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妙法蓮華三昧秘密三摩耶経 (妙法蓮華三昧秘密三摩耶經)

「妙法蓮華三昧祕密三摩耶經」について

唐 · 不空 著

6,180 字 · 約 21 分

『妙法蓮華三昧祕密三摩耶経』は、唐代の密教における重要な経典であり、著名な訳経僧である不空三蔵によって漢訳されました。この経典は、唐代に密宗が最も栄えた時期に成立し、法華経の思想と密教の修行体系とを融合させたものです。その核心的内容は、特定の三昧耶(誓約)と三摩地(等持)の修法を通じて、『法華経』の深遠な教理と相応する秘密の境地に至る方法を説き、身・口・意の三密の相応と即身成仏という密教の理念を強調しています。本経典は、中国密宗、特に不空系統の法華密教思想を研究する上での鍵となる文献であり、漢伝密教の中でも独自の地位を占め、法華思想と密教実践が深く結びついたことを示すものとなっています。


妙法蓮華三昧祕密三摩耶經

妙法蓮華三昧秘密三摩耶経

大興善寺三藏大廣智不空譯

大興善寺三蔵大広智不空訳

摩訶毗盧遮那遍照薄伽梵,遊法界宮,與寂光海會俱,自受法樂,從如來壽量金剛下大悲胎藏,說自證偈言:

大いなる毘盧遮那仏、遍く照らす世尊は、法界の宮殿に遊び、寂静光明の海の集いと共にあり、自ら法の喜びを受けて、如来の寿命の金剛より大悲の胎蔵を降ろし、自らの悟りを証する偈を説かれた。

歸命本覺心法身, 常住妙法心蓮臺。
本來具足三身德, 三十七尊住心城。
普門塵數諸三昧, 遠離因果法然具,
無邊德海本圓滿, 還我頂禮心諸佛。

帰命、本覚の心法身に、常住の妙法の心蓮の台に。 本来、三身の徳を具足し、三十七尊は心の城に住す。 普門の塵数の諸三昧、因果を遠離して法然に具わり、 無辺の徳海は本来円満なり。我、頂礼して心の諸仏に還る。

金剛薩埵白佛言:八句自證云何演說耶?

金剛薩埵が仏に申し上げました。「八つの句による自己の悟りは、どのように説くのでしょうか?」

大日薄伽梵告金剛薩埵言:上四句者,金剛界會三十七尊住月輪中遊於中臺。下四句者,八葉諸尊普門三昧法然漫荼羅會,五院兩界本來同體自性大漫荼羅。

大日如来(毘盧遮那仏)が金剛薩埵に告げられた。「上の四句は、金剛界の集会における三十七尊が月輪の中に住み、中臺(中央の壇)を遊行していることを示す。下の四句は、八葉の諸尊が普門の三昧において、自然に円満する曼荼羅の集会を表す。五つの院と両界(金剛界・胎蔵界)は、本来同一の体であり、自性の大曼荼羅である。」

金剛薩埵重白佛言:於一心中云何建立妙法蓮華兩部漫荼羅耶?

金剛薩埵が再び仏に申し上げました。「どのようにすれば、一つの心の中に、『妙法蓮華』の二つの曼荼羅を建立することができるのでしょうか?」

大日尊告金剛薩埵言:於一心中,妙法蓮華為中臺金剛界會三十七智,八葉即是胎藏界會普門三昧。

大日尊が金剛薩埵に告げて言われた。「一つの心において、妙法蓮華は中臺の金剛界會三十七智であり、八葉はすなわち胎藏界會の普門三昧である。」

金剛薩埵重白佛言:妙法蓮華八葉中臺,願為演說。爾時大日薄伽梵告金剛薩埵言:諦聽,善思念之。如來祕密妙法蓮華,本地八葉中臺,諸尊序品該舒八葉,諸尊中間諸品顯示八葉,勸發一品結歸八葉,其間二十六品八葉中臺,諸尊方便譬諭二品東方阿閦佛一葉,信解藥草授記三品東南普賢菩薩一葉,化城諭品南方寶生佛一葉,五百人記法師三品西南文殊師利一葉。從寶塔品至神力品一十一品,妙法蓮華中臺內證。是故二佛在寂光多寶塔中遊虗空會,囑累藥王西方一葉,妙法蓮華囑累蓮華部主彌陀,妙音、觀音二品同是西北方一葉,陀羅尼品北方天鼓雷音佛一葉,妙莊嚴王東北彌勒菩薩一葉,亦復品品文文句句皆有八葉,序品涌出兩品總舒八葉,諸尊方便壽量等顯八葉,安樂勸發同結八葉,亦復方便唯佛與佛諸法實相中臺自證。爾時世尊告舍利弗已下東門,舍利弗領東南方葉,譬諭南方,信解藥草授記西南,化城西方,五百人記法師三品西北方葉,寶塔提婆二品北方,勸發彌勒前十四品八葉,諸尊壽量一品中臺,毗盧分別隨喜東門一葉,不輕西葉,神力南葉,囑累西北藥王西葉,妙音、觀音西北一葉,陀羅尼品北方一葉,嚴王東北

金剛薩埵再び仏に申し上げて曰く、「妙法蓮華の八葉中臺について、どうかお説きください。」その時、大日薄伽梵は金剛薩埵に告げて曰く、「よく聞き、よく思いなさい。如来の秘密の妙法蓮華、その本地の八葉中臺には、諸尊を序品で八葉に広げ、諸尊の中間の諸品で八葉を示し、勧発の一品で八葉に帰結させる。その間の二十六品は八葉中臺であり、諸尊の方便・譬諭の二品は東方の阿閦仏の一葉、信解・薬草・授記の三品は東南の普賢菩薩の一葉、化城諭品は南方の宝生仏の一葉、五百人記・法師の三品は西南の文殊師利の一葉である。宝塔品から神力品までの十一品は、妙法蓮華中臺の内証である。それゆえ二仏は寂光の多宝塔の中、虚空の会に遊び、嘱累と薬王は西方の一葉、妙法蓮華の嘱累は蓮華部の主である弥陀にあり、妙音・観音の二品は同じく西北方の一葉、陀羅尼品は北方の天鼓雷音仏の一葉、妙荘厳王は東北の弥勒菩薩の一葉である。また品々・文々・句々すべてに八葉があり、序品と涌出の二品は総じて八葉を広げ、諸尊や方便、寿量などは八葉を示し、安楽と勧発は同じく八葉に結ぶ。また方便品は、唯仏と仏のみが諸法実相を中臺に自証する。その時、世尊が舎利弗に告げたところから東門となり、舎利弗は東南の葉を受け、譬諭は南方、信解・薬草・授記は西南、化城は西方、五百人記・法師の三品は西北方の葉、宝塔・提婆の二品は北方、勧発と弥勒の前の十四品は八葉、諸尊の寿量の一品は中臺であり、毘盧は分別・随喜の二品を東門の一葉とし、不軽は西の葉、神力は南の葉、嘱累は西北、薬王は西の葉、妙音・観音は西北の一葉、陀羅尼品は北方の一葉、荘厳王は東北の一葉とする。

金剛薩埵白佛言:妙法蓮華經,文殊、普賢為本尊耶?大日如來告薩埵言:如汝所問,妙法蓮華前十四品,文殊師利為其本尊;妙法蓮華後十四品,普賢菩薩為其本尊。是故法華前十四品,文殊師利仰為導師。燈明佛!昔妙法蓮華經文殊導師,今入龍宮唯說法華,引導龍女須臾成佛。安樂行品。文殊師利問安樂行:

金剛薩埵が仏に申し上げた。「妙法蓮華経において、文殊菩薩と普賢菩薩が本尊でいらっしゃいますか?」すると、大日如来が薩埵に告げられた。「あなたが問うたとおり、妙法蓮華経の前十四品は、文殊師利(文殊菩薩)がその本尊である。妙法蓮華経の後十四品は、普賢菩薩がその本尊である。それゆえ、法華経の前十四品において、文殊師利は尊く導師と仰がれる。燈明仏よ!昔、妙法蓮華経では文殊菩薩が導師であった。今、龍宮に入りただ法華経を説いて、龍女を導き、瞬く間に成仏させたのである。安楽行品において、文殊師利が安楽行について問うた。

薩埵白佛言:文殊師利!提婆品時從海涌出,尊形如何?

薩埵が仏に申し上げた。「文殊師利よ、提婆品の時に海から涌き出でた尊い姿は、どのようなものであったのですか?」

遮那告言:爾時,文殊師利坐千葉蓮華,首戴八葉寶冠,大海自然涌出。

遮那は告げて言う。「その時、文殊師利は千葉の蓮華の上に座し、頭には八葉の宝冠を戴き、大海が自然に涌き出た。」

薩埵重白佛言:八萬大士之中,文殊獨入龍宮,有何意耶?

薩埵が再び仏に申し上げた。「八万の大士たちの中で、文殊菩薩だけが竜宮に入られたのは、どのようなお考えによるものでしょうか?」

遮那重告言:文殊師利!三世諸佛智母龍宮,畜生甚愚,以文殊智破龍畜愚。八歲龍女於剎那頃發菩提心,於須臾頃便成正覺。

遮那如来は重ねて告げた。「文殊師利よ、三世の諸仏の智慧の母は龍宮にあり。畜生は極めて愚かなれども、文殊の智慧をもって龍の畜生の愚かさを破す。八歳の龍女は刹那の間に菩提心を起こし、須臾の間に正覚を成じた。」

薩埵重白佛言:妙法蓮華後十四品,普賢菩薩為其本尊,有何意耶?

薩埵が重ねて仏に申し上げた。「妙法蓮華経の後の十四品において、普賢菩薩がその本尊とされるのは、どのような意味があるのでしょうか?」

遮那告言勸發品曰:若法華經行閻浮提,有受持者應作此念:皆是普賢威神之力。若有受持讀誦正憶念,解其義趣如說修行,當知是人行普賢行。

遮那が告げて、勧発の品に曰く、「もし法華経が閻浮提に流布し、これを受持する者があれば、まさにこのように念ずべきである。すべてこれ普賢の威神の力であると。もし受持・読誦・正しく憶念し、その義趣を解して、説の如く修行する者があれば、まさに知るべし、この人は普賢の行を行う者であると。」

薩埵重白:妙法蓮華本尊普賢有淺深耶?

薩埵が重ねて申すには、「妙法蓮華の本尊であり、普賢菩薩には浅い深いの違いがあるのでしょうか?」

遮那重言:汝自普賢,何問自耶?普賢淺深有五重異:一者等覺普賢,二者妙覺普賢,三者本覺普賢,四者文字普賢,五者實相普賢。第一等覺變化普賢者,妙法蓮華八葉東南葉普賢,又勸發品從東方來普賢是也。第二妙覺普賢者,妙法蓮華八葉南葉寶生如來。第三本覺普賢者,妙法蓮華中臺本覺大日如來。第四文字普賢者,妙法蓮華根本一字􆿅字不生周遍法界普賢是也。第五實相普賢者,妙法蓮華諸法實相普賢是也。

遮那重ねて言われた。「あなたは既に普賢であるのに、なぜ自ら問うのか」と。

普賢には浅深の五重の違いがある。第一に等覚普賢、第二に妙覚普賢、第三に本覚普賢、第四に文字普賢、第五に実相普賢である。

第一の等覚変化普賢とは、妙法蓮華の八葉の東南の葉の普賢であり、また「勧発品」に東方から来る普賢とは、これである。

第二の妙覚普賢とは、妙法蓮華の八葉の南の葉の宝生如来である。

第三の本覚普賢とは、妙法蓮華の中央の台の本覚の大日如来である。

第四の文字普賢とは、妙法蓮華の根本の一文字の「阿」の字の不生にして法界に周遍する普賢とは、これである。

第五の実相普賢とは、妙法蓮華の諸法実相の普賢とは、これである。

亦復金剛薩埵白佛言:有自性身普賢、自受用普賢、他受用普賢、變化身普賢耶?

また、金剛薩埵が仏に申し上げました。「自性身の普賢、自受用の普賢、他受用の普賢、変化身の普賢というものがあるのでしょうか?」

遮那告言:第一自性身普賢者,華嚴經示普賢唯依如如不依國土,是自性身普賢尊也。第二自受用普賢者,又曰普賢一毛孔中有不可說微塵佛剎,是自受用普賢尊也。第三他受用普賢者,於色究竟成自受用身,為伏九十五種外道,下南閻浮八相成道,是他受用普賢尊也。第四變化身普賢者,法華經言普賢菩薩從東方來,普賢經云普賢菩薩乃生東方淨妙國土,其國土相雜華經中已廣分別,是變化身普賢尊也。

毘盧遮那仏は次のように告げた。第一の自性身普賢とは、『華厳経』に示される通り、普賢はただ「如如(真如そのもの)」にのみ依り、国土には依らない。これが自性身の普賢尊である。第二の自受用身普賢とは、また「普賢の一つの毛穴の中に、説き尽くせないほどの微塵の数の仏の国土がある」と説かれる。これが自受用身の普賢尊である。第三の他受用身普賢とは、色究竟天にて自受用身を成就し、九十五種の外道を降伏させるために、南の閻浮提に下って八相成道を示現した。これが他受用身の普賢尊である。第四の変化身普賢とは、『法華経』に普賢菩薩が東方から来たと説かれ、『普賢経』には普賢菩薩が東方の浄妙な国土に生まれるとあり、その国土の様相は『雑華経』(華厳経)の中で詳しく説き明かされている。これが変化身の普賢尊である。

亦復大日如來告言:有九重普賢:一者、等流普賢;二者、妙法蓮華等覺普賢;三者、妙法蓮華妙覺普賢;四者、妙法蓮華中臺本覺大日普賢;五者、妙法蓮華平等本覺毗盧遮那如來普賢;六者、妙法蓮華諸法本覺毗盧遮那如來普賢;七者、妙法蓮華一輪普賢;八者、妙法蓮華第一普賢;九者、妙法蓮華頂上普賢。

また大日如来は告げられた。「九重の普賢がある。一には等流普賢、二には妙法蓮華等覚普賢、三には妙法蓮華妙覚普賢、四には妙法蓮華中臺本覚大日普賢、五には妙法蓮華平等本覚毘盧遮那如来普賢、六には妙法蓮華諸法本覚毘盧遮那如来普賢、七には妙法蓮華一輪普賢、八には妙法蓮華第一普賢、九には妙法蓮華頂上普賢である。」

爾時,薩埵首戴五智寶冠,左手持金剛鈴,右手持五鈷金剛杵,杵按於心,坐蓮華臺,放光照法界,白薄伽梵:今解佛敕,妙法蓮華有三本尊:一者、釋迦如來、大日如來變化尊像;二者、前十四品,文殊師利為其本尊;三者、後十四品,普賢菩薩為其本尊。妙法蓮華修行同入本覺一宮,久遠本地無量壽命決定如來、摩訶毗盧遮那如來。

その時、サッタは頭に五智の宝冠をいただき、左手に金剛鈴を持ち、右手に五鈷の金剛杵を握り、その杵を心に当て、蓮華の台座に坐して、光を放って法界を照らし、尊き仏に申し上げた。「今、仏の教えを解しました。妙法蓮華には三尊の本尊がおられます。一つ目は、釈迦如来、大日如来の変化した尊い姿。二つ目は、前の十四品では、文殊師利がその本尊です。三つ目は、後の十四品では、普賢菩薩がその本尊です。妙法蓮華の修行は、共に本覚の一つの宮殿に入り、久遠の昔からの本地である無量の寿命を持つ決定如来、摩訶毘盧遮那如来に至るのです。」

爾時,摩訶毗盧遮那如來告金剛薩埵言:善哉,善哉!深入妙法蓮華性海。如汝所言,妙法蓮華釋迦大日為其本尊,亦復文殊、普賢菩薩為其本尊,十如實相八葉九尊十尊,一部始修但說其德,妙法九尊蓮華所座,妙法蓮華八葉四隅,菩薩等覺妙法蓮華八葉四方,四佛妙覺妙法蓮華中臺大日,如來本覺非因非果遠因果,胎藏等覺金剛妙覺胎金之上,本覺法界寂光海會,無始無終性相常住,一切眾生皆有妙法蓮華八葉中臺十如十尊,是名妙法蓮華經王。

その時、大毗盧遮那如来は金剛薩埵に告げられた。「善きかな、善きかな。よくも妙法蓮華の性海に深く入りたもうた。汝の言う通り、妙法蓮華は釈迦・大日を本尊とし、また文殊・普賢の菩薩を本尊とする。十如実相、八葉九尊、十尊として、一部の修行の初めからその徳を説くのみである。妙法の九尊は蓮華の座に坐し、妙法蓮華の八葉の四隅には菩薩の等覚が在し、八葉の四方には四仏の妙覚が在し、中台には大日如来の本覚が在す。これは因に非ず果に非ず、因縁果を超えたものである。胎蔵の等覚、金剛の妙覚、胎蔵・金剛の上にある本覚の法界、寂光の海会、無始無終にして性相常住なるもの。一切の衆生は皆、妙法蓮華の八葉中台、十如・十尊を具えている。これを妙法蓮華経王と名づける。」


妙法蓮華方便祕密三摩耶品

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