智者は耐え忍びを実践し、菩提は精進に住す。 怠けている者は福から遠ざかり、風の中を離れるが如し。
精進の力とは何か?それを詳しく説かねばならぬ。 怠けていて精進せざるは、毒の如く自ら観よ。
眠りに貪り味わい、楽しみ無事と謂えども、 輪廻の苦は嫌うべく、しかも怠けから生ず。
煩悩の家屋に、怠けの力が引きずり込む。 無常の門に既に到りて、どうして今知らぬのか?
精進は自他のため、この行いを汝は見ず。 怠けまた眠りは、屠殺場の牛の如し。
もしこれを見ずば、一切の道は断たれん。 彼は既に得る所なく、どうして眠りを楽しむ?
もし威儀を得たる時、無常が忽然と至らば、 施し為すも及ばず、何をもって怠けに住す?
精進せず修めざれば、安らかなるも精進の如く、 忽然として無常に趣き、思惟して苦に苦しむ。
あの閻魔の門を見よ、苦悩また情け急なり。 刹那に涙を流し、眷属も救う能わず。
地獄の声を聞き、自らの業の熱悩を念う。 身は不浄の処に住み、驚き怖れて極まりなし。
地獄の苦は極めて悪く、悪業を何ぞまた作らん? 魚が釜の中で生きるが如く、彼はかくの如き怖れを得ん。
地獄の業を作り終え、乃ち湯火の苦を受く。 身は糜爛し苦悩す、いかにして清浄を得ん?
魔王は多くの苦しむ人を捉え、人を送って無常に至らしむ。 無常の苦は畏るべく、これ怠けの果を見よ。
愚かに迷い眠りに執着する、この過ちは劣らず。 大いなる苦の河に入り、また人身を得ること能わず。
最上の法の楽しみを除き、無辺の楽の種子、 怠けまた戯れ笑い、苦の因を汝は何ぞ楽しむ?
怒りの力多く負うを見、彼の自らの精進を知れ。 自他各々の行う所、自他平等の如し。
我は何ぞ菩提を得んとし、分別なく作らざる? 如来の真実をもって、真実の言葉で正しく解脱す。
あの蚊や蚋、蠅、及び虫や蝦、蜆なども、 もし精進の力を得ば、また当に菩提を得べし。
彼と我は何ぞ人に生まれ、利不利を知り得る? 常に諸々の精進を知り、何ぞ菩提を得ざらん?
あるいは手足を捨つるも、これに於いて怖れを生ず。 愚かに迷い師の教えに背く、この利を彼は知らず。
断ち壊し焼き煮ること、無辺に皆抜き出だす。 無数俱胝劫を経て、しかも未だ菩提を得ず。
この無数の苦を歴て、久しく菩提を証す。 譬えば毒の苦しみ傷つくが如く、毒尽きて苦皆出ず。
一切の医者となり、諸々の病苦を救い療す。 是の故に苦は消除し、一切の病は皆少なし。
是の故に救い療すことを説く、甘い薬は病に利せず。 上医は大病を療し、甘い薬は皆与えず。
前後皆かくの如く、智者は咸く行う所なり。 後々に進み修め、身肉を捨て用う。
智者は身肉を観る、菜に譬えて生ずる有りの如し。 枯れ萎びて糞土に棄つ、是れ捨つるも難と名づけず。
もし身の作る苦を、心は其れ虚作と謂えども、 智者は心悪からず、彼に悪業の苦無し。
法を知る意は楽しみ、福を具えた身は楽しみ。 この虚しき輪廻無く、苦を得て何ぞ悲しまん?
過去の罪を尽くさんと求め、深く他を利する福の海。 この力菩提心、二乗等に要急なり。
かくの如き利を楽しまず、行い行いて何ぞ苦を得ん? 菩提心の輦輿に、智者は乗りて楽しみを得ん。
有情を成就せんがため、楽しみ施す方便の力。 身力の苦しみ怖れ作るも、観れば唯称賛す。
かくの如き分別を断ち、精進を増長せん。 我が身を能く捨て、身の方便を超え越えん。
我は自他の無数の過失を消除せん。 一々の過失、もし劫尽きて余り無くとも。
彼の過失一々尽き、我に繊毫も有ること無からん。 無辺の苦は既に脱し、我が心何ぞ損なわれん?
我は多くの功徳を求め、自他を利せんがため。 一々の功徳を学び、劫尽きても学び尽くさじ。
繊毫の功徳も、我は生れてから未だ作らず。 あるいは生処を得んとすれども、虚しく度りて所有無し。
我は大いなる供養を興し、仏世尊を供養せんと楽む。 貧しきが故に作ること能わず、而して願い円満せず。
施さざる者は怖れ者の安らぎ、修めざる者は母の楽しみ。 母の胎蔵に入るが如く、母は唯だ病苦悩む。
過去に法を離れたるが故に、我は今果報を得たり。 生まるる所既にかくの如し、当に何の法を行わん?
一切の善き心の根、世間の牟尼、 彼の根は常に退かず、常に好い果報を得たり。
煩悩の苦に纏綿し、而して種々の怖れを得たり。 他を愛する障り難く、罪を生じて自ら感ず。
もし人、処処に於いて能く善き願いを起こせば、 而して彼彼の福を感じ、供養の果を得たり。
もし人、処処に於いて罪を作り楽しみを取らば、 而して彼彼の報いを感じ、苦の器に侵されるを得たり。
月蔵の中に清涼、広博にして妙なる香り潔し。 仏の音声の味は第一、修めざれば得られず。
而して彼の善逝の子、善逝の法を得て解す。 蓮の最上に出ずるが如く、また仁覚の月の如し。
閻魔の獄卒、罪魂を牽き引く。 火坑及び洋銅、焼き煮て悉く皆入る。
炎熾なる殺器の杖、肉を断つこと百千斤。 熱鉄の地に堕落す、これ多く不善による。
是の故に心に善を作り、極めて微細に観察せよ。 彼の金剛の幡に依り、修学して観を作せ。
初めに和合を観て学べ、汝を観ざれば学びに非ず。 而して最上の名無く、汝は要心を回して作せ。
生の中の所作、罪苦を増長す。 上の事業修めず、彼の下は勝れを求めず。
三種の事を知るべし、業煩悩の力による。 将来の悪因、これに於いて如何に作らん?
世間の煩悩、人を拘えて自由ならず。 我は人の如く能わず、是の故に我は作ること無し。
下業の修む所、如何にして安住せしめん? 当に我と無我を観よ、而してこの我の所作。
一滴の甘露、烏が食して金翅に変ず。 我が意は微劣と謂えども、少なき苦難を脱し得ん。
怒りは無心の難を作す、不善の罪の故に。 無心に見て発起すれば、広大勝れて及ぶべからず。
是の故に清浄の心、頌してこの文句を作す。 彼の三界を知らしめ、我は戯論を遠離せん。
我は一切に勝ち得、我に勝つ人無し。 我は今自ら知る、是れ仏の師子の子なり。
有情は我人を離れ、而して彼は最上を得ん。 怠けの怨敵を降さず、怠けの怨敵自ら降る。
悪趣に牽かれるにより、身の善は速やかに破壊せらる。 僕従の愚悪により、寄食して痩せを受く。
彼は一切を受けて、修行して我慢に住す。 而して此れ名声を得たり、下劣なるを如何に説かん?
かくの如くもし勇猛ならば、自ら彼の怨敵に勝てん。 勇猛に行い此れを修め、慢の怨敵に勝たれじ。
彼の慢心もし起こらば、これ実に我が怨敵なり。 勝れたる果たとえ生ぜんと欲すれども、是の果悉く皆捨てん。
精進の師子に譬えよ、煩悩の獣の中に見ゆ。 煩悩の獣千万、衆多と雖も敵せず。
世に大いなる苦悩有り、人は自ら悉く具に見る。 煩悩を降伏せず、乃ちかくの如き苦を得たり。
我は寧ろ頭を落とさしめ、及び心腸を刳り剔らしめんとも、 煩悩の諸々の怨敵、一切我は降さじ。
この精進を修むるにより、彼の慢業尽きん。 勝れたる果報を得て、自ら戯れ楽しみを感ぜん。
楽しみのため修むる因、彼は却って獲得せず。 修むる所決せず、また殊勝ならず。
輪廻の欲は足らず、刃に蜜を貪るに譬う。 福の甘露もし貪れば、食して後ますます美し。
是の故に業は寂静、妙なる果を感じて随い行く。 日の温かきと月の寒きが如く、昼夜にして相い逐う。
精進の力有り、能く怠けを破る。 遠離を得る故に、深く心に愛楽す。
煩悩の棒堅牢、彼の念慧の剣と闘う。 棒と剣の相い持つに譬え、同じ彼の女人の学びの如し。
剣を執る手力無く、之を失いて怖れ急ぐ。 念の剣失うも亦然り、地獄にして心に在り。
世間は善人を知り、肯って毒血を飲まず。 心の過ちもまた然り、心の過ちを作らず。
出家の精進の心、油鉢を執り持つに譬う。 鉢墜つれば必ず当に死すべし、墜つる故に驚き怖る。
眠りに着き怠けるは、懐に毒蛇あるに譬う。 去らざれば当に傷つけられん、之を去る宜しく須く急ぐべし。
一々の深き過ち、要心を回して思惟せよ。 この過ち守るべからず、何ぞ我また作らん?
和合の業因、正念の剣を以て断て。 何ぞ自位と名づけん、この念にして獲得する?
正念の心発せずば、繊毫も滅すること能わず。 来る業は往く行いの如く、一切の報い皆得たり。
あの覩羅綿の如く、風に随いて来たり往く。 精進の人亦然り、増上してかくの如く得たり。
菩提行経 第二巻