厭患品第三
園の外には様々な林があり、 清らかな流れと涼やかな池がある。 色とりどりの花や果樹が茂り、 並木が神秘的な木陰を垂れている。
珍しい鳥たちが種類もさまざまで、 羽ばたき戯れている。 水上にも陸上にも四種の花が咲き、 輝く色が絶妙な香りを漂わせている。
芸能の女性たちが音楽を奏で、 弦歌をもって太子に告げる。 太子はその音楽を聞き、 あの園林の美しさを賞賛した。
心の中は大いに躍り喜び、 遊覧に出たいと楽しみに思う。 まるで繋がれた狂象のように、 常に閑寂な野原を慕っている。
父王は太子が あの園への外出を楽しみにしていると聞き、 すぐに諸々の臣下に命じて、 厳かに飾り付け、儀仗を整えさせた。
王の道を平らに整え、 あらゆる醜い穢れを取り除いた。 老いや病い、身体の不自由な者、 弱く貧しく苦しむ者たちを――
わが楽しみ少なき子に 嫌悪の心を起こさせぬよう。 荘厳な準備がすべて整い、 出発を請い、別れを告げた。
王は太子の到着を見て、 頭を撫で、その顔色を眺め、 悲しみと喜びの情が交錯し、 口では許すも心は引き留めた。
多くの宝で飾られた車に、 四頭の駿馬を平らな流れのように繋ぐ。 賢く善良で技芸に優れ、 若く美しい姿の者たちが、
清らかで鮮やかな花の衣をまとい、 同じ車に乗り御者として仕える。 街路には花が散り敷かれ、 宝の幕が道端を覆い、
垣根の木々が道の両側に並び、 宝の器で飾り立てられている。 絹の天蓋や諸々の幡旗が、 色とりどりに風に翻っている。
見物人は長い道に沿って立ち、 身をかがめて目を凝らす。 瞬きもせずに見つめる様は、 並んだ青蓮華のようである。
臣民は皆付き従い、 星が宿の王に従うが如し。 異なる口から同じ声で嘆き、 世にも稀な慶びを称える。
貴賤や貧富を問わず、 年長者も年少者も中年も、 皆こぞって恭しく礼をし、 ただ吉祥あらんことを願う。
城下町や田舎の村里でも、 太子が外出されると聞けば、 身分の上下を問わず言葉も待たず、 寝ても覚めても互いに告げずに――
家畜も慌てて収容せず、 財産もしまい込む暇もなく、 戸口も閉める間もなく、 道端へと駆け出して行く。
楼閣や堤防の木々の上、 窓や小路の間から、 身をかがめて目を凝らし、 飽きることなく見つめている。
高い所から見下ろす者は地面に落ちたかと思い、 歩く者は虚空に乗ったかと思う。 意識が集中して自覚せず、 形と心が双つで飛んでいるようだ。
恭しく形を観察し、 放逸な心を起こさない。 円満な体と充実した肢節、 色は蓮華が開くようで、
今、園林に出られることを、 聖なる法の仙人となられますように。 太子は整えられた道を見て、 従う人々の荘厳さを見て、
衣服や乗り物の鮮やかな光沢に、 欣然と心を喜ばせた。 国中の人々が太子を仰ぎ見るその厳かな儀容は、 従う者たちを凌ぎ、
あたかも諸天の衆生が、 天の太子の誕生を見るようである。 その時、浄居天王が、 突然に道端に現れ、
老い衰えた相に姿を変え、 厭離の心を起こさせようとした。 太子は老人を見て、 驚き怪しんで御者に尋ねた:
「これはどのような人か? 頭は白く背は曲がり、
目は暗く身は震え、 杖にすがって弱々しく歩む。 これは身に突然の変化か、 それとも生まれつきの性質か?」
御者は心に躊躇い、 実を以て答えることを敢えず、 浄居天が神力を加え、 真実の言葉を表させた:
「色は変わり気は虚ろで微か、 憂いは多く楽しみは少なく、 物忘れが多く諸根は弱り、 これを老い衰えた相という。
この人はかつては嬰児であり、 母乳によって育てられ、 童子として遊び戯れ、 端正で五欲にふけったが、
年が過ぎ形は枯れ朽ち、 今は老いに壊されたのだ。」 太子は長く嘆息し、 御者に言って尋ねた:
「ただ彼だけが老いるのか、 我々もまた当然そうなるのか?」 御者はまた答えて言った: 「尊き方にもこの分け前があります。
時が移れば形は自ずと変わり、 必ず至ることに疑いはありません。 若く壮んな者で老いない者はなく、 全世界が知りながらも求めています。」
菩薩は久しく修習し、 清浄なる智慧の業を広く培い、 諸々の徳の根本を広く植え、 願いの果実が今、花開かんとしている。
老いの苦しみを聞き説かれて、 戦慄し身の毛が逆立つ。 雷鳴や霹靂の音に、 群獣が怖れて奔走するが如し。
菩薩もまたかくの如く、 震え怖れて長く息を吐き、 心を老いの苦しみに繋ぎ、 うなずきながら目を凝らす。
この老いの苦しみを思えば、 世の人々はどうして愛し楽しむのか? 老いの相によって壊されることは、 触れるもの全てに選択の余地なく、
壮んな色や力があっても、 一つとして変わらぬものはない。 目前に証拠の相を見て、 どうして厭い離れないのか?
菩薩は御者に言った、 速やかに車を返すのがよい。 念々に老いが至ることを思えば、 園林などどうして楽しむに足りようか?
命を受けて風の如く駆け、 飛ぶ車輪は本宮へと戻った。 心は朽ち果てた夕暮れの境に留まり、 まるで空の塚の間に帰るようで、
何事にも心を留めず、 住む所に暫しの安らぎもない。 王は子の不機嫌を聞き、 重ねて外出を勧め、
すぐに諸々の臣下に命じて、 荘厳を以前より勝るものにさせた。 天はまた病人に姿を変え、 命を保ちながら道端におり、
身は痩せて腹は大きく、 呼吸は長く喘ぎ、 手足は萎え枯れ、 悲しみ泣きながら呻いている。
太子は御者に尋ねた: 「これはまたどのような人か?」 答えて言った:「これは病める者です。 四大がことごとく錯乱し、
弱り衰えて何もできず、 転がり仰ぐことすら人に頼っています。」 太子はその言葉を聞き、 すぐに哀れみの心を起こし、
尋ねた:「ただこの人だけが病むのか、 他の者もまた当然そうなるのか?」 答えて言った:「この世間では、 全てが同じくかくの如し。
身があれば必ず患いあり、 愚かで痴れた者は朝の歓びを楽しむ。」 太子はその言葉を聞き、 すぐに大いなる恐怖を起こし、
身心ともに戦い動き、 まるで波間に揺らぐ月のようだ。 この大いなる苦しみの器の中にいて、 どうして自ら安らぐことができようか?
ああ、世間の人々よ、 愚惑と痴闇に覆われて、 病いの賊が期なく至るにもかかわらず、 喜び楽しむ心を起こしている。
そこで車を返して戻り、 愁い憂いて病いの苦しみを思う。 まるで打たれ害される人が、 身を丸めて杖の来るのを待つように。
閑寂な宮殿に静かに息づき、 ひたすらに世の楽しみに反するものを求める。 王はまた子が戻ったと聞き、 何が原因かと問い質した。
答えて病人を見たと言うと、 王は恐怖で身を失ったようだった。 道を整える者を深く責めたが、 心は結ばれ口は言葉を発せず、
さらに芸能の女性たちを増やし、 音楽を以前より倍に勝るものにした。 これをもって視聴を楽しませ、 俗の楽しみに家を厭わぬように。
昼夜に声と色を進めるが、 その心は未だかつて喜ばなかった。 王自ら出遊し巡り、 さらに勝れた妙なる園を求め、
諸々の侍女を選りすぐり、 美しく艶やかで極めて姿顔の良い者、 おもねり媚びてよく仕え、 容姿の媚びで人を惑わす者たちを。
王の御道を増修し、 諸々の不浄を防ぎ制し、 併せて善き御者に命じて、 見回り道を選んで行かせた。
その時、かの浄居天が、 また死人に姿を変え、 四人で共に輿を持ち、 菩薩の前に現れた。
他の者は皆気づかず、 菩薩と御者だけが見た。 尋ねた:「これはどのような輿か? 幡や花で雑多に飾られ、
従う者は皆憂い悲しみ、 髪を振り乱して号哭しながら付き従う。」 天神が御者に教えて、 答えて言った:「死人のためです。
諸根は壊れ命は絶え、 心は散り念い識は離れ、 神は逝き形は乾き萎え、 まっすぐに伸びた枯れ木のよう。
親戚や諸々の友、 恩愛がもとより纏綿していた者たちも、 今は皆喜んで見ず、 遠く棄てて空の塚の間に。」
太子は死の声を聞き、 悲痛の心が交錯した。 尋ねた:「ただこの人だけが死ぬのか、 天下もまた皆そうなるのか?」
答えて言った:「普く皆そうです。 始めがあれば必ず終わりがあり、 年長者も年少者も中年も、 身ある者は皆壊れるものです。」
太子の心は驚き悲しみ、 身は車の軾の前に垂れ、 息は絶え絶えに嘆いて言う、 世の人々はなんと誤っていることか。
公然と身の滅びを見ながら、 なおも放逸に生きている。 心は枯れ木や石ではないのに、 かつて無常を慮らないのか?
すぐに車を返すよう命じた、 もはや遊戯の時ではない。 命が絶え死が期なく訪れるのに、 どうして心を放って遊べようか?
御者は王の命を受け、 畏怖して返すことを敢えず、 正しく御して疾く駆け、 まっすぐにあの園へと向かった。
林には清浄が満ち、 良き木々は皆花を開き、 霊禽や珍しい獣が雑じり、 飛び走り和やかに鳴くことを喜ぶ。
光り輝き耳目を楽しませ、 あたかも天の難陀園のようである。