法苑珠林序
法苑珠林 序
朝議大夫蘭臺侍郎隴西李儼字仲思撰
題:李儼撰(朝議大夫蘭臺侍郎・隴西)
自夫六爻爰起八卦成列。肇有書契。昭乎訓典。鳳篆龍圖。金簡玉字。百家異轍。萬卷分區。雖理究精微言殫物範。而紀情括性。未出於寰中。原始要終。詎該於俗外。亦有藏史之說。園吏之談。寶經浮誕。錦籍紆怪。同鏤氷而無成。若書空而匪實。與夫貫華妙旨寫葉玄詞。二乘之宏博。八藏之沈祕。競以淺深。較其優劣。亦猶蟻垤之小。比峻於嵩華。牛涔之微。爭長於江漢。夫其顯了之義。隱密之規。解脫之門。總持之苑。前際後際。並契真如。初心末心。咸歸正覺。導迷生於慾海。情塵共心垢同消。引窮子於慈室。衣寶與髻珠雙至。化溢恒沙之境。功被微塵之劫。大哉至矣。不可得而稱焉。洎偕兩徵周。佩日通漢。蔡愔西涉。竺蘭東遊。金口之詞。寶臺之旨。盈縑積籀。被乎中域。而卷軸繁夥。條流深曠。實相真源。卒難詳覽。暨我皇唐造物聖上君臨。玄教聿宣。緇徒充合。傳輝寫液。照潤區宇。梵響讚音。喝咽都甸。弘宣之盛。指喻難極。屬有西明寺大德道世法師字玄惲。是釋門之領袖也。幼嶷聚砂。落飾綵衣之歲。慈殷接蟻。資成具受之壇。戒品圓明。與吞珠而等護。律義精曉。隨照鏡而同欣。愛慕大乘。洞明實相。爰以英博。召居西明。遂以五部餘閑。三藏遍覽。以為古今綿代。制作多人。雖雅趣佳詞。無足於博記。所以搴文囿之菁華。嗅大義之瞻蔔。以類編錄。號曰法苑珠林。總一百篇。勒成十帙。義豐文約。紐虞氏之博要。跡宣道鏡。晞祐上之弘明。其言以美。其道斯著。舉至賾而無遺。包妙門而必盡。但文繁則情墮。義略則寡聞。不欲虛搆浮詞。假盈卷軸。以事不可却。文翰似多。披覽日久。還知其要。故於大唐總章元年。歲在執徐。律惟沽洗。三月三十日。纂集斯畢。庶使緝玄詞者。探卷而得意珠。軌正道者。披文而飲甘露。繹之以知微。觀之而覩奧。與環景而齊照。將旋穹而共久。
六爻(こう)起こりて八卦(はっか)列を成すより、書契(しょけい)始めて起こり、訓典(くんてん)に昭(あきら)かなり。鳳篆(ほうてん)龍図(りゅうと)、金簡(きんかん)玉字(ぎょくじ)、百家(ひゃっか)の異轍(いてつ)、万巻(まんがん)の分区(ぶんく)。理(ことわり)は精微(せいび)を究め、物範(ぶっぱん)を言い尽くすと雖(いえど)も、情(じょう)を紀(しる)し性(しょう)を括(くく)るも、未だ寰中(かんちゅう)を出でず。原始(げんし)に返り終(おわり)を要(つづ)むるも、詎(なん)ぞ俗外(ぞくがい)に該(あ)たらん。また蔵史(ぞうし)の説、園吏(えんり)の談(だん)あり。宝経(ほうきょう)は浮誕(ふたん)にして、錦籍(きんせき)は紆怪(うかい)なり。氷(こおり)を彫(ほ)りて成す無きに同じく、書(か)き空(そら)して実(じつ)に匪(あら)ざるがごとし。
それ貫華(かんげ)の妙旨・写葉(しゃよう)の玄詞(げんし)、二乗(にじょう)の宏博(こうはく)、八蔵(はちぞう)の沈秘(ちんぴ)に至りては、浅深(せんしん)をもって競い、その優劣(ゆうれつ)を較(くら)ぶるも、なお蟻塚(ぎちょう)の小さきが、嵩華(すうか)に峻(けわ)しきを比べ、牛涔(ぎゅうしん)の微(かす)かなるが、江漢(こうかん)に長(た)けを争うがごとし。
それ顕了(けんりょう)の義、隠密(おんみつ)の規(き)、解脱(げだつ)の門、総持(そうじ)の苑(その)、前際(ぜんさい)後際(ごさい)、並びに真如(しんにょ)に契(かな)い、初心(しょしん)末心(まっしん)、ことごとく正覚(しょうがく)に帰す。迷生(めいしょう)を欲海(よくかい)に導き、情塵(じょうじん)と心垢(しんく)と同(とも)に消え、窮子(ぐうし)を慈室(じしつ)に引き入れ、衣宝(えほう)と髻珠(けいしゅ)と双(とも)に至る。化(け)は恒沙(ごうしゃ)の境に溢(あふ)れ、功(く)は微塵(みじん)の劫(こう)に被(おお)う。大いなるかな、至(いた)れるかな。称(たた)うべからざるなり。
しかるに両征(りょうせい)の周(しゅう)に徴められ、佩日(はいじつ)して漢(かん)に通ずるに及(およ)び、蔡愔(さいいん)西(にし)に渉(わた)り、竺蘭(じくらん)東(ひがし)に遊ぶ。金口(こんく)の詞(ことば)、宝台(ほうだい)の旨(むね)、縑(けん)に盈(み)ち籥(かた)に積(つ)もり、中域(ちゅういき)に被(おお)えり。しかれども巻軸(かんじく)は繁夥(はんか)にして、条流(じょうりゅう)は深曠(しんこう)。実相(じっそう)真源(しんげん)、終(つい)に詳(つまび)らかに覧(み)ること難し。
我が皇唐(こうとう)造物(ぞうぶつ)、聖上(しょうじょう)君臨(くんりん)するに至り、玄教(げんきょう)聿(ここ)に宣(の)べられ、緇徒(しと)充合(じゅうごう)す。伝輝(でんき)写液(しゃえき)、照潤(しょうじゅん)して区域(くいき)に、梵響(ぼんきょう)讚音(さんおん)、都会(とかい)に喝咽(かつえつ)す。弘宣(ぐせん)の盛(さかん)なること、指喩(しゆ)をもって極(きわ)め難し。ここに西明寺(さいみょうじ)の大徳(だいとく)道世(どうせ)法師、字(あざな)は玄惲(げんうん)なる者あり。これ釋門(しゃくもん)の領袖(りょうしゅう)なり。幼(おさな)くして聚砂(しゅしゃ)に嶷(ぎ)とし、落飾(らくしょく)の歳に綵衣(さいえ)をすつ。慈(じ)は蟻(あり)を接(と)りて殷(いん)に、資成(しじょう)して具受(ぐじゅ)の壇(だん)をうく。戒品(かいはら)は円明(えんみょう)にして、珠(たま)を吞(の)むに同じく護(まも)る。律義(りつぎ)は精曉(せいぎょう)にして、鏡(かがみ)に照らすに随(したが)いて同(とも)に欣(よろこ)ぶ。大乗(だいじょう)を愛慕(あいも)し、実相(じっそう)を洞明(どうみょう)す。かれ英博(えいはく)をもって西明(さいみょう)に召(め)され居(お)る。ここに五部(ごぶ)の余閑(よかん)をもって、三蔵(さんぞう)を遍く覧(み)る。以(おも)えらく、古今(ここん)綿代(めんだい)、制作(せいさく)は人多し。雅趣(がしゅ)佳詞(かし)と雖(いえど)も、博記(はっき)に足(た)る無し。ゆえに文苑(ぶんえん)の菁華(せいか)を採(と)り、大義(だいぎ)の瞻蔔(せんぼく)を嗅(か)ぎて、類(るい)をもって編録(へんろく)し、号(なづ)けて『法苑珠林(ほうおんじゅりん)』と曰(い)う。総(す)べて百篇(ひゃっぺん)、勒(ろく)して十帙(じゅうちつ)を成す。義(ぎ)は豊か(ゆたか)にして文(ぶん)は約(つづま)やか、虞氏(ぐし)の博要(はくよう)を紐解(ひもと)く。跡(あと)は道鏡(どうきょう)を宣(の)べ、祐上(ゆうじょう)の弘明(ぐみょう)に晞(ひ)らす。その言(ことば)は美(うるわ)しく、その道(みち)はこれ著(あきら)かなり。至賾(しせき)を挙げて遺(のこ)す無く、妙門(みょうもん)を包(つつ)みて尽くさざること無し。ただ文(ぶん)繁(しげ)ければ情(じょう)は惰(おこた)り、義(ぎ)略(ほぼ)ければ寡聞(かもん)なり。虚(きょ)に浮詞(ふし)を構(かま)え、仮(かり)に巻軸(かんじく)を盈(み)たすことを欲(ねが)わず。事(こと)は却(しりぞ)くべからず、文翰(ぶんかん)は多きに似たり。披覧(ひらん)すること久しきに及び、還(ま)たその要(よう)を知る。ここにおいて、大唐(だいとう)総章(そうしょう)元年(がんねん)、歳(さい)は執徐(しつじょ)に在(あ)り。律(りつ)は惟(ただ)沽洗(こせん)に当たり、三月三十日(さんがつさんじゅうにち)に纂集(さんしゅう)この畢(おわ)る。願わくは玄詞(げんし)を緝(あつ)むる者は、巻(かん)を探(さぐ)りて意珠(にじゅ)を得、正道(せいどう)を軌(のりと)する者は、文(ぶん)を披(ひら)きて甘露(かんろ)を飲まん。これを繹(たず)ねて以(もっ)て微(び)を知り、これを観(み)て以(もっ)て奥(おう)を覩(み)ん。環景(かんけい)と斉(ひと)しく照らし、旋穹(せんきゅう)とともに久(ひさ)しかるべし。
法苑珠林卷第一
法苑珠林 巻第一
西明寺沙門釋道世撰
西明寺の僧、道世が撰す
- 劫量
- 三界
- 日月
- 六道
- 千佛
- 敬佛
- 敬法
- 敬僧
- 致拜
- 福田
- 歸信
- 士女
- 入道
- 慚愧
- 獎道
- 說聽
- 見解
- 宿命
- 至誠
- 神異
- 感通
- 住持
- 潛遁
- 妖怪
- 變化
- 眠夢
- 興福
- 攝念
- 發願
- 法服
- 燃燈
- 懸幡
- 香華
- 唄讚
- 敬塔
- 伽藍
- 舍利
- 供養
- 受請
- 輪王
- 君臣
- 納諫
- 審察
- 思慎
- 儉約
- 懲過
- 和順
- 誡勗
- 忠孝
- 不孝
- 報恩
- 背恩
- 善友
- 惡友
- 擇交
- 眷屬
- 校量
- 機辯
- 愚戇
- 詐偽
- 墮慢
- 破邪
- 富貴
- 貧賤
- 債負
- 諍訟
- 誣謗
- 祝術
- 祭祀
- 占相
- 祈雨
- 園菓
- 漁獵
- 慈悲
- 放生
- 救厄
- 怨苦
- 業因
- 受報
- 罪福
- 欲蓋
- 四生
- 十使
- 十惡
- 六度
- 懺悔
- 受戒
- 破戒
- 受齋
- 破齋
- 賞罰
- 利害
- 酒肉
- 穢濁
- 病苦
- 捨身
- 送終
- 法滅
- 雜要
- 傳記