第十一卷
第十一巻
頭頸(經井反已見前釋不重訓)。
頭頸(「経井反」の読みはすでに前の解釈で示したので、ここでは改めて注釈しません。)。
幻事(還慣反顧野王曰幻謂相欺眩以亂人目也說文相詐惑也從幺於條反從𠃌字也)。
幻事(還って顧野王の説を引けば、幻とは互いに欺き眩ませて人の目を乱すことをいう。『説文』には「相詐惑するなり」とあり、幺に従い、於條の反、の字に従う。)。
夢境(蒙洞反蒼頡篇夢想也說文寐覺也正作㝱今從省下居影反俗字也考聲界也從土竟聲也)。
夢境(「蒙洞」の反切。『蒼頡篇』では「夢」は「想い」の意。『説文解字』では「寐(ねむり)から覚めること」とあり、正しくは「㝱」と作るが、今は省略形に従う。次の「境」は「居影」の反切で、俗字である。『考聲』では「界(さかい)」の意とし、「土」に従い「竟」の声である。)。
尋香城(古譯名乾闥婆城。唐梵雖殊其實一也。瑜伽論云音樂在地屬東方持國天王常與上界諸天奏樂以業感力故。但諸天思憶樂時。此尋香神即感遙聞彼天香氣。尋香赴彼。奏諸音樂。或名食香神。案此天所住城郭或居須彌層級或在七金山上。或居空界或處人間。其城郭多於平澤海濱。或於空曠砂漠絕人境處。化現似城遠望分明。近觀即滅。如波浮雲陽氣之類)。
尋香城(古い訳では乾闥婆城といいます。唐語と梵語では呼び方が違うだけで、実は同じものです。『瑜伽論』には「音楽は地にあり、東方の持国天王に属し、常に上界の諸天とともに音楽を奏でる。業の感応力によるためである。ただ諸天が音楽を思い浮かべるとき、この尋香の神はすなわち遠く彼の天の香気を感じ取ります。香を尋ねてその天のもとへ赴き、もろもろの音楽を奏でるのです」とあります。また食香神ともいいます。この天の住む城郭は、あるいは須弥山の層の上にあり、あるいは七金山の上にあり、あるいは虚空界にあり、あるいは人間の世界にあるとされます。その城郭は多くは平らな沢や海辺に、あるいは人里離れた広々とした砂漠の地に現れます。幻のように現れて城のようになり、遠くから眺めるとありありと見えますが、近くで見ると消えてしまいます。波に浮かぶ雲や陽炎の類のようなものです)。