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修行本起経 (修行本起經)

「修行本起經」について

後漢 · 底本の訳者:竺大力共康孟詳

1.4 万字 · 約 48 分

『修行本起経』は、後漢時代の訳経僧である竺大力と康孟詳が共訳した、初期の漢訳仏典の一つです。この経典は、釈迦牟尼仏の降誕から成道に至るまでの生涯を記し、特に太子の城を出て出家する場面、六年にわたる苦行、そして菩提樹下での悟りといった重要な出来事に焦点を当てています。仏伝文学における重要な経典であり、漢伝仏教の十二部経の中でも「本起類」を代表する作品として、原始仏教の修行観と仏陀観を体系的に保存しています。これにより、仏陀の生涯や初期仏教思想を研究する上で貴重な文献となっています。後漢時代、仏教が中国に伝来した初期に訳出されたこの経典は、漢地において仏陀の姿と修行の段階を理解する基礎を築き、今日でも仏教の基本的な読本として位置づけられています。


修行本起經卷上

修行本起経 巻上

後漢西域三藏竺大力共康孟詳譯

後漢、西域の三蔵竺大力と康孟詳による共訳

現變品第一

現変品第一

聞如是:

このように私は聞きました。

一時佛在迦維羅衛國,釋氏精舍尼拘陀樹下,與大比丘眾千二百五十人俱,皆是阿羅漢——已從先佛,淨修梵行,諸漏已盡,意解無垢,眾智自在,曉了諸法,離於重擔,逮得所願,三處已盡,正解已解,三神滿具,六通已達——比丘尼眾,大伏愛等五百人;不可計諸優婆塞、優婆夷四輩;普集諸異學婆羅門、尼揵等不可計,都悉來會。一切諸四天王、忉利天王、炎天王、兜術天王、尼摩羅提天王、波羅尼蜜天王、梵天王,乃至阿迦膩吒天王,各與無央數眾,皆悉來會。諸龍王、阿須倫、迦留羅、真陀羅、摩休勒,一一尊神,復各與眷屬,皆悉會來。白淨王、無怒王、無怨王、甘露淨王及迦維羅衛九億長者,各從官屬,一時來會,為佛作禮,却坐一面。

ある時、仏は迦維羅衛国(カピラヴァストゥ)にある釈氏の精舎、尼拘陀(ニグローダ)樹の下におられました。そこには大比丘衆一千二百五十人が集まっていました。彼らはみな阿羅漢であり、すでに過去の仏のもとで清浄に梵行を修め、諸々の結・漏を尽くし、心は解脱して汚れがなく、すべての智慧は自在であり、諸法を明瞭に理解し、重荷を下ろし、願いを達成し、三界での輪廻を尽くし、正しい智慧によって解脱し、三明を具足し、六通に達していました。

また、比丘尼衆としては大伏愛をはじめとする五百人が集まっていました。さらに、優婆塞、優婆夷といった四衆の人々も数え切れないほど集まり、諸々の異学のバラモンや尼乾子(ニガンタ)たちも無数に集まり、みなことごとく会座に参集しました。

あらゆる四天王、忉利天王、炎天王、兜術天王、尼摩羅提天王、波羅尼蜜天王、梵天王、そして阿迦膩吒天王に至るまで、それぞれが無数の眷属を率いて皆ことごとく来会しました。諸々の龍王、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽も、それぞれが神として眷属を伴い、皆ことごとく集まってきました。

白浄王、無怒王、無怨王、甘露浄王、および迦維羅衛の九億の長者たちも、それぞれ従者や眷属を伴い、同時に来会して仏を礼拝し、退いて一面に座りました。

爾時佛放身三十二相、八十種好光明,普照三千世界,如月盛滿星中特明,威神堂堂。眾聖中王一切眾會,咸有疑心,各自念言:「太子生迦維羅衛,長白淨王家,棄國行學,道成號佛。為於樹下六年得道耶?十二年得乎?」或復念言:「本行何術,致斯巍巍?所事何師,今得特尊?始修何法,得成為佛?」

その時、仏は三十二相、八十種好の光明を放ち、三千世界をあまねく照らされました。まるで満月が星々の中でひときわ輝くように、その威神の姿は堂々としていました。

すべての聖者の中の王である仏の前に集う大衆は、皆、疑いの心を抱き、それぞれ心の中でこう思いました。

「太子はカピラヴァストウに生まれ、浄飯王の家で育たれましたが、国を捨てて修行され、悟りを開かれて仏と称せられるようになりました。果たして、菩提樹の下で六年で悟りを得られたのでしょうか?それとも十二年でしょうか?」

ある者はまたこう考えました。

「そもそも、どのような修行を積まれて、これほど尊い境地に至られたのか?どのような師に仕えられて、今このように特別な尊さを得られたのか?最初にどのような教えを修められて、仏となられたのか?」

佛知一切皆有疑意,便告摩訶目揵連:「汝能為怛薩阿竭說本起乎?」

仏はすべてに疑念があることを知り、摩訶目揵連に告げた。「そなたは如来のために本起を説くことができるか?」

於是目揵連,即從座起,前整衣服,長跪叉手,白佛言:「唯然世尊!今當承佛威神,持佛神力,為一切故,當廣說之。」

そこで目揵連は、すぐに座から立ち上がり、衣を整えて前に進み、ひざまずき、手を合わせて、仏に申し上げました。 「はい、世尊よ。今、仏の威神を承け、仏の神力を持ち、すべての衆生のために、広く説き明かしましょう。」

佛言:「宿命無數劫時,本為凡人,初求佛道以來,精神受形,周遍五道,一身死壞,復受一身,生死無量,譬喻盡天下草木,斬以為籌,計吾故身,不能數矣!夫極天地之始終,謂之一劫,而我更天地成壞者,不可稱載也!所以感傷世間貪意,長流沒於愛欲之海,吾獨欲反其原故,自勉而特出,是以世世勤苦,不以為勞,虛心樂靜,無為無欲,損己布施,至誠守戒,謙卑忍辱,勇猛精進,一心思微,學聖智慧,仁活天下,悲窮傷厄,慰沃憂慼,育養眾生,救濟苦人,承事諸佛,別覺真人,功勳累積,不可得記。

仏は言われた。「過去の無数の劫において、私はもともと凡夫であった。初めて仏道を求め始めて以来、心はさまざまな形を受けて、五道に遍く輪廻し、一つの身体が死んで壊れると、また別の身体を受けてきた。生死の数は限りなく、たとえば世界中の草木をすべて切り取って算木にしたとしても、私の過去の身体の数を数え尽くすことはできない。天地の始まりから終わりまでの極みを一劫というが、私が天地の生成と壊滅を経験した数は、とても言い表すことができないほどである。それゆえに、私はこの世の貪りの心に感傷し、愛欲の海に長く流され沈んでいる者たちを思う。ただ私は、その根源に還ろうと願い、自らを励まして特に抜け出そうとした。それゆえに、世々にわたり勤め苦しんだが、それを労苦とは思わず、心を虚しくして静けさを楽しみ、作為なく欲望なく、己を損なって布施し、至誠をもって戒を守り、謙虚に卑下して辱めを耐え忍び、勇猛に精進し、一心に微細な真理を思い、聖者の智慧を学び、仁愛をもって天下を生かし、貧しき者や災厄に遭う者を悲しみ憐れみ、憂い悲しむ者を慰め潤し、衆生を育て養い、苦しむ人々を救い助け、諸仏に仕え、覚りを開いた真人たちに遇い、功徳を積み重ねてきた。その功績は、とても記録し尽くすことができないほどである。」

「至于昔者,錠光佛興世,有聖王號名燈盛治,在提和衛國。人民長壽,慈孝仁義,地沃豐盛,其世太平。生一太子,字為燈光,聰明智遠,世之少雙。聖王愛念,甚奇甚異,臨壽終時,國付太子。太子燈,光念計無常,傳國授弟,即時出家,行作沙門,道成號佛無上至尊,神德光明,無晝無夜。從比丘眾六十二萬,遊行世界,開化群生。當還提和衛國,度脫種姓及國臣民,與諸大眾,遊詣本國。是時國中,百官群臣,謂佛大眾來攻奪國,皆共議言:『今當興師,逆往拒之,不宜與國。』即時相率,欲以向佛。

昔、錠光仏がこの世に現れた時、提和衛国という国に燈盛という聖王が治めていました。その国では人々は長寿で、慈しみと孝行、仁義の心が厚く、土地は肥沃で豊かであり、世の中は太平でした。

王には一人の太子が生まれ、燈光と名付けられました。彼は聡明で知恵が深く、世に並ぶ者のないほどでした。聖王はこの太子を深く愛し、大変に珍しく、また非凡な存在として大切にされました。王が寿命を終えようとする時、国を太子に託しました。

しかし、太子である燈光は、すべてのものは無常であると深く思い、国を弟に譲り、すぐに出家して沙門となりました。修行の末に道を成し、無上至尊の仏となりました。その神徳の光は、昼も夜もなく輝き、六十二万もの比丘の衆を従えて、世界を巡り、多くの人々を教化しました。

やがて提和衛国に戻り、王族や家臣、国民たちを救おうと、大勢の衆を率いて故郷の国へと向かいました。

その時、国中の百官や群臣たちは、仏が大軍を率いて国を奪おうとしていると思い、皆で相談しました。「今こそ軍を起こし、向かって行って防がねばならない。国を譲るわけにはいかない」と。そしてすぐに、軍勢を率いて仏に向かおうとしたのでした。

「佛以六通,逆照其心,化作大城,廣大嚴峻,與彼城對。佛哀國人,欲令解脫,即化二城,變為琉璃,其城洞達,內外相照;復化六十,二萬比丘,如佛無異,變化示現。王見惶怖,疑解心伏,即出詣佛,叩頭自悔:『稟性空頑,惡意向佛,愚人所誤,幸唯原之。願佛便還精舍,七日之中,當修所供,奉迎至尊。』佛知其意,默然便還。

仏は六神通をもって、彼の心を逆照し、広大で厳かな大城を現し、その城と向かい合わせた。仏は国中の人々を哀れみ、彼らを解脱させたいと願い、ただちに二つの城を瑠璃に変え、その城は透き通り、内外が照らし合った。さらに六十万二千人の比丘を、仏とそっくりに化現させて示した。王はこれを見て恐れおののき、疑いが解けて心から帰伏し、すぐに仏のもとに出て行き、頭を地につけて悔い改めた。「生まれつき頑なで空しい性分ゆえ、仏に悪意を抱き、愚かな者たちに惑わされました。どうかお許しください。願わくば仏には精舎にお戻りいただき、七日間のうちに供養の準備を整え、尊いお方をお迎えしたいと存じます。」仏はその心を知り、黙って精舎に戻られた。

「於是其王問諸群臣:『奉迎聖王,其法云何?』諸臣言:『迎遮迦越王法,莊嚴國土,面四十里,平治道路,香汁灑地,金銀珍琦,七寶欄楯,起諸幢幡,繒綵花蓋,城門街巷,莊嚴校飾,彈琴鼓樂,如忉利天,散花然燈,燒眾名香,敬侍道側。』七日已辦,王勅群臣百官導從,躬親迎佛。佛哀人民,告諸比丘:『嚴出應請。』比丘受勅,行詣本國。佛告比丘:『汝等見此供設嚴好光目者不?昔吾承事往古諸佛,供養莊嚴,亦如今也!』

そこで王は家臣たちに尋ねました。「聖なる王をお迎えするには、どのような作法があるのか?」家臣たちは答えました。「転輪聖王をお迎えする作法は、国土を荘厳し、四十里四方の道を整え、香りの水を地面に撒き、金銀や珍しい宝玉で飾り、七宝の欄干を設け、数々の旗や幡を立て、絹の幕や花の天蓋を張り、城門や街路を美しく飾り、琴を弾き太鼓を鳴らして、忉利天のごとくにし、花を散らし灯明を灯し、さまざまな名香を焚いて、道の脇で敬いお仕えすることです。」七日間で準備が整い、王は家臣や百官を従えて、自ら仏陀を迎えに出ました。仏陀は人々を哀れみ、比丘たちに告げました。「整えて出発し、招きに応じなさい。」比丘たちはお言葉を受け、自国へと向かいました。仏陀は比丘たちに言われました。「あなたたちはこの供養の荘厳さと輝かしい様子を見たか?昔、私が過去の諸仏に仕え、供養を荘厳したのも、今と同じようであったのだ。」

「是時有梵志儒童,名無垢光。幼懷聰叡,志大苞弘,隱居山林,守玄行禪,圖書祕讖,無所不知,心思供養,奉報師恩。辭行開化道經丘聚,聚中梵志,名不樓陀,盛祀天祠,滿十二月,飯食供養,梵志徒眾,八萬四千人,歲終達嚫,金銀珍寶、車馬牛羊、衣被繒綵履屣、七寶之蓋、錫杖澡罐,最聰明智慧者,應受斯物。七日未竟,時儒童菩薩,入彼眾中,論道說義,七日七夜。爾時其眾,欣踊無量,主人長者,甚大歡喜,以女賢意,施與菩薩。菩薩不受,唯取傘蓋錫杖、澡罐履屣、金銀錢各一千,還上本師。其師歡喜,便共分布。

その時、梵志(婆羅門)の儒童(修行者)で、名を無垢光という者がいました。幼い頃から聡明で、志は大きく広く、山林に隠居して玄妙な行いに禅定を修め、あらゆる書物や秘伝の予言書に通じ、知らないことはありませんでした。心の中で師の恩に報いるため供養を思い、教化のために旅立ちました。

道中、丘の集落を通りかかると、そこには不樓陀という名の梵志がいて、盛大な天祠の祭祀を十二ヶ月間行い、食事を供養として梵志の弟子たち八万四千人に施していました。年の終わりには、達嚫(布施)として金銀珍宝、車馬牛羊、衣類や絹織物、履物、七宝の傘蓋、錫杖、水甕などが用意され、最も聡明で智慧ある者がそれらを受けるべきとされていました。

七日目がまだ終わらないうちに、儒童菩薩はその衆の中に入り、道を論じ義を説き、七日七夜に及びました。すると、その衆は限りなく歓喜し、主人である長者は大いに喜び、娘の賢意を菩薩に施そうとしました。菩薩は受けず、ただ傘蓋と錫杖、水甕と履物、金銀銭をそれぞれ一千ずつ受け取り、もとの師のもとに戻りました。その師は喜び、共にそれらを分かち合ったのでした。

「儒童菩薩,復辭出行。時諸同學,各各贈送人一銀錢,遂行入國。見人欣然,怱怱平治道路,灑掃燒香,即問行人:『用何等故?』行人答曰:『錠光佛今日當來,施設供養。』儒童聞佛歡喜踊躍,衣毛肅然:『佛從何來?云何供養?』行人對曰:『唯持花香繒綵幢幡。』於是菩薩,便行入城,勤求供具,須臾周匝,了不可得。國人言:『王禁花香,七日獨供。』菩薩聞之,心甚不樂。

儒童菩薩は、再び旅立つことにした。その時、学友たちはそれぞれが銀貨一枚ずつを贈り、彼は国へと向かった。道中、人々が喜び勇んで道路を整え、掃除をし、香を焚いているのを見て、通りがかりの人に尋ねた。「何か特別なことがあるのですか?」と。通行人は答えた。「錠光仏が今日おいでになるので、供養を準備しているのです。」儒童は仏のことを聞き、喜びで胸が躍り、身の毛もよだった。「仏はどこから来られるのですか?供養はどのようにすればよいのでしょうか?」通行人は答えた。「ただ、花や香、絹の飾り、幡を持って供えるだけです。」そこで菩薩は、町に入り、急いで供え物を探したが、あちこち探しても、どうしても見つからない。町の人々は言った。「王が花と香を禁じ、七日間は王だけが供養するのです。」菩薩はそれを聞き、心はとても悲しくなった。

「須臾佛到,知童子心,時有一女,持瓶盛花。佛放光明,徹照花瓶,變為琉璃,內外相見。菩薩往趣,而說頌曰:

たちまちにして仏が到り、童子の心を知り給う。時に一人の女あり、瓶を持ち花を盛る。仏は光明を放ち、花瓶を徹照し、変じて瑠璃と為り、内外相見ゆ。菩薩進み往きて、頌を説いて曰く。

「『銀錢凡五百, 請買五莖花,
奉上錠光佛, 求我本所願。』

「銀貨五百枚を以て、五本の花を求め、

錠光仏に捧げ、我が本願を叶えんと願う。」

「女時說頌,答菩薩言:

女人はそのとき、偈を唱えて菩薩にこうお答えしました。

「『此花直數錢, 乃顧至五百,
今求何等願? 不惜銀錢寶。』

「この花はわずか数銭の値打ちなのに、あなたは五百銭も出そうとなさる。 今、どんな願いをお求めなのですか? 銀や財宝を惜しまずに。」

「菩薩即答言:

菩薩はすぐにこう答えました。

「『不求釋梵魔, 四王轉輪聖,
願我得成佛, 度脫諸十方。』
女言善快哉: 『所願速得成!
願我後世生, 常當為君妻。』

「釈・梵・魔や四天王・転輪聖王を求めません。ただ、私が仏になることを願い、十方のすべての人々を救い導きたいのです。」 女は言いました。「なんとすばらしいことでしょう。その願いが速やかに成就しますように。私は後の世に生まれ変わっても、いつもあなたの妻となりますように。」

「菩薩即答言:

菩薩はすぐに答えました。

「『女人多情態, 壞人正道意,
敗亂所求願, 斷人布施心。』

「女は情態が多く、人の正しい道の心を壊し、 求め願うことを敗り乱し、人の布施の心を断ちます。」

「女答菩薩言:

「女は菩薩に答えて言いました。

「『女誓後世生, 隨君所施與,
兒子及我身, 今佛知我意。
仁者慈愍我, 唯賜求所願,
此華便可得, 不者錢還卿。』
即時思宿命, 觀視其本行,
以更五百世, 曾為菩薩妻。

「私は誓います。来世では、あなたが施してくださるものに従い、 息子と私自身を、今、仏が私の心を知っておられますように。 慈悲深き方よ、私を憐れんでください、ただ私の願いを叶えてください。 この花を手に入れることができれば、そうでなければお金をお返しします。」 その時、彼女は過去の因縁を思い起こし、自身の過去の行いを見つめました。 さらに五百世を経て、かつて菩薩の妻であったことを知りました。

「於是便可之,歡喜受花去。意甚大悅:『今我女弱,不能得前。請寄二華,以上於佛。』即時佛到,國王臣民、長者居士、眷屬圍繞,數千百重,菩薩欲前散花,不能得前。佛知至意,化地作泥,人眾兩披,爾乃得前。便散五華,皆止空中,變成花蓋,面七十里,二花住佛兩肩上,如根生。菩薩歡喜,布髮著地:『願尊蹈之。』佛言:『豈可蹈乎?』菩薩對曰:『唯佛能蹈!』佛乃蹈之,即住而笑,口中五色光出,離口七尺,分為兩分:一光繞佛三匝,光照三千大千剎土,莫不得所,還從頂入;一光下入十八地獄,苦痛一時得安。

そこで彼女は喜んで花を受け取り、心の中で大いに喜びました。「今、私は幼くて弱く、前に進むことができません。どうかこの二輪の花を仏陀にお供えさせてください」と願いました。

ちょうどその時、仏陀が到着されました。国王や臣下、民衆、長者や在家信者、そしてその眷属たちが何重にも取り囲み、菩薩は花を捧げようとしましたが、前に進むことができませんでした。

仏陀は彼女の深い思いを知り、地面を泥に変えられました。人々が両側に分かれたので、ようやく前に進むことができました。彼女は五輪の花を散らすと、それらは空中に留まり、花の天蓋となり、七十里に広がりました。二輪の花は仏陀の両肩にとどまり、まるで根を下ろしたかのようでした。

菩薩は喜び、自分の髪を地面に敷き、「尊い方、どうかこれを踏んでください」と願いました。仏陀は「踏むことができようか」と問われました。菩薩は「ただ仏陀のみが踏むことができるのです」と答えました。すると仏陀はそれを踏まれ、立ち止まって微笑みました。

その口から五色の光が放たれ、口から七尺離れたところで二つに分かれました。一つの光は仏陀の周りを三度巡り、三千大千世界を照らし、すべてのものが安らぎを得て、再び仏陀の頂から入りました。もう一つの光は十八地獄に降り、苦しみがたちまち和らぎました。

「諸弟子白佛言:『佛不妄笑,願說其意。』佛言:『汝等見此童子不?』『唯然已見。』世尊言:『此童子於無數劫,所學清淨,降心棄命,捨欲守空,不起不滅,無倚之慈,積德行願,今得之矣!』

諸弟子が仏に申し上げました。「仏は無意味に笑われることはありません。どうかその意味をお説きください。」 仏は言われました。「あなたがたはこの童子を見たか。」 「はい、確かに見ました。」 世尊は言われました。「この童子は、数えきれないほどの長い間、清らかな学びを積み、心を調え、命への執着を捨て、欲望を離れ、空の境地を保ち、生起も消滅もなく、何にも依存しない慈悲を実践し、徳を積み、願いを立て続けてきました。今、それを成就したのです。」

「佛告童子:『汝却後百劫,當得作佛,名釋迦文(漢言能仁)如來、無所著、至真、等正覺,劫名波陀(漢言為賢),世界名沙捊(漢言恐畏國土),父名白淨,母名摩耶,妻名裘夷,子名羅雲,侍者名阿難,右面弟子,名舍利弗,左面弟子,名摩訶目揵連,教化五濁世人,度脫十方,當如我也!』於是能仁菩薩,以得決言,踊躍歡喜疑解望止,㸌然無想,寂而入定,便逮清淨,不起法忍,即時身踊,懸在空中,去地七仞,從上來下,稽首佛足,便作沙門。

仏は童子に告げられた。「あなたは百劫の後、仏となられるでしょう。その名は釈迦牟尼如来、執着なく、真実に至り、正しく覚られた方です。その劫は賢劫と呼ばれ、世界は恐れ多い国土と呼ばれます。父は浄飯王、母は摩耶夫人、妻は耶輸陀羅、子は羅睺羅、侍者は阿難、右の弟子は舎利弗、左の弟子は摩訶目犍連です。五濁の世の人々を教化し、十方の衆生を救い導くことは、私と同じでしょう。」

そこで釈迦菩薩はこの授記の言葉を得て、歓喜に躍り上がり、疑いが解け、望みが止み、あらゆる思いが消え、静寂の中に入定されました。そして清浄なる不動法忍を得られ、たちまち身体が空中に浮かび上がり、地面から七丈の高さに達しました。そこから降りて来て、仏の足を礼拝し、すぐに出家されました。

「佛說偈言:

仏は偈を説いて言う:

「『汝當於是世, 把草坐樹下,
戒力定慧力, 降伏魔官屬。
汝行聖人場, 打震甘露鼓,
愍念眾生故, 續轉無上輪。
汝當於是世, 善權無上慧,
九十六外道, 皆令得法眼。
汝當於是世, 慈哀行四恩,
施惠法甘露, 滅除三毒病。』

「汝はこの世において、草を敷き樹下に坐し、 戒の力と定の力と慧の力とをもって、魔の官属を降伏せよ。 汝は聖者の道場を行き、甘露の鼓を打ち鳴らし、 衆生を憐れむがゆえに、無上の法輪を転じ続けよ。 汝はこの世において、善巧なる無上の智慧をもって、 九十六の外道をして、皆ことごとく法眼を得せしめよ。 汝はこの世において、慈しみ哀れみをもって四恩を行い、 法の甘露を施し与え、三毒の病を滅除せよ。」

「能仁菩薩,承事錠光,至于泥曰。奉戒清淨,守護正法,慈悲喜護,惠施仁愛,利人等利,救濟不惓,壽終上生兜術天上。欲救一切、攝度盲冥,從上來下,為轉輪王飛行皇帝,七寶導從。何等為七?一、金輪寶,二、神珠寶,三、玉女寶,四、典寶藏臣,五、典兵臣,六、紺馬寶珠髦𮤅,七、白象寶珠髦尾。

能仁菩薩は、錠光仏に仕え、その涅槃に至るまで、戒律を清らかに守り、正しい教えを護り、慈悲と喜びと守護の心を持ち、慈愛をもって施しを行い、人々を利し、救済に倦むことなく、寿命が尽きると兜率天に生まれました。一切を救い、迷える者を導こうと、天から下り、転輪聖王、飛行皇帝となり、七つの宝に導かれました。その七つの宝とは何か。一に金輪宝、二に神珠宝、三に玉女宝、四に典宝蔵臣、五に典兵臣、六に紺馬宝(珠のたてがみと尾)、七に白象宝(珠のたてがみと尾)です。

「金輪寶者,輪有千輻,雕文刻鏤,眾寶填廁,光明洞達,絕日月光,當在王上;王心有念,輪則為轉,案行天下,須臾周匝,是故名為金輪寶也。神珠寶者,至二十九日月盡夜時,以珠懸於空中,在其國上,隨國大小,明照內外,如晝無異,是故名為神珠寶也。玉女寶者,其身冬則溫煖,夏則清涼,口中青蓮花香,身栴檀香,食自消化,無大小便利之患,亦無女人惡露不淨,髮與身等,不長不短,不白不黑,不肥不瘦,是以名為玉女寶也。典寶藏臣者,王欲得金銀琉璃、水精摩尼、真珠珊瑚珍寶時,舉手向地,地出七寶向水,水出七寶向山,山出七寶向石,石出七寶,是故名為典寶藏臣也。典兵臣者,王意欲得四種兵——馬兵、象兵、車兵、步兵——臣白王言:『欲得幾種兵?若千若萬,若至無數?』顧視之間,兵即已辦,行陣嚴整,是故名為典兵臣也。紺馬寶者,馬青紺色,髦𮤅貫珠,搵摩洗刷,珠則墮落,須臾之間,更生如故;其珠鮮潔,又踰於前,鳴聲于遠聞一由旬,王時乘騎,案行天下,朝去暮還,亦不疲極,馬脚觸塵,皆成金沙,是故名為紺馬寶也。白象寶者,色白紺目,七肢平跱,力過百象,髦尾貫珠,既鮮且潔,口有六牙,牙七寶色;若王乘時,一日之中,周遍天下,朝往暮返,不勞不疲,若行渡水,水不搖動,足亦不濡,是故名為白象寶也。

金輪宝とは、その輪に千本の輻(スポーク)があり、美しい彫刻が施され、様々な宝で飾られています。その光は明るく輝き、日月の光を凌ぎます。王の頭上にあり、王が心に念じれば、輪は回転し、瞬く間に全世界を巡ります。そのため、金輪宝と呼ばれます。

神珠宝とは、月のない二十九日の夜、その珠を空中に掲げると、国の大きさに応じて、内外を昼の如く明るく照らします。そのため、神珠宝と呼ばれます。

玉女宝とは、その体は冬は温かく、夏は涼しく、口からは青蓮華の香り、体からは栴檀の香りが漂います。食べ物は自然に消化され、大小の排泄の煩わしさもなく、女性特有の不浄もありません。髪は身丈に等しく、長すぎず短すぎず、白くも黒くもなく、太っても痩せてもいません。そのため、玉女宝と呼ばれます。

宝藏を管理する臣下とは、王が金銀・琉璃・水晶・摩尼・真珠・珊瑚などの宝を欲する時、手を地に向ければ地から七宝が出て、水に向ければ水から、山に向ければ山から、石に向ければ石から七宝が出ます。そのため、宝藏を管理する臣下と呼ばれます。

兵を管理する臣下とは、王が馬兵・象兵・車兵・歩兵の四種の兵を欲する時、臣下が「何種類の兵を、千や万、数え切れないほどご所望ですか?」と尋ねると、振り返る間に兵は整えられ、陣形も厳かに整います。そのため、兵を管理する臣下と呼ばれます。

紺馬宝とは、馬は青みがかった紺色で、たてがみと尾には真珠が貫かれています。それを揉んだり洗ったりすると真珠は落ちますが、すぐに元のように生え揃い、その真珠は以前より鮮やかになります。その鳴き声は一由旬(約七~九キロ)先まで届きます。王が乗ると、朝に出かけて夕方に帰り、決して疲れることなく、馬の蹄が触れた塵はすべて金沙となります。そのため、紺馬宝と呼ばれます。

白象宝とは、色は白く、目は紺色で、七つの肢は均整がとれ、力は百頭の象に勝ります。たてがみと尾には真珠が貫かれ、鮮やかで清らかです。口には六本の牙があり、それぞれ七宝の色を放ちます。王がこれに乗ると、一日のうちに全世界を巡り、朝に出て夕方に戻っても、疲れを知りません。水を渡る時も、水は動かず、足も濡れません。そのため、白象宝と呼ばれます。

「爾時人民,壽八萬四千歲,後宮婇女,各八萬四千,王有千子,仁慈勇武,一人當千,聖王治正,戒德十善,教授人民,天下太平,風雨順時,五穀熟成,食之少病,味若甘露,氣力豐盛,唯有七病:一者寒、二者熱、三者飢、四者渴、五者大便、六者小便,七者意所欲。聖王壽盡,又昇梵天,為梵天王。上為天帝,下為聖主,各三十六反,終而復始,欲度人故,隨時而出。

その時代の人々の寿命は八万四千歳であり、王の後宮にはそれぞれ八万四千人の侍女がいた。王には千人の息子がおり、慈しみ深く勇ましく、一人で千人分の力を持っていた。聖王は正しく治め、戒律と十善の徳を守り、人々に教え導いたため、天下は太平で、風雨は時節に順い、五穀は豊かに実り、食べても病気になることは少なく、その味は甘露のようで、気力は満ち溢れていた。ただ七つの病だけがあった。一つは寒さ、二つは暑さ、三つは飢え、四つは渇き、五つは大便、六つは小便、七つは心の欲である。聖王の寿命が尽きると、梵天に昇り、梵天王となった。上は天帝として、下は聖主として、それぞれ三十六回繰り返し、終わってはまた始まり、人々を救うために、時節に応じて現れたのである。

「菩薩勤苦,經歷三阿僧祇劫,劫垂欲盡,愍傷一切,輪轉無際,為眾生故,投身餧餓虎,勇猛精進,超踰九劫。能仁菩薩,於九十一劫,修道德、學佛意,行六度無極——布施、持戒、忍辱、精進、一心、智慧——善權方便,慈悲喜護,育養眾生,如視赤子,承事諸佛,積德無限,累劫勤苦,通十地行,在一生補處,功成志就,神智無量。期運之至,當下作佛,於兜術天上,興四種觀,觀視土地,觀視父母,生何國中,教化之宜先當度誰?白淨王者,是吾累世所生之父,拘利剎帝有二女,時在後園池中沐浴,菩薩舉手指言:『是吾世世所生母也,當往就生。』時有五百梵志,皆有五神通,飛過宮城,不能得度,驚而相謂:『吾等神足,石壁皆過,因何等故,今不得度?』梵志師言:『汝見此二女不?一女當生三十二相大人;一女當生三十相人。是其威神,令吾等失神足。』是時音聲,普聞天下。

菩薩は勤苦を重ね、三阿僧祇劫を経て、その劫がまさに尽きようとしていました。すべてを哀れみ、いつまでも巡り続ける輪廻の中で、衆生のために自ら身を投げて飢えた虎に与え、勇猛に精進して九劫を超えました。能仁菩薩は九十一劫の間、道徳を修め、仏の心を学び、六度無極——布施・持戒・忍辱・精進・一心・智慧——を行じ、善巧方便と慈悲喜捨を備え、衆生を養い育てること赤子を見るようにし、諸仏に仕えて無限の徳を積み、多くの劫にわたり勤苦を重ね、十地の行を貫いて、一生補処にあり、功成り志遂げて、神智は無量でありました。その時が到来し、まさに下って仏となるにあたり、兜術天において四種の観を起こし、土地を観じ、父母を観じ、どの国に生まれるか、教化のあり方、まず誰を済度すべきかを観じました。白浄王は、わが幾世にもわたる生まれの父であり、拘利刹帝には二人の娘がいて、その時、後園の池で沐浴していました。菩薩は手を挙げて指し示し、こう言われました。「この方はわが世々の生まれの母である。そこへ赴いて生まれよう。」その時、五百人の梵志がいて、みな五神通を持ち、宮城を飛び越えようとしましたが、渡ることができませんでした。驚いて互いに言いました。「われらは神足で石壁をも通り抜ける。どのような理由があって、今ここを渡れないのか。」梵志の師は言いました。「お前たちはこの二人の娘を見るか。一人の娘は三十二相の大人を生み、一人の娘は三十相の人を生むであろう。その威神の力が、われらの神足を失わせたのだ。」この声は、天下に普く聞こえました。

「是時白淨王,歡喜踊躍,貪得飛行皇帝來生其家,即便求索娉迎為妻。迦夷衛者,三千日月萬二千天地之中央也,過去來今諸佛,皆生此地。

その時、白浄王は大いに喜び、飛行皇帝が自分の家に生まれてくることを切に願い、すぐに求婚して彼女を妻として迎えました。迦夷衛は、三千の日月と一万二千の天地の中心であり、過去から現在、未来に至るまでのすべての仏が、この地に生まれるのです。


2 菩薩降身品

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