十一面觀自在菩薩心密言念誦儀軌經卷上
十一面観自在菩薩心真言念誦儀軌経 巻上
開府議同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戶賜紫贈司空謚大鑒正號大廣智大興善寺三藏沙門不空奉 詔譯
開府儀同三司特進試鴻臚卿肅国公、食邑三千戸、賜紫、贈司空、諡大鑑、正号大広智大興善寺三蔵沙門不空、詔を奉じて訳す
如是我聞:
このように私は聞きました。
一時薄伽梵住補陀落山大聖觀自在宮殿中,其山無量娑羅、多麼羅、瞻蔔、無憂、阿底目、多迦種種花樹莊嚴,與大苾芻眾八千人俱,復有九十九俱胝那庾多百千菩薩俱,無量百千淨居天眾,自在大自在梵王天子而為上首,前後圍遶而為說法。時觀自在菩薩與無量持明仙圍遶,往詣世尊所。至佛所已,頭面禮足,右遶世尊三匝,退坐一面,白佛言:「世尊!我有心密語名十一面,十一俱胝如來同共宣說。我今說之,利益安樂一切有情,能除一切疾病,止諸不吉祥惡夢及制非命,不淨信者令淨信,能除一切障尾曩夜迦,心所希望皆稱遂故。我不見於天世魔世梵世及沙門婆羅門眾,以此心密語加護救濟攝受,息災吉祥免治罰,離刀杖毒藥故。若有能違越者,無有是處,唯除宿業不決定心。受持此密語,一切如來稱讚護念,一切如來隨喜。世尊!我念過去殑伽沙等數劫過後,有如來名百蓮花眼髻無障礙無染力光王如來。我於爾時為大仙人,從彼如來受此心密語。纔受得已,十方一切如來現前,得見一切如來故便獲得無生法忍。此密語有如是大功德藏。若有善男子善女人,以淨信心殷重心憶念作意,現世得十種勝利。何等為十?一者離諸疾病;二者一切如來攝受;三者任運獲得金銀財寶諸穀麥等;四者一切怨敵不能沮壞;五者國王王子在於王宮先言慰問;六者不被毒藥蠱毒,寒熱等病皆不著身;七者一切刀杖所不能害;八者水不能溺;九者火不能燒;十者不非命中夭。又獲四種功德:一者臨命終時得見如來;二者不生於惡趣;三者不非命終;四者從此世界得生極樂國土。世尊!我念過去十殑伽沙劫過後,有佛名曼陀羅香如來。我於是時為長者,從彼如來受此心密言,超四十萬劫生死棄捨。我由此密言晝夜念誦作意,得一切佛住大悲智藏菩薩解脫法門,所有繫縛臨當刑戮、水火風賊蠱毒厭禱、人非人等種種苦難。由此我於一切有情能作歸依、救護、安慰、洲渚、室宅、勝趣。以此密言力,收攝一切暴惡藥叉羅剎等,先令發起慈心哀愍,然後安置立於阿耨多羅三藐三菩提。世尊!我此密言有如是大威德。由誦一遍,滅除四重皆得清淨,及犯五無間罪蠲除悉皆無餘,何況諸罪而不除滅?彼人獲得一切無量俱胝那庾多佛積集善根。若聞此心密言、若誦若持,一切意願皆得滿足。若族姓男、族姓女、苾芻、苾芻尼、近仕男、近仕女、婆羅門、剎利、毘舍、首陀及餘類,於白月十四日或十五日為我不食一日一夜,清齋念誦,超四萬劫生死。一切有情纔稱念我名,超稱百千俱胝那庾多如來名號,皆得不退轉,離一切病患,免一切夭死災橫,遠離身口意不善行。若能依教相應作意觀行,佛菩提如在掌中。」
爾の時、世尊(仏陀)は補陀洛山の大聖観自在宮殿に住しておられた。その山は無量の沙羅樹、多麼羅樹、瞻蔔樹、無憂樹、阿底目多迦樹など、さまざまな花や木々で美しく飾られていた。そこには八千人の大比丘たちが集まり、さらに九十九俱胝那庾多百千の菩薩たち、無量の百千の浄居天の衆生たちがいた。自在天子、大自在天子、梵王天子らを上首として、前後に囲まれて、世尊が説法しておられた。
その時、観自在菩薩は無量の持明仙たちに囲まれて、世尊の御許に赴かれた。仏の御許に到着すると、頭を地につけて仏の足に礼拝し、右に三度仏の周りを巡ってから、一方に退いて座り、仏に申し上げた。
「世尊よ、私には『十一面』と呼ばれる心の密語がございます。これは十一俱胝の如来たちが共に説かれたものです。私は今これを説きましょう。これは全ての有情を利益し安楽にし、全ての病気を除き、不吉な悪夢を止め、非命の死を防ぎます。不浄信の人を浄信させ、全ての障りや尾曇那夜迦を除き、心に望むことは全て叶えられます。
私は天の世界、魔の世界、梵の世界、また沙門やバラモンの人々の中でも、この心の密語による加護・救済・摂受、災いを鎮め吉祥を招き、罰せられることを免れ、刀杖や毒薬から離れることに勝るものを見たことがありません。もしこの密語に違背する者があれば、それはあり得ないことです。ただ宿業によって心が決まっていない場合を除きます。
この密語を受持するならば、全ての如来が称賛し護念し、全ての如来が歓喜なさいます。
世尊よ、私は過去を顧みますに、ガンジス河の砂の数ほどの劫を過ぎた後に、『百蓮花眼髻無障礙無染力光王如来』という如来がおられました。私はその時、大仙人でありまして、その如来からこの心の密語を受けました。受けたその瞬間に、十方の全ての如来が目前に現れ、全ての如来を見ることを得て、無生法忍を獲得しました。この密語にはこのような大いなる功徳の宝庫があるのです。
もし善男子・善女人が、清らかな信心と殷重な心をもってこの密語を憶念し作意するならば、現世において十の勝利を得ます。何を十とするか。
第一に、全ての病気を離れること。 第二に、全ての如来に摂受されること。 第三に、自然に金銀や財宝、穀物や麦などを得ること。 第四に、全ての怨敵が妨げ破壊することができないこと。 第五に、国王や王子が王宮において先に言葉をかけて慰問してくれること。 第六に、毒薬や蠱毒にかからず、寒熱などの病が身に付かないこと。 第七に、全ての刀や杖が害することができないこと。 第八に、水に溺れないこと。 第九に、火に焼かれないこと。 第十に、非命に死なず、若くして死なないこと。
さらに四つの功徳を得ます。
第一に、命終わるときに如来を見ることができること。 第二に、悪い生まれの世界に生まれないこと。 第三に、非命に終わらないこと。 第四に、この世界から極楽国土に生まれることができること。
世尊よ、私はさらに過去を顧みますに、十のガンジス河の砂の数ほどの劫を過ぎた後に、『曼陀羅香如来』という仏がおられました。私はその時、長者でありまして、その如来からこの心の密語を受け、四十万劫の生死を超越して捨て去ることができました。私はこの密語によって昼夜念誦し作意し、一切仏の住する大悲智藏菩薩の解脱法門を得ました。あらゆる繋縛、まさに刑に処せられる苦しみ、水火の災難、盗賊、蠱毒、厭禱、人や非人など、さまざまな苦難がありますが、私はこれによって全ての有情に対して帰依・救護・安慰・洲渚・室宅・勝趣となることができます。
この密語の力によって、暴悪な薬叉や羅刹などを摂取し、まず慈心と哀愍を起こさせ、その後に阿耨多羅三藐三菩提に安立させます。
世尊よ、私のこの密語にはこのような大いなる威徳があります。一度誦するだけで、四重の罪も消滅して清らかになり、五無間罪を犯した者も残ることなく除かれます。ましてやその他の罪が除かれないことなどありましょうか。その人は、無量の俱胝那庾多の仏が積んだ善根を獲得します。
もしこの心の密語を聞き、誦し、受持するならば、全ての意願が満たされます。もし族姓の男、族姓の女、比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、バラモン、刹帝利、毘舍、首陀、およびその他の種類の者が、白月の十四日または十五日に、私のために一日一夜食事を絶ち、清斎して念誦するならば、四万劫の生死を超越します。
全ての有情が、ただ私の名前を称えるだけで、百千俱胝那庾多の如来の名号を称えることに勝り、皆退転しない境地を得て、全ての病患を離れ、全ての夭死や災横を免れ、身口意の不善の行いから遠ざかります。
もし教えに従って相応に作意し観行するならば、仏の菩提は掌の中にあるかのようです。」
時婆伽梵讚觀自在菩薩言:「善哉善哉!佛子!汝於一切有情起大悲愍。汝能以此方便安立一切有情於無上正等菩提,我以授記,深生隨喜,汝當說之。」
爾時觀自在菩薩摩訶薩從座而起,整理衣服,偏袒右肩頂禮佛足,說自根本密言:
「曩謨囉怛曩(二合,下同)怛囉(二合,下同)夜(引)也曩莫阿(引,下同)哩夜(二合,下同)枳穰(二合引)曩娑(引)誐囉吠𡀔者曩尾喻(二合)訶囉惹(引)也怛他(引,下同)蘖多(引)夜囉訶(二合,下同)帝三藐三沒馱(引)也曩莫薩嚩怛他蘖帝毘庾(二合)囉訶(二合)毘藥(二合,下同)三藐三沒馱(引)毘藥(二合)曩莫阿(引)哩夜(二合)嚩路枳帝濕嚩(二合,下同)囉也冐地薩怛嚩(二合引,下同)也摩訶薩怛嚩(二合)也摩訶迦(引,下同)嚕抳迦(引,下同)也怛儞也(二合,下同)他(引,下同)囉娜囉娜囉地哩地哩度嚕度嚕壹知(陟爰反,下同)嚩知者隷者隷鉢囉(二合)者隷矩蘇銘矩蘇摩嚩𭌚壹里弭里止里止致惹(引)羅麼跛曩也跛羅麼秫馱薩怛嚩(二合)摩訶迦(引)嚕尼迦(引)娑嚩(二合引,下同)訶(引,下同)」
「ナモー・ラタナ・トラヤーヤ ナモー・アリヤー・キニャーナ・サーガラ・ヴァイローチャナ・ヴィユーハ・ラージャーヤ タターガターヤ・アルハテー・サンミャクサンブッダーヤ ナモー・サルヴァ・タターガテービャー・アルハテービャー・サンミャクサンブッデービャー ナモー・アリヤー・ヴァロキテーシュヴァラーヤ ボーディサットヴァーヤ・マハーサットヴァーヤ マハーカルニカーヤ タディヤター ラダ・ラダ・ティリ・ティリ・トゥル・トゥル イチ・ヴァチ・チャレイ・チャレイ・プラチャレイ クスメ・クスマ・ヴァレ イリ・ミリ・チリ・チリ・ジニヤラ マパナヤ・パラマ・シュッダ サットヴァ・マハーカルニカーヤ・スヴァーハー」
次說澡浴灌灑淨衣密言:
「曩謨囉怛曩(二合)怛囉(二合)夜(引)也曩莫阿(引)哩夜(二合)嚩路枳帝濕嚩(二合)囉也冐地薩怛嚩(二合)也摩訶薩怛嚩(二合)也摩訶迦嚕抳迦(引)也怛儞也(二合)他訶訶訶訶壹里弭里止里尾里企隷徙隷娑嚩(二合)訶」
「以此密言加持水,沐浴灌灑潔身淨服等,應誦七遍。」
この密言(みつごん)で水を加持し、沐浴や灌灑(かんさい)をして身を清め、衣服を清らかにする際には、七回誦えるべきである。
時觀自在菩薩復說獻焚香密言曰:
この時、観自在菩薩が再び香を焚いて供養するための真言(マントラ)を説かれました。
「怛儞也(二合)他拄(陟古反,下同)嚕拄嚕訶訶訶訶娑嚩(二合引)訶(引)」
「以此密言加持香燒奉獻。」
この密言によって香を加持し、焚いて捧げ奉ります。
時觀自在大菩薩復說獻花密言曰:
時、観自在大菩薩が再び、花を捧げるための密言(呪文)を説かれました。
「怛儞也(二合引)他悉哩悉哩地里地里悉哩地哩娑嚩(二合引)訶(引)」
「以此密言加持花及燈奉獻,當誦七遍。」
この密言をもって花や灯明を加持し、奉納するときは、七回誦えなさい。
時觀自在菩薩復說奉獻飲食密言曰:
その時、観自在菩薩は再び、飲食を捧げるための密言を唱えられた。
「怛儞也(二合)他娑(引,下同)黎娑黎悉哩悉哩素嚕素嚕娑嚩(二合引)訶(引)」
「タニヤタ サレ サレ シリ シリ スル スル ソワカ」
「以此密言加持飲食等奉獻,當誦二十一遍。」
この密言をもって飲食などを加持し、供養として捧げるならば、その際に二十一回誦えなさい。
復次觀自在菩薩說護摩密言曰:
さらに、観自在菩薩が護摩の密言を説かれました。
「怛儞也(二合)他訶徙麼達徙者隷虎嚕虎嚕祖嚕祖嚕蘇(上)嚕蘇(上)嚕母嚕母嚕娑嚩(二合引)訶(引)」
「タニヤタ(二合)カシバダシヤレイ クルクル ソロソロ スル(上)スル(上) ムルムル ソワカ(二合引)」
(ここで「二合」は音を続けて読むことを示し、「上」は高く発音することを示します。)
「以此密言加持惹底木燃火。以惹底木搵酥蜜酪,搵兩頭,擲火中燒。晝夜不食,二十一遍投火供養,然後求成就事。」
この秘密の真言を用いて、ジャティ木の薪を加持しなさい。そのジャティ木を酥(酥油)、蜜、酪(ヨーグルト)に浸し、両端を火の中に投じて燃やしなさい。昼夜食事を断ち、二十一回これを火に投じて供養しなさい。その後、成就を求めるのです。
時觀自在菩薩復說結方隅界密言曰:
時に観自在菩薩は、また方角と境界を結ぶための秘密の呪文(密言)を唱えられた。
「怛儞也(二合)他伊里弭里止里弭里底里呬里娑嚩(二合引)訶(引)」
「たにや にごう た いり みり しり みり ていり ひり そわ にごういん か いん」
「以此密言加持水白芥子或灰應用結界,當誦七遍。」
この密言をもって水、白芥子、あるいは灰を加持し、結界に用いるべし。その際、七遍誦するべし。
時觀自在菩薩復說奉送聖眾還宮密言曰:
時に、観自在菩薩が再び、聖なる衆を宮殿へお送りするための密言(マントラ)を説かれました。
「怛儞也(二合)他弭致覩致止致孽縒孽縒婆誐挽(引)曩哩夜(二合)嚩路枳帝濕嚩(二合)囉娑嚩(二合)婆(引)嚩南娑嚩(二合引)訶(引)」
「タニヤタ。ミドゥトテ。シテ。ガソ。ガソ。バガバン。ナリヤ。バロキテ。シバラ。ソワカ。」
「誦此密言,想奉送聖者歸本宮殿。」
この密言を唱えて、聖者を本の宮殿にお送りすると思いを巡らせなさい。
「我今說念誦福利。先不修持能成一切事業。若有人患寒熱病,若一日一發或二日三日四日一發,若著鬼神彌怛拏、毘舍遮,癲癎瘰癧白癩,及蠱毒毒蟲等,加持土芥子和白檀香一七遍塗即愈,一切業障皆得清淨。若患邪風,加持油,塗即愈。若患耳痛,以青木香油和樺皮煎,渧耳中,其痛即止;亦能治半頭痛。一切病患處,纔誦加持無不除愈,纔誦即成就。
私は今、念誦の功徳について説きます。まず修持しなくても、あらゆる事業を成就させることができます。もし寒熱病にかかった人がいて、一日に一度発作が起きるか、あるいは二日、三日、四日に一度発作が起きる場合、また鬼神・彌怛拏・毘舍遮に取り憑かれた場合、癲癎・瘰癧・白癩、そして蠱毒や毒虫による害を受けた場合には、土の粉と白檀香を混ぜ合わせ、それに一七遍の加持を施して塗れば、即座に治癒します。すべての業障も清められます。もし邪風にかかったなら、油に加持を施して塗れば、即座に治癒します。もし耳の痛みがあれば、青木香の油と樺皮を煎じたものを混ぜ、その液を耳の中に点滴すれば、痛みは即座に止まります。また片頭痛も治すことができます。あらゆる病苦のある場所に、ただ念誦して加持を施すだけで、治らないものはなく、ただ念誦するだけで成就するのです。
「若欲成就者,以堅好無隙白檀香彫觀自在菩薩身,長一尺三寸,作十一頭、四臂,右邊第一手把念珠,第二手施無畏,左第一手持蓮花,第二手執君持。其十一面,當前三面作寂靜相,左三面威怒相,右三面利牙出現相,後一面作笑怒容,最上一面作如來相。頭冠中各有化佛。觀自在菩薩身,種種瓔珞莊嚴。像成已,於有佛舍利處安置。持誦者身著淨衣,若在家者持八戒,三時供養,無限數念誦。從白月一日乃至八日,後於淨處置此觀自在菩薩形像,面西,喫乳或穬麥,燒沈香、蘇合、檀香隨力,乃至十三日其日食三白食,廣大供養。取菩提樹木燃火,更別取菩提樹木長十指截,以蘇合香油搵兩頭,一千八遍投護摩爐中。地即震動,其像亦動,聞從像最上面口中出聲讚修行者言:『善哉善哉!佛子!汝能勤苦求願,我皆令汝意願滿足。賜汝成就騰空隱形、持明仙、轉輪法王,乃至與我無異。汝必現獲如是等成就。』
修行者がこの法を成就しようと望むなら、まず、堅くて美しく、隙のない白檀の木を用いて、観自在菩薩の像を彫る。像の高さは一尺三寸、十一の顔と四本の腕を持つ。右側の第一の手は数珠を持ち、第二の手は施無畏印を結ぶ。左側の第一の手は蓮華を捧げ、第二の手は水瓶を執る。十一の顔のうち、正面の三面は穏やかで静かな相、左の三面は威厳と怒りを表す相、右の三面は鋭い牙を現した忿怒の相、後ろの一面は笑いと怒りが混じった相、最上部の一面は如来の相を表す。それぞれの頭冠には、化仏が安置されている。観自在菩薩の体は、さまざまな瓔珞で荘厳に飾られている。
像が完成したら、仏舎利が安置されている場所にこれを祀る。修行者は清らかな衣を身にまとい、在家の者は八斎戒を受けて、一日に三度の供養を行い、限りなく念誦を続ける。白月の一日から八日までの間、その後、清らかな場所にこの観自在菩薩の像を西向きに安置し、乳か大麦を食べ、沈香、蘇合香、檀香をできる限り焚いて供養する。十三日目には三白食をとり、盛大に供養を行う。
菩提樹の木を燃やし、さらに別の菩提樹の枝を長さ十指の長さに切り、両端に蘇合香油を塗って、一千八回護摩炉に投じて供養する。すると大地が震動し、像も動き出す。やがて像の最上部の顔の口から声が発せられ、修行者を称賛して言う。「善きかな、善きかな。仏子よ。汝はよく努力し、願いを求めた。我は汝のすべての願いを叶えよう。汝に成就を授けよう。空中を飛翔し、姿を隠す力、持明仙、転輪法王、さらには我と等しい境地に至ること。汝は必ずこのような成就を現世で得るであろう。」
「復次第二儀則,從白月十五日於舍利塔中安像,晝夜不食,以一百八枚惹底花(蘇末那花,廣府有)誦密言一遍一擲擊像,即於像當前面出大吼聲,行者不應怖畏。則大地震動,念誦不應間斷。即求請願言:『願我能與一切無主無依眾生作大依怙,能滿一切有情一切意願,皆令滿足得無障礙。』
また、第二の儀軌について述べます。白月の十五日に、舎利塔の中に像を安置し、昼夜食事を絶ち、一百八枚のジャティ花(蘇末那花のこと、広府にあります)を用いて、密言を一回唱えるごとに一枚を像に向かって投げ打ちます。すると、まもなく像の面前に大きな吼声が現れますが、修行者は恐れてはなりません。そのとき大地が震動しても、念誦を途切れさせてはいけません。そして願いを請い求めていうには、「どうか私が、主なき者・頼るなき者・すべての衆生の大きな依りどころとなり、一切の有情のあらゆる願いを満たし、障碍なく叶えさせたまえ」と。
「復次密言者於月蝕時取酥一兩置於銀器,對像前誦密言七遍,自喫及與他,一切疾病皆得除愈。況能從初蝕乃至月復盈滿念誦,不獲悉地?
また、密言を唱える者は、月食の時に酥(酥油)一両を銀の器に取り、像の前に置いて密言を七回唱えなさい。自分で食べ、また他人に与えれば、すべての病気が除かれ、治るでしょう。ましてや、月食の始まりから月が再び満ちるまで念誦するならば、悉地(成就)を得られないことがありましょうか。
「復次密言者先澡浴清淨潔服,取雄黃或牛黃,對像前誦心密言一千八遍,三種相現然後點額,得三種成就,隨其功効上中下等。若以和水灌沐其身,除一切障難,遠離一切惡夢不祥,獲得吉祥榮盛,一切疾疫皆得除愈。
さらに、密言を唱える者は、まず身を清め、清らかな衣服を着けなさい。雄黄または牛黄を取り、佛像の前で心の密言を千八回唱えなさい。三つの相が現れた後、額に塗れば、三つの成就を得られます。その効果は上・中・下の等級に応じます。もし水に混ぜて身に注ぎかければ、すべての障害や困難を除き、すべての悪夢や不吉なことを遠ざけ、幸運と繁栄を得られます。すべての疫病も癒やされます。
「復次法以香花奉獻聖觀自在,取烟脂加持一百八遍,塗左微忿怒面額,降伏一切他敵軍陣。
また、法において香や花を聖観自在に捧げる。煙脂を取り、一百八回加持し、左の微忿怒の面の額に塗れば、あらゆる敵の軍勢を降伏させる。
「復次法若人疫牛疫及餘畜疫,對觀自在菩薩,取苦練木搵芥子油,應作護摩。以緋縷右槎作綫,麁如銅箸,為兩條,誦一遍作一結乃至七結,繫於患者頸下或頭髻,則疫病除息解脫。
また、もし人が疫病にかかり、牛疫やその他の家畜の疫病が起こったならば、観自在菩薩に向かって、苦練木を取り、芥子油を塗り、護摩を行うべきである。緋色の糸を右に撚って、銅の箸ほどの太さの二本の線を作り、咒を一遍唱えるごとに一つずつ結び目を作り、七つの結び目とする。それを患者の首の下や頭の髷に結びつければ、疫病は除かれ、解脱を得るであろう。
「復次法被拏枳爾等諸魅所持者,取白線如前加持,繫於寂靜面經宿,然後取結二十一結,誦密言一徧一結,繫病者頸下,即得除愈。
また、法被拏枳爾(ふはんなきに)などの諸々の魔に取り憑かれた者には、前のように白い糸を取り、加持し、静かな場所に一晩置く。その後、その糸を二十一個の結び目を作り、密言(呪文)を一回唱えるごとに一つ結び、病者の首の下に結び付けるならば、ただちに癒えるであろう。
「復次法若有他敵及疾疫災禍,不令入國界欲結方隅界者,燒薰陸香作護摩,取五色線加持,繫於寂靜面,即成堅固大威德方隅界。
また、もし他国の敵や疫病、災いが国境に入り込もうとする場合、国境を結んで守りたいと望むなら、乳香を焚いて護摩を修し、五色の糸を取り、真言で加持したあと、静かな場所に結びつけることで、堅固で大きな威徳をそなえた方隅界となるのです。
「復次密言者欲共怨敵異論欲得勝者,應供養觀自在菩薩,以嚩捨迦木燒芸臺子,加持白線一百八遍,繫於忿怒面,一切鬪諍言訟皆悉得勝除息。若繫於寂靜面,能除一切障難。
また、密言者よ。もし怨敵や異論者に勝ちたいと願うならば、観自在菩薩を供養すべきである。嚩捨迦木を用いて芸臺子を焼き、白い糸に一百八回加持し、忿怒の面に結びつければ、すべての鬪諍や言訟に勝ち、除かれ鎮まるであろう。もし寂靜の面に結びつければ、一切の障難を除くことができる。
「復次以眾香和水浴觀自在菩薩。又加持浴觀自在水一百八遍浴毘那夜迦像,一切障難皆悉殄滅。」
また、多くの香を水に混ぜて観自在菩薩を沐浴させなさい。そして、観自在菩薩の沐浴の水を一百八回、心の中で唱えながら毘那夜迦の像を沐浴させなさい。そうすれば、すべての障りや難儀はすべて消え去るでしょう。
十一面觀自在菩薩心密言念誦儀軌經卷上
十一面観自在菩薩心真言念誦儀軌経 巻上
あなたの心は、山の清水が谷間を流れるように澄んでいます。しかし、心は風のように揺れ動くものであり、移ろいやすいものです。静けさを求めなさい。そうすれば、永遠の知恵があなたの内に流れ込むでしょう。すべては縁によって生じ、縁によって滅びます。執着を手放すとき、真の解脱が訪れます。虚空が雲を受け入れるように、あなたもまた、迷いの雲が晴れるのを、ただ見守っていなさい。