付法藏因緣傳卷第一
付法蔵因縁伝 巻第一
元魏西域三藏吉迦夜共曇曜譯
敬禮無邊際 去來現在佛
等空不動智 救世大悲尊
昔婆伽婆。於無量劫為眾生故求最勝道。成就種種難行苦行。捨所愛身頭目髓腦國城妻子宮殿臣妾。投巖赴火斬截身體。或時有為一四句偈剝皮為紙折骨為筆以血為墨書寫供養諮學明師稟受諸佛。悲傷群生勞謙累德。修萬善行發洪誓願。如五百本生緣中廣說。本學具足垂成正覺。菩提樹下跏趺而坐。第六天魔深生愁毒。念其道成必當勝我。即率官屬十八萬億。詣樹王下謂菩薩曰。汝今宜可速起還宮。若不爾者。當持汝足擲大海外。爾時菩薩如師子王心無驚畏。告言。波旬。汝曾供養一辟支佛受八戒齋。由斯福故得為天王。然我已於阿僧祇劫。具足成就難行苦行。大地未有如針鋒許非吾昔日修苦行處。假使魔眾如恒河沙。不能傾動我之一毛。云何汝今欲以吾身擲大海外。魔復言曰。我於往昔施辟支佛得為天主。斯事可明。今汝所說以何為證。於是菩薩申手指地曰。此神知我。爾時地神從金剛際踊身而出。合掌白言。誠如尊教。有此地來我為其神。此地無有如針鋒許非是菩薩本行之處。魔聞斯言。顛倒而墮。破魔軍已成最正覺。三達獨照六通無閡。具足大悲辯才無盡。所可宣說。人皆信受。暢微妙法拯濟群生。譬如金剛所擬摧壞。如來教門亦復如是。能滅眾生煩惱諸結。遍遊國土聚落城邑。以清淨法拔眾毒刺。降伏外學立最勝幢。閉惡趣門開涅槃道。化緣將畢垂當滅度。告大弟子摩訶迦葉。汝今當知我於無量阿僧祇劫。為眾生故勤修苦行。一心專求無上勝法。如我昔願今已滿足。迦葉當知。譬如密雲充遍世界。降注甘雨生長萌芽。無上法雨亦復如是。能令眾生增善根子。所以諸佛常加守護恭敬讚歎禮拜供養。如我今者將般涅槃。以此深法用囑累汝。汝當於後敬順我意。廣宣流布無令斷絕。迦葉白言。善哉受教。我當如是奉持正法。使未來世等蒙饒益。唯願世尊不以為慮。是故如來滅度之後。摩訶迦葉次宣正教。集佛法藏化諸眾生。其所度脫永不退轉。彼大迦葉智慧淵廣。名稱普聞功德具足。今當隨順說其行願。過去久遠毘婆尸佛。化眾生已入般涅槃。四部弟子咸生悲戀。收取舍利起七寶塔。表剎莊嚴殊特妙好。時彼塔中有如來像。面上金色少處缺壞。時有貧女遊行乞匃。得一金珠內懷歡喜。意欲為薄補像面上。迦葉爾時為鍛金師。女即持往倩令修造。是時金師聞其為福。歡喜治之瑩飾既訖。用補像面因共願曰。願我二人常為夫妻。身真金色恒受勝樂。以是因緣。九十一劫身真金色。生人天中快樂無極。最後託生第七梵天。時摩竭國有婆羅門名尼俱律陀。於過去世久修勝業。高才博達智慧深遠。多饒財寶巨富無量。金銀琉璃珂貝璧玉。牛羊田宅奴婢車乘。比摩竭王千倍為勝。時瓶沙王金犁千具。彼婆羅門恐與王齊招諸罪咎。乃少其一唯有九百九十九具。其家有㲲。最下之者直百千兩金。以釘釘之入地七尺。㲲不穿破如本不異。以福德力財富如是。雖饒財寶無有子息。自念老朽死時將至。庫藏諸物無所委付。於其舍側有樹林神。彼婆羅門為求子故即往祈請。經歷年歲了無徵應。時俱律陀大生瞋忿語樹神曰。我事汝來已經年歲。都不見為垂一福應。今當七日至心事汝。若復無驗必相燒剪。樹神聞已甚懷愁怖。向四天王具陳斯事。於是四王往白帝釋。帝釋觀察閻浮提內無福德人堪為彼子。即詣梵王廣宣上事。爾時梵王以天眼觀見有梵天臨當命終。即告之曰。汝若降神。宜當生彼閻浮提界婆羅門家。梵天對曰。婆羅門法多惡邪見。我今不能為其子也。梵王復言。彼婆羅門有大威德。閻浮提人莫堪往生。汝必生彼吾相擁護。終不令汝入邪見也。梵天曰諾。敬承聖教。於是帝釋即向樹神說如斯事。樹神歡喜尋詣其家語婆羅門。汝今勿復起恨於我。却後七日當滿卿願。至七日已婦覺有娠。足滿十月生一男兒。顏貌端正身真金色。光明赫奕照一由旬。相師占曰。此兒宿福有大威德。志力清遠不貪世務。必當出家得無著果。年雖童稚志念清淨行慈博施。少欲知足恒觀世樂無常危脆。未曾暫生愛樂之想。爾時父母見其如是。甚懷愁惱。而相謂言。是兒生時。相師占曰。必當出家。今設何方斷絕其意。覆自思惟。世可耽著唯有美色。當為選擇端正良匹用斷其意。至年十五欲為娉妻。迦葉聞之深生愁惱。白父母言。我志清淨不須妻也。如是至三父母不聽。於是迦葉知事難免。便設權謀白父母言。能為我得金色女人姿容超世。然後乃當開意納之。若不得者終不娶也。爾時父母敬念彼故不違其語。即時迎召諸婆羅門遣行國界。若有女人身真金色端嚴殊妙。為我娉之。諸婆羅門便共為謀。鑄金為人顏貌奇特。眾共輿之遊諸聚落。高聲唱言。若有女人。見此金神禮拜供養。未來必得微妙智慧身真金色。諸女聞已皆出禮敬。時有一女顏容[王*(十/(罩-卓+衣))]瑋體紫金色。稟性柔和智慧深遠。即是往日金珠女也。以昔勝緣有此妙身。立志堅固獨不出外。諸女咸問不出之意。答言諸姊。我意閑寂不悕餘願。故不出耳。時諸女人強將此女往觀金神。此女光明形貌姿麗。映蔽金神悉不復現。諸婆羅門即為娉之。遂相然可。計期成婚。彼女聞之亦甚愁惱。志不自從即便行嫁。二人相對志各凝潔。雖為夫妻了無欲意。共立要曰。我等今者宜各異房不相嬈近。爾時父母知是事已。即便勅人去除一室。令共同處空其室內唯置一床。於是迦葉更共妻要。今此室中唯有一床。我等二人理無同寢。我若眠息汝當經行。汝若睡臥我當經行。後於中夜迦葉次行。妻時眠睡手垂床前。外有毒蛇從戶而入欲螫其妻。迦葉慈愍即便徐前。以衣裹手舉置床上。妻便驚寤而責之曰。今汝丈夫無志乃爾。共我立誓要不相近。今復何緣竊舉吾手。迦葉答言。我無欲情而近汝也。蛇從外入。規欲相螫。恐為傷害。舉汝手耳。毒蛇猶在即便示之。妻意乃悟。於是夫妻深厭諸有不生甘樂。如人淨洗不喜塵垢。詣父母所求欲出家。既蒙聽許便作沙門。清淨守素無為無欲。在於空閑勤修苦行。於是迦葉作是誓言。世界所有成羅漢者我悉歸依。作是語已出家威儀所有諸戒皆悉具足。逮至如來成一切智於王舍城頒宣妙法。爾時迦葉披糞掃衣。來詣佛所稽首禮敬合掌而立白佛言。世尊。我今歸依無上清涼。願哀納受聽在末次。世尊歎曰。善來迦葉。即分半座命令就坐。迦葉白佛。我是如來末行弟子。顧命分座不敢順旨。是時眾會咸生疑曰。此老沙門有何異德。乃令天尊分座命之。此人殊勝唯佛知耳。於是如來知眾心念欲決所疑。即宣迦葉大行淵廣。世尊又曰。我今所有大慈大悲四禪三昧無量功德以自莊嚴。迦葉比丘亦復如是。又於往昔過去久遠。時有聖王號文陀竭。高才超世智慧無倫。時天帝釋欽敬其德。遣七寶車造闕迎王。時乘天車飛空而往。天帝出迎與共同坐。相娛樂已送王還宮。佛告比丘。爾時天帝今迦葉是。文陀竭王則吾身是。迦葉往昔以生死座命吾同坐。故吾今日成無上道。以正法座報其本勳。爾時世尊即為迦葉。如應說法示教利喜。譬如鮮淨白㲲易受染色。即於座上得阿羅漢。三明六通具八解脫。高才勇猛儀相安詳。常與如來對坐說法。時諸天人謂世尊師。於是迦葉即辭如來。往耆闍崛山賓鉢羅窟。其山多有流泉浴池。樹林蓊欝華果茂盛。百獸遊集吉鳥翔鳴。金銀琉璃羅布其地。迦葉在斯經行禪思。宣暢妙法度諸眾生。至後世尊垂入涅槃。放勝光明大地震動。便作是念。將非如來欲入涅槃現斯相耶。即入三昧以天眼觀。見於世尊熙連河側全身捨壽。作是觀已慘然不悅。如來涅槃何期駛哉。世間眼滅不善增長。即與眷屬前後圍遶。向拘尸那城禮覲世尊。於其前路見一梵志。右手執持曼陀羅華。迦葉問言。汝從何來。識吾師不。答曰識之。入般涅槃已經七日。一切人天大設供養。吾從彼間得斯花來。時諸比丘聞是語已。皆大悲惱舉身投地。號哭哽咽淚下如雨。咸作是言。咄哉無常有大勢力。能壞如是功德寶聚。枯竭法海摧倒法幢。世間闇冥永失大明。一切眾生無所宗仰。增長惡道減損天人。奇哉無常深可厭患。譬如電光理無久停。無常迅駛亦難可保。能壞盛年色力壽命。殄滅一切世間歡愛。愚人保之智者不也。於是迦葉與諸比丘。即便前行至雙樹間。遶棺三匝稽首作禮。而說偈言。
超哉三界乘 永度生死流
寂然無相願 微妙難思議
佛日甚明淨 能除愚癡闇
積劫修苦行 誓度諸苦人
云何於今者 棄捨大慈悲
全身處金棺 寂然安不動
唯願天人尊 顯現金色身
普令一切眾 興起無量願
爾時世尊於金棺內千張㲲中出金色足。光明照曜猶如盛日。棺㲲無虧而足顯現。一切大眾見是事已倍更悲惱號哭哽塞。爾時迦葉偏袒右肩接足作禮。重說偈言。
その時、世尊は黄金の棺の中で、千枚の布に包まれながらも、金色に輝く御足を棺の外に現されました。その光は満ちたる太陽のようでありながら、棺や布には全く損傷がありませんでした。すべての参列者はこの光景を見て、さらに悲しみと嘆きのあまり声を詰まらせました。そこで迦葉(かしょう)尊者は右肩を露わにして御足に触れ礼拝し、改めて次の詩句を唱えました。
如來足踝滿 千輻相輪現
指纖長柔軟 合縵網成就
大悲濟群生 斷世眾疑結
是故我今日 頂禮最勝足
我證四真諦 說佛功德聚
已讚歎恭敬 宜還斂足入
如来さまの足首はふっくらとしていて、 千本の輻(や)を持つ輪の模様が現れています。
指はほそ長く、しなやかで柔らかく、 指の間に水かきのような網が整っています。
大きな慈悲で生きとし生けるものを救い、 世の中の様々な迷いや疑問を断ち切られます。
ですから私は今、最も尊いこの御足を 最敬礼し、礼拝いたします。
私は四つの真実を悟り、 仏さまの功徳の集まりを説きました。
すでに賛嘆し、敬い、讃え終えましたので、 そろそろ御足を納めてお入りください。
爾時迦葉。令諸力士更以千㲲用纏佛身。香油灌上而閉棺蓋。積栴檀薪闍維如來。阿難見火悲泣哽咽號哭懊惱。而說偈言。
その時、迦葉は力士たちに命じて、さらに千枚の布で仏の御身を包ませ、その上から香油を注いで棺の蓋を閉じさせた。そして栴檀の薪を積み上げて、如来を荼毘に付した。 阿難はその火を見て、悲しみのあまり涙を流し、むせび泣きながら嘆き悲しみ、次のように偈を唱えた。
怪哉無常 甚可憂畏 能滅如是
功德寶聚 世尊此身 清淨無垢
今在金棺 以千㲲纏 香油流灌
然栴檀薪 微妙勝身 為何所在
なんと無常は恐ろしいことか。 こんなにも憂い畏れるべきものだ。 これほどの功徳の宝の集まりを、 滅ぼしてしまうのだから。
世尊のこの御身は、清らかで汚れがなく、 今は金の棺の中にある。 千の布で包まれ、香油が注がれている。 栴檀の薪で燃やされている。
その微妙で勝れた御身は、 今どこにあるのだろうか。
爾時迦葉。以乳滅火。說偈讚曰。
その時、迦葉は乳を用いて火を消し、偈を唱えて讃えた。
千㲲纏身 火耶旬之 佛神力故
內一衣在 外亦不燒 唯中都盡
此勝神力 不可思議
千枚の布を身に巻き付け、火葬したけれども、 仏の神力によって、 内側に一つの衣だけが残り、 外側も焼けず、ただ中のものだけが尽きていた。 この優れた神力は、 思いのままに計ることなどできない。
摩訶迦葉說是偈已告諸比丘。佛已耶旬。世尊舍利非我等事。何以故。國王長者大臣居士。求最勝福自當供養。我等宜當結集法眼。無令法炬速疾磨滅。為未來世當作照明。紹隆三寶使不斷絕。爾時迦葉與諸比丘。至王舍城賓鉢羅窟。阿闍世王得無根信。及至如來滅度之後群臣相與咸共議曰。大王信心猶如巨海。超諸人天世界之上。若聞世尊入涅槃者。沸血必當從面流出。身體分散命不云遠。當設何方令免斯難。時有一臣名曰雨舍。智慧淵廣善於方便。造一銅池縱廣數仞。以淨香油盈注其內。令阿闍世王坐斯池中。而復更以鮮淨白㲲。圖畫如來本行之像。所謂菩薩從兜率天化乘白象降神母胎。父名白淨母曰摩耶。處胎滿足十月而生。生未至地帝釋奉接。難陀龍王及跋難陀吐水而浴。摩尼跋陀大鬼神王。執持寶蓋隨後侍立。地神化華以承其足。四方各行滿足七步。至於天廟令諸天像悉起奉迎。阿私陀仙抱持占相。既占相已生大悲苦。自傷當終不覩佛興。詣師學書技藝圖讖。處在深宮六萬婇女娛樂受樂。出城遊觀至迦毘羅園。道見老人及以沙門。還詣宮中見諸婇女。形體狀貌猶如枯骨。所有宮殿塜墓無異。厭惡出家夜半踰城。至欝陀伽阿羅邏等大仙人所。聞說識處及非有想非無想定。既聞是已深諦觀察。知非常苦不淨無我。捨至樹下六年苦行。便知是苦不能得道。爾時復到阿利跋提河中洗浴。
マハーカシャパはこの偈を説き終えて、比丘たちに告げた。「仏はすでに荼毘に付されました。世尊の舎利については、我々の関わることではありません。なぜなら、国王、長者、大臣、居士たちが自ら最上の福徳を求めて供養するからです。我々はむしろ、法の眼目を結集し、法の灯明が速やかに消え去ることのないようにすべきです。未来の世のための光明とし、三宝を継承し発展させて、絶え間なく続けていきましょう。」
その時、カシャパは比丘たちと共に、王舎城のビンバラ窟へ向かった。アジャータシャトル王は無根の信を得ていたが、如来の滅度の後、群臣は互いに相談して言った。「大王の信心は大海のごとく、人天の世界を超越しています。もし世尊が涅槃に入られたことを聞けば、沸き立つ血が必ずや顔から流れ出し、身体は崩れ、命も長くはないでしょう。どのような方法でこの難を免れさせましょうか。」
その時、雨舎という名の大臣がいた。智慧は深く広く、巧みな方便に長けていた。彼は青銅の池を作り、縦横数仞(じん)の大きさで、清らかな香油を満々と注ぎ入れた。そしてアジャータシャトル王をその池の中に座らせた。さらに、真新しい清らかな白い布に、如来の本生の姿を描いた。すなわち、菩薩が兜率天から白い象に乗って降り、母胎に宿った姿。父は白浄、母は摩耶と名づけられた。胎内に十ヶ月満ちて生まれた。地に下りるより先に、帝釈天が受け止めた。難陀龍王と跋難陀龍王が水を吐いて沐浴させた。摩尼跋陀羅大鬼神王が宝蓋を持って後に侍り立った。地神は花を化現させてその足を受け止めた。四方にそれぞれ七歩を歩み、天の祠に至ると、全ての天の像を立ち上がらせて迎えさせた。アシタ仙人は抱きかかえて相を占った。相を占い終えると、大いに悲しみ苦しんだ。自分はついに仏の出現を目にすることができないと傷んだ。師について学問や技芸、図讖を学んだ。深い宮殿にあり、六万の婇女たちと楽しみ遊んだ。城を出て遊覧し、カピラ園に至った。道中で老人と沙門を見かけた。宮殿に戻り、婇女たちを見ると、その形体は枯骨のようであり、宮殿すべてが墓所と異ならなかった。厭世し出家を志し、夜半に城を越えた。ウッダカ・ラーマやアーラーラ・カーラーマなどの大仙のところへ行き、識処や非有想非無想定について聞いた。それを聞いて深く諦観し、無常・苦・不浄・無我であると知った。それらを捨てて、树下で六年の苦行をしたが、この苦行では道を得られないと知った。その時、再びアリヤヴァティ河に行き、沐浴した。
爾時有二牧牛女人。欲祀神故以千頭牛搆取其乳飲五百頭。如是展轉乃至一牛。即取其乳煮用作糜。涌高九尺不棄一渧。有婆羅門問言。姊妹。汝煮此糜欲上何人。女即答曰。持祀樹神。婆羅門言。何有神祇能受斯食。唯有食者成一切智。乃能受汝若斯之供。於是女人便奉菩薩。即為納受而用食之。然後方詣菩提樹下。破魔波旬成最正覺。於波羅㮈為五比丘初轉法輪。乃至詣於拘尸那城力士生地入般涅槃。如是等像皆悉圖畫。王問群臣。汝作何等。答言大王。我畫如來功德之像。次至世尊滅度形變。王便驚愕舉身毛竪。深生悲戀思慕如來。此池中油五分之一。忽然流注入王身中。譬如焦墼投之大池水自滲入。彼亦如是。由斯因緣命得全濟。阿闍世王信敬隆篤。感戀如來其事若此。聞迦葉往甚大歡喜。嚴治道路燒香散華。自乘白象出迎迦葉。王昔見佛自投象下恭敬禮拜。見迦葉時亦復如是。摩訶迦葉神力接之令無傷害。即告王曰。佛力殊勝不同聲聞。聲聞入定乃有神足。自後見我勿投象也。王言敬諾。即白迦葉。世尊涅槃我竟不見。尊若滅度願必垂告。迦葉曰善。因告王言。如來世尊智慧深遠。能滅眾生三毒熾火。能枯十二因緣大樹。諸天世人皆蒙饒益。今入涅槃世間眼滅。生老病死憂悲衰惱。如是等苦轉更熾盛。我欲為彼而作慧明。共諸比丘集佛法藏。王於今者宜辦供具。王言善哉。願諸聖士恒受我供。於是迦葉告阿那律。諸羅漢中誰不來者。阿那律言。憍梵波提在尸利沙宮。猶未來。此爾時迦葉告梨婆提。汝可往彼尸利沙宮語憍梵波提。大迦葉等今有僧事。要須相見。時梨婆提飛空而往。具陳上事。爾時尊者問梨婆提。世尊何在而云迦葉。梨婆提言。佛入涅槃。法橋已壞法山已崩。法燈已滅黑闇時至。憍梵波提歎曰。苦哉世間空虛。魔王波旬今當喜矣。凡愚眾生無明所蔽。流轉生死沒在魔網。十力世尊挽而出之。今入涅槃永無救護。哀哉眾生深可悲愍。告梨婆提。汝可為我頂禮迦葉及餘聖眾。如我辭曰。憍梵波提白大迦葉。世尊若在。我當往彼禮拜供養。今入涅槃。世間空虛。觀閻浮提無一可樂。如大龍王既捨身已龍子必隨。我亦如是。今欲涅槃。作是語已即便滅度。如是諸人聞佛滅度悉入涅槃。迦葉唱言。未集法藏勿涅槃也。時諸比丘問大迦葉。先集何法。迦葉答言。先修多羅。又問使誰集修多羅。大迦葉言。阿難比丘多聞總持有大智慧。常隨如來梵行清淨。最後法中利安眾僧。知見具足佛所讚歎。宜可使彼集修多羅。爾時迦葉即告阿難。汝於今者可演法眼。阿難曰諾。觀察眾心而說偈言。
その時、二人の牧牛の女がおりました。神様に供えるために、千頭の牛から乳を搾り、それを五百頭の牛に飲ませました。そのようにして次第に一頭の牛にまで減らし、その乳で粥を煮ました。粥は九尺も高く盛り上がり、一滴も無駄にしませんでした。そこに婆羅門が現れて尋ねました。「姉妹たちよ、その粥は誰に捧げるのですか。」女たちは答えました。「樹の神に捧げるのです。」婆羅門は言いました。「どんな神々がこのような食物を受けられるでしょうか。これを食べて一切智を成就する者こそが、あなた方の供養を受けられるのです。」そこで女たちは菩薩にその粥を捧げました。菩薩はそれを受け取ってお食べになりました。その後、菩提樹の下に赴かれ、魔王波旬を打ち破って正しい覚りを成就されました。バラナシー(波羅㮈)にて五人の比丘のために初めて法の輪を回し、そして最終的にはクシナガラ(拘尸那城)の力士の生地に入滅されました。このような尊い姿がすべて描かれていました。
王は群臣に尋ねました。「あなたたちは何をしているのか。」群臣は答えました。「大王、私は如来の功徳の姿を描いております。」次に世尊の涅槃の姿に至った時、王は驚愕して全身の毛が逆立ちました。深く悲しみ慕う気持ちが湧き上がり、如来を思い慕いました。すると、この池の中の油の五分の一が忽然と流れ出て、王の体の中に入りました。それは、まるで乾いた煉瓦を大きな池に投げ込むと水が自然に染み込むようなものでした。王もまた同じでした。このような因縁によって、命を全うすることができたのです。
アジャータシャトル王(阿闍世王)の信心は厚く、如来への敬慕もこのようでありました。マハーカッサパ(迦葉)が来るのを聞いて大いに喜び、道を整え、香を焚き花を散らし、自ら白象に乗ってカッサパを出迎えました。王はかつて仏を見た時、象から飛び降りて恭敬礼拝しました。カッサパを見た時もまた同様でした。マハーカッサパは神通力で王を受け止め、怪我をさせずに言いました。「仏の力は殊勝であり、声聞とは異なります。声聞は禅定に入って初めて神通力を得るのです。今後私を見た時は、象から飛び降りないでください。」王は「謹んで承りました」と答え、カッサパに申し上げました。「世尊の涅槃を私は見ることができませんでした。尊者様がもし入滅されるならば、必ずお知らせください。」カッサパは「よろしい」と答え、王に告げました。「如来世尊の智慧は深遠で、衆生の三毒の熾火を滅し、十二因縁の大木を枯らすことができました。天や人々は皆、その恩恵を受けていました。今、涅槃に入り、世間の眼は滅びました。生・老・病・死、憂い悲しみ、衰えや悩みなどの苦しみは、ますます激しくなるでしょう。私は彼らのために智慧の光を灯し、諸々の比丘と共に仏法の蔵を集めようと思います。王よ、今こそ供養の備えをなさい。」王は「善きかな。願わくは聖なる方々が、常に私の供養を受け入れてくださいますように」と答えました。
そこでカッサパはアニルッダ(阿那律)に尋ねました。「羅漢の中で、まだ来ていない者はいますか。」アニルッダは答えました。「ガヴァンパティ(憍梵波提)がシリサの宮殿にいて、まだ来ていません。」そこでカッサパは梨婆提に言いました。「あなたはシリサの宮殿に行き、ガヴァンパティにこう伝えなさい。大迦葉らが僧事を行うので、ぜひお会いしたいと。」梨婆提は空中を飛んで行き、事の次第を詳しく伝えました。尊者ガヴァンパティは梨婆提に尋ねました。「世尊はどこにおられますか。迦葉と言うのですか。」梨婆提は答えました。「仏は涅槃に入られました。法の橋は壊れ、法の山は崩れ、法の灯は消え、暗黒の時が来ました。」ガヴァンパティは嘆きました。「ああ、苦しきかな。世間は空虚だ。魔王波旬は今こそ喜んでいるだろう。凡愚の衆生は無明に覆われ、生死に流転し、魔の網に溺れている。十力の世尊が彼らを救い出されたのに、今や涅槃に入られ、永く救いの手はない。哀れなるかな、衆生よ。深く憐れむべきである。」そして梨婆提に言いました。「あなたは私に代わって、迦葉と他の聖なる方々に礼を伝えなさい。このように申し上げよ。『ガヴァンパティは大迦葉に申し上げます。世尊がもしおられれば、私はそこに参り、礼拝供養いたしましょう。しかし今は涅槃に入られ、世間は空虚です。閻浮提を見渡しても、楽しむべきものは一つもありません。大きな竜王がその身を捨てれば、竜子は必ず後に従います。私もまた同じです。今、涅槃に入ろうと思います。』」この言葉を終えると、すぐにガヴァンパティは入滅しました。このようにして、仏の入滅を聞いた人々は皆、涅槃に入りました。
迦葉は宣言しました。「法蔵を集め終えるまでは、涅槃に入ってはならない。」その時、諸々の比丘は大迦葉に尋ねました。「最初に何を集めるのですか。」迦葉は答えました。「まず経蔵(修多羅)を集めよう。」 「誰に経蔵を集めさせるのですか。」 迦葉は言いました。「アーナンダ(阿難)比丘は多聞で総持があり、大いなる智慧を持っています。常に如来に従い、梵行清浄でした。最後の法において僧を利益し、知見は具足し、仏に讚嘆されています。彼に経蔵を集めさせるのがよいでしょう。」 そこで迦葉はアーナンダに告げました。「あなたは今、法の眼を説きなさい。」 アーナンダは「はい」と答え、衆の心を観察して偈を唱えました。
比丘諸眷屬 離佛不莊嚴
猶如虛空中 眾星之無月
修行者とその弟子たちは、仏様がいなければ、輝きを失ってしまいます。 それは、虚空に満天の星があっても、月がないのと同じです。
說是偈已禮眾僧足。即昇法座而說是言。如是我聞。一時佛住波羅㮈鹿野苑中古仙住處。為五比丘初轉法輪。謂苦聖諦。如是廣說。說是語已。五百羅漢飛昇虛空。高聲唱言。奇哉無常甚大迅速。如河駛流逝而不返。我等昔者目覩世尊。今乃言聞。皆各悲泣而說偈言。
この偈を説き終え、僧たちの足を礼して、すぐに法座に上がり、次のように述べた。
「私はこのように聞きました。ある時、仏はバーラーナシーの鹿野苑にある古い仙人の住まいに滞在されました。五人の比丘のために初めて法の輪を回されました。すなわち、苦という聖なる真理について、このように広く説かれました。」
この言葉が終わると、五百人の阿羅漢たちは虚空に飛び上がり、高い声で唱えました。
「なんと不思議なことか。無常というのは非常に速やかであり、川の流れが激しく走り去って戻らないようなものだ。私たちはかつて世尊をこの目で見ていたのに、今はただその言葉を聞くばかりである。」
皆それぞれ悲しみ泣き、偈を唱えました。
咄哉諸有苦 迴動如水月
不堅如芭蕉 亦如幻影響
如來大雄猛 功德超三界
猶為無常風 㵱流而不住
ああ、実に苦しみに満ちたこの世は、 水に映る月のように揺れ動き、 芭蕉の幹のように頼りなく、 幻や影や響きのようなもの。 如来=大いなる勇者・覚者は、 その功徳が三界を超えていようとも、 なお無常の風にさらされ、 流されてとどまることはない。
五百羅漢說是偈已還復本座。爾時迦葉問諸比丘。阿難所言不錯謬耶。皆曰。不異世尊所說。於是迦葉命優波離。集毘尼藏。迦葉自集阿毘曇藏。集法藏已。摩訶迦葉即說偈言。
五百羅漢がこの偈を説き終えると、もとの座に戻った。その時、迦葉は比丘たちに問うた。「阿難の言ったことは、誤りはなかったか」。皆が答えた。「世尊のお説きになったことと異なりません」。そこで迦葉は優波離に命じて、律蔵を編纂させた。迦葉自らが阿毘曇蔵を編纂した。法蔵を編纂し終えると、摩訶迦葉は偈を説いた。
以此尊法輪 濟諸群生類
十力尊所說 皆當勤修行
此法是明燈 能破諸黑闇
諸賢宜受持 慎勿生放逸
この尊い法の輪をもって、あらゆる生きとし生けるものを救いましょう。
十の力を持つ尊い方(仏)が説かれた教えは、すべて熱心に修行すべきです。
この教えは明るい灯りであり、あらゆる闇を打ち破ることができます。
皆さん、どうかこの教えをしっかりと受け持ち、決して怠けたり、気を緩めたりしてはいけません。
爾時迦葉入願智三昧。觀所集法無闕少耶。思惟已訖知皆具足。便作是念。如來大師我善知識。利安饒益如母愛子。我今以法益同梵行。示未來世作大悲想。欲使大法流布不絕。始於今者報如來恩。我年朽邁身為老壞。臭爛之體甚可厭惡。無常危敗不可依恃。恒為諸苦之所惱害。誰有智者當樂此身。我今宜可入般涅槃。復更思惟。我今當住大慈大悲佛婆伽婆真善知識。無量淨善功德所熏。微妙舍利所在之處。皆往禮拜恭敬供養。即飛虛空至四塔前禮拜供養。復詣八塔至心恭敬。譬如雁王飛到大海娑伽羅宮禮敬佛牙。如大壯士屈申臂頃至忉利天。釋提桓因與諸天眾。出迎迦葉禮敬供養。摩訶迦葉告帝釋曰。我欲涅槃。禮如來髮故來至此。釋提桓因聞是語已。心懷惆悵悲泣懊惱。自取佛髮敬授迦葉。迦葉受已至心禮敬。牛頭栴檀以用供養。供養已訖語諸天子。五欲無常不可久保。如花上露見陽則晞。唯有善法深可願樂。當觀苦空慎莫放逸。作是語已從彼天沒還王舍城。阿難隨逐未曾捨離。恐入涅槃或不覩見。後於少時摩訶迦葉告阿難曰。汝獨入城。我亦當往。爾時迦葉著衣持鉢。入王舍城作是念言。阿闍世王本與我要。若涅槃時必來見我。我今當往告之可乎。到王門下語守門人。為我白王。摩訶迦葉今在門外欲得相見。守門人言。王今睡眠。若覺之者恐貽罪累。迦葉語言。王若覺者。好為我語。摩訶迦葉欲入涅槃。來與王別不見而去。於是迦葉至鷄足山。於草敷上跏趺而坐。作是願言。今我此身著佛所與糞掃之衣。自持己鉢乃至彌勒令不朽壞。使彼弟子皆見我身而生厭惡。復作是念。阿闍世王若不見我。沸血必當從面而出。命不全濟。若使彼王與阿難來。山當為開令其得入。若還去者復當還合。便捨命行唯留少壽。應時大地六種震動釋提桓因與諸天子。以曼陀羅花天諸末香。供養舍利生大悲惱。而作是言。如來滅度感戀未息。迦葉涅槃增我悲惱。賓鉢羅窟即便空曠。巷里窮酸苦厄羸劣。貧露孤寒彼恒矜愍。今捨之去誰當覆護。如十五日天無雲翳。月及眾星處空顯現。如來聖眾亦復如是。住在世間猶如星月。死無常雲如何卒起。一旦隱蔽最勝福田。諸天如是極生悲感。哀摧號哭啼泣懊惱。共相裁抑歸還天上。阿闍世王於睡臥中。夢屋梁折。尋便驚覺心生惶怖。門人白王。摩訶迦葉欲入涅槃。來與王別正值眠息。令我致意即便迴還。王聞是事悶絕躄地。冷水灑面方得醒悟。舉聲大哭涕泣盈目。我何薄祐垢障深厚。諸聖涅槃不一覩見。即詣竹園禮阿難足。問言。迦葉滅度未耶。阿難答言。已涅槃矣。今在何處。我欲供養。於是阿難共阿闍世王向雞足山。王既到已山自開闢。迦葉在中全身不散。曼陀羅花以覆其上。王見是已發聲號哭。舉身投地。𧂐諸香木欲闍毘之。阿難問言。欲作何等。答欲耶旬。阿難言曰。摩訶迦葉以定住身待於彌勒。不可得燒。彌勒出時當將徒眾九十六億至此山上見於迦葉。時彌勒眾皆作是念。釋迦如來弟子身形卑陋若此。彼佛亦當與斯無異。於是迦葉踊身虛空作十八變。變為大形充滿世界。時彌勒佛即就迦葉取僧伽梨。是時大眾見其神力。除憍慢心成阿羅漢。王供養已還歸本國。時雞足山還合如初。
さて、迦葉は願智三昧に入り、集めた法に欠けるところがないかどうかを観察した。思惟を終え、すべてが具足していることを知ると、こう考えた。「如来大師は我が善知識である。利益安楽を与えること、母が子を愛するかのようである。今、私は法をもって同じ梵行を修める者たちを益し、未来の世に大悲の想いを示し、大法を流布させ絶やさないようにしたい。今まさに、如来の恩に報いる時である。我が年は老いて朽ち、この体は老醜であり、臭く爛れるこの身体は実に厭うべきものだ。無常で危うく敗れ、頼りにならない。常に諸々の苦に悩まされている。誰が智者でありながらこの身を喜べようか。今こそ私は般涅槃に入るべきである」。
さらにこう思惟した。「今、私は大慈大悲の仏、婆伽婆(世尊)、真の善知識のもとに留まるべきである。無量の清らかな善き功徳に熏じられた、微細なる舎利のあるところ、すべてに赴き、礼拝し、恭敬し、供養しよう」。そうして虚空に飛び、四塔の前に至って礼拝し、恭敬した。さらに八塔に詣で、心を至して恭敬した。あたかも雁の王が大海の娑伽羅(海龍王)の宮殿に飛んで行き、仏の歯を礼拝するかのようであった。また、大力の士が腕を伸ばし曲げるほどの瞬間に、忉利天に至った。すると帝釈天(釋提桓因)は天の衆と共に出迎え、迦葉を礼拝し恭敬し、供養した。
摩訶迦葉は帝釈天に告げた。「私は涅槃に入ろうと思う。如来の御髪を礼拝しようと思い、ここに来たのだ」。帝釈天はこの言葉を聞き、心に嘆きを抱き、悲しみ懊み、自ら仏の御髪を取り、謹んで迦葉に授けた。迦葉はそれを受け、心を至して礼拝した。牛頭栴檀を用いて供養した。供養を終え、天子たちに告げた。「五欲は無常であり、長く保つことはできない。花の上の露が陽に当たれば乾くようだ。ただ善い法こそ深く願い楽しむべきである。苦と空を観じて、どうか放逸であってはならない」。この言葉を告げて、彼はその天から没し、王舎城に還った。
阿難は常に後を離れずに従っていた。迦葉が涅槃に入り、あるいはそれを見ることができないのではないかと恐れたからである。その後、しばらくして摩訶迦葉は阿難に告げた。「あなたは独りで城中に入りなさい。私も行く」と。時に迦葉は衣を着け、鉢を持ち、王舎城に入り、こう考えた。「阿闍世王は元々私と約束した。もし涅槃に入るなら必ず私に会いに来る、と。今、私は行ってこれを告げるべきであろうか」。王の門に到り、門番に言った。「王に伝えてほしい。摩訶迦葉が今門外におり、お会いしたいと」。門番が言った。「王は今、眠っておられます。もしお起こしすれば、とがめを受ける恐れがございます」。迦葉が言った。「王がお目覚めになられたら、よく伝えてほしい。摩訲迦葉は涅槃に入ろうとしており、別れを告げに来たが、お会いできずに去る、と」。こうして迦葉は鶏足山に至り、草の上に結跏趺坐した。そしてこう願った。「今、この身は仏から与えられた糞掃衣をまとい、自らの鉢を持ち、弥勒仏の時代に至るまで朽ちさせず、彼の弟子たちが皆、私の身を見て厭い厭う心を起こさせるように」。またこう考えた。「阿闍世王がもし私を見なければ、沸いた血が顔から出て、命が全うできないだろう。もし彼の王が阿難と共に来れば、山は開き入ることができよう。そして帰るならば再び閉じるであろう」。そうして命を捨て、ただわずかの寿命だけを残した。するとたちまち大地は六種に震動した。帝釈天は天子たちと共に、曼陀羅花や天の諸々の末香をもって舎利を供養し、大いなる悲しみに悩まされて、こう語った。「如来の滅度の感懐が未だ冷めやらないところに、迦葉の涅槃が我が悲しみと悩みを増す。賓鉢羅窟はたちまち空しく寂しくなる。巷の貧しく、苦しく、厄介で、やせ細り、貧しく露わで、孤り寒い人々を、彼は常に哀れみ愍んでいた。今、彼が去り、誰が彼らを覆い護るのだろうか。十五日、空に雲の翳りなく、月と星々が空に顕現しているように、如来の聖衆もまたこのようである。世間に住むこと、星月のごとく。死の無常の雲が、どうして突然に起こり、最も優れた福田を隠してしまうのか」。諸天はこのように非常に悲しみを感じ、哀れみに任せて号哭し、泣き悲しみ、悩み苦しんだ。そして互いに慰め合って天に帰還した。
阿闍世王は眠りの夢の中で、家の梁が折れるのを見た。すぐに驚いて覚め、心に恐れを生じた。門番が王に告げた。「摩訶迦葉が涅槃に入ろうとし、王に別れを告げに来られましたが、ちょうど王がお休みの最中でしたので、伝言を預かりましたと言って、お帰りになりました」。王はこのことを聞き、気を失って地に倒れた。冷水で顔を注がれてようやく我に返った。声をあげて泣き、涙で目が満ちた。「私は何と福徳が薄く、垢障が深いことか。諸々の聖者が涅槃に入られるのを一度も見ることができないとは」。直ちに竹園に詣で、阿難の足を礼拝し尋ねた。「迦葉は滅度されたのか」。阿難は答えた。「既に涅槃に入られました」。王が言った。「今、どこにおられるのか。私は供養したい」。そこで阿難は阿闍世王と共に鶏足山へ向かった。王が到着すると、山は自ら開かれた。迦葉はその中に、全身そのまま散らず、曼陀羅花で覆われていた。王はそれを見て声を放って号哭し、身を投げ出した。そして薪木を積み、荼毘にしようとした。阿難が尋ねた。「何をしようとなさるのか」。王が答えた。「お焼きしようと思う」。阿難が言った。「摩訶迦葉は定力によって身をもって弥勒を待っている。焼くことはできない。弥勒が出世される時、九十六億の弟子を連れて、この山に来て迦葉を見られるだろう。その時、弥勒の衆は皆こう思うであろう。『釈迦如来の弟子の身形はこのように賤しいのか。かの仏もまたこれと変わらないのだろうか』と。そこで迦葉は身を虚空に踊らせ、十八変を現し、大きく変化して世界に満ちる。その時、弥勒仏はすぐに迦葉のもとへ行き、僧伽梨(大衣)を受け取られる。この大衆がその神力を見る時、高慢の心が除かれ、阿羅漢となるであろう」。王は供養を終え、本国に帰られた。その時、鶏足山は再び元のように閉じた。
付法藏因緣傳卷第一
付法蔵因縁伝 巻第一