尊勝壇の作法
**壇の建立について**
まず、壇を築く場所として、次の四つの適地がある。第一に、奥深い山で人迹未踏の地、第二に、静かな林の中に水源のある所、第三に、形の整った山寺、第四に、都市の中にあって大いなる福徳のある寺院である。
まず、壇を築く場所で、金剛夜叉明王(くんだり)の心真言を七日間誦し、その間の夢の兆しを観察する。夢に、見事な美しい花、あるいはバラモンの僧、天人、道士の姿、乾闘婆の天衆、金剛菩薩、仏など、また楼閣や宝塔、虚空の天宮を見たなら、これらはみな、祈りが叶ったしるしである。もし豚や犬などの家畜を見たならば、改めて身を清め、湯浴みをし、諸々の神々を招請して、場所を移すべきである。再び同じく君荼利真言を誦し続け、良い夢が現れるまで修法を続ける。もしあなたの徳が聖心にかなえば、地に杖を突き、瓦や石、不浄なものを取り除き、福徳のある土で埋め、周囲より高く盛る。
場所の広さは縦横八肘(約四メートル)、その中央に四肘(約二メートル)の壇を築く。壇の高さは横手(約十五センチ)ほどとする。良質の黄土を選び、水で練って泥とする。その泥には、華の汁と白檀の粉一升(約六百グラム)を混ぜ合わせる。泥と水を呪う真言については、陀羅尼集経の第八巻、烏枢沙摩明王の章に詳しい方法が述べられている。
次に、十歳以上十五歳以下の童子を一人、壇の奉仕係として用意する。もし生え井戸を新たに見つければ、なお良い。
壇の四隅にはそれぞれ一瓶を置き、瓶の口にはヒノキの枝を挿す。壇の前には一つの器、銅か陶磁製のものに水を満たして置く。白檀、沈香、蘇合香、龍脳香の五種の香を粉末にし、これに香水を加えたものを、閼伽水(あかすい)と呼ぶ。別に金か銀の盃を用意し、ウコンを溶かした香水を満たし、片膝をついてその香水を捧げ持ち、次のように祈願する。
「三世の諸仏、恒河沙の菩薩、法界に満ちる金剛尊、三十三天天主の帝釈天、大梵天、呪を護持する仙人の衆よ、今日この時、私の供養をお受けください。私は今ここに壇を結び、仏頂尊勝陀羅尼を念誦します。願わくは聖衆の皆さま、慈悲をもってこの道場に降臨し、私の供養をお受けください。法界の安寧のため、苦悩の無い世の中のため、苦しみある者はその苦しみから解き放たれんことを。」
この願いを発したならば、香水の盃を壇の上に安置し、尊勝陀羅尼を四十遍唱えながら繞行する。その時、恒河沙の諸仏がこの道場におわすことを観想し、地天や諸王もまたこの道場内におられると思いなさい。このように深い畏敬の念をもって行じ、余計な雑談や人への怒りを一切交えてはならない。たとえ外部からの参詣者があっても、小声で話し、大声を上げてはならない。供養の食物は前の通りとする。
壇の上には四十九尺の幡を立て、周囲の幕の四方には、四天王幡と金剛幡を懸ける。呪いをかけた一本の縄で、八肘の外側を境界線として囲む。壇には四つの門を設け、それぞれの門に一つずつ香炉を置き、その中で様々な上等の良い香を焚く。決して鶏や犬、女性を壇の近くに近づけてはならない。昼夜六時(一日六回)及び四時に念誦を行うこと。