法句經卷上
法句経 巻上
尊者法救撰
尊者法救作
吳天竺沙門維祇難等譯
呉の天竺僧 維祇難ら訳
無常品第一二十有一章
第一章 無常品(二十一節)
無常品者,寤欲昏亂,榮命難保,唯道是真。
無常の章は、欲望に惑わされて心が乱れ、栄華や命が長く続かないことを悟らせ、ただ道こそが真実であることを示す。
睡眠解寤, 宜歡喜思, 聽我所說,
撰記佛言。 所行非常, 謂興衰法,
夫生輙死, 此滅為樂。 譬如陶家,
埏埴作器, 一切要壞; 人命亦然。
如河駛流, 往而不返; 人命如是,
逝者不還。 譬人操杖, 行牧食牛;
老死猶然, 亦養命去。 千百非一,
族姓男女, 貯聚財產, 無不衰喪。
生者日夜, 命自攻削, 壽之消盡,
如𢄋䨍水。 常者皆盡, 高者亦墮,
合會有離, 生者有死。 眾生相剋,
以喪其命, 隨行所墮, 自受殃福。
老見苦痛, 死則意去; 樂家縛獄,
貪世不斷。 咄嗟老至, 色變作耄;
少時如意, 老見蹈藉。 雖壽百歲,
亦死過去; 為老所厭, 病條至際。
是日已過, 命則隨減, 如少水魚,
斯有何樂? 老則色衰, 所病自壞,
形敗腐朽, 命終自然。 是身何用?
恒漏臭處, 為病所困, 有老死患。
嗜欲自恣, 非法是增, 不見聞變,
壽命無常。 非有子恃, 亦非父兄,
為死所迫, 無親可怙。 晝夜慢惰,
老不止婬, 有財不施, 不受佛言。
有此四弊, 為自侵欺。
眠りから覚めたなら、喜びの心でよく考え、私の言葉を聞きなさい。
仏の言葉を書き記した。 すべての営みは移り変わる、それは「生じ、そして滅する」という道理。 生まれた者は必ず死ぬ、この滅びこそが真の安らぎである。 まるで陶芸家が土をこねて器を作るように、すべてのものは壊れる定めにある。 人の命もまた同じだ。
川の流れが速く、行ったきり戻らないように、人の命もまた、 過ぎ去った者は戻らない。 まるで人が杖を持ち、牛を追い、草を食べさせて育てるようであり、 老いや死もまた同じで、命を養いながらも連れ去られていく。
数えきれない多くの家柄の男女たちが財産を蓄えても、衰えずに済むものはない。 生きている者は日夜、命が削られていき、寿命が尽きていく様は、 井戸の水が涸れていくようだ。 永続するものはすべて尽き、高いものもまた落ち、出会いは必ず別れ、生あるものは死ぬ。 生きとし生けるものは互いに傷つけ合い、命を失う。 その行いに従い堕ちて行き、自らで福と禍を受けるのだ。
老いは苦しみをもたらし、死は意識を去らせる。 家に縛られ、獄にいるように執着するのは、世への貪りが絶えないからだ。 ああ、老いが来れば、容色は変わり、老いぼれる。 若い頃は思いのままだったが、老いれば踏みにじられる。 たとえ百年の命があっても、やはり死は過ぎ去り、 老いに嫌われ、病の時が訪れる。
今日という日は過ぎ去り、命はそれに従い減っていく。 水の減った池の魚のようなものだ。そこに何の楽しみがあろうか? 老いは容色を衰えさせ、それによって病が自然と生じ、 体は朽ち、命は自然に終わる。 この体に何の意味があろうか? 常に漏れ出る汚れた場所であり、病に苦しめられ、老いと死の悩みがある。
欲望に任せて好き放題にすれば、正しくない行いが増え、 変化に気づかず、寿命が無常であることを見ない。 子供が頼りになるわけでもなく、父や兄も頼りにならない。 死に迫られれば、頼れる親族はいない。
昼夜怠け、老いても欲望をやめず、 財があっても施さず、仏の言葉を受け入れない。 この四つの過ちがあると、自らを欺き傷つけるのである。
非空非海中, 非入山石間,
無有地方所, 脫之不受死。
是務是吾作, 當作令致是,
人為此𮜒擾, 履踐老死憂。
知此能自淨, 如是見生盡,
比丘厭魔兵, 從生死得度。
(この世に)空にもなく、海の中にもなく、 山や岩の間に入ることもなく、 死から逃れて免れ得る場所は、 どこにも存在しない。
この務めは私が作ったものであり、 それを成し遂げるために作られた。 人はそれによって悩まされ、 老いと死と憂いを踏み越える。
これを知って自らを清め、 このように生の尽きるのを見て、 比丘は魔の軍勢に厭離し、 生死の苦しみから解脱する。