方廣大莊嚴經卷第五
方広大荘厳経 巻第五
中天竺國沙門地婆訶羅奉 詔譯
中インド沙門地婆訶羅、詔により訳す
音樂發悟品第十三
音楽による悟り 第十三章
爾時,佛告諸比丘:「菩薩處在深宮將欲出家,天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦婁羅、緊那羅、摩睺羅伽、梵釋四王,常以種種供具供養菩薩,歡喜讚歎。又於異時,諸天龍神乾闥婆等,各自思惟:『菩薩長夜成就眾生,以四攝法而攝受之,是諸眾生根器已熟,菩薩何故久處深宮,而不出家成道度彼?若不及時,恐致遷移善心難保,後成正覺而無可度。』作是念已,至菩薩前,頂禮希望,作如是言:『云何當見菩薩出家學道,坐菩提座降伏眾魔,成等正覺,具足十力、四無所畏、十八不共佛法,三轉十二行無上法輪,現大神通,隨諸眾生所有意樂,皆令滿足?』」
そのとき、仏は諸比丘に告げられました。「菩薩が深い宮殿にあって、まさに出家しようとしていたとき、天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩睺羅伽、および梵天・帝釈・四天王は、常にさまざまな供物でもって菩薩を供養し、喜んで讃嘆していました。また別のとき、それら諸天・龍神・乾闥婆などは、それぞれ次のように思いました。『菩薩は長い間、衆生を成就し、四摂法によって彼らを摂め導いてこられました。これらの衆生の根器はすでに熟しています。なぜ菩薩はいつまでも深い宮殿にとどまり、出家して道を成し、彼らを救おうとされないのでしょうか。もし時機を逃せば、善心が移り変わり保ちがたくなる恐れがあり、後に正覚を成しても救うべき者がいなくなるでしょう。』こう考えてから、菩薩のもとへ至り、頭を地につけて礼拝し、切に願ってこう申し上げました。『どうか菩薩が出家して道を学び、菩提座に坐して多くの魔を降伏し、等正覚を成し、十力・四無所畏・十八不共の仏法を具え、三転十二行の無上の法輪を説き、大いなる神通を現し、衆生それぞれの意楽に応じて、すべてを満足させてくださるのを、いつ拝見できるのでしょうか。』」
佛告諸比丘:「菩薩長夜不由他悟,常自為師,了知世間及出世間,一切善法所行之行,知時非時,遊戲神通未嘗退失,應眾生根。猶如海潮無時錯謬,以神通智知諸眾生,可攝益時,可摧伏時,可度脫時,可棄捨時,可說法時,可默然時,可修智時,可誦念時,可思惟時,可獨處時,可往剎利眾會,可往婆羅門眾會,可往天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦婁羅、緊那羅、摩睺羅伽、釋梵護世,比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷等眾會之時。」
仏は諸々の比丘に告げられました。「菩薩は長い間、他によって悟りを開くのではなく、常に自らを師とし、世間と出世間の一切の善法が行うべき行いを了知し、時に適うか否かを知り、神通を遊戯の如く自在に使い、退失することがありません。衆生の根機に応じます。ちょうど海潮が時を誤ることがないように、神通の智をもって諸々の衆生を知り、摂め益すべき時、摧伏すべき時、度脱すべき時、棄捨すべき時、説法すべき時、黙然とすべき時、智慧を修すべき時、誦念すべき時、思惟すべき時、独処すべき時、剎利(クシャトリヤ)の衆会に赴くべき時、婆羅門の衆会に赴くべき時、天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦婁羅・緊那羅・摩睺羅伽・帝釈天・梵天・護世者、比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷などの衆会に赴くべき時を知るのです。」
佛告諸比丘:「一切最後身菩薩將欲出家,法爾有十方無邊阿僧祇世界諸佛如來神通之力,令其宮內鼓樂絃歌,出微妙音勸請菩薩,而說偈言:
仏は諸比丘に告げられた。「一切の最後身の菩薩がまさに出家しようとする時、必ず十方の無辺阿僧祇世界の諸仏如来の神通力によって、その宮殿内の鼓楽や弦歌に微妙な音を出させ、菩薩に勧め請いて、偈を説いて言うには、
「『宮中婇女絃歌聲, 以欲而惑於菩薩,
十方諸佛威神力, 變此音聲為法言。
尊昔見諸苦眾生, 發願與彼為依怙,
善哉若記昔諸行, 今正是時宜出家。
尊憶昔為眾生故, 身肉手足而無悋,
持戒忍辱及精進, 禪定智慧皆修行,
為求菩提勝福故, 一切世間無能及,
是諸眾生瞋恚癡, 尊以慈悲皆攝伏。
尊於愚癡邪見者, 而能廣起大悲心,
積集福智已無邊, 禪定神通極清淨。
身光能至於十方, 如月無雲而普照,
無數音樂聲微妙, 勸請菩薩速出家。』」
〈宮中の女官たちの歌声が、菩薩を欲望に惑わそうとしたが、 十方の諸仏の威神力によって、この音声は法の言葉に変えられた。 尊よ、昔、苦しむ衆生を見て、彼らのよりどころとなろうと誓われた。 ああ、もし過去の行いを思い起こされるなら、今こそ出家される時です。 尊よ、昔、衆生のために、身や肉や手足を惜しみなく施された。 戒律を守り、忍辱を修め、精進し、禅定と智慧をすべて修行された。 菩提という最上の福徳を求めて、一切世間の誰にも及ばなかった。 怒りや愚痴に満ちた衆生を、尊は慈悲によってすべて調伏された。 尊は愚かで邪な見解を持つ者にも、大きな慈悲の心を起こされた。 積み集められた福徳と智慧はすでに限りなく、禅定と神通は極めて清らかである。 尊のお身体の光は十方に届き、雲のない月が照らすようにすべてを照らす。 無数の音楽の音も微妙で、菩薩に早く出家するよう勧めている。」〉
佛告諸比丘:「爾時菩薩住於最勝微妙宮中,一切所須皆悉備具,殿堂樓閣眾寶莊嚴,幢幡寶蓋處處羅列,寶鈴寶網而嚴飾之,垂懸無量百千繒綵眾寶瓔珞。一切橋道以眾寶板之所合成,處處皆有眾寶香爐燒眾名香,珠交露幔張施其上。有諸池沼其水清冷,時非時華周遍開發,其池之中鳧鴈鴛鴦、孔雀翡翠、迦陵頻伽、共命之鳥出和雅音。其地純以瑠璃所成,光明可愛猶如明鏡,莊嚴綺麗無以為喻,人天見者莫不歡喜。復於一時,諸婇女等樂器之音,由十方佛威神力故,而說頌曰:
佛は諸の比丘に告げられました。「その時、菩薩は最もすぐれた微妙な宮殿の中に住んでいました。必要なものはすべて整い、殿堂や楼閣は多くの宝で荘厳され、幢や幡、宝蓋がいたるところに並び、宝鈴や宝網で飾られ、無量百千の絹の彩りや多くの宝の瓔珞が垂れ下がっていました。すべての橋や道は多くの宝の板で作られ、いたるところに多くの宝の香炉があり、名香を焚いていました。珠を交えた露の帳がその上に張られていました。いくつもの池があり、その水は清らかに冷たく、時節の花も時節でない花もあたり一面に開き、その池の中では鴨や雁、鴛鴦、孔雀、翡翠、迦陵頻伽、共命の鳥が和やかで雅な声を出していました。その地は純粋に瑠璃でできており、その光明は愛らしく、まるで明鏡のようで、その荘厳で美しいさまはたとえようがなく、人も天も見る者は皆、喜ばない者はありませんでした。またある時、多くの婇女たちの楽器の音は、十方の仏の威神力によって、次のように頌を説きました。
「『尊憶往昔發弘願, 愍諸眾生無依怙,
若證甘露大菩提, 救濟令之離苦惱。
如昔諸佛所行行, 獨處空山林野間,
證得如來一切智, 見諸貧乏施財寶。
尊昔已行於大施, 一切財寶皆能捨,
為諸眾生雨法雨, 今正是時宜出家。
尊於淨戒無缺減, 自昔多劫常修習,
解脫眾生諸煩惱, 今正是時宜出家。
尊修百千諸忍辱, 世間惡言皆忍受,
常以忍辱而調伏, 今正是時速出家。
尊行精進極堅強, 長時修習摧魔眾,
滅除一切三惡趣, 今正是時宜出家。
尊以勝定除諸垢, 灑甘露雨洽群生,
充滿世間諸渴乏, 今正是時宜出家。
尊以無邊大智慧, 斷除邪見愚癡惑,
尊應思惟昔弘願, 今正是時速出家。
尊昔已行無量億, 慈悲喜捨諸勝行,
以此一切諸勝行, 分布世間諸眾生。
婇女絃歌甚微妙, 以欲而感於菩薩,
十方諸佛威神力, 一切皆令為法音。
尊憶往昔為國王, 有人於前而從乞,
與我王位及國土, 歡喜捨之無悔恨。
尊昔曾為婆羅門, 名曰輸迦極精進,
慈孝供養於父母, 成熟無量婆羅門,
及餘眾生歸善道, 捨是身已生天上。
尊憶往昔作仙人, 歌利王瞋斷支節,
起大慈心無惱恨, 所傷之處皆流乳。
昔作奢摩仙子時, 父母居山同苦行,
王以毒箭誤而中, 抱慈無恨歡喜死。
尊憶昔為金色鹿, 見人渡河而被漂,
因起慈心以救之, 後反加害無瞋恨。
尊憶昔者為仙人, 寶珠誤墮於大海,
起精進心抒彼海, 龍王驚怖還寶珠。
尊於昔者為大仙, 慈心護彼歸命鴿,
有人從尊索是鴿, 自割身肉而稱之,
與鴿輕重乃齊等, 畢至命終為擁護。
又尊昔為奢摩仙, 人來問樹有幾葉,
善知多少而酬答, 其人不信天來證。
尊昔曾為鸚鵡鳥, 釋化為人來詰問,
所依之樹既枯折, 何為守之而不離?
答云依此而成長, 帝釋便生希有心,
即令枯樹重榮茂。 尊是受持功德者,
安處世間諸眾生, 置佛無邊功德海。
如是十方佛威神, 讚歎菩薩諸功德,
變諸婇女絃歌曲, 勸請菩薩速出家。
尊昔長劫發弘願, 拔諸眾生生死苦,
請憶往昔所行行, 今正是時宜出家。
尊憶往昔無邊劫, 以金銀等眾珍寶,
頭目王位及妻子, 見來求者歡喜施。
昔為首鞞幢牙王, 月燈珠髻及大悲,
堅猛妙目諸王等, 皆有威力能行施。
尊於多劫能持戒, 其戒清淨如明珠,
堅持守護無纖過, 亦如𤛆牛自愛尾。
尊憶曾為大象王, 獵師以箭中其身,
而起慈心無所報, 捐彼六牙而守戒。
尊憶多劫修諸忍, 因修忍故受眾苦,
請憶昔日為熊身, 見人凍餓而溫養,
彼歸路逢畋獵者, 將來共屠心不恨。
尊以精進堅固力, 為菩提故修諸行,
當伏魔王及軍眾, 今正是時宜出家。
尊憶昔為駿逸馬, 騰空利益諸世間,
於夜叉國濟眾生, 安置之於無畏處。
如是精進無邊劫, 神通智力除煩惱,
心極調柔坐寂定, 以此利益諸眾生。
尊於昔者為國王, 普使眾生行十善,
是諸眾生行善故, 命終皆得生梵世。
尊智能知善不善, 及了眾生諸根性,
智慧能入諸理趣, 今正是時速出家。
尊愍眾生墮邪見, 生老病死苦海中,
淨除生死險惡道, 示現涅槃真實路。
如是一切十方佛, 讚歎菩薩諸功德,
皆變婇女絃歌曲, 勸請菩薩速出家。
尊昔為王名勝福, 尸利尼彌訖瑟吒,
及雞薩梨千耶若, 法思光明堅強弓,
戒月光明進德光, 知恩能捨大威德。
王仙月形及猛實, 增長菩提求妙法,
善住月光殊勝行, 地塵勇施諸方主,
惠施寶髮清淨身, 作是及餘無量王,
皆悉能捨於難捨, 為諸如來雨法雨。
尊昔值遇恒沙佛, 悉皆承事無空過,
為求菩提度眾生, 今正是時速出家。
初事不空見, 值堅固花佛,
以一念清淨, 見毘盧舍那,
又遇栴檀佛, 以草炬供養,
又佛入城時, 以金末散地,
逢法自在佛, 說法讚善哉,
值普光如來, 一稱南無佛,
見大聚光佛, 供養以金花,
值光幢如來, 奉獻以掬豆,
又見智幢佛, 無憂花如來,
持粥以供養, 於彼發弘願。
又值寶髮佛, 供養以明燈,
見花光如來, 供養以良藥,
又值無畏佛, 施以寶瓔珞,
婆胝伽羅佛, 施波頭摩寶,
見娑羅王佛, 供養以純乳,
施名稱如來, 奉以師子座,
又見真實佛, 及高智如來,
曾頂禮圍遶。 又見龍施佛,
供養以衣服, 見增上行佛,
施以栴檀香, 又見致沙佛,
供養以妙鉢, 又見大嚴佛,
施優鉢羅花, 又值光王佛,
以妙寶供養, 又見釋迦佛,
施以金蓮華, 又值宿王佛,
讚歎如來德, 又見日面佛,
施以莊耳花, 又值妙意佛,
散以真頭花, 又見降龍佛,
施以摩尼寶, 又值增益佛,
奉上眾寶蓋, 又見藥師佛,
奉以勝妙座, 值師子幢佛,
奉以眾寶網, 又見持德佛,
以音樂供養, 又值迦葉佛,
奉以眾末香, 又見放光佛,
以妙花供養, 又值阿鞞佛,
奉以妙勝臺, 又見世供佛,
奉以妙花鬘, 又值多伽佛,
曾捨天王位, 又見難降佛,
施以眾妙香, 又值大光佛,
捨身而供養, 又見尚花佛,
獻寶莊嚴具, 又值法幢佛,
散以眾妙華, 又見作光佛,
奉優鉢羅花, 盡心而供養。
如是及餘無量佛, 一一皆以諸供具,
供養承事無空過, 願尊憶念過去佛,
及憶供養諸如來。 眾生苦惱無依怙,
請尊憶念速出家, 尊憶昔值然燈佛,
獲得清淨無生忍, 及五神通無退失,
從此即能往諸剎, 一念遍事諸如來。
有為諸法悉無常, 五欲王位皆不定,
為苦所逼諸眾生, 願速出家救濟之。
婇女絃歌奏清音, 以欲將惑於菩薩,
十方諸佛威神力, 所出眾聲演法言。
三界煩惱, 猶如猛火,
迷惑不離, 恒為所燒。
猶如浮雲, 須臾而滅,
合已還散, 如聚戲場。
念念不住, 如空中電,
遷滅迅速, 如水瀑流。
由愛無明, 輪轉五道,
循環不已, 如陶家輪。
染著五欲, 如被網禽,
欲如怨賊, 甚可怖畏。
處五欲者, 猶如履刃,
著五欲者, 如抱毒樹。
智者棄欲, 猶如糞坑,
五欲昏冥, 能令失念。
常為可怖, 諸苦之因,
能令生死, 枝條增長。
由彼漂溺, 生死河中,
聖人捨之, 如棄涕唾。
如見狂犬, 疾走而避,
如蜜塗刀, 如毒蛇首。
如戈戟刃, 如糞穢瓶,
不能捨離, 猶如餓狗,
囓其枯骨。 五欲不實,
妄見而生, 如水中月,
如谷中響, 如焰如幻,
如水上泡, 從分別生,
無有實法。 年在盛時,
愚癡愛著, 謂為常有,
不能厭捨。 老病死至,
壞其少壯, 一切惡之。
有財寶者, 不知遠離,
五家散失, 便生苦惱。
猶如樹木, 花果茂盛,
眾人愛之, 枝葉彫零。
棄而不顧, 老弱貧病,
亦復如是。 亦如鷲鳥,
世間惡之, 如霹靂火,
焚燒大樹, 亦如朽屋,
不久崩壞。 有法能離,
生老病死, 願尊出家。
為諸眾生, 說如斯法。
生老病死, 纏縛眾生。
如摩婁迦, 遶尼拘樹,
能奪勢力, 損壞諸根。
猶如嚴霜, 彫諸叢林,
盛年妙色, 因而變壞。
譬如山火, 四面俱至,
野獸在中, 周慞苦惱。
處生死者, 亦復如是,
願速出家, 而救脫之。
尊觀病苦, 損惱眾生,
猶如花林, 為霜所彫。
尊觀死苦, 恩愛永絕,
眷屬分離, 無復重覩。
猶如逝川, 亦如花落,
能害有力, 令不自在。
獨行無伴, 隨業而去,
一切壽命, 為死所吞。
如金翅鳥, 能食諸龍,
亦如象王, 為師子食。
如摩竭魚, 能吞一切,
亦如猛火, 焚燒叢林。
願尊憶昔, 發弘誓願,
今正是時, 宜速出家。
婇女伎樂, 欲惑菩薩,
諸佛神力, 變為法音。
是諸有為, 皆當壞滅,
如空中電, 無暫停息。
亦如坏器, 如假借物,
如腐草牆, 亦如砂岸。
依止因緣, 無有堅實,
如風中燈, 如水聚沫,
如水上泡, 猶如芭蕉,
中無堅實, 如幻如化。
猶如空拳, 展轉相因,
愚人不了, 妄生計著。
譬如人功, 及以麻枲,
木輪和合, 以成其繩。
離是和合, 即不成繩,
十二因緣, 一一分析,
過現未來, 無有體性,
求不可得, 亦復如是。
譬如種子, 能生於牙,
牙與種子, 不即不離。
從於無明, 能生諸行,
無明與行, 亦復如是。
不即不離, 體性空寂,
於因緣中, 求不可得。
譬如印泥, 泥中無印,
印中無泥, 要因泥印。
文像可覩, 依止根境,
有眼識生, 三事和合。
說為能見, 境不在識,
識不在境, 根境識中,
本無有見, 分別妄計,
境界相生。 智者觀察。
曾無相狀, 如幻夢等。
譬如鑽火, 木鑽人功,
三種和合, 得有火生,
於三法中, 本無有火。
和合暫有, 名曰眾生,
第一義中, 都不可得。
譬如咽喉, 及以脣舌,
擊動出聲, 一一分中,
聲不可得, 眾緣和合,
有此聲耳。 智者觀聲,
念念相續, 無有實法,
猶如谷響, 聲不可得。
譬如箜篌, 絃器及手,
和合發聲, 本無去來。
於諸緣中, 求聲不得,
離緣求聲, 亦不可得。
內外諸蘊, 皆悉空寂,
無我無人, 無壽命者。
尊於往昔, 值然燈佛,
已證最勝, 真實妙法。
願尊於今, 為眾生故,
雨甘露法, 使得充足。』」
尊よ、あなたが昔に立てた広大な誓いを思い出してください。 眾生が寄る辺なく苦しんでいるのを哀れみ、 もし甘露の大菩提を証得し、 救済して彼らを苦悩から離れさせようと誓われたことを。
昔の諸仏が行われたように、 獨り空の山、林や野原で修行され、 如來の一切智を證得して、 貧しく乏しい者たちを見ては財寶を施された。
尊は昔、大きな布施をすでに行い、 すべての財寶を捨てることができた。 眾生のために法の雨を降らせた、 今こそ出家すべき時です。
尊は清らかな戒律を缺かすことなく、 昔から多くの劫を經て常に修習してきた。 眾生の煩惱を解脫させるために、 今こそ出家すべき時です。
尊は百千の忍辱を修め、 世間の惡言をもすべて受け入れた。 常に忍辱によって心を調え、 今こそ速やかに出家すべき時です。
尊の行う精進は非常に堅固で、 長い間修行して魔王の軍勢を打ち破り、 三惡趣をすべて滅盡させた。 今こそ出家すべき時です。
尊は優れた禪定で諸々の汚れを除き、 甘露の雨を注いで眾生を潤し、 世間の渇きや乏しさを滿たした。 今こそ出家すべき時です。
尊は限りない大智慧によって、 邪見や愚癡の惑いを斷ち切った。 尊は昔の広大な誓いを思い起こし、 今こそ速やかに出家すべき時です。
尊は昔、無量億の慈悲喜捨の勝れた行いをすでに實踐し、 そのすべての功徳を世間の眾生に施してきた。
女官たちの絃歌はとても微妙で、 欲望によって菩薩を感化しようとするが、 十方の諸仏の威神力によって、 そのすべてが法の音聲に變えられる。
尊よ、あなたが昔、王であった時、 ある人があなたの前に來て乞い願った、 「王位と國土を私に與えてください」と。 あなたは歡喜してそれを捨て、少しの悔いもなかった。
尊は昔、バラモンであり、 名前を輸迦といい、非常に精進した。 父母を慈しみ孝養し、 無量のバラモンを成熟させ、 その他の眾生をも善道に歸させ、 この身を捨てた後、天上に生まれた。
尊は昔、仙人であった時、 歌利王が怒ってその手足を斷ったが、 大きな慈心を起こして恨みもなく、 傷つけられた場所からは乳が流れ出た。
昔、奢摩仙人として生まれた時、 父母とともに山に住み苦行を共にした。 王の毒矢が誤って當たり、 慈心を抱いたまま恨みなく喜んで死んだ。
尊は昔、金色の鹿であった時、 人が川を渡る際に流されるのを見て、 慈心を起こして救った。 しかし後にその人に害されたが、恨みの心はなかった。
尊は昔、仙人となり、 寶珠が誤って大海に落ちた時、 精進の心を起こしてその海の水を掻き出した。 龍王は驚き怖れて寶珠を返した。
尊は昔、大仙であり、 慈心をもって命を賴ってきた鳩を守った。 ある人が尊にその鳩を求めた時、 自らの肉を割いて秤にかけ、 鳩と重さが等しくなるまで與え、 命が終わるまで守り通した。
また尊は昔、奢摩仙であり、 人が來て木に何枚の葉があるか尋ねた。 尊はその数を正確に答えたが、 その人は信じず、天人が來て證した。
尊は昔、鸚鵡の鳥であり、 帝釋天が人に化身して問いかけた、 「賴っている木がすでに枯れてしまったのに、 なぜそこを離れずに守っているのか」と。 鸚鵡は答えた、「この木に賴って育ったからです」と。 帝釋天は希有の心を起こし、 枯れた木を再び茂らせた。
尊は功徳を受け持つ者であり、 世間の眾生を安らかな場所に置き、 仏の限りない功徳の海に導く。
このように十方の諸仏の威神力によって、 菩薩の諸々の功徳が讚歎され、 女官たちの絃歌や歌曲もすべて、 菩薩に速やかに出家を勸めるものに變えられた。
尊は昔、長い劫を經て広大な誓いを立て、 眾生を生死の苦しみから引き拔こうとした。 昔に行った行いを思い起こしてください、 今こそ出家すべき時です。
尊は昔、限りない劫の間、 金銀などの多くの寶物や、 頭、目、王位、妻子までも、 求める者が來れば歡喜して施した。
昔、首鞞幢牙王となり、 月燈珠髻王、大悲王、 堅猛王、妙目王などの王となり、 皆、力を持って布施を行った。
尊は多くの劫の間、戒律を保ち、 その戒は清らかで明珠のようであり、 固く守って少しの過ちもなく、 牦牛が自分の尾を愛するように守った。
尊は昔、象の王であり、 獵師が矢でその身を射たが、 慈心を起こして報復せず、 六本の牙を捨てて戒を守った。
尊は多くの劫の間、忍辱を修め、 その忍辱のために多くの苦しみを受けました。 昔、熊の身であった時を思い出してください。 人々が凍え飢えているのを見て溫かく養い、 その人が歸り道で獵師に出會い、 獵師とともに熊を殺そうとしたが、熊は恨みの心を持たなかった。
尊は精進という堅固な力によって、 菩提を求めて諸々の行いを修め、 魔王とその軍勢を調伏するでしょう。 今こそ出家すべき時です。
尊は昔、駿逸な馬となり、 空を駆けて世間を利益し、 夜叉の國で眾生を救い、 恐れのない場所に安置した。
このように限りない劫の間、精進し、 神通と智慧の力で煩惱を取り除き、 心を非常に柔らかく調えて靜かに座し、 これによって眾生を利益した。
尊は昔、王であり、 すべての眾生に十善を實踐させ、 その眾生が善行を行ったゆえに、 命終の後、梵天に生まれることができた。
尊の智慧は善と不善とをよく知り、 眾生の様々な性質をも理解している。 智慧はすべての理に通じている。 今こそ速やかに出家すべき時です。
尊は眾生が邪見に墮ち、 生老病死の苦しみの海の中にあるのを哀れみ、 生死の險しい惡道を清め、 涅槃の真實の道を示そうとした。
このように十方のすべての諸仏が、 菩薩の諸々の功徳を讚歎し、 女官たちの絃歌や歌曲をすべて變えて、 菩薩に速やかに出家するよう勸めている。
尊は昔、勝福という名の王であり、 尸利尼彌訖瑟吒、 雞薩梨千耶若、 法思、光明、堅強弓、 戒月、光明、進德光、 知恩、能捨、大威德と名付けられた王であった。
王仙、月形、猛實、 增長菩提、求妙法、 善住、月光、殊勝行、 地塵、勇施、諸方主、 惠施、寶髮、清淨身、 これらの王やその他の無量の王も、 すべてが捨て難いものを捨て、 諸佛が法の雨を降らせた。
尊は昔、數え切れないほどの仏に出會い、 すべてに仕え、一つも空しくしなかった。 菩提を求めて眾生を救濟するために、 今こそ速やかに出家すべき時です。
最初に不空見仏に仕え、 堅固花佛に出會い、 一念の清らかな心で毘盧舍那仏を見た。 また栴檀佛に出會い、草の燈明を供養した。 仏が城に入る時、金の粉末を地面に撒いた。 法自在佛に出會い、法を説いて「善いかな」と讚えた。 普光如來に出會い、一度「南無仏」と唱えた。 大聚光佛を見て、金の花を供養した。 光幢如來に出會い、一握りの豆を捧げた。 また智幢佛に出會い、無憂花如來に、 粥を捧げて供養し、そこで広大な誓いを立てた。
また寶髮佛に出會い、明るい燈明を供養した。 花光如來を見て、良藥を供養した。 また無畏佛に出會い、寶の瓔珞を施した。 婆胝伽羅佛に、波頭摩の寶を施した。 娑羅王佛を見て、純粋な乳を供養した。 名稱如來に、獅子の座を捧げた。 また真實佛と高智如來を見て、 頭を頂いて禮し、周りを圍んで供養した。 また龍施佛を見て、 衣服を供養した。增上行佛を見て、 栴檀の香を施した。また致沙佛を見て、 素晴らしい鉢を供養した。また大嚴佛を見て、 優鉢羅の花を施した。また光王佛に出會い、 素晴らしい寶を供養した。また釋迦佛を見て、 金の蓮華を施した。また宿王佛に出會い、 如來の徳を讚歎した。また日面佛を見て、 耳を飾る花を施した。また妙意佛に出會い、 真頭の花を散らした。また降龍佛を見て、 摩尼の寶を施した。また增益佛に出會い、 多くの寶の蓋を捧げた。また藥師佛を見て、 勝れた素晴らしい座を捧げた。師子幢佛に出會い、 多くの寶の網を捧げた。また持德佛を見て、 音楽で供養した。また迦葉佛に出會い、 多くの抹香を捧げた。また放光佛を見て、 素晴らしい花を供養した。また阿鞞佛に出會い、 素晴らしい高臺を捧げた。また世供佛を見て、 美しい花鬘を捧げた。また多伽佛に出會い、 天王の位を捨てたこともあった。また難降佛を見て、 多くの素晴らしい香を施した。また大光佛に出會い、 身を捨てて供養した。また尚花佛を見て、 寶の莊嚴具を獻げた。また法幢佛に出會い、 多くの美しい花を散らした。また作光佛を見て、 優鉢羅の花を捧げ、精一杯の心を盡して供養した。
このように他にも無數の仏に、 一つ一つすべての供養具をもって、 供養し仕え、空しくしたことはなかった。 尊よ、過去の仏を思い起こし、 諸佛への供養を思い出してください。 眾生は苦しみに惱み、寄る邊がありません。 尊よ、昔の誓いを思い出し、速やかに出家してください。 尊は昔、燃燈佛に出會い、 清らかな無生法忍を得て、 五神通も退くことがなかった。 それからすぐに諸佛の國土に赴き、 一念の間にすべての佛に仕えることができた。
しかし、すべての有為の法は無常であり、 五欲や王位もみな定まりがない。 苦しみに逼められている眾生のために、 どうか速やかに出家して救濟してください。
女官たちの絃歌が清らかな音を奏で、 欲望によって菩薩を惑わそうとするが、 十方の諸仏の威神力により、 發せられるすべての音が法の言葉となる。
三界の煩惱は、 ちょうど猛火のようであり、 惑いに覆われて離れることができず、 常にその火に焼かれている。
それは浮雲のようで、 しばらくすると消え去る。 合わさってもまた散り、 戲場に集まるようなものである。
瞬きの間も留まらず、 空の中の稲妻のようだ。 移り變わり滅びるのは速やかで、 水が滝のように流れ落ちるのと同じである。
愛欲と無明によって、 五道を輪廻し、 巡り續けて止まることがない。 陶工の輪のように。
五欲に染まり執着するのは、 網にかかった鳥のようなもの。 欲望は怨敵のようなもので、 非常に恐れ畏れるべきものである。
五欲の中にいることは、 刃の上を歩くようなもの。 五欲に執着することは、 毒の木に抱きつくようなもの。
智者は欲望を捨てる。 あたかも糞坑のように。 五欲は昏く暗く、 正しい念を失わせる。
常に恐れるべき 諸々の苦しみの因であり、 生死の枝葉を 增長させるものである。
それによって漂い沈み、 生死の川の中にいる。 聖人はそれを捨てる、 あたかも唾や鼻水を捨てるように。
狂った犬を見たら 速足で避けるように、 蜜を塗った刀のようであり、 毒蛇の頭のようである。
戈や戟の刃のようであり、 糞の入った瓶のようである。 それでも捨て離れることができないのは、 飢えた犬が 乾いた骨を噛むようなものである。
五欲は真實ではなく、 誤った見解によって生じる。 水の中の月のようであり、 谷の中の響きのようであり、 陽炎や幻のようであり、 水の上の泡のようであり、 分別によって生じたもので、 実體のある法はない。
年が盛りの時、 愚かにも愛著して、 これを常住と思う。 厭いて捨てることができない。 しかし老い、病、死が來て、 その若さと美しさを壞し、 すべての人がそれを厭う。
財寶を持っている者も、 遠離することを知らず、 五つの家によって散失し、 苦惱を生じる。
あたかも木が 花や實を盛んに茂らせている時、 人々がそれを愛するが、 枝や葉が枯れ落ちると、 捨てて顧みない。 老い、弱り、貧しく病むことも また同じである。
また鷲や鳶のようであり、 世間がそれを厭い、 落雷の火のようであり、 大木を焼き、 また朽ちた家のようで、 やがて崩れ壞れる。
生老病死を離れる法がある。 どうか尊よ出家してください。 眾生のために、 このような法を説いてください。
生老病死は、 眾生を縛り付ける。 摩婁迦の蔓が 尼拘樹に巻き付くように、 力を奪い、諸根を損なう。
ひどい霜が 多くの林を枯らすように、 盛年の美しい色も それによって壞れ變わる。
例えば山火事が 四方からやって來るように、 野獸がその中にいて、 慌てふためき苦惱する。
生死の中にいる者も またこのようである。 どうか速やかに出家して、 彼らを救い出してください。
尊よ、病の苦しみを見てください。 眾生を損ない惱ます、 花の林が霜によって枯らされるように。
尊よ、死の苦しみを見てください。 恩愛は永遠に斷たれ、 眷屬は離れ離れになり、 再び會うことがない。
流れ去る川のようであり、 花が散るようでもある。 力あるものを害し、 自在ならしめない。
獨り行き伴う者なく、 業に隨って去っていく。 すべての命は、 死によって呑み盡くされる。
金翅鳥が 龍を食べることができるように、 象の王が 獅子に食べられるようにも。
摩竭魚が すべてを呑み込むことができ、 また猛火が 林を焼くようにも。
どうか尊よ、昔立てた 広大な誓いを思い出してください。 今こそその時です、 速やかに出家してください。
女官たちの伎楽は、 菩薩を惑わそうとするが、 諸仏の神力によって、 法の音聲に變えられる。
これらの有為の法は、 すべて壞れ滅びるべきものであり、 空の中の稲妻のようで、 一瞬も留まることがない。
また壞れた器のようであり、 借り物のようなものであり、 腐った草の壁のようであり、 砂の岸のようでもある。
因緣に依止して存在するが、 堅固な實體はない。 風の中の燈火のようであり、 水に集まる泡のようであり、 水の上の泡沫のようであり、 芭蕉のようであり、 中に堅固な實體はない。 幻や變化のようである。
空を握った拳のようなもので、 展轉してお互いに因となる。 愚かな人は理解せず、 誤って實體があると執著する。
例えば人の力と麻などの材料、 木の輪が和合して、 繩ができるようなもの。 この和合を離れれば、 繩はできない。
十二因緣も、 一つ一つ分析すれば、 過去も現在も未來も、 實體はなく、 求めても得られない。 またこのようである。
例えば種子が芽を生じるが、 芽と種子は、 同じでもなく別でもない。 無明から諸行が生じるが、 無明と行も、 またこのようである。
同じでも別でもなく、 體性は空しく寂靜であり、 因緣の中に求めても、 得ることができない。
例えば印を泥に押すと、 泥の中に印はなく、 印の中に泥もない。 泥と印によって、 文字や像が見えるのである。 根と境に依止して 眼識が生じ、 三つのものが和合して、 「見る」と説くのである。 境は識の中になく、 識は境の中にない。 根と境と識の中に、 本來「見ること」はない。 分別によって誤って計度し、 境界の相が生じるのである。 智者は観察すると、 かつて相狀なるものはなく、 幻や夢などのようである。
例えば火を鑽る時、 木と鑽と人の力、 三つのものが和合して、 火が生じる。 三つの法の中には、 本來火はない。 和合によって一時的にあるものを、 「眾生」と名付けるが、 第一義の中では、 何一つ得ることができない。
例えば咽喉と唇と舌が、 擊ち動いて音を出すが、 一つ一つの部分の中に、 音は存在しない。 多くの緣が和合して、 この音があるのである。 智者は音を観察すると、 一瞬一瞬と續いていくが、 實體のある法はなく、 谷の響きのようで、 音は得ることができない。
例えば箜篌は、 弦と樂器と手が 和合して音を發するが、 本來來ることも去ることもない。 諸々の緣の中に、 音を求めても得られず、 緣を離れて音を求めても、 また得ることができない。
内外の諸蘊は、 すべて空しく寂靜であり、 我もなく人もなく、 壽命ある者もない。
尊は昔、燃燈佛に出會い、 すでに最も勝れた 真實の妙法を證得した。 どうか尊よ、今、 眾生のために、 甘露の法を降らせ、 彼らを満たし潤してください。
佛告諸比丘:「菩薩聞是偈已,專趣菩提正念不惰。何以故?菩薩於長夜時,尊重恭敬供養正法及說法師,深生淨信求於正法,好樂正法住於正法,隨所聽聞心無厭足,開悟眾生。於法施主深生尊重,為他演說無所希望,亦不因法而求財寶,為眾說法未曾慳悋。勇猛精進一心勤求,法為依止守護法藏,住於忍辱修行波若通達方便。」
仏は諸々の比丘に告げられた。「菩薩はこの偈を聞いて、ひたすら悟りへと向かい、正しい心を保ち怠ることがありません。なぜなら、菩薩は長い間、正法や説法する師を敬い、尊び、供養し、深く清らかな信を起こして正法を求め、正法を愛好し、正法に住み、聞いたことに対して心に飽き足りることがなく、生きとし生けるものを悟りへ導くからです。法を施す方に対して深く敬いの心を起こし、見返りを求めずに説法し、法によって財宝を求めることもなく、人々のために説法するにあたって惜しむ心がありません。勇ましく精進し、一心に法を求め、法をよりどころとして守り、忍辱に住し、般若を修行し、方便に通達します。」
佛告諸比丘:「菩薩於多劫來,遠離世間五欲之過,為成就眾生,示現處於貪欲境界,積集增長一切善根殊勝福德資粮之力,示現受用廣大微妙五欲境界,而於其中心得自在。菩薩是時憶念往昔所發誓願,由是昔願思惟佛法皆悉現前,而起大悲觀察世間,富貴熾盛會歸磨滅,又觀生死多諸煩惱險惡怖畏,欲速除斷入大涅槃。」
仏は諸々の比丘に告げられた。「菩薩は長い長い年月をかけて、世の中の五欲(五感の快楽)の過ちから遠く離れてきた。しかし、すべての生きとし生けるものを救うために、あえて貪欲の世界の中に身を置くことを示し、あらゆる善い根と素晴らしい福徳の力を持ち続けて育て、広大で微妙な五欲の世界を味わっているように見せながらも、その心は決して乱されることがないのだ。
その時、菩薩は昔に立てた誓いを思い起こす。その誓いによって、仏の教えがすべて目の前に現れてくる。そして大きな慈悲の心で世の中を見つめると、富や栄えがどれほど盛んであっても、やがては消え去ってしまうものであることを知る。また、生まれ変わり死に変わりする世界には多くの苦しみや危険が満ちていることを見て、それを速やかに断ち切り、大きな悟りの境地に入ろうと願うのだ。」
佛告諸比丘:「菩薩久已了知生死過患,不取不著,樂求如來真實功德,依阿蘭若寂靜之處,其心常樂利益自他,於無上道勇猛精進,令一切眾生得安樂故、得利益故、得寂靜故、得涅槃故,常起大慈大悲,能以四攝攝諸眾生無有厭倦,觀諸眾生猶如一子。於諸境界心無所著,設大施會增長福德,遠離慳貪施不望報,於長夜中勇猛精進,善能降伏貪瞋憍慢慳嫉煩惱,未曾暫忘一切智心。著大施甲被精進鎧,以大悲心度脫眾生,智力堅強恒無退失,等心眾生隨其意樂皆令滿足。知時非時悟法非法,迴向菩提。於惠施中三事清淨,以金剛智除斷四魔,戒行成就善能守護身語意業,乃至小罪而懷大懼心常清淨,於諸垢濁,惡言毀呰、輕弄誹謗、打辱繫縛,曾無濁亂。具足忍辱心性調柔,所作事業常能堅固,於一切善心無退轉。念智具足恒修正定,獲智慧明能破諸暗。心常觀見苦空無常不淨之法,已善修習四念處、四正勤、四如意足、五根、五力、七菩提分、八聖道分。又常安住奢摩他、毘鉢舍那,深入緣起覺悟真實,恒自了知不因他解,遊三脫門,了知諸法如幻如夢如影,如水中月,如鏡中像,如熱時焰,如呼聲響。」
仏は諸々の比丘に告げられた。「菩薩はすでに久遠の昔から生死の過ちと苦しみを知り尽くし、それに執着することなく、如来の真実の功徳を求めて楽しみ、阿蘭若(静かな修行の場)に依って静寂の地に留まり、その心は常に自他の利益を喜びとし、無上の悟りの道に向かって勇猛に精進し、すべての衆生に安楽をもたらし、利益を与え、寂静をもたらし、涅槃に至らせるために、常に大いなる慈しみと思いやりの心を起こし、四つの摂受の法(布施、愛語、利行、同事)をもって衆生を導くことに疲れることがない。衆生を見ること、あたかも一人の子を慈しむかのようである。
あらゆる対象に対して心に執着がなく、大きな施しの集いを開いて福徳を増し、吝嗇を離れ、見返りを求めずに施しを行う。長い年月の間、勇猛に精進し、貪り、怒り、高慢、吝嗇、嫉妬といった煩悩を巧みに降伏し、一切智の心を一瞬たりとも忘れることがない。大きな施しの鎧を着け、精進のよろいをまとい、大いなる慈悲の心をもって衆生を救い導き、智慧の力は強固で、常に退き失うことがない。衆生に対して平等の心を持ち、その望みに従って皆を満足させる。
時に適うか適わないかを知り、法と非法を悟り、悟りの境地(菩提)に向かって回向する。施しにおいて三つの清らかさ(施す者、施す物、施す相手の三つの清らかさ)を成就し、金剛の智慧をもって四つの魔(煩悩魔、蘊魔、死魔、天子魔)を断ち切る。戒律の行いを成就し、身・口・意の三つの業を巧みに守り、小さな罪でさえも大きな恐れを持って慎み、心は常に清らかである。あらゆる汚れや濁り、悪口、誹謗、軽んじ嘲る言葉、打擲や辱め、束縛に対しても、心が乱れることがない。
忍耐を完全に具え、心は柔和であり、なすべきことは常に堅固で、すべての善いことに対して心が退転することがない。念と智慧を具え、常に正しい禅定を修め、智慧の光明を得て、すべての闇を打ち破る。心は常に苦・空・無常・不浄の法を観じ、すでに四念処、四正勤、四如意足、五根、五力、七菩提分、八聖道分を善く修習している。また常に止(奢摩他)と観(毘鉢舎那)に安住し、縁起の深い理法に入って真実を悟り、常に自ら了知し、他人によって解かれることによらない。三つの解脱門(空・無相・無願)を遊戯し、すべての法が幻のようであり、夢のようであり、影のようであり、水中の月のようであり、鏡の中の像のようであり、熱気の陽炎のようであり、呼び声の響きのようなものであると了知する。」
佛告諸比丘:「菩薩從多劫來,於四威儀恒住如是智慧、如是功德、如是精進、如是利益。十方諸佛復令宮中婇女樂器出微妙聲勸發菩薩。又欲化諸宮中婇女,即時證得四種法門。何等為四?一者方便布施愛語利行同事,而攝取之。二者紹三寶種能使不絕,不壞一切智性不退願力。三者智力堅固,大慈大悲不捨眾生。四者有殊勝智慧資粮之力,分別一切菩提分法。大嚴法門得現前故,以此四種為欲成就宮中諸婇女故,即於是時作大神通,令諸婇女解悟樂音所出言詞百千法門,所謂廣大心,愍眾生心,求菩提心,發起深心,而於佛法令生淨信,遠離憍慢尊重正法,知善不善,憶念諸佛,布施、持戒、忍辱、精進、禪定、智慧,六神通,四攝法,四無量,四念處,四正勤,四如意足,五根,五力,七菩提分,八聖道分,一一分別奢摩他、毘鉢舍那。無常苦空無我不淨,無貪寂滅,無生盡智,乃至涅槃。菩薩神通令音樂中出如是聲。諸婇女等聞是聲已,生希有心歡喜踊躍得未曾有。」
仏は諸々の比丘に告げられた。「菩薩は多くの劫の昔から、行住坐臥の四つの立ち居振る舞いにおいて、常にこの智慧、この功徳、この精進、この利益に安住してきた。十方の諸仏はまた、宮中の婇女や楽器に微妙な音声を発させて菩薩を勧発し、また宮中の婇女たちを教化しようとして、即座に四つの法門を証得した。その四つとは何か。一つには、方便による布施、愛語、利行、同事によって彼らを摂取すること。二つには、三宝の種を継いで絶えさせず、一切智性を壊さず、願力を退けないこと。三つには、智力が堅固で、大慈大悲をもって衆生を捨てないこと。四つには、殊勝な智慧の資粮の力を持ち、一切の菩提分法を分別すること。大厳法門が現前することを得たので、この四つをもって宮中の婇女たちを成就させようと、まさにその時に大神通を現し、婇女たちに楽音から出る言葉の百千の法門を解悟させた。すなわち、広大な心、衆生を哀れむ心、菩提を求める心、深い心を起こし、仏法に清らかな信を生じさせ、高慢を離れて正法を尊重し、善と不善を知り、諸仏を憶念し、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧、六神通、四摂法、四無量心、四念処、四正勤、四如意足、五根、五力、七菩提分、八聖道分を、それぞれ奢摩他と毘鉢舎那によって分明に説き示した。無常、苦、空、無我、不浄、無貪、寂滅、無生、尽智、さらには涅槃に至るまで。菩薩の神通力によって、楽音の中にこのような声が現れた。婇女たちはこの声を聞いて、希有の心を生じ、歓喜し踊って、かつてない体験を得たのである。」
佛告諸比丘:「菩薩處王宮時,能令八萬四千諸婇女等,發阿耨多羅三藐三菩提心。復有無量百千諸天聞如是法,於阿耨多羅三藐三菩提得不退轉,說微妙偈,勸請菩薩速疾出家。」