大唐龍興三藏聖教序
大唐龍興三蔵聖教序
中宗孝皇帝製
中宗孝皇帝の御製
蓋聞蒼蒼者天,列星辰而著象;茫茫者地,奠川嶽以成形。仰觀天文,既如彼也,俯循地理,又若斯焉。
天は青々と広がり、星々を並べてその姿を現し、地は果てしなく広がり、山川を据えて形を成す。天のありさまを仰ぎ見れば、かくの如くであり、地の様子をうつむいて尋ねれば、またこのようである。
夫以妙旨幽微,名言之路攸絕;真如湛寂,性相之義都捐。然則發啟心聾,資法雷之激響;獎導迷眾,俟覺首以司方。故知假名不壞於常名,樂說乃詮於無說。至若象外之象,獨稱三界之尊;天中之天,爰著六通之聖。法王利見,孕育於七十二君;梵帝乘時,牢籠於萬八千歲。周星閱彩,言符降誕之徵;漢日流祥,載叶通神之夢。故能威揚沙劫,化被塵區,玉毫舒耀而除昏,金口弘宣而遣滯。破煩惱之賊,詎藉干戈?壞生死之軍,惟憑慧力。闢圓明之界,廣納於無邊;開常樂之門,普該於有識。縱使浮天欲浪,境風息而俄澄;漲日情塵,法雨霑而便廓。
妙なる教えの真髄は深遠で、言葉では言い尽くせません。 真如は静かに澄みわたり、現象と本質の区別さえも超えています。 しかし、心の耳を開かせるためには、法の雷鳴のような響きが必要です。 迷える人々を導くためには、覚りの先達が方角を示すのを待たねばなりません。 だからこそ、仮の名は永遠の名を損なわず、喜んで語ることが無言を説き明かすのです。 形を超えた真の姿は、三界の中で最も尊いものと称えられ、 天の中の天は、六神通に優れた聖者として顕れます。 法王が衆生の利益のために現れ、七十二の君主の時代に生まれ、 梵天が時を乗じて、一万八千年の歳月を包み込みました。 周の星が輝き、降誕の兆しを告げ、 漢の日に祥瑞が流れ、神と通じる夢が叶いました。 こうして、その威光は無数の劫に響き渡り、教化は塵の世界にまで及びます。 玉の眉間光が輝いて闇を払い、金の口が広く説法して停滞を解きます。 煩悩の賊を破るのに、武器など必要でしょうか? 生死の軍を壊すのは、ただ智慧の力によるのです。 円満で明るい世界を開き、広く無辺の衆生を受け入れ、 常楽の門を開いて、すべての有情を包み込みます。 たとえ欲望の波が天を覆おうとも、境の風が静まればたちまち澄みわたり、 情の塵が日に満ちようとも、法の雨が降り注げばたちまち広がり清まるのです。
歸依者,銷殃而致福;迴向者,去危而獲安。可謂巍巍乎其有神功,蕩蕩乎而無能名者矣!但四生蠢蠢,未悟無常;六趣悠悠,俱纏有結。詎知空華不實,水月非堅!馳逐於五陰之中,播遷於三界之域,納諸品彙,終俟法門。
帰依する者は、災いを消し福を招き、回向する者は、危険を去り安らぎを得る。まさにその神々しい功徳は高くそびえ、広大無辺で言葉では言い表せないほどである!
しかし、生きとし生けるものは未だ無常を悟らず、六道をさまよう者は皆、執着の縛りに絡め取られている。空に浮かぶ花が実体なく、水に映る月が堅固でないことを、どうして知ろうか。五蘊の迷いの中を駆け巡り、三界の領域を移り行き、あらゆる生き物は、ついに法門を待ち望むのである。
自白馬西來,玄言東被,世尊則隨類敷演,眾生乃逐性開迷。馬鳴擅美於瓊編,龍樹騰芳於寶偈。於是遙通震旦,遠布閻浮。半滿之教區分,大小之乘並騖。澄安俊德,接武於譯場;林遠高人,駢踪於法宇。遂使微言著範,歷千古而暢英聲;至𦣱流規,周十方而騰茂實。
白馬が西から来て、玄妙な教えが東に伝わり、世尊は衆生の類いに応じて説法を広め、衆生はそれぞれの性質に従って迷いを解いていきました。馬鳴は美しい経典で名を馳せ、龍樹は尊い偈頌で芳名を轟かせました。こうして、遥か中国に伝わり、遠く閻浮提に広まりました。半字教と満字教は区別され、大乗と小乗は共に発展していきました。澄安のような優れた徳を持つ者たちは、訳場で次々と活躍し、林遠のような高僧たちは、寺院で肩を並べて修行しました。それによって、微妙な言葉が模範として確立され、千古を経て英名を響かせ、至高の教えが規範として流布し、十方世界に豊かな実りを広げていったのです。
頃屬後周膺運,大扇魔風,遂使天下招提咸從毀廢,寰中法侶並混編甿。嗟乎!閴寂禪居,空留宴坐之處;荒凉慧苑,無復經行之蹤。爰洎開皇,重將修建,旋逢大業,又遇分崩。鬼哭神吟,山鳴海沸,既遭塗炭,寧有伽藍?正法消淪,邪見增長,於是人迷覺路,邅迴於苦集之區,俗蔽真宗,覇絆於蓋纏之內。
かつて後周が天命を受けて世を治めると、魔の風潮が大いに吹き荒れ、ついに天下の寺院はことごとく破壊され、世の中の僧侶たちはみな一般の民衆に混じってしまいました。ああ、静寂な禅寺は、ただ座禅を組む場所だけが空しく残り、荒れ果てた智慧の園には、もはや経行する足跡さえありません。
やがて開皇の時代となり、再び寺院の建立が進められましたが、間もなく大業の世を迎え、またもや国は分裂と崩壊に遭いました。鬼が泣き、神が呻き、山は鳴り、海は沸き立つような混乱の中、人々が塗炭の苦しみを味わう中で、どうして伽藍が保たれようかありましょうか。
正しい教えは消え失せ、邪な見解が増長し、人々は悟りへの道を見失い、苦しみと煩悩の世界をさまよい、世間は真実の教えに目をふさがれ、煩悩の覆い
我大唐之有天下也,上凌巢燧,俯視義軒,三聖重光,萬邦一統。威加有截,澤被無垠,掩坤絡以還淳,亘乾維而獻款。再懸佛日,重補梵天。龍宮將八柱齊安,鷲嶺共五峯爭峻。大弘釋教,諒屬皇朝者焉。
我が大唐が天下を治めるに至りましては、古の聖王たちをも凌ぎ、遠くから見下ろすほどの威光を放ち、三聖の教えが重なり輝き、万国が一つの統治のもとにあります。威厳は四方に及び、恩恵は果てしなく広がり、大地の隅々まで純朴な風俗を取り戻し、天地の端から端まで真心を捧げる者たちが現れました。再び仏法の太陽が高く掲げられ、梵天の世界が修復されました。龍宮の八本の柱は揃って安泰となり、鷲峰は五つの峰と高さを競うかのようです。仏教を大きく広めることは、まさにこの皇朝にこそ相応しいことであります。
大福先寺翻經三藏法師義淨者,范陽人也,俗姓張氏。五代相韓之後,三台仕晉之前,朱紫分輝,貂蟬合彩。高祖為東齊郡守,仁風遠扇,甘雨隨車,化闡六條,政行十部。爰祖及父俱厭俗榮,放曠一丘,逍遙三徑。含和體素,養志恬神,摘芝秀於東山,挹清流於南澗。可謂尋幽丹嘺,棲偃白雲。皐鶴於是吞聲,場駒以之縶影。
大福先寺で経典を翻訳した三蔵法師、義浄は、范陽の出身で、俗姓は張氏です。彼の先祖は韓に仕え、その後晋に仕え、高い官位に就き、栄誉を帯びていました。高祖父は東齊郡の長官として、仁政を広め、慈雨を降らせ、六条の教えを説き、十部の政治を行いました。祖父と父はともに世俗の栄華を厭い、一つの丘に隠れ、三つの小道を逍遥し、和やかな心で質素に過ごし、志を養い、心を静めていました。東山で優れた芝を摘み、南澗で清らかな流れを汲み、幽玄な仙境を探求し、白雲の下に安らかに暮らしていました。その境地は、皐鶴も声を潜め、場駒も影を隠すほどでした。
法師幼挻明晤,夙彰聰敏。纔踰辯李之歲,心樂出家;甫過遊洛之年,志尋西國。業該經史,學洞古今,總三藏之玄樞,明一乘之奧義。既而閑居習靜,息慮安禪,託彼山林,遠玆塵累。三十有七,方遂雅懷。
法師は幼い頃から聡明で、早くからその賢さを表していました。 わずか七歳の頃には出家を望み、十歳を過ぎた頃には西方の国々を訪ねる志を抱きました。 経典や歴史書を広く学び、古今の学問に通じ、三蔵の深い道理を総合し、一乗の奥義を明らかにしました。 その後、静かな場所で修行に励み、雑念を鎮め、禅定に入りました。山林に身を寄せ、世俗の煩わしさから遠ざかったのです。 三十七歳にして、ようやくその清らかな志を遂げました。
以咸亨二年行至廣府,發蹤結契,數乃十人,鼓櫂昇航,惟存一已。巡南溟以遐逝,指西域以長驅;歷巖岫之千重,凌波濤之萬里。漸屆天竺,次至王城。佛說《法華》,靈峯尚在;如來成道,聖躅仍留。吠舍城中,獻蓋之蹤不泯;給狐園內,布金之地猶存。三道寶階,居然目覩;八大靈塔,邈矣親觀。所經三十餘國,凡歷二十餘載。菩提樹下,屢攀折以淹留;阿耨池邊,幾濯纓而藻鑒。法師慈悲作室,忍辱為衣,長齋則一食自資,長坐則六時無倦。
咸亨二年、広州に至り、志を同じくする者と契りを結び、数は十人に及び、船を漕ぎ出して旅立ったが、最後まで残ったのは自分一人だけだった。南海を巡り遥か遠くへと進み、西域を目指して長駆した。幾重にも重なる険しい山々を越え、万里の波濤を凌いで、次第に天竺に近づき、やがて王舎城に至った。
仏が『法華経』を説かれた霊鷲山は今もあり、如来が成道された聖地の跡はそのまま残っている。ヴァイシャーリーの都では、献蓋の故事の跡が消えず、祇園精舎には、黄金を敷き詰めた地が今も存する。三道宝階を目の当たりにし、八大霊塔を遥かに拝観した。
通った国は三十余国、年月は二十余年におよんだ。菩提樹の下では、幾度となく枝を折り、その場に留まり、阿耨達池のほとりでは、幾度か冠の紐を洗い、水面に姿を映した。
法師は慈悲を住まいとし、忍辱を衣とし、長斎のときは一食で身を支え、長座のときは六時にわたり倦むことなく修行を続けた。
又古來翻譯之者,莫不先出梵文,後資漢譯。摭詞方憑於學者,銓義別稟於僧徒。今玆法師不如是矣!既閑五天竺語,又詳二諦幽宗。譯義綴文,咸由於已出;指詞定理,匪假於旁求。超漢代之摩騰,跨秦年之羅什。所將梵本經僅四百部,合五十萬頌,金剛座真容一舖,舍利三百粒,以證聖元年夏五月方屆都焉。
また、古来の翻訳者は皆、まず梵語の原文を提示し、その後で漢訳を施してきました。語彙の選択は学者に依拠し、意味の解釈は僧侶に別途委ねられていたのです。しかし、今の玄奘三蔵はそうではありませんでした。彼はすでに五天竺の言語に通じ、また二諦の深遠な教義にも詳しかったのです。意味を翻訳し文章を綴ることは、すべて自らの力で成し遂げ、言葉を選び教理を定めるのに、他者の助力を借りることはありませんでした。漢代の摩騰を超え、秦代の羅什を凌駕するものでした。彼が携えてきた梵本の経典は約四百部、合わせて五十万頌に及び、金剛座の釈迦如来像一舖、仏舎利三百粒を伴い、証聖元年夏五月に都に到着したのでした。
則天大聖皇帝出震膺期,乘乾握紀,紹隆為務,弘濟為心,爰命百寮,兼整四眾,虹幡㨹日,鳳吹遏雲,香散六銖,華飄五色,鏘鏘濟濟,煒煒煌煌,迎于上東之門,置于授記之寺。共于闐三藏及大福先寺主沙門復禮、西崇福寺主法藏等翻《華嚴經》,後至大福先寺,與天竺三藏寶思末多及授記寺主惠表沙門勝莊、慈訓等譯《根本部律》。其大德等,莫不四禪凝慮,六度冥懷,懸法鏡於心臺,朗戒珠於性海。詞林挻秀,將覺樹而聯芳;慧炬揚輝,澄桂輪而合影。渾金𤩶玉,諒屬其人,誠梵宇之棟梁,實法門之龍象。
則天武后は、天の時を受け、帝位に就き、天下を治め、仏法を広めることを心に誓いました。そこで、百官を動員し、僧俗四衆を整え、虹の幡は太陽を彩り、鳳の笛は雲を止め、香は六銖を散らし、花は五色に舞い、威儀は整い、輝きは煌々としました。上東門で迎えられ、授記寺に安置されました。
そこで、于闐の三蔵法師や大福先寺の住職・復礼、西崇福寺の住職・法蔵らと共に『華厳経』を翻訳し、その後、大福先寺に移り、天竺の三蔵法師・宝思末多や授記寺の住職・恵表、沙門の勝荘、慈訓らと『根本部律』を訳しました。
これらの高僧たちは、みな四禅に心を澄ませ、六度の行を深く修め、心の鏡に法を映し、性の海に戒の珠を輝かせました。言葉の林に秀で、悟りの樹と共に芳を連ね、智慧の灯火は輝き、月輪を清らかに照らしました。彼らはまさに、磨かれた金や玉の如く、仏法の殿堂を支える棟梁であり、法門を守る龍象でした。
已翻諸雜經律二百餘卷,繕寫云畢,尋並進內。其余戒律諸論,方俟後詮。五篇之教具明,八法之因備曉。鵞珠尚護,蟲命無傷,浮囊必取於不虧,油鉢終期於靡覆。崇聖教之紀綱,啟含生之耳目。伏願上資先聖,長隆七廟之基,下逮微躬,恒佐九天之命,遷懷生於壽域,致薄俗於淳源,歲稔時和,遠安邇肅。顧以萬機務總,四海事殷,爰憑乙夜之余,式賛彌天之德,課虛扣寂,聊題序云。
これまでに諸々の経典や戒律二百余巻を翻訳し、清書して完成させ、順次すべて朝廷に進上いたしました。残りの戒律や諸論は、後日解釈を待つことになります。五篇の教えは明らかに整い、八法の因縁も十分に理解されました。鵞珠を尚び護り、虫の命も傷つけず、浮き袋は必ず損なわずに取り、油鉢はついに覆ることなく期せられました。聖なる教えの綱紀を崇め、生きとし生けるものの耳目を啓きました。伏して願わくは、上は先聖を助け、七廟の基を長く隆んにし、下は微かな身に及び、常に九天の命を佐け、生きとし生けるものを寿域に遷し、薄俗を淳源に導き、年は豊かに時は和し、遠くは安らかに近くは粛然たることを。顧みれば万機の務は総べ、四海の事は殷し、よって乙夜の余りを憑り、天を覆うほどの徳を賛え、虚を課し寂を叩き、聊か序を題す。
金光明最勝王經卷第一
金光明最勝王経 巻第一
大唐三藏沙門義淨奉 制譯
大唐三藏沙門義淨奉 制譯
序品第一
序品第一
如是我聞:
私はこのように聞きました。
一時薄伽梵,在王舍城鷲峯山頂,於最清淨甚深法界,諸佛之境如來所居,與大苾芻眾九萬八千人,皆是阿羅漢——能善調伏如大象王,諸漏已除,無復煩惱,心善解脫,慧善解脫,所作已畢,捨諸重擔,逮得己利,盡諸有結,得大自在,住清淨戒,善巧方便,智慧莊嚴,證八解脫,已到彼岸——其名曰:具壽阿若憍陳如,具壽阿說侍多,具壽婆濕波,具壽摩訶那摩,具壽婆帝利迦,大迦攝波,優樓頻螺迦攝,伽耶迦攝,那提迦攝,舍利子,大目乾連;惟阿難陀住於學地。如是等諸大聲聞,各於晡時從定而起,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
ある時、薄伽梵は、王舎城の鷲峯山の頂にありました。そこは最も清浄で甚深なる法界であり、諸仏の境地にして如来のお住まいになる場所です。ともにいたのは大苾芻の衆、九万八千人であり、みな阿羅漢でした。すなわち、よく調伏された大象王のように、諸々の漏はすでに除かれ、もはや煩悩はなく、心はよく解脱し、慧もよく解脱して、なすべきことはすでに終え、もろもろの重荷を捨て、自らの利益を得、もろもろの有の結を尽くし、大いなる自在を得て、清浄な戒に住み、善巧方便をもって智慧に荘厳され、八解脱を証し、すでに彼岸に到っていました。その名は、具寿アニャータ・カウンディニャ、具寿アシュヴァジット、具寿ヴァシュパ、具寿マハーナーマン、具寿バドリカ、大迦摂波、ウルヴィルヴァー・カシュヤパ、ガヤー・カシュヤパ、ナディー・カシュヤパ、舎利子、大目乾連です。ただ阿難陀だけは、なお学地に住んでいました。このような諸々の大聲聞たちは、それぞれ晡時に定から起ち、仏のもとへ参り、仏の足を頂礼し、右に三匝めぐって、退いて一面に坐りました。
復有菩薩摩訶薩,百千萬億人俱——有大威德,如大龍王,名稱普聞,眾所知識,施戒清淨,常樂奉持,忍行精勤,經無量劫,超諸靜慮,繫念現前,開闡慧門,善修方便,自在遊戲,微妙神通,逮得總持,辯才無盡,斷諸煩惱,累染皆亡,不久當成一切種智,降魔軍眾而擊法鼓,制諸外道,令起淨心,轉妙法輪,度人天眾,十方佛土悉已莊嚴,六趣有情無不蒙益,成就大智,具足大忍,住大慈悲心,有大堅固力,歷事諸佛,不般涅槃,發弘誓心,盡未來際,廣於佛所深種淨因,於三世法悟無生忍,逾於二乘所行境界,以大善巧化導世間,於大師教悉能敷演,祕密之法,甚深空性,皆已了知,無復疑惑——其名曰:無障礙轉法輪菩薩,常發心轉法輪菩薩,常精進菩薩,不休息菩薩,慈氏菩薩,妙吉祥菩薩,觀自在菩薩,總持自在王菩薩,大辯莊嚴王菩薩,妙高山王菩薩,大海深王菩薩,寶幢菩薩,大寶幢菩薩,地藏菩薩,虛空藏菩薩,寶手自在菩薩,金剛手菩薩,歡喜力菩薩,大法力菩薩,大莊嚴光菩薩,大金光莊嚴菩薩,淨戒菩薩,常定菩薩,極清淨慧菩薩,堅固精進菩薩,心如虛空菩薩,不斷大願菩薩,施藥菩薩,療諸煩惱病菩薩,醫王菩薩,歡喜高王菩薩,得上授記菩薩,大雲淨光菩薩,大雲持法菩薩,大雲名稱喜樂菩薩,大雲現無邊稱菩薩,大雲師子吼菩薩,大雲牛王吼菩薩,大雲吉祥菩薩,大雲寶德菩薩,大雲日藏菩薩,大雲月藏菩薩,大雲星光菩薩,大雲火光菩薩,大雲電光菩薩,大雲雷音菩薩,大雲慧雨充遍菩薩,大雲清淨雨王菩薩,大雲花樹王菩薩,大雲青蓮花香菩薩,大雲寶栴檀香清涼身菩薩,大雲除闇菩薩,大雲破瞖菩薩。如是等無量大菩薩眾,各於晡時,從定而起,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
また、大菩薩たちが百千万億人集まっておられました――大いなる威徳を持ち、大龍王のごとく、その名声は広く知れ渡り、多くの人々に知られておられます。布施と戒律は清らかで、常に喜んでこれらを守り、忍耐の行いに精進し、無量の劫を経て、あらゆる禅定を超え、心を集中して念を現前させ、智慧の門を開き、巧みに方便を修め、自在に遊戯し、微妙な神通力を得、総持(一切を記憶保持する力)を獲得し、弁才は尽きることがなく、あらゆる煩悩を断ち、染汚をすべて滅ぼし、まもなく一切種智(完全な悟り)を成就し、魔軍を降伏させて法の太鼓を打ち鳴らし、諸々の外道を制して清らかな心を起こさせ、妙なる法輪を転じて人々と天の衆生を救い、十方の仏国土をことごとく荘厳し、六道の有情をすべて利益し、大いなる智慧を成就し、大いなる忍耐を具足し、大いなる慈悲の心に住し、大いなる堅固な力を持ち、諸仏に仕え、涅槃に入ることなく、広大な誓願を発して未来際まで尽くし、広く仏の御前で深く清らかな因を種とし、三世の法において無生忍(不生不滅の真理を悟る境地)を悟り、二乗(声聞・縁覚)の行う境界を超え、大いなる善巧方便をもって世間を教化導き、大師(仏陀)の教えをことごとく説き明かし、秘密の法や甚深な空性をすべて理解し、もはや疑いを残さない――そのお名前は次のとおりです:無障礙転法輪菩薩、常発心転法輪菩薩、常精進菩薩、不休息菩薩、慈氏菩薩、妙吉祥菩薩、観自在菩薩、総持自在王菩薩、大弁荘厳王菩薩、妙高山王菩薩、大海深王菩薩、宝幢菩薩、大宝幢菩薩、地蔵菩薩、虚空蔵菩薩、宝手自在菩薩、金剛手菩薩、歓喜力菩薩、大法力菩薩、大荘厳光菩薩、大金光荘厳菩薩、浄戒菩薩、常定菩薩、極清浄慧菩薩、堅固精進菩薩、心如虚空菩薩、不断大願菩薩、施薬菩薩、療諸煩悩病菩薩、医王菩薩、歓喜高王菩薩、得上授記菩薩、大雲浄光菩薩、大雲持法菩薩、大雲名称喜楽菩薩、大雲現無辺称菩薩、大雲師子吼菩薩、大雲牛王吼菩薩、大雲吉祥菩薩、大雲宝徳菩薩、大雲日蔵菩薩、大雲月蔵菩薩、大雲星光菩薩、大雲火光菩薩、大雲電光菩薩、大雲雷音菩薩、大雲慧雨充遍菩薩、大雲清浄雨王菩薩、大雲花樹王菩薩、大雲青蓮花香菩薩、大雲宝栴檀香清涼身菩薩、大雲除闇菩薩、大雲破瞖菩薩。このように、無量の大菩薩たちが、それぞれ午後(晡時)に禅定から起き上がり、仏陀のもとへ赴き、仏陀の足を礼拝し、右に三度回り、一歩下がって一方に座りました。
復有梨車毘童子五億八千,其名曰:師子光童子,師子慧童子,法授童子,因陀羅授童子,大光童子,大猛童子,佛護童子,法護童子,僧護童子,金剛護童子,虛空護童子,虛空吼童子,寶藏童子,吉祥妙藏童子,如是等人而為上首,悉皆安住無上菩提,於大乘中,深信歡喜。各於晡時,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
また、梨車毘童子五億八千万あり。その名は、師子光童子、師子慧童子、法授童子、因陀羅授童子、大光童子、大猛童子、仏護童子、法護童子、僧護童子、金剛護童子、虚空護童子、虚空吼童子、宝蔵童子、吉祥妙蔵童子などである。このような人々を上首として、すべてが無上菩提に安住し、大乗の教えを深く信じ、歓喜している。
彼らはそれぞれ、午後の時刻に仏のもとへ赴き、仏の足を頂礼し、右に三度巡ってから、一隅に退いて座した。
復有四萬二千天子,其名曰:喜見天子,喜悅天子,日光天子,月髻天子,明慧天子,虛空淨慧天子,除煩惱天子,吉祥天子,如是等天子而為上首,皆發弘願,護持大乘,紹隆正法,能使不絕。各於晡時,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
また四万二千の天子たちがいました。その名は、喜見天子、喜悦天子、日光天子、月髻天子、明慧天子、虚空浄慧天子、除煩悩天子、吉祥天子など、このような天子たちを上首として、皆、広大な誓願を発し、大乗を護り持って正しい教えを継承し隆盛させ、その法脈が絶えることのないようにしました。彼らはそれぞれ、午後の時刻に、仏のもとへ赴き、仏足を礼拝し、右に三度回って、一隅に退いて座りました。
復有二萬八千龍王:蓮華龍王,𧫦羅葉龍王,大力龍王,大吼龍王,小波龍王,持駛水龍王,金面龍王,如意龍王,如是等龍王而為上首,於大乘法,常樂受持,發深信心,稱揚擁護。各於晡時,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
また、二万八千の龍王がいました。蓮華龍王、𧫦羅葉龍王、大力龍王、大吼龍王、小波龍王、持駛水龍王、金面龍王、如意龍王などがその代表です。彼らは大乗の教えを常に喜んで受け持ち、深い信心を起こし、称え讃えて守り支えていました。それぞれが夕方の時に、仏のもとへ赴き、仏の足を礼拝し、右に三度回って、一歩下がって座りました。
復有三萬六千諸藥叉眾,毘沙門天王而為上首。其名曰:菴婆藥叉,持菴婆藥叉,蓮花光藏藥叉,蓮花面藥叉,顰眉藥叉,現大怖藥叉,動地藥叉,吞食藥叉,是等藥叉悉皆愛樂如來正法,深心護持,不生疲懈。各於晡時,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
さらにまた、三萬六千の薬叉の大衆があり、毘沙門天王がその上首としておられます。その名は、庵婆薬叉、持庵婆薬叉、蓮華光蔵薬叉、蓮華面薬叉、顰眉薬叉、現大怖薬叉、動地薬叉、吞食薬叉などです。これらの薬叉たちは皆、如来の正法を愛し楽しみ、深く心から護り持って、疲れや怠りを生じません。それぞれが午後、仏のおられる所に赴き、仏足を頂礼し、右に三たび回って、一辺に退いて坐しました。
復有四萬九千揭路茶王,香象勢力王而為上首,及餘健闥婆,阿蘇羅,緊那羅,莫呼洛伽等,山林河海一切神仙,并諸大國所有王眾,中宮后妃,淨信男女,人天大眾悉皆雲集,咸願擁護無上大乘,讀誦受持,書寫流布。各於晡時,往詣佛所,頂禮佛足,右遶三匝,退坐一面。
さらに、四万九千の迦楼羅王がおり、香象勢力王を筆頭として、その他の健闘婆、阿修羅、緊那羅、摩睺羅伽など、山林河海の一切の神仙、そして諸々の大国のすべての王たち、中宮の后妃、清らかな信仰を持つ男女、人間界と天界の大衆がことごとく雲のように集まり、皆、無上の大乗を擁護し、読誦し、受け持ち、書写し、広く流布することを願いました。それぞれが夕方の時に、仏の御所に赴き、仏足を頂礼し、右に三度回って、退いて一方に坐しました。
如是等聲聞、菩薩、人天大眾、龍神八部,既雲集已,各各至心合掌恭敬,瞻仰尊容,目未曾捨,願樂欲聞殊勝妙法。
このように、声聞や菩薩、人天の大衆、龍神八部などが集まり終えると、それぞれ真心を込めて合掌し、恭しく尊いお姿を仰ぎ見て、目をそらすことなく、すぐれた妙なる法を聞きたいと願った。
爾時,薄伽梵於日晡時,從定而起,觀察大眾,而說頌曰:
その時、世尊は夕方の時、瞑想から立ち上がり、大衆を見渡して、偈を説かれました。
「金光明妙法, 最勝諸經王;
甚深難得聞, 諸佛之境界。
我當為大眾, 宣說如是經;
并四方四佛, 威神共加護:
東方阿閦尊, 南方寶相佛,
西方無量壽, 北方天鼓音。
我復演妙法, 吉祥懺中勝,
能滅一切罪, 淨除諸惡業。
及消眾苦患, 常與無量樂,
一切智根本, 諸功德莊嚴。
眾生身不具, 壽命將損減,
諸惡相現前, 天神皆捨離。
親友懷瞋恨, 眷屬悉分離,
彼此共乖違, 珍財皆散失。
惡星為變怪, 或被邪蠱侵,
若復多憂愁, 眾苦之所逼,
睡眠見惡夢, 因此生煩惱。
是人當澡浴, 應著鮮潔衣,
於此妙經王, 甚深佛所讚,
專注心無亂, 讀誦聽受持。
由此經威力, 能離諸災橫,
及餘眾苦難, 無不皆除滅。
護世四王眾, 及大臣眷屬,
無量諸藥叉, 一心皆擁衛。
大辯才天女, 尼連河水神,
訶利底母神, 堅牢地神眾,
梵王帝釋主, 龍王緊那羅,
及金翅鳥王, 阿蘇羅天眾,
如是天神等, 并將其眷屬,
皆來護是人, 晝夜常不離。
我當說是經, 甚深佛行處;
諸佛祕密教, 千萬劫難逢。
若有聞是經, 能為他演說,
若心生隨喜, 或設於供養;
如是諸人等, 當於無量劫,
常為諸天人, 龍神所恭敬。
此福聚無量, 數過於恒沙,
讀誦是經者, 當獲斯功德。
亦為十方尊, 深行諸菩薩,
擁護持經者, 令離諸苦難。
供養是經者, 如前澡浴身,
飲食及香花, 恒起慈悲意。
若欲聽是經, 令心淨無垢;
常生歡喜念, 能長諸功德。
若以尊重心, 聽聞是經者;
善生於人趣, 遠離諸苦難。
彼人善根熟, 諸佛之所讚;
方得聞是經, 及以懺悔法。」
「金光明の妙なる法は、諸経の中の最勝の王なり。 甚深にして得難く、諸仏の境界なり。 我、大衆の為に、かくの如き経を宣説せん。 四方の四仏と共に、威神力を以て加護せん。 東方の阿閦尊、南方の宝相仏、 西方の無量寿、北方の天鼓音。 我、また妙法を演べん、吉祥の懺悔の中の勝れたる、 能く一切の罪を滅し、諸の悪業を浄除せん。 及び衆苦の患を消し、常に無量の楽を与えん。 一切智の根本、諸の功徳を以て荘厧せん。 衆生、身具わず、寿命損減せんとし、 諸の悪相現前し、天神皆捨て離れん。 親友瞋恨を懐き、眷属悉く分離し、 彼此共に乖違し、珍財皆散失せん。 悪星変怪を為し、或いは邪蠱に侵され、 若し復多く憂愁し、衆苦に逼られ、 睡眠に悪夢を見、此れに因りて煩悩を生ぜん。 是の人は当に澡浴し、鮮潔の衣を着るべし。 此の妙なる経王、甚深く仏の讃歎する所に於て、 専注して心乱れず、読誦し聴受持せん。 此の経の威力に由り、能く諸の災横を離れ、 及び余の衆苦難、除滅せざる無からん。 護世の四王衆、及び大臣眷属、 無量の諸薬叉、一心に皆擁衛せん。 大弁才天女、尼連河の水神、 訶利底母神、堅牢地神衆、 梵王帝釈主、龍王緊那羅、 及び金翅鳥王、阿蘇羅天衆、 かくの如き天神等、并びに其の眷属を将いて、 皆来たりて是の人を護り、昼夜常に離れざらん。 我、是の経を説かん、甚深き仏の行処。 諸仏の秘密の教え、千万劫も逢い難し。 若し是の経を聞き、能く他の為に演説し、 若し心に随喜を生じ、或いは供養を設けん。 かくの如き諸人等は、当に無量劫に於て、 常に諸の天人、龍神の恭敬する所とならん。 此の福聚は無量、数は恒沙を超えん。 是の経を読誦する者は、当に斯の功徳を獲ん。 また十方の尊、深行の諸菩薩、 持経者を擁護し、諸の苦難を離れしめん。 是の経を供養する者は、前に澡浴の身の如く、 飲食及び香花、恒に慈悲の意を起こせ。 若し是の経を聴かんと欲せば、心を浄めて垢無からしめ。 常に歓喜の念を生じ、能く諸の功徳を長ぜん。 若し尊重の心を以て、是の経を聴聞する者は、 善く人趣に生まれ、諸の苦難を遠離せん。 彼の人の善根熟し、諸仏の讃歎する所。 方に是の経を聞くことを得、及び以て懺悔の法を。」