第五品 愛染王
その時、金剛手が再び仏に申し上げた。「世尊よ、私は今、愛染王の、すべての如来たちが共に成就する様々な成就法と、その画像の描き方についてさらに説きましょう。」
「扇底迦(息災)、布瑟置迦(增益)、嚩始迦囉拏(敬愛)、阿毘左嚕迦(降伏)などの法」
その時、遍照尊(へんじょうそん)は金剛手(こんごうしゅ)に告げられました。「私は、すべての如来がかつて修め学ばれた教えをすでに説いた。今、あなたは末法の世の中において、善き男子・善き女たちのため、その教えを広く説き、彼らに利益と安らぎをもたらしなさい。」 そこで金剛手は、偈(げ)をもって答えました。
白月の鬼宿の日に、清らかな白い布を取り、 愛染金剛を描く。その身の色は日輪の輝きのようであり、 燃え盛る輪の中に住み、三つの目で威厳ある怒りのまなざしを向ける。 頭には獅子の冠をいただき、鋭い毛が忿怒の形をなす。 さらに五鈷の鉤を獅子の頂きに安置し、 五色の華鬘が垂れ、天の帯が耳を覆う。 左手に金鈴を持ち、右手に五峯の杵を執る。 その姿は薩埵のようであり、衆生の世界に安立する。 次に左手は金剛弓を持ち、右手は金剛箭を執り、 あたかも衆星の光を射るかのようであり、大いなる染法を成すことができる。 左手でそれを下に持ち、右手の蓮は打つような勢いである。 一切の悪心を持つ衆生を、速やかに滅し疑いない。 様々な華鬘や索をもって、からだを飾り結び、 結跏趺坐をなし、赤色の蓮華の上に住む。 蓮の下には宝瓶があり、両側から様々な宝を吐き出す。 像を作り西に安置し、行う人は西を向いて対する。 大羯磨印を結び、根本明を誦し、 さらに三昧耶を示し、一字心の密語を用いる。 これにより成し、断ち滅することができる。一切の悪心の衆生を。 また金剛界三十七尊の羯磨を結び、 さらに本業の明を用いることで、速やかに百千の事を成す。 サルヴァ・ドゥスタ(すべての悪しき者)や、あらゆる graha(障りをもたらすもの)に対して、 忿怒を加えて降伏すれば、一夜のうちに終わらせる。 根本明を誦し、三昧耶印を結び、 さらに gata(行く)させよ。紅蓮華の蘂を取り、 一百八回の護摩をすれば、一宿で敬愛が成就する。 また彼を摂伏させたいなら、白檀香を刻んで、 金剛愛染王の像を、五指の大きさで作り、 常に身に帯びておけば、一切の有情類や、 諸々の刹利王も、奴僕のように従わせる。 常に羯磨印を結び、大根本明を誦せば、 すべての福を増益し、金剛のように堅固となる。 もし七曜が迫り、命・業・胎などの宿が障るなら、 その形を描き、名前を記して獅子の口に置き、 一千八回念誦すれば、速やかに滅して再び生じず。 帝釈天や梵天を始め、水、火、風、焔の魔、 頂行する悪類も、夜のうちに果てしない方へ逃げ去る。 あらゆる悪種の者、清浄行の比丘らの衆、 調伏し難い毒悪の龍、那羅延天の自在、 護世の四天王までも、速やかに除き命を失わせる。」 さらに愛染王について説く。
一字心の真言はこう説かれています。
オン フーン イン タ シ フーン イン ジャ
「さらに根本の印を説く。二手は金剛の縛を結び、
忍(中指)と願(薬指)を立てて合わせ、
進(人差し指)と力(親指)を鉤(かぎ)の形とし、
檀(小指)と慧(薬指)、禅(親指)と智(人差し指)を
立てて合わせて五峰の形とする。
これを羯磨印(かつまいん)と名づけ、
また三昧耶(さんまや)とも呼ぶ。
もし一度この印を結び、真言を唱えれば、
無量の罪を滅し、無量の福を生じ、
息災(そくさい)などの法や四つの願いが
速やかに成就する。
三世・三界の中では、これを超えるものは何もない。
この印を金剛王と名づけ、頂上の中でも最も勝れた名とし、
金剛薩埵の定(じょう)であり、一切の諸仏の母である。
さらに息災のための五つの印の方法を説く。
戒(人差し指)と方(中指)を掌の中で交差させ、
禅智(親指・人差し指)を鉤(かぎ)のように結び、
檀慧(小指・薬指)を合わせて針のようにし、
忍願(中指・薬指)を立てて先を合わせ、
進力(人差し指・親指)をそれぞれ曲げて立てる。
これを寂災印(じゃくさいん)と名づける。
そして進力(人差し指・親指)で忍願(中指・薬指)を挟み、
四本の指の先をそろえる。
これが布瑟置迦(ふしちか、増益)の
母捺羅(ぼだら、大印)の印である。
進力(人差し指・親指)を蓮の葉のようにする。
この印を伽跢耶(かだや)と名づける。
進力(人差し指・親指)で忍願(中指・薬指)を挟み、
上の節を三角に曲げる。
阿毘左嚕迦(あびさるか、降伏)には
この秘密の印を用いるべきである。
進力(人差し指・親指)を鉤のように曲げ、
唱えながら招き寄せる。
金剛央俱施(こんごうおうくし、金剛鉤)は、
あらゆる時に用いる所作である。
大染金剛頂の五つの秘密の印を説き終えた。」