大威力烏樞瑟摩明王經卷上
大威力烏樞瑟摩明王経 巻上
大唐北天竺國三藏阿質達霰譯
大唐北天竺国三藏阿質達霰訳
敬禮一切佛,復次諸菩薩。爾時會中無量俱胝明仙之所圍遶,摩醯首羅天王大部多主從座而起,頭面著地,前禮金剛手菩薩摩訶薩足,作是言:「菩薩!唯願演說大威力者、不空無礙教令諸無比力勇健者、金剛菩薩所愛樂者、諸天阿修羅梵王帝釋所歸仰者、夜叉羅剎毘多拏布單那所怖畏者、降怨敵者、辦諸事者、曼荼羅法所祕密者。」時彼眾會同讚摩醯首羅言:「善哉善哉作意!善哉善哉大部多主!為我等類決定勸請。」
一切の仏に敬礼し、さらに諸々の菩薩に敬礼します。そのとき、会場には無量の天子や仙人たちが取り囲んでいました。摩醯首羅天王(マヘーシュヴァラ天王)という大きな力を持つ主が、座を立って、頭を地面に付けて、金剛手菩薩摩訶薩の足の前に礼をし、こう言いました。「菩薩よ、どうかお話しください。大いなる力を持つ者、空しくなく妨げのない教え、比べるもののない力強く勇ましい者、金剛菩薩が愛する者、天や阿修羅、梵王、帝釈が帰依し仰ぐ者、夜叉・羅刹・毘多拏・布単那が恐れおののく者、敵を打ち倒す者、すべてのことを成し遂げる者、曼荼羅の法において秘められた者について。」そのとき、会場の一同は摩醯首羅を共に称賛して言いました。「善きかな、善きかな、その心がけよ。善きかな、善きかな、大いなる力の主よ。私たちのために、しっかりと請い求めてくださった。」
爾時金剛手菩薩逶迤抽擲金剛杵已,便下金剛莊嚴蓮華之座,顧彼眾會,即入怖畏金剛大忿怒遍喜三摩地。然後無量百千俱胝所為報障有,皆大振懾,悉見其身為烏樞瑟摩所押伏,命將欲盡如遇劫燒,其意迷悶,俱發聲言:「唯願哀憐,施之無畏。」
その時、金剛手菩薩は金剛杵をゆっくりと振りかざし、金剛荘厳の蓮華の座を下りて、会衆を見渡し、怖畏金剛の大忿怒・遍喜三摩地に入られた。すると、無量百千の倶胝という計り知れない数の報いの障害を持つ者たちは、皆、大いに震えおののき、自らの身が烏枢瑟摩によって押さえ伏せられ、命が尽きようとしているのが、劫の火に焼かれるかのようであった。その心は迷い、悶え、皆、声を上げて言った。「どうか哀れみたまい、畏れなきを与えたまえ」と。
爾時金剛手菩薩摩訶薩從三摩地安詳而起,告徒眾言:「大威德者、大光明者、大忿怒者,如汝所言,如是薄伽梵,大威德者、大忿怒、者大光明者。」
そのとき、金剛手菩薩摩訶薩は深い瞑想(三摩地)から静かに立ち上がり、弟子たちにこう告げた。「大いなる威徳を持つ者よ、大いなる光明を放つ者よ、大いなる忿怒を顕す者よ、あなたがたが語る通り、かの世尊(仏陀)こそ、大威徳を具え、大忿怒を現じ、大光明を放つ方である。」
爾時薄伽梵金剛手菩薩摩訶薩如師子顧,作此瞻視唱如是言:「大部多主!我今說烏樞瑟摩祕密曼荼羅法。若暫聞者,一切事業皆悉成就。不有非時夭橫,但諸惡事皆不及身,毘那夜迦伺不得便,一切眾生之所愛敬,一切怨敵常皆遠離,一切密言皆得成驗,諸金剛法任運當成,一切不祥即得解脫,一切吉慶常當加護。若持此明滿十千遍,即同登壇具足灌頂,如遇明師之所傳授。次復當陳烏樞瑟摩曼荼羅相。先應具受三歸八戒,發菩提心慈慧悲愍。其立壇地應當擇處,若於山間或在莊居,或於曠野或在寒林,或在淨室或河岸側,或獨樹下或閑宅祠宇,如法治地建曼荼羅,三肘四肘或復八肘亦十六肘。若降伏法三肘三角,作若寂災法四肘或八肘,若增益法及為國王十六肘作。用黑月八日或黑月十四日,以心密言加持清水用灑其地,又以紫檀摩一圓壇,布以祥草上散赤迦囉尼囉花,以塗香眾花散於壇上。加持佉馱囉橛一百八遍,釘入大壇四角及中成結地界,乃作根本遍擲印,誦密言七遍。取紫檀遍塗地,以五色線拼為界道,四角四門運以黃赤綠黑。乃於壇心畫佛,佛左傍畫金剛手菩薩,持杵,有諸使者及金剛鉤明蛇,捧杵瞻仰菩薩。次右烏樞瑟摩明王,持青難拏(唐言棒),以夜叉及阿修羅眾并訶利帝母及其愛子等為侍從,皆瞻仰明王。於東北角大自在天王,執三股叉,并妃。東方天帝釋,執金剛杵。東南隅火天,執了戾棒。南方閻羅王,執那拏。西南方寧帝,執劍。西方水天,執赤索。西北方風天,執緋幡。北方毘沙門,執伽那。三面畫毘舍蛇眾。東門內畫三股叉守護。以新瓶皆滿盛淨水及寶物五穀等,以綵色纏項。取一口瓶置佛前,安紫檀杵於口上。餘瓶皆以赤花或菓木枝塞口,四角四門各置一瓶。佛前置兩段衣服充供養,金剛聖眾乃至天等亦用衣服,每尊皆置飲食香花。壇外道梵行界道(壇外正方遺灰),其瓶先加持一千八遍乃置之。請諸尊,依法引弟子,誦金剛三昧耶密言,纔令弟子耳聞。散花所至,彼尊有緣,如法灌頂。若登此壇,即同入一切曼荼羅訖,一切天魔毘那夜迦皆悉順伏,命終生阿拏迦嚩典宮(毘沙門天王宮)。
その時、世尊・金剛手菩薩摩訶薩は、獅子が周囲を見渡すように威厳をもって見渡し、こう宣言された。
「大いなる主よ!我れ今、烏枢瑟摩の秘密曼荼羅の法を説こう。もし一たびこれを聞く者があれば、一切の事業は皆成就するであろう。時にあわずして夭折することもなく、あらゆる悪しき出来事も身に及ばず、毘那夜迦の障礙も機会を得ることができない。一切の衆生から愛され敬われ、一切の怨敵は常に遠ざかり、一切の真言は皆その験を得て、諸々の金剛の法は自然と成就する。あらゆる不吉なことはたちまち解消され、あらゆる吉事は常に守られるであろう。
もしこの真言を満一万回唱えるならば、それは壇に登って完全な灌頂を受けたのと同じであり、すぐれた師から伝授されたのと同じである。
次に、烏枢瑟摩曼荼羅のすがたを述べよう。まず三帰依と八戒を受け、菩提心を起こし、慈・慧・悲・愍の心を持つべきである。壇を設ける地は、適切な場所を選ぶこと。山間、荘園、荒野、寒林、清浄な部屋、川辺、一本の木の下、または閑静な家や祠など、その地を法に従って整え、曼荼羅を建立する。大きさは三肘、四肘、八肘、あるいは十六肘とする。
降伏法には三肘の三角形、寂災法には四肘または八肘、増益法および国王のためには十六肘とする。
黒月の八日または黒月の十四日を用いる。心真言をもって清水を加持し、その地に撒く。また紫檀で円壇を塗り、その上に吉祥草を敷き、その上に赤い迦羅尼羅の花を散らす。塗香と種々の花を壇の上に散らす。
佉陀羅の杭を一百八遍加持し、大壇の四隅と中央に打ち込み、地結界を成す。それから根本遍擲印を作し、真言を七遍唱える。
紫檀を取って地に遍く塗り、五色の糸で界道を引く。四隅には四門を設け、黄・赤・緑・黒を用いる。
壇の中央に仏を描き、仏の左に金剛手菩薩を描く。杵を持ち、諸々の使者、金剛鉤、明蛇を従え、杵を捧げて菩薩を仰ぎ見る。
次に右に烏枢瑟摩明王を描く。青い難拏(棒)を持ち、夜叉・阿修羅の衆、および訶利帝母とその愛子らを侍従とし、皆明王を仰ぎ見る。
東北の角には大自在天王、三叉の棒を持ち、妃を伴う。 東方には帝釈天、金剛杵を持つ。 南東の隅には火天、了戾棒を持つ。 南方には閻羅王、那拏を持つ。 南西には寧帝、剣を持つ。 西方には水天、赤い索を持つ。 北西には風天、緋色の幡を持つ。 北方には毘沙門天、伽那を持つ。 三面には毘舎遮の衆を描く。
東門の内側には三叉の棒を描いて守護とする。
新しい瓶に清らかな水と宝・五穀などを満たし、彩色の紐で首を飾る。一瓶を取り、仏前に置き、紫檀の杵を口の上に置く。他の瓶は皆、赤い花または果樹の枝で口を塞ぐ。四隅と四門にそれぞれ一瓶を置く。
仏前には二着の衣服を供養として置き、金剛の聖衆や天の衆にも衣服を用いる。それぞれの尊に飲食・香・花を備える。
壇の外側には、梵行の界道を引く。その瓶は先に一千八遍加持してから置くのである。
諸尊を請じ、法に従って弟子を導き、金剛三昧耶の真言を唱えて、弟子にその声を耳に聞かせる。散花の落ちたところによって、その尊との縁が知られる。法の通りに灌頂を行う。
もしこの壇に登るならば、それはすでに一切の曼荼羅に入ったのと同じであり、一切の天魔・毘那夜迦も皆ことごとく従い伏す。命終われば、阿拏迦嚩典宮(毘沙門天王の宮殿)に生まれるであろう。」
「復次重說無上祕密曼茶羅。以黑月八日或十四日,可稱讚地而建立之。四肘四門布以五色,或塼灰末。於中畫佛,次右觀自在菩薩,次右馬頭明王大忿怒形。佛左金剛手菩薩,次左大威力烏樞瑟麼明王大忿怒形。佛前摩麼雞金剛部母。四角置一瓶,佛前一瓶,以不截綵覆之,名勝瓶。外壇東北隅,大自在天王執三股叉并妃,於餘隅畫半杵或杵印,以香花飲食供養。如法引弟子灌頂,所用物充以心密言加持。
さらに、無上の秘密曼荼羅について説こう。黒月の八日または十四日に、土地を讃えてほめ、その地を清めて建立する。四肘の大きさで四つの門を設け、五色の粉や煉瓦の灰で彩る。その中に仏を描き、その右に観自在菩薩、さらにその右に馬頭明王を忿怒の姿で描く。仏の左には金剛手菩薩、さらにその左に大いなる威力を持つ烏枢瑟麼明王を忿怒の姿で描く。仏の前には金剛部の母である摩麼雞を描く。四隅には一瓶を置き、仏の前にも一瓶を置く。その瓶を途切れのない布で覆い、「勝瓶」と名付ける。外壇の東北の隅には、大自在天王が三叉戟を持ち、妃と共に立つ姿を描く。他の隅には半分の杵または杵の印を描く。香や花、飲食を供養として捧げる。正しい作法に従って弟子を導き灌頂を行う際には、必要な物品を心を込めて密言で加持する。
「復次契相。根本遍擲印。先正立,極力引左足頓地,向左亞身,右手握大指成拳,申臂令豎。左手為拳約著心,舒頭指如針。眉間嚬蹙,目當專注。此遍擲印乃能怖畏諸障難者,阿修羅門所有關鍵亦能摧破。
また、契相(きちそう)について説きます。根本遍擲印(こんぽんへんちゃくいん)という印です。まずまっすぐに立ち、力を込めて左足を地に踏み鳴らします。体を左に傾け、右手で親指を握って拳を作り、腕を伸ばして立てます。左手も拳にして胸のあたりに置き、人差し指を針のように伸ばします。眉をひそめ、目は一点に集中させます。この遍擲印は、あらゆる障害や災いを払い除ける力があり、阿修羅の門の鍵であっても破壊することができるのです。
「大忿怒印。並雙手,中名小指等互以面相著,其大指捻其三指甲,便相握成拳,舒頭指合如針。此契能作一切事業,縛撲、請召、辟除、卒忤,又令遠離能殺枯瘁護身。
大忿怒の印。両手を揃え、中指・薬指・小指を互いに向かい合わせて付ける。その親指で三本の指の爪を押さえ、そのまま握って拳とする。人差し指だけを伸ばし、合わせて針の形にする。この印は、あらゆる事業を成し遂げる力を持つ。縛る、打ち倒す、招く、呼び寄せる、払い除ける、不意の災いを防ぐ。さらには、害を遠ざけ、衰え枯れることを防ぎ、身を守る働きがある。
「普焰印。手背相著指頭垂下,名下合掌,乃深交諸指,二小指如針大開掌,二大指互捻頭指甲側。此契能成一切事業。
普焔印(ふえんいん)。手の甲を互いに向け合わせ、指先を下に向ける。これを下合掌(げがっしょう)という。そして、指を深く組み合わせ、両方の小指を針のように立てて、手のひらを大きく開く。両方の親指は、互いの爪の側面を軽く押さえる。この印は、あらゆる事業を成就させる力を持つ。
「杵印。雙手內相叉為拳,舒左中及頭指,右中頭指亦然,二中指相合,微屈頭指各近中指傍,大指相並押無名側。
杵の印。両手を内側で交差させて拳を作り、左の中指と人差し指を伸ばし、右も同様に中指と人差し指を伸ばす。二つの中指を合わせ、人差し指を少し曲げてそれぞれ中指のそばに付ける。親指を並べて薬指の側を押さえる。
「打車捧印。右手握大指成拳。
車を打ち、印を捧げる。右手で親指を握り、拳を作る。
「剪刀印。結次前印,舒頭中指如剪刀股,徐動之。
剪刀の印を結びます。次に、先ほどの印の上に、中指を伸ばしてハサミの刃のようにします。そして、ゆっくりと動かします。
「大牆院印。結前棒印,極開二頭指。
大牆院の印。前棒印を結び、二本の頭指を大きく開く。
「頂印。結次前大牆院,屈右頭入掌如餘指。
頂印(ちょういん)。次に前の大牆院(だいしょういん)の印を結び、右の親指を曲げて掌の中に入れ、他の指はそのままにしておく。
「頭印。如大牆院,屈左頭指入之。
頭印(ずいん)について。大きな壁で囲まれた庭のような形で、左の頭指(親指以外の指の先)を曲げて中に入れる。
「甲印。准牆院,屈二頭指相拄如環。此印有大威力,能作一切事業。
甲印。准牆院という印(※本来の文脈を損なわないよう簡潔に保ちつつ)。二本の頭指(人差し指)を曲げて、その先を環のように合わせる。この印には大きな力があり、あらゆる事業を成し遂げることができる。
「復次畫像法。用㲲徑方兩肘,依口酬價。乃以牛糞摩壇,豎緤於內,以赤花飲食供養。因食食良工圖如來像。坐師子座,手作說法相(以左手大指頭指頭相捻,並舒中名小三指,右手亦然。及以左手仰掌,橫約著心。以右手腕著左手名小指等頭,以掌向外散其三指也)。
また、画像の作り方を説きましょう。二肘四方の布を用い、言い値で代価を支払います。そして牛糞で壇を塗り、その中に布を掛け、赤い花と飲食を供養します。食事を与えてから、優れた職人に如来の像を描かせます。獅子座に座り、手で説法の印を結んでおられます(左手の親指と人差し指の先を合わせ、中指・薬指・小指を伸ばし、右手も同じようにします。また、左手を上向きにして胸の前に横たえ、右手の手首を左手の小指などの先に置き、手のひらを外に向けて三本の指を開きます)。
「如來左畫金剛手菩薩,右手執杵、左作問法相(並其五指微屈之,如仰𨫼形,引手向前,掌向如來也)。
如来の左側には金剛手菩薩を描く。右手に杵を持ち、左手は法を問う姿をしている。五本の指をわずかに曲げ、手のひらを上向きにして、手を前方に差し出し、掌を如来に向けている。
「次左畫大威力烏芻瑟麼明王,大忿怒形,目赤色,通身靘黑色,舉體焰起。而有四臂,右上手執劍,次下羂索;左上打車棒,下三股叉。器仗上並焰起。如來右,金剛部母麼麼雞,多髮美貌,通身靘色,䠒跪合掌恭敬白佛。部母右,行者䠒跪,兩手執香爐供養。其緤勿經打污、無毛髮者,勿用臭色及有命之色。其畫匠每日受三歸八戒,長齋具大善心,新衣清潔(行者亦爾,勿離其傍,速成為上。後有畫像亦准此也)。
次に、左側に大威力の烏芻瑟麼明王を描くこと。大いなる忿怒の姿で、目は赤く、全身は黒青色であり、全身から炎が立ち上る。四臂を持ち、右上の手は剣を握り、その下の手は羂索を持つ。左上の手は車棒を持ち、その下は三叉の戟を持つ。すべての武器から炎が立ち上る。如来の右側には、金剛部母の麼麼雞が描かれる。髪は多く、美しい容貌で、全身は青黒色であり、跪いて合掌し、恭しく仏に仕える。部母の右側には、行者が跪き、両手で香炉を持って供養する。画布は、打ち叩かれたり汚れたりしたもの、毛髪が混ざったものを用いてはならない。臭い色や生き物の色を用いてはならない。画師は毎日三帰依と八戒を受け、長斎を行い、大いなる善心を具え、新しい衣服を着て清潔にすること。行者もまた同様に、その傍らを離れず、速やかに成就することが最も良い。後に画像を描く場合も、これに準じるものとする。
「復次於此像前,面東誦根本密言,乞食禁語兀如枯木,當印制底。如是相續滿六十萬,遂即登山建立前祕密曼茶羅。持劍作大壇,用阿伽嚧(沈香也)充柴,欝金華和白檀香燒之晝夜,成持明仙之首,得一切悉地,有大威力,壽齊日月,命終生阿拏迦囉典宮。
さらに、この像の前で、東を向いて根本密言を唱え、托鉢し、言葉を慎み、枯れ木のように動かずに印を結ぶ。このようにして満六十万回を続けたなら、すぐに山に登って、先ほどの秘密の曼荼羅を建立する。剣を持って大壇を作り、阿伽嚧(沈香のこと)を薪として用い、鬱金華と白檀香を混ぜて、昼夜にわたって焚く。持明仙の首となり、すべての悉地を得て、大きな威力を持ち、寿命は日月と同じくらいになる。命終われば、阿拏迦囉典宮に生まれる。
「若置訶哩多攞(雌黃)或安善那(眼藥)或麼曩始攞(雄黃)或捧。准前作火壇,功力同劍。若乞食於一月內無間念誦,取白月十五日畢,其日布像,敷阿說他葉(廣府有之)於像前,加持三金(金銀赤銅)娜拏七遍,置上加持,持之焰起,劫壽,有大威力,一切阿修羅、一切夜叉羅剎鬼神諸天皆大順伏。若三金娜拏一月內加持之,日滿,准前加持,焰起持之,劫壽,身等大威力明王。若人以三金杵代娜拏,焰起,身同金剛手菩薩。若以三金輪代杵,焰起,身如日輝,成明仙中輪王。
もし「カーリダラ(雌黄)」を置き、あるいは「アンジャナ(眼薬)」や「マナシーラ(雄黄)」や捧(捧物)を用いるならば、先の通りに火の壇を作り、その功徳は剣と同じである。もし托鉢を行いながら一ヶ月の間、絶え間なく念誦し、白月の十五日を選んで成就するならば、その日に尊像を掛け、阿説他樹の葉(広府にこれ有り)を像の前に敷き、三金(金・銀・赤銅)で作った娜拏に七回加持し、その上に置いてさらに加持し、それを持ち上げて炎が立ち上がれば、劫の寿命を得て、大いなる威力を持ち、すべての阿修羅、すべての夜叉・羅刹・鬼神・諸天が大いに従い伏すであろう。もし三金の娜拏を一ヶ月の間加持し、日が満ちたならば、先の通りに加持して炎が立ち上がるのを持ち上げれば、劫の寿命を得て、身は大威力の明王と等しくなる。もし人が三金の杵を用いて娜拏の代わりとすれば、炎が立ち上がり、身は金剛手菩薩と等しくなる。もし三金の輪を用いて杵の代わりとすれば、炎が立ち上がり、身は日の輝きの如くになり、明仙の中の輪王となる。
「若又絕食三日,黑月八日布羊躑躅葉,葛塔葉是。於像前補沙鐵鉤長八指,於葉上右手而加持,焰起執之,洞視土地,位同帝釋,遊戲三十三天,天龍鬼神欽伏。
もしまた三日間断食し、黒月八日に羊踯躅(ようしょく)の葉を敷く。これは葛塔(かとう)の葉である。像の前で補沙鉄鉤(ほしゃてっこう)を八指の長さに作り、その葉の上で右手で加持すれば、焰が起こる。それを執れば、土地を透視し、その位は帝釈天と同じになる。三十三天で遊戯し、天竜や鬼神も敬い従う。
「若絕食一日,黑月八日或十四日,布阿說他樹七葉,於像前置雄黃於上,加持焰起,塗之,持明仙;烟,隱;暖熱,善行。
もし一日断食するか、黒月の八日または十四日に、アーシュヴァッタ樹の七枚の葉を供え、像の前に雄黄(硫黄の一種)を置き、その上に祈りを込めて炎を起こし、それを塗れば、明仙(悟りを開いた者)となれる。煙は、姿を隠し、温かさは、善い行いをもたらす。
「若於山頂誦十萬遍,天大威力烏芻瑟麼明王現,甚可怖畏,執心勿懼。云:『須何作?』白言:『薄伽梵成就一切事,但乞一願。』持明仙或降阿脩羅或召諸天,皆悉隨意。
もし山の頂上で十万回この真言を唱えるならば、天の大いなる威力を持つ烏芻瑟麼明王が現れるであろう。その姿は非常に恐ろしいが、心をしっかりと保ち、恐れてはならない。明王は言うであろう、「何を求めるのか」と。その時、こう答えるがよい、「尊き御方よ、すべてのことを成就される方よ、ただ一つの願いをお授けください」と。すると、持明の仙者は阿修羅を降伏させたり、諸天を召し寄せたりすることができ、すべて心のままとなるであろう。
「若於吉祥門首布像,誦三十萬遍訖,阿脩羅女自出迎之,可將五百人同入。彼輩作障,身便乾枯。
もしも吉祥門の入り口に像を安置し、三十万回の誦経を終えたならば、阿修羅の女が自ら出向いて迎え入れ、五百人とともにその中に入ることができるだろう。しかし、彼らが妨害をなすならば、身は枯れ果ててしまう。
「復次畫像法。取兩肘緤彩畫大威力烏芻瑟麼明王,身赤色,怒形,狗牙露出,密目(如狸眼即是),髮黃色上衝。左持杵,右娜拏。行者食不食淨與否,像前誦三十萬遍,所作皆辦。
次に、画像の作り方を説く。長さ二肘の布を取り、大いなる力を持つ烏芻瑟麼明王の像を描く。その姿は赤色で、怒りの形相をし、犬の牙を剥き出し、目は細く(狸の目のようである)。髪は黄色く、上に逆立っている。左手に杵を持ち、右手に杖を持つ。修行者が食べ物を清浄に保つかどうかに関わらず、この像の前で三十万回の真言を唱えれば、すべての願いが成就するであろう。
「若於吉祥門首面北布像,行者面南,苦練薪作火壇,進毒藥末、芥子、己血,滿一千八,修羅女子身如火燒,獻長生及點化藥。不受藥者,諸女携手同入其宮。先有明者,我當王彼。不畏娜羅延、業輪,壽多劫,尊貴快樂,身有光明,種種神變,命終生天。
吉祥の門の前に北向きで像を安置し、行者は南向きに座る。苦練薪で火壇を築き、毒薬の粉末、芥子、自分の血を入れて、千八回を満たすと、修羅の女たちの身は火に焼かれるように熱くなる。長生の薬と変成の薬を捧げる。薬を受け取らない者には、女たちが手を取り合って共にその宮殿に入る。先に明かす者があれば、私は彼の王となるであろう。ナラヤンや業輪を恐れず、寿命は多くの劫に及び、尊く貴く楽しみに満ち、身には光明があり、様々な神変を備え、命終われば天に生まれる。
「若於吉祥門首布像,作火壇燒緤華子一千八,滿三日,乃結根本遍擲印,彼門即開,無障而入。
吉祥の門の前に像を安置し、火の壇を設けて緤華子(ようけし)を一千八粒、三日間焚き尽くす。そして根本遍擲印(こんぽんへんちゃくいん)を結べば、その門は開き、障りなく中に入ることができる。
「若有龍水岸布像,作火壇燒鹽滿一千八,龍出受命,隨意驅使。
もし龍の水辺に像を安置し、火の壇を設けて塩を千八度焼くならば、龍が現れて命を受け、思いのままに使役できるであろう。
「若先絕食三日,置像審銘柴(唐言苟杞)作火壇,芥子油和芥子燒滿一千八,能召一切人天。
もしまず三日間断食し、像を安置して銘柴(唐の言葉でクコのこと)をよく調べて火壇を作り、芥子油と芥子を混ぜて一千八度燃やせば、あらゆる人間や天人の者を呼び寄せることができる。
「若以鹽成悉底哩置像,作火壇,片片割進火中,日三時令盡。滿七日,稱名,百由旬內至。
もし塩(えん)で成る悉底哩(しつてーり)という像を作り、火壇(かだん)を設けて、それを一片ずつ切り分けて火の中に入れ、毎日三回、これを続けて七日に満たせば、その名を唱える者を百由旬(ひゃくゆじゅん)の範囲内に呼び寄せることができる。
「若以諸天空祠廟中布像,阿說他薪作火壇,苦練葉和芥子油進其中,一千八遍,日三時。經七日,即有天神來現,云:『作何事?』隨意驅使。若先絕食三日,以黑月八日或十四日,於大自在天王前石陵伽南,以右手掩上加持,須臾有大聲者,三天王現受驅使。不現,彼身乾枯。若准前先三日絕食,黑月八日或十四日布像作火壇,進羊躑躅花一千八遍。又執其花加持一遍,擲打夜叉女膝,即相敬。若要長生藥、眼藥、金銀寶玉等,悉皆從命。若以佉馱羅木作三股叉,絕食三日,以日月蝕時,寒林中布像,以香花飲食廣以供養。右手持叉加持之,叉焰起止。後於夜分豎叉於地,七寶堂宇現是人前,天女繽紛充滿其處,云:『欲何所作?』歌舞音樂種種驅使。將曉去叉,如故。若取一屍無瘢痕者,洗浴之,置大河側,首東仰臥。日正午,四面各令一丈夫執刀而立。行者屍心上坐,取雄黃內屍口中加持之。藥若變熱,一切貴敬;煙,隱;光,昇空。
もし諸々の天の祠廟の中に像を安置し、阿説他薪(アショーカの木の薪)で火壇を作り、苦練の葉と芥子油を混ぜてその中に投じ、一千八遍、一日に三時行うならば、七日を経て必ず天の神が現れて「何をなすべきか」と問うであろう。思うままに使いこなすことができる。もし先に三日間絶食し、黒月の八日または十四日に、大自在天王の前の石の陵伽(リンガ)の南で、右手で覆い護摩を加持するならば、しばらくして大きな音があり、三天王が現れて使いに応じるであろう。もし現れなければ、その者の身体は枯れ果てるであろう。もし先に同じく三日間絶食し、黒月の八日または十四日に、像を安置して火壇を作り、羊躑躅(シャクナゲ)の花を一千八遍投じるならば、またその花を持って一遍加持して、夜叉女の膝に投げ打つならば、即座に互いに敬い合うであろう。もし長生薬、眼薬、金銀宝玉などを望むならば、すべて命に従うであろう。もし佉馱羅(カタラ)の木で三股叉を作り、三日間絶食し、日月食の時に寒林(墓地)で像を安置し、香花や飲食を広く供養するならば、右手で叉を持って加持するとき、叉は炎を発したり止んだりするであろう。その後、夜の間に叉を地に立てるならば、七宝の堂宇がその人の前に現れ、天女たちが美しく立ち並び、その場所を満たして「何をなさんと欲するか」と問うであろう。歌舞や音楽など、さまざまなことを思いのままに使いこなすことができる。夜明けが近づけば叉を取り去り、元のように戻るであろう。もし傷跡のない死体を一つ取って、洗い清め、大河のほとりに置き、頭を東に向けて仰向けに寝かせるならば、正午に四方にそれぞれ一人の力の強い男を立てて刀を持たせるであろう。修行者は死体の心臓の上に座り、雄黄を取り出して死体の口の中に入れて加持するならば、薬が熱くなれば、すべての者から敬われ尊ばれるであろう。煙が出れば、姿を隠すことができるであろう。光を放てば、空に昇ることができるであろう。
「若絕食三日,黑月八日或十四日,布像廣陳供養。以阿樞迦木合,盛素嚕(二合)但(引)戰曩藥(此是藥名,帶赤黑色,重比金,出天竺。末塗目中,仰視日能奪其光。見日中有者為真耳),置像前加持之。熱,貴敬;煙生,遁形;焰起,持明仙,身光如日圓滿可愛,壽七千歲。
もし三日間断食し、黒月の八日または十四日に、像を広げて供養を施すならば、アシュカの木の器にスルダンジャナ薬(これは薬の名であり、赤黒色を帯び、金よりも重く、天竺に産する。末にして目に塗れば、仰ぎ見る太陽の光を奪うことができる。日の中にあるものが見える者は真物である)を盛り、像の前に置いて加持する。熱を感じるならば貴重な敬いを得る。煙が生じるならば姿を隠すことができる。炎が立ち上るならば持明仙となり、身体の光は太陽のようで円満にして愛らしく、寿命は七千歳に及ぶ。
「若絕食三日,黑月十四日,寒林中取無瘢痕屍,以香湯洗浴之。以頭向東臥著,香花供養。行者裸形被髮屍心上坐,取白淨髑髏滿盛白色芥子,置屍口上加持之。芥子盡隱,執髑髏騰隱自在,為一切騰空隱者之首。
もし三日間断食し、黒月第十四日(旧暦十四日の夜)に、寒林(墓地)で傷のない遺体を探し、香湯でその体を清める。頭を東に向けて横たえ、香や花を捧げて供養する。修行者は裸身で髪を振り乱し、その遺体の心臓の上に座って、清らかな白い髑髏を取り、これに清らかな白芥子を満たし、遺体の口の上に置いて真言を唱える。芥子がすべて消え去ったなら、髑髏を手に取り、自在に空を飛び隠れる力が得られ、すべての飛空・隐身の能力を持つ者の頂点となるであろう。
「復次不擇淨穢食與不食,先誦三十萬遍。又以應肘量緤(一肘或二肘或三肘或四五等肘,後言應肘量准此)畫大威力烏芻瑟麼明王,作大怒形,左持杵、右娜拏,左視,龍為瓔珞(龍作蛇形)。明王左畫大寒林及行者,於明王右畫山座。以赤花飲食供養。黑月八日於制帝布像,廣設供養。作大壇,以烏曇波羅充薪,進赤色未開花滿一千八,其日三時,即成驗,能作一切事法,人天貴敬。
また、清淨・不清淨を選ばず、食物を食べるか食べないか〔の分別なく〕、まず三十万遍を誦え。
さらに、肘の長さに応じて量った布——一肘、二肘、三肘、四肘、五肘など(後に「応肘量」とはこれに準ずる、と解釈する)——に、大いなる威力を持つ烏芻瑟麼明王(うすさまみょうおう)を描け。大いなる忿怒の姿を現し、左手に金剛杵を持ち、右手に娜拏(なた)を持つ。左を見据え、竜を瓔珞(ようらく)とする(竜とは蛇の形を指す)。
明王の左側には、大いなる寒林(さむい林、墓地)と修行者を描き、明王の右側には山の座を描け。
紅色の花や飲食を用いて供養せよ。黒月の八日には、制帝(せいてい、塔の意)に像を安置し、広く供養を設けよ。
大きな壇(どう、祭壇)を作り、烏曇波羅(うどんばら、植物の名)を薪として燃やし、赤色の未開花の花を一千八捧げよ。その日の三時に〔供養を〕行えば、すなわち成就を得る。
一切の事法を行ずることができ、人や天から尊敬され大切にされるであろう。
「若眼藥法,取尾避多迦木(毘梨勒木)合子,盛素嚕(二合)但(引)戰曩,月蝕置像前加持之。得熱、煙、焰生,三種驗功力同前。若取犬舌,以三金鍱裹,月蝕時加持,煙生口含藏形。
若し眼の薬の法を用いるならば、尾避多迦木(びびたかぼく)(毘梨勒木(びりろくぼく))の合子を取り、素嚕(二合)但(引)戰曩という器に納め、月食の時に像の前に置いて加持する。熱が生じ、煙が生じ、焔が生じる。この三種の験力は、前に説いたのと同じ功徳がある。もし犬の舌を取って、三枚の金の薄板で包み、月食の時に加持すれば、煙が生じたならば、それを口に含んで身を隠すことができる。
「若口含嚩極(菖蒲根也)持密言,取三種成驗:熱,得一切總持不忘;煙生,藏形;焰起,作持明仙。若於山頂誦九十萬遍,為持明王。
もし口に宝嚩極(しょうぶの根)を含み、密言を唱えるならば、三つの成就が得られる。熱ければ、一切の総持(すべてを記憶し忘れない力)を得る。煙が生じれば、姿を隠すことができる。炎が立ち上れば、持明仙(神通力を持つ仙人)となる。また、山頂で九十万回唱えるならば、持明王となるであろう。
「若乞食禁語誦四十萬遍,絕食一日,黑月十四日於制帝前布像,廣設此供養,并作火壇進安悉香丸一千八,其日三時,作小持明王。若食乞食,安悉香伴紫鑛汁進火中滿十萬遍,見用。
もし托鉢(托食)の際に、言葉を絶って四十万回(真言を)唱えるならば、一日断食をし、黒月(新月から満月へ向かう月)の第十四日に、制帝(仏塔)の前に像を安置し、広くこの供養を行い、さらに火壇(護摩壇)を設けて安悉香の丸薬を一千八個供えます。その日の三時(朝・昼・夕)に、小さな持明王(の印明)を結びます。もし托鉢で食事を得るならば、安悉香に紫鑛(紫金)の汁を混ぜて火中に十万遍供えれば、その効験が見られるでしょう。
「若取麼戶保怛哩迦(唐云天門冬根)進火中一千八遍,迦那至。
もし、この戸保怛哩迦(唐の言葉で天門冬の根)を火の中に千八回投げ入れるならば、迦那という者がやって来るでしょう。
「若水中立至臍,誦十萬遍,一切伏藏盡現,能開枷鎖、止業輪,起死人、勝冤敵。
もし水中に立ち、臍のあたりまで水が来る場所で十万回この真言を唱えるならば、あらゆる隠された宝がすべて現れ出で、枷や鎖を解き放ち、業の輪を止め、死者を蘇らせ、怨敵に勝つことができるでしょう。
「若月蝕,牛糞作壇布像,以赤銅椀盛赤㸶牛蘇,置中加持。執食之,總持不忘;煙生,長生;焰起,藏形。
月食の際に、牛糞で壇を築いて仏像を安置し、赤銅の器に赤牛の蘇(バター)を入れてその中に置き、加持を施す。それを食べれば、陀羅尼を総じて忘れることがない。煙が立ち上れば長寿を得、炎が上がれば姿を隠すことができる。
「若以烏曇跛囉薪作火壇,芥子、黃芥子、麼沙(天竺云毒藥)以血和之,進火中一千八,伏藏自現。結根本遍擲印,又執佉羅木杵向前降之,寶物涌出。
もし烏曇跋羅の薪をもって火壇を作り、芥子(からし)、黄芥子、そして毒薬を血と混ぜて、それを火の中に千八回投じるならば、伏蔵は自ずから現れるであろう。根本遍擲印を結び、また佉羅木の杵を手に取り、前方に向かってそれを降ろすならば、宝物が涌き出るであろう。
「若絕食,於恒河側誦三十萬,阿脩羅門開。若稱吽字,降山山碎,禁諸江海能令枯竭。
もし断食をして、ガンジス川のほとりで三十万回唱えるならば、阿修羅の門が開かれるでしょう。「フーム」の字を唱えるならば、山を降らせて砕き、すべての川や海を禁じて枯れ果てさせることができるでしょう。
「若絕食,於寒林中誦四十萬遍,梵羅剎及諸鬼神作美貌而現受命。若驅使遲違,稱吽字打地一下,彼當殞絕;稱莎嚩賀再生。大自在天王廟中,絕食誦十萬遍,大自在天王現,以香華供養問訊。從天王乞其一切道術,如意成驗。若於大自在天王妃前,絕食誦十萬遍,妃現,隨心乞願。不現,彼死或乾枯。
もし断食し、寒林の中で四十万遍を誦えすれば、梵羅刹や諸々の鬼神たちは美しい姿を現して命を授けるであろう。もし使役が遅れ従わないならば、「吽」の字を唱えて地を一度打てば、彼はたちまち倒れ絶えるであろう。「莎嚩賀」と唱えればまた生まれ変わる。大自在天王の廟の中で、断食して十万遍を誦えすれば、大自在天王が現れ、香や花で供養し問い尋ねる。天王からそのすべての道術を乞い求めれば、思いのままに験が現れるであろう。もし大自在天王の后の前で、断食して十万遍を誦えすれば、后が現れ、心のままに願いを乞い求めることができる。もし現れなければ、彼女は死ぬか、あるいは枯れ果てるであろう。
「若依前法誦密言,欲令梵天、夜摩、兜率及天帝釋等一切天王現,並得如意。
もし前述の方法で密言(マントラ)を唱えるならば、梵天、夜摩、兜率、そして帝釈天などのすべての天の王たちを呼び寄せることができ、またすべての願いが叶うでしょう。
「若取一屍,稱吽字,以足加屍首,令聲足齊下。屍當起大叫,持劍斷其首,成黃金。不者,屍叫,告之有捨覩嚕,某甲持始羅來,如意。
もし一つの死体を取り、「吽」の字を唱え、足で死体の頭を踏み、声と足を同時に下ろすならば、死体は立ち上がって大声で叫ぶであろう。その時、剣を取り、その首を断ち切れば、黄金となる。もしそうでなければ、死体は叫んで、「ある怨敵(しゃどぅる)がおります。某という者がその頭を捧げます」と告げるならば、思いのままになるであろう。
「若以補沙鐵作劍,月蝕時加持,焰起持之,身同大自在天王。
剣を補沙鐵(観想に用いる鉄)で作り、月食の時に加持(じかじ)すれば、炎が立ち上り、それを手に持てば、その身は大自在天王と同じになるでしょう。
「若補沙鐵作斧,月蝕時加持,焰起持之,為毘舍者王。
もし補沙鉄で斧を作り、月食の時に加持して、炎が立ち上ったならば、それを手にすると、毘舎者の王となるであろう。
「若補沙鐵作刀子,月蝕加持,焰起持之,為明仙王,功用最勝,壽命尤多。
もし鉄(くろがね)で刀を作り、月食のときに加持し、炎が立ち上るのをそのまま持てば、明仙王となる。その効能は最も勝れ、寿命も特に長くなる。
「若以蟻墳土塐成形,行者以足加心上,作壇,白芥子、毒藥及血置於左手中,以右手捻燒,經七日,日一千八,王貴敬,族亦爾。
もしも行者が蟻塚の土で形を作り、その上に足を心の上に置くようにして壇を設け、左手に白芥子・毒薬・血を置き、右手でそれらを撚りながら焼くならば、七日間、毎日一千八回行うことで、王や貴人からの尊敬を得られ、その一族も同様に敬われるだろう。
「若食乞食,誦四十萬遍,一制帝前布像供養,以密栗嚩薪作火壇,并取其果進一萬顆,為持明王,天龍順伏。
もし乞食の食事をとりながら、この真言を四十万回唱え、一制帝(いちせいてい)の前に像を安置して供養し、密栗嚩(みつりつば)の薪で火の壇を作り、その果実を一万個捧げれば、明王(みょうおう)を護持する者となり、天竜(てんりゅう)も従い従うでしょう。
「若加持華或菓七遍贈人,貴敬。
もし花や果物に七回、加持(かじ)してから人に贈れば、その人は貴く敬われるようになるでしょう。
「若一日不食,黑月八日布像,阿說他薪作火壇,進黑油麻一千八,王臣貴敬。
もし一日食べず、黒月(新月から満月に向かう半月)の八日に、仏像を布(に描いた像)を掲げ、阿説他(アシュヴァッタ)の薪で火の壇を用意し、黒い胡麻を一千八粒供えるならば、王や臣下、貴人から敬われるでしょう。
「若三日絕食,進酥蜜酪、白芥子於火中,一日三時二千八,滿七日,為持明王。
もし三日間断食し、酥蜜酪(バターやハチミツを使った乳製品)と白芥子(しろがらし)を火に投じ、一日に三度、二千八の数にのぼるまで行い、七日間満たせば、明王(みょうおう)としての力を得るであろう。
「若燒酥滿一千八,經三日,王貴敬。
もし酥油を満たした一千八基の燈明を三日間灯し続けるならば、王は貴く敬われる存在となるでしょう。
「若取舍多華(唐云迴香花)、酪蜜酥相和,進火中一千八,滿七日,即得金錢一百。若燒粳米乳粥一千八,日三,滿月,五穀盈溢用之不竭。
もしも多く花を取って供え(唐では「回香花」という)、酪・蜜・酥を混ぜ合わせて、火の中に一千八回投じ、七日の間満たせば、金銭百を得るであろう。もし粳米の乳粥を一千八回焼き、一日三回、満月の間続ければ、五穀が満ち溢れ、用いても尽きることはない。
「若紫檀末加酥,內華於中,進火一百八遍,日三,滿七日,迦那至。
もし紫檀の粉末に酥(酥油)を加え、その中に花を入れ、火を108回流し込む。これを1日3回行い、7日間続ければ、迦那(かのう)が現れるであろう。
「若從黑月一日起布像,遏迦薪作火壇,烏麻油和酥、迦瞻摩樹華,一內一燒一千八,滿七日,得金錢八文。
黒い月の初日から仏像を安置し、アーカの薪で火の壇を作り、ごま油と酥(バター)を混ぜ、カーチャンマの木の花を一つずつ投じて焼くこと、千八回。七日間満たすと、金貨八枚を得る。
「若乳和蜜相和以青蓮葉,一內一燒滿三十萬,伏藏盡現。
乳と蜜を混ぜ合わせ、青い蓮の葉に包んで、一つずつ燃やし、三十万回行えば、埋められた宝はすべて現れ出るでしょう。
「若召人,大寒林中布像,香華供養,紫檀末成彼形,佉馱囉木作火壇,男從右女從左足起,一割一燒令盡。百由旬外,一月而至。若大寒林中布像,紫檀摩壇,水和王蹤下土一把。塐成形,從右足割進火中令盡,敬重。
もし人を呼び寄せようとするなら、大寒林の中で像を安置し、香や花を捧げて供養し、白檀の粉末でその像を作る。佉馱囉の木で火壇を設け、男なら右側から、女なら左側の足から始めて、少しずつ切り取り、そのたびに火にくべてすべて焼き尽くす。百由旬の彼方にいても、一ヶ月で到着する。また、大寒林の中で像を安置し、白檀をすりつぶして壇とし、水に王の足の下の土をひとつかみ混ぜて、その像を形作る。右の足から切り取って火の中に投じ、すべてを焼き尽くす。これを敬い重んじる。
「若寒林中布像,香華飲食供養,進虞麼娑於火中,滿一千八,貴敬。
寒林中に布像を安置し、香や花、飲食物を供養し、さらに「グマサ」という肉を火の中に投じることを一千八回行うならば、深く敬い尊ぶ功徳がある。
「若進阿底目迦多華於火中十萬遍,貴敬。
もし進んで阿底目迦多の花を火の中に十万回投じるならば、貴き敬いを得るであろう。
「若大寒林中,尾避多迦木作火壇,進麼訶麼娑晝夜,一切毘舍遮眾、梵羅剎等敬重。若捨覩嚕,今梵羅剎為病。
もし大寒林の中にありて、尾避多迦の木をもって火壇を作り、麼訶麼娑を昼夜に進めば、すべての毘舎遮の衆や梵羅刹などが敬い重んずる。もし捨睹嚕(敵)をば、今や梵羅刹によって病をなす。
「若悉馱薪作火壇,初生犢子糞和紫檀末作丸進之,日三時,時一千八。滿二十七日,得牛千頭。若截白檀香內杉木脂進火中,日三時,時一千八,滿二十一日,得大莊五所。
もし悉馱薪(しつたしん)を用いて火壇(かだん)を作り、生まれたばかりの子牛の糞と紫檀(したん)の末を混ぜて丸め、これを捧げる。毎日三回、その都度千八回ずつ行う。満二十七日で牛千頭を得るであろう。もし白檀(びゃくだん)を切り、杉の木の脂を火の中に入れ、毎日三回、その都度千八回ずつ行い、満二十一日で大きな荘厳な建物五つを得るであろう。
「若截杉木進摩咄囉火中一千八,滿七日,得金錢一千文。
杉の木を切り、摩咄囉(まどら)の火の中に一千八本入れて、七日間満たせば、千文の金銭を得ることができる。
「若食麨及水,布像供養,坐吉祥草,十五日念誦勿間。絕食三日,黑月十四日布像供養,以白芥子油然燈,乃截黑阿迦嚧(唐云沈香)進鉢囉奢薪火中一千八,像形動或目動或作吽聲。若形動,為持明輪王。若名香和牛酥,進火中一千八,得群羊,牛不走失、疫病。若酥蜜相和,又內炒稻穀華於中,進遏迦火中滿十萬,五穀盈溢。
食べ物や水を供え、仏像を安置して供養し、吉祥草を敷いて、十五日の間、念誦を途切れさせてはならない。三日間断食し、黒月十四日に仏像を安置して供養し、白芥子油で灯明を灯し、黒阿迦嚧(唐の言葉で沈香)を截って、鉢囉奢の薪の火の中に一千八回投じる。すると、像が動いたり、目が動いたり、あるいは「吽」の声を発したりする。もし像が動けば、持明輪王となる。もし名香と牛酥を混ぜて、火の中に一千八回投じれば、羊の群れを得られ、牛は逃げ失せず、疫病も起こらない。もし酥と蜜を等しく混ぜ、その中に炒った稲の花を加えて、遏迦の火の中に満十万回投じれば、五穀が豊かに満ちあふれる。
「若取紅蓮葉進河中流入海者,滿六箇月。次絕食三日,白月八日布像供養,烏麻油和名香,截紫檀木杪進火中晝夜,大吉祥天現。以白檀閼伽供養,天云:『須何願?』白言:『持明輪王。』天從行者口入無礙,即得如意,無有天龍鬼神為怨敵者。
若し紅蓮の葉を取って川の中に入れ、海に流し入るれば、満六箇月。次に三日間絶食し、白月八日に像を布きて供養し、烏麻油に名香を和らげ、紫檀の木の先端を截りて火の中に進め、昼夜絶えずすれば、大吉祥天が現れる。白檀の閼伽をもって供養するとき、天が云う:「何の願いを求めるのか。」白(行者)が言う:「持明輪王を。」天は行者(の口)から無碍に入り、即座に如意を得る。天竜鬼神の中に怨敵となる者はない。
「若酥蜜酪相和,一內名華,進遏迦火中一千八,妻妾貞潔。
もし酥(酥油)と蜜と酪(ヨーグルト)を混ぜ合わせ、それを華(花)の中に入れ、遏迦(火の名)の火の中に一千八回投じれば、妻や側室は貞節を守るであろう。
「若黑月八日酥蜜相和,內炒稻華於中,進火中一千八,日三時,滿七日,得千戶大莊。
黒月の八日、酥蜜を混ぜ合わせ、その中に炒った稲の花を入れて、火の中に一千八回投じる。これを一日三回、七日間満たすと、千戸の大いなる荘厳を得る。
「若供養像,黃芥子和欝金,進嚩吒薪火中,一日三時,時一千八,滿七日,國王貴敬。
もし像を供養するならば、黄芥子と欝金(うこん)を、嚩吒薪(ばったしん)の火の中に入れ、一日に三度、一度につき千八回、七日間満たせば、国王も貴く敬うようになる。
「若供養像,阿底目迦多薪作火壇,進其華於中滿十萬,大臣貴敬。
もし像を供養するならば、アディムカ薪で火壇を作り、その中に花を十万輪入れ、大臣はこれを貴び敬う。
「若供養像,進夜合華於火中一千八,妃貴敬。
もし像を供養するなら、夜合華を火の中に一千八枚投じなさい。そうすれば、后や妃は敬い貴ぶようになるだろう。
「若取眾名香蜜和作迦那形,充七日,割進火中,日一千八,貴敬。
もし多くの名香や蜜を取り、混ぜ合わせて迦那の形を作り、七日間満たし、それを切り取って火の中に捧げる。毎日千八回、これを尊び敬う。
「若海鹽和芥子油燒,日三時,時一千八,經一月,族姓人貴敬。
もし海塩を芥子油と混ぜて燃やし、毎日三回、一度につき千八回、一ヶ月間続けるならば、その家系の人は貴ばれ、敬われるであろう。
「若寒林中坐髑髏上,寒林薪作火壇,進血於中晝夜,茶吉現。以血充閼伽供養之,云:『有何事?』隨意乞大願,天神貴仰。
寒林中、髑髏の上に坐し、寒林の薪をもって火壇を作り、その中に血を注ぎ、昼夜を分かたず荼吉尼天(ダキニ天)が現れる。血をもって閼伽(あか)の供養とし、こう唱える:「何事かあるや。」意のままに大いなる願いを乞えば、天の神は貴く仰がれ、すべてをかなえてくださる。
「若大寒林中,黑月十四日取裸形屍,肉進火中,從日入至夜半,梵羅剎作忿怒形而為奉教,後日得衣兩事、金錢一百文。若取寒林華鬘進火中一千八,首陀貴敬。
大寒林の中、黒月十四日の夜、裸の屍を火の中に入れ、日没から真夜中まで行うと、梵羅刹が忿怒の形を現して教えを奉じる。その後、衣二着と金百文を得ることができる。もし寒林の花鬘を採って火の中に千八回入れるならば、シュードラ(賎民)の貴き尊敬を得るであろう。
「若以蠟作毘舍遮形,割進火中。毘舍遮眾現為奉教,後日得衣服。
もし蝋で毘舎遮(びしゃじゃ)の形を作り、それを火の中に投じるならば、毘舎遮の仲間たちは教えに従う者として現れ、後日、衣服を得ることができるでしょう。
「若截阿樞迦(無憂也)抄愔愚多油,進火中,經一月,為持明王。
もし阿枢迦の木(憂いのない木)の皮を切り取り、それを油に混ぜて火の中に入れ、一か月間続ければ、明王を成就することができる。
「若進薰陸香於阿樞迦火中,日三時,時一千八,經一月,得大莊。
もしも阿枢迦の火の中に薰陸香を進め、一日に三回、毎回一千八回、これを一ヶ月間続ければ、大いなる荘厳を得ることができる。
「若以飲食華供養像,以其華一誦一散像前,滿一百萬遍,為持明王。
もし飲食や花を使って仏像に供養し、その花を一つずつ取っては、その像の前で一度ずつ経文を唱えながら散りばめることを、百万回満たすならば、その人は明王を保つ者となるでしょう。
「若取摩勒迦華飲食供養,散其華十萬,見用。
もし摩勒迦の花を摘み取り、飲食を用いて供養し、その花を十万枚散ずるならば、これを有効と見なす。
「若常持念此密言者,無眾諸衰難。
この密言を常に保ち、心に念じる者には、いかなる衰退や災難も起こりません。
「若酥、烏麻油,一日三時,時一千八,進火中滿七日,得大莊。
もしバターやゴマ油を、一日に三回、毎回一千八百回、火の中に投じて満七日間行うならば、大きな功徳を得ることができる。
「若加持佉馱羅木橛一百八釘,入怨人家內,彼善心相向。
もし加持した佉馱羅の木の杭(くさび)を百八本打ち込んで、怨みのある者の家の中に置くならば、その者は善心を起こし、互いに親しく向かい合うようになるであろう。
「若龍華鬚進佉馱火中,日一千八,經一月,迦那至。
もし龍の鬚(ひげ)が火の中に進み、一日に千八回、一ヶ月の間、迦那(龍の子)が至る。
「若酥蜜相和,一內迴香華,進阿波末哩迦(唐言牛膝)火中,滿十萬,家內七寶自涌。
酥蜜を混ぜ合わせ、その中に香華を一つ入れ、阿波末哩迦(唐の言葉で牛膝という)を火中に投じ、満十万回行えば、家の中に七宝が自然と湧き出るであろう。
「若酥蜜酪和阿波末迦子,進屈嚩迦薪火中,滿十萬,王貴敬。
蜂蜜や酥油、乳酪、そして阿波末迦子という薬草を、進屈嚩迦という薪の火にくべること、十万回満たすならば、王の尊崇と敬愛を得られるであろう。
「若黑月一日,阿樞迦樹下,庾體迦木敷華,一內酥蜜酪中,進火中滿十萬,得金錢一千文。
もし新月の初日に、阿枢迦(あしゅか)の木の下で、庾体迦(ゆたいか)の木の花を集め、その花を酥(酥=バター)・蜜・酪(らく=ヨーグルト)の中に浸し、火の中に満たして十万回捧げれば、金銭一千文を得ることができる。
「若制底前布像供養,進俱羅吒迦華於佉馱羅火中,滿七日,大威力烏芻瑟麼現滿願。
もし制底(仏塔)の前で像を安置して供養し、俱羅吒迦華(くらたかげ)を佉馱羅(けだら)の火の中に投じて七日間満たすならば、大いなる威力を持つ烏芻瑟麼(うすさま)が現れて、願いを満たしてくれるであろう。
「若進阿杜華於佉馱囉炭火中一千八,七日伏藏現。
阿杜華を佉馱囉の炭火の中に一千八回入れるならば、七日後に伏蔵が現れる。
「若進阿伽悉地華於苦練火中一千八,經七日,得金錢一文。
もし苦練の火の中に阿伽悉地華を一千八回投じ、七日を経れば、金貨一枚を得ることができる。
「若以內摩勒地華酥蜜酪中,進瞻蔔迦火中,經一年,共誦一十萬,得金錢十萬文。
もしも摩勒地華(まろくじか)と呼ばれる花を、酥(よぎ)や蜜(みつ)や酪(らく)とともに、瞻蔔迦(せんぶくか)という木の火の中に入れ、一年間にわたり、十万回の真言(しんごん)を共に唱えれば、十万文(もん)の金銭を得ることができるでしょう。
「若以泥塐嚩囉呬,紫檀供養,持密言盡夜。彼當長喘,與行者黃金千斤。
もし泥でヴァーラーヒー(猪面の女神)を塑像し、紫檀の香を供え、昼夜絶えず密呪を唱えるならば、その者は長く息を整え、修行者に黄金千斤を与えるであろう。
「若流入海河立,其水至骻,用阿迦羅充燒香,以名華一熏進水中滿十萬,為大持明王,人天歸命。若截阿說他樹枝,一內酥蜜酪中,燒之十萬遍,為小持明王。
もし川や海に流れ入る場所に立ち、その水が腰の高さまで届くところで、阿迦羅(あから)を用いて香を焚き、名高い花を一つまみ水の中に供え、十万回これを繰り返せば、大持明王となる。人々も天界の者たちも皆、その者に帰依するであろう。また、阿説他(あせった)の木の枝を切り取り、それを酥(酥油)、蜜、酪(乳酸飲料)に浸して、十万回焚けば、小持明王となる。
「若油麻酥蜜酪相和,進火中滿十萬,見用。若截松木,進火中十萬遍,見用。若酥蜜相和,截蜜栗嚩樹根,一內一進火中滿十萬,大富。
もし油、ごま、酥、蜜、乳を混ぜ合わせて、火の中に満たすこと十万回、それを行うと良い。もし松の木を切って、火の中に十万回入れるなら、それを行うと良い。もし酥と蜜を混ぜて、蜜栗嚩樹の根を切り、一度火の中に入れては十万回行うならば、大いに富み栄えるだろう。
「若黑月八日供養像華,和欝金華,進火中,一日三時,時一千八,滿七日,大富。
もし黒月の八日に、像に華を供養し、鬱金華(うっこんげ)を混ぜて火の中に入れ、一日に三回、毎回一千八回ずつ、七日間満たすならば、大いなる富を得るでしょう。
「若有龍水邊,白月五日布像供養,龍腦香、龍華鬚和進火中滿十萬,其龍貴敬,得寶珠十萬顆。
もし竜の水辺があれば、白月の五日に像を安置して供養し、竜脳香と竜華の鬚を混ぜて火の中に投じ、満十万回行うならば、その竜は尊び敬い、宝珠十万顆を得るであろう。
「若黑月八日,大自在天王廟中,一內阿底目迦多華於酥蜜酪中,進火中,日三時,時一千八,滿七日,得大莊五所。若進訥嚩草(骨路也),若進火中,滿十萬,長壽。
黒月(くろつき)八日の日、大自在天の神社で、阿底目迦多華という花を酥(蘇)、蜜、酪(らく)に浸し、火の中に投じる。これを一日三回、毎回千八回行い、七日間満たせば、大きな荘厳な五つの所を得ることができる。もし訥嚩草(骨路也)を火の中に投じ、十万回満たせば、長寿を得られる。
「若進屈野迦欲敷華於審銘火中滿十萬,王女敬重。
もし進んで野迦(やか)を屈し、審銘(しんめい)の火の中に花を敷こうとして十万に満たんとするならば、王女は敬い重んずるであろう。
「若粳米和烏油麻柤,進脂俱吒火中一千八,饒奴婢。」
若粳米と烏油麻の粕を合わせ、脂を加えて、俱吒の火の中に一千八回投じるならば、奴婢が豊かに得られる。
大威力烏樞瑟摩明王經卷上
大威力烏樞瑟摩明王経 巻上