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不動使者陀羅尼秘密法 (不動使者陀羅尼秘密法)

「不動使者陀羅尼祕密法」について

唐 · 底本の訳者:金剛智

4,877 字 · 約 16 分

唐代の高僧・金剛智が翻訳した『不動使者陀羅ニ秘密法』は、密教における重要な経典です。金剛智は開元の三大士の一人として、インドの密法を中国に伝え、この経典はその中心的な翻訳著作の一つです。内容は、不動明王の呪法、修行の儀軌、護摩法を詳述し、この陀羅尼が災いを除き、障害を取り払い、成就(悉地)を実現する優れた効力を持つことを強調しています。この経典は、唐代における密教の隆盛を反映しており、唐密の修行体系と不動明王信仰を研究する上で重要な文献であり、漢伝密教の中でも高い地位を占めています。


不動使者陀羅尼祕密法一卷

不動使者陀羅尼秘密法

大唐贈開府儀同三司諡大弘教三藏沙門金剛智奉 詔譯

大唐より開府儀同三司を贈られ、大弘教と諡された三蔵法師・金剛智が、

如是無量力不動聖者毘盧遮那使者心,一切利益成就法。欲受持者,先當行四種精進行,自約身心令念不散一志堅固,速得證驗令滿所願。云何四種行自約?一者斷食、二者服氣、三者食菜、四者節食。隨力所辦自約身已,專誦根本陀羅尼滿一洛叉乃至三洛叉已,即一日一夜水亦不食,廣大供養莊嚴道場。於畫像前燒苦練木如大拇指長十二指,兩頭搵酥,每誦呪一遍燒一枝,滿一千八枝燒了,小小世間事便得滿願。復次誦數滿已,入江海大河深至項處,面向東立。每日念誦,數滿三洛叉已,心中所愛福田皆得滿願。其水當令無蛟龍惡獸之處,恐呪功未成為他物所損耳,當須結界。若常加功持誦,不動使者現身,力能縛一切鬼神,亦能摧折一切樹木,亦令空中飛鳥隨念而墜,亦能乾竭龍湫,若論議及對外道惡人皆能降伏。復次先候月欲蝕時,令誦呪滿數。先蝕一日一夜不食,取新牛糞未落地者作方壇二肘。未落地者有二種義:一者以器物承取,莫令至地;二者亦落地時塵土未污,即略取上分不著地者將以泥壇。泥壇訖,以種種好花散以供養。取大般若經安置中心著,取同色老犢子㹀牛乳作酪,旋以取酥一兩熟銅椀盛,以可里羅木作篦攪酥。從月初蝕即念誦,乃至見三種相,所謂暖、烟、焰等。得暖相者,服之差一切疾病。得烟相者,將以塗己身,可以隱蔽,不令惡人所得見也。得火焰相者,服之通神,身能飛行,所謂身通也。老犢牛乳者,犢生經年已上,犢大如母而猶食乳者,其犢毛色須與母同,如是牛乳堪任酥用。

この無量の力を持つ不動の聖者、毘盧遮那の使いの心は、あらゆる利益を成就させる法である。これを受け持とうとする者は、まず四種の精進の行いを実践し、自らの身心を整えて心を散らさず、一つの志を堅固にし、速やかに験証を得て、願いを満たすべきである。

四種の自らを整える行いとは何か。 一、断食 二、服気(気を飲む) 三、菜食 四、節食

自らの力に応じて身心を整えた後、根本陀羅尼を専心に誦え、一洛叉(十万)から三洛叉(三十万)まで満たす。その後、一日一夜、水さえも取らず、広大な供養をし、道場を荘厳する。

画像の前で、苦練木を親指ほどの長さで十二本用意し、両端に酥(バター)を塗る。毎回呪を一遍誦えるごとに一本を焼き、千八本を焼き終われば、小さな世間の願い事は満たされる。

また、誦える数を満たした後、江や海、大河に入り、首まで深く浸かり、東を向いて立つ。毎日念誦し、三洛叉の数を満たせば、心に思う福田(福徳を生む行い)はすべて願いが満たされる。水は蛟龍や悪獣のいない場所を選び、呪の功徳が未熟で他のものに損なわれるのを防ぐため、結界を張る必要がある。

もし常に功を加えて持誦すれば、不動の使いが現身し、あらゆる鬼神を縛る力を持ち、すべての樹木を折り倒し、空中を飛ぶ鳥も念じるままに落とし、龍の棲む池を干上がらせ、論議や外道の悪人に対してもすべて降伏させることができる。

さらに、まず月が蝕(欠け)ようとする時を待ち、呪を満数誦える。蝕の前日から一日一夜断食し、地面に落ちていない新しい牛糞を取って、二肘(約90cm)四方の壇を作る。「地面に落ちていない」には二つの意味がある。一つは器で受け取り、地面に落とさないこと。もう一つは、地面に落ちても塵が汚していないうちに、上の部分を取って壇を塗る。

壇を塗り終えたら、さまざまな美しい花を散らして供養する。大般若経を中心に置き、同じ毛色の年老いた牝牛の子牛の乳で作った酪(乳製品)を用意し、そこから酥(バター)を一両取り、熟銅の椀に入れる。可里羅木の篦で酥をかき混ぜる。

月が蝕み始めたら念誦を始め、三つの相、すなわち暖、烟、焰が現れるのを見るまで続ける。 暖の相を得た者は、それを服用すればあらゆる病気が治る。 烟の相を得た者は、それを体に塗れば身を隠すことができ、悪人に見つからなくなる。 焰の相を得た者は、それを服用すれば神通力を得て、身を飛行させることができる。これが身通である。

年老いた子牛の乳とは、子牛が生まれて一年以上経ち、母牛と同じくらいの大きさになってもまだ乳を飲んでいるもので、子牛の毛色は母牛と同じでなければならない。そうした牛の乳が酥に適している。

復次行人誦一落叉已,即往深山高頂之上,斷穀不食更,誦一落叉,心心相續更莫異緣,天之伏藏自然出現。凡伏藏者,有天、有神、有人。人所埋藏者,為人大伏藏。鬼神所守,名曰神藏,亦名地藏。諸天守護者,為天伏藏。天藏尚能得見,況地伏藏及人藏乎。應作福事,隨意受用。

さらに、修行者が一落叉を誦み終えたならば、すぐに深山の高い頂上へと赴き、穀物を断ち食を絶って、さらに一落叉を誦みなさい。心と心が相続して、他の縁に移ることなく、天の伏蔵は自然と現れるでしょう。

そもそも伏蔵には、天のもの、神のもの、人のものがあります。人が埋蔵したものは、人の大伏蔵です。鬼神が守るものは神蔵といい、また地蔵ともいいます。諸天が守護するものは、天伏蔵です。天蔵でさえ見ることができるのですから、まして地伏蔵や人蔵は言うまでもありません。福をなすべきことに用い、思いのままに受け用いなさい。

復次依護魔法,杓子盛牛乳一呪一燒,如是滿一千遍,能除國中大疫癘也。護魔法者,掘地作爐,著火令熾。杓子法者,以堅木刻之,頭如杓,可受鷄子黃已下乳,其柄端直長二尺許。別以淨器盛乳,以此杓子酌而呪之。西國疫癘,或一家一病遞相染著,著皆死盡。今吳蜀嶺南亦有此事,是法能制。

さらに護魔法に依ると、杓子に牛乳を盛り、一呪ごとに焼く。このように千回満たせば、国中の大疫病を除くことができる。護魔法とは、地面を掘って炉を作り、火を燃やして盛んにすることである。杓子法とは、堅い木を刻み、先端を杓のようにして、鶏卵の黄身以下の乳を受けることができるようにし、その柄はまっすぐで長さ二尺ほどにする。別に清浄な器に乳を盛り、この杓子で酌んで呪う。西国では疫病が流行し、一家に一人病むと次々に感染し、皆死に絶えることもある。今、呉や蜀、嶺南でも同様のことがあるが、この法で制することができる。

復次取百草花和酥酪蜜,一呪一燒,所求衣服如此花色,皆得稱意。若求緋者,當燒赤花,餘皆准此。雖不思議神力滿行人願,自可量分約事而求,則無後患。若非分妄取,神亦慢人,雖得不貴。若燒蜜邏嚩一洛叉,一一呪燒,得國中第一官位,度所能作者,求之必遂。蜜邏嚩,外國菓子也。

さらに、百種類の草花を集め、酥(バター)と蜂蜜と混ぜ合わせ、一呪文ごとに一つずつ焼きます。求める衣服の色がこの花の色と同じなら、すべて思い通りに叶います。もし緋色を求めるなら、赤い花を焼きなさい。他の色もこれに準じます。不思議な神通力が修行者の願いを満たすとはいえ、自分自身の分を量り、事に応じて求めるなら、後々の患いはありません。もし分に過ぎたことを妄りに求めれば、神も人を軽んじ、たとえ得たとしても貴ばれません。もし蜜邏嚩(蜜羅嚩)を一洛叉(十万)焼き、一つ一つに呪文を唱えて焼けば、国中第一の官位を得ることができます。自分にできる限りのことを行い、求めるなら必ず成就します。蜜邏嚩は外国の菓子です。

復次燒畢養魚花,得一切人愛樂。燒松木,以三物點燒,誦十萬遍,得無量眷屬。松木長七寸大如指擘之。燒大麥呪之,得大丈夫富貴自在。大麥,馬麥也,有皮者是也。

また、魚の花を焼いて供養すると、すべての人から愛され親しまれるようになります。松の木を焼き、三つの物で点火しながら十万回お経を唱えると、数えきれないほどの仲間を得ることができます。松の木は長さ七寸、指ほどの太さに割ったものを用います。大麦を焼きながら呪文を唱えると、立派な人物として富貴に恵まれ、自由自在に生きられるようになります。大麦とは、皮つきの麦のことです。

畫像法摧伏第一

画像法による調伏第一

若欲作法,應對像前,心有所像神應像感。於好絹上畫不動使者,著赤色衣斜帔,腰褌子亦赤色,左邊一髻下垂至耳,左眼微斜看,左手把羂索、右手把劍直竪,劍首如蓮花葉狀、劍靶寶鈿,於寶石上坐。曲眉瞋目,身赤黃色,怒狀,令一切眾生皆怕懼相。畫此像已,於河海岸邊清淨蘭若,或淨屋之中,行者亦清淨身著赤色衣,心想自身皆作赤色,不得散亂默然乞食。念誦五洛叉滿已,取江豆箕五寸剉之一萬莖。三物默燒。於此像前至心燒誦,不動使者即自現身,令行人見。見已,得如來三摩地心,與諸菩薩常得一處。

もし作法を行いたいならば、像の前に座り、心に描く像に神が応じて感応するようにする。良質の絹の上に不動使者を描く。赤い衣をまとい、斜めに袈裟をかけ、腰巻も赤色とする。左側の髷は耳まで垂れ下がり、左目はわずかに斜めに見つめている。左手には羂索(投げ縄)を持ち、右手には剣をまっすぐ立てて持つ。剣の先は蓮の葉のような形で、柄には宝の飾りがついている。宝石の上に座っている。眉を曲げ、目を怒らせ、体は赤黄色で、怒りの相を表し、すべての生きとし生けるものに畏怖の念を抱かせる姿である。

この像を描き終えたら、川や海の岸辺にある清浄な阿蘭若(静かな修行場)、あるいは清らかな部屋の中で、行者もまた清浄な身となり、赤い衣を着て、自身の体がすべて赤色になっていると心に思い描く。心を散漫にせず、黙って托鉢をする。五洛叉(五十万回)の念誦を満たした後、江豆の茎を五寸に切り、一万本用意する。三つの物を黙って焼く。この像の前で心を込めて焼きながら誦すると、不動使者が自ら姿を現し、行者に見せてくれる。それを見た者は、如来の三摩地(禅定)の心を得て、諸菩薩と常に同じ境地にいることができるようになる。

復次於此像前,每日三時念誦本呪,經六箇月隨力供養花香飲食,求種種願皆得滿足。

さらに、この像の前で、毎日三回、本呪を唱え、六ヶ月間、自分のできる範囲で花や香、飲食を供えながら祈願すれば、さまざまな願いがすべて叶えられます。

若有兵賊來者,行人手執一幢,誦一千遍立著來處,彼寇賊等自然退走、怕懼而散。若損國損佛法怨家惡人,以鹽土相和作其像,心上題其姓名,形長一肘,誦呪呪之,一遍割取一段燒之,乃至燒盡。彼人若不降伏,必死。又取曼陀羅葉燒呪,一呪一稱惡人名字,燒之滿一千遍,前人必定失心。取牛乳燒一千遍,還令復本。若燒鹽稱名,一呪一燒滿一千遍,千里內喚人皆至。若燒安悉香三時常不斷絕,得國中上品位。右已前法皆於此畫像下用之成就也。

もし兵賊が来るならば、行者は手に幢(旗)を執り、千遍誦じてその来る場所に立てれば、彼の賊寇らは自然に退散し、恐れて逃げ去るでしょう。もし国や仏法を損なう怨敵や悪人がいるならば、塩と土を混ぜてその像を作り、心臓の位置にその姓名を書き、長さ一肘(約45cm)の形で、呪文を唱えて呪います。一遍唱えるごとに一部を切り取り焼き、ついに焼き尽くすまで続けます。その人が降伏しなければ、必ず死に至ります。また、曼陀羅の葉を取って焼きながら呪い、一呪ごとに悪人の名前を称え、千遍満たすまで焼き続ければ、その者は必ず心を失います。牛乳を焼いて千遍誦じれば、元の状態に戻すことができます。もし塩を焼きながら名前を称え、一呪一焼きを千遍満たせば、千里の内の人を呼び寄せることができます。もし安息香を焼き、三時に絶え間なく続ければ、国中の上品位を得ることができます。右に記した法は、すべてこの画像の下で用いて成就するものです。


2 畫像法

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