釋迦譜卷第一并序
釋迦譜 巻第一 ならびに 序
梁沙門釋僧祐撰
梁の沙門・僧祐撰
蓋聞。菩提之為極也。神妙寂通。圓智湛照。道絕於形識之封。理畢於生滅之境。形識久絕。豈實誕於王宮。生滅已畢。寧真謝於堅固哉。但群萌長寢同歸大覺。緣來斯化感至必應。若應而不生誰與悟俗。化而無名何以導世。是以。標號釋迦擅種剎利。體域中之尊。冠人天之秀。然後脫屣儲宮真觀道樹。捨金輪而馭大千。明玉毫而制法界。此其所以垂跡也。爰自降胎至于分塔。瑋化千條靈瑞萬變。並義炳經典事盈記傳。而群言參差首尾散出。事緒舛駁同異莫齊。散出首尾。宜有貫一之區。莫齊同異。必資會通之契。故知。博誶難該而總集易覽也。祐以不敏業謝多聞。時因疾隙頗存尋翫。遂乃披經案記。原始要終。敬述釋迦譜。記列為五卷。若夫胤裔託生之源。得道度人之要。泥洹塔像之徵。遺法將滅之相。總眾經以正本。綴世記以附末。使聖言與俗說分條。古聞共今跡相證。萬里雖邈有若躬踐。千載誠隱無隔面對。今抄集眾經述而不作。庶脫尋訪力半功倍。敬率丹心略敷誓願。
お聴きください。 菩提という究極の境地は、神妙にして寂然とし、万理に通じ、円満な智慧が静かに照らし出すものです。その道は形や認識の枠を超え、その理は生死の領域を尽くしています。形と識がとっくに絶えたのなら、どうして本当に王宮に生まれることがありましょう。生死をすでに尽くしたのなら、どうしてこの堅固な肉体に終わりがあるのでしょう。ただ、迷いの衆生は長く眠り続け、皆が同じく大いなる悟りへと帰ってゆくのです。縁が訪れればこのように教化が起こり、感応があれば必ず応えが現れます。もし応えても生まれなければ、誰が世俗を悟らせましょう。教化しても名がなければ、何をもって世を導きましょう。それゆえに、名を「釈迦」と掲げ、種姓を「刹利」とし、世の中における尊者としての地位を体し、人天のすぐれたものの頂点に立ちました。そして後には、太子の宮殿を履物を脱ぐがごとく捨て去り、菩提樹の下で真実を観じました。金輪の王位を捨てて大千世界を統べ、白毫の光明を輝かせて、あまねく法の世界を示されました。これが、その世に迹を垂れた所以です。
降誕より舎利塔の建立に至るまで、その化導は千もの様相をなし、霊妙な瑞相は万と変わりました。これらの事柄は、経典にその義が明らかにされ、記録にその出来事が詳しく述べられています。しかし、多くの説は入り混じり、初めと終わりが散在しています。また、事柄の筋は乱れて錯綜し、同じであったり異なったりして、統一が取れていません。散在する初めと終わりは、一つのまとまった区分が必要です。不統一な同異は、必ずや総合して通じるための契機を必要とします。それゆえ、広く喋ることでは全体を網羅しにくく、まとめて集めれば見やすくなるということがわかります。
祐(ゆう)は不敏にして、学識が多聞を欠く者でありますが、時に病の隙を利用して、しばしば経典を玩味してまいりました。そこで、経典を披き、記録を調べ、始めを探り終わりをまとめ、敬って『釈迦譜』を述作し、記列して五巻としました。
その内容は、王族の血筋と托生の根源、悟りを得て人々を度する要点、涅槃と塔や像の霊験、そして法が滅びようとする相、これらをあらゆる経典を集めて正しい基とし、世俗の記録を綴り合わせて付録としました。これにより、聖なる言葉と世俗の説とを区別して述べ、古くからの伝承と現代の事跡とを互いに証し合わせました。万里の彼方も遠いとはいえ、まるで自らそこに赴いて体験したかのように、千年の昔も隠れているとはいえ、面と向かって対話するかの
僧祐前禮最勝尊 稽首清淨無比法
次歸離垢應真僧 三寶慈護永住世
像末少信信不純 邪見迷沒陷眾苦
三藏遐曠難究尋 懈怠障礙令法沒
故集本師源緣記 經律傳證增信根
仰承大士誓願心 敢厝弘意於後世
願同見聞隨喜福 法燈延照盡來際
僧祐、まず最勝の尊に礼拝し、 清らかで比べるものない法に心から敬礼します。 次に、汚れを離れた真理の僧侶たちに帰依し、 三宝の慈しみが永遠にこの世に留まりますように。 末法の世で信仰は薄く、その心も純真ではなく、 間違った見解に迷い込み、苦しみに沈んでいます。 三蔵の教えは広く深く、究めるのは難しいのに、 怠りと障害が法を滅ぼそうとしています。 そこで、師の因縁の記録を集め、 経律や伝記によって信仰の根を深めようとしました。 偉大な菩薩の誓いの心を仰ぎ、 あえてこの広い志を後世に託します。 どうか、すべての見聞する人々がともに喜び、 法の灯火が未来永劫、照らし続けますように。
釋迦始祖劫初剎利相承姓緣譜第一
第一章 釈迦牟尼仏の最初の時代における、クシャトリヤの系譜と姓の由来
釋迦始祖劫初姓瞿曇緣譜第二
釈迦始祖、劫初に瞿曇と称したる縁譜、第二。
釋迦六世祖始姓釋迦氏緣譜第三
釈迦族の六世の祖が初めて釈迦氏を名乗った由来の記録・第三
釋迦降生釋種成佛緣譜第四
釈迦が生まれ、釈迦族の一員として仏になられた由来を記した譜、その第四です。
釋迦在七佛末種姓眾數同異譜第五
釈迦は七仏の最後のお方であり、種姓や衆数の同じこと・異なることを記した譜の第五です。
釋迦同三千佛緣譜第六
釈迦と三千仏の縁譜 第六
釋迦內外族姓名譜第七
釋迦弟子姓釋緣譜第八
釋迦四部名聞弟子譜第九