真如の法において二つはありません。 無量の衆生が同じ実際に至り、この忍を持つ者が仏となるのです。

爾時月上菩薩說此偈已,從空而下頭面作禮。彼作禮時頭未離地,而有無量百千數佛現其目前。彼等諸佛同音授彼月上之記,當成阿耨多羅三藐三菩提。月上菩薩眼自對見彼百千佛授其記已,歡喜踊躍遍滿其體不能自勝,即從如來求請出家,白言:「善哉!唯願世尊!自說法中與我出家。」

その時、月上菩薩がこの偈を説き終えると、虚空から降り立ち、頭を地につけて礼拝しました。彼が礼拝するとき、頭がまだ地から離れないうちに、無量百千の数の仏がその眼前に現れました。それらの諸仏は同じ声で彼月上に記別を授け、やがて阿耨多羅三藐三菩提を成じるであろうと告げられました。月上菩薩は自らの目でその百千の仏が自分に記別を授けるのを見届けると、歓喜が体に満ちあふれて抑えきれず、ただちに如来のもとで出家を願い出て、こう申し上げました。「善きかな、どうか世尊よ、あなたの説かれる法の中で私に出家をお許しください。」

佛即告彼月上菩薩:「若必然者,當問父母聽汝已不?」

仏はその月上菩薩に告げられた:「もしそうであるならば、まず両親に尋ねて、あなたのことを許してくれるかどうか聞きなさい。」

爾時童子所生父母,對見如是變化神通,復從佛聞為彼授記,而白佛言:「如是世尊!我等已許。唯願世尊!放彼出家;又願我等於未來世會如此法。」

その時、童子の両親は、このような神通変化を目の当たりにし、さらに仏から彼に授記が与えられたことを聞き、仏に申し上げました。「かくの如く、世尊よ。私たちはすでに承諾いたしました。ただ願わくは、世尊よ、彼が出家することをお許しください。また、私たちも未来世において、このような法に遇うことができますように。」

爾時世尊即放童子而出家也。時彼童子當出家時,即有一萬二千人俱發阿耨多羅三藐三菩提。

その時、世尊は童子に出家を許されました。童子が出家したその瞬間、一万二千人の人々が共に阿耨多羅三藐三菩提心を発したのです。

佛說如此法本之時,復有七十那由他諸天人等遠塵離垢,於諸法中獲得淨眼;復有五百諸比丘等,於無為法獲得漏盡心得解脫;復有二百比丘尼等與其同類二萬人俱,其中或有未曾發於阿耨多羅三藐三菩提者,亦得發於菩提之心。

仏がこの法を説かれた時、さらに七十那由他の天人たちが塵を遠ざけ垢を離れ、諸法において清浄な眼を得ました。また五百人の比丘たちが無為の法において漏を尽くし、心に解脱を得ました。さらに二百人の比丘尼とその仲間二万人が共にあり、その中にはかつて阿耨多羅三藐三菩提を発心したことのない者も、菩提心を起こすに至りました。

佛說此經已,月上菩薩,長老阿難,諸菩薩眾,及彼大會天、人、阿修羅、乾闥婆等八部之類,歡喜奉行。

仏がこの経を説き終えられると、月上菩薩、長老アーナンダ、諸菩薩たち、そしてその大集会に集った天、人、阿修羅、乾闥婆などの八部衆は、歓喜して教えを奉じ行いました。

佛說月上女經卷下

仏説月上女経 巻下


第一

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