世親菩薩
世親菩薩
天竺人。性負聰敏。初以小乘為業。峻辨橫分。利如星劒。兄無着菩薩托病。令召世親。因開示大教云。及吾未死之前。讀吾所習經典。世親即讀華嚴。乃見毗盧法界。普賢行海。因生信悟。嘆曰。可取利劒。斷吾舌根。用明己讚小乘之失。兄止之曰。如人因地而倒。亦因地起。昔日以舌毀大乘。今可將舌以讚大乘。遂入山。披覽大乘。造十地論。論成之日。大地徧震。光明洞然。見西域記。
天竺の人、生まれつき聡明であった。当初は小乗を業としていた。その議論は激しく、縦横無尽に繰り広げられ、まるで星剣のように鋭かった。兄の無著菩薩が病を装い、世親を呼び寄せ、大乗の教えを示してこう言った。「我が死なぬうちに、我が学んできた経典を読みなさい。」世親はすぐに『華厳経』を読んだ。すると、そこに毘盧遮那仏の法界と普賢菩薩の行海が現れているのを見て、深く悟りを得て、こう嘆じた。「鋭利な剣を取り、我が舌の根を断ち切れ。それによって、我がかつて小乗を称賛した誤りを明らかにしよう。」兄はこれを制して言った。「人が地に倒れるのも地に依り、また起き上がるのも地に依るようなものだ。かつて舌をもって大乗を謗ったのであれば、今その舌をもって大乗を讃えなさい。」そこで世親は山に入り、大乗の経典を広く読み、『十地論』を著した。この論が完成した日、大地はあまねく震動し、光が明らかに満ち渡った。『西域記』に見える。