大唐新翻護國仁王般若經序
大唐新訳護国仁王般若経序
代宗皇帝製
代宗皇帝の御製
皇矣至覺,子于元元。截有海以般若之舟,剪稠林以智慧之劍。綿絡六合,羅罩十方。弘宣也深,志應也大。自權輿天竺,泳沫漢庭,行無緣之慈,納常樂之域。信其博施,傾芥城而逾遠;仰夫湛寂,超言象之又玄。五始不究其初,一得罔根其本。以彼取此,何其遼哉!朕忝嗣鴻休,丕承大寶,軫推溝以夕惕,方徹枕而假寐。夫其鎮乾坤、遏寇虐、和風雨、著星辰,與物無為、乂人艱止,不有般若,其能已乎?朕嘗澡身定泉、宅心道祕,緬尋龍宮之藏,稽合鷲峰之旨,懿夫護國,實在茲經。竊景行於波斯,庶闡揚於調御,至若高張五忍,足明側隱之深;永祛眾難,寔惟化清之本。名假法假、心空色空,推之於無則境智都寂,引之於有迺津梁不窮。思與黎蒸共臻實相,而緹油貝葉文字參差,東夏西天言音訛謬,致使古今翻譯清濁不同,前後參詳輕重匪一。其猶大輅,終繼事而增華;譬彼堅氷,始積水而非厲。先之所譯,語質未融,披讀之流臨文三覆,凡諸釋氏良用慨然。
皇なるかな、至高の覚者よ、すべての衆生を慈しみ給う。苦海を智慧の舟で渡らせ、煩悩の密林を智慧の剣で切り開かれる。その教えは天地四方に広がり、十方世界を包み込む。その教えは深遠であり、その志は広大である。インドに始まり、漢の国に伝わり、縁なき衆生にも慈悲を施し、常楽の境地へと導かれる。その広大な施しは、芥子の城を傾けるよりも遠くに及び、その深遠な静寂は、言葉や形を超えてさらに玄妙である。五つの始まりもその根源を究め尽くせず、一つの悟りもその根本を捉えきれない。それに比べて、この世のものはなんと遠くかけ離れていることか。
朕は天の恵みを継ぎ、大いなる宝を受け継ぎ、民の苦しみを思い夜も安らかに眠れず、枕を離れて仮眠をとるばかりである。天地を鎮め、乱を防ぎ、風雨を調和させ、星辰を明らかにし、万物と無為にありながら、人々の苦しみを救う。これらは、智慧がなければどうして成し得ようか。朕はかつて禅定の泉で身を清め、道の奥義に心を住まわせ、龍宮の経蔵をたどり、霊鷲山の教えと照らし合わせた。国を護ることは、まさにこの経典にあると確信する。かつてペルシアの賢者が実践したように、仏陀の教えを広めたいと願う。五忍を高く掲げれば、慈悲の深さが明らかになる。すべての難を永遠に取り除くことが、まさに教化と清浄の根本である。名も法も仮のものであり、心も色も空である。無に推し進めれば境も智もすべて寂滅し、有に引き寄せれば救いの道は尽きることがない。
朕は民衆と共に実相に至りたいと願う。しかし、経典の文字はさまざまであり、東と西では言葉に誤りがある。そのため、古今の翻訳は清濁が異なり、前後の解釈も軽重が定まらない。それはちょうど、立派な車が装飾を加えて完成するように、また堅い氷が水を積み重ねてできるのと同じである。以前の翻訳は言葉が素朴で融和に欠け、読む者は文を前にして幾度も読み返さねばならず、仏教に携わる者としてまことに慨嘆せざるを得ない。
先聖翹誠玉毫,澹慮真境,發揮滿教,搜綴缺文,詔大德三藏沙門不空,推校詳譯未周部卷。三藏學究二諦、教傳三密,義了宗極、伊成字圓,褰裳西指、汎盃南海,影與形對,勤將歲深,妙印度之聲明、洞中華之韻曲,甘露沃朕香風襲予。既而梵夾遠齎,洪鍾待扣,佇延吹萬之籟、率訓開三之典。朕哀纏欒棘,悲感霜露,捧戴
遺詔,不敢怠遑,延振錫之群英、終為山之九仞。開府朝恩,許國以身、歸佛以命,弼我真教申夫妙門。爰令集京城義學大德良賁等,翰林學士常袞等,於大明宮南桃園,詳譯《護國般若》畢,并更寫定《密嚴》等經。握槧含毫,研精賾邃,曩者訛略刊定較然,昔之沈隱鉤索煥矣。足可懸諸日月大燭昏衢,潤之雲雨橫流動植。伏願上資仙駕,飛慧雲於四天;逈出塵勞,躡金蓮於十地。朕理昧幽關、文慙麗則,見推序述,惋撫空懷。聊紀之於首篇,庶克開于厥後,將發皇永永,可推而行之。時,旃蒙歲木槿榮月也。
朕は先帝の遺詔を拝し、怠ることなく急ぎ、高僧たちを招き集め、仏法の大業を完成させようと努めました。開府朝恩は身を国に捧げ、命を仏に帰し、わが真の教えを助け、妙なる法門を明らかにしました。そこで、都の義学の高僧・良賁らと、翰林学士・常袞らに命じ、大明宮南の桃園において『護国般若経』の詳細な翻訳を完成させ、さらに『密厳経』などの経典を書き定めさせました。
彼らは筆を執り、深遠な教えを研究し、従来の誤りや不備を正し、かつて不明瞭だった部分を明らかにしました。これにより、経典は日月のように暗き道を照らし、雲雨のように万物を潤すものとなりました。どうかこの功徳が先帝の御霊を助け、四方の天に智慧の雲を飛ばし、塵労を超えて十地に金蓮を踏まれることを願います。
朕は深遠な道理に通じず、文才も麗しさに欠けますが、推されて序文を述べるに及び、空しい胸をなでて感慨にふけります。とりあえず巻頭に記し、後世の人々がこれを開いて広く行うことを願います。時に、旃蒙の年、木槿の栄える月なり。
仁王護國般若波羅蜜多經卷上
開府儀同三司特進試鴻臚卿肅國公食邑三千戶賜紫贈司空謚大鑒正號大廣智大興善寺三藏沙門不空奉 詔譯