(一三)法護王請佛洗浴緣
法護王、仏に沐浴を請う縁
佛在舍衛國祇樹給孤獨園。時彼城中,有五百賈客,往詣他邦,販買求利,涉路進引,到曠野中,迷失徑路,靡知所趣。值天暑熱,渴乏欲死,各各跪拜諸天神等,以求福祐,皆無有感。時諸商人中,有一優婆塞,白眾人言:「如來世尊常以大悲,晝夜六時觀察眾生,誰受苦厄,而往拔濟。我等今者,咸共至心,稱南無佛陀,以救苦厄。」時諸商客,聞是語已,各各同聲,稱南無佛陀,願見救濟此諸渴熱。於時如來遙聞眾客稱佛名號,與天帝釋尋往到彼諸賈客所,降大甘雨,熱渴得除,各懷歡喜,達到本國,請佛及僧,佛即然可。竪立幢幡,懸諸寶鈴,香水灑地,散諸妙華,燒種種香,備辦餚饍,往白世尊:「唯聖知時,食具已辦。」爾時世尊著衣持鉢,將諸比丘,往至其家,受彼供已。時諸商人渴仰聞法,佛即為其種種說法,心開意解,有得須陀洹者、斯陀含者、阿那含者,乃至發於無上菩提心者。時諸比丘見是事已,而白佛言:「如來世尊宿殖何福?乃使商客置斯供養,復獲道果。」
ある時、仏陀は舎衛国の祇樹給孤独園におられました。その町に五百人の商人たちが、他国へ交易に出かけ、商売で利益を得ようと旅路を進んでいました。彼らは広大な荒野の中にさしかかり、道に迷ってどこへ向かえばよいか分からず困り果て、さらにひどい暑さで喉が渇き、死にそうになりました。彼らはそれぞれ天神たちにひれ伏して祈りましたが、誰一人として助けてくれる者はありませんでした。
そんな中、商人の中に一人の仏教徒の在家信者がおり、皆に言いました。「如来(仏陀)は常に大いなる慈悲をもって、昼も夜も絶えず衆生(生きとし生けるもの)を見守り、誰が苦しんでいるかを知り、救いの手を差し伸べてくださいます。今、私たちは心を一つにして、『南無仏陀(仏陀に帰依します)』と唱え、苦難から救っていただきましょう」。
商人たちはこの言葉を聞くと、皆で声を合わせて「南無仏陀」と唱え、この渇きと暑さから救ってくださいと願いました。すると、遠くにいながら如来は商人たちが仏の名を唱える声を聞き届け、天帝と共にすぐさま彼らのもとへ飛んでこられました。そして甘露の雨を降らせ、暑さと渇きを癒してくださいました。商人たちは皆、喜びに満ち、無事に祖国へ帰ることができました。
彼らは仏陀と僧団を招こうと決心し、仏陀にその願いを伝えたところ、仏陀は快くお受けになりました。商人たちは飾り旗を立て、宝の鈴をかけ、香り高い水をまき、美しい花を散りばめ、さまざまな香を焚き、ごちそうを準備して、如来のもとへ「お食事の準備が整いました。どうかお越しください」とお伝えしました。
やがて世尊(仏陀)は衣を整え、鉢を持って、多くの比丘たちと共に商人の家へおいでになり、供養をお受けになりました。商人たちは教えを心から聴きたがり、仏陀は彼らのために様々な教えを説かれました。それを聞いた商人たちは心が開けて理解が深まり、預流果(初めて悟りに達した者)、一来果(一度だけこの世に戻る者)、不還果(二度とこの世に戻らない者)を得た者、さらには無上菩提心(完全な悟りを求める心)を起こした者も大勢いました。
この様子を見た比丘たちは仏陀に尋ねました。「如来・世尊は、過去にどのような功徳を積まれたのでしょうか?それで商人たちがこのような尊い供養を捧げ、さらには悟りの道果まで得られたのです。」
爾時世尊告諸比丘:「汝等諦聽!吾當為汝分別解說。乃往過去,波羅㮈國有佛出世,號栴檀香,將諸比丘,詣法護王國。值天亢旱,苗稼不收,王聞佛來,將諸群臣,奉迎世尊:『受我三月四事供養。』佛即然可。於其城內,復造浴池,浴洗佛僧,發大誓願:『持此功德,願天帝釋,降大甘雨,遍閻浮提,潤益苗稼給濟眾生。』發是願已,天尋降雨,莫不蒙賴。即造八萬四千寶瓶,盛佛浴水,賜閻浮提八萬四千諸城各與一瓶,勅令造塔而供養之。因發無上菩提之心,時栴檀佛即授王記:『汝於來世,當得成佛,號釋迦牟尼,廣度眾生,不可限量。』」佛告諸比丘:「欲知彼時法護王者則我身是,彼時群臣者今諸比丘是,皆由彼時供養佛故,無量世中不墮惡趣,天上人中常受快樂,是故今者得致成佛,故有人天來供養我。」
ある時、世尊は比丘たちに告げられた。「よく聞きなさい。私はあなたたちに詳しく説き明かそう。
遥か昔、バラーナシー国に栴檀香仏という仏がおられた。ある時、栴檀香仏は比丘たちを連れて、法護王という王が治める国へ向かわれた。折しも大干ばつが続き、穀物は実らず、収穫は皆無だった。
王は仏が来られたと聞き、群臣を従えて自ら出迎え、こう願い出た。『どうか私どもに、三か月の間、衣服・飲食・寝具・薬の四つの物で供養する機会をお与えください。』仏はその請いをお受けになった。
王は城内に浴堂を建て、仏と僧たちを清め沐浴させた。そして、深い誓いを立てた。『この功德により、どうか天帝となって、ジャンブ大陸全体に大雨を降らせ、苗や穀物を潤し、すべての生きとし生けるものを救済したまえ。』この願いを立てると、たちまち天から雨が降り注ぎ、恩恵を受けない者はなかった。
王はさらに八万四千の宝瓶を造らせ、仏の沐浴の水を詰めて、ジャンブ大陸の八万四千の町にそれぞれ一瓶ずつ贈り、塔を建てて敬い供養するよう命じた。そして、自らは無上の悟りを求める心を起こした。
その時、栴檀香仏は王に未来を授記された。『あなたは来世、仏となるであろう。その名を釈迦牟尼といい、限りなく多くの人々を救い導くであろう。』」
こうして、仏は比丘たちに告げられた。「あの時の法護王こそ、今の私であり、その時の群臣たちこそ、今のあなたたちなのだ。皆、あの時に仏を供養した功德によって、数えきれない生涯の間、悪い境涯に堕ちることなく、天界や人間界で常に安楽を受けてきた。そして今、私が仏となったのもまた、その功德によるもの。だからこそ、今、天の者も人の者も、私を供養に訪れるのである。」
爾時諸比丘聞佛所說,歡喜奉行。
その時、諸々の比丘たちは仏の説かれたことを聞き、歓喜して教えを奉じ行いました。