眾經撰雜譬喻卷上
衆経撰雑譬喩 巻上
比丘道畧集
比丘道畧集
姚秦三藏法師鳩摩羅什譯
姚秦の三蔵法師、鳩摩羅什訳
(一)
(一)
智者思惟財物不可久保,譬如失火之家。黠慧之人明識火勢,火未至時急出財物,舍雖燒盡財寶全在,更修屋宅廣開利業。智人植福勤修布施亦復如是,知身危脆財物無常,遇值福田及時布施,亦如彼人火中出物,後世受樂,亦如彼人更修宅業福利自慰。愚惑之人但知惜念,怱怱營救狂惑失智,不量火勢猛風絕燄土石俱燋,須臾之頃蕩然滅盡,屋既不救財物喪失,飢寒凍餓憂苦畢世。慳惜之人亦復如是,不知身命無常須臾叵保,而便聚斂守護愛惜,死來無期忽然殞逝,形如土木財物俱棄,亦如愚人憂苦失計。明慧之人乃能覺悟,知身如幻財不可保,萬物無常惟福可恃,將人出苦可得成道。
賢者が考えるに、財物は永遠に保つことができない。それはちょうど火事になった家のようなものである。賢くて聡明な人は火の勢いをよく見極め、火が家に及ばないうちに急いで財物を運び出す。家は焼け落ちても、財宝は全て無事であり、さらに新たに家を建てて事業を大きく広げる。智慧ある人が福を積み、熱心に布施を修行するのもまた同じである。自分のからだが危うく脆く、財物が無常であることを知り、福田に巡り合った時にすぐに布施を行う。これはあたかも火の中から物を運び出す者のようであり、後の世に楽しみを受ける。また、あたかもその者が新たに家を建て、その福によって自らを慰めるようである。
愚かで迷っている人は、ただ惜しみ愛する心だけを知り、慌てふためいて財物を守ろうとし、狂ったように惑って智慧を失う。火の勢いや、強風で炎が燃え上がり土や石までも焦げる様子を考えず、わずかな間に全てが焼け尽きてしまう。家も救えず、財物も失い、飢えや寒さに苦しみ、一生憂い苦しむ。物惜しみする人もまた同じである。自分の命が無常であり、しばらくも保証できないことを知らずに、かえって財を集めて守り愛し惜しむ。しかし死は予期なく訪れ、突然に命は尽きる。からだは土や木のようになり、財物も共に捨てられる。あたかも愚か者が憂い苦しんで良い考えを失うようである。
明らかな智慧のある人は、ようやく目覚めることができる。からだが幻のようであり、財が保つことのできないものであることを知る。万物は無常であり、ただ福だけが頼りになる。この福が人を苦しみから救い出し、悟りを得させることができるのである。