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釈教最上乗秘密蔵陀羅尼集 (釋教最上乘秘密藏陀羅尼集)


釋教最上乘秘密藏陁羅尼集序 俊字号
(上都大安國寺傳密教超悟大師賜紫三藏沙門 行琳 述)
陁羅尼者,揔持之梵稱也,開佛心之秘藏,示聖證之樞由,至理極譚,上乘宗要,秘中之秘,印三藏以導教機,玄乃復玄,加聲字而明法理,弘旨普光之妙體,垂密語以覆宣,將通常寂之靈功,依真言而顯唱,現意生之悲幻,啟頓悟之菩提。金剛一乘甚深微細,超言文之實智,霈教令而普應群機,離形色之常身,奮調伏而大興化相。斯者,諸佛若捨加持之力,十地菩[薩-產+(辛/工)]尚非其境界,況生死中人,豈得聞乎!矚萬法交紛,悟之者無性,聖智妙邃,契之者無心,故至人以無心之深慧,契無性之真空,根境兩冥,情緣俱寂,豈容名相於其閒哉!但為含靈迷自三業,不了唯心,妄惑昏緾,汩沒生死,故聖人以憫歎起同體悲心,開方便門,示真常路,大事因緣,攝生利物,觀乎無為而體本寂然,有作乃神功頗測,皆難思之力也。是以善逝垂㩲,應真覺樹,智越有空之表,身分百億之方,圓萬德以福勞生,演一實而拔情品,固得道洽千靈,悲沾九有,法開頓漸,齊登解脫之鄉,教被根冝,盡達無為之旨,初談鹿菀,韜辯鶴林,慈化有緣,導利無極,擢塵迷於見海,等詣圓成,引稚子以三車,咸臻樂果,運悲智而不息,窮劫際而弘深,断截苦源。偉哉調御!雖則教演多途,宗分唯二,顯之與密,統盡其源。顯謂五性三乘,俻諸經論。密謂揔持秘藏陁羅尼門,肇啟毗盧之尊,廣示金剛智印,授聽普賢之眾,方開三密幽扃,秘教斯興,自茲而始,尒後梵漢相傳,昔今靡絕。最上乘教,不共圓宗,五智㩲實之洪源,瑜伽奧旨,三密塵沙之大利,遍照真筌。然寄有為皆示無相,必使來學知一切法本自不生,見心明道,偶乖其趣者,尚枉勞於歲月,故先哲云:三乘教外,別有持明,雖復言同字同,而功別義別。原乎上通至覺,下徹世天,以大智如理而證,以大悲如證而說,為令學者獲真義利,與我無異,寔為理超,名相假之以聲字,波騰秘密之談,智離去來,寄之以摽圖,雲布形儀之設,故《般若經》云:揔持無文字,文字顯揔持,由般若大悲故,以文字說,其由體也。又云:揔持猶妙藥,亦如天甘露,能療眾惑病,服者常安樂,其由利也。儻能學蘊於心,即凡夫三業成功德聚,身同窣覩波,語為妙法音,性作光明藏,五無閒之極舋,應念雲銷,十𢙣業之巨𠍴,纔聞霧散。發菩提心之覺慧,啟悟法身,住白月輪之等持,圓周福智,三密相應。以菩提心住本尊觀,一念瑜伽俄登上地,證本無漏智性,是知自心成就,無得而得,如實現前,即於此生便作有苦邊際,何勞進修多劫,不歷僧祇獲法身者,斯之謂歟,其利大也,難可名焉,廓[抗-几+(└@(庚-(序-予)))]坦夷,獨稱最勝。三途人天之趣久溺漂沉,二乘十地之流尚拘因果,羽毛酸辛之軰須假教慈,邪迷妄執之徒冝滂法雨。大要乎!拯汲淺凡,梯𮎃苦類,遂令塵飄影爍,神翫天宮,土散水沾,識分𢙣趣,滅七返之重隟,壽命增延,蠲積世之昏愚,聞持辯慧,浣滌意垢,披豁情疑,誠哉迅途,讚揚莫及!自金仁應夢,大教西來,貝葉雖譯於真文,密藏未宣於修旨。洎我大唐開元𥝝中,厥有釋迦善無畏三藏、金剛智三藏、不空三藏,三大阿闍梨繼至長安,方始巨陳密理,備搌修儀,秘教大布於支那,壇像遍摸於僧宇,師資傳習,代無閒焉!(行琳)不揆踈昧,幸早宗師勉憚澄襟,討探積歲,住法身之止觀,頓入佛乘,置明字以融心,超昇性地,喜躬寶所,欣踐玄涯,空申發行之勤,寧滿悉地之志,思有情具含覺性,秖弱瀑流,悲熱惱常困四生,難施雷雨,聖言可閔,誠為痛傷!況佛日沉暉,像教荒墜,懸絲殘響,孰幾擔護,每慙薄祐虛會明時,奉持之願雖深,崇紹之能匪立,覿彼顯教代有英才,省我密宗緇流少習,益以𭁿乱之後,明藏星隳,慮漸陵夷,敢申微志,乃詢諸舊譯,搜驗眾經,言多質略,不契梵音,今則揩切新文,貴全印語,希揔持之不墜,誓密炬以長輝,然彼方此方字別,而唐音梵音聲同,必使華竺韻齊,遐邇言類,通學者之脩,逕達聖旨之幽蹤,意盡明門。卷成三十,分品族以隔高卑,約悲奮而階次第,佛頂顯最尊奇特,佛心示覺體玄深,諸佛以福智果圓,佛母表出生慈育,菩[薩-產+(辛/工)]悲行接物,明王調伏難調,聖天殄毒豐饒,世主加威愛護,諸經散說巧濟隨根。內則芟裂惑疑,外乃袪除障難,增長福聚,開發慧門,成就神通,堅固力勢者,無比越陁羅尼也。牋烈聖證之文,寶積金言之利,譬猶採瓌琦於瀛渚,出珠璧於賢瓶,所冀上報國恩,敬酬佛德,希寰海之清寧,保皇圖於萬劫,伏願見聞蒙益,悉發覺心,讀念居懷,齊登樂果,敢以傳諸同志,期盡將來,極導無邊。但深感仰之至,慙省寡聞,聊申紀序。

陀羅尼とは、総じて保持するという梵語の呼び名である。仏の心の秘蔵を開き、聖なる証悟の枢要を示す。究極の真理を極め、上乗の宗要を説く。秘中の秘であり、三蔵を印して教えの機根を導く。玄妙にしてさらに玄妙、声と字を加えて法の理を明らかにする。広大な旨は普く光る妙なる体であり、密語を垂れて覆い宣べる。常に寂たる霊妙な功徳を将ち、真言によって明らかに唱える。意生の悲幻を現じ、頓悟の菩提を啓く。金剛一乗は甚深微細にして、言葉や文字を超えた実智であり、教令を沛然として普く群機に応じる。形や色を離れた常身であり、調伏を奮って大いに化相を興す。これらは、諸仏がもし加持の力を捨てれば、十地の菩薩でさえその境界には及ばず、まして生死の中の人間が、どうして聞くことができようか。万法が交錯し紛れるのを見て、悟る者は無性であり、聖智は妙邃にして、それに契う者は無心である。故に至人は無心の深慧をもって、無性の真空に契い、根と境の両方が冥じ、情と縁がともに寂する。どうしてその間に名相を容れることができようか。ただ、含霊が自らの三業に迷い、唯心を了せず、妄惑に昏く纏われ、生死に汩没するためである。故に聖人は憫み歎いて同体の悲心を起こし、方便の門を開き、真常の路を示す。大事の因縁として、衆生を摂取し利益を与える。無為を観じて体は本より寂然であり、有作は神功にして測り難い。皆、難思の力である。それゆえ善逝は垂迹し、応真の覚樹に現れ、智は有と空の表を越え、身は百億の方に分かれる。万徳を円満にして労生を福し、一実を演じて情品を抜く。固より道は千霊に洽く、悲は九有に沾う。法は頓と漸を開き、斉しく解脱の郷に登り、教えは根機に応じて、尽く無為の旨に達する。初めに鹿苑で説き、鶴林で弁を韜め、慈化は有縁にあり、導利は無極である。塵迷を見海から擢げて、等しく円成に詣らせ、稚子を三車に引いて、咸く楽果に臻らせる。悲智を運んで息まず、劫際を窮めて弘深である。苦の源を断截する。偉大なるかな調御よ。教えは多途に演じられ、宗は唯二に分かれる。顕と密であり、その源を統べて尽くす。顕とは五性三乗であり、諸々の経論に備わる。密とは総持秘蔵陀羅尼門であり、初めに毘盧遮那仏の尊を啓き、広く金剛智印を示す。普賢の衆に授け聞かせて、初めて三密の幽き扃を開く。密教はここに興り、これより始まる。その後、梵漢相伝し、昔より今に絶えることはない。最上乗の教え、不共の円宗である。五智の尊実の洪源、瑜伽の奥旨である。三密塵沙の大利、遍照の真筌である。しかし有為に寄せて皆無相を示す。必ず来学をして一切の法は本より自ら生ぜず、心を見て道を明らかにすることを知らしめる。たまたまその趣に乖く者は、なお歳月を枉げて労する。故に先哲は云う、三乗の教えの外に、別に持明がある。たとえ言葉が同じく字が同じくとも、功は別なり義は別であると。そもそも上は至覚に通じ、下は世天に徹する。大智をもって如理に証し、大悲をもって如証に説く。学ぶ者が真の義利を得て、我と異ならざらしめるためである。実に理は超え、名相はこれに声と字を仮る。波は秘密の談を騰げ、智は去来を離れ、これに標図を寄せる。雲は形儀の設けを布く。故に『般若経』に云う、総持は文字無く、文字は総持を顕す。般若大悲による故に、文字をもって説く。その由る体である。また云う、総持は妙薬の如く、また天の甘露の如し。衆惑の病を療すること能く、服する者は常に安楽なり。その由る利である。もし能く学んで心に蘊めば、即ち凡夫の三業も功徳の聚となり、身は窣覩波と同じく、語は妙法の音となり、性は光明の蔵となる。五無間の極舋は、応念にして雲の如く銷え、十悪業の巨𠍴は、纔に聞いて霧の如く散ず。菩提心の覚慧を発し、法身を悟り啓く。白月輪の等持に住し、福智を円周する。三密相応する。菩提心をもって本尊観に住し、一念の瑜伽は俄かに上地に登り、本の無漏智性を証する。これにより自心の成就を知る。得ること無くして得、如実に現前する。即ちこの生において便ち有苦の辺際を作す。どうして進修多劫を労し、僧祇を歴ることなく法身を獲ることをせん。これこそがそれである。その利は大なり、名づけ難し。廓坦夷にして、独り最勝と称す。三途人天の趣は久しく漂沈に溺れ、二乗十地の流れは尚お因果に拘わる。羽毛酸辛の輩は須らく教慈を仮るべく、邪迷妄執の徒は宜しく法雨に滂すべきである。大要は、浅凡を拯い汲み、苦類を梯𮎃することにある。遂に塵は飄き影は爍き、神は天宮に翫び、土は散じ水は沾い、識は悪趣に分かれる。七返の重隟を滅し、寿命は増延し、積世の昏愚を蠲い、聞持弁慧を得る。意の垢を浣滌し、情の疑を披豁する。誠に迅途なり、讃揚及び難し。金の仁夢に応じて、大教西より来る。貝葉は真文に訳されしも、密蔵は未だ修旨に宣べず。我が大唐開元の初めに至り、ここに釈迦善無畏三蔵、金剛智三蔵、不空三蔵の三大阿闍梨、継いで長安に至り、方に始めて密理を巨陳し、修儀を備搌す。密教は支那に大いに布き、壇像は僧宇に遍く摸す。師資伝習、代として間あることなし。行琳、疎昧を揆えず、幸いに早く宗師に勉憚し澄襟し、討探積歳す。法身の止観に住し、仏乗に入る。明字を置いて心に融し、性地に超昇す。宝所に躬くことを喜び、玄涯に践むことを欣ぶ。空しく発行の勤を申し、寧ろ悉地の志を満たさん。有情は覚性を含むも、只だ弱き瀑流なり。熱悩は常に四生に困し、雷雨を施し難しと悲しむ。聖言は憫むべく、誠に痛傷なり。況や仏日は沈暉し、像教は荒墜す。懸絲の残響、誰か幾ばくか担護せん。常に薄祐を慙じ、明時に虚しく会す。奉持の願いは深しといえども、崇紹の能は立たず。彼の顕教を見れば代々英才あり。我が密宗を省みれば緇流少習す。益々𭁿乱の後、明蔵は星の如く隳ち、漸く陵夷するを慮り、敢えて微志を申す。乃ち諸の旧訳に詢い、衆経を搜験す。言多くは質略にして、梵音に契わず。今は新文を揩切し、貴ぶに印語を全うするにあり。総持の墜ちざることを希い、密炬の長く輝くことを誓う。然れども彼方と此方とは字別れ、唐音と梵音とは声同じ。必ず華竺の韻を斉しくし、遐󵕴の言を類せしめ、通学の者の修径を通じ、聖旨の幽蹤に達せしめ、意は明門に尽くさん。巻は三十に成り、品族を分けて高卑を隔て、悲奮に約して次第に階す。仏頂は最尊奇特を顕し、仏心は覚体玄深を示す。諸仏は福智果円をもってし、仏母は出生慈育を表す。菩薩は悲行をもって物に接し、明王は難調を調伏す。聖天は毒を豊饒にし、世主は威を加えて愛護す。諸経は散説して巧みに随根に済う。内は則ち惑疑を芟裂し、外は乃ち障難を袪除す。福聚を増長し、慧門を開発し、神通を成就し、力勢を堅固にする者は、無比越の陀羅尼である。聖証の文を牋烈し、宝積金言の利を集む。譬えば瀛渚に瓌琦を採り、賢瓶に珠璧を出すが如し。冀うところは、上は国恩に報い、敬って仏徳に酬い、寰海の清寧を希い、皇図を万劫に保たんこと。伏して願わくは、見聞する者蒙益し、悉く覚心を発し、読念して居懐し、斉しく楽果に登らんことを。敢えて同志に伝え、将来を期して尽くさん。極めて無辺を導く。ただ深く感仰の至りを懐い、慙じて寡聞を省み、聊かに紀序を申す。

時大唐𠃵寧五𥝝,歲在戊午,寄安順政太陽𨂷次大火望圓之日集畢。
釋教最上乘秘密藏陁羅尼集卷第一

最上乗秘密蔵陀羅尼集 第一巻

(上都大安國寺傳密教超悟大師賜紫三藏沙門 行琳 集)

卷一題名

CBETA コード: F1071

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