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妙臂菩薩所問経 (妙臂菩薩所問經)

「妙臂菩薩所問經」について

宋 · 底本の訳者:法天

2.0 万字 · 約 67 分

『妙臂菩薩所問経』は、宋代の天息災法天法師によって漢訳された重要な密教経典です。本経典は、妙臂菩薩が仏陀に問いを投げかけ、修行者が呪文を唱え、結界を張り、供養を行うなどの密教修法によって、障害を除き、福徳を増し、速やかに菩提の道を成就する方法を説いています。経文は、儀軌の法則と真言密呪について詳細に開示しており、初期密教が中国に伝播した際の実践的な特色をよく表しています。宋代の密教思想や漢伝仏教における密法の流布を研究する上で、歴史的・文献的に重要な価値を持つとともに、仏教密宗の修行体系を理解するための重要な経典の一つです。


妙臂菩薩所問經卷第一

妙臂菩薩所問経 巻第一

西天譯經三藏朝散大夫試鴻臚少卿傳教大師臣法天奉 詔譯

西天訳経三蔵 朝散大夫 試鴻臚少卿 伝教大師 臣法天 奉詔訳

得勝師助伴速獲悉地分第一

勝利を得る師の助けと伴侶、速やかに悉地を得る分第一

爾時,藥叉主金剛手菩薩有大慈悲愍於後世,放千光明,端心而住。於是妙臂菩薩以持誦者於一切真言明得成就義、不成就義,一心敬禮彼藥叉主金剛手菩薩而發問言:「菩薩!我見世間有持誦人齋潔清淨、精勤修行,於真言明而不成就。菩薩如日舒光無所不照,唯願哀愍說彼因緣。云何彼持誦人雖復精勤最上第一,於諸真言上、中、下法由不能成?云何修因而不得果,莫是罪障而未滅除?惟願菩薩說彼修持得成就義及不成就義,諸障難事。

その時、薬叉の主である金剛手菩薩は、後世の人々を深く憐れむ大慈悲の心を起こし、千の光明を放ち、心を正して座しておられた。そこで妙臂菩薩は、真言を唱える行者が一切の真言明において成就する意味と、成就しない意味について、一心に金剛手菩薩を敬礼し、尋ねた。

「菩薩よ、私は世の中で、斎戒を守り清浄で、精勤して修行する真言の行者がいるのに、真言明を成就できないのを見ます。菩薩よ、あなたは太陽のように光を放ち、すべてを照らしておられます。どうか哀れみをもって、その因縁をお説きください。なぜ彼らは、最も精勤し第一の修行をしていても、上・中・下の諸真言において成就できないのでしょうか。なぜ修行という因があっても果を得られないのでしょうか。それは罪障がまだ滅除されていないからでしょうか。どうか菩薩よ、修行によって成就する意味と、成就しない意味、そしてすべての障難についてお説きください。」

「菩薩!如佛所言:『智慧之明能滅癡暗;癡暗不滅,明慧可棄。』云何能使諸持誦人於諸修行而無疑惑?

菩薩よ、仏が説かれたように、「智慧の明かりは愚痴の闇を滅ぼすことができる。愚痴の闇が滅びなければ、明るい智慧は捨てられるべきである」とあります。では、どのようにすれば、すべての修行者たちが修行において疑いを持つことなく、確信をもって進むことができるでしょうか。

「菩薩!云何誦持及護摩等所作事業,諸真言王及諸賢聖不與成就?惟願菩薩以大悲心一一顯說令無疑惑。

菩薩よ、どうして真言を唱え、護摩を焚くなどの修行をしても、諸々の真言王や聖者たちが成就を授けてくださらないのでしょうか。どうか菩薩、大いなる慈悲の心をもって、一つひとつ明らかにお説きください。疑いを残さぬようお願い申し上げます。

「菩薩!為是法力無能耶?為所作非時耶?為種性、非性耶?為真言字句闕剩耶?為修持輕慢耶?為供養不具耶?惟願菩薩於種種事及彼障難一一開說,使諸行人皆得曉了。」

菩薩よ、これは法力が足りないからでしょうか?それとも、時がまだ来ていないからでしょうか?あるいは、その人の素質に合わないからでしょうか?真言の文字や句が足りなかったり、余計だったりするからでしょうか?それとも、修行が不十分で軽んじていたからでしょうか?供養が整っていなかったからでしょうか?どうか菩薩よ、これらの様々な事柄と、それぞれの障りや難点について、一つひとつ詳しくお説きください。すべての修行者がはっきりと理解できるように。

爾時,金剛手菩薩聞妙臂菩薩發如是正心利益言已,乃須臾間瞑光明焰蓮花眼,思惟觀察已,告妙臂菩薩言:「妙臂!汝大慈悲利益眾生,此心清淨如夜滿月,光明皎潔復無雲翳,使諸行人不失正道,入佛境界到於彼岸。菩薩所作非求己樂,於他有情故無嫌害,見他苦惱如自苦惱,見他快樂自亦快樂。妙臂!我觀汝意為於有情,由若赤子問於此義。汝可諦聽,為汝解說。

その時、金剛手菩薩は妙臂菩薩がこのような正しい心で衆生を利益しようとする言葉を聞き、しばらくの間、光明の焔を放つ蓮華のような眼を閉じて思惟し、観察した後、妙臂菩薩に告げて言った。

「妙臂よ、あなたは大いなる慈悲をもって衆生を利益しようとする。この心は清らかで、まるで満月の夜のように、光明が皎潔として雲ひとつなく、すべての修行者が正道を見失うことなく、仏の境地に入り、彼岸に至ることができる。菩薩の行いは、自らの楽しみを求めるものではなく、他の有情のためであるから、何の嫌悪や害もない。他人の苦しみを見れば、まるで自分の苦しみのように感じ、他人の喜びを見れば、自分もまた喜びを感じる。

妙臂よ、私はあなたの心を見るに、有情への思いは、まるで赤子がこの意義を尋ねるかのようだ。よく聞きなさい、あなたのために解き明かそう。」

「妙臂!我今所說依於佛言,若有修行最上事業、修真言行求成就者,當須離諸煩惱,起於深信,發菩提心,重佛法眾、信重於我,及復歸命大金剛族。又復遠離十不善業,於身口意凡所興起,常離愚迷、邪見等行,若求果報須有智慧。譬如農夫務其稼穡,於肥壤地而下焦種,雖功夫以時雨澤霶霈,以種子焦故,無由得生。愚癡邪見亦復如是,凡諸行人所修事業,先須自心離彼邪見、愚癡等事,不動不搖行十善法,乃至恒行一切善法。若有天魔、阿修羅等,乃至羅剎種種鬼神之類食血肉者,以惡毒心行三界中惱害眾生,於修行人使令散亂,若有行人樂於我法,修持誦習真言行者,彼等若見,自然恐怖不能侵惱。若欲令彼種種大力天魔及諸宿曜,乃至種種鬼神不能為障而降伏者,當須入彼三昧耶大曼拏羅。以其入彼諸天大力聖眾所安住處,是故名為大曼拏羅。亦復須入大明王、大真言等最勝曼拏羅,以其數入種種曼拏羅故,是為入彼諸佛菩薩大金剛族大明王等福聚之所。是為承事諸佛菩薩及明王等,便得如是佛菩薩等影之覆護,使彼作障天魔及阿修羅、藥叉并諸龍、鬼等無能侵惱,望持誦人所居之地不敢侵近,自然退散不為障難。所修上、中、下品成就之法,世間、出世間一切真言等而易成就,蓋以數數入彼諸曼拏羅及三昧耶等,承彼聖力而加護故,一切惡心自然破壞。既能入彼三昧耶大曼拏羅,仍須發勇猛心、發菩提心,唯信於佛,不信外道、天魔等。若背此心持誦我法者,當得自壞。

妙なる腕よ、我が今説くところは仏の言葉に依る。もし最上の事業を修行し、真言の行を修めて成就を求める者あらば、まさに諸々の煩悩を離れ、深き信を起こし、菩提心を発し、仏・法・僧を重んじ、我を信じて重んじ、さらに大金剛族に帰命すべし。また十不善業を遠く離れ、身・口・意において凡そ起こすところのもの、常に愚迷・邪見などの行いを離るべし。もし果報を求むるには、智慧を持つことを須(もち)う。譬えば農夫がその耕作に努め、肥沃な地に焦げた種を下すがごとし。たとえ時に応じて雨露が豊かに降るも、種子が焦げたが故に、生ずる由(よし)なし。愚痴邪見もまたかくのごとし。凡そ行者の修める事業は、先ず自らの心がかの邪見・愚痴などの事を離れ、動かず揺るがず十善の法を行じ、ひいては恒に一切の善法を行ずることを須う。もし天魔・阿修羅など、ひいては羅刹などの種々の鬼神の類い、血肉を食らうもの、悪毒の心をもって三界の中を行き、衆生を悩まし害し、修行人をして散乱せしむるありとも、もし行人、我が法を楽しみ、真言の行を修め持誦する者あらば、彼らもしこれを見れば、自然に恐怖し侵し悩ますこと能わず。もしかの種々の大力の天魔および諸々の宿曜、ひいては種々の鬼神が障りをなすこと能わず降伏せしめんと欲するならば、まさにかの三昧耶大曼荼羅に入るべし。それに入ることにより、諸天の大力の聖衆の安住する処となるが故に、これをもって大曼荼羅と名づく。また大明王・大真言などの最勝の曼荼羅にも入ることを須う。種々の曼荼羅に数数に入るが故に、これすなわちかの諸仏菩薩・大金剛族・大明王などの福の集まる所に入るとなる。これすなわち諸仏菩薩および明王などを承事することとなり、かくのごとき仏菩薩などの影の覆護を得、障りをなす天魔および阿修羅・薬叉ならびに諸々の龍・鬼など侵し悩ますこと能わず、持誦人の居する地を望んで敢えて侵し近づかず、自然に退散して障り難とならず。修むる上・中・下品の成就の法、世間・出世間の一切の真言など、容易に成就する。蓋し数数にかの諸々の曼荼羅および三昧耶などに入り、かの聖なる力を承けて加護せらるるが故に、一切の悪しき心は自然に破壊される。すでにかの三昧耶大曼荼羅に入り得たる上は、なお勇猛心を発し、菩提心を発し、ただ仏を信じて、外道・天魔などを信ぜざるべし。もしこの心に背きて我が法を持誦する者は、まさに自ら壊れることを得ん。

「又復持誦行人求成就者,先須求依阿闍梨——戒德清淨無諸缺犯、福德最勝者。若獲此等阿闍梨稟受持誦,復自決志勇猛精進於所修持,易得成就,速獲靈驗。譬如種田須依好地,地既肥壤,子實易得,若得勝師亦復如是。

また、成就を求めて行法を修する修行者は、まず戒律が清浄で欠けや過ちがなく、福徳に最も優れた阿闍梨に依るべきです。もしこのような阿闍梨から教えを受け、行法を修し、さらに自ら決意して勇猛に精進すれば、修めることが容易に成就し、速やかに霊験を得ることができます。それはまるで田を耕すのに良い土地を選ぶようなもので、土地が肥沃であれば、実りは容易に得られます。勝れた師を得ることもまた、これと同じです。

「若或靈驗難得,是有宿業,應須隨取勝地,或印沙為塔、或積土等為塔,於中安像及藏舍利,當以種種香花、燈塗、妙幢幡蓋及以妓樂而為供養,復伸讚歎,專注虔誠而作懺悔。懺悔畢已,依前持誦,專注不間,定獲靈驗。

もし霊験が得られにくいならば、それは宿業のせいです。その場合は、すぐに勝れた場所を選び、印を押した砂で塔を作るか、土を積んで塔を作り、その中に仏像や舎利を安置し、さまざまな香や花、灯明、塗香、美しい幢幡や蓋、そして音楽などで供養し、さらに讃嘆の言葉を述べ、心を集中して誠意を持って懺悔を行います。懺悔が終わったら、以前のように念誦を続け、心を集中して途切れさせずにいれば、必ず霊験を得ることができます。

「如是修行須具助伴,若無助伴修持是闕。譬如車行須全二輪,若闕一者無由進趣,修行助伴亦復如是。若求助伴者,當求種族尊勝、形貌端嚴、諸根不缺、心性調柔、好修善法、智慧明利、精勤勇猛、有大悲心、恒樂布施、信重三寶承事供養、不歸信於諸餘外道及天魔等。此為住賢劫中具足功德修行助伴,諸持誦人於諸修行速獲成就如此應知。

このように修行するには、助けとなる伴侶を備える必要があります。もし助けとなる伴侶がなければ、修行は不完全です。たとえば、車が進むには二つの車輪が完全でなければならず、一つでも欠ければ前に進むことができません。修行の助けとなる伴侶もまた同じです。

助けとなる伴侶を求めるならば、次のような方を求めなさい。家柄が尊く勝れ、姿形が端正で、諸根(感覚器官)が完全であり、心の性質が調和していて柔らかく、善い行いを好み、智慧が明らかで鋭く、精進して勇猛であり、大きな慈悲の心を持ち、常に布施を喜び、三宝(仏・法・僧)を信じて重んじ、供養を怠らず、他の外道や天魔などに帰依しない方です。

これが、賢劫に住み、功徳を具えた修行の助けとなる伴侶です。このような伴侶を得れば、諸々の修行を速やかに成就することができると知るべきです。


2 選求勝處分

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