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大方便仏報恩経 (大方便佛報恩經)

「大方便佛報恩經」について

5.8 万字 · 約 193 分

『大方便仏報恩経』は、中国仏教の経典であり、訳者不明で、後漢から魏晋の時代に成立したとされています。この経典は、仏陀が前世において須闍提太子として自らの肉を切り取って父母に供養した本生譚などを通じて、孝行と恩返しの思想を説き、修行と世俗の責任の調和を強調しています。その内容は儒教と仏教の観念を融合させており、中国仏教の倫理、特に親孝行の観念の形成に深い影響を与え、仏教の中国化を研究する上で重要な文献であり、仏教経典の中でも独特の地位を占めています。


大方便佛報恩經卷第一

大方便仏報恩経 巻第一

失譯人名在後漢錄

後漢録に収録された、訳者名が失われた経典

序品第一

序章 第一

如是我聞:

私はこのように聞きました。

一時,佛住王舍城耆闍崛山中,與大比丘眾二萬八千人俱——皆所作已辦,梵行已立,不受後有,如摩訶那伽,心得自在,其名曰:摩訶迦葉、須菩提、憍陳如、離越多訶多、富樓那彌多羅尼子、畢陵伽婆蹉、舍利弗、摩訶迦旃延、阿難、羅睺羅等。眾所知識菩薩摩訶薩三萬八千人俱——此諸菩薩久殖德本,於無量百千萬億諸佛所,常修梵行,成滿大願,悉能通達百千禪定陀羅尼滿;不捨大悲,隨諸眾生,而能饒益;紹隆三寶,使不斷絕;能建法幢,為諸眾生作不請友;到大智岸,名稱普聞。其名曰:觀世音菩薩、得大勢菩薩、常精進菩薩、妙德菩薩、妙音菩薩、電光菩薩、普平菩薩、德首菩薩、須彌王菩薩、香象菩薩、大香象菩薩、持勢菩薩、越三界菩薩、常悲菩薩、寶掌菩薩、至光英菩薩、炎熾妙菩薩、寶月菩薩、大力菩薩、無量慧菩薩、跋陀和菩薩、師子吼菩薩、師子作菩薩、師子奮迅菩薩、滿願菩薩、寶積菩薩、彌勒菩薩、文殊師利法王子等,百千眷屬俱。復有無量百千欲界諸天子等,各與眷屬俱,齎諸天上微妙香華,作天伎樂,住虛空中。諸天、龍、夜叉、乾闥婆阿修羅、迦樓羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、非人等,各與若干百千眷屬俱,各禮佛足,退坐一面。爾時如來,大眾圍遶,供養恭敬,尊重讚歎。

いつの頃にか、世尊は王舎城の耆闍崛山に滞在しておられた。そこには、大比丘の衆、二万八千人が集まっていた。彼らは皆、為すべきことを成し遂げ、清らかな行いを既に完成させ、再び迷いの世界に生まれることはなかった。心は自在を得て、偉大な龍のようであった。その名は、摩訶迦葉、須菩提、憍陳如、離越多訶多、富楼那弥多羅尼子、畢陵伽婆蹉、舎利弗、摩訶迦旃延、阿難、羅睺羅などである。

また、衆に知られた菩薩摩訶薩、三万八千人も集まっていた。これらの菩薩たちは、遠い昔から善根を培い、無量の百千万億の諸仏のもとで常に清らかな行いを修め、大きな願いを満たし、百千の禅定や陀羅尼を自在に習得していた。さらに、大いなる慈悲を捨てず、様々な衆生に従って利益を与え、仏・法・僧の三宝を継承して絶やさず、法の旗を掲げ、衆生にとって招かれざる友となり、智慧の岸に至り、その名は広く知られていた。その名は、観世音菩薩、得大勢菩薩、常精進菩薩、妙徳菩薩、妙音菩薩、電光菩薩、普平菩薩、徳首菩薩、須弥王菩薩、香象菩薩、大香象菩薩、持勢菩薩、越三界菩薩、常悲菩薩、宝掌菩薩、至光英菩薩、炎熾妙菩薩、宝月菩薩、大力菩薩、無量慧菩薩、跋陀和菩薩、師子吼菩薩、師子作菩薩、師子奮迅菩薩、満願菩薩、宝積菩薩、弥勒菩薩、文殊師利法王子などであり、百千の眷属を伴っていた。

さらに、無量の百千の欲界の諸天子たちも、それぞれの眷属を連れて集まり、天上の微妙な香りや花々を持ち寄り、天の音楽を奏でながら、虚空に留まっていた。また、天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽、人、そして人ならざるものたちも、それぞれ多くの眷属を引き連れて集まり、皆、仏の足に礼拝し、退いて一方に座った。

その時、如来は大衆に囲まれ、彼らから供養され、敬われ、尊ばれ、讃嘆されていた。

爾時,阿難承佛威神,於晨朝時入王舍城,次第乞食。爾時,城中有一婆羅門子,孝養父母,其家衰喪,家計蕩盡,擔負老母,亦次第行乞,若得好食,香美菓蓏,仰奉於母;若得惡食,萎菜乾果,而自食之。阿難見之,心生歡喜,偈讚此人:「善哉!善哉!善男子!供養父母,奇特難及!」

その時、阿難(あなん)は仏の威神力(いじんりき)をお借りして、早朝に王舎城(おうしゃじょう)に入り、順に托鉢(たくはつ)をしていました。その町に一人のバラモンの若者がいました。彼は両親に孝行を尽くしていましたが、家は衰え失われ、財産もすべて尽きていました。それでも彼は年老いた母を背負い、やはり順に托鉢しながら歩いていました。もし良い食べ物や香り高く美しい果物を得れば、それを母に差し上げ、もし粗末な食べ物やしなびた葉っぱ、干し菓子を得れば、それを自分で食べていました。阿難はこれを見て、心に喜びが湧き、この人を讃える詩を詠みました。「善きかな、善きかな、善き若者よ。父母に仕える様は、この上なく素晴らしく、並ぶ者がない!」

有一梵志是六師徒黨——其人聰辯,悉能通達四圍陀典、曆數算計、占相吉凶、陰陽改變,豫知人心。亦是大眾唱導之師,多人瞻奉;執著邪論,為利養故,殘滅正法,心懷嫉妬,毀佛法眾。語阿難言:「汝師瞿曇,諸釋種子,自言善好,有大功德,唯有空名,而無實行。汝師瞿曇實是惡人,適生一七,其母命終,豈非惡人也?逾出宮城,父王苦惱,生狂癡心,迷悶躃地,以水灑面,七日方能醒悟。『云何今日失我所生?』舉聲大哭,悲淚而言:『國是汝有。吾唯有汝一子,云何捨我,入於深山?』汝師瞿曇,不知恩分,而不顧錄,遂前而去,是故當知是不孝人。父王為立宮殿,納娶瞿夷,而不行婦人之禮,令其愁毒,是故當知無恩分人。」

一人のバラモンがいた。彼は六師の教えを奉じる者であり、大変聡明で弁舌に優れ、『四ヴェーダ』の典籍をすべて習得し、暦・算術・占い・吉凶・陰陽の変化にも通じ、人の心を予知することもできた。彼は多くの人々の指導者であり、大衆から敬い崇められていた。しかし、誤った見解に執着し、利得のために正法を破壊し、心に嫉妬を抱き、仏法と僧団を誹り中傷していた。

彼は阿難にこう言った。「お前の師であるゴータマは、釈迦族の出でありながら、自分は善く優れ、大いなる功徳があると自称しているが、それは虚名にすぎず、実質は伴っていない。お前の師、ゴータマは実に悪人である。生まれて七日目にその母が亡くなったではないか。これは悪人である証拠ではないか?また、宮殿を抜け出して出家した時、父王は苦しみ悲しみ、狂い痴れて気を失い倒れ、水を浴びせられて七日目にようやく意識を取り戻した。『なぜ我が子を失ってしまったのか』と大声で泣き叫び、涙ながらに『国はお前のものだ。我にはお前一人しか子がいない。なぜ我を捨てて深山に入ってしまったのか』と言った。お前の師ゴータマは恩義を知らず、父を省みることもなく、ただそのまま去ってしまった。それゆえ、彼は不孝者だと知るべきだ。また、父王が宮殿を建ててやり、瞿夷(ヤショーダラー)を娶わせたにもかかわらず、彼は妻としての務めを果たさず、彼女を苦しめて悲しませた。それゆえ、恩を知らぬ者だと知るべきだ。」

阿難聞是語已,心生慙愧。乞食已,還詣佛所,頭面禮足,却住一面,合掌白佛言:「世尊!佛法之中。頗有孝養父母不耶?」

アーナンダはこの言葉を聞いて、心に恥じ入る思いが湧きました。托鉢を終えると、仏のもとに戻り、頭を仏の足に伏せて礼拝し、一歩下がって立ち、合掌して仏に申し上げました。「世尊よ、仏法の中には、父母に孝養するということはあるのでしょうか?」

佛語阿難:「誰教汝,令發是問?諸天神耶?人耶?非人耶?汝為自以智力問於如來耶?」

仏は阿難に問われた。「誰があなたに教えて、そのような質問をさせたのか。神々か、人間か、あるいは人ではないものか。それとも、あなた自身の智慧でもって如来に質問したのか。」

阿難言:「亦無諸天龍、鬼神、人及非人來見教也。向者乞食,道逢六師徒黨薩遮尼乾,見毀罵辱。」阿難即以上事向如來說。

阿難が言いました。「天竜や鬼神、人間、さらには非人(人間ならざるもの)が来て教えてくれたわけではありません。ただ今、托鉢(たくはつ)の途中で、六師の仲間である薩遮尼乾(さっしゃにけん)に出会い、ひどくののしられ、侮辱されました。」そこで阿難は、この出来事をそのまま如来に報告しました。

爾時,世尊熙怡微笑,從其面門放五色光,過於東方無量百千萬億佛土。彼有世界,名曰上勝,其佛號曰喜王如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。國名嚴盛,其土平正,琉璃為地,黃金為繩,以界道側。七寶行樹,其樹皆高盡一箭道,花果枝葉次第莊嚴,微風吹動,出微妙音,眾生樂聞,無有厭足。處處皆有流泉浴池,其池清淨,金沙布底,八功德水盈滿其中;其池四邊有妙香花、波頭摩花、分陀利花、跋師迦花,青黃赤白,大如車輪而覆其上;其池水中,異類諸鳥相和而鳴,出微妙音,甚可愛樂;有七寶船亦在其中,而諸眾生自在遊戲。其樹林間,敷師子座,高一由旬,亦以七寶而校飾之,復以天衣重敷其上,燒天寶香,諸天寶花遍布其地。喜王如來而坐其上,結加趺坐。

その時、世尊は優しい笑みを浮かべられ、お顔から五色の光を放たれた。その光は東方の無量無数の仏国を越えて進んだ。そこに上勝という世界があり、その国の仏は喜王如来と呼ばれ、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊の十の称号を持つ世尊であられた。

その国は厳盛と名付けられ、土地は平らで整っていた。大地は瑠璃でできており、道の両端には黄金の縄が境界として引かれていた。七宝の並木があり、その木々の高さはすべて矢を一射するほどの距離であった。花や果実、枝や葉は順序よく整い、美しく飾られていた。微風が吹くと、微妙な音が響き、人々はそれを聞いて飽きることがなかった。

至る所に湧き水の流れる浴池があり、その池は清らかで、底には金の砂が敷かれていた。八つの功徳を備えた水が満ち、池の周囲には美しい香りの花々、赤い蓮、白い蓮、青や黄色、赤、白の花が車輪ほどの大きさで水面を覆っていた。池の中では様々な鳥たちが美しい声で鳴き交わし、その声は何とも愛らしいものだった。七宝の船が池に浮かび、人々は好きなように遊び戯れていた。

林の間には、高さ一由旬の獅子座が設けられ、七宝で飾られていた。さらに天の衣が幾重にも敷かれ、天の宝香が焚かれ、天の宝花が地面一面に散りばめられていた。その上に喜王如来が結跏趺坐しておられた。

彼國菩薩無量億千,前後圍遶,却住一面,合掌向於如來,異口同音,俱發聲言:「惟願世尊哀慈憐愍,以何因緣有此光明?青黃赤白,其色輝艷,難可得喻,從西方來,照此大眾,其有遇斯光者,心意泰然。惟願世尊斷我疑網。」

その国の菩薩たちは、無数に集まり、前後に従って、しばらくの間、片側に立ち止まりました。そして、合掌して如来を仰ぎ見ると、口をそろえて声を揃え、こう言いました。「どうか、世尊よ、哀れみと慈しみをもってお聞きください。どのような因縁によって、このような光明が現れたのでしょうか。青、黄、赤、白と、その色は輝き艶やかで、たとえようがありません。西方から来て、この大衆を照らし、その光に触れた者たちは、心が安らかで穏やかになります。どうか、世尊よ、私たちの疑いの網を断ち切ってください。」

佛言:「諸善男子!諦聽!諦聽!善思念之。吾當為汝分別解說。西方去此無量百千諸佛世界,有世界名娑婆,其中有佛,號曰釋迦牟尼如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊,大眾圍遶,今欲為諸大眾說《大方便大報恩經》,為欲饒益一切諸眾生故;為欲拔出一切眾生邪疑毒箭故;為欲令初發意菩薩堅固菩提不退轉故;為令一切聲聞、辟支佛究竟一乘道故;為諸大菩薩速成菩提,報佛恩故;欲令一切眾生念重恩故;欲令眾生越於苦海故;欲令眾生孝養父母故。以是因緣故,放斯光明。」

仏陀は言われた。「善き男子たちよ、よく聞きなさい。よく聞き、よく思い巡らしなさい。私はあなたがたのために、詳しく説き明かしましょう。

西方に、この世界から数えきれないほどの多くの仏の国を過ぎたところに、『娑婆』という世界があります。その世界には、釈迦牟尼如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と尊称される仏がおられます。大衆に囲まれて、今まさに、その大衆のために『大方便大報恩経』をお説きになろうとしています。

それは、すべての生きとし生けるものを利益するためであり、すべての生きとし生けるものの、邪見や疑惑という毒の矢を抜き去るためであり、初めて発心した菩薩たちが、菩提心を堅固にして退転しないようにするためであり、すべての声聞や辟支仏が、究極の一つの乗り物(一乗道)を成就するためであり、大きな菩薩たちが速やかに菩提を成就して、仏の恩に報いるためであり、すべての生きとし生けるものに、深い恩を思い起こさせるためであり、苦しみの海を乗り越えさせるためであり、父母に孝養を尽くさせるためです。これらの理由により、このような光明を放たれたのです。」

爾時,大眾中有十千菩薩,一一菩薩皆是大眾唱導之師,即從座起,偏袒右肩,右膝著地,叉手合掌,而白佛言:「惟願世尊加威神力,令我等輩得往娑婆世界,親近供養釋迦牟尼如來,并欲聽大方便佛報恩微妙經典。」

その時、会衆の中に一万の菩薩たちがいました。その一人ひとりが、大勢の人々を導く師匠でした。彼らは皆、座を立ち、右肩を露わにし、右膝を地面につけ、両手を合わせて仏に申し上げました。「どうか世尊よ、あなたの威神力をもって、私たちが娑婆世界に赴き、釈迦牟尼如来に親しく近づき供養し、また『大方便仏報恩微妙経』という尊い教えを聞くことをお許しください。」

爾時,彼佛告諸菩薩言:「善男子!汝往娑婆世界,若見彼佛,應生供養、恭敬、難遭之想。何以故?釋迦如來於無量百千萬億阿僧祇劫,難行苦行,發大悲願:『若我得成佛時,當於穢惡國土,山陵、堆阜、瓦礫、荊棘,其中眾生具足煩惱,五逆十惡,於中成佛而利益之,使斷一切苦,獲一切樂,成就法身,永盡無餘。』其佛本願如是。汝等今往,當如佛往,住如佛住。」

その時、かの仏は諸菩薩に告げられました。「善き男子たちよ。あなたがたは娑婆世界に行きなさい。もし彼の仏(釈迦牟尼仏)にお会いしたならば、必ず供養し、敬い、めったに出会えない尊い存在であると心から思いなさい。なぜなら、釈迦如来は、無量百千万億阿僧祇劫という気の遠くなるような長い間、耐え難い苦行を積み、大いなる慈悲の誓いを立てられたからです。すなわち、『もし私が仏となる時は、この汚れ、穢れた世界で―山や丘、瓦礫や茨の多い―煩悩に満ち、五逆罪や十悪を犯す衆生がいる、まさにそのような世界で、私は仏となって彼らを救い、あらゆる苦しみを断ち切り、あらゆる楽しみを得させ、永遠に尽きることのない法の身を成就させよう』と誓われたのです。かの仏の本来の誓願は、このようなものです。あなたがたは今、そこへ行くならば、仏が行かれたように行き、仏がとどまられたようにとどまりなさい。」

諸菩薩眾俱發聲言:「如世尊勅。」一一菩薩各將無量百千萬億諸菩薩眾,以為眷屬,前後圍遶,往詣娑婆世界。所經國土,六種震動,大光普照;虛空神天,雨曼陀羅花、摩訶曼陀羅花,放大光明;神足感動恒沙世界;復有無量百千萬種諸天伎樂,於虛空中不鼓自鳴。是諸菩薩等往詣耆闍崛山,到如來所,頭面禮足,遶佛三匝,却住一面。

諸々の菩薩たちは声を揃えて言った。「世尊のお心のままに。」そして、一人ひとりの菩薩が、無量百千万億もの菩薩の衆を眷属として連れ、前後を取り巻かれながら、娑婆世界へと向かいました。

彼らが通り過ぎる国土では、大地が六種に震動し、大いなる光が普く照らしました。虚空にいる神々や天の人々は、曼陀羅華や大曼陀羅華を雨のように降らせ、大いなる光明を放ちました。その神通力の感動は、恒河沙の世界にまで及びました。また、無量百千万種の天の音楽が、虚空の中で打たれずとも自然に鳴り響きました。

これらの菩薩たちは、耆闍崛山へと赴き、如来のおられる場所に到着すると、頭を如来の足に接して礼拝し、仏の周りを三度巡り、その後、一方に退いて立ち並びました。

爾時,如來復放一光直照南方,過八十萬億諸佛國土,有世界名曰光德。彼中有佛,號曰思惟相如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。國名善淨,其土平正,琉璃為地,黃金為繩,以界道側。七寶行樹,其樹皆高盡一箭道,華果枝葉,次第莊嚴,微風吹動,出微妙音,眾生樂聞,無有厭足。處處皆有流泉浴池,其池清淨,金沙布底,八功德水盈滿其中;其池四邊有妙香華、波頭摩華、分陀利華、跋師迦華,青黃赤白,大如車輪而覆其上;其池水中異類諸鳥,相和悲鳴,出微妙音,甚可愛樂;有七寶船亦在其中,而諸眾生自在遊戲。其樹林間敷師子座,高一由旬,亦以七寶而校飾之,復以天衣重敷其上,燒天寶香,諸天寶華遍布其地。思惟相如來,而坐其上,結加趺坐。

すると、如来は再び一筋の光を放ち、真っ直ぐに南方を照らしました。その光は八十万億もの仏の国々を越え、そこに光徳という名の世界がありました。そこには、思惟相如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と称される仏がおられました。その国は善浄と名付けられ、大地は平らで真っ直ぐであり、瑠璃を地とし、黄金の紐で道の両側が区切られていました。七宝の並木があり、その木々はすべて一箭道の高さで、花や果実、枝葉が順序よく飾られていました。また微風が吹くと、美しい音が響き、人々はそれを聞いて楽しみ、飽きることがありません。あちこちに流れる泉や浴槽があり、その池は清らかで、金砂が底に敷き詰められ、八功徳水が満ち溢れていました。池の周りには、波頭摩華、分陀利華、跋師迦華といった素晴らしい香りの花々が咲き、青、黄、赤、白の色が車輪ほどの大きさで水面を覆っていました。池の中では様々な鳥たちが美しい声で鳴き合い、その音色は心地よく愛らしいものでした。七宝の船も浮かび、人々は自在に遊び楽しんでいました。その林の中には、一由旬の高さの獅子座があり、七宝で飾られ、さらに天の衣が幾重にも敷かれ、天の香が焚かれ、天の宝華が地面一面に散りばめられていました。そして思惟相如来は、その上に結跏趺坐しておられました。

彼國菩薩無量億千,前後圍遶,却住一面,合掌向於如來,異口同音,俱發聲言:「惟願世尊哀慈憐愍。以何因緣,有此光明?青黃赤白,其色輝艷,難可得喻。從北方來,照此大眾,其有遇斯光者,心意泰然。惟願世尊斷我疑網。」

その国の菩薩たちは、数えきれないほど多くの者たちが前後に取り囲み、しばらくその場に立ち止まりました。そして、合掌して如来の方を向き、皆が声をそろえて、口を揃えて申しました。

「どうか、世尊よ、私たちを哀れみ、慈悲をおかけください。いったい、どのような因縁があって、このような光が現れたのでしょうか。青、黄、赤、白と、その色は輝き美しく、比べるものもありません。北方から来て、この大いなる集いを照らしています。この光に触れた者は皆、心が安らかで穏やかになります。どうか、世尊よ、私たちの迷いという網を断ち切ってくださいませ。」

佛言:「諸善男子!諦聽!諦聽!善思念之。吾當為汝分別解說。北方去此無量百千諸佛世界,有世界號名娑婆,其中有佛,號曰釋迦牟尼如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊,大眾圍遶,今欲為諸大眾說《大方便大報恩經》,為欲饒益一切諸眾生故;為欲拔出一切眾生邪疑毒箭故;為欲令初發意菩薩堅固菩提不退轉故;為令一切聲聞辟支佛究竟一乘道故;為諸大菩薩速成菩提報佛恩故;欲令一切眾生念重恩故;欲令眾生越於苦海故;欲令眾生孝養父母故。以是因緣故,放斯光明。」

仏は仰せられた。「諸々の善き男子よ、よく聞け、よく聞け。よく考え念じなさい。私はあなたたちのために、一つ一つ詳しく説き明かそう。北方、この世界から数えきれないほどの百千の諸仏の世界を過ぎたところに、娑婆と名づけられる世界がある。その世界に仏がおられ、その名を釈迦牟尼如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と号される。大衆に囲まれ、今まさに諸々の大衆のため『大方便大報恩経』を説こうとしておられる。それは、すべての衆生を利益しようがためであり、すべての衆生の邪見や疑いの毒矢を抜き去ろうがためであり、初めて発心した菩薩たちが菩提の心を固くして退転しないようにするためであり、すべての声聞や辟支仏に一乗の道を究めさせようがためであり、諸々の大菩薩が速やかに菩提を成就して仏の恩に報いようがためであり、すべての衆生に深い恩を思い起こさせようがためであり、衆生を苦海から超えさせようがためであり、衆生に父母を孝養させようがためである。このような因縁によって、この光明を放ったのである。」

爾時大眾中有十千菩薩,一一菩薩皆是大眾唱導之師,即從座起,偏袒右肩,右膝著地,叉手合掌,而白佛言:「惟願世尊加威神力,令我等輩得往娑婆世界,親近供養釋迦牟尼如來,并欲聽大方便佛報恩微妙經典。」

その時、会衆の中に一万の菩薩たちがいた。どの菩薩も、大勢の人々を導く師であった。彼らは皆、座を立ち、右肩をあらわにし、右膝を地面につけ、両手を合わせて仏に申し上げた。

「どうか世尊よ、私たちに威力をお与えください。どうか私たちが娑婆世界に赴き、釈迦牟尼如来に親しくお仕えし、その教えを供養することができますように。そして、『大方便仏報恩』の微妙な経典を聴聞することができますように。」

爾時彼佛告諸菩薩言:「善男子!汝往娑婆世界,若見彼佛,應生供養、恭敬、難遭之想。何以故?釋迦如來於無量百千萬億阿僧祇劫,難行苦行,發大悲願:『若我得成佛時,當於穢惡國土,山陵、堆阜、瓦礫、荊棘,其中眾生具足煩惱,五逆十惡,於中成佛而利益之,使斷一切苦,獲一切樂,成就法身,永盡無餘。』其佛本願如是。汝等今往,當如佛往,住如佛住。」

その時、かの仏は諸々の菩薩に告げて言われた。 「善き男子たちよ。あなたがたは娑婆世界へと向かいなさい。もしその世界の仏にお会いしたなら、供養し、敬い、めったに出会えない尊い方であると想いなさい。なぜなら、釈迦如来は無量百千万億阿僧祇劫という長い間、並みはずれた苦行を行い、大いなる慈悲の願いを起こされたからです。すなわち、『もし私が仏となる時は、必ず汚れ悪しき国土——山や丘、瓦礫や茨の満ちた世界において、そこに生きる煩悩を具え、五逆罪や十悪を犯す者たちのために、その中で仏となり彼らを利益し、一切の苦しみを断ち切り、すべての楽しみを得させ、法の身を成就させ、永遠に苦しみの尽きることはないものとしよう』と。かの仏の本願はこのようなものです。あなたがたは今、そこへ赴くなら、仏が行かれるように行き、仏がとどまられるようにとどまりなさい。」

諸菩薩眾俱發聲言:「如世尊勅。」一一菩薩各將無量百千萬億諸菩薩眾,以為眷屬,前後圍遶,往詣娑婆世界。所經國土皆六種震動,大光普照;虛空神天雨曼陀羅華、摩訶曼陀羅華,放大光明,神足感動恒沙世界;復有無量百千萬種諸天伎樂,於虛空中,不鼓自鳴。是諸菩薩等往詣耆闍崛山,到如來所,頭面禮足,遶佛三匝,却住一面。

諸々の菩薩たちは声を揃えて「世尊のお言葉の通りに致します」と申し上げました。そして一人ひとりの菩薩が、それぞれ無量の百千万億もの菩薩たちを従え、前後を囲んでサハー世界へと向かいました。通ってきた国々では、地面が六種に震動し、大きな光が遍く照らし渡りました。虚空の神々や天人は曼荼羅華や大曼荼羅華を降らせ、大いなる光明を放ち、神足通によって限りない世界を感動させました。さらに無量の百千万種の天人の楽器が、虚空中で打たれることもなく自然に鳴り響きました。これらの菩薩たちは、耆闍崛山に赴き、如来の御許に到るや、頭を地につけて御足を礼拝し、三度仏の周りを巡ってから、一方に退いて立ちました。

爾時如來復放大光,直照西方,過無量百千萬億諸佛國土,有世界名淨住,其佛號曰日月燈光如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。國名妙喜,其土平正,琉璃為地,黃金為繩,以界道側。七寶行樹,其樹皆高盡一箭道,華果枝葉次第莊嚴,微風吹動,出微妙音,眾生樂聞,無有厭足。處處皆有流泉浴池,其池清淨,金沙布底,八功德水盈滿其中;其池四邊有妙香華、波頭摩華、分陀利華、跋師迦華,青黃赤白,大如車輪而覆其上;其池水中有異類諸鳥,相和悲鳴,出微妙音,甚可愛樂;有七寶船亦在其中,而諸眾生自在遊戲。其樹林間敷師子座,高一由旬,亦以七寶而校飾之,復以天衣重敷其上,燒天寶香,諸天寶華遍布其地。日月燈光如來,而坐其上,結加趺坐。

その時、如来は再び大いなる光を放ち、真っ直ぐに西方を照らしました。無量百千万億もの諸仏の国土を越えた先に、浄住という名の世界がありました。そこに住む仏の名は、日月燈光如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊といいます。その国は妙喜と名付けられ、大地は平らで整い、瑠璃を地とし、黄金の綱で道の両脇を区切っていました。七宝で飾られた並木は、どれも一箭道ほどの高さで、花や果実、枝や葉が美しく整い、風がそよぐと心地よい音が響き渡り、人々は飽くことなくその音を聞きました。至る所に流れる泉や浴槽があり、その水は清らかで、底には金沙が敷き詰められ、八功徳水が満ち溢れていました。浴槽の周りには、妙なる香りの花、波頭摩華、分陀利華、跋師迦華が咲き誇り、青、黄、赤、白の色が車輪ほどの大きさで水面を覆っていました。水の中には様々な鳥たちがいて、互いに鳴き合い、美しい声を響かせ、人々を楽しませました。七宝でできた船もあり、人々は自由に遊び戯れていました。林の中には獅子座が設けられ、高さは一由旬あり、七宝で飾られていました。その上には天の衣が幾重にも重ねられ、天の宝香が焚かれ、天の宝華が地面一面に敷き詰められていました。そして日月燈光如来が、その座上に結跏趺坐してお姿を現されました。

彼國菩薩無量億千,前後圍遶,却住一面,合掌向於如來,異口同音,俱發聲言:「惟願世尊哀慈憐愍。以何因緣有此光明?青黃赤白,其色暉艷,難可得喻,從東方來,照此大眾,其有遇斯光者,心意泰然。惟願世尊斷我疑網。」

その国の菩薩たちは無数に集い、前後に囲みながら一か所に立ち止まり、合掌して如来に向かい、一斉に声を揃えて申し上げた。 「どうか世尊よ、哀れみと慈しみをもってお聞きください。どのような因縁でこのような光明があるのでしょうか。青、黄、赤、白、その色は輝き美しく、たとえようもありません。東の方から来て、この大いなる集いを照らしております。この光に触れた者たちは、心が安らかであります。どうか世尊よ、私たちの疑いの網を断ち切ってください。」

佛言:「諸善男子!諦聽!諦聽!善思念之,吾當為汝分別解說。東方去此無量百千諸佛世界,有世界號名娑婆,其中有佛,號曰釋迦牟尼如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊,大眾圍遶。今欲為諸大眾說《大方便大報恩經》,為欲饒益一切諸眾生故;為欲拔出一切眾生邪疑毒箭故;為欲令初發意菩薩堅固菩提不退轉故;為令一切聲聞辟支佛究竟一乘道故;為諸大菩薩速成菩提報佛恩故;欲令一切眾生念重恩故;欲令眾生越於苦海故;欲令眾生孝養父母故。以是因緣故,放斯光明。」

仏は言われた。「善き男子たちよ、よく聞け。よく聞き、よく心にとめなさい。私は今からあなたがたのために、一つひとつ詳しく説明しよう。東方、ここから数えきれないほどの百千の仏の世界を過ぎたところに、娑婆という名の世界がある。その世界に、釈迦牟尼如来という名の仏がおられる。彼は応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と呼ばれる方であり、大勢の人々に囲まれている。今、この大いなる人々のために『大方便大報恩経』を説こうとしている。それは、すべての衆生を利益しようがため、すべての衆生の邪見や疑いという毒矢を抜き去ろうがため、初めて菩提心を起こした菩薩たちの悟りへの志を揺るぎないものにしようがため、声聞や辟支仏たちに一乗の道を究めさせようがため、大菩薩たちが速やかに菩提を成就し仏の恩に報いるため、すべての衆生に深い恩を思い起こさせるため、苦しみの海を越えさせるため、父母に孝養を尽くさせるためである。これらの因縁によって、このような光明を放っているのである。」

爾時大眾中有十千菩薩,一一菩薩皆是大眾唱導之師,即從坐起,偏袒右肩,右膝著地,叉手合掌而白佛言:「惟願世尊加威神力,令我等輩得往娑婆世界,親近供養釋迦牟尼如來,并欲聽大方便佛報恩微妙經典。」

その時、大勢の中に一万の菩薩たちがいた。それぞれが人々を導く師であり、立ち上がって右肩を露わにし、右膝を地につけ、両手を合わせて仏に申し上げた。「どうか世尊よ、御威神力をもって、私たちが娑婆世界に赴き、釈迦牟尼如来に親しく近づき供養し、さらに『大方便仏報恩微妙経』を聴聞できますように。」

爾時彼佛告諸菩薩言:「善男子!汝往娑婆世界,若見彼佛,應生供養、恭敬、難遭之想。何以故?釋迦如來於無量百千萬億阿僧祇劫,難行苦行,發大悲願:『若我得成佛時,當於穢惡國土,山陵、堆阜、瓦礫、荊棘,其中眾生具足煩惱,五逆十惡,於中成佛而利益之,使斷一切苦,獲一切樂,成就法身,永盡無餘。』其佛本願如是。汝等今往,當如佛往,住如佛住。」

その時、かの仏は諸々の菩薩に告げて言われた。 「善き男子たちよ。あなたがたは娑婆世界へと向かいなさい。もしその世界の仏にお会いしたなら、供養し、敬い、めったに出会えない尊い方であると想いなさい。なぜなら、釈迦如来は無量百千万億阿僧祇劫という長い間、並みはずれた苦行を行い、大いなる慈悲の願いを起こされたからです。すなわち、『もし私が仏となる時は、必ず汚れ悪しき国土——山や丘、瓦礫や茨の満ちた世界において、そこに生きる煩悩を具え、五逆罪や十悪を犯す者たちのために、その中で仏となり彼らを利益し、一切の苦しみを断ち切り、すべての楽しみを得させ、法の身を成就させ、永遠に苦しみの尽きることはないものとしよう』と。かの仏の本願はこのようなものです。あなたがたは今、そこへ赴くなら、仏が行かれるように行き、仏がとどまられるようにとどまりなさい。」

諸菩薩眾俱發聲言:「如世尊勅。」一一菩薩各將無量百千萬億諸菩薩眾,以為眷屬,前後圍遶,往詣娑婆世界。所經國土皆六種震動,大光普照;虛空神天雨曼陀羅華、摩訶曼陀羅華,放大光明,神足感動恒沙世界;復有無量百千萬種諸天伎樂,於虛空中,不鼓自鳴。是諸菩薩等往詣耆闍崛山,到如來所,頭面禮足,遶佛三匝,却住一面。

諸々の菩薩たちは声を揃えて「世尊のお言葉の通りに致します」と申し上げました。そして一人ひとりの菩薩が、それぞれ無量の百千万億もの菩薩たちを従え、前後を囲んでサハー世界へと向かいました。通ってきた国々では、地面が六種に震動し、大きな光が遍く照らし渡りました。虚空の神々や天人は曼荼羅華や大曼荼羅華を降らせ、大いなる光明を放ち、神足通によって限りない世界を感動させました。さらに無量の百千万種の天人の楽器が、虚空中で打たれることもなく自然に鳴り響きました。これらの菩薩たちは、耆闍崛山に赴き、如来の御許に到るや、頭を地につけて御足を礼拝し、三度仏の周りを巡ってから、一方に退いて立ちました。

爾時釋迦如來五色光明照於北方,過五百萬億那由他諸佛國土,有世界名自在稱王,其中有佛,號曰紅蓮華光如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。國名離垢,其土清淨,琉璃為地,黃金為繩,以界道側。七寶行樹,其樹皆高盡一箭道,華果枝葉次第莊嚴,微風吹動,出微妙音,眾生樂聞,無有厭足。處處皆有流泉浴池,其池清淨,金沙布底,八功德水盈滿其中;其池四邊有妙香華、波頭摩華、分陀利華、跋師迦華,青黃赤白,大如車輪而覆其上;其池中有異類諸鳥,相和悲鳴,出微妙音,甚可愛樂;有七寶船亦在其中,而諸眾生自在遊戲。其樹林間敷師子座,高一由旬,亦以七寶而校飾之,復以天衣重敷其上,燒天寶香,諸天寶華遍布其地。紅蓮華光如來而坐其上,結加趺坐。

その時、釈迦如来の五色の光明が北方を照らし、五百万物の那由他もの諸仏の国土を越えた先に、自在称王という世界があった。そこには紅蓮華光如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と称される仏がおられた。その国は離垢といい、清らかな土地で、琉璃を大地とし、黄金の縄で道の両側を区切っていた。七宝の並木は、どれも一箭道の高さに達し、花や果実、枝葉が順序よく飾り立てられていた。微風が吹くと、微細で美しい音が響き、人々はそれを聞いて飽きることがなかった。至る所に清らかな泉や浴槽があり、その池は清らかで、金の砂が底に敷きつめられ、八功徳水が満ちていた。池の四辺には素晴らしい香りの花、波頭摩華、分陀利華、跋師迦華が咲き、青・黄・赤・白の色で、車輪ほどの大きさに広がって水面を覆い、池の中には様々な鳥たちが互いに鳴き合い、美しい音を奏でて、実に愛らしく楽しげであった。七宝の船もそこにあり、人々は自由に遊び戯れていた。その林の中には、獅子座が設けられ、高さは一由旬もあり、これも七宝で飾り立てられ、さらに天の衣が幾重にも敷かれ、天の宝香が焚かれ、諸天の宝華が地面一面に散りばめられていた。紅蓮華光如来はその上に結跏趺坐して座しておられた。

彼國菩薩無量億千,前後圍遶,却住一面,合掌向於如來,異口同音,俱發聲言:「惟願世尊哀慈憐愍,以何因緣有此光明?青黃赤白,其色暉艷,難可得喻,從南方來,照此大眾,其有遇斯光者,心意泰然。惟願世尊斷我疑網。」

その国の菩薩たちは無量億千もおり、前後に取り巻いて、少し離れたところに立ち、合掌して如来に向かい、口を揃えて声を揃えて言いました。「どうか世尊よ、哀れみ慈しみをもってお聞きください。どのような因縁でこのような光明があるのでしょうか。青・黄・赤・白、その色は輝き艶やかで、たとえようもありません。南方から来て、この大衆を照らしています。この光に触れた者は皆、心が安らかで穏やかになります。どうか世尊よ、私たちの疑惑の網を断ち切ってください。」

佛言:「善男子!諦聽!諦聽!善思念之,吾當為汝分別解說。南方去此無量百千諸佛世界,有世界號曰娑婆,其中有佛,號曰釋迦牟尼如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊,大眾圍遶。今欲為諸大眾說《大方便大報恩經》,為欲饒益一切諸眾生故;為欲拔出一切眾生邪疑毒箭故;為欲令初發意菩薩堅固菩提不退轉故;為令一切聲聞辟支佛究竟一乘道故;為諸大菩薩速成菩提報佛恩故;欲令一切眾生念重恩故;欲令眾生越於苦海故;欲令眾生孝養父母故。以是因緣,故放斯光明。」

仏は言われた。「善き男子よ、よく聞け、よく聞け。よく思い、よく念じなさい。私は今、あなたがたのため、一つ一つ説き明かそう。 南の方、ここから無量百千の諸仏の世界を過ぎたところに、娑婆という世界がある。その世界に、釈迦牟尼如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と号する仏がおられ、大勢の大衆に囲まれている。 今、その仏は、諸々の大衆のため、『大方便大報恩経』を説こうとしておられる。すべての衆生を益するため、すべての衆生の邪見や疑いという毒の矢を抜くため、発心したばかりの菩薩が菩提心を堅固にして退転しないようにするため、すべての声聞や辟支仏が一乗の道を究めるため、諸々の大菩薩が速やかに菩提を成就して仏の恩に報いるため、すべての衆生に重い恩を念じさせるため、すべての衆生が苦しみの海を渡るため、すべての衆生が父母に孝養を尽くすためである。このような因縁によって、このような光明を放たれたのである。」

爾時大眾中有十千菩薩,一一菩薩,皆是大眾唱導之師,即從座起,偏袒右肩,右膝著地,叉手合掌而白佛言:「唯願世尊加威神力,令我等輩得往娑婆世界,親近供養釋迦牟尼如來,并欲聽大方便佛報恩微妙經典。」

その時、会眾の中に一万の菩薩たちがいました。それぞれの菩薩は皆、大いなる衆生を導く師でした。彼らは立ち上がり、右肩を露わにし、右膝を地につけ、合掌して仏に申し上げました。「どうか世尊よ、御神力をもって私たちを力づけてください。どうか私たちをして娑婆世界に赴かせ、釈迦牟尼如来に親しく近づき供養し、さらに『大方便仏報恩』の微細なる経典を聴聞させてくださいませ。」

爾時彼佛告諸菩薩言:「善男子!汝往娑婆世界,若見彼佛,應生供養、恭敬、難遭之想。何以故?釋迦如來於無量百千萬億阿僧祇劫,難行苦行,發大悲願:『若我得成佛時,當於穢惡國土,山陵、堆阜、瓦礫、荊棘,其中眾生具足煩惱,五逆十惡,於中成佛而利益之,使斷一切苦,獲一切樂,成就法身,永盡無餘。』其佛本願如是。汝等今往,當如佛往,住如佛住。」

その時、かの仏は諸々の菩薩に告げて言われた。 「善き男子たちよ。あなたがたは娑婆世界へと向かいなさい。もしその世界の仏にお会いしたなら、供養し、敬い、めったに出会えない尊い方であると想いなさい。なぜなら、釈迦如来は無量百千万億阿僧祇劫という長い間、並みはずれた苦行を行い、大いなる慈悲の願いを起こされたからです。すなわち、『もし私が仏となる時は、必ず汚れ悪しき国土——山や丘、瓦礫や茨の満ちた世界において、そこに生きる煩悩を具え、五逆罪や十悪を犯す者たちのために、その中で仏となり彼らを利益し、一切の苦しみを断ち切り、すべての楽しみを得させ、法の身を成就させ、永遠に苦しみの尽きることはないものとしよう』と。かの仏の本願はこのようなものです。あなたがたは今、そこへ赴くなら、仏が行かれるように行き、仏がとどまられるようにとどまりなさい。」

諸菩薩眾俱發聲言:「如世尊勅。」一一菩薩各將無量百千萬億諸菩薩眾,以為眷屬,前後圍遶,往詣娑婆世界。所經國土皆六種震動,大光普照;虛空神天雨曼陀羅華、摩訶曼陀羅華,放大光明;神足感動恒沙世界。復有無量百千萬種諸天伎樂,於虛空中不鼓自鳴。是諸菩薩等往詣耆闍崛山,到如來所,頭面禮足,遶佛三匝,却住一面。乃至四維上下十方諸來大菩薩摩訶薩眾,各與若干百千眷屬俱至如來所,供養恭敬,尊重讚歎,異口同音各說百千偈頌讚歎於佛。讚歎佛已,却住一面。

諸々の菩薩たちは声を揃えて「世尊のお言葉の通りにいたします」と答えました。そして、一人ひとりの菩薩が無量百千万億の菩薩たちを眷属として従え、前後を取り囲んで娑婆世界へと向かいました。通り過ぎる国土はことごとく六種に震動し、大いなる光が遍く照らしました。虚空の神々や天人は曼陀羅華や大曼陀羅華を降らせ、光明を放ちました。神通力によって、ガンジス川の砂の数ほどの世界が感動しました。また、無量百千万種の天の音楽が虚空の中で鼓を打たずに自然と鳴り響きました。これらの菩薩たちは耆闍崛山に到り、如来の御許に至って、頭を地につけ足に礼し、仏の周りを三度巡り、その後、一方に退いて立ちました。さらに、四方・四維・上下の十方から来た大菩薩・大士たちも、それぞれ多くの眷属を従えて如来の御許に至り、供養し、敬い、尊重し、讃歎しました。彼らは口を揃えて、それぞれ百千の偈頌をもって仏を讃えました。そして仏を讃え終えると、一方に退いて立ちました。

時,娑婆世界即變清淨,無諸山藪、大小諸山、江河池湖、溪㵎溝壑。其中眾生尋光見佛,歡喜合掌,頭頂禮敬,心生戀慕,目不暫捨。爾時世尊即攝光明,遶身七匝,還從頂入。尊者阿難觀察眾心,亦咸皆有疑。欲顯發如來方便密行故,并欲為未來一切眾生開其慧眼故;欲令一切眾生渡渴愛海,得至彼岸,永得安樂故;欲令眾生念識父母師長重恩故,即從座起,整衣服,偏袒右肩,胡跪合掌,而白佛言:「世尊!阿難事佛已來,未曾見佛笑。笑必有意。願佛示之,願佛說之,斷除如是大眾疑網。」

その時、娑婆世界はたちまち清らかになり、山々や丘陵、大小の山々、川や湖、沢や谷などは一切なくなった。その世界の衆生は、その光を追って仏を見ることができ、喜んで手を合わせ、頭を地につけて礼拝し、心から敬愛の念を抱き、その姿から一瞬も目を離さなかった。

その時、世尊は光明を収められ、その光は身の周りを七度巡って、頭頂から再び体内へと入っていった。尊者の阿難は、大衆の心に皆一様に疑問が生じているのを観察した。そこで、如来の方便の秘められた行いを明らかに示そうとし、また未来のすべての衆生のために智慧の眼を開こうとし、さらにすべての衆生が渇愛の海を渡り、向こう岸に至り、永遠の安らぎを得られるようにしようとし、そして衆生が父母や師長の深い恩を思い知るようにしようと思い、座を立ち、衣を整え、右肩をあらわにして、片膝をつき、手を合わせて仏に申し上げた。

「世尊よ。阿難が仏にお仕えして以来、仏がお笑いになるのを見たことはございません。お笑いになるときは、必ずそこに深いお心がございます。どうかその意味をお示しください。どうかお語りください。この大衆の迷いの網を取り除いてくださいませ。」


2 孝養品

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