一切如來金剛最勝王義利堅固染愛王心品第二
第二品 一切如来金剛最勝王・義利堅固・染愛王心
爾時世尊復入馬陰藏三摩地,一切如來幽隱玄深寂靜熾然,光明勇猛忿怒威峻,師子吼音振動電掣,天鼓鳴香象王聲、大金剛聲、大商佉聲,作如是等聲。時金剛手及金剛持等菩薩見如是相巳,齊聲讚曰:
その時、世尊は再び「馬陰蔵三摩地」に入られた。これは、すべての如来の奥深く秘められた寂静が、なおかつ熾烈に燃え立つ境地である。その光は勇猛で、忿怒に満ち、威厳に満ちていた。獅子吼の音は天地を揺るがし、稲妻が走るように響き渡った。天鼓が鳴り、香象王の声、大金剛の声、大商佉の声が、次々と轟いた。これらの音が響く中、金剛手や金剛持などの菩薩たちは、その姿を見て、声を揃えて讃嘆した。
「諸佛甚奇特, 金剛振吼音,
欲說何法教, 願如來敷演。」
諸佛はまことに希有である。 金剛の如く響き渡る吼え声を発して、 いったい何の法を教え示そうとなさるのか。 どうか如来よ、我々のために説き明かしてほしい。
時金剛界如來告金剛手等言:「金剛手!有真言名一切如來金剛最勝王義利堅固染愛王心真言,於一切瑜伽中最尊最勝,速獲悉地,能令一切見者皆生父母妻子之想,所作之業皆得成就,所持諸餘真言,若佛頂部及諸如來部、蓮花部、金剛部、羯磨部等,皆能持罰彼等真言,令速成就。若真言行人持經三十萬遍,一切真言主及金剛界大漫拏羅王皆悉集會,一時與成就,速得大金剛位乃至普賢菩薩位。」爾時世尊即說明曰:
時に金剛界如来は金剛手たちに告げて言われた。「金剛手よ、一切如来の金剛最勝王の義利(ぎり)が堅固で、染愛の王の心を表す真言がある。この真言は、すべてのヨガの中で最も尊く、最も勝れており、速やかに悉地(しっじ)を得させる。これを見るすべての者に、父母や妻子のような親しみを抱かせ、行う業はすべて成就する。また、他の諸々の真言——たとえば佛頂部や如来部、蓮華部、金剛部、羯磨部など——に対しても、それらの真言を制御し、速やかに成就させる力を持つ。この真言を行う者が三十万回読誦すれば、すべての真言主と金剛界大曼荼羅王が集まり、同時に成就をもたらし、速やかに大金剛位、さらには普賢菩薩の位を得るであろう。」 その時、世尊は次の明呪(みょうじゅ)を説かれた。
「唵摩訶引囉誐嚩日囉二合瑟抳二合沙嚩日囉二合薩怛嚩二合惹引吽引鑁斛引」
おん まか きゃ ら ぎゃ ば ざ ら しゅに しゃ ば ざ ら さ た ば じゃ うん ばん こく
爾時世尊復說頌曰:
そのとき、世尊は再び次の詩句を説かれました。
「二手金剛拳, 相叉內為縛,
直竪忍願針, 相交即成染,
是名根本印。 若持此真言,
及以密印力, 印心額喉頂,
如金剛頂身, 一切諸罪垢,
纔結即當滅。 若息災增益,
愛敬與降伏, 隨其所愛者,
纔誦此真言, 彼即當獲得。
若毒若相憎, 纔結誦當息,
加持食七遍, 我當降甘露。」
両手で金剛拳を結び、内側で交差させて縛り、
立てた人差し指を針のようにまっすぐにそろえ、交差させることで染めを完成させる。
これを根本印と名づける。もしこの真言を唱え、
そして密印の力をもって、心・額・喉・頭頂に印を置けば、
金剛頂の身のごとく、あらゆる罪や汚れは、
ほんの少し結ぶだけでたちまち消え去る。もし災いを鎮め、福徳を増し、
敬愛や調伏などの、望むところに従って、
この真言をほんの少し唱えれば、すぐにその願いが得られる。
もし毒や憎しみがあるならば、ほんの少し結び唱えればたちまち消え、
食べ物に七回加持すれば、私は甘露を降らせるであろう。