蘇悉地羯羅供養法卷上
蘇悉地羯羅供養法 上巻
大唐中印度三藏善無畏譯
大唐中インド三蔵善無畏訳
歸命諸如來, 及法菩薩眾,
蓮花金剛部, 并諸眷屬等。
我今依教說, 供養持誦法,
省略通三部, 次第及相應。
先見神室處, 復明其事法;
對受得真言, 及作手印法;
於外出入處, 分土洗淨法;
灑掃神室處, 除萎花等法;
澡浴自灌頂, 獻三掬水法;
往於神室門, 換衣灑身法;
入室便禮拜, 辦諸供具法;
數珠及神線, 茅草鐶等法;
奉獻閼伽水, 及置寶座法;
復示三麼耶, 去身障難法;
辟除及瀉垢, 清淨光澤法;
護身及結界, 八方上下法;
初應想神座, 觀念本尊法;
隨所在方處, 奉請於尊法;
以其本真言, 啟請本尊已,
即除遣從魔, 奉座令坐法;
復示三摩耶, 即奉閼伽水,
浴尊奉衣法; 次獻塗香花、
燒香及飲食、 燃燈供養法;
真言并手印, 運心供養法;
讚歎懺悔等, 護身及己身、
并護其處所, 便結大界法;
備具嚩日羅, 及數珠等法;
充滿真言分, 次坐持誦法,
求請本所願, 及護所念誦,
迴施功德法, 起廣大發願;
又奉閼伽水、 塗燒香等法;
復視三摩耶, 護身及己身,
解所結方界, 然後發遣法;
護摩支分等, 謂爐神及地、
燒祀之具法; 轉讀方廣經,
及作制底法; 次作慈等觀,
思惟六念法。 如是等次第,
我今略詮竟。
如来と法、菩薩の衆に帰命し、 蓮華と金剛の部、ならびに諸眷属に帰命します。
私は今、教えに依って説きます。 供養と誦持の法を、 三部を通じて簡略にし、 次第と相応を明らかにします。
まず、神室の場所を見定め、 次に、その事法を明らかにします。 真言を受け、手印を結ぶ法、 外の出入り口では、土を分け清める法。
神室を掃き清め、萎れた花などを除く法。 自ら沐浴し灌頂し、三掬の水を献じる法。 神室の門に至り、衣を替え身を清める法。 室に入り礼拝し、供具を整える法。
数珠と神線、茅草の環などの法。 閼伽水を奉げ、宝座を設ける法。 さらに三摩耶を示し、身の障りを除く法。 邪気を払い垢を流し、清浄光沢を得る法。
護身と結界、八方上下を守る法。 初めに神座を想い、本尊を観念する法。 方処に随って、尊を奉請する法。 本尊の真言をもって、啓請し終えたら、
従魔を除き遣わし、座を奉じて坐らせる法。 再び三摩耶を示し、閼伽水を奉げ、 尊を沐浴させ衣を奉る法。 次に塗香と花、焼香と飲食、
灯明を供養する法。 真言と手印、運心による供養法。 讃嘆と懺悔など、護身と己身、 そしてその場所を護り、大界を結ぶ法。
金剛杵と数珠などを備える法。 真言の分を満たし、次に坐して誦持する法。 本願を求め請い、念誦を護り、 功徳を廻向し、広大な発願を起こす法。
また閼伽水を奉げ、塗香と焼香などの法。 再び三摩耶を視て、護身と己身を守り、 結んだ方界を解き、それから発遣する法。
護摩の支分など、炉の神と地、 焼祀の具を整える法。 方広経を転読し、制底を作る法。
次に慈などの観を行い、 六念を思惟する法。 このような次第を、 私は今、略して説き終えました。
見神室處者,謂入曼荼羅,散花所墮,歸依彼尊。
神の住まいを見るとは、曼荼羅に入り、散り落ちた花の行き先に従って、その尊い方に帰依することです。
明其事法者,謂得最勝受明灌頂,奉阿闍梨之所印可,令傳法灌頂、乃至令作諸餘灌頂。
これを明らかにする法とは、最も勝れた受明灌頂を得て、阿闍梨の認可を受け、伝法灌頂やその他の灌頂を行わせることである。
對受真言及手印者,謂受法人澡浴清淨,著新潔衣,於其淨處䠒跪,恭敬對阿闍梨,親受真言及作手印。
真言や手印を受ける者とは、その教えを受ける人が、しっかりと身を清めて沐浴し、清らかな新しい衣を身にまとい、清らかな場所でひざまずいて恭敬の心をもって阿闍梨(指導者)に向かい合い、直接真言を受け、そして手印を結ぶことです。
時阿闍梨先誦三遍,轉授與彼。彼受得已,自誦三遍,深生歡喜,頂戴奉持,此為對受。隨力所辦奉阿闍梨,廣解法已,方可作此念誦次第。
その時、阿闍梨はまず三度誦し、これをその人に授け渡す。その人はこれを受け取ったなら、自らも三度誦して、深く欢喜の心を生じ、これを頂戴し、恭敬して奉持する。これが「対受」というものである。力の及ぶ限りを尽くして、阿闍梨に供養する。法を広く理解した後に、ようやくこの念誦の次第を修めることができるのである。
外出入處者,為晨朝起已,所往穢處當用不淨忿怒真言而作護身。真言曰:
外出時の出入りについて:朝起きたならば、向かうべき不浄な場所では、不浄忿怒の真言を用いて身を守るのです。その真言は次の通りです—
「唵句𡀔(二合)拖囊(上聲)呼之𤙖若(而也反)」
「オン、クロ、タノウ、ウン、ニャク」
其手印相,以右手作拳,直竪大母指,當護五處——謂頂、兩肩、及心、咽項上(已上小心印,別有大印)。
その印の形は、右手で拳を作り、親指をまっすぐ立てて、五つの場所を守る——すなわち、頭頂、両肩、心、そして喉の上です(以上は小さな印であり、別に大きな印がある)。
次分土洗淨者,謂以五聚土當洗下部、以三聚土洗小便處、以三聚土獨洗左手、以七聚土共洗兩手,或恐未淨,任己洗之,以淨為限。已上聚土皆用觸呪及印印及持七遍然後用之。次以真言而用灑身。真言曰:
次に、体を清める方法について説明します。五つの土の塊で下腹部を洗い、三つの土の塊で小便の部分を洗い、三つの土の塊で左手だけを洗い、七つの土の塊で両手を一緒に洗います。もしまだ清らかでないと思ったら、自分の判断で洗い、清らかになるまで行います。以上の土の塊はすべて、触れる際の呪文と印を用いて、七回唱えてから使用します。次に、真言を用いて身に水をまきます。その真言は次の通りです。
「唵戍嚕(二合)底(丁以反)娑沒㗚(二合)底(同上丁以反)陀(重)羅尼(上)吽訶(上)(三遍誦之)」
「オン、シュリティ、サムリティ、ダラニ、ウン、カッ」 ※これを三回唱えます。
其手印相,以右手直舒五指,指頭相博,次屈無名指中節與掌相當,以大母指小輔向前。
その印相は、右手の五本の指をまっすぐ伸ばし、指先を揃えて付けます。次に、薬指の第二関節を曲げて手のひらと同じ位置にし、親指は小指の方に軽く添えるように前に向けます。
其灑水法,蹲踞而默,兩手置於雙膝之間,印手掬水,勿有泡沫,無聲飲之。三度飲已,然後用手霑水,兩度拭唇。于時口中於其齒間舌觸垢穢涕唾欬嗽,更復如前飲水拭唇,還以此印及誦真言。
その灑水の作法は、しゃがんで静かに、両手を両膝の間に置き、印を結んで水をすくい、泡立てずに、音を立てずに飲むことです。三度飲んだ後、手で水をつけて二度唇を拭います。その時、口の中で歯の間に舌が触れる汚れや痰、唾、咳がある場合は、再び前述のように水を飲み唇を拭き、またこの印を結び真言を唱えます。
於其印中,大指及無名指先拄兩目、次口、兩耳、鼻、及兩肩、臍、心、咽頸上拄,便成護身諸根清淨。
その印の中で、親指と薬指で最初に両目を押さえ、次に口、両耳、鼻、そして両肩、臍、心、喉、首筋を押さえます。そうすれば、身を守り、感覚器官が清らかになります。
次,灑掃神室者,謂隨其成就及事差別,與彼相應而擇方處,及意可樂,無諸障難。其地除去嚩䋙、蟲窠、坑窟瓦礫、糠骨毛髮、鹹炭灰等,掘去惡土,填以淨土。於上造室,堅牢密作,勿令風入,門向東開、或北、或西、隨事向南。作神室已,用牛糞塗,以淨水灑、或以塗香即和淨水,當誦此明而塗其地。明曰:
また、神室を清め掃除するとは、その成就や作法の違いに応じて、それに合った場所を選び、心の安らぎを得られる、妨げや支障のない所を選ぶことです。その地面からは、虫の巣や穴、瓦礫、ぬか、骨、髪の毛、塩、炭、灰などを取り除き、悪い土を掘り出して、清らかな土で埋め戻します。その上に室を建て、しっかりと堅固に作って、風が入らないようにします。門は東に向けて開くか、あるいは北、西、または作法に応じて南に向けます。神室を建て終えたら、牛糞を塗り、清らかな水をまきます。あるいは塗香を清らかな水に混ぜて、この真言を唱えながらその地面に塗ります。真言は次の通りです。
「那(上)莽娑底(丁以反)𭋺也(一)(二合)儞尾(二合)迦(引)南(二)薩(去)羅嚩(二合)怛他(去)蘖哆南(去)(三)闇(引)(四)尾羅視尾囉視(五)摩訶(去)嚩日囉(二合)(六)薩多(上)薩多(上)(七)娑(去)囉帝(八)娑(去)囉底(九)怛囉(二合)以(十)怛羅(二合)以(十一)尾陀莽寧(上)(十二)三(去)伴若(而也反)寧(上)(十三)多(上)囉莽底(丁以反)(十四)悉陀(引)仡隷(二合)(十五)怛㘕(二合)(十六)莎(去)訶(去)(三遍誦之)」
或時忘念、法則錯誤、犯三摩耶,每日當誦此明三、七遍、或百八遍,能除其過。
ある時、心が散(ち)れて思いを忘れ、法(ほう)に背き、誤って三摩耶(さまや)を犯すことがあっても、毎日この真言(しんごん)を三遍、七遍、または百八遍唱えるならば、その過ちを除くことができます。
除萎花者,供養尊花已,先誦此明除其萎花。曰:
しおれた花を取り除く者は、尊い花を供養した後、まずこの真言を唱えてそのしおれた花を取り除く。すなわち、
「唵稅帝摩訶(去)稅帝佉(去)娜寧(去)莎(去)訶(去)」
「オン、セイテイ、マカセイテイ、カナネイ、ソワカ」
次說掃地明曰:
では、掃地(掃除)の意味についてお話しします。
「唵賀羅 賀羅 囉茹㜸囉(二合)賀囉那(引)也莎(去)訶(去)」
「オン キャラ キャラ ラジュ ケイラ キャラナヤ ソワカ」
次說塗地明曰:
次に、地に塗る(塗地)のやり方について説明します。
「唵羯囉(二合引)隷摩訶(去)羯羅隷莎(去)訶(去)(三遍誦之)」
「オン キャラ マカキャラ ソワカ」(三回唱える)
先應灑掃神室,除去萎花,淨諸供器,然後方去澡浴,教說如是。往澡浴時,先以此明及印護諸供具,然後可往。明曰:
まず、神聖な部屋を掃き清め、しおれた花を取り除き、供え物の器を清めましょう。そうしてから初めて、身を清める沐浴に向かうのです。このように教えられています。沐浴に向かう際には、まずこの真言と印によってすべての供え物を守護してから、向かうべきです。真言は次のとおりです。
「唵尸却哩(二合)嚩(無可反)日哩(二合)闇(引)(三遍誦之)」
「オン・シキャリ・ハ・ニチリ・アン」(二合)((無可反))(三遍誦之)
其手印相,以右手作拳,直竪大指,頭指、二指相著。
その印の形は、右手で拳を作り、親指をまっすぐ立て、人差し指と中指を合わせる。
先作三摩耶者,謂凡作法,先作三摩耶,然後作護身等一切諸事,教如是說。
まず三摩耶(さんまや)を結ぶとは、すべての作法において、まず三摩耶を結び、その後に護身などのあらゆる行いをなすべきである、と教えは説いています。
次說三摩耶真言及手印。
次に、三摩耶の真言と手印についてお話しします。
初佛部真言曰:
最初の仏部の真言は、次のように唱えます。
「唵怛他(去)㜸姤(一)娜婆(二合)嚩(引)也(二)莎(去)訶(去)(三遍誦之)」
「オン タタ ギャト ナバ ワヤ ソワカ」(これを三回唱える)
此是佛部三摩耶真言。
これは仏部の三摩耶真言(サマヤ真言)です。
其手印相,仰兩手十指直向前舒並側相著,微屈兩頭指上節(此是三摩耶手印)。
その印の形は、両手の手のひらを上に向け、十本の指をまっすぐ前に伸ばし、並べて互いにくっつけます。わずかに両方の人差し指の上の節を曲げます(これが三摩耶の印です)。
次說蓮華部三摩耶真言及手印。真言曰:
では、蓮華部の三摩耶真言と手印について説きます。真言は次の通りです。
「唵鉢娜謨(上二合)娜婆(二合)嚩(引)也莎訶(此是蓮花部三摩耶真言)」
「オン パドマ ナバ ヤ ソワカ(これは蓮華部の三摩耶真言です)」
其莎、訶皆去音。
シャー、カは、ともに発音を省く。
其手印相,先當合掌,中間兩手六指向外舒散勿令相著,其大指及小指兩手依舊相著,合掌中虛,如間蓮花,微屈中間六指(此是蓮花部三摩耶手印)。
印の形は、まず掌を合わせます。両手の中間の六本の指は外側に向かって広げ、互いに触れないようにします。親指と小指は両手ともそのまま合わせたままにし、掌の中は空けて、蓮の花のような形にします。中指を少し曲げます(これは蓮華部の三摩耶印です)。
次說金剛部三摩耶真言及手印。真言曰:
「唵嚩日路(二合)娜婆(二合)嚩(引)也莎訶(三遍誦之,此是金剛三摩耶真言)」
「オーム・ヴァジロ・ナバ・ヴァヤ・ソワカ」(三回唱える。これは金剛三摩耶の真言である。)
其手印相,右押左,兩手背逆相著,以右手大指叉其左手小指,左手大指著其右手小指,中間兩手六指微令開,如三股杵(此是金剛三摩耶手印)。
その手印の形は、右手が左を押さえ、両手の背を合わせて互い違いに重ねる。右手の親指で左手の小指を挟み、左手の親指を右手の小指に添える。両手の間の六本の指は、三叉の杵のように少し開く(これは金剛三摩耶の手印である)。
結縛諸難者,謂以軍荼利手印真言而縛諸難。其手印相,左手置於右手膊跟上,以大指捻小指甲,展中三指如三股杵。復以右手置於左膊跟上,亦以大指捻小指甲,展中三指如三股杵。而向東立,屈其左脚膝,臨向前,就於右脚,右脚闊展二尺以來,橫著躡地,咬下右唇,怒目左視,默想自身如軍荼利。誦其根本真言,曰:
結縛の諸難とは、軍荼利の手印と真言を用いて諸々の障りを縛ることをいいます。その手印の形は、左手を右腕の上腕(肩のあたり)に置き、親指で小指の爪を押さえ、中の三指を三鈷杵のように伸ばします。また右手を左腕の上腕に置き、同じく親指で小指の爪を押さえ、中の三指を三鈷杵のように伸ばします。そして東に向かって立ち、左膝を曲げて前にやや踏み出し、右脚は二尺ほど幅広く開いて横に地を踏み、下唇を噛み、目を怒らせて左を見ます。静かに自分自身が軍荼利であると思い描きます。その根本真言を唱えます。すなわち、
「囊(上)謨(上)囉怛囊(上二合)怛囉(二合)夜野囊(上)莽室戰拏嚩日囉(二合)簸儜(上)曳(引)莽訶(上)藥乞沙(二合)細囊鉢多(上)曳(引)囊謨嚩日囉(二合)句路(二合)駄野(引)能(去)瑟吒路(二合)得羯(二合)吒婆也珮囉嚩(引)野怛姪他(去)唵闇沒㗚(二合)多(上)軍(去)拏里佉佉佉佉却(引)醯却(引)醯㜸囉若(二合)微娑鋪(二合)吒野微娑鋪(二合)吒野薩囉(二合)嚩尾近囊(上二合)微囊亦迦劍(二合)摩訶(去)言(上)儜(上)鉢底餌尾旦(引)多迦囉(引)野𤙖泮吒(二合)(七遍誦之)」
南無 羅怛曩怛囉夜耶(帰命三宝) 南無 摩訶藥叉細曩鉢多曳(帰命大薬叉神将)
南無 嚩日囉句路駄野(帰命金剛暴悪尊) 能瑟吒路得羯吒婆耶(摧破諸障礙者) 珮囉嚩野(威光赫奕なる者)
即説陀羅尼(そこで陀羅尼を説く)
唵(オーン) 闇沒㗚多軍拏里(甘露の軍荼利よ) 佉佉佉佉(クシャクシャクシャクシャ) 却醯却醯(クケイクケイ) 㜸囉若微娑鋪吒野(忿怒の炎を放ちて) 微娑鋪吒野(粉々に打ち砕け) 薩囉嚩尾近囊(一切の障礙を) 微囊亦迦劍(滅ぼし尽くせ) 摩訶言儜鉢底(大夜叉主よ) 餌尾旦多迦囉野(勝れたる行をなす者よ) 𤙖 泮吒(フム パット)
(七遍誦する)
此是繫縛諸難真言。
真言最下滿馱滿馱句,即其兩手三指便作拳把,所捻小指依舊勿動,其諸難者便成繼縛。
真言の最後に「滿馱滿馱句(マンダ・マンダ・ク)」と唱えるときは、その両手の三本の指を拳(こぶし)のように握り、今まで折っていた小指はそのまま動かさずにいなさい。そうすれば、あらゆる困難や妨げとなるものは、たちまち縛られて動けなくなる。
澡浴法者,先以真言、手印取土作三聚,為淨身故。真言曰:
「唵寧(上)佉囊(上)嚩蘇(上)提莎訶(五遍誦之,此是淨土真言)」
「オン ニン キャナン ワソ テイ ソワカ(上の注:五度唱える。これは浄土の真言である)」
其手印相,兩手相叉,指捻手背,雙竪二頭指相著,二大母指並竪,博頭指側(以此手印蓋所取土,誦真言五遍,然後取之)。
その印の形は、両手を交差させ、指で手の甲を押さえる。二本の頭指(人差し指)を立てて合わせ、二本の親指も並べて立て、頭指の側面に添える(この印で取る土を覆い、真言を五回唱えてから取ること)。
辟除者,凡所作一切事先須辟除,然後方作一切諸事,教說如是。辟除真言曰:
除除(へいじょ)とは、あらゆる行いをなす前に、まず障碍を取り除き、その後にすべての事柄を行うべきであると説かれています。そのための除除の真言は次の通りです。
「囊(上)謨(上)嚩日囉(引二合)也𤙖賀囊(上)鈍囊(上)莽他(上)尾跢崩(二合)娑瑜瑳(去)囉也𤙖泮吒(七遍誦之,此辟除真言)」
「南無、金剛の尊よ。吽、打ち砕き、粉砕し、完全に滅ぼす者よ。吽、パッタ。」(この真言を七回唱える。これは魔を退ける真言である。)
其手印相,以左手大指屈入掌中,以中指、無名指而押大指,屈其頭指著中指中節側,亦屈小指著無名指中節側,即舒努臂,頭上右轉三遍及印身五處。右手大指押小指甲,餘三指直竪,作嚩日囉形,叉其腰側,立法如前(此是辟除印)。
又,辟除真言及手印。真言曰:
また、弊害を除く真言と手印(印の結び方)について説きます。真言は次の通りです。
「唵嚩日囉(二合)多(去)囉(上)𤙖泮吒(此是辟除真言)」
「オン、バジュラ、ダラ、ウン、ハッタ。これは邪気を払う真言である」
其手印相,以右手指左手掌,如是三遍(此是辟除手印)。
又,辟除真言及手印。真言曰:
また、弊害を除く真言と手印(印の結び方)について説きます。真言は次の通りです。
「唵枳里枳羅(去)囉(去)嚩咾捺囉(二合)𤙖泮吒(輕此是辟除真言)」
「オン キリキララ バロウナラ ウン ハッタ(これは魔を退ける真言である)」
其手印相,以兩手各作彈指聲三遍(此是辟除印)。
手印の所作として、両手でそれぞれ指を弾く音を三度鳴らす(これは邪気を払う印である)。
護身法者,以此真言及手印用結十方界及以護身。真言曰:
護身の作法とは、この真言と手印を用いて、十方の結界を張り、また自身を守るものである。真言は次の通り:
「唵商僧(二合)迦𭋺三莽焰莎訶(此護身結界真言)」
「オン シャンソウガ カケイ サンマンエン ソワカ(これは身を守り、結界を張る真言です)」
其手印相,以右手大指捻小指甲上,餘三指微開直竪,名嚩日囉印,用結上下及八方界并護身用(此是結界護身等印)。
その手印の形は、右手の親指で小指の爪の上を押さえ、残りの三本の指を少し開いてまっすぐに立てる。これを「跋折羅印」と呼び、上下および八方の結界を結び、身を護るために用いる(これは結界や身を護るための印である)。
次以真言、手印用印自身及以水土澡豆等物,便成瀉垢及與清淨。真言曰:
次に、真言と手印を用いて、自身および水・土・澡豆などの物に印を結びます。すると、たちまち汚れを洗い流し、清めることができます。その真言は次の通りです。
「唵枳里嚩日囉(二合)𤙖泮吒(七遍誦之,此是瀉垢真言)」
「オン、キリ、バザラ、ウン、ハッタ(七回唱える。これは穢れを洗い流す真言である)」
其手印相,以右手大指捻小指甲上,餘三指微開直竪,叉腰間,三指向前,左手亦作此印,用印觸諸物,即成瀉垢及與清淨(此是瀉垢印)。
この印の形は、右手の親指で小指の爪の上を押さえ、残りの三指はわずかに開いてまっすぐ立て、腰のあたりに当て、三指を前方に向けます。左手も同じ印を作り、この印で物に触れると、たちまち汚れを落とし清めることができます(これは汚れを落とす印です)。
次以軍荼利真言及手印用作清淨。真言曰:
次に、軍荼利の真言と印を用いて清めを行います。真言は次のとおりです。
「唵 闇沒㗚(二合)帝𤙖泮吒(七遍誦之,此是清淨真言)」
「オン、アンビリテイ、ウン、ハッタ」※(七回唱えます。これは清らかさを得るための真言です。)
其手印相,以右手作拳取水念誦七遍,用灑諸物及手頂上,便成清淨(此是清淨印)。
次以真言及手印用作光澤。真言曰:
「唵枳里枳里嚩日囉(二合)𤙖泮吒(七遍誦之,此是光澤真言)」
其手印相,以左手大指捻小指甲上,餘三指微開直竪,舒其膊,還以右手作此印承左手肘下,以右手印印諸觸物及以己身即成光澤(此是光澤印)。
その印の形は、左手の親指で小指の爪の上を押さえ、残りの三本の指をわずかに開いてまっすぐ立て、その腕を伸ばします。また右手で同じ印を作り、左手の肘の下を支えます。右手の印で触れる物や自分の身体に印を押すと、すぐに清らかな輝きが生じます(これが光沢印です)。
次以真言及手印用攪其水。真言曰:
次に、真言と手印を用いてその水をかき混ぜます。真言は次の通りです:
「唵𤙖賀囊(上)嚩日囉(二合)嚩日𭋺(二合)儜(上)訶(不限遍數,惟多誦此是攪水真言)」
「オン、ウン、ガナ、ウパラ、パラ、ネイ、ハン。この真言は、水をかき混ぜる際に唱えるもので、回数に制限はありません。できるだけ多く唱えることが大切です。」
其手印相,兩手向外相叉,以二大指並竪合頭,屈二頭指,稍屈頭,甲相著(此是攪水印)。
その印相は、両手を外側に向けて交差させ、二本の親指を並べて立て、先端を合わせます。二本の人差し指を軽く曲げ、指先と爪をくっつけます(これは水をかき混ぜる印です)。
次以真言及手印取土塗身。真言曰:
次に、真言(しんごん)と手印(しゅいん)を用いて土を取り、身に塗ります。真言は次の通りです。
「唵部囉若(而也反)嚩(二合)囉𤙖(七遍誦之,此是塗土真言)」
「オン、ボラジャ、バラ、ウン」(七回唱えてください。これは土を塗るための真言です)
其手印相,取土和水,兩手相揩,以右手遍塗身(此是土塗身印)。
その手印の形は、土を取り、水を加えて、両手でよくこすり合わせ、右手で全身に塗る(これは土を塗る身体の印です)。
次以軍荼利真言、手印持誦水真言,曰:
次に軍荼利の真言を用い、手印を結びながら水の真言を唱えます。その真言は次の通りです。
「唵闇沒㗚(二合)帝𤙖泮吒(七遍誦之,此是持誦水真言)」
「オン アン マクリ テイ ウン ハツ タ」 ※これは水を保ち唱える真言です。七回唱えます。
其手印相,先平舒右手,以大指押其中指、無名指甲上,稍屈頭指、小指,持誦真言,以印攪水澡浴(此是持誦水印)。
その印の形は、まず右手を平らに伸ばし、親指で中指と薬指の爪の上を押さえ、人差し指と小指を少し曲げます。この印で真言を唱えながら、水をかき混ぜて沐浴します(これは、真言を唱えながら水を使う印です)。
次以真言及手印遣除身中毘那夜迦難,真言曰:
次に、真言と手印をもって、身の中の毘那夜迦(びなやか)の障りを取り除く。真言は次のとおりである。
「唵闇沒㗚(二合)帝賀囊賀囊(上)𤙖泮吒(此是遣除身中毘那夜迦真言)」
「おん あん みりてい か のう か のう うん はつ た(これは、体の中の障礙を取り除くための真言です)」
其手印相,以兩手大指屈入掌中作拳,舒二頭指,左右相叉入虎口中,以印從頭頂向下至足而略去之(此是遣除身中毘那夜迦印)。
その印相は、両手の親指を掌の中に曲げ入れて拳を作り、二本の人差し指を伸ばして、左右を交差させて虎口(親指と人差し指の間)に入れます。この印を頭頂から足へ向かって下ろし、体を払うように用います(これは身の中の毘那夜迦(障害をなす鬼神)を除き去る印です。)。
次則應以軍荼利真言及手印護身五處,真言曰:
次に、軍荼利の真言と印を用いて、身の五つの場所を守るべきである。その真言は次の通りである。
「唵嚩日囉(二合)祇寧(上二合)鉢囉(二合)儞(去)鉢多(二合)也莎訶(五遍誦之,此是護身真言)」
「オン ヴァジラ ギニ プラ ニ パタ ヤ ソワカ(五回唱える。これは身を守る真言である)」
其手印相,以二小指相叉入掌中,無名指雙押二小指叉上,二中指頭相著,二頭指微屈,在中指上節側相去一大麥許直竪二大指在中指側,印觸五處,印成護身(此是護身印)。
印の組み方:両方の小指を交差させて掌の中に納め、薬指を重ねて交差した小指の上に置く。両中指の先を合わせ、人差し指を軽く曲げて中指の第二関節の脇に置き、親指はまっすぐ立てて中指の側に添える。この印で額・両肩・胸・喉の五箇所に触れて、身を護る印とする。(これは身を護る印である。)
次以真言及手印持誦一一分土。真言曰:
それから、真言と印を結びながら、土を一つずつ持って诵えます。真言は次の通りです。
「唵度比度迦(去)也度比鉢囉(二合)支嚩(去二合)里寧(上)莎訶(三遍誦之,此是持誦土真言)」
「オン ドビ ドカヤ ドビ ハラチ バリネイ ソワカ」※この真言を三回唱えなさい。これは土を清める真言です。
其手印相,以二手頭指、小指頭相著,二中指、二無名指屈入掌中,指背相著,以二大指各捻中指、無名指頭。前所置三聚土取一分,以印印土,持誦三遍,用洗從足至臍,即洗其手,用水灑淨;第二、第三亦如是洗及以灑淨。又取一聚,如前持誦,用洗從臍至頸;又取一聚,如前持誦,用洗從頸至頂。畢已,還誦真言。隨意澡浴,還作此印,亦誦真言,遍轉於身,當心解印,是名被甲印(此是持誦土印)。
手印の形は、両手の人差し指と小指の先を合わせ、中指と薬指を掌の中に曲げ入れ、指の背を互いにつけ、両方の親指でそれぞれ中指と薬指の先を押さえる。先ほど用意した三つの土の塊から一つを取り、この印で土を押さえ、真言を三回唱える。それを使って足から臍のあたりまでを洗い、その後手を洗い、水をまいて清める。二度目、三度目も同じように洗い清める。また別の土の塊を取り、先ほどと同じく真言を唱え、臍から首までを洗う。さらに残りの土の塊を取り、同じく真言を唱え、首から頭頂までを洗う。それが終わったら、再び真言を唱える。好きなように沐浴し、再びこの印を結び、真言を唱えながら体の周りに巡らせ、心臓の前で印を解く。これを被甲印という(これは土を唱えながら押さえる印である)。
次誦軍荼利根本真言攪以手印水,隨意澡浴。真言曰:
次に軍荼利(くんだり)根本真言を唱え、手印を結んで水をかき混ぜ、心のままに身を清めます。真言は次の通りです。
「囊(上)謨(上)囉怛囊(上二合)怛囉(二合)夜也那莽室戰(二合)拏嚩日囉(二合)簸儜(上)曳摩訶(去)藥乞沙(二合)細囊鉢多曳那謨嚩日囉(二合)句路(二合)馳也鉢囉(二合)若(而也反)嚩(二合)里多(上)儞(去)鉢多(去二合)能(去)瑟吒咾(二合)得迦(二合)吒婆(上)也珮囉嚩(去)也阿徙母(輕呼)娑囉嚩日囉(二合)鉢囉輸簸捨賀娑多(去二合)也怛儞也(二合)他唵闇沒㗚(二合)多軍(去)拏里佉佉佉佉佉(去)囊佉囊佉囊佉囊佉(去)那佉那佉那佉那佉呬佉呬佉呬佉呬底(丁以反)瑟吒底瑟咤賀囊賀囊那賀那賀鉢者鉢者蘖㗚(二合)恨儜(二合)蘖㗚(二合)恨寧(二合)滿馱滿馱蘖(呼咽重)囉若蘖㗚若怛囉若怛囉若微娑鋪吒也微娑鋪吒也婆伽梵囊(上)沒㗚(二合)多軍(去)拏里慕(引輕呼)囉彈難(二合)多拏(上)也嚩日囉(二合)儜(上)薩囉嚩(二合)尾近囊(上)微囊也劍寧(上)嚩(去)羅也摩訶言儜(上)鉢底餌尾旦多迦囉也𤙖泮吒句路(二合)馱(引)鐶囊(上二合)曳莎訶(三遍誦之,此是澡浴真言)」
「ナウマク ラタンナヤ ナウマク シャヴァンダ ヴァジュラ パナイ マカヤクシャ セーナパタイ ナウモ ヴァジュラ クロダヤ プラニャーヴァリタ ニーパタネ シュスタ ケータ パヤ パイラヴァヤ アスマ サラ ヴァジュラ プラシュパッシャ ハスタヤ タニヤタ オン アムリタ クンダリ カカカカカ カナカナ カナカナ カナカナカナ ヒカヒカヒカヒカ ティシュタティシュタ ハナハナ ナハナハ パチャパチャ ガリンニ ガリンネ マンダマンダ ガラジャ ガリジャ タラジャタラジャ ビスプタヤビスプタヤ バガヴァン アムリタ クンダリ ムラ ダナンタナヤ ヴァジュラ ナ サルヴァ ビキナン ビナヤカン ナイヴァラヤ マハヤナパティ ビダンタ カラヤ ウン パット クロダ ハンナヤ ソワカ」
(これを三度唱える。これは沐浴の真言である。)
其灌頂真言,以此真言及手印而自灌頂。真言曰:
灌頂の真言、この真言と印をもって自ら灌頂せよ。真言は次のとおり。
「唵賀臛(二合)佉里里𤙖泮吒(三遍誦此灌頂真言)」
「オン カキャク カリリ ウン ハッタ(この灌頂の真言を三回唱えなさい)」
其手印相,以二小指相叉入掌,二無名指雙押二小指叉上,入掌中,二中指頭直竪相著,二頭指押二中指上節,令頭指中節曲,二大指輔著二頭指側。以印相取水,持誦真言三遍而自灌頂(此是灌頂印)。
印の形は、二本の小指を交差させて掌の中に入れ、二本の薬指でその交差した小指の上を押さえて掌の中に入れる。二本の中指の指先はまっすぐに立てて互いにつける。二本の人差し指で二本の中指の上節を押さえ、人差し指の第二関節が曲がるようにする。二本の親指は二本の人差し指の側面に添える。この印の形で水を取り、真言を三回唱えてから自分に灌頂する(これは灌頂の印である)。
次以真言及手印而自結髮。真言曰:
次に、真言と手印を用いて自らの髪を結びます。真言は次の通りです。
「唵蘇悉地 羯里 莎訶(三遍誦之,此是結髮真言,通三部用)」
「オン、ソシチ、キャリ、ソワカ(この真言を三回唱えなさい。これは髪を結ぶための真言であり、三部全てにおいて用いることができます。)」
其手印相,右手作拳,直舒大母指,以屈頭指押大指頭上,令頭指圓曲。作此印,持誦真言三遍,置於頂上即成結髮(此是結髮印)。
結んだ髪の形印(いん)は、右手で拳を作り、親指をまっすぐに伸ばし、人差し指を曲げて親指の先に当てる。人差し指を丸く曲げる。この印を結び、真言を三度唱え、頂上に置くと、結髪が成就する。これが結髪印である。
又,佛部結髮真言曰:
また、仏部の結髪(けつぼう)の真言は次のとおりです。
「唵尸祇尸契莎訶(去)(三遍誦之)」
「オン・シキ・シケイ・ソワカ(去)(三回唱える)」
又,蓮花部結髮真言曰:
また、蓮華部の結髪の真言は次の通りです。
「唵尸契莎訶(三遍誦之)」
「オン・シケイ・ソワカ(これを三回唱える)」
金剛部結髮真言曰:
金剛部結髮の真言は次のように唱えます。
「唵尸佉寫 莎訶(三遍誦之)」
「オン シキャシャ ソワカ(三回唱えます)」
凡澡浴時,不應就於淤泥水中、或水有刺、或懸駛水、或狹渠淺水、旋渦急流、多蟲渾水、溉灌田水、及坑中水……,如是之水並勿澡浴。又復,不應於其水中及以水側大小便利,不得水中跳走、急行、沒浮等戲,止在水中,勿視隱處,亦不思想婦人隱處及與腰嬭諸餘支分。應當寂靜默然澡浴,但令去垢,勿為嚴身之想。
入浴の際には、泥水や、棘のある水、懸け流れの速い水、狭い溝や浅い水、渦巻く急流、虫の多い濁った水、田を灌漑する水、坑の中の水などで浴してはなりません……このような水では、すべて浴してはなりません。また、その水中や水のそばで大小便をしてはならず、水中で跳ねたり、急いで歩いたり、潜ったり浮いたりするなどの遊びをしてはなりません。水中にとどまっているときは、隠れた部分を見てはならず、また婦人の隠れた部分や腰や乳房、その他の支分を思ってはなりません。静かに黙って浴し、ただ垢を去ることを目的とし、身を飾ろうという思いを抱いてはなりません。
獻三掬水者,洗浴了已,面向本尊所居之方觀念本尊,持誦真言及作手印,以印掬水而獻之。想浴本尊及奉閼伽,或於水中有三種驗——水至膝中名為下驗、水至臍邊是為中驗、水至項中是為上驗——於三水中隨意念誦,方詣道場。
三掬の水を捧げる者は、身を清め終えた後、本尊がおわします方角に向かって本尊を観想し、真言を唱え、手印を結びます。その印で水を掬んで捧げます。本尊を沐浴させ、閼伽を奉る思いを込めます。あるいは、水に三つの験(しるし)があります——水が膝のあたりまで来るのを下験といい、臍のあたりまで来るのを中験とし、項(うなじ)のあたりまで来るのを上験とします——この三つの水に応じて心を込めて念誦し、その後、道場へと向かいます。
佛部獻水真言曰:
仏部(ぶつぶ)に水(みず)を捧(ささ)げる真言(しんごん)は、こう唱(とな)えます。
「唵帝囉𭋺佛(哺時反)陀莎訶(三遍誦之,此是佛部奉三掬水真言)」
「オン、デイラブツダソワカ(この呪文を三回唱えます。これは仏部の三すくいの水を捧げる真言です)」
又,蓮華部獻水真言曰:
また、蓮華部(れんげぶ)の水を捧げる真言(しんごん)は、次のとおりです。
「唵避哩避哩𤙖泮吒(三遍誦之,此是蓮花部奉三掬水真言)」
「オン、ビリ、ビリ、ウン、ハッタ、チャッ<注>これを三回唱えなさい。これは蓮華部の、三すくいの水を捧げる真言です。</注>」
又,金剛部獻水真言曰:
さらに、金剛部が水を捧げる真言は次のとおりです。
「唵 微濕嚩(二合)嚩日𭋺(二合)莎訶(三遍誦之,此是金剛部奉三掬水真言)」
「オン ビシバ バジレイ ソワカ(三回唱える。これは金剛部において、三度の水を捧げる真言である)」
通三部手印相,平仰兩手,側相著,以二頭指捻二大指頭,六指微似屈。以印掬水,持誦真言三度,奉浴本尊(此是通三部奉三掬水手印)。
三部共通の手印(いん)を結ぶ際には、両手を平らにして上向きにし、側面をくっ付けます。二本の食指(人差し指)で二本の親指の先を軽くつまみ、残りの六本の指は僅かに曲げます。この印で水をすくい、真言を三回唱えながら、本尊に沐浴(もくよく)として捧げます。※これは三部共通で、水を三度捧げるための手印です。
往於神室者,謂入向道場之時,勿起嗔恚及與貪欲,專念本尊而往去之。於中不應驀過器仗及諸藥草——謂種種器、騎乘、鈴鐸、及諸印、其萎花、藥味、一切草木皆不應驀——制底尊像、比丘等影皆不應驀,亦勿乘騎象、馬、駱駝、牛、羊、驢等及一切諸乘,畫像印等皆不應踏、身手相觸,若犯此等,墮三麼耶;亦不應起貪瞋、癡慢、掉舉憍等。當著木屐而往神室中,遇制底尊容、師長及以神廟,當脫木屐便申致敬,方至道場。
神室に向かうときは、道場に入る際に、嗔りの心や貪りの心を起こさず、ひたすら本尊を念じて進んで行くべきである。その途中で、武器や薬草を飛び越えてはならない。様々な道具、乗り物、鈴、印、しおれた花、薬味、すべての草木も飛び越えてはならない。また、制底(仏塔)や尊像、比丘の影も踏み越えてはならない。象、馬、駱駝、牛、羊、驢馬などの乗り物にも乗ってはならない。絵像や印を踏んだり、手や体で触れたりしてはならない。もしこれらを犯せば、三昧耶(三摩耶)を破ることになる。また、貪りの心、嗔りの心、愚かさ、慢心、落ち着きのなさ、驕りなどを起こしてはならない。木履(木の下駄)を履いて神室に向かうときは、制底や尊像、師長、神廟に出会ったら、木履を脱いで敬意を表し、それから道場に至るべきである。
次換衣灑身者,謂道場門外而六洗手及足,用前所說護淨真言手印飲水拭唇如前。重更飲水灑淨已,即依行用,是為通三部。
次に衣を替え、身を清めるとは、道場の門の外で六度手を洗い、足も洗うことです。前に述べた護浄の真言と印を用いて水を飲み、唇を拭うことは先の通りです。重ねて水を飲み、清めの水をまいて浄めた後、そのまま作法に従って用いる。これが三部に通じる方法です。
又,佛部飲水灑淨真言曰:
また、仏部における飲水灑浄(いんすいしゃじょう)の真言は次のとおりです。
「唵摩訶(去)入嚩(二合)囉𤙖(此是佛部灑淨水真言)」
「オン マカ ニュウバ ラ ウン(これは仏部の水を清める真言です)」
又,蓮華部飲水灑淨真言曰:
また、蓮華部の飲水灑淨(いんすいしゃじょう)の真言はこうです。
「唵覩(吒矩反)覩(同上)羅俱(上)嚕俱嚕莎訶(此是蓮花部灑淨真言)」
「オン ト ト ラ ク ル ク ル ソワカ(これは蓮華部の清めの真言です)」
又,金剛部飲水灑淨真言曰:
また、金剛部の水を飲み、清めをまく真言は次のとおりです。
「唵入嚩(二合)里多嚩日里(二合)尼(上輕呼)𤙖(此金剛部灑淨真言)」
「オン、イルバリタ、バジリニ、ウン。これは金剛部における清めの真言である。」
又,說佛部飲水灑淨手印,仰舒右手,屈無名指向內,勿著掌(此是佛部灑淨水印)。
また、仏部の飲水・灑浄(しゃじょう)の手印について述べます。右手を上に向けて伸ばし、薬指を内側に曲げますが、掌には付けないようにします(これは仏部の灑浄水の手印です)。
又,說蓮華部飲水灑淨手印,仰舒右手,無名指向內,勿令掌著,散開頭指、小指(此是金剛部灑淨水印)。
また、蓮華部の飲水・灑淨の手印について説きましょう。右手を上に向けて伸ばし、薬指を内側に曲げ、掌を付けないようにし、人差し指と小指を開きます(これは金剛部の灑淨水印です)。
次以真言手印灑淨門外所授之衣。真言曰:
次に、真言の手印をもって、門外で授けられた衣に浄めの水を振りまく。その真言は、次のとおりである。
「唵微莽囉 莎訶(此是灑淨換衣真言)」
「オン ビマラ ソワカ(これは、身を清め、衣を替えるための真言です。)」
其手印相,以右手作拳,取水持誦,用灑淨衣(此是灑淨換衣手印)。
その印相は、右手を拳の形にして水を取り、真言を唱えながらその水を衣に振りかけ清めるものです。(これは水をまいて清め、衣を替えるときの印です。)
次以真言持誦其衣而著。真言曰:
次に、真言を唱えながらその衣を身に着けます。真言は次の通りです。
「唵鉢哩嚩囉(上二合)跛嚩日里(二合)尼(上)𤙖(此是著衣真言,無手印)」
「オン パリバラ バジュリニ ウン。これは衣を着る際の真言であり、手印はありません。」
入室便禮者,如教所說,行者一心當入神室。既入室已,面向於尊,合掌曲身,首不稽地,先於室內當置尊容幀、或制多、或但置座,入便禮已而供養之。
部屋に入ったら、ただちに礼拝します。教えに説かれる通り、修行者は心を一つにして神聖な部屋に入るべきです。部屋に入ったならば、尊像に向かい、手を合わせ、体を曲げますが、額を地につけることはありません。あらかじめ部屋の中には尊像の掛け軸、あるいは仏塔、あるいはただ座席だけを安置しておきます。入って礼拝したならば、供養を行います。
辦供養具者,謂塗香等五種、牛淨神線茅環、己身之座、及閼伽器、金剛白芥子、繫腰線……等,是名供具,先當辦之。
供養に用いる具(道具)とは、塗香(ずこう)など五種のもの、牛の浄め、神聖な糸、茅(ちがや)で作った輪、自分の座、そして閼伽(あか)の器、金剛の白芥子(しろけし)、腰に結ぶ紐などのことである。これらを供養の具と名づける。まず初めにこれらを用意すべきである。
入室之時,口誦真言而入。真言曰:
部屋に入るときは、真言を口に出して唱えてから入ります。その真言は次のとおりです。
「唵入嚩(二合)哩多(二合)路者泥𤙖泮吒(七遍誦之,此是入室真言,三部通用)」
「オン、ニンバリタ、ロシャネイ、ウン、パタ」——これを七回唱えなさい。これは部屋に入るための真言であり、三部共通で用いられるものです。
次即應作三麼耶真言及印。
次に、三昧耶真言と印を結ぶべきである。
初佛部真言曰:
最初の仏部の真言は、次のように唱えます。
「唵 怛他蘖姤那婆(二合)嚩也 莎訶(去)(五遍誦之,此是佛部三麼耶真言)」
「オン タタギャト ノハバヤ ソワカ」 (※この真言を五回唱えなさい。これは仏部の三昧耶の真言です。)
其手印相,仰兩手,十指直向前舒並側相著,微屈二頭指上節(此是佛部三麼耶手印)。
次說蓮華部三麼耶真言及手印。真言曰:
「唵 鉢那謨(上)那婆(二合)嚩(引)也莎訶(去)(五遍誦之,此是蓮華部三麼耶真言)」
其手印,先相當合掌,中間兩手六指向外舒散,勿令相著其大指及小指,兩手依舊相著,令掌中虛如開蓮華,微屈中間六指(此是蓮花部三麼耶手印)。
次說金剛部三麼耶真言及手印。真言曰:
「唵 嚩日𡀔(二合)那婆(二合)嚩(引)也莎訶(去)(五遍誦之,此是金剛部三麼耶真言)」
其手印相,右押左,兩手背逆相著,以右手大指叉其左手小指,左手大指叉其右手小指中間,兩手六指微令開,如三股杵(此是金剛部三麼耶手印)
此三印名為大印。
諸佛菩薩猶不能違,何況諸魔類等?各當自部依次第用奉行之法,非但順教,亦滅諸罪以除諸難,所求之法必得順願。
次應以真言及手印遣除身中毘那夜迦難。真言曰:
「唵 闇沒㗚(二合)帝賀囊(上)賀囊(上)𤙖泮吒(此是遣除身中毘那夜迦難真言)」
其手印相,以兩手大指屈入掌中作拳,舒二頭指,左右相叉入虎口中,以印從頂向下至足而略去之(此是遣除毘那夜迦難等手印)。
次應以真言及手印辟除。真言曰:
「囊謨(上)嚩日囉(引二合)也𤙖(上)賀囊(上)鈍囊(上)莽他(上)尾特網(無奉反二合)娑瑜瑳(去)囉也𤙖泮吒(七遍誦之,此是辟除真言)」
其手印相,以左手大指屈入掌中,以中指、無名指而押大指,屈其頭指著中指節側,亦屈小指著無名指中節側,即舒努臂,頭上右轉三遍及印觸身五處。右手大指押小指甲,餘三指直竪,作嚩日囉(二合)形,叉其腰側,立法如前(此是辟除印)。
又,辟除真言及手印。真言曰:
「唵嚩日囉(二合)多(去)囉𤙖泮吒(三遍誦之,此是辟除真言)」
其手印相,以右手拍左手掌,如是三遍(此是辟除手印)。
又,辟除真言及手印。真言曰:
「唵 枳里 枳里 囉嚩咾捺囉(二合)𤙖泮吒(此是辟除真言)」
其手印相,以兩手彈指三遍(此是辟除手印)。
云何名為辟除?謂於神室、花等、衣裳、及座等物,所有諸難擯隨令去,名辟除,即得清淨。
次說真言及手印而作瀉垢。真言曰:
「唵 枳里 枳里 嚩日囉(二合)𤙖泮吒(七遍誦之,此是瀉垢真言)」
其手印相,以右手大指捻小指甲上,餘三指微開直竪,叉腰間,三指向前,左手亦作此印,用印諸物,令除穢惡,名曰瀉垢(此枳里忿怒瀉垢手印)。
次作清淨,佛部心真言,而拳取香水,持誦七遍,用灑諸物,便成清淨。
初佛部心真言曰:
「唵 爾囊(上)爾迦(二合)(七遍誦之)」
蓮華部心真言曰:
「唵 阿(去)𡀔力迦(此是蓮花部心真言)」
金剛部心真言曰:
「唵 嚩日囉(二合)特嘞(二合)迦(輕呼金剛部心真言)」
次作光澤,持真言及作手印以印諸物便成光澤。
初佛部光澤真言曰:
「唵帝誓(而曳反)帝若(而也反)徙尾(二合)寧(上聲)徙提(去重)娑(去一)馱也𤙖泮吒(三遍誦之,此是佛部光澤真言)」
蓮花部光澤真言曰:
「唵儞(去)比也(二合)儞(去)比也(二合)儞(去一)跛也摩訶(去)室哩(二合)曳莎訶(去,三遍誦,此是蓮花部光澤真言)」
金剛部光澤真言曰:
「唵 入嚩(二合)羅 入嚩(引二合)羅也 滿度哩莎訶(三遍誦之,此是金剛部光澤真言)」
其手印相,以左手大指捻小指甲上,餘三指微開直竪,舒其膊,還以右手亦作此印,承左手肘下,以手印印觸諸物即成光澤,通三部用(此是通三部光澤手印)。
蘇悉地羯羅供養法卷上
丹藏即云「蘇悉地羯羅經」,名既不同、文亦大異,譯人一也。今撿丹藏之經,國、宋藏中始終皆無供養法者,丹藏亦於感函有之,委尋《開元》、《貞元》二錄,善無畏譯只有三經一法,而無此供養法。今以目錄雖無,詳其文義,非是後人偽妄集者,故依丹藏兩俱存焉。